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明細書 :磁性ナノ粒子複合体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4580359号 (P4580359)
公開番号 特開2007-258622 (P2007-258622A)
登録日 平成22年9月3日(2010.9.3)
発行日 平成22年11月10日(2010.11.10)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
発明の名称または考案の名称 磁性ナノ粒子複合体
国際特許分類 H01F   1/34        (2006.01)
H01F   1/36        (2006.01)
C01G  49/08        (2006.01)
A61K   9/16        (2006.01)
A61K  47/22        (2006.01)
A61K  47/02        (2006.01)
A61K  47/48        (2006.01)
A61K  49/00        (2006.01)
A61B   5/055       (2006.01)
G01R  33/28        (2006.01)
FI H01F 1/34 S
H01F 1/36
C01G 49/08 ZNMA
A61K 9/16
A61K 47/22
A61K 47/02
A61K 47/48
A61K 49/00 C
A61B 5/05 383
G01N 24/02 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2006-084371 (P2006-084371)
出願日 平成18年3月27日(2006.3.27)
審査請求日 平成20年11月17日(2008.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】都藤 靖泰
【氏名】田中 裕之
【氏名】中 建介
【氏名】中條 善樹
審査官 【審査官】小池 秀介
参考文献・文献 特開平05-175031(JP,A)
国際公開第06/132252(WO,A1)
特開昭63-232402(JP,A)
調査した分野 A61B 5/055
A61K 9/00 - 9/72
39/00 -39/44
47/00 -47/48
49/00 -51/00
G01N 22/00 -22/04
24/00 -33/64
H01F 1/12 - 1/375
1/44
特許請求の範囲 【請求項1】
磁性ナノ粒子(P)の表面が複素環型カチオン性基(a)を有する保護剤(A)で被覆されてなる磁性ナノ粒子複合体であって、前記複素環型カチオン性基(a)がイミダゾリウム基又はピリジニウム基であり、前記磁性ナノ粒子(P)と前記保護剤(A)がFe-O-Si結合で結合されてなる磁性ナノ粒子複合体(C)。
【請求項2】
磁性ナノ粒子(P)の体積平均粒径が3~1000nmである請求項1に記載の磁性ナノ粒子複合体(C)。
【請求項3】
磁性ナノ粒子(P)が酸化鉄を含有する粒子である請求項1又は2に記載の磁性ナノ粒子複合体(C)。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は磁性ナノ粒子複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化鉄などの強磁性(フェリ磁性)ナノ粒子は、磁気記録媒体、静電画像のトナーなどの広範な用途に利用されている。マグネタイトをナノ粒子としてその表面積を増大させれば、高密度データ蓄積材料、フェロフルイド、磁気共鳴材料、バイオ分離技術、磁性塗料、医薬等の広範な分野において有用である。具体的には、医薬分野においてマグネタイトナノ粒子の応用例が紹介されている(非特許文献1参照)。
【0003】
しかし、磁性ナノ粒子は、水、有機溶媒、モノマー、液状ポリマーなどの様々な液体へは溶解しないため、低分子系界面活性剤、高分子系分散剤などを用いて液体中へ分散させていたが、本質的に凝集しやすいため、強制的に分散させて液状材料を調製することは困難であった。このためマグネタイト粒子の溶媒への溶解性を付与するため、種々の方法にて表面処理したものが知られている。しかし、このような表面処理マグネタイト粒子は、溶液中で経時的に沈降して、相分離してしまい、分散状態を保持することは困難である。特に、ナノレベルで均質分散した成形材料を調製・保持することは困難である。(特許文献1参照)
【0004】

【特許文献1】特開平8-31629
【非特許文献1】友廣,「ナノ粒子を利用した生体分子の検出と精製」,オレオサイエンス,第4巻第1号(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、水、有機溶媒、他の有機系液体等の分散媒にナノレベルで分散することができ、かつ長期に渡り、ナノレベルの分散が持続する磁性ナノ粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記のような磁性ナノ粒子を得るべく鋭意検討した結果、磁性ナノ粒子表面をカチオン性複素環構造を有する保護剤で被覆することにより様々な分散媒への分散性、分散媒中での分散安定性が飛躍的に向上する性質を見出し、上記課題を解決できると考え、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、磁性ナノ粒子(P)の表面が複素環型カチオン性基(a)を有する保護剤(A)で被覆されてなる磁性ナノ粒子複合体であって、前記複素環型カチオン性基(a)がイミダゾリウム基又はピリジニウム基であり、前記磁性ナノ粒子(P)と前記保護剤(A)がFe-O-Si結合で結合されてなる磁性ナノ粒子複合体(C)である。

【発明の効果】
【0008】
本発明の磁性ナノ粒子複合体は、水、有機溶媒、他の有機系液体への分散性に優れ、かつその分散安定性が高い。本発明の磁性ナノ粒子複合体は磁性ナノ粒子分散液体、磁性ナノ粒子分散ペースト、及び磁性ナノ粒子分散固体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における磁性ナノ粒子(P)は、鉄族又はマンガン族元素を必須成分とする金属又は合金類又は鉄族元素酸化物(p)を含有するナノサイズの粒子からなる。
(p)としては、具体的には、Fe,Co,Niの金属類、又はFePt、CoPt、FePd、MnAl、FePtM、CoPtM、FePdM、MnAlMからなる群から選択される合金類(化学式中、Mは金属元素を表し、MとしてはLi、Mg、Al、Si、P、S、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Au、Tl、Bi、Po、Atが含まれる。)又は、酸化鉄Fe23を含有する金属酸化物があげられる。これらの中でも酸化鉄Fe23を含有する金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、例えば一般式: (NO)m・Fe23(式中、Nは2価の金属原子を表し、mは0≦m≦1の数である。)で表されるフェライトがあげられ、2価の金属原子Nとしては、例えばマグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等があげられる。とくにNが2価の鉄である場合の磁性酸化鉄(例えばマグネタイトFe34、γ-Fe23など)は本発明において好適に使用される。なお、磁性ナノ粒子(P)は(p)の他に結晶水を含んでいてもよい。
【0010】
磁性ナノ粒子(P)の体積平均粒径は3~1000nmが好ましく、4~500nmがより好ましく、5~100nmがさらに好ましい。磁性ナノ粒子(P)が3nm以上であると、熱揺らぎによる減磁現象の影響を小さく抑えることができ、また1000nmより小さいと長期の分散性をさらに向上させることができる。体積平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡での観察を行い、100個の粒子の粒径を測定した結果から計算により算出した。
(P)の形状としては、特に制限はなく、真球状、紡錘状、板状、針状、等が挙げられる。これらのなかで真球状が好ましい。
【0011】
磁性ナノ粒子(P)が金属または合金類の場合は、粒子表面に官能基を有しないため、保護剤(A)と磁性ナノ粒子(P)の結合は共有結合ではなく、静電的相互作用、ファンデアワールス力による物理吸着となる。
磁性ナノ粒子(P)が酸化鉄を含有する場合は、酸化鉄は表面に水酸基を持っていることから、様々な保護剤(A)と共有結合を形成することができるため、保護剤(A)による分散安定効果が大きい。酸化鉄の等電位点はpH=5.7~6.9であり、これより高いpH領域では粒子表面に水酸基が存在する。この水酸基と保護剤(A)の官能基とが共有結合を形成することにより、保護剤が酸化鉄ナノ粒子表面を被覆するため、分散安定性が酸化鉄以外のナノ粒子と比較して向上する。
【0012】
本発明の磁性ナノ粒子複合体の製造には、磁性ナノ粒子のみからなる水性ゾルを調製する。この水性ゾルの調製法は特に定めないが、酸化鉄の場合、アルカリ共沈法やイオン交換樹脂法などを例示することができる。また金属、合金類の場合、液相還元法などを例示することができる。アルカリ共沈法では、例えば塩化鉄(III)と塩化鉄(II)とをモル比で1:3~2:1程度の比率で含む約0.1~2モルの水溶液と、NaOH,KOH,NH4OH等の塩基とをpHが約7~12になるように混合し、必要に応じて加熱熟成し、ついで生成した磁性酸化鉄を分離、水洗した後、水、または水と水溶性溶剤の混合物に再分散し、保護剤を加え、場合により保護剤と酸化鉄表面との反応を行うことで、保護剤に被覆された酸化鉄ナノ粒子を得る。この水性ゾルは、必要に応じて透析、限外ろ過、遠心分離などにより精製または濃縮してもよい。
液相還元法では、例えば酢酸鉄、白金アセチルアセトナートなどの金属塩の水溶液に保護剤をあらかじめ溶解させておき、これに水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を投入して、金属イオンを還元することにより、保護剤に被覆された金属ナノ粒子を得る。合金の場合は溶解させておく金属イオン種を複数にすることにより合金ナノ粒子を得ることができる。この水性ゾルもまた、酸化鉄の場合と同様に必要に応じて透析、限外ろ過、遠心分離などにより精製または濃縮してもよい。
【0013】
磁性ナノ粒子(P)表面への保護剤(A)の被覆は、静電的相互作用などの分子間相互作用を利用するもの、保護剤(A)の磁性ナノ粒子(P)表面への共有結合を利用するものなどがあげられるが、粒子の保護力の観点から保護剤の粒子表面への共有結合しているものがより好ましい。保護剤(A)は一般に知られた界面活性剤などを使用することができるが、前述の観点から磁性ナノ粒子表面の官能基と反応により共有結合を形成する官能基を分子内に1つ以上含有しているものが望ましい。例えば酸化鉄ナノ粒子(P)の表面と反応する官能基としてエポキシ基、アミノ基、スルホン基、スルホニル基、ホスホリル基、アルコキシシラン基、カルボキシル基、イソシアネート基などが好ましい。ただしアミノ基、カルボキシル基などのように、磁性ナノ粒子が酸化鉄の場合反応により共有結合を形成するが、磁性ナノ粒子がFePtなどの合金の場合は吸着により被覆するような、両方の性質を持つものも含まれる。また、磁性ナノ粒子(P)表面と反応せず静電的相互作用などの分子間相互作用する官能基としてはチオール基の他に、前述のカルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。保護剤(A)の分子量は、好ましくは50~100万、さらに好ましくは100~10万、より好ましくは500~1万である。
保護剤(A)としては、磁性ナノ粒子(P)の表面と共有結合を形成しない保護剤(A1)と共有結合を形成する保護剤(A2)が挙げられる。
【0014】
磁性ナノ粒子(P)表面への保護剤(A1)の被覆は、物理的吸着、または共有結合を除く化学的吸着を利用するものである。被覆を行うには磁性ナノ粒子(P)と保護剤(A1)をこれらを所定比で混合し、通常は常温で、場合により加熱を行いながら攪拌する。磁性ナノ粒子(P)と保護剤(A)との割合は重量比で好ましくは1:0.01~1:6、さらに好ましくは1:0.1~1:1である。
【0015】
磁性ナノ粒子(P)表面への保護剤(A2)の被覆は、通常これらを所定比で混合し、加熱することにより行われる。磁性ナノ粒子(P)と保護剤(A)との割合は重量比で好ましくは1:0.01~1:6、さらに好ましくは1:0.1~1:1である。反応は、室温ないし120℃の温度で10分~10時間行えばよく、通常は約1時間程度加熱還流すれば十分である。反応液中の磁性ナノ粒子複合体(C)の濃度は、通常、金属として0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%の範囲であるのが適当である。
【0016】
被覆後、限外ろ過などの公知の手段を用いて、未反応の多糖類や低分子化合物を分離する精製操作を行い、所定の純度および濃度を有する水性ゾルを得る。これに、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトンなどの溶媒を添加し、磁性ナノ粒子複合体(C)を優先的に沈澱析出させ、これを分離し、ついで折出物を水に再溶解し、流水透析し、必要に応じて減圧濃縮し、上記複合体(C)の水性ゾルを得る。ついで、必要に応じて、遠心分離、ろ過、pH調整などを行ってもよい。
【0017】
磁性ナノ粒子(P)の表面と結合する保護剤(A)は前述のような官能基を持つ分子が望ましいが、なかでもアルコキシシラン基をもつ分子は、水中での反応が容易に進行する、1分子当たりの酸化鉄表面との結合サイト数が多いなどの観点からより好ましい。アルコキシシラン基との反応で、酸化鉄表面と保護剤との間にFe-O-Si結合が形成され、この結合が水中でも比較的安定であるからである。
【0018】
保護剤(A)は、磁性ナノ粒子(P)の表面との結合部位とともに、媒体中への分散性を向上させるため、保護剤の排除体積効果による影響だけでなく、静電反発の大きい複素環型カチオン性基(a)を分子内に有している。具体的にはカチオン性基(a)は、イミダゾリウム基(a1)、ピリジニウム基、イミダゾリニウム基、チアゾリウム基、ピラゾリウム基などを例示することができる。特にイミダゾリウム基(a1)、は代表的な有機系の強塩基であるイミダゾールの塩であり、分散媒への溶解性を、イミダゾリウム基の1位、もしくは3位の置換基を変えることや、対イオンのアニオン種を変えることで調整することができる。このようにイミダゾリウム基を分子内に導入した保護剤は磁性ナノ粒子の様々な分散媒への分散性を分子構造の調整により容易に調整し高めることができる。またイミダゾリウムは複素環内に共鳴構造を有しているため、カチオンの安定性が非常に高いため、イミダゾリウム基が特に好ましい。
【0019】
イミダゾリウム基(a1)、は下記一般式(1)により表される構造であり、一般式(1)において、Rは炭素数1~15のアルキル基、またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が15以下のアルキル基を表わし、Qは炭素数1~4のアルキル基または水素原子を表わし、Sは前述の磁性ナノ粒子表面へ結合する部位に直接、またはアルキル鎖、ポリエーテル鎖などのスペーサーを介して結合する部位である。
【0020】
Rの炭素数1~15のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が15以下のアルキル基としては、例えば-(CH2)n-(OCH2CH2)mOH(nは4以下の整数、mは7以下の整数)で示される基が挙げられる。Qの炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。
【0021】
【化1】
JP0004580359B2_000002t.gif

【0022】
Rの炭素数を調整することにより、分散媒への溶解性を調整することができる。例えば水系分散媒への分散を目的とする場合、Qが水素原子の場合、Rは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることがより好ましい。有機溶媒への分散を目的とする場合、Rを炭素数4以上のアルキル基とすることで、有機溶媒への分散性は高められ、アルキル鎖はより長い方が好ましい。
【0023】
また本発明の磁性ナノ粒子複合体は特に対アニオン種を指定していないが、対アニオンの選択により、分散媒への保護剤の溶解度が変化するため、イミダゾリウム基のアルキル鎖長同様、分散媒への溶解性を調整することができる。具体的にアニオンとしては、公知のアニオンが使用でき、下記に例示するような酸からプロトンを除いたアニオンが挙げられる。
HCl、HBr、HClO4、HBF4、HPF6、HAsF6、HSbF6等の無機強酸;酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ペンタクロロプロパンスルホン酸、ヘプタクロロブタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ペンタフルオロブタン酸、トリクロロ酢酸、ペンタクロロプロピオン酸、ヘプタクロロブタン酸等の炭素数1~30のハロゲン含有スルホン酸;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等の炭素数1~30のハロゲン含有スルホニルイミド;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド等の炭素数1~30のハロゲン含有スルホニルメチド;等。 分散性について、分散媒が水系の場合、アニオンとしてはHCl、HClO4、HBF4、酢酸などが好ましく、分散媒が有機溶媒の場合、HPF6、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドなどが好ましい。
【0024】
磁性ナノ粒子(P)の表面と共有結合を形成しない保護剤(A1)と共有結合を形成する保護剤(A2)の具体例としては以下のものが挙げられる。
(A1)の具体例としては、カルボキシル基含有イミダゾリウム塩化合物(1-メチル-3-カルボキシヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、カルボキシル基含有ピリジニウム塩化合物(N-カルボキシヘキシルピリジニウムクロライド等)、カルボキシル基含有イミダゾリニウム塩化合物(1-メチル-3-カルボキシヘキシルイミダゾリニウムクロライド等)、カルボキシル基含有チアゾリウム塩化合物、カルボキシル基含有ピラゾリウム塩化合物、アミノ基含有イミダゾリウム塩化合物(1-メチル-3-アミノヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、アミノ基含有ピリジニウム塩化合物(N-アミノヘキシルピリジニウムクロライド等)、アミノ基含有イミダゾリニウム塩化合物(1-メチル-3-アミノヘキシルイミダゾリニウムクロライド等)、アミノ基含有チアゾリウム塩化合物、アミノ基含有ピラゾリウム塩化合物、チオール基含有イミダゾリウム塩化合物(1-メチル-3-メルカプトヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、チオール基含有ピリジニウム塩化合物(N-メルカプトヘキシルピリジニウムクロライド等)、チオール基含有イミダゾリニウム塩化合物(1-メチル-3-メルカプトヘキシルイミダゾリニウムクロライド等)、チオール基含有チアゾリウム塩化合物、チオール基含有ピラゾリウム塩化合物、などが挙げられる。
【0025】
(A2)の具体例としては、アルコキシシラン基含有イミダゾリウム塩(1-メチル-3-トリメトキシシランヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有ピリジニウム塩化合物(N-トリメトキシシランヘキシルピリジニウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有イミダゾリニウム塩化合物(1-メチル-3-トリメトキシシランヘキシルイミダゾリニウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有チアゾリウム塩化合物、アルコキシシラン基含有ピラゾリウム塩化合物、エポキシ基含有イミダゾリウム塩化合物(1-メチル-3-ヘキシルオキサイドイミダゾリウムクロライド等)、エポキシ基含有ピリジニウム塩化合物(N-ヘキシルオキサイドピリジニウムクロライド等)、エポキシ基含有イミダゾリニウム塩化合物(1-メチル-3-ヘキシルオキサイドイミダゾリニウムクロライド等)、エポキシ基含有チアゾリウム塩化合物、エポキシ基含有ピラゾリウム塩化合物、イソシアネート基含有イミダゾリウム塩化合物、イソシアネート基含有ピリジニウム塩化合物、イソシアネート基含有イミダゾリニウム塩化合物、イソシアネート基含有ピリジニウム塩化合物などが挙げられる。
【0026】
以上保護剤(A1),(A2)について具体的に例示したが、磁性ナノ粒子と反応させる前に塩であるものだけではなく、磁性ナノ粒子(P)と複合体(C)を形成させた後、塩にして例示したような分子になるものも含まれる。つまり塩基性分子の状態で磁性ナノ粒子(P)と複合体(C)を形成させた後、酸性分子により中和させた塩の状態が、先に例示したような化合物であるものも含まれる。
【0027】
磁性ナノ粒子複合体(C)の体積平均粒径は、好ましくは4~1100nmであり、より好ましくは5~600nm、さらに好ましくは6~110nmである。
【0028】
磁性ナノ粒子複合体(C)の使用例としては、磁性ナノ粒子複合体(C)を、分散媒(S)に分散させることで、分散媒(S)に磁性等の機能を付与するための添加剤としての利用が考えられる。分散媒(S)はそのまま液体のまま使用しても、硬化させることにより、磁性ナノ粒子が分散した固体として使用しても構わない。用途として、液体に分散してそのまま使用するものとして、シーリング剤、ダンパー、スピーカー等に使用される磁性流体、薬物輸送システム基材、核磁気共鳴イメージング剤などが挙げられる。また液体に分散した後、分散媒を除去することで固体化し使用するものとしては、高密度磁気記録媒体、高周波電磁波遮蔽などに使用される磁性塗料、樹脂ビーズ中に分散させた後、硬化させることで得られる磁性トナーなどが挙げられる。
【0029】
分散媒(S)としては液状のもの、例えば水、有機溶剤、モノマー、液状ポリマーなどが挙げられる。各分散媒に対して溶解しやすい保護剤を選択し、磁性ナノ粒子(P)の表面を被覆した磁性ナノ粒子複合体(C)とすることで、易分散、かつ、経時の分散安定性の高い、磁性ナノ粒子分散液体を得ることができる。有機溶媒としては特に指定はないが、通常よく用いられるものがあげられ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、セロソルブアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジオキサン、イソホロン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ピリジンなどが挙げられる。モノマーとしては、特に指定されないが、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ブタジエンなどのビニル系モノマーや、ε-カプロラクトン、ε-カプロラクタムなどの環状モノマー、その他分子内に官能基を2つ以上もつ、重付加、重縮合系ポリマーの前駆体モノマー、例えば、1,4ブタンジオール、ビスフェノールA、アジピン酸、テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。液状ポリマーとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、パーフルオロエーテル、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0030】
本発明において好ましい実施形態では、磁性ナノ粒子複合体(C)は、分散液、ペーストとして水、有機溶媒に分散させて使用する場合、磁性ナノ粒子複合体(C)と分散媒体(S)との量比は分散媒体100重量部に対し、磁性ナノ粒子複合体を0.01~150重量部含有することが好ましい。使用濃度は用途にもよるが、0.01%以上であれば、医療用イメージング剤などに使用する場合でも、十分な検出感度があり、ポリマーなどに磁性を付与する目的で使用する場合は、できるだけ濃度は高い方が良いが、150%以下であると分散性が良好である。
【0031】
本発明の磁性ナノ粒子複合体(C)を分散媒体(S)に分散させる方法は、5%以下程度の低濃度であれば、簡単な攪拌により分散が可能だが、それ以上の高濃度で分散を行いたい場合は、サンドミル、コロイドミル、ビスコミル、モーターミル、ダイノミル、スパイクミル、コスモミル等の顔料などを分散させる器具を用いるなどして、効率的に分散を行うことも可能である。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本趣旨の主旨を逸脱しないかぎり、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0033】
(酸化鉄ナノ粒子の製造方法)
541mgの塩化鉄(III)六水和物および397mgの塩化鉄(II)4水和物を150mlのイオン交換水に溶解させた。これを窒素気流下40℃に温調し、25%のアンモニア水16mlを加え、30分間反応させた。得られた黒色沈殿を磁気的に分別し、水を用いて数回洗浄することにより酸化鉄ナノ粒子(P-1)を得た。体積平均粒径は8.5nmであった。
【0034】
(保護剤(A-1)の製造方法)
2雰囲気下で以下の操作を行った。
1-メチルイミダゾールを60.4mmolと3-クロロプロピルトリメトキシシランを54.9mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、53.1mmolの下記分子式(2)で示される1-メチル-3-トリメトキシシランプロピルイミダゾリウムクロライド(A-1)を得た。
【0035】
【化2】
JP0004580359B2_000003t.gif

【0036】
(保護剤(A-2)の製造方法)
ボルハルト・ショアー 現代有機化学 p816の方法に準じて、ドデカン二酸より、10-ブロモデカン酸を合成し、精製する。合成した10-ブロモデカン酸を50mmolと1-メチルイミダゾール40mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、37mmolの下記分子式(3)で示される1-メチル-3-カルボキシデシルイミダゾリウムブロマイド(A-2)を得た。
【0037】
【化3】
JP0004580359B2_000004t.gif

【0038】
(保護剤(A-3)の製造方法)
2雰囲気下で以下の操作を行った。
1-ブチルイミダゾールを60.4mmolと3-クロロプロピルトリメトキシシランを54.9mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、53.1mmolの1-ブチル-3-トリメトキシシランプロピルイミダゾリウムクロライドを得た。合成した1-ブチル-3-トリメトキシシランプロピルイミダゾリウムクロライド(50mmol) 、ナトリウム ヘキサフルオロホスフェート(50mmol)およびアセトン50gを、還流管を有した反応容器に入れ、27℃で24時間攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、析出物を除去した後、減圧下にアセトンを留去した。残渣にトルエン20gを加えて、15分間攪拌し、トルエンを分液除去する操作を2回行った。次いで70℃で、1Paの減圧下に乾燥することにより、下記分子式(4)で示される1-ブチル-3-トリメトキシシランプロピルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(A-3)を42.5mmol得た。
【0039】
【化4】
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【0040】
(保護剤(A-4)の製造方法)
10-ブロモデカン酸を50mmolと1-ブチルイミダゾール40mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、37mmolの1-ブチル-3-カルボキシノニルイミダゾリウムブロマイドを得た。この1-ブチル-3-カルボキシノニルイミダゾリウムブロマイド(50mmol)と、ナトリウム ヘキサフルオロホスフェート(50mmol)およびアセトン50gを還流管を有した反応容器に入れ、27℃で24時間攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、析出物を除去した後、減圧下にアセトンを留去した。残渣にトルエン20gを加えて、15分間攪拌し、トルエンを分液除去する操作を2回行った。次いで、イオン交換水200gを加えて、15分間攪拌し、水を分液除去する操作を2回行った。これを70℃で、1Paの減圧下に乾燥することにより、下記分子式(5)で示される1-ブチル-3-カルボキシデシルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(A-4)を44mmol得た。
【0041】
【化5】
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【0042】
(保護剤(A-5)の製造方法)
ピリジン(60.4mmol)と3-クロロプロピルトリメトキシシラン(54.9mmol)を混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、53.1mmolの下記分子式(6)で示されるN-トリメトキシシランプロピルピリジニウムクロライド(A-5)を得た。
【0043】
【化6】
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【0044】
(保護剤(A-6)の製造方法)
10-ブロモデカン酸を50mmolとピリジン40mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、37mmolの下記分子式(7)で示されるN-カルボキシデシルピリジニウムブロマイド(A-6)を得た。
【0045】
【化7】
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【0046】
実施例1
作製した酸化鉄ナノ粒子(P-1)300mgを水/エタノール=1/1の混合溶媒150mlに超音波をかけて分散させ、保護剤(A-1)200mgを加え80℃で10時間反応させることにより表面を(A-1)の分子で被覆させた。この分散液を、アドバンテック社製のウルトラフィルターユニット USY-1.5-2.0を用いて、イオン交換水による洗浄を5回行った後、減圧乾燥を行うことで磁性ナノ粒子複合体(C-1)を得た。
【0047】
実施例2
保護剤として(A-1)200mgの代わりに保護剤(A-2)200mgを使用し、室温で保護剤(A-2)と酸化鉄ナノ粒子(P-1)との混合を行った。それ以降を、実施例1と同様に行うことで磁性ナノ粒子複合体(C-2)を得た。
【0048】
実施例3
作製した酸化鉄ナノ粒子(P-1)300mgを水/エタノール=1/9の混合溶媒150mlに超音波をかけて分散させ、保護剤(A-3)200mgを加え80℃で10時間反応させることにより表面を(A-3)の分子で被覆させた。それ以降を、実施例1と同様に行うことで磁性ナノ粒子複合体(C-3)を得た。
【0049】
実施例4
保護剤として(A-2)200mgの代わりに保護剤(A-4)200mgを使用した以外は、実施例2と同様にして磁性ナノ粒子複合体(C-4)を得た。
【0050】
実施例5
保護剤(A-1)の代わりに保護剤(A-5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁性ナノ粒子複合体(C-5)を得た。
【0051】
実施例6
保護剤として(A-2)200mgの代わりに保護剤(A-6)200mgを使用した以外は、実施例2と同様にして磁性ナノ粒子複合体(C-6)を得た。
【0052】
実施例7
微粒子酸化鉄(FRO-20 、堺化学工業(株)製、平均粒子径200nm)25部、分散剤(A-1)2.5部に、水72.1部を配合し、ガラスビーズと共にペイントシェイカーで6時間分散して、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧留去することで磁性ナノ粒子複合体(C-7)を得た。
【0053】
実施例8
微粒子酸化鉄(BIO-MAG 、ニップンテクノクラスタ(株)製、平均粒子径1000nm)25部、分散剤(A-1)0.1部に、水72.1部を配合し、ガラスビーズと共にペイントシェイカーで6時間分散して、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧留去することで磁性ナノ粒子複合体(C-8)を得た。
【0054】
実施例9
2雰囲気下で以下の操作を行った。
2PtCl6の6水和物を93mg、FeCl2の4水和物を59.7mg、保護剤(A-2)0.2gを蒸留水:エタノール=1:1の溶液100mlに溶解した後、100℃で5時間還流した。次にFeSO4の7水和物の12μmol/ml水溶液を10ml加えた。その後0.07gのNaBH4を50mlの蒸留水に溶解したものを添加した。これによりFePtナノ粒子複合体(C-9)を得た。体積平均粒径は3.9nmであった。
【0055】
比較例1
酸化鉄である磁性ナノ粒子をデキストランで被覆した商品名フェリデックス[田辺製薬(株)製]を比較例1の磁性ナノ粒子複合体(C-1’)とした。
【0056】
比較例2
フェライト用のポリカルボン酸型高分子分散剤、ポイズ520[花王(株)製]で酸化鉄ナノ粒子(体積平均粒径8.5nm)の表面を水中で被覆した後、乾燥し磁性ナノ粒子複合体を得た。これを比較例2の磁性ナノ粒子複合体(C-2’)とした。
【0057】
実施例1~9の磁性ナノ粒子複合体(C-1)~(C-9)、比較例1~2の磁性ナノ粒子複合体(C-1’)、(C-2’)について、以下の評価方法で分散性、及び分散安定性を評価した。(C-1)、(C-2)、(C-5)~(C-9)は水(イオン交換水、塩酸でpHを2に調整した水、水酸化ナトリウムでpHを10に調整した水)中における分散性の評価、(C-3)、(C-4)は有機溶媒(エタノール、アセトン)、有機系液体[ポリエチレングリコール(重量平均分子量=2000)]中における分散性の評価、(C-1’)、(C-2’)は水中及び有機溶媒、有機系液体中における分散性の評価を以下の方法で行った。結果を表1及び表2に示した。
【0058】
<分散性の評価>
スクリュー管に、各媒体に対して磁性ナノ粒子複合体が1.0質量%となるように、媒体と磁性ナノ粒子複合体を入れ、1分間手で振り混ぜ、30分間静置した後、ミリポア社製のポアサイズ5μmのフィルターでろ過を行い、フィルター上に黒い塊の有無により判定した。塊が認められない場合○とし、それ以外は×とした。
【0059】
<分散安定性の評価方法>
上記分散性の評価試験で、分散が確認されたものについては、経時の分散安定性を評価した。25℃で1ヶ月放置後、、50℃で1ヶ月後放置後、放置前のそれぞれの体積平均粒径を測定し比較を行うことで評価した。 体積平均粒径はいずれも粒径測定前に1分間手で振り混ぜた後に測定した。
【0060】
<体積平均粒径の測定方法>
磁性ナノ粒子(P)、及び磁性ナノ粒子複合体(C)の体積平均粒径は、それぞれ以下のように測定した。磁性ナノ粒子(P)の測定は透過型電子顕微鏡(日立製作所、H-7100)で観察を行い100個の粒子の粒径を測定した結果から計算により算出した。測定サンプルはコロジオン膜処理した銅メッシュ上に、磁性ナノ粒子(P)を含有する分散液をスポイトで一滴垂らし、そのまま風乾することで調整した。
磁性ナノ粒子複合体(C)は動的光散乱粒径測定装置(堀場製作所、LB-550)を用いて、希釈溶媒を試料それぞれを分散させている溶媒と同一のものを用い、磁性ナノ粒子の濃度が0.1重量%となるように希釈した分散液を測定セルに注入し、測定を行った。
【0061】
【表1】
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【0062】
【表2】
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【0063】
上表の結果から本発明の磁性ナノ粒子複合体は、保護剤を選択することで、水、有機溶媒への分散性を飛躍的に向上させることができる。また経時での分散安定性も従来品に比較して、非常に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の磁性ナノ粒子複合体は、水、有機溶媒、他の有機系液体への分散性に優れ、かつその分散安定性が高い、新しい磁性材料、特に電子材料用、記録用、シーリング用、医療用の磁性材料として有用である。