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明細書 :機能性粒子含有率の高い機能性セルロース材料及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4831570号 (P4831570)
公開番号 特開2007-262594 (P2007-262594A)
登録日 平成23年9月30日(2011.9.30)
発行日 平成23年12月7日(2011.12.7)
公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
発明の名称または考案の名称 機能性粒子含有率の高い機能性セルロース材料及びその製造方法
国際特許分類 D21J   1/18        (2006.01)
D21H  21/36        (2006.01)
FI D21J 1/18
D21H 21/36
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2006-085888 (P2006-085888)
出願日 平成18年3月27日(2006.3.27)
審査請求日 平成19年12月26日(2007.12.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390036663
【氏名又は名称】木村化工機株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】矢野 浩之
【氏名】田尻 忠昭
【氏名】石田 敏夫
【氏名】関 紀繁
【氏名】比村 卓相
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510、【弁理士】、【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100099988、【弁理士】、【氏名又は名称】斎藤 健治
審査官 【審査官】常見 優
参考文献・文献 特開2004-292970(JP,A)
特開2002-327503(JP,A)
特開平11-140800(JP,A)
特開2002-292608(JP,A)
特開2005-042283(JP,A)
特開昭60-190322(JP,A)
調査した分野 D21B 1/00- 1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00- 9/00
D21H11/00-27/42
D21J 1/00- 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
パルプ及び/又は前処理パルプ3~50重量%と機能性粒子50~97重量%を水の存在下で混練し、混練物を加圧して脱水及び成形し、成形物を乾燥することを包含する機能性セルロース材料の製造方法であって、
前記混練、加圧及び成形が二軸混練押し出し機を用いて行われる機能性セルロース材料の製造方法
【請求項2】
機能性粒子の平均粒子径が2000μm以下である請求項1に記載の機能性セルロース材料の製造方法。
【請求項3】
機能性粒子が木粉、樹皮粉末、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライト、酸化チタン、シリカゲル、活性炭、貝殻粉砕物、珪藻土、金属粉及びタンニンからなる群から選択される少なくとも1種の粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性セルロース材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿性、VOC捕捉性、脱臭性、抗菌性などの機能を有する機能性セルロース材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース系繊維をリファイナー、ホモジナイザー等により磨砕ないし叩解することによりセルロースミクロフィブリルを製造できることが知られている(例えば、特許文献1)。このセルロースミクロフィブリルを利用してシートを製造する技術も知られている。例えば、セルロースミクロフィブリル懸濁液を抄紙して高強度のミクロフィブリルシートを製造する方法(例えば、特許文献2)、温水を含浸したパルプシート状体を混練して混練物とし、該混練物に水を添加混合して流動性の調整された成形準備物とし、該成形準備物を成形型に投入して加圧して脱水し、乾燥して木質系基材を製造する方法(例えば、特許文献3)、パルプと脂肪族ポリエステルとを水の存在下で溶融混練処理することにより、パルプがミクロフィブリル化して樹脂成分中に分散した脂肪族ポリエステル組成物を製造する方法(例えば、特許文献4)である。ミクロフィブリルシートは軽くて強度が高く、さらには生分解性も高いためパソコン、携帯電話等の家電製品の筐体、文房具等の事務機器、スポーツ用品、輸送機器、建築材料など幅広い分野への応用が期待されている。

【特許文献1】特公昭50-38720号公報
【特許文献2】特開2003-201695号公報
【特許文献3】特許第3522706号公報
【特許文献4】特開2005-42283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらセルロースミクロフィブリルを利用したシートは、強度、成形性、生分解性の観点から開発されたものである。しかしながら、これらの実用化が近づくにつれて、他の機能を併せ持った成形物の登場が望まれるようになってきた。しかしながら、機能を発揮させることを目的として、セルロースミクロフィブリルに多量の機能性物質を配合すると強度が不足することが予測され、その強度不足を補うためにバインダー類を使用すると、機能性物質表面がバインダーにより覆われるため、機能の低下が見られる。
【0004】
したがって、本発明は、強度がなるべく損なわれておらず高機能な機能性のセルロース材料、その製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、パルプ及び/又は前処理されたパルプと機能性粒子とを混合し、これを混練し加圧して成形することによって、パルプ及び/又は前処理されたパルプが機能性粒子を取り込みつつミクロフィブリル化され、軽くて高強度で、機能性粒子が高い割合で含有された材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は下記の製造方法を提供するものである。
項1.パルプ及び/又は前処理パルプ3~50重量%と機能性粒子50~97重量%を水の存在下で混練し、混練物を加圧して脱水及び成形し、成形物を乾燥することを包含する機能性セルロース材料の製造方法。
項2.混練、加圧及び成形が多軸混練押し出し機によるものである項1に記載の機能性セルロース材料の製造方法。
項3.機能性粒子の平均粒子径が2000μm以下である項1に記載の機能性セルロース材料の製造方法。
項4.機能性粒子が木粉、樹皮粉末、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライト、酸化チタン、シリカゲル、活性炭、貝殻粉砕物、珪藻土、金属粉及びタンニンからなる群から選択される少なくとも1種の粒子であることを特徴とする項1~3のいずれかに記載の機能性セルロース材料の製造方法。
項5.項1~4のいずれかの方法により製造される機能性セルロース材料。
項6.3~50重量%のセルロースミクロフィブリルと50~97重量%の機能性粒子を含有し、曲げ強度が20MPa以上である機能性セルロース材料。
項7.機能性粒子としての木粉を10~50重量%含有し、比重が0.6~1.3g/cmである項6に記載の機能性セルロース材料。
項8.機能性粒子が木粉、樹皮粉末及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種であり、建築内装材用である、項5~7のいずれかに記載の機能性セルロース材料。
【0007】
本発明の機能性セルロース材料の製造方法は、パルプ及び/又は前処理パルプ3~50重量%と機能性粒子50~97重量%を水の存在下で混練し、混練物を加圧して脱水し、必要に応じて所望形状に成形し、乾燥することを包含するものである。パルプ及び/又は前処理パルプは混練によってミクロフィブリル化されるが、驚くべきことに、このミクロフィブリルは機能性粒子を多量に保持できる優れたバインダーとしての作用を有するものである。
【0008】
なお、セルロースミクロフィブリルスラリーと機能性粒子とを混合して成形する方法も試みたが、セルロースミクロフィブリルのみが凝縮して固化する傾向(スラリーが固まる傾向)を有し、また脱水しにくいため脱水条件(温度、圧力など)が厳しくなる傾向となる。
【0009】
これに対し、本発明の製造方法の方がセルロースミクロフィブリルにおける機能性粒子の分散がより均一になる点、脱水がより容易である点などにおいて有利である。そして、本発明の製造方法によって得られる成形物は、セルロースミクロフィブリルスラリーと機能性粒子とを混合して成形する方法によって得られる成形物より、密度が高く、強度(特に曲げ強度)が高く、機能性が向上したものとなる。なお、本明細書において単に強度というときは曲げ強度を意味する。曲げ強度はJISK7171に記載の三点支持中央集中荷重方式にて測定することができる。また密度はJIS Z 8807に記載のかさ比重測定方法にて測定することができる。
【0010】
本発明の機能性セルロース材料の形状については制限がなく所望の形状とすることができる。例えば繊維状、フィラメント状、シート状、棒状、円柱状、パイプ状、柱状、各種容器の形状、車等の輸送機の内装品の形状などが挙げられるが、これらに限定されず、用途に応じて成形すればよい。
【0011】
混練原料
本発明において、混練に供されるパルプとしては、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ、炭酸ソーダパルプ、炭酸-ソーダパルプなどの化学パルプ、機械パルプ、ケミグランドパルプ、古紙から再生された再生パルプなどが使用できる。これらのパルプは1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。これらパルプの原料としては、針葉樹チップ、広葉樹チップ、ソーダスト等の木材系セルロース原料、非木材系セルロース原料(例えば、バガス、ケナフ、ワラ、アシ、エスパルト等の一年生植物)を例示することができる。
【0012】
前処理パルプは前記のパルプにミクロフィブリル化に有利な処理を施したものである。前処理パルプを使用すると、前処理をしないパルプを使用した場合と比較して得られる成形物の強度が高くなる。この前処理としては、公知のリファイナー処理、グラインダー処理、媒体撹拌ミル処理、振動ミル処理、石臼式処理などが挙げられる。なお、パルプをリファイナー、グラインダー等で機械処理されたものをセミケミカルパルプと分類することがあるが、本発明における前処理パルプはこのセミケミカルパルプを包含する。好ましい前処理はリファイナー処理である。さらに、リファイナー処理の中でも1Passから10Pass、好ましくは5Passから8Passのリファイナー処理が好ましい。本発明においては、パルプのみであっても、前処理パルプのみであっても、パルプと前処理パルプの組合せであっても混練のための原料とすることができる。
【0013】
なお、本明細書において、パルプ及び/又は前処理パルプをパルプ類と称することがある。
【0014】
本発明において、混練に供される機能性粒子としては、木粉、樹皮粉末、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライト、酸化チタン(好ましくは光触媒能を有するもの)、シリカゲル、活性炭、貝殻粉砕物、珪藻土、金属粉、タンニンなどの粒子が例示され、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。好ましくは、木粉、樹皮粉末、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライト、タンニン、酸化チタンである。パルプ類に機能性粒子を配合することによって、得られる材料に、脱臭、脱活性酸素、難燃性、調湿性(吸放湿性)、抗菌性、殺菌性、VOC(揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの))吸着性などの機能を付与することができる。また、これらの機能性物質を適当な担体と組み合わせて粒子状とし、これを混練に供することも、本発明に包含される。機能性粒子として木粉を用いた場合には吸放湿機能を有する機能性材料が得られ、タンニンを含む樹皮粉末を用いた場合には活性酸素捕捉機能、抗酸化機能、抗菌機能、吸放湿機能を有する機能性材料が得られ、ゼオライトを用いた場合には吸放湿機能、吸着機能、難燃機能を有する機能性材料が得られ、シリカゲルを用いた場合には吸放湿性機能を有する機能性材料が得られ、活性炭を用いた場合には吸放湿機能、吸着機能を有する機能性材料が得られ、酸化チタンを用いた場合には、酸化分解機能、抗菌機能、脱臭機能を有する機能性材料が得られ、貝殻粉砕物を用いた場合には殺菌機能を有する機能性材料が得られ、珪藻土を用いた場合には吸放湿機能を有する機能性材料が得られる。
機能性粒子の平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.001~2000μm、より好ましくは0.01~1000μmである。
【0015】
本発明においては、前記のパルプ類と機能性粒子とを原料とし、水の存在下でこれらを混練する。パルプ類の配合量は原料の3~50重量%、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~50重量%である。パルプ類の配合量が前記の範囲にあると、必要な強度を保持しつつ、機能性粒子を多く配合できる。また、機能性粒子の配合量は原料の50~97重量%、好ましくは50~95重量%、より好ましくは50~90重量%である。機能性粒子の配合量が前記の範囲にあると、機能性粒子の機能が発揮され、強度も保持できる。
【0016】
混練原料には前記のパルプ類と機能性粒子以外に添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することもできる。添加物としては着色剤、滑剤、安定剤、その他の各種添加剤などが挙げられる。
【0017】
混練
前記の原料は水の存在下で混練される。混練されることによって、パルプ類は機能性粒子を取り込みつつミクロフィブリル化される。水はパルプ類を膨潤し、ミクロフィブリル化しやすくする役割を果たす。水の量は、混練に使用する手段、成形性などを考慮して適宜設定できる。例えば、原料中の固形分濃度が20~60重量%となる量或いは水分量が40~80重量%となる量、好ましくは30~50重量%である。また、水に代えられる成分あるいは水に添加できる成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリンなどが挙げられる。これらの使用量は、上記の水の量に準じて設定できる。水量を調節するために脱水が必要な場合には、スクリュープレス、ディスクプレス、抄上げマシン、脱水フィルターなどの機械的な手段によって脱水し、調節することができる。これらの脱水手段の中には混練機能を併せ持つものも存在する。
【0018】
また、混練に際して加圧、剪断、圧縮などの操作を適宜加えるが、その圧力はパルプ類の量、機能性粒子の量、水の量、成形形状、混練手段などに応じて適宜設定できる。混練するための手段としては、バンバリーミキサー、スクリュープレス、ニーダー、多軸ミキサー(二軸、三軸、四軸など)、ディスパーザー等を使用することができ、同一手段を2段以上組み合わせて実施してもよく、異なる手段を2段以上組み合わせて実施してもよい。また、後の成形のための手段を備えた混練機を利用することもできる。例えば、一軸混練押し出し機、二軸混練押し出し機などの多軸混練押し出し機などである。多軸混練押し出し機を使用すると、機能性分子の分散性がよく、また得られる材料は密度及び曲げ強度の高いものとなるため好ましく、二軸混練押し出し機が特に好ましい。
【0019】
ここで、使用される二軸混練押し出し機は汎用の熱可塑性樹脂の混合、可塑化、押し出しに使用される装置であり、二本のスクリューの回転方向は異方向、同方向回転のどちらでもよい。スクリューの噛み合いは完全噛み合い、不完全噛み合いのどちらでもよい。スクリュー長さ/スクリュー直径比は20~135であればよい。具体的な二軸混練押し出し機としては、テクノベル製「KZW」、日本製鋼所製「TEX」、東芝機械製「TEM」、コペリオン製「ZSK」などを用いることが出来る。混練時の温度は特に制限されないが、通常10~80℃、好ましくは20~60℃である。
【0020】
成形
混練及び脱水された混練物は成形される。成形に先立ち、混練物を乾燥してもよい。成形にあたっては所望の形状に適した成形法、成形機を適宜選択すればよい。特に押し出し成形、射出成形が好ましく、押し出し成形が特に好ましい。押し出し成形の手段としては、スクリュー押し出し機など公知の押し出し成型機を使用することができる。本発明では多軸混練押し出し機が好ましく、二軸混練押し出し機が特に好ましい。
【0021】
また、成形物の乾燥は成形物中の水分を除去する目的で行われる。通常80~110℃の温度条件で行われる。また、乾燥の際には送風や減圧してもよい。
【0022】
機能性セルロース材料
本発明の機能性セルロース材料は、前記の製造方法により製造されるものであり、少量のセルロースミクロフィブリルで多量の機能性粒子を保持している。このため、セルロースミクロフィブリルに由来する高強度と、機能性粒子に由来する高い機能性を併せ持つものである。
【0023】
従来、セルロースミクロフィブリルが50重量%未満だと強度不足になると考えられていたが、本発明の製造方法では、セルロースミクロフィブリルが10重量%(木粉90重量%)であっても28MPa以上の強度の機能性セルロース材料が得られた。
【0024】
セルロースミクロフィブリルスラリーと機能性粒子とを混合して成形して得られる材料に対して、本発明の機能性セルロース材料は、セルロースミクロフィブリルにおける機能性粒子の分散がより均一で、密度が高く、強度(特に曲げ強度)が高い。例えば、前処理パルプ10重量%、木粉90重量%を原料とし二軸混練押し出し機を使用して得られた本発明の機能性セルロース材料は密度0.78g/cm程度、曲げ強度28MPa程度であるのに対し、セルロースミクロフィブリル10重量%(固形分量)、木粉90重量%を混練して得られるセルロース材料は密度0.5g/cm程度、曲げ強度1.9MPa程度である。
【0025】
また、本発明の機能性セルロース材料は、3~50重量%のセルロースミクロフィブリルと50~97重量%の機能性粒子を含有し、曲げ強度が20MPa以上であることを特徴とする。
【0026】
本発明の機能性セルロース材料は、含有する機能性粒子の種類に応じた機能を有し、その機能を活用できる分野で広く利用できる。例えば、建築用内装材、保存用容器、自動車等輸送機の内装材、パソコン、携帯電話等の家電製品の筐体、文房具等の事務機器、スポーツ用品、包装材などである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の製造方法によれば、高強度及び高機能の機能性セルロース材料を得ることができる。また本発明の機能性セルロース材料は機能性粒子含有量が高いため高い機能性を有し、セルロースミクロフィブリル含有量は少ないが十分な強度を有する。すなわち、相反する強度と機能性とを高い次元で両立したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
実施例等において使用した装置、材料等の設定、物性等を次に示す。
<木粉>
「セルロシンNo.100」((株)カジノ製)
「セルロシンNo.30」((株)カジノ製)

<人工ゼオライト>
「fゼオライトTypeCa」(前田建設(株)製)
陽イオン変換容量(CEC) 150~400cmol/kg
比表面積(SSA) 50~70m/g
メジアン径 25μm
粒度分布 1~100μm

<二軸混練押し出し機>
「KZW15TW」((株)テクノベル製)
スクリュー直径:15mm
スクリュー長さ/スクリュー直径比:30
スクリューの噛み合い型:完全噛み合い型
スクリュー回転数:300rpm

<石臼式磨砕機>
「ピュアファインミル」((株)栗田機械製作所製)

<リファイナー(コニカルリファイナー)>
「BEATFINER」((株)サトミ製作所製)

<曲げ強度測定機(10Tonオートグラフ)>
「AG-100kNG」((株)島津製作所製)
【0030】
実施例1:二軸混練押出
パルプと機能性粒子から二軸混練により成形物を製造し、その成形物に含まれるセルロースがミクロフィブリル化していることを確認し、また、比重と曲げ強度を測定した。まず、パルプとしてトイレットパーパーを用い、これを水:パルプ=97重量%:3重量%の割合で離解した後、前処理として、コニカルリファイナーによるリファイナー処理(5Pass)を行った。このリファイナー処理物(固形分濃度3wt%)に木粉(100メッシュ)を、パルプ(乾燥重量。以下の実施例においても同じ):木粉=50重量%:50重量%の比率で混合した後、遠心分離機で固形分30重量%になるまで脱水し、これを二軸混練押し出し機に供給した。二軸混練押し出し機(1Pass)によって得られたサンプルの電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0031】
このサンプルに若干の水を添加しながら粘土状に均一になるまで乳鉢で混練したものを、所定形状の型に入れ、圧縮成形機で脱水成形を行った。成形できたものを105℃の乾燥機で16時間乾燥させ、成形物(200mm×200mm×板厚8mm)を得た。得られた成形物について比重及び曲げ強度の測定を行った(サンプル数は2個)。その結果、比重は1.13~1.14g/cm(平均値1.14g/cm)、曲げ強度は82.8~83.5MPa(平均値83.10MPa)であった(表1)。なお、比重については成形サンプルの重量を体積で除した値とした。曲げ強度測定は成形サンプルを所定の形状に加工し、10Tonオートグラフにて測定した。
【0032】
実施例2:二軸混練押出
パルプ:木粉(100メッシュ)=10重量%:90重量%とした以外は実施例1と同様にして、成形物を得、その成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は3個)。その結果、比重0.77~0.78g/cm(平均値0.78g/cm)、曲げ強度26.6~29.5MPa(平均値28.12MPa)であった(表1)。
【0033】
実施例3:二軸混練押出
機能性粒子を木粉から人工ゼオライトに代えてパルプ:人工ゼオライト=50重量%:50重量%とした以外は実施例1と同様にして、成形物を得、その成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は2個)。その結果、比重1.42~1.47g/cm(平均値1.45g/cm)、曲げ強度60.2~65.6MPa(平均値62.94MPa)であった(表1)。
【0034】
比較例1~6:磨砕及び手捏ね処理
トイレットペーパー(パルプ)を水:パルプ=97重量%:3重量%の割合で離解した後、リファイナー処理をせずに、石臼式磨砕機(20Pass)でミクロフィブリル化セルロースとし、機能性粒子(木粉(30メッシュ)及び人工ゼオライト)を所定の割合で添加し、手で混練した。混練物(固形分30重量%)を実施例1と同様にして成形物を得、これら成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は2個)。結果を表1に示す(比重及び曲げ強度は平均値)。なお、本例では、パルプはミクロフィブリル化していた。
【0035】
比較例7~8:非混練
実施例1と同様にしてリファイナー処理物を得、これに木粉(30メッシュ)を所定の割合で添加して家庭用ミキサーで混合したが、混練は行わなかった。この混合物を実施例1と同様にして成形物を得、これら成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は3個(50:50)と2個(10:90))。結果を表1に示す(比重及び曲げ強度は平均値)。なお、本例では、パルプはミクロフィブリル化しない。また、パルプ:木粉=10:90のサンプルでは成形出来たが曲げ強度が非常に小さかったため、曲げ強度は測定できなかった。
【0036】
比較例9~10:ジューサーミキシング
実施例1と同様にしてリファイナー処理物を得(パルプ固形分濃度3wt%)、これに木粉(30メッシュ)を所定の割合で添加し、調理用ジューサーで約5分間撹拌混合した。得られた混合物を実施例1と同様にして成形物を得、これら成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は3個)。結果を表1に示す(比重及び曲げ強度は平均値)。なお、本例では、パルプはミクロフィブリル化しない。
【0037】
【表1】
JP0004831570B2_000002t.gif

【0038】
表1に示されるように、二軸混練押出処理を経た成形物は、パルプ分が非常に少ない量であっても曲げ強度試験において28MPa以上の非常に高い強度であった。このため、パルプ配合量を少なくできると機能性粒子を多く配合でき、高い強度と機能性粒子に由来する高い機能を兼ね備えた機能性材料とすることができる。これに対し、比較例では、強度が7.02MPa以下であることから、実施例と同じ量の機能性粒子を配合すると強度が低い材料しか得られず、反対に、強度を確保するためにパルプ分を増やすと機能性粒子が少なくなり、機能が相対的に低下した材料しか得られない。
【0039】
実施例4:
パルプとしてクラフトパルプを用い、これを水:パルプ=97重量%:3重量%の割合で離解した後、前処理として、ディスクリファイナーによるリファイナー処理(8Pass)を行った。このリファイナー処理物(固形分濃度3wt%)に木粉(100メッシュ)を添加し(パルプ:木粉=10:90)、遠心分離機で固形分30重量%になるまで脱水し、これを二軸混練押出機に供給した。二軸混練押し出し機(1Pass)によって得られたサンプルを実施例1と同様にして成形物を得、その成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は2個)。その結果、比重0.68~0.71g/cm(平均値0.70g/cm)、曲げ強度20.9~23.6MPa(平均値22.2MPa)であった。
【0040】
実施例5:
ディスクリファイナー処理をしなかったこと以外は実施例4と同様にして成形物を得、その成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は2個)。その結果、比重0.64~0.65g/cm(平均値0.65g/cm)、曲げ強度11.7~13.4MPa(平均値12.6MPa)であった。ディスクリファイナー処理(実施例4)をする方が曲げ強度の点では有利であった。
【0041】
実施例6:
パルプとしてクラフトパルプを用い、これを水:パルプ=97重量%:3重量%の割合で離解した後、前処理として、ディスクリファイナーによるリファイナー処理(8Pass)を行った。このリファイナー処理物(固形分濃度3wt%)に人工ゼオライトを添加し(パルプ:人工ゼオライト=50:50)、遠心分離機で固形分30重量%になるまで脱水し、これを二軸混練押出機に供給した。二軸混練押し出し機(1Pass)によって得られたサンプルを実施例1と同様にして成形物を得、その成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は3個)。その結果、比重1.39~1.42g/cm(平均値1.41g/cm)、曲げ強度53.1~75.1MPa(平均値65.4MPa)であった。
【0042】
実施例7:
ディスクリファイナー処理をしなかったこと以外は実施例6と同様にして成形物を得、その成形物の比重及び曲げ強度評価を行った(サンプル数は3個)。その結果、比重1.42~1.47g/cm(平均値1.44g/cm)、曲げ強度49.0~65.6MPa(平均値58.3MPa)であった。ディスクリファイナー処理(実施例6)をする方が曲げ強度の点では有利であった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、曲げ強度と高機能性を兼ね備えたセルロースミクロフィブリルを含有する機能性材料の分野において、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1で製造された本発明の機能性セルロース材料の走査型電子顕微鏡写真(5000倍)を示す。
図面
【図1】
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