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明細書 :ガス濃度測定方法およびその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-158403 (P2015-158403A)
公開日 平成27年9月3日(2015.9.3)
発明の名称または考案の名称 ガス濃度測定方法およびその装置
国際特許分類 G01N  29/02        (2006.01)
G01N  29/00        (2006.01)
FI G01N 29/02
G01N 29/18
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2014-032672 (P2014-032672)
出願日 平成26年2月24日(2014.2.24)
発明者または考案者 【氏名】平林 勝
【氏名】荒 邦章
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100139114、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 貞嗣
【識別番号】100092495、【弁理士】、【氏名又は名称】蛭川 昌信
【識別番号】100139103、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 卓志
【識別番号】100145920、【弁理士】、【氏名又は名称】森川 聡
【識別番号】100094787、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 健二
【識別番号】100097777、【弁理士】、【氏名又は名称】韮澤 弘
【識別番号】100091971、【弁理士】、【氏名又は名称】米澤 明
審査請求 未請求
テーマコード 2G047
Fターム 2G047AA01
2G047BA01
2G047BC02
2G047BC15
2G047BC19
2G047GF05
2G047GF09
2G047GG30
2G047GG44
要約 【課題】瞬時に、気体の種類および濃度を特定することができるガス濃度測定方法を提供する。
【解決手段】超音波によって測定環境のガス濃度並びに温度の測定を行なうガス濃度測定方法であって、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第一の距離に対する伝播時間を測定することによって前記ガス濃度を特定するガス濃度測定手段と、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第二の距離に対する伝播時間を測定することによって前記温度を特定する温度測定手段とを有するガス濃度測定方法である。測定対象ガスは水素であり、ガス濃度測定のための超音波と温度測定のための超音波は、発信時に同期を取る/あるいは同一の超音波発信装置とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
超音波によって測定環境のガス濃度並びに温度の測定を行なうガス濃度測定方法であって、
測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第一の距離に対する伝播時間を測定することによって前記ガス濃度を特定するガス濃度測定手段と、
測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第二の距離に対する伝播時間を測定することによって前記温度を特定する温度測定手段と、
を有することを特徴とするガス濃度測定方法。
【請求項2】
前記ガスが水素であり、前記ガス濃度の特定は、測定した伝播時間とあらかじめ定められた水素濃度に対する伝播時間との比較によって特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のガス濃度測定方法。
【請求項3】
前記ガス濃度測定のための超音波と、温度測定のための超音波は、発信時に同期を取る/あるいは同一の超音波発信装置であることを特徴とする請求項1乃至2に記載のガス濃度測定方法。
【請求項4】
超音波によって測定環境のガス濃度並びに温度の測定を行なうガス濃度測定装置であって、
測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第一の距離に対する伝播時間を測定することによって前記ガス濃度を特定するガス濃度測定手段と、
測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第二の距離に対する伝播時間を測定することによって前記温度を特定する温度測定手段と、
を有することを特徴とするガス濃度測定装置。
【請求項5】
前記ガスが水素であり、前記ガス濃度の特定は、測定した伝播時間とあらかじめ定められた水素濃度に対する伝播時間との比較によって特定する、
ことを特徴とする請求項4に記載のガス濃度測定装置。
【請求項6】
前記ガス濃度測定のための超音波と、温度測定のための超音波は、発信時に同期を取る/あるいは同一の超音波発信装置であることを特徴とする請求項4乃至5に記載のガス濃度測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用したガス濃度の測定技術に関する。詳細には、超音波のガス中の伝播時間を測定し、該ガス中の超音波の音速を検出すると同時に、環境の温度による音速の補正を行うことによって、当該ガスの濃度を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンエネルギーとして水素利用社会の普及が言われ始め、自動車や家庭用燃料電池などの研究開発や実用化に伴い、水素利用関連技術の実用化研究開発が進められている。水素は、空気中に於いて4%強以上の濃度で爆発することが知られている。水素利用社会を実現するためには水素センサーが不可欠であり、各種水素センサーが研究され、実用化されてきつつある。
【0003】
従来の水素センサーは、半導体式、接触燃焼式など各種の検出方法が取られているが、応答時間が遅く、また、水素の検出が吸着による場合が多く、検出後の水素除去に時間がかかるなどの欠点があり、瞬時の水素検出には限界があった。
【0004】
これらの改良技術として、超音波を利用した水素測定技術が、特許文献2、非特許文献1、2に開示されている。
【0005】
この技術は、音波が気体の種類によって、さらには気体の濃度によって伝搬速度が変化することを利用したもので、超音波を所定の距離間に発信させ、該超音波の発信から受信するまでの時間を測定し、音速を演算することで、超音波が伝播した雰囲気の気体の種類及びその濃度を測定するようにしたものである。
【0006】
ただ、気体の音速は、温度に非常に敏感であり、気体の温度を瞬時に把握し、その温度による気体の音速を補正しないことには正確な気体の音速を測定できず、ひいては気体の種類ならびに気体の濃度を正確に測定できない状況となっていた。
特に、瞬時に環境温度を測定し、その測定した環境温度を利用した超音波の音速を補正することで、精度のよい気体の種類、ならびに気体の濃度を測定する技術を安価に、かつ簡素に実現することが必要であった。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特願2013-244628号出願明細書
【特許文献2】特開2000-304732号公報
【0008】

【非特許文献1】「超音波を利用した水素センサー」 加藤喜峰氏、藤田秀朗氏 超音波TECHNO 2010.1-2 頁85-89
【非特許文献2】「超音波を利用した水素センサー」 加藤喜峰氏他 福岡水素エネルギー戦略会議平成22年度第2回研究分科会 平成22年8月10日www.f-suiso.jp/bunkakai/H22bunnkakai/22_2_1_Kato.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術で記載した問題点に鑑み、超音波を利用して瞬時に環境温度を測定し、その測定した環境温度を利用した超音波の音速を補正することで、精度のよい気体の
種類、ならびに気体の濃度を測定する技術を安価に、かつ簡素に実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の発明は、超音波によって測定環境のガス濃度並びに温度の測定を行なうガス濃度測定方法であって、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第一の距離に対する伝播時間を測定することによって前記ガス濃度を特定するガス濃度測定手段と、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第二の距離に対する伝播時間を測定することによって前記温度を特定する温度測定手段と、を有するガス濃度測定方法である。
【0011】
本発明の第2の発明は、第1の発明に付加して、前記ガスが水素であり、前記ガス濃度の特定は、測定した伝播時間とあらかじめ定められた水素濃度に対する伝播時間との比較によって特定するガス濃度測定方法である。
【0012】
本発明の第3の発明は、第1乃至第2の発明に付加して、前記ガス濃度測定のための超音波と、温度測定のための超音波は、発信時に同期を取る/あるいは同一の超音波発信装置であるガス濃度測定方法である。
【0013】
本発明の第4の発明は、超音波によって測定環境のガス濃度並びに温度の測定を行なうガス濃度測定装置であって、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第一の距離に対する伝播時間を測定することによって前記ガス濃度を特定するガス濃度測定手段と、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第二の距離に対する伝播時間を測定することによって前記温度を特定する温度測定手段と、を有するガス濃度測定装置である。
【0014】
本発明の第5の発明は、第4の発明に付加して、前記ガスが水素であり、前記ガス濃度の特定は、測定した伝播時間とあらかじめ定められた水素濃度に対する伝播時間との比較によって特定するガス濃度測定装置である。
【0015】
本発明の第6の発明は、第4乃至5の発明に付加して、前記ガス濃度測定のための超音波と、温度測定のための超音波は、発信時に同期を取る/あるいは同一の超音波発信装置であるガス濃度測定装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、超音波による第1の所定距離の伝播時間を測定することで、瞬時に、気体の種類および濃度を特定することができる。
【0017】
また、超音波による第2の所定距離の伝播時間を測定することで、瞬時に、測定環境いわゆる気体の温度を瞬時に測定することができる。
【0018】
また、超音波による第1、第2の所定距離の伝播時間の測定であるため、熱源を利用せずに測定ができるため、測定器具を防爆型等にすることが不要であり安価な装置を実現できる。
【0019】
また、ガス濃度測定のための超音波と、温度測定のための超音波が、発信時に同期を取る/あるいは同一の超音波発信装置を使用することで、気体の濃度測定と気体の温度測定を瞬時に実現でき、かつ、タイムラグなく測定することができるため気体濃度測定の精度向上を図ることができる。
【0020】
また、超音波によるガス濃度測定と温度測定であるため、測定後のガス除去等の後処理が不要でそのまま繰り返し利用できるため、連続的なモニタリング等に適した測定方法、測定装置である。
【0021】
また、超音波伝播時間の測定用の第1の距離、第2の距離が非常に小さな値で実用できることによって、測定雰囲気における測定子を小型にすることができ、狭隘部等における測定においても利用することが可能である。
【0022】
さらに、本発明の実施例では水素を基に説明したが、温度と濃度を同時に測定できることから、伝搬速度が類似したガスについての測定にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のガス濃度測定装置の機器構成の一実施例を示す図である。
【図2】本発明に使用する超音波の反射、透過についての挙動を模式的に示す図である。
【図3】本発明の超音波振動子の伝搬距離(超音波振動子間の距離)に対する信号の減衰を示す図である。
【図4】本発明の超音波振動子の超音波の周波数を決める振動子の厚さと信号の減衰率とを示す図である。
【図5】本発明のガス濃度計測用ならびに温度測定用の超音波振動子の構成の一実施例を示す図である
【図6】本発明の実施例1のガス濃度測定用超音波振動子の装置構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例1による実際の水素濃度と超音波による測定水素濃度との精度検証結果を示す図である。
【図8】本発明の実施例2による環境温度を変化させた時の超音波の音速と検出水素濃度との精度の検証結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第一の距離に対する伝播時間を測定することによって前記ガス濃度を特定するガス濃度測定手段と、測定環境において発信させた超音波の、あらかじめ定められた第二の距離に対する伝播時間を測定することによって前記温度を特定する温度測定手段とによって測定環境のガス濃度を測定するガス濃度測定方法ならびにガス濃度測定装置である。

【0025】
測定対象のガスは、水素成分を含むガスであればいずれでもよいが、水素単独あるいは水素単独の分子成分が混在したガスであることが好ましい。
ただ、測定対象環境における測定ガスを限定する、すなわち、測定対象となるガスの濃度測定に障害となるガスの存在を制限することにより、ヘリウムを始め、その他のガス濃度の測定にも利用することができる。

【0026】
ガス濃度測定手段は、特定ガス中における測定した超音波の伝播時間と、特定ガスに対して予め定められたガス濃度中の超音波の伝播時間との比較によって特定ガスの濃度を決定する。具体例を後述の実施例で説明する。

【0027】
温度測定手段は、特定ガス中における測定した超音波の伝播時間を、ガス濃度測定用の超音波あるいは該超音波と同期して発信させる他の超音波によって環境温度の測定を行い、その環境温度の測定結果を基に、特定ガス中における測定した伝播時間の温度補正を行う。この技術は、本発明者等がすでに出願済の2013-244628号の技術を利用する。

【0028】
図1に、本発明のガス濃度測定装置の装置概要を示す。
なお、以降の説明において、ガス濃度測定装置を測定装置、制御プログラム/記憶装置を制御PRGと略して説明する。

【0029】
測定装置1は、大きく、ガス濃度および温度の測定に係る制御全般をつかさどる制御装置2と、測定環境への超音波の発信、受信を行う超音波センサ3とで構成する。

【0030】
制御装置2は、測定装置1内に接続された各機器の制御と、制御PRG2eの情報を基に超音波発信制御手段2e1、超音波受信制御手段2e2、ガス温度解析手段2e3、ガス濃度解析手段2e4の各手段を起動・制御する制御部2a、超音波の発信、受信等に関して超音波センサ3との信号の仲介・制御を行うI/Oポート2b、I/Oポート2bからの情報に基づき超音波センサ3への超音波信号を送信する送信回路2c、および超音波センサ3からの超音波信号を受信する受信回路2dで構成する。制御部2aには、制御部の操作用の入力部2f、表示部2gが接続され、測定者による制御部2aへの指示と、制御部2a内の測定結果などの確認を行う表示部2gが接続されている。

【0031】
制御PRG2eは、超音波発信制御手段2e1、超音波受信制御手段2e2、ガス温度解析手段2e3、ガス濃度解析手段2e4のような制御プログラムを内蔵する。なお、超音波発信制御手段2e1、超音波受信制御手段2e2、ガス濃度解析手段2e4については、特許文献1、2、非特許文献1、2を始め、一般的に公開されている技術であり、それらの技術を適宜利用するものであるため、本発明では詳述しない。

【0032】
超音波センサ3は、測定環境のガス中への超音波の送信と、測定環境から反射する超音波の受信を行う。

【0033】
この超音波センサ3は、ガス濃度測定用超音波振動子5とガスの温度測定用超音波振動子4とで構成する。

【0034】
一般に、超音波の反射、透過については、図2で表される挙動を示すことが知られている。超音波の媒体物質同士の境界では、音響インピーダンスが比較的類似している場合には、超音波の透過率が高い数値を得ることができるが、音響インピーダンスの大きい物質から音響インピーダンスの小さい物質へ超音波を伝播させる場合、いわゆる固体から気体へ超音波を伝播させる場合には、透過率は数%止まりとなり、測定に利用することが困難になる。ちなみに、鉄棒から空気への超音波の透過率は数%未満となり、実施的に超音波は伝搬されないこととなる。従って、超音波振動子と気体の間に音響インピーダンスの小さい媒質を介して、効率よく気体に超音波を伝播させる工夫を行い、気体を超音波振動させるようにすることが必要不可欠である。

【0035】
このことから、温度測定については、気体に比して温度に対する影響の少ない固体を利用した温度の測定方法として、本発明者等が開発した2013-244628号の技術を使用することとし、温度測定超音波振動子4とした。

【0036】
また、ガス濃度測定のための発信用超音波振動子5、反対側に受信用超音波振動子5cを配置し、超音波振動子と気体の間に音響インピーダンスの小さい媒質を介して、効率よく気体に超音波を伝播させる工夫を行い、気体を超音波振動させることとした。
ただ、この受信用超音波振動子5cの代替として超音波反射用部材5dを配置して発信された超音波を反射させ、反射した超音波を発信用超音波振動子5で受信する形態とすることもできる。この場合、反射用部材5dは、超音波を反射する平滑面を持つ固体であればよいが、ステンレス等の金属であることが好ましい。

【0037】
温度測定超音波振動子4から温度測定用金属棒4bを伝播する超音波を4aとし、ガス濃度測定用超音波振動子5からガス中を伝播する超音波を、一方向直進波を5a、超音波反射用部材5dによって反射する超音波を5bとして図示した。超音波反射用部材5dは、前記一方向直進波5aを受信する場合には、ガス濃度測定用超音波振動子5と同一の超音波振動子を5cとして使用する。

【0038】
ここで、温度測定超音波振動子4、ガス濃度測定用超音波振動子5、ガス濃度測定用超音波振動子5cについて説明する。
超音波振動子は小型であることが望ましいが、超音波の距離による減衰、周波数に対する振動子の厚さと減衰等の要因が大きく係ってくる。

【0039】
超音波信号の距離による減衰について実験の結果を図3に示す。

【0040】
図3は、伝搬距離(超音波振動子間の距離)に対する信号の減衰を表す試験データである。超音波信号は伝搬距離0.05mの単位でプロットしている。
この実験結果から、周波数が高くなると、減衰は大きくなるということが分かる。

【0041】
なお、実線は、プロットしたデータを以下の近似式(1)で信号の大きさを表したものである。
S=S(0.05)exp(-αL) (1)
ここで、S(0.05):伝搬距離0.05mでの信号の大きさ(当初の超音波信号の強度を1として表している)、α:減衰率、L:伝搬距離である。

【0042】
超音波の周波数に対する振動子の厚さと減衰について実験の結果を図4に示す。
図4は、超音波の周波数を決める振動子の厚さと、前術の減衰率とをまとめた図である。実線で示す振動子の厚さは、振動子の周波数定数N(振動子の厚さと共振周波数の積で、試験で使用した1-3コンポジット振動子の場合、約1.34×106[mm・Hz])よ
り、以下の関係式(2)で求めた。
y=N/f (2)
ここで、yは超音波振動子の厚さ(mm)、Nは超音波振動子の周波数定数、fは発信周波数(Hz)である。
図4中の破線は、前述の減衰率曲線を近似式で挿入したものである。
この関係から、用途に応じて、超音波振動子の大きさや周波数を選定することが可能である。

【0043】
これより、一般的に言われている通り、発信周波数が低いほど、振動子の厚さは厚くなり、また、振動子の径は、厚さの3倍以上とするのが一般的といえる。
その場合、発信周波数200kHzでは、超音波振動子径は約20mm(6.7×3)、800kHzでは約5mm(1.7×3)となり、周波数が低いほど超音波振動子は大きくなる。

【0044】
例えば、広い空間のガス濃度を測定する場合、超音波動子は大きくなるが、減衰率の低い低周波数の超音波振動子が有効である。
また、空間の制約により、大きい超音波振動子が使用できない場合は、伝搬距離が長い条件には適しないが、高周波数の超音波振動子を使用して超音波振動子の大きさを小さくすることが有効となる。

【0045】
つぎに、超音波センサ3の本発明の代表的な例として、図5を基に説明する。

【0046】
図5a)は、ガス濃度測定用ならびに温度測定用の超音波振動子を一体型の4、5で構成し、4の部分で発信した超音波4aを温度測定用金属棒4bに伝播させ、この反射波4aを4の部分で受信する。5の部分で発信した超音波5aをガス中を伝播させ、反対側の超音波振動子5cで受信する。

【0047】
図5b)は、図5a)で示した構成を、ガス濃度測定用超音波振動子5と温度測定用超音波振動子4を発信制御等の同期をとることによって各々独立して配置する構成を示したものである。

【0048】
図5c)は、ガス濃度測定用超音波振動子5と温度測定用超音波振動子4を発信制御等の同期をとることによって各々独立して配置し、ガス濃度測定用超音波振動子5から発信した超音波5bを、反対側に設置した超音波反射用部材5dによって反射させ、ガス濃度測定用超音波振動子5で受信する構成である。

【0049】
この構成は、測定ガスに流れがあった場合に、特に有効な方法となる。超音波の伝搬速度に測定ガスの流れが影響した場合に、超音波の「往」の伝搬速度(伝播時間)と「復」の超音波の伝搬速度(伝播時間)との差を相殺することができるため、超音波の往復の合計時間tLとすることによって、ガスの流れの影響を除去することができる。

【0050】
ここで、超音波信号の関係を模式的に図5d)示す。Lは第一の所定距離(図5c)の場合は、2Lが第一の所定距離)であり、2lは第2の所定距離を表わす。
また、第一の所定距離Lを伝播する時間tL、第二の所定距離2lを伝播する時間tlである。この図で、(I)は発信超音波のパルス信号であり、(II)は温度測定用の超音波
の受信パルス信号、(III)はガス濃度測定用の超音波の受信パルス信号を表わす。
[実施例]
【実施例1】
【0051】
本発明の実施例1として、図5b)のガス濃度測定用超音波振動子5、反対側の超音波振動子5c、その間の超音波5aを使用して、図6a)、b)の装置の配置とし、実際の水素濃度と超音波による測定水素濃度の検証を行った。
【実施例1】
【0052】
ここで、図6a)は、図6b)のガス濃度測定用超音波振動子5、反対側のガス濃度測定用超音波振動子5cを配置した実験装置の図である。温度測定用超音波振動子4は、図6a)には図示していないが本実施例では熱電対による温度測定で代用した。
ガス濃度測定用超音波振動子5は、約200kHz、印加電圧約100V(パルス)、L=50mmで構成し、測定温度は約20℃とし、測定環境のガスは、窒素ガスと水素ガスの混合ガスとした。
検証結果を図7に示す。
【実施例1】
【0053】
この結果から、雰囲気の水素濃度と超音波で測定した水素濃度とは高度の相関を得ることができ、良好な精度で水素濃度を測定することが可能との確証を得た。
【実施例2】
【0054】
本発明の実施例2として、実施例1と同一条件で、環境温度を変化させた時の超音波の音速と検出水素濃度について検証を行った。検証結果を図8に示す。
図8a)から、水素濃度毎に、例えば、水素濃度1%、2%、3%毎に、環境温度と超音波の音速とは非常に相関があり、かつ、水素濃度が高くなれば、超音波の音速も高くなることが確認できた。
このことから、環境温度と超音波の音速とから、精度よく水素濃度を計測できることが実証できた。
さらに、図8b)は、図8a)の部分を拡大したものであるが、環境温度と超音波の音速との交点から測定水素濃度を演算する様子を示したものである。
【実施例2】
【0055】
環境温度が106℃、超音波の音速が402m/sとしたときのグラフの交点は、水素濃度2%と水素濃度3%との間にあり、交点をOとし、Oを通る水素濃度2%と水素濃度3%の近似線に垂線を引き、交わる点をX、Yとする。O点とX点、Y点までの距離をa、bとすると、O点の水素濃度は2%+a/(a+b)%で表すことができる。本例では1%刻みの近似線で表しているが、1%→0.1%刻みのように細かな近似線を予め作成することによって、さらに精度のよい水素濃度の測定が可能となる。
【実施例2】
【0056】
この実施例2の処理内容をプログラム化して、システムに組み込んだものがガス濃度解析手段2e4である。
【実施例2】
【0057】
つぎに、その他のガスの濃度測定について説明する。
【実施例2】
【0058】
【表1】
JP2015158403A_000003t.gif
【実施例2】
【0059】
表1は、その他のガスの音速と温度に対する音速の変化率を表わしたものであるが、本実施例で説明した水素ガスが音速も早く、かつ音速の変化率も大きく、超音波によるガス濃度測定に適したガスといえる。
【実施例2】
【0060】
ただ、その他のガスについても、測定環境に併存するガスを制御する、いわゆる測定対象ガス以外のガスを排除する等を行うことによって、特定のガスに対する本発明によるガス濃度測定方法を利用することが可能である。例えば、エチレンの濃度測定を行いたい時には、類似の音速を持つエタン、メタノール等のガスが混合しないような環境とする等の配慮を行う。
【実施例2】
【0061】
以上説明した超音波によるガス濃度測定方法ならびにその装置によって、小型で、安価な、かつ、高精度で迅速なガス濃度測定が実現できる。
さらに、ガス濃度測定ならびにガス温度測定のいずれもが、超音波の音速の変化を検出して測定するものであるため、迅速な解析結果を得ることができるとともに、コンパクト化を容易化することができるため、例えば自動車や家庭用燃料電池への利用が容易にできる。さらに、これらの自動車や家庭用燃料電池には、制御装置としてPC、マイコン等の組み込みが通常であるため、PC、マイコン等に本発明の制御装置2の機能を組み込むことが容易に実現できる。
【符号の説明】
【0062】
1…ガス濃度測定装置(測定装置)
2…制御装置
2a…制御部
2b…I/Oポート
2c…送信回路
2d…受信回路
2e…制御PRG(制御プログラム/記憶装置)
2f…入力部
2g…表示部
3…超音波センサ
4…温度測定用超音波振動子
4a…温度測定用反射波
4b…温度測定用金属棒
5…ガス濃度測定用超音波振動子
5a…一方向直進波
5b…ガス濃度測定用反射波
5c…ガス濃度測定用超音波振動子
5d…超音波反射用部材
L…第一の所定距離
l、lm…第二の所定距離
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図6】
7