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明細書 :被処理水中の窒素化合物の除去方法。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-138914 (P2014-138914A)
公開日 平成26年7月31日(2014.7.31)
発明の名称または考案の名称 被処理水中の窒素化合物の除去方法。
国際特許分類 C02F   1/24        (2006.01)
C02F   1/58        (2006.01)
C07C 211/03        (2006.01)
C07C  31/125       (2006.01)
FI C02F 1/24 ZABB
C02F 1/58 P
C07C 211/03
C07C 31/125
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2013-008313 (P2013-008313)
出願日 平成25年1月21日(2013.1.21)
発明者または考案者 【氏名】日下 英史
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4D037
4D038
4H006
Fターム 4D037AA11
4D037AA14
4D037AB12
4D037BA01
4D037BB05
4D038AA08
4D038AB28
4D038BA02
4D038BA06
4D038BB04
4H006AA05
4H006AB99
4H006FE11
要約 【課題】被処理水中の、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種である窒素化合物を容易に、且つ効率良く除去することができ、大型設備や長時間の静置時間を必要としない窒素化合物の除去方法を提供する。
【解決手段】硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水から、前記窒素化合物を除去する方法であって、
前記被処理水は、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有し、
前記被処理水中にマイクロバブルを供給する工程を含む、
ことを特徴とする被処理水中の窒素化合物の除去方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水から、前記窒素化合物を除去する方法であって、
前記被処理水は、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有し、
前記被処理水中にマイクロバブルを供給する工程を含む、
ことを特徴とする被処理水中の窒素化合物の除去方法。
【請求項2】
前記アミンは、第1~4級アミンである、請求項1に記載の除去方法。
【請求項3】
前記アミンは、炭素数8~18のアルキル基を有する、請求項1又は2に記載の除去方法。
【請求項4】
前記アミンは、炭素数13~18のアルキル基を有する、請求項1又は2に記載の除去方法。
【請求項5】
前記被処理水中の、前記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種の含有量は、1~10000ppmである、請求項1~4のいずれかに記載の除去方法。
【請求項6】
前記被処理水は、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物塩、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属水酸化物塩、及び酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれかに記載の除去方法。
【請求項7】
前記被処理水は、炭素数1~8のアルコール及び炭素数1~8のケトンから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~6のいずれかに記載の除去方法。
【請求項8】
前記マイクロバブルの平均粒子径は、20~70μmである、請求項1~7のいずれかに記載の除去方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中の窒素化合物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業排水、農業排水等の排水中に含まれる硝酸性窒素、亜硝酸性窒素等の窒素化合物の含有量は、環境汚染の抑制の観点から低減することが求められている。特に、排水を河川へ放流する場合には、排水中の窒素化合物の含有量は基準値が規定され、厳しく制限されている。
【0003】
例えば、工業排水において、電気めっき業等特定業種では、排水を河川等へ放流する場合には、排水中の硝酸性窒素の含有量の基準値は400ppm以下に設定されている。このため、排水中の窒素化合物の除去方法が求められている。
【0004】
工業排水中の窒素化合物を除去する処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。当該処理方法は、硝酸性窒素を含有する被処理水と、金属微粒子等の硝酸性窒素含有水処理用触媒とを超微細気泡還元ガスの存在下で接触させて、硝酸性窒素を還元分解することにより硝酸性窒素含有水の処理を行っている。
【0005】
しかし、上述の処理方法では、金属微粒子等の硝酸性窒素含有水処理用触媒が必要であり、このような硝酸性窒素含有水処理用触媒は高価であるため、経済性に劣るという問題がある。また、被処理水中に水素ガス等の還元性ガスを供給することを必須としており、還元性ガスを供給する装置の設置が必要となるため、経済性に劣り、設備の設置場所が必要となるという問題がある。
【0006】
また、農業廃水中の窒素化合物を除去する処理方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。当該処理方法は、窒素を含有する排水に、オゾンを溶解させたオゾンマイクロバブルを供給して排水中の難分解性物を低分子化し、リン蓄積細菌等の細菌の存在下で嫌気性処理、好気性処理、無酸素処理を行うことにより排水中の窒素とリンの除去を行なっている。
【0007】
しかし、上述の処理方法では、細菌による処理を行うため静置が必要となり、静置を行なうためのタンク等の大型の設備が必要となるという問題があり、且つ長時間の静置時間が必要となるという問題がある。また、排水中にオゾンマイクロバブルを供給することを必須としており、オゾンマイクロバブルを発生させる装置の設置が必要となるため、経済性に劣り、設備の設置場所が必要となるという問題がある。
【0008】
大型設備の設置場所をとらず、長時間の静置時間を必要とせず、被処理水中の硝酸性窒素や亜硝酸性窒素等の窒素化合物を容易に除去することができる窒素化合物の除去方法は、未だ開発されていない。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2007-7541号公報
【特許文献2】特開2011-194373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、被処理水中の、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種である窒素化合物を容易に、且つ効率良く除去することができ、大型設備や長時間の静置時間を必要としない窒素化合物の除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水が、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有する構成とし、当該被処理水中にマイクロバブルを供給して窒素化合物の除去を行なう場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の被処理水中の窒素化合物の除去方法に関する。
1.硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水から、前記窒素化合物を除去する方法であって、
前記被処理水は、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有し、
前記被処理水中にマイクロバブルを供給する工程を含む、
ことを特徴とする被処理水中の窒素化合物の除去方法。
2.前記アミンは、第1~4級アミンである、上記項1に記載の除去方法。
3.前記アミンは、炭素数8~18のアルキル基を有する、上記項1又は2に記載の除去方法。
4.前記アミンは、炭素数13~18のアルキル基を有する、上記項1又は2に記載の除去方法。
5.前記被処理水中の前記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種の含有量は、1~10000ppmである、上記項1~4のいずれかに記載の除去方法。
6.前記被処理水は、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物塩、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属水酸化物塩、及び酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記項1~5のいずれかに記載の除去方法。
7.前記被処理水は、炭素数1~8のアルコール及び炭素数1~8のケトンから選択される少なくとも1種を含む、上記項1~6のいずれかに記載の除去方法。
8.前記マイクロバブルの平均粒子径は、20~70μmである、上記項1~7のいずれかに記載の除去方法。
【0013】
本発明の被処理水中の窒素化合物の除去方法は、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水が、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有し、上記被処理水中にマイクロバブルを供給する工程を含む。上記除去方法では、被処理水中の上記窒素化合物と親和力の強いアミン等が、マイクロバブルの表面に凝集する。そして、上記マイクロバブルの表面で、アミン等が窒素化合物と反応し、反応生成物が気液界面に濃縮される。当該反応生成物が気液界面に濃縮されたマイクロバブルは、被処理水の上層に浮上するので、被処理水中の窒素化合物が除去される。浮上したマイクロバブルは、被処理水の上層を除去することにより処理すればよい。
【0014】
上述のように、本発明の除去方法は、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水中に、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を添加し、被処理水中にマイクロバブルを供給することにより、上記窒素化合物がマイクロバブルの表面に付着して被処理水の上層に浮上するので、容易に、且つ効率良く被処理水中の窒素化合物を除去することができる。
【0015】
しかも、マイクロバブルが還元性ガスやオゾンを含むことが必須でないので大型設備の設置場所を必要とせず、また、被処理水を長時間静置する必要がないので処理時間を短縮することが可能となる。
【0016】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
【0017】
(窒素化合物)
本発明に用いられる被処理水は、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する。
【0018】
上記硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、NO、NO、NO、NOを含む化合物が水に溶解して得られる硝酸イオン及び亜硝酸イオンを意味する。上記硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水としては、例えば、電気めっきにより発生する工業排水、米の加工により発生する農業廃水、家畜の排泄物を含む畜産排水等が挙げられる。
【0019】
上記被処理水中の窒素化合物の濃度は、窒素原子換算で0.1~10000ppmが好ましい。0.1ppmより少ないと、除去は可能であるが、除去の回数が増加するため経済性に劣るおそれがある。10000ppmより多いと、除去に必要なマイクロバブル、並びにアミン及びその塩が多量に必要となるおそれがあり、また、除去に時間がかかるおそれがある。
【0020】
(アミン及びその塩)
上記被処理水は、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有する。当該アミン及びその塩から選択される少なくとも1種は、被処理水中で捕収剤としての役割を果すものであり、被処理水中の窒素化合物に吸着してその粒子表面を疎水性にし、マイクロバブルとの付着効率を高めることができる。また、被処理水中の窒素化合物に吸着してその表面の電位を下げ、粒子間の電気的反発力を低下させて、凝集体の形成を容易にすることにより、被処理水からの窒素化合物の迅速な分離が可能となる。
【0021】
上記アミン及びその塩としては、マイクロバブルの表面に凝集して、上記窒素化合物を吸着することができれば特に限定されないが、例えば、直鎖アルキル基(C2n+1-)を有するアミン、及び当該アミンと酸との中和塩が挙げられる。上記アルキル基の炭素数nは、8~18が好ましく、13~18がより好ましい。上記アルキル基の炭素数を上述の範囲とすることにより、被処理水中の窒素化合物との吸着力がより強くなり、窒素化合物の除去効率に特に優れる。アルキル基は、直鎖状構造以外の構造であってもよい。また、アミンは、第一級アミンに限らず、第二級アミンや第三級アミン、第四級アミンであってもよい。処理効率に優れる点で、第三級アミン及び第四級アミンが好ましい。
【0022】
上記アミンと酸との中和塩としては、塩酸塩、酢酸塩、硝酸塩または硫酸塩が挙げられる。具体的には、陽イオン性界面活性剤であるn-オクチルアミン塩酸塩、n-ノニルアミン塩酸塩、n-デシルアミン塩酸塩、n-ドデシルアミン塩酸塩、n-トリデシルアミン塩酸塩、n-テトラデシルアミン塩酸塩等が挙げられる。
【0023】
上記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種としては、例えば、炭素数8~18の高級アルコールの硫酸エステル(アルキル硫酸エステル)またはその塩が挙げられる。具体的には、陰イオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0024】
被処理水中のアミン及びその塩から選択される少なくとも1種の含有量は、1~10000ppmが好ましく、100~500ppmがより好ましい。被処理水中のアミン及びその塩から選択される少なくとも1種の含有量を上記範囲とすることにより、被処理水中の窒素化合物の除去効率が特に高くなる。
【0025】
(捕収助剤)
上記被処理水は、更に、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物塩、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属水酸化物塩、及び酸からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは、被処理水中で捕収助剤としての役割を果し、被処理水中の窒素化合物に吸着して、窒素化合物への上記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種である捕収剤の吸着を促進させる。このような捕収助剤としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物塩または酸が挙げられ、被処理水への添加によって被処理水のpHが調整される。上記捕収助剤としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
【0026】
上記捕収助剤の被処理水中の含有量は、10000ppm以下が好ましい。また、上記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種に対する捕収助剤の混合割合は、上記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種100重量部に対して、1重量部以下が好ましい。
【0027】
(起泡剤)
上記被処理水は、更に、炭素数1~8のアルコール及び炭素数1~8のケトンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは、被処理水中で起泡剤としての役割を果し、被処理水中でのマイクロバブルの発生およびマイクロバブルの泡沫層の安定形成を促進させる。このような起泡剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルイソブチルケトン、メチルイソブチルカービノール等が挙げられる。
【0028】
上記起泡剤の被処理水中の含有量は、10000ppm以下が好ましい。また、上記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種に対する起泡剤の混合割合は、上記アミン及びその塩から選択される少なくとも1種100重量部に対して、1重量部以下が好ましい。
【0029】
(マイクロバブル)
上記マイクロバブルの平均粒子径は、被処理水中に供給された際に窒素化合物と接触するための表面積を十分に確保することができれば特に限定されないが、100nm~100μmが好ましい。このような平均粒子径のマイクロバブルは、マイクロバブル発生後の収縮運動により直径が数百nm以下となった超微細な気泡(ナノバブル)も包含する。上記マイクロバブルの平均粒子径は、1~100μmがより好ましく、20~70μmが更に好ましく、50~70μmが特に好ましい。マイクロバブルの平均粒子径を上記範囲とすることにより、マイクロバブル泡沫層の安定性が確保でき、且つ被処理水中でのマイクロバブルの表面積が十分であるので、窒素化合物の除去効率が特に優れる。
【0030】
なお、上記マイクロバブルの平均粒子径は、被処理水中のマイクロバブルをCCDカメラ(レーゼンテック社製)を用いて倍率500倍の条件で撮影し、目視により数百個の粒子径を測り、その平均値を算出することにより測定することができる。
【0031】
上記マイクロバブルを形成する気体としては上記平均粒子径のマイクロバブルを形成可能であれば特に限定されず、空気、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム等を用いることができる。空気を用いる場合、安価で安全にマイクロバブルを供給することができる。また、水素を用いると、上記窒素化合物を還元して分解することができるので除去効率に優れ、電気分解で容易に製造することができ、必要に応じて回収することが可能である。また、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性なガスを用いると、不必要な溶解性ガス(酸素、二酸化炭素、硫化水素等)の脱気性に優れる。
【0032】
上記マイクロバブルとしては、また、マイクロバブルにオゾンを溶解させたオゾンマイクロバブルを用いてもよい。オゾンマイクロバブルを用いることにより、被処理水中に難分解性の有機化合物が含まれる場合であっても、当該難分解性の有機化合物を低分子化して分解することができる。
【0033】
(除去方法)
本発明の除去方法は、被処理水中にマイクロバブルを供給する工程を含む。上記マイクロバブルを供給する方法としては、被処理水中の窒素化合物とマイクロバブルとを接触させることができれば特に限定されず、処理槽外部に設置されたマイクロバブル発生機から処理槽内に供給してもよいし、処理層内の被処理水中に設置したマイクロバブル発生機により、被処理水中で発生させてもよい。
【0034】
上記マイクロバブルを供給する方法としては、例えば、処理槽外部から処理槽内の被処理水にマイクロバブルを形成する気体を供給する際に、均一な細孔が多数形成されたシラス多孔質ガラス(SPG膜)を透過させて供給する方法が挙げられ、また、市販のマイクロバブル発生ノズルを被処理水中に設置して被処理水中で発生させる方法、圧力容器中で気体を過飽和にしてから減圧する方法(加圧溶解法、又は加圧-減圧法)等が挙げられる。
【0035】
上記マイクロバブルは、被処理水を処理するための処理槽の底部付近から供給することが好ましい。底部付近から供給することにより、浮力によりマイクロバブルが処理槽の底部付近から上層まで移動するので、被処理水中の窒素化合物とマイクロバブルとが接触し易くなり、被処理水中の窒素化合物が補足され易くなる。
【0036】
本発明の除去方法は、上記被処理水中にマイクロバブルを供給する工程以外の他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、上記工程の後に、上記窒素化合物と上記マイクロバブルとを接触させて付着させ、窒素化合物が付着したマイクロバブルを浮上させる工程2、及び、上記被処理水の上層に浮上した上記窒素化合物が付着したマイクロバブルを除去する工程3が挙げられる。
【0037】
上記工程2は、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有する被処理水にマイクロバブルが供給されて、浮力等により被処理水中を移動することにより窒素化合物と接触し、マイクロバブル表面に濃縮されたアミン及びその塩から選択される少なくとも1種が窒素化合物と電気的に引き合うことにより、窒素化合物をマイクロバブル表面に付着させることができる。窒素化合物が付着したマイクロバブルは浮力により浮上するが、浮上を促進させるために適宜静置してもよい。この場合の静置は、マイクロバブルが被処理水の上層に浮上するまでの間静置するだけでよいので、農業廃水中の窒素化合物を細菌の存在下で処理する従来の除去方法において必要とされる長時間の静置は必要としない。
【0038】
上記工程3において、上記被処理水の上層に浮上した上記窒素化合物が付着したマイクロバブルを除去する方法としては特に限定されず、例えば、上記窒素化合物が付着したマイクロバブルを被処理水の上層に浮上させた状態で、処理槽から被処理水の上層をオーバーフローさせる方法が挙げられる。また、上記窒素化合物が付着したマイクロバブルが浮上して凝集した被処理水の上層を掬い取る方法、減圧容器中へパイプ移送するバキューム法により除去してもよい。
【0039】
本発明の除去方法は、更に、上記被処理水中にマイクロバブルを供給する工程の前に、被処理水中に、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種である捕収剤、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物塩、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属水酸化物塩、及び酸からなる群より選択される少なくとも1種である捕収助剤、並びに、炭素数1~8のアルコール及び炭素数1~8のケトンから選択される少なくとも1種である起泡剤を混合する工程を有していてもよい。これらの捕収剤、捕収助剤、及び起泡剤は、被処理水中に上述の含有量となるように混合すればよい。
【0040】
上記捕収剤、捕収助剤、及び起泡剤を被処理水中に混合する方法としては特に限定されず、従来公知の方法により混合することができる。また、上記捕収剤、捕収助剤、及び起泡剤を混合して調製された薬液とし、当該薬液を被処理水に添加することにより混合することもできる。上記薬液中の捕収剤、捕収助剤、及び起泡剤の割合は、捕収剤100重量部に対して、捕収助剤及び起泡剤が、それぞれ1重量部以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0041】
本発明の除去方法によれば、被処理水中の、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種である窒素化合物を容易に、且つ効率良く除去することができる。また、本発明の除去方法によれば、アミン及びその塩から選択される少なくとも1種を被処理水中に添加し、マイクロバブルを供給するだけで窒素化合物を除去することが可能であるので、大型設備や長時間の静置時間を必要とせず被処理水中の窒素化合物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】硝酸イオンを含有する被処理水に、炭素数12のアミン酢酸塩を添加し、マイクロバブルを供給して硝酸イオンを除去した場合の、マイクロバブル供給時間と硝酸イオンの量との関係を示す図である。
【図2】硝酸イオンを含有する被処理水に、アミン又はその塩を4種類選定してそれぞれ添加し、マイクロバブルを供給して硝酸イオンを除去した場合の、マイクロバブル供給時間と硝酸イオンの量との関係を示す図である。
【図3】硝酸イオンを含有する被処理水に、塩化ベンザルコニウムを濃度を変化させて添加し、マイクロバブルを供給して硝酸イオンを除去した場合の、マイクロバブル供給時間と硝酸イオンの量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。

【0044】
実施例1
(被処理水の調製)
被処理水として、硝酸性窒素含有擬似排水を調製した。具体的には、水に硝酸ナトリウムを85ppm添加して撹拌することにより、硝酸イオンを窒素原子換算で14ppm含有する硝酸性窒素含有擬似排水を調製した。

【0045】
被処理水に、捕収剤としてドデシルアミン酢酸塩を1mMの濃度となるように添加した。また、捕収助剤として、水酸化ナトリウムを微量添加して用いてpHを6に調整した。更に、起泡剤として、メチルイソブチルカービノール(MIBC)を0.05vol/vol%添加した。

【0046】
(マイクロバブルの供給)
上記のように調製した被処理水を、内径50mm、高さ500mm(有効容積 1L)、セル底部に孔径0.8μmのSPG膜を備えるアクリル樹脂製の円筒形セルに入れた。

【0047】
次に、窒素ガスを、50mL/minの流量でセル底部のSPG膜を通過させて、円筒形セル内の被処理水中にマイクロバブルを供給することにより硝酸イオンを除去した。このときのマイクロバブルの平均粒子径は、30μmであった。なお、上記マイクロバブルの平均粒子径は、被処理水中のマイクロバブルをCCDカメラ(レーゼンテック社製)を用いて倍率500倍の条件で撮影し、目視により数百個の粒子径を測り、その平均値を算出することにより測定した値である。

【0048】
所定時間経過後に被処理水の一部を採取して、被処理水中に残留する残留硝酸イオン濃度を測定した。硝酸イオン濃度の測定は、硝酸メーター(東亜ディーケーケー社製、型番:TNP-10)を用いて行なった。硝酸イオンの初期濃度を[NOinitialとし、マイクロバブルを所定時間供給後の硝酸イオン濃度を[NO]として、硝酸イオン濃度の初期濃度に対する割合を、式[NO]/[NOinitialにより算出した。

【0049】
実施例2
捕収剤として、ドデシルアミン酢酸塩1mMに代えて、セチルトリメチルアンモニウム水酸化物(CTAH)の25%メタノール水溶液を、CTAHが1mMの濃度となるように添加した以外は実施例1と同様にして、被処理水中の硝酸イオンを除去した。このときの被処理水のpHは、7.0であった。

【0050】
実施例3
捕収剤として、ドデシルアミン酢酸塩1mMに代えて、ドデシルトリメチルアンモニウム塩酸塩を1mM添加した以外は実施例1と同様にして、被処理水中の硝酸イオンを除去した。このときの被処理水のpHは、6.8であった。

【0051】
実施例4
捕収剤として、ドデシルアミン酢酸塩1mMに代えて、ドデシルジメチルアミンを1mM添加した以外は実施例1と同様にして、被処理水中の硝酸イオンを除去した。このときの被処理水のpHは、5.0であった。

【0052】
実施例5
捕収剤として、ドデシルアミン酢酸塩1mMに代えて、塩化ベンザルコニウムの10%水溶液を塩化ベンザルコニウムの濃度が356ppm(塩化ベンザルコニウムの平均的な炭素数n=13として1.0mM)となるように添加してドデシルトリメチルアンモニウム塩酸塩を1mM添加した以外は実施例1と同様にして、被処理水中の硝酸イオンを除去した。このときの被処理水のpHは、6.2であった。

【0053】
実施例6
捕収剤として用いる、塩化ベンザルコニウムの濃度を178ppm(塩化ベンザルコニウムの平均的な炭素数n=13として0.5mM)とした以外は実施例5と同様にして、被処理水中の硝酸イオンを除去した。このときの被処理水のpHは、6.0であった。

【0054】
実施例7
捕収剤として用いる、塩化ベンザルコニウムの濃度を35.6ppm(0.1mM)とした以外は実施例5と同様にして、被処理水中の硝酸イオンを除去した。このときの被処理水のpHは、5.9であった。

【0055】
比較例1
被処理水に、捕収剤及び捕収助剤を添加せず、起泡剤のみを添加した以外は実施例1と同様にして被処理水中にマイクロバブルを供給した。

【0056】
<考察>
捕収剤として、ドデシルアミン酢酸塩を用い(実施例1)、被処理水中にマイクロバブルを供給した場合の被処理水中に残存する窒素化合物の割合と、マイクロバブル供給時間との関係を調べた(図1)。図1は、被処理水中の硝酸イオンの初期濃度に対する、残存する硝酸イオンの量の割合を経時的に算出した結果を示す図である。図1から、捕収剤としてドデシルアミン酢酸塩を用いることにより、被処理水中の硝酸イオンの量が経時的に減少しており、実施例1の除去方法により被処理水中の窒素化合物が35%程度除去されたことが分かる(C12amine acetate)。図1において、実施例1の除去方法は、窒素化合物の除去効率が良好であるが、この結果は、特に酢酸イオンが気液界面に濃縮され易いことによると考えられる。

【0057】
次に、捕収剤として、セチルトリメチルアンモニウム水酸化物(CTAH)(実施例2)、ドデシルトリメチルアンモニウム塩酸塩(実施例3)、ドデシルジメチルアミン(実施例4)、塩化ベンザルコニウム(実施例5(濃度356ppm))を用い、被処理水中にマイクロバブルを供給した場合の被処理水中に残存する窒素化合物の割合と、マイクロバブル供給時間との関係をそれぞれ調べた(図2)。

【0058】
図2から、捕収剤としてドデシルトリメチルアンモニウム塩酸塩(実施例3:Dodecyltrimethylammonium chloride)、又はドデシルジメチルアミン(実施例4:Dodecyldimethylamine)を用いることにより、被処理水中の窒素化合物の除去が可能であることが分かる。これらは、炭素数12のアルキル基を有する化合物である。

【0059】
また、捕収剤としてセチルトリメチルアンモニウム水酸化物(実施例2:Cetyltrimethylammonium hydroxide)、又は塩化ベンザルコニウム(実施例5(濃度356ppm):Benzalkonium chloride)を用いると、窒素化合物の除去効率が特に良好であることが分かる。上記セチルトリメチルアンモニウム水酸化物は炭素数16のアルキル基を有する。また、塩化ベンザルコニウムは、直鎖アルキル基の炭素数が分子によりバラツキがあるものの、直鎖アルキル基の炭素数が平均して13となるものを用いた。このため、捕収剤として炭素数が13以上のアルキル基を有する化合物を用いると、被処理水中の窒素化合物の除去効率が特に優れることが分かる。

【0060】
図2で示される実施例2~5で用いられる捕収剤のうち、セチルトリメチルアンモニウム水酸化物(実施例2)、ドデシルトリメチルアンモニウム塩酸塩(実施例3)、及び塩化ベンザルコニウム(実施例5(濃度356ppm))は、第4級アミンである。一般に、4級アンモニウム基は強塩基性陰イオン交換樹脂に用いられる官能基として有用であり、本発明の窒素化合物の除去方法においては、4級アンモニウムイオンがマイクロバブルの気液界面に吸着しており、当該4級アンモニウムイオンによる陰イオン交換反応により硝酸イオンが除去されると考えられる。

【0061】
次に、被処理水中のアミン及びその塩から選択される少なくとも1種の含有量が、窒素化合物の除去効率に及ぼす影響を調べた(図3)。捕収剤として塩化ベンザルコニウムを用い、被処理水中の含有量を1.0mM(356ppm)(実施例5)、0.5mM(178ppm)(実施例6)及び0.1mM(35.6ppm)(実施例7)として、被処理水中にマイクロバブルを供給した場合の被処理水中に残存する硝酸性窒素の割合と、マイクロバブル供給時間との関係をそれぞれ調べた(図3)。

【0062】
塩化ベンザルコニウムの濃度を0.1mM(35.6ppm)とした場合であっても被処理水中の窒素化合物を除去可能であることが分かる(実施例7:0.1mM(35.6ppm))。

【0063】
塩化ベンザルコニウムの濃度を0.5mM(178ppm)とすると、窒素化合物の除去効率が格段に向上することが分かる(実施例6:0.5mM(178ppm))。また、塩化ベンザルコニウムの濃度を更に上げて1.0mM(356ppm)とすると、窒素化合物の除去効率が0.5mMの場合と同様に高いことが分かる(実施例5:1.0mM(356ppm))。

【0064】
被処理水に、起泡剤のみを添加し、捕収剤及び捕収助剤を添加しない状態で、被処理水中にマイクロバブルを供給した(比較例1)。被処理水中の窒素イオンは除去されていなかった。このことから、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素から選択される少なくとも1種の窒素化合物を含有する被処理水にマイクロバブルを供給して窒素化合物を処理する場合、被処理水中にアミン及びその塩から選択される少なくとも1種が含まれていることが必要であることが分かる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2