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明細書 :リビングラジカル重合触媒および重合方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5995848号 (P5995848)
登録日 平成28年9月2日(2016.9.2)
発行日 平成28年9月21日(2016.9.21)
発明の名称または考案の名称 リビングラジカル重合触媒および重合方法
国際特許分類 C08F   4/00        (2006.01)
FI C08F 4/00
請求項の数または発明の数 7
全頁数 96
出願番号 特願2013-529906 (P2013-529906)
出願日 平成24年8月24日(2012.8.24)
国際出願番号 PCT/JP2012/005336
国際公開番号 WO2013/027419
国際公開日 平成25年2月28日(2013.2.28)
優先権出願番号 2011184173
優先日 平成23年8月25日(2011.8.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年8月20日(2015.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】後藤 淳
【氏名】梶 弘典
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】岡▲崎▼ 忠
参考文献・文献 後藤 淳、辻井敬亘、梶 弘典,有機触媒で制御するリビングラジカル重合,高分子論文集,日本,高分子学会,2011年 6月22日,Vol.68, No.5,223-231
A.Goto, H.Zushi, N.Hirai, T.Wakada, Y.Tsujii, and T.Fukuda,Living Radical Polymerizaion with Germanium, Tin, and Phosphorus Catalysts - Reversible Chain Transfer Catalyzed Polymerizations(RTCPs),Journal of American Chemical Society,米国,2007年,Vol.129,13347-13354
A.Goto, Y.Tsujii, T.Fukuda,Reversible chain transfer catalyzed polymerization(RTCP): A new class of living radical polymerization,Polymer,2008年,Vol.49,5177-5185
M.Yorizane, T.Nagasuga, Y.Kitayama, A.Tanaka, H.Minami, A.Goto, T.Fukuda, and M.Okubo,Reversible Chain Transfer Catalyzed Polymerization(RTCP) of Methyl Methacrylate with Nitrogen Catalyst in an Aqueous Microsuspension System,Macromolecules,2010年,Vol.43,8703-8705
A.Goto, N.Hirai, K.Nagasawa, Y.Tsujii, T.Fukuda, and H.Kaji,Phenols and Carbon Compounds as Efficient Organic Catalysts for Reversible Chain Transfer Catalyzed Living Radical Polymerization(RTCP),Macromolecules,2010年,Vol.43,7971-7978
A.Goto, N.Hirai, T.Wakada, K.Nagasawa, Y.Tsujii, and T.Fukuda,Living Radical Polymerization with Nitrogen Catalyst: Reversible Chain Transfer Catalyzed Polymerization with N-Iodosuccinimide,Macromolecules,2008年,Vol.41,6261-6264
調査した分野 C08F 4/00-4/82
特許請求の範囲 【請求項1】
リビングラジカル重合法のための触媒であって、
該触媒は、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物であって、該非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ハロゲン化物イオンとイオン結合を形成しているものであって、
1-メチル-3-メチル-イミダゾリウムヨーダイド(EMIZI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIZBr)、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨーダイド(CMPI)、テトラブチルアンモニウムヨーダイド(BNI)、テトラブチルアンモニウムトリヨーダイド(BNI3)、テトラブチルアンモニウムブロモジヨーダイド(BNBrI2)、テトラエチルアンモニウムヨーダイド(ENI)、ヘキサフェニルジホスファゼニウムクロリド(PPNCl)、メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド(BMPI)、テトラフェニルホスホニウムヨーダイド(PPI)、トリブチルスルホニウムヨーダイド(BSI)、及びジフェニルヨードニウムヨーダイド(PII)から選択される、触媒。
【請求項2】
リビングラジカル重合を行う工程を包含する重合方法であって、該リビングラジカル重合工程が、請求項に記載の触媒の存在下で行われる、方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法であって、前記リビングラジカル重合を行う際の反応混合物にラジカル開始剤が添加されない、方法。
【請求項4】
請求項又はに記載の方法であって、前記リビングラジカル重合反応において炭素-ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物が使用され、該有機ハロゲン化物から与えられるハロゲンが成長鎖の保護基として使用される、方法。
【請求項5】
請求項のいずれか1項に記載の方法であって、前記リビングラジカル重合を行う際の反応温度が30℃~85℃である、方法。
【請求項6】
請求項のいずれか1項に記載の方法であって、I-が前記リビングラジカル重合反応の活性化剤として使用され、I3-が該リビングラジカル重合反応の不活性化剤として使用される、方法。
【請求項7】
リビングラジカル重合法における触媒の使用であって、該触媒が、請求項に記載の触媒であり、ここで、該重合法が、該触媒の存在下でリビングラジカル反応を行う工程を包含する、使用。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リビングラジカル重合に用いられる高活性触媒およびそれを用いた重合方法に関する。より具体的には、本発明は、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属元素化合物をリビングラジカル重合の触媒として用いる。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビニルモノマーを重合してビニルポリマーを得る方法として、ラジカル重合法が周知であったが、ラジカル重合法は一般に、得られるビニルポリマーの分子量を制御することが困難であるという欠点があった。また、得られるビニルポリマーが、様々な分子量を有する化合物の混合物になってしまい、分子量分布の狭いビニルポリマーを得ることが困難であるという欠点があった。具体的には、反応を制御しても、重量分子平均分子量(M)と数平均分子量(M)との比(M/M)として、2~3程度にまでしか減少させることができなかった。
【0003】
このような欠点を解消する方法として、1990年頃から、リビングラジカル重合法が開発されている。すなわち、リビングラジカル重合法によれば、分子量を制御することが可能であり、かつ分子量分布の狭いポリマーを得ることが可能である。具体的には、M/Mが2以下のものを容易に得ることが可能であることから、ナノテクノロジーなどの最先端分野に用いられるポリマーを製造する方法として脚光を浴びている。
【0004】
リビングラジカル重合法に現在用いられる触媒としては、遷移金属錯体系触媒が知られている。
【0005】
遷移金属錯体系触媒としては、例えば、Cu、Ni、Re、Rh、Ruなどを中心金属とする化合物に配位子を配位させた錯体が使用されている。このような触媒は、例えば、以下の文献に記載されている。
【0006】
特許文献1(特開2002-249505号公報)は、Cu、Ru、Fe、Niなどを中心金属とする錯体を触媒として使用することを開示する。
【0007】
なお、特許文献1は、その請求項1において、重合開始剤として、有機ハロゲン化物を用いると記載している。この記載は、ハロゲン化炭化水素がリビングラジカル重合の触媒として作用することを意味するものではない。特許文献1の発明においては、遷移金属を中心金属とする金属錯体が、リビングラジカル重合触媒として使用されている。特許文献1の発明においては、有機ハロゲン化物が、本明細書中で後述するドーマント種として使用されている。
【0008】
特許文献2(特開平11-322822号公報)は、ヒドリドレニウム錯体を触媒として使用することを開示する。
【0009】
なお、特許文献2は、その請求項1において、「ヒドリドレニウム錯体およびハロゲン化炭化水素の組み合わせからなるラジカルリビング重合用触媒」と記載している。この記載は、ハロゲン化炭化水素がリビングラジカル重合の触媒として作用することを意味するものではない。特許文献2の発明においては、ヒドリドレニウム錯体が、リビングラジカル重合触媒として使用されている。特許文献2の発明においては、ハロゲン化炭化水素が、本明細書中で後述するドーマント種として使用されている。その触媒とドーマント種との組み合わせを特許文献2では触媒と記載しているものであって、ハロゲン化炭化水素がリビングラジカル重合の触媒となることを記載しているのではない。
【0010】
非特許文献1(Journal of The American Chemical
Society 119,674-680(1997))は、4,4’-ジ-(5-ノニル)-2,2’-ビピリジンを臭化銅に配位させた化合物を触媒として使用することを開示する。
【0011】
なお、非特許文献1は、スチレンの重合の際に1-フェニルエチルブロミドを用いたことを記載している。すなわち、特許文献2の発明においては、臭化銅錯体が、リビングラジカル重合触媒として使用され、1-フェニルエチルブロミドが、本明細書中で後述するドーマント種として使用されている。
【0012】
しかしながら、このような遷移金属錯体触媒を用いる場合には、使用量として多量の遷移金属錯体触媒が必要であり、反応後に使用された大量の触媒を製品から完全に除去することが容易でないという欠点があった。また不要となった触媒を廃棄する際に環境上の問題が発生し得るという欠点があった。さらに、遷移金属には毒性の高いものが多く、製品中に残存する触媒の毒性が環境上問題となる場合があり、遷移金属を食品包装材、生体・医療材料などに使用することは困難であった。また、反応後に製品から除去された触媒の毒性が環境上問題となる場合もあった。さらに、導電性の遷移金属がポリマーに残存するとそのポリマーに導電性が付与されてしまって、レジストや有機EL、燃料電池、太陽電池、リチウムイオン電池などの電子材料に使用することが困難であるという問題もあった。また、錯体を形成させないと反応液に溶解しないため、配位子となる化合物を用いなければならず、このために、コストが高くなり、かつ、使用される触媒の総重量がさらに多くなってしまうという問題もあった。さらに、配位子は、通常、高価であり、あるいは煩雑な合成を要するという問題もあった。また、重合反応に高温(例えば、110℃以上)が必要であるという欠点があった(例えば、上記非特許文献1では、110℃において重合を行っている)。
【0013】
なお、触媒を用いる必要がないリビングラジカル重合方法も公知である。例えば、ニトロキシル系、およびジチオエステル系の方法が知られている。しかし、これらの方法においては、特殊な保護基をポリマー成長鎖に導入する必要があり、この保護基が非常に高価であるという欠点がある。また、重合反応に高温(例えば、110℃以上)が必要であるという欠点がある。さらに、生成するポリマーが好ましくない性能を有しやすいという欠点がある。すなわち、生成するポリマーがその高分子本来の色と異なる色に着色されたものになりやすく、また、生成するポリマーが臭気を有するものになりやすいという欠点がある。
【0014】
他方、非特許文献2(Polymer Preprints 2005, 46(2), 245-246)および特許文献3(特開2007-92014号公報)は、Ge、Snなどを中心金属とする化合物を触媒として使用することを開示する。特許文献4(国際公開WO2008/139980号公報)は、窒素またはリンを中心金属とする化合物を触媒として使用することを開示する。
【0015】
また、最近では、可逆的錯体形成媒介重合(RCMP)と称する、保護基にヨウ素を、触媒にアミンを用いた新しい有機触媒型リビングラジカル重合方法が開発されている。この重合方法では、触媒として、トリエチルアミン(TEA)等の単純なアミンを利用できるという特色があり、メタクリレート等の重合に有効である。特許文献5(国際公開WO2011/016166号公報)は、有機アミン化合物などを触媒として使用することを開示する。
【0016】
非特許文献1に記載されていた銅錯体触媒では、ポリマー1kgを重合する際に必要とされる触媒の費用がおよそ数千円になっていた。これに対して、ゲルマニウム触媒においては、約千円程度にまで費用が低減されるので、非特許文献2の発明は、触媒の費用を顕著に低減させるものであった。しかしながら、リビングラジカル重合を汎用樹脂製品等に応用するためには、さらなる低コストの触媒が求められていた。
【0017】
一般に、遷移金属、あるいは遷移金属元素の化合物が、各種化学反応の触媒として好ましいことが知られている。例えば、J.D.LEE 「無機化学」(東京化学同人、1982年4月15日第1版発行)311頁は、「多くの遷移金属とその化合物は触媒作用をもつ。…ある場合には、遷移金属はいろいろな原子価をとり、不安定な中間体化合物をつくることがあり、また他の場合には、遷移金属は良好な反応面を提供しこれらが触媒作用として働くのである」と記載している。すなわち、不安定な様々な中間体化合物を形成できるなどの遷移金属に特有の性質が、触媒の機能には欠かせないことが当業者に広く理解されていたのである。
【0018】
そして上述した非特許文献2に記載されたGe、Sn、Sbは遷移金属ではないが、周期表の第4周期および第5周期に位置する元素であって、大きい原子番号を有し、多数の電子および多数の電子軌道を有する。従って、Ge、Sn、Sbにおいては、これらの原子が多数の電子および多数の電子軌道を有することが、触媒として有利に作用していることが推測される。
【0019】
このような従来技術の各種触媒に関する技術常識によれば、周期表の第2周期および第3周期に位置する典型元素は少数の電子および電子軌道しか有さず、触媒化合物に用いることは不利であり、これらの典型元素を用いた化合物に触媒作用は期待できないと考えられていた。
【0020】
また、非特許文献3にはリン化合物を用いた触媒が開示されているが、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属元素化合物を用いることについての記載はない。
【0021】
上述したように、様々な触媒が従来から検討されているが、分子量分布の狭いポリマーを得ることができる触媒、例えば、特許文献5に開示されているアミン化合物などにおいても、さらなる改良が求められている。
【0022】
例えば、分子量分布が狭いポリマーを得ることができる触媒を使用する場合、すなわち、リビング重合が充分に制御される触媒を使用する場合、得られるポリマーの分子量を高くすることが難しいという課題があった。例えば、α-メチル基を有するメチルメタクリレート(MMA)の場合、高温で重合を行うと、副反応である休止種(ドーマント種)末端からのヨウ素脱離が顕著に生ずるため、長時間の重合が難しく、そのため、分子量を高くすることが難しいという課題があった。また、モノマーの種類によっては重合の制御が難しい場合があった。例えば、アクリレートモノマーを重合する際の制御が難しい場合があった。
【0023】
また、従来のリビングラジカル重合においては、遷移金属錯体を触媒として用いる場合、およびニトロキシルを保護基として用いる場合を除いて、過酸化物やジアゾ化合物などのラジカル開始剤が使用されていたために、例えば、以下の欠点があった。
【0024】
(1)ラジカル開始剤から生成するラジカルがモノマーと反応して、リビングラジカル重合のメカニズムに基づかない反応が行われ、その結果として、所望のポリマーよりも分子量の低いポリマーが生成物中に混入し、分子量分布が広くなってしまう。
【0025】
(2)ブロック共重合を行う場合に、生成物中に単独重合体が混入してしまう。例えば、モノマーAを重合したセグメントにモノマーBを重合したセグメントを連結した構造のブロック共重合体を合成する際に、ラジカル開始剤とモノマーBとの反応によるホモポリマーが生成してしまい、結果としてブロック共重合体の純度が低下してしまう。
【0026】
(3)リビングラジカル重合においては、例えば、星形ポリマー、くし形ポリマーと呼ばれる分岐ポリマーを合成することが可能である。このような分岐ポリマーの重合を行う場合に、ラジカル開始剤から生成するラジカルがモノマーと反応して、リビングラジカル重合のメカニズムに基づかない反応が行われると、生成物中に直鎖重合体が混入してしまう。
【0027】
(4)表面重合を行う場合に、表面に結合していない重合体が生成してしまう。リビングラジカル重合においては、固体の表面を開始点として重合を行って固体表面にポリマーが結合した生成物を得ることが可能である。このような場合に、ラジカル開始剤から生成するラジカルがモノマーと反応して、リビングラジカル重合のメカニズムに基づかない反応が行われると、表面に結合していない重合体が生成してしまい、収率が低下する。
【0028】
従って、ラジカル開始剤を使用せずにリビングラジカル重合を行う方法が望まれている。ここで、上述した遷移金属を中心元素とする触媒を用いる場合には、ラジカル開始剤を使用せずにリビングラジカル重合を行うことが可能であるが、遷移金属を中心元素とする触媒については、上述した欠点があるので、産業的に利用するのは困難であった。非特許文献4は、保護基をニトロキシルとして用いる方法を記載するが、保護基をニトロキシルとして用いた場合も、保護基が非常に高価であるなどの上述した欠点があるので、やはり、産業的に利用するのは困難である。
【先行技術文献】
【0029】

【特許文献1】特開2002-249505号公報
【特許文献2】特開平11-322822号公報
【特許文献3】特開2007-92014号公報
【特許文献4】国際公開WO2008/139980号公報
【特許文献5】国際公開WO2011/016166号公報
【0030】

【非特許文献1】Journal of The American Chemical Society 119,674-680(1997)
【非特許文献2】Polymer Preprints 2005, 46(2), 245-246, 「Germanium- and Tin-Catalyzed Living Radical Polymerizations of Styrene」、American Chemical Society, Division of Polymer Chemistry
【非特許文献3】Polymer Preprints 2007, 56(2), 2452「ゲルマニウムおよびリン化合物を用いた新しいリビングラジカル重合」高分子学会、第56回高分子討論会
【非特許文献4】Macromolecules 26,2987-2988(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、リビングラジカル重合のための高い活性を有する触媒およびこの触媒を用いた重合法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果として、本発明を完成させた。すなわち、本発明によれば、以下の触媒および重合方法ならびに触媒の使用などが提供され、そのことにより上記課題が解決される。
【0033】
(1) リビングラジカル重合法のための触媒であって、
該触媒は、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物であって、該非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ハロゲン化物イオンとイオン結合を形成している、
触媒。
【0034】
(2) 上記項1に記載の触媒であって、前記非金属原子が、第15族元素、第16族元素または第17族元素から選択され、該非金属原子には、1つ~4つの有機基が結合している、
触媒。
【0035】
(3) 上記項1または2のいずれか1項に記載の触媒であって、前記非金属原子が、窒素、リン、硫黄、またはヨウ素から選択される、触媒。
【0036】
(4) 上記項1~3のいずれか1項に記載の触媒であって、
前記カチオンの状態の非金属原子が、2つ~4つの有機基に共有結合しており、かつ、該非金属原子が1つのハロゲン化物イオンにイオン結合しており、
該有機基のうちの2つが結合してヘテロ環を形成してもよく、
ここで、該非金属原子には、前記ハロゲン化物イオンと、該有機基以外の置換基が結合していない、
触媒。
【0037】
(5) 上記項4に記載の触媒であって、
前記非金属化合物中に、非金属原子が1つまたは2つ存在し、
該非金属原子が2つ存在する場合には、その2つの非金属原子は前記有機基を介して連結されている、
、触媒。
【0038】
(6) 上記項4または5に記載の触媒であって、
前記有機基が炭化水素基または置換炭化水素基であり、
該炭化水素基中の炭素数が1~15であり、
該置換炭化水素基中の炭化水素部分の炭素数が1~15である、
触媒。
【0039】
(7) 上記項1~6のいずれか1項に記載の触媒であって、前記非金属原子にイオン結合したハロゲン化物イオンがヨウ化物イオンまたは臭化物イオンである、触媒。
【0040】
(8)
上記項1~7のいずれか1項に記載の触媒であって、前記非金属原子にイオン結合したハロゲン化物イオンがヨウ化物イオンである、触媒。
【0041】
(9) 上記項4~6のいずれか1項に記載の触媒であって、
前記有機基が、飽和炭化水素基、置換飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基または置換芳香族炭化水素基であるか、あるいは、該有機基が炭化水素基もしくは置換炭化水素基であって前記非金属原子と一緒になって芳香族環構造を形成する、触媒。
【0042】
(10) 上記項9に記載の触媒であって、
前記有機基が、低級アルキル、低級ハロアルキル、アリール、またはハロゲン化アリールであるか、あるいは、
該有機基が不飽和炭化水素またはハロゲン化不飽和炭化水素であって、前記非金属原子と一緒になって芳香族環構造を形成する、
触媒。
【0043】
(11) リビングラジカル重合を行う工程を包含する重合方法であって、該リビングラジカル重合工程が、上記項1~10のいずれか1項に記載の触媒の存在下で行われる、方法。
【0044】
(12) 上記項11に記載の方法であって、前記リビングラジカル重合を行う際の反応混合物にラジカル開始剤が添加されない、方法。
【0045】
(13) 上記項11~12のいずれか1項に記載の方法であって、前記リビングラジカル重合反応において炭素-ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物が使用され、該有機ハロゲン化物から与えられるハロゲンが成長鎖の保護基として使用される、方法。
【0046】
(14) 上記項11~13のいずれか1項に記載の方法であって、前記リビングラジカル重合を行う際の反応温度が30℃~85℃である、方法。
【0047】
(15)
上記項11~14のいずれか1項に記載の方法であって、Iが前記リビングラジカル重合反応の活性化剤として使用され、Iが該リビングラジカル重合反応の不活性化剤として使用される、方法。
【0048】
(16)
リビングラジカル重合法における触媒の使用であって、該触媒が、請求項1~10のいずれか1項に記載の触媒であり、ここで、該重合法が、該触媒の存在下でリビングラジカル反応を行う工程を包含する、使用。
【0049】
(15)
上記項1~項10のいずれか1項に記載の触媒を含む、リビングラジカル重合のための原料組成物。
【0050】
なお、好ましい実施形態においては、前記炭素-ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物が、以下の一般式(II)を有する化合物であり:
CR (II)
ここで、RおよびRは、独立して、ハロゲン、水素またはアルキルであり、Rはハロゲン、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシアノであり、Xはハロゲンであり、
そして前記ラジカル反応性不飽和結合を有するモノマーが以下から選択される:
(メタ)アクリル酸エステルモノマー、芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、カルボニル基含有不飽和モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ジエン系モノマー、ビニルエステルモノマー、N-ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、ハロゲン化ビニルモノマー、および1-オレフィンモノマー。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、高い活性を有するリビングラジカル重合のための触媒およびそれを用いた重合方法が提供される。
【0052】
この触媒は、リビングラジカル重合を行う際に、ラジカル開始剤を使用する必要がないという顕著な利点を有する。
【0053】
また、この触媒は、低毒性であるという利点を有する。この触媒は、反応液に高溶解性であるという利点を有し、そのため、配位子を添加して錯体とする必要もない。この触媒は、高い活性を有するため、重合反応に高温(例えば、110℃超)を必要とすることもなく、低温(例えば、30℃~80℃)で反応を充分に進行させることができる。そして触媒の使用量を低減することができる。また、ポリマー成長鎖を反応中に保護するために高価な特殊な保護基を必要とすることもない。さらに、本発明の方法により得られたポリマーから得られる成形品は、成形時に着色したり臭いがついたりすることが実質的にないという利点を有する。
【0054】
さらに、本発明は、下記の長所を有する。
【0055】
(1)経済性
安価な触媒が提供される。
【0056】
(2)人体および環境への安全性
多くの有機化合物は毒性が低く、人体に摂取されても害が少ない。したがって、安全性の観点に基づいて生成ポリマーから除去する必要性がない。何らかの理由により、除去する場合であっても、水への溶解性が高いなどの特長により、除去作業が極めて容易である。
【0057】
(3)リサイクル性
有機化合物を担持したビーズは各種市販されている。本発明の触媒化合物をビーズに担持させて触媒として用いることも可能である。これらのビーズは回収可能であり、さらに、何度も再使用することができる。
【0058】
(4)モノマー汎用性
様々な種類のモノマーにおいてリビングラジカル重合を行うことが可能となる。特に、反応性の高い官能基を有するモノマーの重合の際に、有機化合物は、そのモノマーの官能基の影響を受け難いので有利である。同様に、反応性の高い官能基を有する溶媒を用いる際にも有利である。また、本発明の触媒は活性が高く、アクリレートを含む広範なモノマー群に適用可能である。
【0059】
(5)高分子量体の合成
本発明の触媒は活性が高く、低い温度でも重合が可能である。低温で重合を行うことにより、副反応が抑制され、高分子量体の合成が可能である。
【0060】
このように、本発明によれば、従来法に比べて格段に環境に優しく経済性に優れるリビングラジカル重合法が実現された。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、CP-I(化学式は後述する:(式1A)(80mM)と触媒(BMPI(化学式は後述する:実施例で用いられた触媒化合物の構造式一覧)(40mM)またはTEA(40mM)およびI(1mM))を含むメタクリル酸メチル(MMA)の重合を行った結果のln([M]/[M])対t(時間)のプロットを示す。なお、[M]と[M]は、それぞれ、時間ゼロおよびtでのモノマー濃度であり、ln([M]/[M])が大きいほど、モノマー消費率(重合率)が高いことを意味する。白丸は、TEA(トリエチルアミン)40mMおよびI(ヨウ素)1mMを用いた90℃での実験結果(実施例1のentry C-2))を示す。黒丸は、BMPIを用いた80℃での実験結果(実施例1のentry 1)を示す。黒四角は、BMPIを用いた60℃での実験結果(実施例1のentry 2)を示す。
【図2】図2は、CP-I(80mM)と触媒(BMPI(40mM)またはTEA(40mM)およびI(1mM))を含むメタクリル酸メチル(MMA)の重合を行った結果の、MおよびM/M対Conversion(重合率)のプロットを示す。白丸は、TEA(トリエチルアミン)40mMおよびI(ヨウ素)1mMを用いた90℃での実験結果(実施例1のentry C-2))を示す。黒丸は、BMPIを用いた80℃での実験結果を示す(実施例1のentry 1)。黒四角は、BMPIを用いた60℃での実験結果を示す(実施例1のentry 2)を示す。Theoretical lineと記載された理論値と整合する結果が得られている。なお、理論値は、後述する計算式(数1)のMn,theoであり、計算式(数1)中のR-Iは、図2の場合はCP-Iである。Mはいずれの実験においても、理論値とよく一致した。
【図3】図3は、実施例1のentry 3、25、47の結果を示す。すなわち、CP-I(20mM,10mMまたは5mM)とBMPI(80mM)を用いてメタクリル酸メチル(MMA)の重合を60℃で行った結果の、MおよびM/M対Conversion(重合率)のプロットを示す。黒丸は、CP-I20mMの値を示す。黒四角は、CP-I10mMの値を示す。黒三角は、CP-I5mMの値を示す。Theoretical lineと記載された理論値と整合する結果が得られている。Mはいずれの触媒濃度においても、理論値とよく一致した。
【図4】本発明の概念を示す模式図であり、本発明のリビングラジカル重合の鍵となる反応を示す。この図においては、触媒となる化合物がAで示され、その化合物にヨウ素が結合した化合物がAと黒丸との結合した図として示されている。この触媒は、ラジカル開始剤を必要としないという特徴を有し、また、従来技術の遷移金属触媒等に比べて安価であり、超高活性であるため少ない触媒量で使用することが可能であり、触媒を製造する際に精製が不要であるかあるいは精製が必要な場合であってもその精製は容易であり、低毒性あるいは無毒であるために人体および環境に対する安全性が高いという特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0063】
(一般的用語)
以下に本明細書において特に使用される用語を説明する。

【0064】
本明細書において「非金属化合物」とは、非金属元素を含む化合物をいう。

【0065】
本明細書において「非金属元素」とは、周期律表の元素のうち、金属元素以外の元素をいう。周期律表の族の観点から好ましくは、周期律表の第14族~第17族の元素である。また、周期律表の周期の観点から好ましくは、周期律表の第2周期~第5周期の元素である。

【0066】
非金属元素として、具体的な例としては、例えば、第14族元素のうちの炭素、第15族元素のうちの窒素およびリン、第16族元素のうちの酸素、硫黄およびセレン、第17族元素のうちのフッ素、塩素、臭素およびヨウ素などがある。

【0067】
本明細書において「非金属原子」とは、非金属元素の原子をいう。

【0068】
本明細書において「非金属元素カチオン」とは、非金属元素であって、カチオンの状態になっているものをいう。

【0069】
本明細書において「有機基」とは、有機物から構成される置換基、例えば、炭化水素、置換炭化水素などをいう。

【0070】
本明細書において「炭化水素」とは、炭素と水素により構成される分子または基をいう。鎖状の炭化水素は、直鎖または分枝鎖であり得る。環状の炭化水素は、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状炭化水素が結合した構造であってもよい。炭化水素の炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。さらに好ましくは、1~10である。

【0071】
炭化水素分子または炭化水素基が不飽和である場合、不飽和結合は、二重結合であってもよく、三重結合であってもよい。当該炭化水素分子または炭化水素基は、1つのみの不飽和基を有していてもよく、2つ以上の不飽和基を有していてもよい。

【0072】
本明細書において「置換炭化水素」とは、炭化水素であって、1つまたは複数の水素が置換基で置換されたものをいう。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。ここで、置換基としては、ハロゲン、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルカルボキシル基(エステル基)、アルキルカルボニル基(ケトン基)などが使用可能である。

【0073】
本明細書において「芳香族炭化水素」とは、芳香族性を有する炭化水素、例えば、アリールおよびヘテロアリールなどをいう。

【0074】
本明細書において「ヘテロ環」とは、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄などと、炭素原子とから骨格が構成される環をいう。

【0075】
本明細書において「飽和炭化水素」とは、不飽和結合を含まない炭化水素をいう。

【0076】
本明細書において「不飽和炭化水素」とは、不飽和結合を含む炭化水素をいう。不飽和結合は二重結合であってもよく、三重結合であってもよい。不飽和結合の数は1つであってもよく、複数であってもよい。

【0077】
本明細書において「ハロゲン化不飽和炭化水素」とは、不飽和炭化水素であって、1つまたは複数の水素がハロゲンで置換されたものをいう。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。

【0078】
本明細書において「置換飽和炭化水素」とは、飽和炭化水素であって、1つまたは複数の水素が置換基で置換されたものをいう。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。ここで、置換基としては、ハロゲン、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボニル基などが使用可能である。

【0079】
本明細書において「置換芳香族炭化水素」とは、芳香族炭化水素であって、1つまたは複数の水素が置換基で置換されたものをいう。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。ここで、置換基としては、アルキルまたはアルキルオキシ、ハロゲン、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボニル基などが使用可能である。

【0080】
本発明の1つの実施形態においては、触媒化合物の置換基として、共鳴構造を有する不飽和炭化水素または共鳴構造を有するハロゲン化不飽和炭化水素を使用することができる。本明細書において「共鳴構造を有する不飽和炭化水素」とは、炭化水素であって、二重結合と単結合とを交互に有するものをいう。例えば、「-CH=CH-CH=CH-CH=」のような構造を有するものである。この不飽和炭化水素は、鎖状構造であってもよく、環状構造であっても良い。また、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状炭化水素が結合した構造であってもよい。炭化水素の炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。さらに好ましくは、1~10である。

【0081】
本明細書において「共鳴構造を有するハロゲン化不飽和炭化水素」とは上記共鳴構造を有する不飽和炭化水素のうちの1つまたは複数の水素がハロゲンで置換されたものをいう。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。

【0082】
炭化水素の具体例としては、後述するアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールなどを含む。

【0083】
本明細書において「アルキル」とは、鎖状または環状の脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいう。鎖状の場合は、一般にC2k+1-で表される(ここで、kは正の整数である)。鎖状のアルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のアルキルは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状アルキルが結合した構造であってもよい。アルキルの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。本明細書において「アルキレン」とは、アルキルから水素原子がさらに一つ失われて生ずる2価の基をいう。

【0084】
本明細書において「低級アルキル」とは、炭素数の比較的少ないアルキル基を意味する。好ましくは、C1~10アルキルであり、より好ましくは、C1~5アルキルであり、さらに好ましくは、C1~3アルキルである。具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどである。本明細書において「低級アルキレン」とは、低級アルキルから水素原子がさらに一つ失われて生ずる2価の基をいう。

【0085】
本明細書において「アルケニル」とは、二重結合を有する鎖状または環状の脂肪族炭化水素(アルケン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいう。二重結合を1つ有する鎖状アルケンの場合は、一般にC2k-1-で表される(ここで、kは正の整数である)。二重結合の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。二重結合の数に上限は特にないが、10以下であってもよく、あるいは5以下であってもよい。二重結合と単結合とが交互に繰り返される構造が好ましい。鎖状のアルケニルは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のアルケニルは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状構造が結合した構造であってもよい。また、二重結合は、環状構造部分に存在してもよく、鎖状構造部分に存在してもよい。アルケニルの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。本明細書において「アルケニレン」とは、アルケニルから水素原子がさらに一つ失われて生ずる2価の基をいう。

【0086】
本明細書において「低級アルケニル」とは、アルケニルであって、比較的炭素数の少ないものをいう。低級アルケニルにおいて、炭素数は、好ましくは、C2~10であり、より好ましくは、C2~5であり、さらに好ましくは、C2~3である。アルケニルの具体例としては、例えば、ビニルなどがある。

【0087】
好ましい実施形態において、アルケニルは式:-CR=CRで示される。R、R、Rは水素でもよく、アルキル基でもよく、その他の置換基(例えば、アルケニル、アルキルカルボキシル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、アミノ基、シアノ基、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはアルキル置換アリール)であっても良い。R、R、Rがすべて水素の場合、この基はビニル基である。

【0088】
本明細書において「ハロゲン化アルケニル」とは、アルケニルの水素がハロゲンで置換されたものをいう。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。

【0089】
本明細書において「ハロゲン化低級アルケニル」とは、低級アルケニルの水素がハロゲンで置換されたものをいう。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。

【0090】
本明細書において「アルキニル」とは、三重結合を有する鎖状または環状の脂肪族炭化水素(アルキン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいう。三重結合を1つ有する鎖状アルキンの場合は、一般にC2k-3-で表される(ここで、kは正の整数である)。三重結合の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。三重結合の数に上限は特にないが、10以下であってもよく、あるいは5以下であってもよい。三重結合と単結合とが交互に繰り返される構造が好ましい。鎖状のアルキニルは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のアルキニルは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状構造が結合した構造であってもよい。また、三重結合は、環状構造部分に存在してもよく、鎖状構造部分に存在してもよい。アルキニルの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。本明細書において「アルキニレン」とは、アルキニルから水素原子がさらに一つ失われて生ずる2価の基をいう。

【0091】
アルキニルは、比較的炭素数の少ないもの、すなわち低級アルキニルであってもよい。この場合、炭素数は、好ましくは、C2~10であり、より好ましくは、C2~5であり、さらに好ましくは、C2~3である。

【0092】
好ましい実施形態において、アルキニルは式:-C≡CR10で示される。R10は水素でもよく、アルキル基でもよく、その他の置換基(例えば、アルケニル、アルキルカルボキシル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、アミノ基、シアノ基、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アルキル置換アリールまたはアルコキシ置換ヘテロアリール)であっても良い。

【0093】
本明細書において「アルコキシ」とは、上記アルキル基に酸素原子が結合した基をいう。すなわち、上記アルキル基をR-と表した場合にRO-で表される基をいう。鎖状のアルコキシは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のアルコキシは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状アルキルが結合した構造であってもよい。アルコキシの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。

【0094】
本明細書において「低級アルコキシ」とは、炭素数の比較的少ないアルコキシ基を意味する。好ましくは、C1~10アルコキシであり、より好ましくは、C1~5アルコキシであり、さらに好ましくは、C1~3アルコキシである。具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどである。

【0095】
本明細書において「アルキルカルボキシル」とは、上記アルキル基にカルボキシル基が結合した基をいう。すなわち、上記アルキル基をR-と表した場合にRCOO-で表される基をいう。鎖状のアルキルカルボキシルは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のアルキルカルボキシルは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状アルキルが結合した構造であってもよい。アルキルカルボキシルの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。

【0096】
本明細書において「低級アルキルカルボキシル」とは、炭素数の比較的少ないアルキルカルボキシル基を意味する。好ましくは、C1~10であり、より好ましくは、C1~5であり、さらに好ましくは、C1~3である。

【0097】
本明細書において「アルキルカルボニル」とは、上記アルキル基にカルボニル基が結合した基をいう。すなわち、上記アルキル基をR-と表した場合にRCO-で表される基をいう。鎖状のアルキルカルボニルは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のアルキルカルボニルは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状アルキルが結合した構造であってもよい。アルキルカルボニルの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。

【0098】
本明細書において「低級アルキルカルボニル」とは、炭素数の比較的少ないアルキルカルボニル基を意味する。好ましくは、C1~10であり、より好ましくは、C1~5であり、さらに好ましくは、C1~3である。

【0099】
本明細書において「ハロアルキル」とは、上記アルキル基の水素がハロゲンで置換された基をいう。鎖状のハロアルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のハロアルキルは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状アルキルが結合した構造であってもよい。ハロアルキルの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。ハロアルキルにおいては、そのすべての水素がハロゲンに置換されていてもよく、一部の水素のみが置換されていてもよい。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。なお、本明細書においては、「ハロゲン化アルキル」も「ハロアルキル」と同義である。

【0100】
本明細書において「低級ハロアルキル」とは、炭素数の比較的少ないハロアルキル基を意味する。好ましくは、C1~10であり、より好ましくは、C1~5であり、さらに好ましくは、C1~3である。好ましい低級ハロアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基などが挙げられる。低級ハロアルキルにおいては、そのすべての水素がハロゲンに置換されていてもよく、一部の水素のみが置換されていてもよい。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。なお、本明細書においては、「ハロゲン化低級アルキル」は「低級ハロアルキル」と同義である。

【0101】
本明細書において「ハロアルケニル」とは、上記アルケニル基の水素がハロゲンで置換された基をいう。ハロアルケニルにおいては、そのすべての水素がハロゲンに置換されていてもよく、一部の水素のみが置換されていてもよい。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。なお、本明細書においては、「ハロゲン化アルケニル」は「ハロアルケニル」と同義である。

【0102】
本明細書において「低級ハロアルケニル」とは、炭素数の比較的少ないハロアルケニル基を意味する。好ましくは、C2~10であり、より好ましくは、C2~5であり、さらに好ましくは、C2~3である。低級ハロアルケニルにおいては、そのすべての水素がハロゲンに置換されていてもよく、一部の水素のみが置換されていてもよい。置換される水素原子の数は1つであっても複数であってもよく、例えば、2つ~5つの水素原子が置換されてもよい。なお、本明細書においては、「ハロゲン化低級アルケニル」は「低級ハロアルケニル」と同義である。

【0103】
本明細書において「置換アルキル」とは、アルキル基の水素が置換基に置換された基を意味する。このような置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリールまたはシアノなどが挙げられる。

【0104】
本明細書において「ハロゲン化置換アルキル」とは、アルキル基の水素がハロゲンに置換され、かつアルキル基の別の水素が別の置換基に置換された基を意味する。当該別の置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリールまたはシアノなどが挙げられる。

【0105】
本明細書において「アリール」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱して生ずる基をいう。アリールを構成する芳香族炭化水素の環の数は、1つであってもよく、2つ以上であっても良い。好ましくは、1~3である。分子内芳香族炭化水素の環が複数存在する場合、それらの複数の環は縮合していてもよく、縮合していなくてもよい。具体的には、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ビフェニルなどである。

【0106】
本明細書において「ヘテロアリール」とは、アリールの芳香環の環骨格を構成する元素に、炭素以外のヘテロ元素を含む基をいう。ヘテロ原子の例としては、具体的には、酸素、窒素、イオウなど挙げられる。芳香環中のヘテロ原子の数は特に限定されず、例えば、1つのみのヘテロ原子を含んでもよく、2つまたは3つあるいは4つ以上のヘテロ原子が含まれてもよい。

【0107】
本明細書において「置換アリール」とは、アリールに置換基が結合して生ずる基をいう。本明細書において「置換ヘテロアリール」とは、ヘテロアリールに置換基が結合して生ずる基をいう。

【0108】
本明細書において「ハロゲン」とは、周期表7B族に属するフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の1価の基をいう。好ましくは、臭素またはヨウ素であり、より好ましくはヨウ素である。

【0109】
本明細書において「リビングラジカル重合」とは、ラジカル重合反応において連鎖移動反応および停止反応が実質的に起こらず、単量体が反応しつくした後も連鎖成長末端が活性を保持する重合反応をいう。この重合反応では、重合反応終了後でも生成重合体の末端に重合活性を保持しており、モノマーを加えると再び重合反応を開始させることができる。

【0110】
リビングラジカル重合の特徴としては、モノマーとドーマント種(本明細書中で後述)の濃度比を調節することにより任意の平均分子量をもつ重合体の合成ができること、また、生成する重合体の分子量分布が極めて狭いこと、ブロック共重合体へ応用できること、などが挙げられる。なお、リビングラジカル重合は「LRP」と略される場合もある。

【0111】
本明細書において「中心元素」とは、触媒となる化合物を構成する原子のうち、ハロゲン原子と結合して主に触媒作用を担う原子を意味する。従来技術において使用される「中心金属」との用語と同じ意味であるが、本発明において用いられる中心元素は金属ではないから、誤解を避けるために、従来技術における用語「中心金属」の代わりに、「中心元素」との用語を用いる。

【0112】
以下、本発明について詳細に説明する。

【0113】
(触媒)
本発明においては、リビングラジカル重合法のための触媒として、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物を用いる。1つの好ましい実施形態においては、有機基を有する非金属化合物、すなわち非金属元素含有の有機化合物を使用する。

【0114】
本発明の触媒化合物中には、カチオンになり得る非金属元素が含まれる。本発明の触媒化合物中には、非金属元素カチオンとハロゲン化物イオンとのイオン結合が存在するため、触媒として高い活性が達成されると考えられる。1つの好ましい実施形態においては、触媒として使用される非金属化合物は、窒素、リン、硫黄、またはヨウ素から選択される非金属元素を有する。

【0115】
好ましくは、非金属化合物は、金属元素を含まない。

【0116】
本発明において、触媒となる非金属化合物においては非金属元素がカチオンの状態となって(すなわち、非金属元素カチオンとなって)、ハロゲン化物イオンとイオン結合を形成している。そしてこの非金属元素カチオンとハロゲン化物イオンとが存在することにより、触媒として高い活性が達成される。なお、この触媒作用に関しては、この非金属元素カチオンまたはハロゲン化物イオン、あるいは、非金属元素カチオンとハロゲン化物イオンとの全体がドーマント種からのラジカルの引き抜き反応を触媒すると考えられる。なお、遷移金属触媒とは異なり、リビングラジカル重合の際に、本発明の触媒化合物の非金属元素はイオン価が変化しない。

【0117】
ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物は、ドーマント種からハロゲンを引き抜く反応および、その逆反応を好適に制御することが可能であり、そのため、リビングラジカル重合を触媒することができる。

【0118】
本発明の触媒においては、非金属原子にハロゲン化物イオンがイオン結合している。

【0119】
本発明の触媒においては、非金属原子に有機基が共有結合していることが好ましい。

【0120】
本発明の触媒においては、非金属原子にハロゲン化物イオンおよび有機基以外の置換基が結合していないことが好ましい。

【0121】
さらに、本発明の触媒は、好ましくは、非金属原子に水素原子が結合していない。

【0122】
好ましい実施態様では、非金属化合物において、非金属原子に飽和脂肪族、不飽和脂肪族もしくは芳香族の炭化水素基が結合している。

【0123】
触媒の非金属化合物は、1つのみの非金属原子を有してもよく、2つ以上の非金属原子を有していてもよい。好ましくは、1~10個の非金属原子を有する。より好ましくは、1~6個の非金属原子を有する。さらに好ましくは、1~4個の非金属原子を有する。特に好ましくは、1~3個の非金属原子を有する。また、触媒中のハロゲンがヨウ素または臭素である場合には、特に好ましくは、1~2個の非金属原子を有する。

【0124】
1つのみの非金属原子が存在する場合、好ましい触媒化合物は、その1つの非金属原子に有機基(例えば、炭化水素)が結合している化合物である。好ましい化合物の具体例としては、例えば、一般式ARで示される化合物であり、ここで、Aは非金属原子であり、好ましい実施形態では窒素、リン、硫黄、またはヨウ素である。Rは炭化水素置換基であり、好ましい実施形態では、アルキル、アリールなどである。Rが低級アルキルの場合、一般的に化合物が安価であるので好ましい。nは、AおよびRの原子価が分子全体として釣り合うように決められる数である。

【0125】
2つ以上の非金属原子が存在する場合、それぞれの非金属原子は、有機基(例えば、炭化水素基)により連結されることが好ましい。

【0126】
また、2つ以上の非金属原子が存在する場合、それぞれの非金属原子は、同じであってもよく、異なっても良い。例えば、3つの非金属原子が存在する場合、それぞれの非金属原子は、互いに異なっていて、3種類の非金属原子がその化合物内に存在してもよく、3つのうちの2つが同じであって残りの1つが異なっていて、2種類の非金属原子がその化合物内に存在してもよく、3つとも同じであって、1種類の非金属原子がその化合物内に存在しても良い。

【0127】
また、触媒の非金属化合物においては、1つの非金属原子に結合した2つの有機基が互いに結合して、環構造を形成してもよい。

【0128】
また、例えば、2つ以上の非金属原子が存在する場合、2つ以上の非金属原子がそれぞれ環構造を形成してもよい。また、2つの非金属原子と、2つの有機基が結合して1つの環構造を形成してもよい。また、2つの非金属原子が直接結合して非金属原子からなる鎖状構造が形成されてもよい。好ましくは、2つの非金属原子が2つの有機基を介して連結されて1つの環を形成する。例えば、3つ以上の非金属原子が存在する場合、3つ以上の非金属原子がそれぞれ環構造を形成してもよい。また、3つの非金属原子と、3つの有機基が結合して1つの環構造を形成してもよい。また、3つの非金属原子が直接結合して非金属原子からなる鎖状構造が形成されてもよい。

【0129】
好ましい化合物の具体例としては、例えば、基本骨格として一般式Rで示される構造を有する化合物であり、ここで、Aは非金属原子であり、好ましい実施形態では窒素、リン、硫黄、ヨウ素である。R~Rは非金属原子に結合した有機基であり、好ましくは炭化水素基もしくは置換炭化水素基であり、好ましい実施形態では、アルキル、アリールなどである。R~Rが低級アルキルまたはフェニルの場合、一般的に化合物が安価であるので好ましい。R~Rのうちの2つが互いに結合して環構造を形成してもよい。

【0130】
なお、非金属原子の原子価に依存して、Rが存在しない場合もあり、RおよびRが存在しない場合もある。すなわち、一般式Rまたは一般式Rで表される場合もある。

【0131】
また、触媒化合物には、2つ以上の非金属原子が存在してもよい。2つ以上の非金属原子が存在する場合、そのうちの1つのみがカチオンとなってハロゲン化物イオンと結合するものであってもよく、2つ以上の非金属原子がハロゲン化物イオンと結合するものであってもよい。

【0132】
触媒化合物に、2つの非金属原子が存在する場合、例えば、基本骨格として、一般式(R)(R)(X)nで示される構造を有することができる。ここで、R~Rは非金属原子Aに結合した有機基であり、R~Rは非金属原子Aに結合した有機基であり、nはAおよびAの全体としてのイオン価に対応する数である。非金属原子の原子価に依存して、RまたはRが存在しない場合もあり、RおよびRがまたはRおよびRが存在しない場合もある。R~RのうちのいずれかとR~Rのうちのいずれかが結合して連結されることが好ましい。RとRとが結合し、RとRとが結合して、2つの非金属原子を含む環構造を形成してもよい。なお、上記R~Rは、後述する一般式(II)におけるR~Rとは独立して選択される。

【0133】
また、非金属原子と有機基が環構造を形成する場合、形成される環構造が芳香族へテロ環となることが好ましい。ここで、その芳香族へテロ環の中には1つのみの非金属原子が存在してもよく、2つの非金属原子が存在してもよく、3つ以上の非金属原子が存在してもよい。芳香族ヘテロ環を構成する原子の数は特に限定されない。例えば、3員環~15員環などが可能である。4員環~12員環が好ましく、4員環~8員環がより好ましく、5員環または6員環が特に好ましい。

【0134】
また、1つの実施形態においては、触媒化合物中の非金属原子に結合する原子は、二重結合または三重結合を有していてもよい。すなわち、非金属原子に共有結合した原子(以下、便宜上、「1位原子」という)と、非金属原子との間に二重結合または三重結合が存在するか、または1位原子と、1位原子に隣接する非金属原子以外の原子(以下、便宜上、「2位原子」という)との間に二重結合または三重結合が存在してもよい。

【0135】
また、1つの実施形態においては、非金属原子Aに2つの有機基RおよびRが結合して、非金属原子Aと有機基RおよびRにより形成される骨格構造中に、単結合と二重結合が交互に存在する構造、すなわち、共役構造を有し、非金属原子Aがその共役構造の一部となっていることが好ましい。

【0136】
また、2つ以上の非金属原子が直接結合して直鎖状の骨格を形成する場合には、そのうちの2つの非金属原子間の結合は単結合であってもよく、二重結合であってもよく、三重結合であってもよい。二重結合が好ましい。さらに、2つの非金属原子が2重結合を形成している場合には、その2つの非金属原子のうちの1つに有機基が結合して、その有機基と2つの非金属原子が、共役構造を有することが好ましい。例えば、2つの非金属原子A、Bが存在する場合、A、Bと有機基中の2つの炭素原子C、Cが、A=B-C=C-という構造を形成することが好ましい。

【0137】
触媒の非金属化合物の化合物全体としての炭素数は、好ましくは3以上であり、より好ましくは6以上である。さらに好ましくは8以上である。また、好ましくは100以下であり、より好ましくは20以下である。

【0138】
触媒の非金属化合物の分子量は、好ましくは50以上であり、より好ましくは100以上である。さらに好ましくは200以上である。また、好ましくは1000以下であり、より好ましくは800以下であり、さらに好ましくは600以下であり、いっそう好ましくは500以下であり、特に好ましくは400以下である。

【0139】
本発明において、触媒は、低分子ドーマント種として使用される炭素-ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物と組み合わせて使用することができる。触媒は、リビングラジカル重合の際に、この有機ハロゲン化物からハロゲンを引き抜いて、ラジカルを生成させる。従って、本発明において、触媒は、ドーマント種として使用される化合物の、生長反応を抑制している基をはずして活性種に変換し生長反応をコントロールする。なお、ドーマント種は有機ハロゲン化物に限定されない。

【0140】
なお、特許文献2は、その請求項1において、ヒドリドレニウム錯体およびハロゲン化炭化水素の組み合わせがラジカルリビング重合用触媒であると記載しているが、特許文献2に記載されたハロゲン化炭化水素はリビングラジカル重合の触媒ではなく、ドーマント種に該当するものであるから、特許文献2に記載されたハロゲン化炭化水素は触媒とは区別される。

【0141】
触媒の非金属化合物は、少なくとも1つの非金属原子を有する。1つの好ましい実施形態では、1つの非金属原子を有するが、2つ以上の非金属原子を有しても良い。

【0142】
有機化合物の多くは導電性を有さない。そのため、例えば、ポリマー中に導電性物質が残存することが望ましくない用途(例えば、レジストや有機EL、電池などの電子材料)に用いられるポリマーの場合には、有機化合物を触媒として用いることが好ましい。

【0143】
また、多くの有機化合物は、一般に、人体への毒性および環境への影響においても有利である。このため、導電性物質の残存が許容される用途であっても、有機化合物からなる触媒を用いることは、従来技術における遷移金属錯体触媒などに比べて著しく有利である。

【0144】
さらに、本発明の触媒は、少ない使用量で触媒作用を行うことができるという特徴があるから、上述したように、人体への毒性および環境への影響が少ない材料を、少ない量で使用することが可能になり、従来の触媒に比べて、非常に有利である。

【0145】
(触媒中の基)
触媒化合物は、必要に応じて、様々な基を有していてもよい。例えば、非金属原子に、任意の有機基または無機基を結合させることが可能である。例えば、上記一般的用語の項において説明した様々な置換基を使用することができる。

【0146】
このような基は、有機基であってもよく、無機基であってもよい。有機基としては、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アルキル基、アルケニル基(例えば、ビニル基)、アルキニル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、置換アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基など)、エステル基(脂肪族カルボン酸エステルなど)、アルキルカルボニル基(メチルカルボニル基など)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基など)などが挙げられる。1つの好ましい実施形態では、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アルケニル基(例えば、ビニル基)、またはアルキニル基である。

【0147】
また、無機基としては、水酸基、アミノ基、シアノ基などが挙げられる。アミノ基は、必要に応じて置換されていてもよい。なお、アミノ基は無機基であるが、アミノ基が有機基によって置換されている場合には、本明細書中においてそのような置換アミノ基は便宜上、有機基に分類する。

【0148】
有機基として、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールのような共役系の有機基を有する非金属化合物を使用することも可能である。あるいは、アルケニル基またはアルキニル基などのように不飽和結合を有する有機基を組み合わせて使用して共役系を有する触媒化合物を形成することも可能である。しかし、非共役系の有機基(例えば、アルキル基)を有する触媒化合物はラジカルの活性がより高くなる傾向にあり、より好ましい。

【0149】
置換アリールまたは置換ヘテロアリールにおいてアリールまたはヘテロアリールに結合する置換基としては、例えば、アルキルまたはアルキルオキシ、シアノ基、アミノ基等が挙げられる。アルキルとしては、低級アルキルが好ましく、より好ましくは、C~Cアルキルであり、さらに好ましくは、C~Cアルキルであり、特に好ましくは、メチルである。アルキルオキシにおけるアルキルとしては、低級アルキルが好ましく、より好ましくは、C~Cアルキルであり、さらに好ましくは、C~Cアルキルであり、特に好ましくは、メチルである。すなわち、1つの実施形態において、非金属原子に結合する有機基は、フェニル、低級アルキルフェニルまたは低級アルキルオキシフェニルである。

【0150】
上記有機基の数は特に限定されないが、1つの非金属原子に1つ~4つの有機基が結合していることが好ましく、1つの非金属原子に2つ~4つの有機基が結合していることがより好ましい。

【0151】
上記無機基の数は特に限定されないが、好ましくは、3以下であり、より好ましくは、1である。

【0152】
なお、置換アリールまたは置換ヘテロアリールにおける当該置換基の数は、特に限定されないが、好ましくは1~3であり、より好ましくは1~2であり、さらに好ましくは、1である。

【0153】
置換アリールまたは置換ヘテロアリールにおける当該置換基の位置は、任意に選択される。アリールがフェニルである場合(すなわち、置換アリールが置換フェニルである場合)、置換基の位置は非金属原子に対してオルト、メタ、パラのいずれの位置であってもよい。好ましくは、パラの位置である。

【0154】
(触媒化合物の具体例)
触媒化合物の好ましい具体例としては、例えば、非金属原子として窒素を有するものとして、各種イミダゾール塩化合物(例えば、1-メチル-3-メチル-イミダゾリウムヨーダイド(EMIZI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIZBr))、各種ピリジン塩化合物(例えば、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨーダイド(CMPI))、各種4級アミン塩化合物(例えば、テトラブチルアンモニウムヨーダイド(BNI)、テトラブチルアンモニウムトリヨーダイド(BNI)、テトラブチルアンモニウムブロモジヨーダイド(BNBrI))、2種類の非金属元素を含む化合物(例えば、ヘキサフェニルジホスファゼニウムクロリド(PPNCl))およびこれらの誘導体が使用可能である。

【0155】
なお、EMIZIおよびEMIZBrなどのイミダゾール塩化合物においては、イミダゾール環が共鳴構造を有するので、2つの窒素原子の両方とハロゲン化物イオンとの間に結合が生じて、中心元素として機能する部分が形成されると考えられる。

【0156】
非金属元素としてリンを有するものとして、各種ホスホニウム塩化合物(例えば、メチルトリブチルホスホニウム ヨーダイド(BMPI)、テトラフェニルホスホニウムヨーダイド(PPI))、およびこれらの誘導体などが挙げられる。

【0157】
非金属元素として硫黄を有するものとして、トリブチルスルホニウムヨーダイド(BSI)、およびこれらの誘導体などが挙げられる。

【0158】
非金属元素としてヨウ素を有するものとして、ジフェニルヨードニウムヨーダイド(PII)などが挙げられる。

【0159】
このような、触媒として作用できる非金属化合物は、ラジカル反応の実験を行うことにより、容易に確認することができる。具体的には、非金属化合物と、代表的なドーマント種(例えば、CP-I、PE-I(化学式は後述する:(式1A)および(式1B))とを組み合わせて、ラジカル開始剤を用いずにリビングラジカル重合反応の実験を行い、狭い分子量分布が得られれば、その非金属化合物が触媒として作用したことが確認される。

【0160】
触媒化合物は、1つの実施態様においては、ラジカル反応性二重結合を有さないものである。

【0161】
(触媒の製造方法)
本発明の触媒として使用される化合物は、その多くは公知化合物であり、試薬販売会社などから市販されているものをそのまま用いることが可能であり、あるいは、公知の方法により合成することが可能である。また、天然物中に存在する化合物は、その天然物から抽出するなどの方法により入手することもできる。

【0162】
例えば、触媒として、窒素のカチオンに炭化水素基(例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、置換アリールまたは置換ヘテロアリール)が結合したものを用いる場合、窒素のカチオンが芳香環に含まれる芳香族へテロ環構造をもつものを含め、このような化合物としては市販されているものを用いることができる。例えば、各種イミダゾール塩、ピリジン塩などの化合物が市販されている。またはこのような化合物は公知の方法により合成することができる。

【0163】
例えば、触媒として、リンのカチオンに炭化水素基(例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、置換アリールまたは置換ヘテロアリール)が結合したものを用いる場合、このような化合物としては市販されているものを用いることができる。またはこのような化合物は公知の方法により合成することができる。

【0164】
例えば、触媒として、ヨウ素のカチオンを有する有機化合物を用いる場合、このような化合物としては市販されているものを用いることができる。またはこのような化合物は公知の方法により合成することができる。

【0165】
例えば、触媒として、硫黄のカチオンを有する有機化合物を用いる場合、このような化合物としては市販されているものを用いることができる。またはこのような化合物は公知の方法により合成することができる。

【0166】
(触媒の使用量)
本発明の触媒は、極めて活性が高く、少量でリビングラジカル重合を触媒することが可能である。

【0167】
本発明の方法において、触媒として使用される化合物は、理論上溶媒として使用され得る液体の化合物である場合もある。しかし、触媒として使用するにあたっては、溶媒としての効果を奏するほど大量に用いる必要はない。したがって、触媒の使用量は、いわゆる「溶媒量」(すなわち溶媒としての効果を達成するのに必要な量)よりも少ない量とすることができる。本発明の方法において、触媒は、上述した通り、リビングラジカル重合を触媒するのに充分な量で使用されればよく、それ以上に添加する必要はない。

【0168】
具体的には、例えば、好ましい実施形態では、反応溶液1リットルに対して、触媒使用量を80ミリモル(mM)以下または40ミリモル以下とすることが可能であり、10ミリモル以下とすることも可能である。さらに好ましい実施形態では、反応溶液1リットルに対して、触媒使用量を5ミリモル以下とすることが可能であり、2ミリモル以下とすることも可能である。さらには、1ミリモル以下とすることも可能であり、0.5ミリモル以下とすることも可能である。重量基準では、触媒使用量を反応溶液のうちの8重量%以下または4重量%以下、あるいは1重量%以下とすることが可能である。好ましい実施形態では、0.75重量%以下とすることが可能であり、また0.70重量%以下とすることも可能であり、さらに好ましい実施形態では、0.5重量%以下とすることが可能であり、0.2重量%以下とすることも可能であり、さらには0.1重量%以下とすることも可能であり、0.05重量%以下とすることも可能である。例えば、リン触媒の場合、0.75重量%以下とすることが可能であり、また0.70重量%以下とすることも可能であり、さらに好ましい実施形態では、0.5重量%以下とすることが可能であり、0.2重量%以下とすることも可能であり、さらには0.1重量%以下とすることも可能であり、0.05重量%以下とすることも可能である。すなわち、溶媒として効果を奏するよりも「格段に」少ない量とすることが可能である。

【0169】
また、触媒の使用量は、好ましくは、反応溶液1リットルに対して、0.02ミリモル以上であり、より好ましくは、0.1ミリモル以上であり、さらに好ましくは、0.5ミリモル以上である。重量基準では、触媒使用量を反応溶液のうちの0.001重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは、0.005重量%以上であり、さらに好ましくは、0.02重量%以上である。触媒の使用量が少なすぎる場合には、分子量分布は広くなり易い。

【0170】
なお、重合速度を上昇させたい場合には、触媒の濃度を比較的高い濃度とすることが好ましい。触媒の量を比較的多い量とすれば、分子量分布を狭くしてかつ重合速度を上昇させることができる。すなわち、触媒の量が多ければ、ラジカルの量が多くなり、重合速度が上昇する。また、触媒の量が多ければ、後述するスキーム1に示す活性化-不活性化のサイクルの頻度が高まり、分子量分布を狭くすることができる。

【0171】
1つの実施形態において、本発明のリビングラジカル重合方法においては、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物からなる触媒以外のリビングラジカル重合触媒または触媒前駆体化合物(以下、「他種触媒または他種触媒前駆体化合物」)を併用しなくても、充分にリビングラジカル重合を行うことが可能である。しかし、必要に応じて、他種触媒または他種触媒前駆体化合物を併用することも可能である。その場合、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物の利点をできるだけ生かすためには、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物の使用量を多く、かつ、他種触媒または他種触媒前駆体化合物の使用量を少なくすることが好ましい。そのような場合、他種触媒または他種触媒前駆体化合物の使用量は、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物100重量部に対して、100重量部以下とすることが可能であり、50重量部以下とすることも可能であり、20重量部以下、10重量部以下、5重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、0.5重量部以下、0.2重量部以下または0.1重量部以下とすることも可能である。すなわち、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物以外の触媒を実質的に含まない反応溶液においてリビングラジカル反応を行うことが可能である。

【0172】
(保護基)
本発明の方法には、リビングラジカル重合の反応途中の成長鎖を保護する保護基を用いる。このような保護基としては、従来からリビングラジカル重合に用いる保護基として公知の各種保護基を用いることが可能である。ここで、保護基としてハロゲンを用いることが好ましい。従来技術に関して上述したとおり、特殊な保護基を用いる場合には、その保護基が非常に高価であることなどの欠点がある。

【0173】
(有機ハロゲン化物(低分子ドーマント種))
本発明の方法においては、好ましくは、炭素-ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物を反応材料に添加し、この有機ハロゲン化物から成長鎖に与えられるハロゲンを保護基として用いる。このような有機ハロゲン化物は比較的安価であるので、リビングラジカル重合に用いられる保護基のために用いられる公知の他の化合物に比べて有利である。また、必要に応じて、炭素以外の元素にハロゲンが結合した低分子ドーマント種を用いることも可能である。

【0174】
ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、分子中に少なくとも1個の炭素-ハロゲン結合を有してドーマント種として作用するものであればよく特に限定されるものではない。しかし、一般的には有機ハロゲン化物の1分子中にハロゲン原子が1個または2個含まれているものが好ましい。

【0175】
ここで、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、ハロゲンが脱離して炭素ラジカルが生成した際に、炭素ラジカルが不安定であることが好ましい。従って、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物としては、ハロゲンが脱離して炭素ラジカルが生成した際に、炭素ラジカルを安定化させる置換基が2つ以上当該炭素ラジカルとなる炭素原子に結合しているものは適さない。ただし、炭素ラジカルを安定化させる置換基が1つ当該炭素ラジカルとなる炭素原子に結合しているものは、適度なラジカル安定性を示すことが多く、ドーマント種として使用可能である。

【0176】
ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物のハロゲンが結合した炭素(以下、便宜上、「有機ハロゲン化物の1位炭素」という)が有する水素は、2つ以下であることが好ましく、1つ以下であることがより好ましく、水素を有さないことがさらに好ましい。また、有機ハロゲン化物の1位炭素に結合しているハロゲンの数は、3つ以下であることが好ましく、2つ以下であることがより好ましく、1つであることがさらに好ましい。特に、有機ハロゲン化物の1位炭素に結合しているハロゲンが塩素である場合には、その塩素の数は、3つ以下であることが非常に好ましく、2つ以下であることがいっそう好ましく、1つであることがとりわけ好ましい。

【0177】
ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物の1位炭素には、炭素が1つ以上結合していることが好ましく、炭素が2つまたは3つ結合していることが特に好ましい。

【0178】
ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物のハロゲン原子は、好ましくは、塩素、臭素またはヨウ素である。より好ましくは臭素またはヨウ素である。分子量分布を小さくするという観点から、最も好ましくはヨウ素である。1つの実施形態では臭素も好ましく使用可能である。臭素化合物は、一般に、ヨウ素化合物に比べて安定なため、低分子ドーマント種の保存が容易である点、および生成ポリマーから末端ハロゲンを除去する必要性が比較的低い点が利点として挙げられる。さらに、臭素を複数持った化合物は、多くが市販または容易に合成でき、星型、くし型、表面グラフト化型などの多様な分岐高分子を容易に合成できる。また、臭素を末端に持った化合物からブロック共重合体が容易に合成できるという利点もある。

【0179】
また、ハロゲン原子を有する触媒化合物を使用する場合には、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物のハロゲン原子は、触媒中のハロゲン原子と同一であってもよく、異なってもよい。異種のハロゲン原子であっても、有機ハロゲン化物と触媒の化合物との間で、互いにハロゲン原子を交換することが可能であるからである。ただし、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物のハロゲン原子と、触媒中のハロゲン原子とが同一であれば、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物と触媒の化合物との間でのハロゲン原子の交換がより容易であるので、好ましい。

【0180】
1つの実施形態において、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、以下の一般式(II)を有する。

【0181】
CR (II)
ここで、Rは、ハロゲン、水素またはアルキルである。好ましくは、水素または低級アルキルである。より好ましくは、水素またはメチルである。

【0182】
は、Rと同一であってもよく、または異なってもよく、ハロゲン、水素またはアルキルである。好ましくは、水素または低級アルキルである。より好ましくは、水素またはメチルである。

【0183】
は、ハロゲン、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルカルボキシル、またはシアノである。好ましくは、アリール、ヘテロアリール、アルキルカルボキシル、またはシアノである。Rが、ハロゲン、水素またはアルキルである場合、RはRまたはRと同一であってもよく、または異なってもよい。

【0184】
は、ハロゲンである。好ましくは、塩素、臭素またはヨウ素である。より好ましくは臭素またはヨウ素であり、最も好ましくはヨウ素である。R~Rにハロゲンが存在する場合、Xは、そのR~Rのハロゲンと同一であってもよく、異なっていてもよい。1つの実施形態では、Xのハロゲンは、触媒化合物に含まれるハロゲンと同じハロゲンとすることができる。しかし、触媒化合物に含まれるハロゲンと異なるハロゲンであってもよい。

【0185】
上記R~RおよびXは、それぞれ、互いに独立して選択されるが、R~Rのうちにハロゲン原子が0または1つ存在すること(すなわち、有機ハロゲン化物として、化合物中に1または2つのハロゲン原子が存在すること)が好ましい。

【0186】
1つの好ましい実施形態では、低分子ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化置換アルキルである。より好ましくは、ハロゲン化置換アルキルである。ここで、アルキルは2級アルキルであることが好ましく、より好ましくは3級アルキルである。

【0187】
低分子ドーマント種として使用されるハロゲン化アルキルまたはハロゲン化置換アルキルにおいてアルキルの炭素数は2または3であることが好ましい。従って、低分子ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、さらに好ましくは、ハロゲン化置換エチルまたはハロゲン化置換イソプロピルである。低分子ドーマント種として使用されるハロゲン化置換アルキルにおける置換基としては、例えば、フェニルまたはシアノなどが挙げられる。

【0188】
低分子ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物の好ましい具体例としては、例えば、以下の、CH(CH)(Ph)I、およびC(CH(CN)Iなどである。
(代表的な低分子ドーマント種の構造式)

【0189】
【化16】
JP0005995848B2_000002t.gif
(式1A) (式1B)

【0190】
ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物の別の具体例としては、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ブロモメチル、ジブロモメタン、ブロモホルム、ブロモエタン、ジブロモエタン、トリブロモエタン、テトラブロモエタン、ブロモトリクロロメタン、ジクロロジブロモメタン、クロロトリブロモメタン、ヨードトリクロロメタン、ジクロロジヨードメタン、ヨードトリブロモメタン、ジブロモジヨードメタン、ブロモトリヨードメタン、ヨードホルム、ジヨードメタン、ヨウ化メチル、塩化イソプロピル、塩化t-ブチル、臭化イソプロピル、臭化t-ブチル、トリヨードエタン、ヨウ化エチル、ジヨードプロパン、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化t-ブチル、ブロモジクロロエタン、クロロジブロモエタン、ブロモクロロエタン、ヨードジクロロエタン、クロロジヨードエタン、ジヨードプロパン、クロロヨードプロパン、ヨードジブロモエタン、ブロモヨードプロパン、2-ヨード-2-ポリエチレングリコシルプロパン、2-ヨード-2-アミジノプロパン、2-ヨード-2-シアノブタン、2-ヨード-2-シアノ-4-メチルペンタン、2-ヨード-2-シアノ4-メチル-4-メトキシペンタン、4-ヨード-4-シアノ-ペンタン酸、メチル-2-ヨードイソブチレート、2-ヨード-2-メチルプロパンアミド、2-ヨード-2,4-ジメチルペンタン、2-ヨード-2-シアノブタノール、4-メチルペンタン、シアノ-4-メチルペンタン、2-ヨード-2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド4-メチルペンタン、2-ヨード-2-メチル-N-(1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド4-メチルペンタン、2-ヨード-2-(2-イミダソリン-2-イル)プロパン、2-ヨード-2-(2-(5-メチル-2-イミダソリン-2-イル)プロパン等が挙げられる。これらのハロゲン化物は単独で用いてもよく、または組合せて用いてもよい。

【0191】
本発明の方法において、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、溶媒として使用されるものではないので、溶媒としての効果を奏するほど大量に用いる必要はない。したがって、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物の使用量は、いわゆる「溶媒量」(すなわち溶媒としての効果を達成するのに必要な量)よりも少ない量とすることができる。本発明の方法において、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、上述した通り、成長鎖にハロゲンを保護基として提供するために使用されるので、反応系中の成長鎖に充分な量のハロゲンを提供できれば充分である。具体的には、例えば、本発明の方法においてドーマント種として使用される有機ハロゲン化物の使用量は、重合反応系中における触媒としての非金属化合物1モル当たり0.05モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.5モル以上であり、さらに好ましくは1モル以上である。また、重合系中における触媒としての非金属化合物1モル当たり100モル以下であることが好ましく、より好ましくは30モル以下であり、さらに好ましくは5モル以下である。さらに、ビニル系単量体(モノマー)の1モル当たり0.0001モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.0005モル以上である。また、ビニル系単量体の1モル当たり0.5モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.4モル以下であり、さらに好ましくは0.3モル以下であり、特に好ましくは0.2モル以下であり、最も好ましくは0.1モル以下である。さらに、必要に応じて、ビニル系単量体の1モル当たり0.07モル以下、0.05モル以下、0.03モル以下、0.02モル以下0.01モル以下、0.005モル以下、もしくは0.001モル以下とすることも可能である。

【0192】
上記ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、その多くの化合物が公知化合物であり、試薬販売会社などから市販されている試薬などをそのまま用いることが可能である。あるいは、従来公知の合成方法を用いて合成してもよい。

【0193】
ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物は、その原料を仕込み、有機ハロゲン化物を重合中にin situすなわち反応溶液中で生成させ、それをこの重合法の有機ハロゲン化物として使用することもできる。例えば、アゾ系ラジカル開始剤(例えば、アゾビス(イソブチロニトリル))とハロゲン単体の分子(例えば、ヨウ素(I))を原料として仕込み、その両者の反応により有機ハロゲン化物(例えば、ヨウ化アルキルであるCP-I(化学式は上記のとおり))を重合中にin situで生成させ、それをこの重合法のドーマント種として使用することができる。

【0194】
ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物としては、無機または有機固体表面や、無機または有機分子表面などの表面に固定化したものを使用することもできる。例えば、シリコン基板表面、高分子膜表面、無機または有機微粒子表面、顔料表面などに固定化した有機ハロゲン化物を使用することができる。固定化には、例えば、化学結合や物理結合などが利用できる。

【0195】
また、ドーマント種としては、ハロゲン化アルキル部位を複数有する化合物を用いることもできる。ハロゲン化アルキル部位を2つ有する化合物からは、例えば、2種類のモノマーAとモノマーBのブロック共重合を行うと、BAB型のトリブロック共重合体が合成できる。さらに、ハロゲン化アルキル部位を複数有する化合物としては、有機化合物中のアルキルにハロゲンが結合した構造を有する化合物を好ましく使用できるが、必要に応じて、無機化合物に複数のハロゲン化アルキル部位が結合した構造を有する化合物を使用することもできる。ハロゲン化アルキル部位を複数有する化合物は分子量の低い化合物であっても良く、分子量の高い化合物であっても良い。すなわち、高分子または超分子の化合物を使用することもできる。また、ハロゲン化アルキル部位を複数有する化合物として、反応溶液中に溶解しない化合物を、固体のまま用いて、その固体表面から高分子鎖を成長させることもできる。このように、ハロゲン化アルキル部位を複数有する化合物として、多様な構造を有する化合物を使用することが可能である。そして、多様な構造を有する化合物を使用することにより、星型、くし型、表面グラフト化型などの多様な分岐高分子を合成できる。

【0196】
また、ハロゲン化アルキル部位を末端に持った高分子化合物を用いてブロック共重合体を合成することもできる。この方法によれば、例えば、リビングラジカル重合以外の方法で合成された高分子と、リビングラジカル重合で合成された高分子のブロック共重合体も合成できる。

【0197】
(モノマー)
本発明の重合方法には、モノマーとして、ラジカル重合性モノマーを用いる。ラジカル重合性モノマーとは、有機ラジカルの存在下にラジカル重合を行い得る不飽和結合を有するモノマーをいう。このような不飽和結合は二重結合であってもよく、三重結合であってもよい。すなわち、本発明の重合方法には、従来から、リビングラジカル重合を行うことが公知の任意のモノマーを用いることができる。

【0198】
より具体的には、いわゆるビニルモノマーと呼ばれるモノマーを用いることができる。ビニルモノマーとは、一般式「CH=CR」で示されるモノマーの総称である。

【0199】
この一般式においてRがメチルであり、Rがカルボシキシレートであるモノマーをメタクリレート系モノマーといい、本発明に好適に用いることができる。

【0200】
メタクリレート系モノマーの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2-ヒドロキシ3-フェノキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等が挙げられる。また、メタクリル酸も用いることができる。また、2-(N,N-ジエチル-N-メチルアミノ)エチルメタクリレート/トリフルオロスルホニルイミニウム(N(CFSO)塩、2-(N-エチル-N-メチル-N-水素化アミノ)エチルメタクリレート/トリフルオロスルホニルイミニウム(N(CFSO)塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタクリレート/フルオロハイドロジェネーション((FH))塩、N-エチル-N-メチルピロリジニウムメタクリレート/フルオロハイドロジェネーション((FH))塩などのイオン液体性のメタクリレートを用いることができる。

【0201】
上記ビニルモノマーの一般式においてRが水素であり、Rがカルボキシレートで示されるモノマーは、一般にアクリル系モノマーと言い、本発明に好適に使用可能である。

【0202】
アクリレート系モノマーの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-ヒドロキシ3-フェノキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレートなどが挙げられる。また、アクリル酸も使用可能である。また、2-(N,N-ジエチル-N-メチルアミノ)エチルアクリレート/トリフルオロスルホニルイミニウム(N(CFSO)塩、2-(N-エチル-N-メチル-N-水素化アミノ)エチルアクリレート/トリフルオロスルホニルイミニウム(N(CFSO)塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアクリレート/フルオロハイドロジェネーション((FH))塩、N-エチル-N-メチルピロリジニウムアクリレート/フルオロハイドロジェネーション((FH))塩などのイオン液体性のアクリレートを用いることができる。

【0203】
アクリレートのリビングラジカル重合の制御は一般に困難であるが、本発明によれば、制御することが可能である。特に、窒素系およびリン系の触媒を使用すれば、アクリレートの重合を好適に制御できる。

【0204】
上記ビニルモノマーの一般式においてRが水素であり、Rがフェニルで示されるモノマーはスチレンであり、本発明に好適に使用可能である。Rがフェニルまたはフェニル誘導体で示されるモノマーは、スチレン誘導体といい、本発明に好適に使用可能である。具体的には、o-、m-、p-メトキシスチレン、o-、m-、p-t-ブトキシスチレン、o-、m-、p-クロロメチルスチレン、o-、m-、p-クロロスチレン、o-、m-、p-ヒドロキシスチレン、o-、m-、p-スチレンスルホン酸等が挙げられる。また、Rが芳香族である、ビニルナフタレン等が挙げられる。

【0205】
上記ビニルモノマーの一般式においてRが水素であり、Rがアルキルであるモノマーはアルキレンであり、本発明に好適に使用可能である。

【0206】
本発明には、2つ以上のビニル基を有するモノマーも使用可能である。具体的には、例えば、ジエン系化合物(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)、アリル基を2つ有する化合物(例えば、ジアリルフタレートなど)、メタクリルを2つ有するジメタクリレート(たとえばエチレングリコールジメタクリレート)、アクリルを2つ有するジアクリレート(たとえばエチレングリコールジアクリレート)などである。

【0207】
本発明には、上述した以外のビニルモノマーも使用可能である。具体的には、例えば、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル)、上記以外のスチレン誘導体(例えば、α-メチルスチレン)、ビニルケトン類(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン)、N-ビニル化合物(例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール)、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体(例えば、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド)、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、マレイン酸およびその誘導体(例えば、無水マレイン酸)、ハロゲン化ビニル類(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラクロロエチレン、ヘキサクロロプロピレン、フッ化ビニル)、オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1-ヘキセン、シクロヘキセン)などである。

【0208】
これらは単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。

【0209】
上述したモノマーの種類と、本発明の触媒の種類との組み合わせは特に限定されず、任意に選択されたモノマーに対して任意に選択された本発明の触媒を用いることが可能である。

【0210】
(ラジカル反応開始剤)
本発明の触媒を用いれば、このようなラジカル反応開始剤を用いなくても重合反応を行うことができる。しかしながら、本発明のリビングラジカル重合方法においては、必要に応じて、少量のラジカル反応開始剤を用いてもよい。このようなラジカル反応開始剤としては、ラジカル反応に使用する開始剤として公知の開始剤が使用可能である。例えば、アゾ系のラジカル反応開始剤および過酸化物系のラジカル開始剤などが使用可能である。アゾ系のラジカル反応開始剤の具体例としては、例えば、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V65),2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V70)が挙げられる。過酸化物系のラジカル開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-butyl peroxybenzoate(BPB)、di(4-tert-butylcyclohexyl) peroxydicarbonate(PERKADOX16)、過酸化二硫酸カリウムが挙げられる。

【0211】
ラジカル開始剤を使用する必要がない場合には、ラジカル開始剤による悪影響を回避する効果を最大にするためには、ラジカル開始剤は実質的に用いないことが好ましく、その使用量をゼロとすることが最も好ましい。ここで、「実質的に用いない」とは、ラジカル開始剤による重合反応への影響が実質的に生じないほどに、ラジカル開始剤の量が少ないことを意味する。具体的には、例えば、本発明の触媒1モルに対してラジカル開始剤の量が10ミリモル以下であることが好ましく、1ミリモル以下であることが好ましく、0.1ミリモル以下であることがさらに好ましい。

【0212】
他方、本発明においては、必要に応じて、ラジカル開始剤を使用することも可能である。ラジカル開始剤を使用すれば、反応溶液中のラジカルの量が増えることになり、重合速度を上昇させることができる。

【0213】
ラジカル開始剤を用いる場合には、その使用量は特に限定されない。好ましくは、反応液1リットルに対して、0.1ミリモル以上であり、より好ましくは、0.5ミリモル以上であり、さらに好ましくは、1ミリモル以上である。また、好ましくは、反応液1リットルに対して、500ミリモル以下であり、より好ましくは、100ミリモル以下であり、さらに好ましくは、50ミリモル以下である。特に好ましくは、10ミリモル以下である。

【0214】
(溶媒)
モノマーなどの反応混合物が反応温度において液体であれば、必ずしも溶媒を用いる必要はない。必要に応じて、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、従来、リビングラジカル重合に用いられていた溶媒をそのまま使用することが可能である。溶媒を用いる場合には、その使用量は重合反応が適切に行われる限り特に限定されないが、モノマー100重量部に対して1重量部以上用いることが好ましく、10重量部以上用いることがより好ましく、50重量部以上用いることがさらに好ましい。溶媒の使用量が少なすぎる場合には、反応溶液の粘度が高くなりすぎる場合がある。また、モノマー100重量部に対して2000重量部以下とすることが好ましく、1000重量部以下とすることがより好ましく、500重量部以下とすることがさらに好ましい。溶媒の使用量が多すぎる場合には、反応溶液のモノマー濃度が薄くなりすぎる場合がある。

【0215】
モノマーと混ざり合わない溶媒を用いることにより、乳化重合や、分散重合、懸濁重合を行うこともできる。例えば、スチレンやメタクリレートをモノマーとした場合、水を溶媒とすることで、乳化重合や、分散重合、懸濁重合を行うことができる。

【0216】
(その他の添加剤等)
上述したリビングラジカル重合のための各種材料には、必要に応じて、公知の添加剤等を必要量添加してもよい。そのような添加剤としては、例えば、重合抑制剤などが挙げられる。

【0217】
(原料組成物)
上述した各種原料を混合することにより、リビングラジカル重合の材料として適切な原料組成物が得られる。得られた組成物は、従来公知のリビングラジカル重合方法に用いることができる。

【0218】
原料組成物は、以下の成分を含む:
(1)触媒;および
(2)ラジカル反応性不飽和結合を有するモノマー。

【0219】
原料組成物は、必要に応じて、以下から選択される1種類または複数種類の成分をさらに含むことができる:
(3)低分子ドーマント種(例えば、炭素-ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物);
(4)有機ハロゲン化物を反応溶液中で生成させるための原料(例えば、ハロゲン分子およびアゾ系ラジカル開始剤の組み合わせ);
(5)溶媒;および
(6)ラジカル開始剤。

【0220】
原料組成物は、上記成分(1)~(6)のすべてを含んでもよい。しかし、成分(3)~(6)は必須ではない。ただし、反応に際しては触媒およびモノマーに加えて、低分子ドーマント種が存在することが必要である。そのため、成分(3)または(4)の少なくとも一方を原料組成物に含めることが好ましい。しかし、成分(3)または(4)を用いずに、成分(1)および(2)などから反応溶液中で低分子ドーマント種を生成させてもよい。通常は、上記成分(3)または成分(4)の一方、すなわち、低分子ドーマント種またはその原料のいずれか一方を使用すれば十分である。また、溶媒が必要でない場合には、溶媒を使用しなくても良い。さらに、ラジカル開始剤が必要でない場合には、ラジカル開始剤を使用しなくてもよい。

【0221】
1つの実施形態では、原料組成物は、本明細書中で上述した各種原料以外の原料を含まない。例えば、環境問題などの観点から、原料組成物は、遷移金属を含む原料を実質的に含まないことが好ましい。

【0222】
1つの好ましい実施形態では、原料組成物は、上記成分(1)~(6)以外の成分を実質的に含まない。ラジカル開始剤が必要ではない場合には、上記成分(1)~(5)以外の成分を実質的に含まない原料組成物としてもよい。また、溶媒が必要ではない場合には、上記成分(1)~(4)および(6)以外の成分を実質的に含まない原料組成物としてもよい。さらに、ラジカル開始剤および溶媒が必要ではない場合には、上記成分(1)~(4)以外の成分を実質的に含まない原料組成物としてもよい。

【0223】
また、原料組成物は、リビングラジカル重合に無関係な材料(例えば、エピスルフィド化合物など)を実質的に含まないことが好ましい。さらに、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物からなる触媒の利点をできるだけ生かしたい場合には、原料組成物は、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物からなる触媒以外のリビングラジカル重合触媒または触媒前駆体を実質的に含まない組成物とすることが可能である。

【0224】
1つの実施形態では、原料組成物は、実質的に、触媒と、ラジカル反応性不飽和結合を有するモノマーと、上記成分(3)~成分(6)から選択される1種類または複数種類の成分とからなる組成物である。

【0225】
(反応温度)
本発明の方法における反応温度は特に限定されない。好ましくは、10℃以上であり、より好ましくは、20℃以上であり、さらに好ましくは、30℃以上であり、いっそう好ましくは、40℃以上であり、特に好ましくは、50℃以上である。また、好ましくは、130℃以下であり、より好ましくは、120℃以下であり、さらに好ましくは、110℃以下であり、いっそう好ましくは、105℃以下であり、特に好ましくは、100℃以下である。また、必要に応じて、90℃以下とすることも可能であり、85℃以下とすることも可能であり、80℃以下とすることも可能であり、70℃以下とすることも可能であり、60℃以下とすることも可能であり、50℃以下とすることも可能である。

【0226】
温度が高すぎる場合には、生成するポリマーの分子量を非常に高くものにすることが難しい場合がある。また、温度が高すぎる場合には、加熱のための設備等にコストがかかるという欠点がある。温度が室温以下の場合には、冷却のための設備等にコストがかかるという欠点がある。また、室温以下で重合するように反応混合物を調製すると、その反応混合物が室温では不安定で反応してしまうために、反応混合物の保管が困難になるという欠点がある。したがって、上記の、室温より少し高く、かつ過度に高すぎない温度範囲(例えば、30℃から100℃)は、実用的な意味において非常に好適である。

【0227】
本発明においては、比較的低い温度で反応を行うことが可能である。例えば、30℃から80℃で反応を行うことが可能である。このように低い温度で反応を行えば、副反応であるドーマント種末端からのヨウ素脱離を抑制しながら反応を行うことができるので、分子量の高いポリマーを合成するのに非常に有利である。

【0228】
(反応時間)
本発明の方法における反応時間は特に限定されない。好ましくは、15分間以上であり、より好ましくは、30分間以上であり、さらに好ましくは、1時間以上である。また、1つの実施形態では、5日以下であり、好ましくは、3日以下であり、より好ましくは、2日以下であり、さらに好ましくは、1日以下である。

【0229】
反応時間が短すぎる場合には、充分な分子量(あるいは重合率(モノマー転化率))を得ることが難しい。反応時間が長すぎる場合には、プロセス全体としての効率が悪い。適切な反応時間とすることにより、優れた性能(適度な重合速度と副反応の軽減)が達成され得る。

【0230】
(雰囲気)
本発明の方法における重合反応は、反応容器中に空気が存在する条件下で行ってもよい。また、必要に応じて窒素やアルゴンなどの不活性ガスで空気を置換しても良い。

【0231】
本発明のリビングラジカル重合方法は、単独重合、すなわち、ホモポリマーの製造に応用することが可能であるが、共重合に本発明の方法を用いてコポリマーを製造することも可能である。共重合としては、ランダム共重合であってもよく、ブロック共重合であってもよい。

【0232】
ブロック共重合体は、2種類以上のブロックが結合した共重合体であってもよく、3種類以上のブロックが結合した共重合体であってもよい。

【0233】
2種類のブロックからなるブロック共重合の場合、例えば、第1のブロックを重合する工程と、第2のブロックを重合する工程とを包含する方法によりブロック共重合体を得ることができる。この場合、第1のブロックを重合する工程に本発明の方法を用いてもよく、第2のブロックを重合する工程に本発明の方法を用いてもよい。第1のブロックを重合する工程と、第2のブロックを重合する工程の両方に本発明の方法を用いることが好ましい。

【0234】
より具体的には例えば、第1のブロックを重合した後、得られた第1のポリマーの存在下に、第2のブロックの重合を行うことにより、ブロック共重合体を得ることができる。第1のポリマーは、単離精製した後に、第2のブロックの重合に供することもできるし、第1ポリマーを単離精製せず、第1のポリマーの重合の途中または完結時に、第1の重合に第2のモノマーを添加することにより、ブロックの重合を行うこともできる。

【0235】
3種類のブロックを有するブロック共重合体を製造する場合も、2種類以上のブロックが結合した共重合体を製造する場合と同様に、それぞれのブロックを重合する工程を行って、所望の共重合体を得ることができる。そして、すべてのブロックの重合において本発明の方法を用いることが好ましい。

【0236】

ドーマント種として、ハロゲン化アルキル部位を複数有する化合物を用いることもできる。ハロゲン化アルキル部位を2つ有する化合物からは、例えば、モノマーAとモノマーBのブロック共重合を行うと、BAB型のトリブロック共重合体が合成できる。さらに、ハロゲン化アルキル部位を複数有する無機/有機の低分子/高分子/超分子/固体からは、星型、くし型、表面グラフト化型などの多様な分岐高分子を合成できる。
また、ハロゲン化アルキル部位を末端に持った高分子化合物から、ブロック共重合体が合成できる。これにより、例えば、リビングラジカル重合以外の方法で合成された高分子と、リビングラジカル重合で合成された高分子のブロック共重合体も合成できる。

【0237】
(反応メカニズム)
本発明は特に理論に束縛されないが、その推定されるメカニズムを説明する。

【0238】
リビングラジカル重合法の基本概念はドーマント種(polymer-X)の成長ラジカル(polymer・)への可逆的活性化反応にあり、保護基Xにハロゲンを、活性化の触媒として遷移金属錯体を用いた系は、有用なリビングラジカル重合法の一つである。本発明によれば、非金属化合物を用いて、高い反応性で、有機ハロゲン化物のハロゲンを引き抜くことが可能であり、ラジカルを可逆的に生成させることができる(スキーム1)。

【0239】
従来から、一般に、遷移金属はその電子が様々な遷移状態にあり得るため、各種化学反応を触媒する作用に優れることが知られている。このため、リビングラジカル重合の触媒としても、遷移金属が優れていると考えられていた。逆に、典型元素はこのような触媒には不利であると考えられていた。すなわち、非金属化合物、特に有機化合物は触媒として不利であると考えられていた。

【0240】
しかしながら、予期せぬことに、本発明によれば、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属元素化合物からなる触媒を用いることにより、極めて効率よく重合反応が進行する。これは、非金属元素とハロゲン化物イオンとのイオン結合により、中心元素として機能する部分が生じて、その化合物によるドーマント種からのハロゲン引き抜き反応が、触媒と反応中間体との間のハロゲンの交換を行う上で適切であることによると考えられる。従って、基本的には、このようなハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物であれば、良好にリビングラジカル重合を触媒できると考えられる。

【0241】
以下のスキーム1に、本発明の触媒を用いた場合の反応式を示す。
(スキーム1)

【0242】
【化17】
JP0005995848B2_000003t.gif

【0243】
ここで、Aはハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属元素化合物であり、Xはハロゲン原子である。左辺と右辺との間の可逆的な反応を行うことにより、リビングラジカル重合が制御される。

【0244】
触媒、すなわち活性化剤が休止種(Polymer-X)からハロゲンを引き抜き、重合反応が進行すると考えられる。

【0245】
ハロゲンがヨウ素である場合、この反応においては、成長ラジカル(Polymer)とヨウ素ラジカルアニオン(I・-)の錯体が可逆的に生成すると考えられる。なお、従来の遷移金属触媒では、リビング重合反応の際に中心元素のイオンの価数が変化するが、遷移金属触媒とは異なり、この反応において、触媒の非金属元素のカチオンのイオンの価数は変化しないと考えられる。

【0246】
活性の低い触媒化合物の場合には、一般的に、活性化速度定数(上記スキームにおいて左から右への反応)が大きくなく、サイクルの頻度が十分高くならないため、分子量分布を高度に制御することができない。また、活性の低い触媒化合物の場合には、不活性化速度定数(左から右への反応)が小さく、Polymer-XからPolymerがいったん生成するとなかなかPolymer-Xに戻れない。そのため、その間にPolymerに多くのモノマーが一気に付加してしまい、極端に分子量が大きくなってしまう。すなわち、重合速度は大きくなるが、リビングラジカル重合を制御することができない。分子鎖が、サイクルを何度も経て、少しずつ均等に成長するのが、リビング重合において分子量分布の制御をするための重要な特徴であるので、上記スキームにおける活性が高い触媒が望まれる。本発明の触媒はその高い活性を有するため非常に有利である。

【0247】
例えば、4つの有機基を有するリン化合物のカチオンとヨウ化物イオンとのイオン化合物を触媒として用いる場合、その反応式は、以下のとおりであると理解される。
(スキーム2)

【0248】
【化18】
JP0005995848B2_000004t.gif

【0249】
ここで、スキーム2に示すIアニオンラジカル種は、安定ラジカルではないため、Iアニオンラジカル種同士が反応して、安定なIマイナス種とIマイナス種となる。これは反応機構の解析により、実験的に確認された。
(スキーム3)

【0250】
【化18A】
JP0005995848B2_000005t.gif

【0251】
生成したIマイナス種はPolymer-Iの活性化剤として働き、Iマイナス種はPolymerラジカルと反応してPolymerラジカルをPolymer-Iに戻す不活性化剤として働く。
(スキーム4)

【0252】
【化18B】
JP0005995848B2_000006t.gif

【0253】
(スキーム5)

【0254】
【化18C】
JP0005995848B2_000007t.gif

【0255】
このように、この系の活性化剤はIマイナス種、不活性化剤はI種であることが分かった。これを応用すれば、スキーム4の左辺のようにPolymer-I(例えば、ヨウ化アルキル)とIマイナス種を組み合わせる方法だけでなく、スキーム5のようにPolymer-I(例えば、ヨウ化アルキル)、I種、およびPolymer(ラジカル供給源、例えば、アゾ化合物)を組み合わせて使用することも可能である。ラジカル供給源は、I種をI種に再生する役割と、重合を通して少しずつPolymerラジカルを供給し続ける役割を担う。スキーム5において、Polymer(ラジカル供給源、例えば、アゾ化合物)を継続的に供給すれば、継続的にIからIが再生される。

【0256】
このI種のメカニズムは、例えば、ハロゲンを3つ有する化合物(例えば、テトラブチルアンモニウムトリヨージド(BNI))を触媒として用いる場合に働くと考えられる。

【0257】
なお、重合には、I種として、市販のI種を利用できる。また、I種は、IとI種を混合することで生成する(スキーム6)。
(スキーム6)

【0258】
【化18D】
JP0005995848B2_000008t.gif

【0259】
重合には、I種として、IとI種を混合してこれを単離精製したI種を用いることもできるし、仕込み化合物としてIとI種を用いて重合中インシチュでI種を生成させて、その生成したI種をそのまま利用することもできる。

【0260】
また、同様に、IとBr種からなるBrI種(例えば、テトラブチルアンモニウムブロモジヨージド(BNBrI))を用いることもできる。

【0261】
また、BrとI種からなるBr種(例えば、テトラブチルアンモニウムジブロモヨージド(BNBrI))やBrとBr種からなるBr種(例えば、テトラブチルアンモニウムトリブロミド(BNBr))を用いることもできる。

【0262】
(生成ポリマーの末端に結合するハロゲンの除去)
本発明の方法で得られる生成ポリマーは、末端にハロゲン(例えば、ヨウ素)を有する。このポリマーを製品に使用する際には、必要があれば、末端のハロゲンを除去して、使用することもできる。また、末端のハロゲンを積極的に利用し、これを別の官能基に変換して、新たな機能を引き出すこともできる。末端のハロゲンの反応性は、一般に高く、非常に様々な反応により、その除去や変換ができる。例えば、ハロゲンがヨウ素である場合のポリマー末端の処理方法の例を以下のスキームに示す。これらのスキームに示す反応などにより、ポリマー末端を利用することができる。また、ハロゲンがヨウ素以外である場合についても、同様にポリマー末端を官能基に変換することができる。
(スキーム3)

【0263】
【化19】
JP0005995848B2_000009t.gif

【0264】
(ポリマーの用途)
上述した本発明のリビングラジカル重合方法によれば、分子量分布の狭いポリマーが得られる。例えば、反応材料の配合や反応条件を適切に選択することにより、重合平均分子量Mと数平均分子量Mとの比M/Mが1.5以下のポリマーを得ることが可能であり、さらに反応材料配合および反応条件を適切に選択することにより、M/Mが1.4以下、1.3以下、1.2以下、さらには1.1以下のポリマーを得ることが可能となる。

【0265】
本発明のリビングラジカル重合方法により得られるポリマーは、各種用途に使用可能である。例えば、レジスト、接着剤、潤滑剤、塗料、インク、分散剤、包装材、薬剤、パーソナルケア製品(整髪料・化粧品など)、エラストマー(自動車材料、工業用品、スポーツ用品、電線被服材、建築資材など)、コーティング(粉体塗装など)などの生産に使用可能である。また、新しい電子・光学・力学・結晶・分離・潤滑・医療材料の創成に利用しうる。

【0266】
本発明のリビングラジカル重合方法により得られるポリマーは、また、ポリマー中に残存する触媒量が少ないという点においても各種用途に有利に使用可能である。すなわち、従来の遷移金属系の触媒などに比べて触媒量を減らせるため、得られる樹脂の純度が高いものになり、高純度の樹脂が必要とされる用途にも好適に使用できる。触媒残渣は、用途に応じて、生成したポリマーから除去してもよいし、除去しなくともよい。このような各種用途に応じて、ポリマーは成形されたり、溶媒または分散媒に溶解または分散させたりすることがあるが、成形された後のポリマー、あるいは溶解または分散等された後のポリマーも本発明の利点を維持しているものであり、依然として本発明の重合方法で得られたポリマーの範囲に入るものである。

【0267】
本発明の重合法を用いて合成したポリマーは分子量分布が狭く、ポリマー中の残存触媒量が少なく、かつコストが安いという利点を生かして、様々な用途に利用可能である。

【0268】
例えば、ベンジルメタクリレートからなる分子量分布の狭い単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体は、高性能のレジストとして使用可能である。

【0269】
また例えば、メタクリレート(例えば、ジメチルアミノメタクリレートや、2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、メタクリル酸、アクリレート、アクリル酸などの重合体は、接着剤、塗料、インク、顔料分散剤などの用途に使用可能である。

【0270】
また、本発明の方法で多分岐ポリマーを合成すれば、潤滑剤として有用である。

【0271】
また、本発明の方法で得られたポリマー(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなど)は、薬剤除放材・医療材料にも有用である。

【0272】
また、本発明の方法で得られたポリマー(例えば、ジメチルアミノメタクリレートや、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなど)は、パーソナルケア製品(例えば、整髪料や化粧品)にも有用である。

【0273】
また、本発明の方法で得られたポリマー(例えば、(アクリレート、メタクリレート、スチレン、ジエンなど)は、エラストマーや、コーティングなどの用途にも有用である。

【0274】
また、本発明の方法で得られるポリマーは、従来にない新しい電子材料・光学材料・力学材料・結晶材料・分離材料・潤滑材料・医療材料などの創製と製造にも有用である。

【0275】
さらに本発明の方法は、例えば、表面グラフト重合に応用することも可能であり、高密度のポリマーブラシを製造して各種用途に用いることもできる。

【0276】
また、触媒として、導電性を有さない化合物を用いた場合、導電性不純物がポリマー中に残存しないことが必要とされる用途(例えばレジストや電子材料等)においても、好適に使用可能なポリマーが得られる。

【0277】
本発明の触媒は、その非金属化合物がイオン結合を有するという特徴を有する。本発明らの研究の結果、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物は、ラジカル重合反応の成長末端の可逆的活性化を触媒できることがわかった。このようなハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物は、強力な触媒となることができる。
【実施例】
【0278】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0279】
以下に、後述する各実施例で使用したモノマーおよび触媒を示す。
【実施例】
【0280】
(用いた化合物)
まず、実施例で用いた主な化合物の構造を以下に記載する。
【実施例】
【0281】
(モノマー)
実施例で用いられたモノマーの構造式を以下に示す。
【実施例】
【0282】
【化20】
JP0005995848B2_000010t.gif
【実施例】
【0283】
(触媒およびドーマント種となる有機ハロゲン化化合物)
実施例で用いられた触媒化合物の構造式を以下に示す。
【実施例】
【0284】
(実施例で用いられた触媒化合物の構造式一覧)
【実施例】
【0285】
【化21A】
JP0005995848B2_000011t.gif
【実施例】
【0286】
なお、低分子ドーマント種として用いた有機ハロゲン化化合物(CPI)の構造式は上述したとおりである。
【実施例】
【0287】
なお、以下の表において、記載の仕込み化合物の濃度は、溶媒を使用した場合、溶媒で希釈する以前の濃度である。溶媒を使用した場合、記載の仕込み混合物全体を、溶媒で希釈した。そのため、例えば、溶媒が25%の場合は、すべての仕込み化合物について、重合時の実際の濃度は記載の濃度の4分の3であり(例えば、表中でモノマーが8000mMと記載されていれば、重合時の実際の濃度は6000mMである)、溶媒が50%の場合は、重合時の実際の濃度は記載の濃度の2分の1である(例えば、表中でモノマーが8000mMと記載されていれば、重合時の実際の濃度は4000mMである)。
【実施例】
【0288】
以下の表において、PDIはM/Mの比を示す。また、Mは、得られたポリマーの数平均分子量である。
【実施例】
【0289】
n,theoは、
【実施例】
【0290】
【数1】
JP0005995848B2_000012t.gif
【実施例】
【0291】
で算出される理論値である。なお、[M]および[R-I]はそれぞれ、モノマーとドーマント種となるヨウ化アルキルの初期濃度(仕込み濃度)を表す。また、convは、モノマーの転化率(重合率)である。
【実施例】
【0292】
(実施例1)
[BMPIを触媒として用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
(entry 1)
ドーマント種となるハロゲン化アルキルとして、80mMの2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I;化学構造式は上述のとおり)を用いた。触媒として40mMのメチルトリブチルホスホニウム ヨーダイド(BMPI;化学構造式は上述のとおり)を用いた。有機化酸化物またはジアゾ化合物などのラジカル開始剤は用いなかった。これらの材料を3gのメチルメタクリレート(MMA)に溶解して上記濃度の反応溶液とした。モノマー濃度は約8Mであった。これらの材料の溶解性は良好であり、均一な溶液が形成された。アルゴンにて残存酸素を置換し、この反応溶液を80℃に加熱することにより重合反応を行った。反応時間は30分間、60分間または90分間であった。実験結果を表1Aおよび表1Bのentry 1に示す。また、得られたデータを図1および図2に黒丸で示す。
【実施例】
【0293】
この実験では、重合率100%で100量体を目指した。結果として、重合率と分子量はほぼ狙い通りの比例関係であった。PDIも非常に小さく、リビング重合が良好に制御された。
【実施例】
【0294】
図1および図2(それぞれ、黒丸)および表1(entry 1)に示すように、Mは理論値と一致し、分子量分布指数(PDI(= M/M))も重合初期から1.1から1.2程度と小さく、BMPIによる良好な制御が達せられた。、
なお、濃度の「mM」は、モノマー1リットルを基準とするミリモル数を示す。例えば、80mMは、モノマー1リットルに80ミリモルが含まれていることを意味する。濃度の「M」は、モノマー1リットルを基準とするモル数を示す。例えば、8Mは、モノマー1リットルに8モルが含まれていることを意味する。なお、MMAの場合、モノマー1リットルが(バルクが)、室温で8モルである。
【実施例】
【0295】
(entry 2)
温度を60℃に変更して、反応時間を120分間、180分間、240分間または480分間とした以外は、上記entry 1の実験と同様に実験を行った。実験結果を表1Aおよび表1Bのentry 2に示す。また、得られたデータを図1および図2に黒四角で示す。
【実施例】
【0296】
(entry 3~entry 62)
材料および反応条件を以下の表(表1Aから表5B)に記載したとおり変更して実験を行った。実験結果を以下の表に示す。すべての実験において、リビング重合が良好に制御された。ここで、それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0297】
entry 3では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0298】
entry 4では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0299】
entry 5では、溶媒25%で希釈した。
【実施例】
【0300】
entry 6では、上記特許文献5に記載された触媒PMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0301】
entry 7では、重合速度を上げるため、ラジカル開始剤V65を加えた。
【実施例】
【0302】
entry 8では、溶媒50%で希釈した。
【実施例】
【0303】
entry 9では、PMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0304】
entry 10では、本発明の触媒BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0305】
entry 11では、entry 10と同様に本発明の触媒BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0306】
entry 12では、重合速度を上げるため、ラジカル開始剤AIBNを加えた。
【実施例】
【0307】
entry 13では、上記特許文献5に記載された触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0308】
entry 14では、TBAとAIBNと組み合わせた。
【実施例】
【0309】
entry 15では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0310】
entry 16では、TBAを加えた。
【実施例】
【0311】
entry 17では、開始剤をより分解速度の大きいV65にして、AIBNよりも量を減らした。
【実施例】
【0312】
entry 18では、TBAを加えた。
【実施例】
【0313】
entry 19では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0314】
entry 20では、TBAを加えた。
【実施例】
【0315】
entry 21では、重合速度を上げるため、V65の量を増やした。
【実施例】
【0316】
entry 22では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0317】
entry 23では、TBAを加えた。
【実施例】
【0318】
entry 24では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0319】
entry 25では、溶媒25%で希釈した。
【実施例】
【0320】
entry 26では、溶媒50%で希釈した。
【実施例】
【0321】
entry 27では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0322】
entry 28では、BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0323】
entry 29では、BNIとTBAと組み合わせた。
【実施例】
【0324】
entry 30では、溶媒25%で希釈した。
【実施例】
【0325】
entry 31では、BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0326】
entry 32では、PMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0327】
entry 33では、BNIとPMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0328】
entry 34では、重合速度を上げるため、V65を加えた。
【実施例】
【0329】
entry 35では、溶媒50%で希釈した。
【実施例】
【0330】
entry 36では、BNIとPMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0331】
entry 37では、重合速度を上げるため、ラジカル開始剤AIBNを加えた。
【実施例】
【0332】
entry 38では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0333】
entry 39では、TBAを加えた。
【実施例】
【0334】
entry 40では、触媒BMPIの量をさらに減らした。
【実施例】
【0335】
entry 41では、溶媒をDMDGにした。
【実施例】
【0336】
entry 42では、TBAを加えた。
【実施例】
【0337】
entry 43では、開始剤をより分解速度の大きいV65にした。
【実施例】
【0338】
entry 44では、TBAを加えた。
【実施例】
【0339】
entry 45では、重合速度を上げるため、V65を増やした。
【実施例】
【0340】
entry 46では、重合率100%で1600量体を目指した。
【実施例】
【0341】
entry 47では、溶媒25%で希釈した。
【実施例】
【0342】
entry 48では、BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0343】
entry 49では、BNIとPMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0344】
entry 50では、溶媒50%で希釈した。
【実施例】
【0345】
entry 51では、PMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0346】
entry 52では、重合速度を上げるため、ラジカル開始剤AIBNを加えた。
【実施例】
【0347】
entry 53では、ラジカル開始剤をV65とし、さらにTBAを加えた。
【実施例】
【0348】
entry 54では、温度を40℃に下げた。ラジカル開始剤をV70とし、溶媒をMFDGとした。重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0349】
entry 55では、重合速度を上げるため、V70を増やし、BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0350】
entry 56では、重合率100%で800量体を目指した。溶媒を25%とした。
【実施例】
【0351】
entry 57では、溶媒を50%とした。
【実施例】
【0352】
entry 58では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0353】
entry 59では、触媒BMPIの量をさらに減らした。
【実施例】
【0354】
entry 60では、TBAを加えた。
【実施例】
【0355】
entry 61では、entry 60と比較して、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0356】
entry 62では、重合率100%で1600量体を目指した。
【実施例】
【0357】
(比較例1)
(entry C-1)
触媒を用いずにメチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。entry 1と同様に実験を行った。ただし、BMPIを使用せず、MMAとCP-Iのみを使用して、温度を90℃とし、反応時間を1時間とした。結果を表5Aと表5Bのentry C-1に示す。重合はほとんど進行せず、分子量分布の狭いポリマーは得られなかった。つまり、本発明の実施例において、重合が進行し、かつ、重合が制御されたのは、本発明の触媒の作用によるといえる。
【実施例】
【0358】
(比較例2)
(entry C-2)
BMPIの代わりに、特許文献5に記載された触媒トリエチルアミン(TEA)(40mM)およびI(1mM)を用いて、entry 1と同様に重合を行った。反応材料および反応条件を以下の表に示す。結果を以下の表ならびに図1および図2(それぞれ、白丸)に示す。
【実施例】
【0359】
(比較例3)
(entry C-3)
BMPIの代わりに、特許文献5に記載された触媒トリブチルホスフィン(TBP)(80mM)を用いて、entry 24と同様に重合を行った。反応材料および反応条件ならびに結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0360】
entry 1とentry C-2を比較すると、同じ触媒濃度において、TEA(90℃)よりも、entry1のBMPI(80℃)は低温でかつ高速で重合可能であり、分子量分布もより狭いことがわかった。
【実施例】
【0361】
entry 2とentry C-2を比較すると、同じ触媒濃度において、TEA(90℃)よりも、温度をさらに60℃に下げても、8時間で重合率は80%に達した。すなわち、低温でも重合速度が十分大きいことが確認された。
【実施例】
【0362】
図1に、entry 1、entry 2およびentry C-2の結果のln([M]/[M])対t(時間)のプロットを示す。図2に、entry 1、entry 2およびentry C-2の結果のMおよびM/M対Conversion(重合率)のプロットを示す。
【実施例】
【0363】
図1および図2の白丸は、entry C-2の結果の値を示す。すなわち、代表的なアミン触媒であるTEAを用いた比較例2の重合を示す。
【実施例】
【0364】
図1および図2の黒丸は、実施例1のentry 1(BMPI、80℃)の結果の値を示す。Mは理論値と一致し、分子量分布指数(PDI(= M/M))も重合初期から1.1から1.2程度と小さかった。BMPIによる良好な制御が達せられた。
【実施例】
【0365】
図1および図2の黒四角は、実施例1のentry 2(BMPI、60℃)の結果の値を示す。Theoretical lineと記載された理論値と整合する結果が得られた。Mはこの実験においても、理論値とよく一致した。
【実施例】
【0366】
同じ触媒濃度において、TEA(90℃)よりも、BMPI(80℃)は低温でかつ高速で重合可能であり、分子量分布もより狭いことがわかる。温度をさらに60℃に下げても(図1(黒四角)および図2(黒四角)ならびに表1(entry 2))、8時間で重合率は80%に達し、重合速度は十分大きかった。このようにBMPIは高い活性を有することが確認された。
【実施例】
【0367】
α-メチル基を有するMMAの場合、高温で重合を行うと、副反応である休止種末端からのヨウ素脱離が顕著に生ずるため、高分子量化(長時間の重合)が難しい。BMPIは、比較的低温でも活性が高いので、60℃で分子量のより高いポリマーの合成を試みた。図3および表1A~表4B(entry 3、25、47)に示すように、Mはアミン触媒では難しかった数万の領域においても理論値に一致し、例えば、Mが83,000でPDIが1.37の比較的高分子量で分子量分布の狭いポリマーが得られた。
【実施例】
【0368】
これらの実験では、ラジカル開始剤を使用しておらず、またドーマント(休止種)濃度が低いため、高重合率に比較的長時間(12時間~48時間)を要した。しかしながら、重合速度はラジカル供給源としてアゾ化合物などを添加することにより増大可能である。実際に、少量のアゾ化合物の添加により(表4Aおよび表4B(entry 57-57など))、MとPDIをあまり損なうことなく、重合温度をさらに低下させて(40℃)、かつ重合速度を増大させることが達成できた。
【実施例】
【0369】
図3に、実施例1のentry 3、25、47の結果を示す。すなわち、CP-I(20mM,10mMまたは5mM)とBMPI(80mM)を用いてMMAの重合を60℃で行った結果の、MおよびM/M対Conversion(重合率)のプロットを示す。黒丸は、CP-I20mMの値を示す。黒四角は、CP-I10mMの値を示す。黒三角は、CP-I5mMの値を示す。Theoretical lineと記載された理論値と整合する結果が得られている。Mはいずれの触媒濃度においても、理論値とよく一致した。
【実施例】
【0370】
このように、BMPIは高い活性を有し、低温でも重合速度が大きいことが確認された。
【実施例】
【0371】
この重合では、BMPIにより、ポリマーの成長末端のラジカル(polymer・)とヨウ素との間の反応が触媒されてリビングラジカル重合が進行したと考えられる。
【実施例】
【0372】
表3Aのentry 40および表4Aのentry 59などの実験で使用した量1mMは、BMPIの分子量(約344)を考慮すると、MMAモノマー溶液中の約0.037重量%に相当する。この量は、後述する非特許文献1に記載された実験例において使用された触媒の量(8.9重量%)に比べて、およそ240分の1である。このように極めて少量でリビングラジカル重合反応を行えることから、触媒の活性が極めて高いことが確認された。
【実施例】
【0373】
生成したポリマーのタクティシティから本重合がラジカル重合であることを確認した。
【実施例】
【0374】
【表1A】
JP0005995848B2_000013t.gif
【実施例】
【0375】
【表1B】
JP0005995848B2_000014t.gif
【実施例】
【0376】
【表2A】
JP0005995848B2_000015t.gif
【実施例】
【0377】
【表2B】
JP0005995848B2_000016t.gif
【実施例】
【0378】
【表3A】
JP0005995848B2_000017t.gif
【実施例】
【0379】
【表3B】
JP0005995848B2_000018t.gif
【実施例】
【0380】
【表4A】
JP0005995848B2_000019t.gif
【実施例】
【0381】
【表4B】
JP0005995848B2_000020t.gif
【実施例】
【0382】
【表5A】
JP0005995848B2_000021t.gif
【実施例】
【0383】
【表5B】
JP0005995848B2_000022t.gif
【実施例】
【0384】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)、PMDETA(N,N,N‘,N“,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、特許文献5に開示されている触媒)、TBA(トリブチルアミン、特許文献5に開示されている触媒)、I
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))、V70(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))。
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン、MFDG(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、DMDG(ジメチルジグリコール)
なお、溶媒量が50%の場合は、反応材料のうち、溶媒が50%、溶媒以外の材料が50%であり、なお、溶媒量が25%の場合は、反応材料のうち、溶媒が25%、溶媒以外の材料が75%である。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0385】
なお、上記表において、反応時間tについて、単位「h」を記載している値は、時間が単位であり、それ以外は分が単位である。例えば、「48h」は48時間であり、「60」は60分間である。以下の表においても同様である。
【実施例】
【0386】
(実施例2)
[EMIZIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、1-メチル-3-メチル-イミダゾリウムヨーダイド(EMIZI;化学構造式は上述のとおり)を用いた。表6Aおよび6Bに示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を表6Aおよび6Bに示す。
【実施例】
【0387】
ここで、それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0388】
entry 1~entry 4では、BMPIの代わりに、EMIZIを使用できることを確認した。entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。entry 2では、温度を80℃に下げた。entry 3では、温度を70℃に下げた。entry 4では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0389】
entry 5では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0390】
entry 6では、溶媒25%で希釈した。
【実施例】
【0391】
entry 7では、BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0392】
entry 8では、重合率100%で1600量体を目指した。
【実施例】
【0393】
この結果から、EMIZIもリビングラジカル重合の触媒として作用することが確認された。
【実施例】
【0394】
【表6A】
JP0005995848B2_000023t.gif
【実施例】
【0395】
【表6B】
JP0005995848B2_000024t.gif
【実施例】
【0396】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:EMIZI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):使用せず。
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0397】
(実施例3)
[BNIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、BNI(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0398】
ここで、それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0399】
entry 1では、BMPIの代わりに、BNIを使用できることを確認した。
【実施例】
【0400】
entry 2では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0401】
entry 3では、溶媒25%で希釈した。
【実施例】
【0402】
entry 4では、触媒PMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0403】
entry 5では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0404】
entry 6では、重合速度を上げるため、ラジカル開始剤V65を加えた。
【実施例】
【0405】
entry 7では、温度を40℃に下げ、ラジカル開始剤を分解速度がV65より大きいV70とした。溶媒をMFDGとした。
【実施例】
【0406】
entry 8では、重合率100%で1600量体を目指した。
【実施例】
【0407】
【表7A】
JP0005995848B2_000025t.gif
【実施例】
【0408】
【表7B】
JP0005995848B2_000026t.gif
【実施例】
【0409】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))、V70(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))。
触媒:BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)、PMDETA(N,N,N‘,N“,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、特許文献5に開示されている触媒)
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン、MFDG(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0410】
(実施例4)
[PPIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、PPI(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0411】
【表8A】
JP0005995848B2_000027t.gif
【実施例】
【0412】
【表8B】
JP0005995848B2_000028t.gif
【実施例】
【0413】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
触媒:PPI(テトラフェニルホスホニウムヨーダイド)
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0414】
(実施例5)
[BSIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、BSI(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0415】
【表9A】
JP0005995848B2_000029t.gif
【実施例】
【0416】
【表9B】
JP0005995848B2_000030t.gif
【実施例】
【0417】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
触媒:BSI(トリブチルスルホニウムヨーダイド)
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0418】
(実施例6)
[ENIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、ENI(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0419】
【表10A】
JP0005995848B2_000031t.gif
【実施例】
【0420】
【表10B】
JP0005995848B2_000032t.gif
【実施例】
【0421】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:ENI(テトラエチルアンモニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0422】
(実施例7)
[PIIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、PII(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0423】
【表11A】
JP0005995848B2_000033t.gif
【実施例】
【0424】
【表11B】
JP0005995848B2_000034t.gif
【実施例】
【0425】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:PII(ジフェニルヨードニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0426】
(実施例8)
[CMPIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、CMPI(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0427】
【表12A】
JP0005995848B2_000035t.gif
【実施例】
【0428】
【表12B】
JP0005995848B2_000036t.gif
【実施例】
【0429】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:CMPI(2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0430】
(実施例9)
[BNBrIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、BNBrI(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0431】
【表13A】
JP0005995848B2_000037t.gif
【実施例】
【0432】
【表13B】
JP0005995848B2_000038t.gif
【実施例】
【0433】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BNBrI(テトラブチルアンモニウムブロモジヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)。
溶媒:トルエン
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0434】
(実施例10)
[BNIを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、BNI(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0435】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0436】
entry 2では、ラジカル開始剤AIBNの量を減らした。
【実施例】
【0437】
entry 3では、温度を65℃に下げ、分解速度がAIBNより大きいV65とした。
【実施例】
【0438】
entry 4では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0439】
entry 5では、温度を40℃に下げ、ラジカル開始剤を分解速度がV65より大きいV70とした。溶媒をMFDGとした。
【実施例】
【0440】
entry 6では、触媒TBPと組み合わせた。
【実施例】
【0441】
entry 7では、重合率100%で800量体を目指した。溶媒を25%とした。
【実施例】
【0442】
entry 8では、温度を40℃に下げ、ラジカル開始剤を分解速度がV65より大きいV70とした。溶媒をMFDGとした。
【実施例】
【0443】
entry 9では、TBPと組み合わせた。
【実施例】
【0444】
【表14A】
JP0005995848B2_000039t.gif
【実施例】
【0445】
【表14B】
JP0005995848B2_000040t.gif
【実施例】
【0446】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BNI(テトラブチルアンモニウムトリヨージド)、TBP(トリブチルホスフィン、特許文献5に開示されている触媒)。
ラジカル開始剤(In):AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))、V70(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))。
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン、MFDG(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0447】
(実施例11)
[PPNClを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
BMPIの代わりに、PPNCl(化学構造式は上述のとおり)を用いた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0448】
entry 2では、温度を80℃に上げて実験を行った。
【実施例】
【0449】
【表15A】
JP0005995848B2_000041t.gif
【実施例】
【0450】
【表15B】
JP0005995848B2_000042t.gif
【実施例】
【0451】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:PPNCl(ヘキサフェニルジホスファゼニウムクロリド)。
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0452】
(実施例12)
[ヨウ素を用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
ヨウ素およびラジカル開始剤を用いて、ハロゲン化アルキル(ドーマント種)を反応液中に生成させた。ヨウ化アルキルは、重合中インシチュで生成させ、単離することなく、そのまま重合を進行させた。以下の表に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を以下の表に示す。なお、Mn,theoは、仕込みのヨウ素から定量的にヨウ化アルキルが生成したと仮定した理論値であり、上述の数式(数1)の[R-I]0を2[I2]0に置換した値となる。
【実施例】
【0453】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0454】
entry 1では、重合率100%で200量体を目指した。
【実施例】
【0455】
entry 2では、AIBNの量を減らした。
【実施例】
【0456】
entry 3では、溶媒を25%とした。温度を60℃に下げ、ラジカル開始剤を分解速度がAIBNより大きいV65とした。
【実施例】
【0457】
entry 4では、温度を40℃に下げ、ラジカル開始剤を分解速度がV65より大きいV70とした。
【実施例】
【0458】
entry 5では、溶媒を50%とした。
【実施例】
【0459】
entry 6では、温度を60℃に下げ、ラジカル開始剤を分解速度がAIBNより大きいV65とした。
【実施例】
【0460】
entry 7では、触媒BMPIの量を増やした。
【実施例】
【0461】
entry 8では、V65の量を増やした。
【実施例】
【0462】
entry 9では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0463】
entry 10では、温度を60℃に下げ、ラジカル開始剤を分解速度がAIBNより大きいV65とした。
【実施例】
【0464】
entry 11では、V65の量を減らした。
【実施例】
【0465】
entry 12では、V65の量をさらに減らした。
【実施例】
【0466】
entry 13では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0467】
entry 14では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0468】
entry 15では、V65の量を減らした。
【実施例】
【0469】
entry 16では、触媒をBNIとした。重合率100%で200量体を目指した。
【実施例】
【0470】
entry 17では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0471】
entry 18では、V65の量を減らした。
【実施例】
【0472】
entry 19では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0473】
【表16A】
JP0005995848B2_000043t.gif
【実施例】
【0474】
【表16B】
JP0005995848B2_000044t.gif
【実施例】
【0475】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):アゾ系ラジカル開始剤とヨウ素(I)の反応により有機ハロゲン化物を反応溶液中に生成させて、その有機ハロゲン化物をこの重合法のドーマント種として使用した。
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))、V70(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))。
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0476】
(実施例13)
[n-ブチルアクリレート(BA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0477】
BMPIやBNIの高い活性を利用することにより、BAの重合を制御することができた。例えば、上記特許文献5で報告されているアミン化合物を触媒として使用する場合には、1.5以下のPDIの値を得ることが難しかったが、BMPIやBNIでは、1.5未満のPDIの値が得られた。このことから、BMPIやBNIについては、活性化速度定数が十分に大きく、そして重合反応の際の平衡のバランスを好適な状態に維持する性能が高いことが確認された。
【実施例】
【0478】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0479】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0480】
entry 2では、溶媒をDMDGとした。
【実施例】
【0481】
entry 3では、重合速度を上げるため、さらにラジカル開始剤BPBとDAPを加えた。
【実施例】
【0482】
entry 4では、本発明の触媒BNIと組み合わせた。
【実施例】
【0483】
entry 5では、触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0484】
entry 6では、触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0485】
entry 7では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0486】
entry 8では、10000を超える分子量のポリマーを合成した。
【実施例】
【0487】
entry 9~entry 12では、触媒の種類を変更した。
【実施例】
【0488】
entry 13では、温度を110℃に下げた。触媒はBMPIとした。
【実施例】
【0489】
entry 14では、触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0490】
entry 15では、触媒をBNIにかえた。
【実施例】
【0491】
entry 16では、触媒BNIの量を減らした。
【実施例】
【0492】
entry 17では、重合速度を上げるため、ラジカル開始剤BPBとDAPを加えた。
【実施例】
【0493】
entry 18では、触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0494】
entry 19では、触媒TBPと組み合わせた。
【実施例】
【0495】
【表17A】
JP0005995848B2_000045t.gif
【実施例】
【0496】
【表17B】
JP0005995848B2_000046t.gif
【実施例】
【0497】
モノマー:n-ブチルアクリレート(BA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、EMIZI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヨーダイド)、EMIZBr(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)、PPI(テトラフェニルホスホニウムヨーダイド)、TBA(トリブチルアミン、特許文献5に開示されている触媒)、TBP(トリブチルホスフィン、特許文献5に開示されている触媒)。
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):BPB(ターシャリーブチルパーベンゾエート)、DAP(ジターシャリーアミルパーオキサイド)。
溶媒:tBB(ターシャリーブチルベンゼン)、DMDG(ジメチルジグリコール)
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0498】
(実施例14)
[2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の単独重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0499】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0500】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0501】
entry 2では、触媒をBNIに変え、ラジカル開始剤V70を加えた。温度を40℃に下げた。
【実施例】
【0502】
entry 3では、触媒BNIとラジカル開始剤V70の量を減らした。
【実施例】
【0503】
entry 4では、エタノールを溶媒として加えた。
【実施例】
【0504】
entry 5では、触媒BNIとラジカル開始剤V70の量を減らした。
【実施例】
【0505】
entry 6では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0506】
【表18A】
JP0005995848B2_000047t.gif
【実施例】
【0507】
【表18B】
JP0005995848B2_000048t.gif
【実施例】
【0508】
モノマー:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が5%の場合は7.6M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムトリヨージド)。
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):V70(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))。
溶媒:エタノール
およびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0509】
(実施例15)
[2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とスチレン(St)のランダム共重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0510】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0511】
entry 1では、HEMAとスチレンのランダム共重合を行った。
【実施例】
【0512】
entry 2では、温度を下げた。
【実施例】
【0513】
entry 3では、触媒をBMPIにした。
【実施例】
【0514】
entry 4では、温度を下げた。
【実施例】
【0515】
entry 5では、高い分子量のポリマーを合成した。
【実施例】
【0516】
【表19A】
JP0005995848B2_000049t.gif
【実施例】
【0517】
【表19B】
JP0005995848B2_000050t.gif
【実施例】
【0518】
モノマー:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、スチレン(St)。
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M(HEMA4MおよびSt4M)、溶媒が50%の場合は4M(HEMA2MおよびSt2M)。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、EMIZI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、V70(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))。
溶媒:乳酸エチル。
およびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0519】
(実施例16)
[ラウリルアクリレート(LA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0520】
【表20A】
JP0005995848B2_000051t.gif
【実施例】
【0521】
【表20B】
JP0005995848B2_000052t.gif
【実施例】
【0522】
モノマー:ラウリルアクリレート(LA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、TBA(トリブチルアミン、特許文献5に開示されている触媒)。
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):BPB(ターシャリーブチルパーベンゾエート)、DAP(ジターシャリーアミルパーオキサイド)。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0523】
(実施例17)
[ラウリルメタクリレート(LMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0524】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0525】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0526】
entry 2ではIとAIBNを仕込み、重合中 in situ で生成したヨウ化アルキルを用いた。
【実施例】
【0527】
entry 3では触媒BMPIの量を減らした。
【実施例】
【0528】
【表21A】
JP0005995848B2_000053t.gif
【実施例】
【0529】
【表21B】
JP0005995848B2_000054t.gif
【実施例】
【0530】
モノマー:ラウリルメタクリレート(LMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)、
または、アゾ系ラジカル開始剤とヨウ素(I)の反応により有機ハロゲン化物を反応溶液中に生成させて、その有機ハロゲン化物をこの重合法のドーマント種として使用した。
触媒:BNI(テトラブチルアンモニウムトリヨージド)、BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)。
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0531】
(実施例18)
[ベンジルメタクリレート(BzMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0532】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0533】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。溶媒を25%とした。
【実施例】
【0534】
entry 2では、触媒PMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0535】
entry 3では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0536】
entry 4では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0537】
entry 5では、触媒PMDETAと組み合わせた。
【実施例】
【0538】
entry 6では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0539】
entry 7では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0540】
entry 8では、重合率100%で1600量体を目指した。
【実施例】
【0541】
entry 9では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0542】
entry 10では、IとAIBNを仕込み、重合中 in situ で生成したヨウ化アルキルを用いた。重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0543】
entry 11では、触媒をBNIにかえた。
【実施例】
【0544】
entry 12では、ラジカル開始剤V65の量を減らした。
【実施例】
【0545】
entry 13では、ラジカル開始剤をV65よりも分解速度の大きなV70に変えた。
【実施例】
【0546】
entry 14では、触媒をBNIにかえた。
【実施例】
【0547】
entry 15では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0548】
【表22A】
JP0005995848B2_000055t.gif
【実施例】
【0549】
【表22B】
JP0005995848B2_000056t.gif
【実施例】
【0550】
モノマー:ベンジルメタクリレート(BzMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)、または、アゾ系ラジカル開始剤とヨウ素(I)の反応により有機ハロゲン化物を反応溶液中に生成させて、その有機ハロゲン化物をこの重合法のドーマント種として使用した。
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、PMDETA(N,N,N‘,N“,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、特許文献5に開示されている触媒)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))、V70(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))。
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0551】
(実施例19)
[グリシジルメタクリレート(GMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0552】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0553】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0554】
entry 2では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0555】
entry 3では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0556】
entry 4では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0557】
entry 5では、触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0558】
entry 6では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0559】
entry 7では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0560】
entry 8では、触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0561】
entry 9では、重合率100%で1600量体を目指した。
【実施例】
【0562】
entry 10では、溶媒を25%とした。
【実施例】
【0563】
entry 11では、触媒をBNIにかえた。重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0564】
entry 12では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0565】
entry 13では、IとV65を仕込み、重合中 in situ で生成したヨウ化アルキルを用いた。重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0566】
entry 14では、重合率100%で800量体を目指した。
【実施例】
【0567】
entry 15では、触媒をBMPIとした。
【実施例】
【0568】
【表23A】
JP0005995848B2_000057t.gif
【実施例】
【0569】
【表23B】
JP0005995848B2_000058t.gif
【実施例】
【0570】
モノマー:グリシジルメタクリレート(GMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)、または、アゾ系ラジカル開始剤とヨウ素(I)の反応により有機ハロゲン化物を反応溶液中に生成させて、その有機ハロゲン化物をこの重合法のドーマント種として使用した。
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、TBA(トリブチルアミン、特許文献5に開示されている触媒)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In)(一部の実験に使用した):V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0571】
(実施例20)
[ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0572】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0573】
entry 1では、平均分子量300のモノマーを用いた。重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0574】
entry 2では、触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0575】
entry 3では、触媒をBNIにかえた。
【実施例】
【0576】
entry 4では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0577】
entry 5では、平均分子量475のモノマーを用いた。重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0578】
entry 6では、触媒TBAと組み合わせた。
【実施例】
【0579】
entry 7では、触媒をBNIにかえた。
【実施例】
【0580】
entry 8では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0581】
【表24A】
JP0005995848B2_000059t.gif
【実施例】
【0582】
【表24B】
JP0005995848B2_000060t.gif
【実施例】
【0583】
モノマー:ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、TBA(トリブチルアミン、特許文献5に開示されている触媒)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0584】
(実施例21)
[ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。entry 1の実験では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0585】
結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0586】
【表25A】
JP0005995848B2_000061t.gif
【実施例】
【0587】
【表25B】
JP0005995848B2_000062t.gif
【実施例】
【0588】
モノマー:ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0589】
(実施例22)
[ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0590】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0591】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0592】
entry 2では、触媒をBNIにかえた。
【実施例】
【0593】
【表26A】
JP0005995848B2_000063t.gif
【実施例】
【0594】
【表26B】
JP0005995848B2_000064t.gif
【実施例】
【0595】
モノマー:ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0596】
(実施例23)
[アクリロニトリル(AN)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0597】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0598】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。溶媒を25%とした。
【実施例】
【0599】
entry 2では、触媒をBNIとした。
【実施例】
【0600】
【表27A】
JP0005995848B2_000065t.gif
【実施例】
【0601】
【表27B】
JP0005995848B2_000066t.gif
【実施例】
【0602】
モノマー:アクリロニトリル(AN)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
溶媒:エチレンカーボネート
およびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0603】
(実施例24)
[スチレン(St)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0604】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0605】
entry 1では、重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0606】
entry 2では、触媒BNIの量を減らした。
【実施例】
【0607】
entry 3では、触媒BNIとラジカル開始剤AIBNの量を減らした。
【実施例】
【0608】
entry 4では、ラジカル開始剤をAIBNよりも分解速度の大きなV65に代え、温度を60℃に下げた。
【実施例】
【0609】
entry 5では、触媒をBNIの量を減らした。
【実施例】
【0610】
entry 6では、重合率100%で400量体を目指した。
【実施例】
【0611】
entry 7では、触媒をBNBrIにかえた。
【実施例】
【0612】
entry 8では、触媒BNBrIの量を減らした。
【実施例】
【0613】
【表28A】
JP0005995848B2_000067t.gif
【実施例】
【0614】
【表28B】
JP0005995848B2_000068t.gif
【実施例】
【0615】
モノマー:スチレン(St)
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)
触媒:BNI(テトラブチルアンモニウムトリヨーダイド)、テトラブチルアンモニウムブロモジヨーダイド(BNBrI)。
ラジカル開始剤(In):AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリスチレン(PSt)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0616】
(実施例25)
[シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とエチルヘキシルメタクリレート(EHMA)のランダム共重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0617】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0618】
entry 1では、CHMAとEHMAのランダム共重合を行った。重合率100%で200量体を目指した。
【実施例】
【0619】
entry 2では、IとAIBNを仕込み、重合中 in situ で生成したヨウ化アルキルを用いた。重合率100%で200量体を目指した。
【実施例】
【0620】
【表29A】
JP0005995848B2_000069t.gif
【実施例】
【0621】
【表29B】
JP0005995848B2_000070t.gif
【実施例】
【0622】
モノマー:シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とエチルヘキシルメタクリレート(EHMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が66.7%の場合は2.7M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)、または、アゾ系ラジカル開始剤とヨウ素(I)の反応により有機ハロゲン化物を反応溶液中に生成させて、その有機ハロゲン化物をこの重合法のドーマント種として使用した。
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)。
ラジカル開始剤(In):AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0623】
(実施例26)
[エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。重合率100%で400量体を目指した。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0624】
【表30A】
JP0005995848B2_000071t.gif
【実施例】
【0625】
【表30B】
JP0005995848B2_000072t.gif
【実施例】
【0626】
モノマー:エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が25%の場合は6M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):CP-I(2-ヨード-2-シアノプロピル)
触媒:BNI(テトラブチルアンモニウムトリヨージド)。
ラジカル開始剤(In):V65(アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0627】
(実施例27)
[n-ブチルアクリレート(BA)とラウリルメタクリレート(LMA)のランダム共重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。この実験では、BAとLMAのランダム共重合を行った。重合率100%で100量体を目指した。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0628】
【表31A】
JP0005995848B2_000073t.gif
【実施例】
【0629】
【表31B】
JP0005995848B2_000074t.gif
【実施例】
【0630】
モノマー:n-ブチルアクリレート(BA)、ラウリルメタクリレート(LMA)
モノマー濃度:8M(バルク(BAが4M、LMAが4M))。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0631】

(実施例28)
[n-ブチルアクリレート(BA)とメチルメタクリレート(MMA)のランダム共重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
【実施例】
【0632】
それぞれの実験の趣旨は、以下のとおりである。
【実施例】
【0633】
entry 1では、BAとMMAのランダム共重合を行った。重合率100%で100量体を目指した。
【実施例】
【0634】
entry 2では、触媒をBNIとした。
【実施例】
【0635】
【表32A】
JP0005995848B2_000075t.gif
【実施例】
【0636】
【表32B】
JP0005995848B2_000076t.gif
【実施例】
【0637】
モノマー:n-ブチルアクリレート(BA)、メチルメタクリレート(MMA)
モノマー濃度:8M(バルク(BAが4M、MMAが4M))。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I): 2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0638】
(実施例29)
[有機塩を用いたブロック共重合]
表33A-表33D(Entries1-3)では、メチルメタクリレート(MMA)とベンジルメタクリレート(BzMA)のブロック共重合を行った。Entry1では、第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I:160mM)およびメチルトリブチルホスホニウムヨーダイド(BMPI:80mM)を、それぞれヨウ化アルキルおよび触媒として用いて、80℃で5時間行った(表33Aと表33B)。その後、ヘキサンを用いた再沈殿精製を行って、ポリメチルメタクリレート-ヨーダイド(PMMA-I)(M=5300およびPDI=1.18)を得た(表33B)。次いで、第二ブロックとして、BzMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、上述のPMMA-I(80mM)およびBMPI(160mM)を、それぞれヨウ化アルキルおよび触媒として用いて、80℃で5時間行った(表33Cと表33D)。その結果、狭い分子量分布を有するブロックコポリマー(PMMA-b-PBzMA)(M=15000およびPDI=1.23)が得られた(表33D)。なお、PMMAは、ポリメチルメタクリレートであり、PBzMAは、ポリベンジルメタクリレートである。重合後の溶液に、2-アミノエタノールを添加し、40℃で3時間加熱することにより、ポリマー末端からヨウ素を脱離した(M=15000およびPDI=1.22)(表33D)。その後、ヘキサンを用いた再沈殿で精製し、白色のPMMA-b-PBzMA(M=15000およびPDI=1.19)を得た(表33D)。
【実施例】
【0639】
Entries2と3では、Entry1と同様の実験を行った。Entries2と3では、Entry1と比較して、第一ブロックと第二ブロックの分子量を変えた。Entry2では、第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、CP-I(80mM)とBMPI(80mM)を用いて、80℃で5時間行い、再沈殿精製の後、PMMA-I(M=9400およびPDI=1.28)を得た(表33Aと表33B)。次いで、第二ブロックとして、BzMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、PMMA-I(80mM)とBMPI(160mM)を用いて、80℃で5時間行い、狭い分子量分布を有するブロックコポリマー(PMMA-b-PBzMA)(M=18000およびPDI=1.27)を得た(表33Cと表33D)。2-アミノエタノール処理後(M=18000およびPDI=1.27)、再沈殿精製し、白色のPMMA-b-PBzMA(M=18000およびPDI=1.26)を得た(表33D)。
【実施例】
【0640】
Entry3では、第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、CP-I(40mM)とBMPI(80mM)を用いて、60℃で16時間行った後、再沈殿精製を行って、PMMA-I(M=15000およびPDI=1.16)を得た(表33Aと表33B)。次いで、第二ブロックとして、BzMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、PMMA-I(80mM)とBMPI(160mM)を用いて、80℃で5時間行い、狭い分子量分布を有するブロックコポリマー(PMMA-b-PBzMA)(M=20000およびPDI=1.29)を得た(表33Cと表33D)。2-アミノエタノール処理を行い、その後(M=20000およびPDI=1.29)、再沈殿精製し、白色のPMMA-b-PBzMA(M=20000およびPDI=1.29)を得た(表33D)。
【実施例】
【0641】
【表33A】
JP0005995848B2_000077t.gif
【実施例】
【0642】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)。
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
溶媒:トルエン
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0643】
【表33B】
JP0005995848B2_000078t.gif
【実施例】
【0644】
【表33C】
JP0005995848B2_000079t.gif
【実施例】
【0645】
モノマー:ベンジルメタクリレート(BzMA)。
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):ポリメチルメタクリレート-ヨーダイド(PMMA-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
溶媒:トルエン
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0646】
【表33D】
JP0005995848B2_000080t.gif
【実施例】
【0647】
(実施例30)
[モノマーの連続添加によるブロック共重合。]
表34A-表34D(Entries1および2)では、メチルメタクリレート(MMA)とベンジルメタクリレート(BzMA)のブロック共重合を、2つのモノマーの連続添加により行った。Entry1では、第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I:160mM)およびメチルトリブチルホスホニウムヨーダイド(BMPI:80mM)を、それぞれヨウ化アルキルおよび触媒として用いて、60℃で16時間行った(表34Aと表34B)。その結果、ポリメチルメタクリレート-ヨーダイド(PMMA-I)(M=4300およびPDI=1.13)を得た(表34B)。次いで、得られたPMMA-Iを単離精製することなく、この溶液に、BzMA([CP-I]に対して25モル当量)を連続的に添加し、第二のブロックとしての重合を、60℃で6時間行った(表34C)。その結果、分子量分布の狭いブロックコポリマー(PMMA-b-PBzMA)(M=5800およびPDI=1.14)を得た(表34D)。なお、PBzMAは、ポリベンジルメタクリレートである。重合後の溶液に、2-アミノエタノールを添加し、40℃で3時間加熱することにより、ポリマー末端からヨウ素を脱離した(M=6000およびPDI=1.14)(表34D)。その後、ヘキサンを用いた再沈殿で精製し、白色のPMMA-b-PBzMA(M=6100およびPDI=1.14)を得た(表34D)。
【実施例】
【0648】
Entry2では、Entry1と同様の実験を行った。Entry2では、Entry1と比較して、第一ブロックと第二ブロックの分子量を変えた。Entry2では、第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、CP-I(80mM)とBMPI(80mM)を用いて、60℃で16時間行い、PMMA-I(M=8300およびPDI=1.14)を得た(表34Aと表34B)。次いで、得られたPMMA-Iを単離精製することなく、この溶液に、BzMA([CP-I]に対して50モル当量)を添加し、第二のブロックとしての重合を、60℃で6時間行った(表34C)。その結果、狭い分子量分布を有するブロックコポリマー(PMMA-b-PBzMA)(M=10000およびPDI=1.17)を得た(表34D)。2-アミノエタノール処理後(M=10000およびPDI=1.17)、再沈殿精製し、白色のPMMA-b-PBzMA(M=10000およびPDI=1.17)を得た(表34D)。
【実施例】
【0649】
表34A-表34D(Entry3)では、MMAとポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)のブロック共重合を、2つのモノマーの連続添加により行った。第一ブロックは、Entry2と同じとした。次いで、得られたPMMA-Iを単離精製することなく、その溶液に、PEGMA([CP-I]に対して50モル当量)とBMPI([CP-I]に対して1モル当量)とトリブチルアミン(TBA)([CP-I]に対して0.5モル当量)を添加し、第二のブロックとしての重合を、60℃で6時間行った(表34C)。その結果、分子量分布の狭いブロックコポリマー(PMMA-b-PPEGMA)(M=13000およびPDI=1.19)を得た(表34D)。なお、PPEGMAは、ポリ(ポリエチレングリコールメタクリレート)である。
【実施例】
【0650】
表34A-表34D(Entry4)では、MMAとブチルアクリレート(BA)のブロック共重合を、2つのモノマーの連続添加により行った。第一ブロックは、Entry2と同じとした。次いで、得られたPMMA-Iを単離精製することなく、その溶液に、BA([CP-I]に対して100モル当量)とテトラブチルアンモニウムヨーダイド(BNI)([CP-I]に対して4モル当量)を添加し、第二のブロックとしての重合を、110℃で24時間行った(表34C)。その結果、分子量分布の狭いブロックコポリマー(PMMA-b-PBA)(M=12000およびPDI=1.38)を得た(表34D)。なお、PBAは、ポリブチルアクリレートである。
【実施例】
【0651】
表34A-表34D(Entry5)では、MMAと2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のブロック共重合を、2つのモノマーの連続添加により行った。第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、CP-I(240mM)とBMPI(80mM)を用いて、60℃で16時間行い、PMMA-I(M=3400およびPDI=1.13)を得た(表34Aと表34B)。次いで、得られたPMMA-Iを単離精製することなく、その溶液に、HEMA([CP-I]に対して30モル当量)とテトラブチルアンモニウムトリヨーダイド(BNI)([CP-I]に対して0.04モル当量)と2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile)(V70)([CP-I]に対して0.33モル当量)とトルエン(HEMAの重量に対して0.5重量)を添加し、第二のブロックとしての重合を、40℃で5時間行った(表34C)。その結果、分子量分布の狭いブロックコポリマー(PMMA-b-PHEMA)(M=6800およびPDI=1.18)を得た(表34D)。なお、本明細書中において「重量に対してX重量」、または「1重量に対するX重量」とは、基準となる物質の重量に対する重量比がXであることを言う。例えば、「重量に対して0.5重量」とは、基準となる物質の重量に対する重量比が0.5であることを言う。例えば、トルエンが「HEMAの重量に対して0.5重量」であるとは、HEMAとトルエンの重量比が、HEMA1グラムに対してトルエンの重量が0.5グラムの割合であることをいう。なお、PHEMAは、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)である。
【実施例】
【0652】
表34A-表34D(Entry6)では、BAとMMAのブロック共重合を、2つのモノマーの連続添加により行った。Entry4とは添加順序を逆にした。第一ブロックとして、BA(8M)のバルク重合を、CP-I(80mM)とBNI(320mM)を用いて、110℃で23時間行い、ポリブチルアクリレート-ヨーダイド(PBA-I)(M=10000およびPDI=1.31)を得た(表33Aと表33B)。次いで、得られたPBA-Iを単離精製することなく、この溶液に、MMA([CP-I]に対して100モル当量)とBMPI([CP-I]に対して1モル当量)とトルエン(MMAの重量に対して1重量)を添加し、第二のブロックとしての重合を、80℃で6時間行った(表34C)。その結果、分子量分布の狭いブロックコポリマー(PBA-b-PMMA)(M=11000およびPDI=1.42)を得た(表34D)。
【実施例】
【0653】
【表34A】
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【実施例】
【0654】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)、ブチルアクリレート(BA)。
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、BNI(テトラブチルアンモニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0655】
【表34B】
JP0005995848B2_000082t.gif
【実施例】
【0656】
【表34C】
JP0005995848B2_000083t.gif
【実施例】
【0657】
モノマー:ベンジルメタクリレート(BzMA)、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、ブチルアクリレート(BA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メチルメタクリレート(MMA)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)、トリブチルアミン(TBA、特許文献5に開示されている触媒)、テトラブチルアンモニウムヨーダイド(BNI)、テトラブチルアンモニウムトリヨーダイド(BNI
ラジカル開始剤(ラジカル供給源)(一部の実験に使用した):2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile)(V70)
溶媒(一部の実験に使用した):トルエン
およびPDI:Entries1、2、4、および6では、テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。Entries3および5では、ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするGPCを用いたPMMA換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0658】
【表34D】
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【実施例】
【0659】
(実施例31)
[モノマーの連続添加によるブロック共重合。国際公開WO2008/139980号公報に記載された触媒(NIS)との組み合わせ。]

表35A-表35D(Entries1および2)では、メチルメタクリレート(MMA)とジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)のブロック共重合を、2つのモノマーの連続添加により行った。第二ブロックの重合では、国際公開WO2008/139980号公報に記載された触媒(NIS)を用い、その組み合わせにより、ブロック共重合体を合成することができた。
【実施例】
【0660】
Entry1では、第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I:80mM)およびメチルトリブチルホスホニウムヨーダイド(BMPI:80mM)を、それぞれヨウ化アルキルおよび触媒として用いて、60℃で16時間行った(表35Aと表35B)。その結果、ポリメチルメタクリレート-ヨーダイド(PMMA-I)(M=8400およびPDI=1.14)を得た(表35B)。次いで、得られたPMMA-Iを単離精製することなく、この溶液に、DMAEMA([CP-I]に対して50モル当量)と、ラジカル開始剤として2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile)(V70)([CP-I]に対して0.25モル当量)と、触媒としてN-コハク酸イミド(NIS)([CP-I]に対して0.015モル当量)と、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFDG)(DMAEMAの重量に対して0.5重量)を添加し、第二のブロックとしての重合を、50℃で3時間行った(表35C)。その結果、分子量分布の狭いブロックコポリマー(PMMA-b-PDMAEMA)(M=12000およびPDI=1.32)を得た(表35D)。なお、PDMAEMAは、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)である。重合後の溶液に、2-アミノエタノールを添加し、40℃で3時間加熱することにより、ポリマー末端からヨウ素を脱離した(M=12000およびPDI=1.32)(表35D)。その後、ヘキサンを用いた再沈殿で精製し、白色のPMMA-b-PDMAEMA(M=13000およびPDI=1.32)を得た(表35D)。
【実施例】
【0661】
Entry2では、Entry1と同様の実験を行った。Entry2では、Entry1と比較して、第一ブロックと第二ブロックの分子量を変えた。Entry2では、第一ブロックとして、MMA(8M)の溶液重合(溶媒としてトルエンを50wt%含む)を、CP-I(240mM)とBMPI(80mM)を用いて、60℃で16時間行った(表35Aと表35B)。その結果、PMMA-I(M=3400およびPDI=1.13)を得た(表35B)。次いで、得られたPMMA-Iを単離精製することなく、この溶液に、DMAEMA([CP-I]に対して30モル当量)とV70([CP-I]に対して0.33モル当量)とNIS([CP-I]に対して0.025モル当量)とMFDG(DMAEMAの重量に対して0.5重量)を添加し、第二のブロックとしての重合を、50℃で3時間行った(表35C)。その結果、分子量分布の狭いブロックコポリマー(PMMA-b-PDMAEMA)(M=6700およびPDI=1.25)を得た(表35D)。重合後の溶液に、2-アミノエタノールを添加し、40℃で3時間加熱することにより、ポリマー末端からヨウ素を脱離した(M=7000およびPDI=1.27)(表35D)。その後、ヘキサンを用いた再沈殿で精製し、白色のPMMA-b-PDMAEMA(M=7200およびPDI=1.26)を得た(表35D)。
【実施例】
【0662】
【表35A】
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【実施例】
【0663】
モノマー:メチルメタクリレート(MMA)。
モノマー濃度:溶媒を使用しない場合は8M、溶媒が50%の場合は4M。
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R-I):2-ヨード-2-シアノプロピル(CP-I)
触媒:BMPI(メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
溶媒:トルエン。
およびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0664】
【表35B】
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【実施例】
【0665】
【表35C】
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【実施例】
【0666】
モノマー:ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)。
触媒:N-コハク酸イミド(NIS)
ラジカル開始剤(ラジカル供給源):2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile)(V70)
溶媒:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFDG)。
およびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
【実施例】
【0667】
【表35D】
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【実施例】
【0668】
(比較例4)
以下の配合を用いた以外は、実施例1と同様に、重合実験を行った。
モノマー:スチレン、8.0M(1g)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル:1-フェニルエチルブロミド、80mM(0.016g)(以下の表中では「PEB」と略す)
触媒:CuBr 5mM(0.00071g)
配位子:4,4’-ジ-(5-ノニル)-2,2’-ビピリジン 10mM(0.0035g) (以下の表中では「dHbipy」と略す)
配位子はCuBr(触媒)をモノマーに溶かすために必ず必要であり、dHbipyの場合、CuBrに対して2当量必要である。この実験の触媒濃度(CuBr錯体濃度)は5mMである。なお、この実験においては、過酸化物を用いなかった。銅錯体触媒の場合には過酸化物を用いないことが当業者の技術常識であったからである。その理由は、(1)銅錯体触媒の場合には、過酸化物を用いなくてもラジカル反応が開始されること、および、(2)銅錯体触媒に過酸化物を加えると、成長種の失活反応が起こってしまって却って分子量分布が広くなってしまうことである。具体的には、例えば、上記非特許文献1においても、過酸化物を含まない反応原料が用いられることが記載されている。
【実施例】
【0669】
これらの原料をモノマーに溶解して反応溶液とした。この反応溶液を、80℃に加熱した。結果は以下のとおりであった。
【実施例】
【0670】
【表51】
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【実施例】
【0671】
PEB:1-フェニルエチルブロミド
dHbipy:CuBrをモノマー(スチレン)に溶かすための配位子。
【実施例】
【0672】
この結果、実施例1におけるMMAの重合率と比較して、重合率がかなり低かった。
また、反応後のMは1200~1400であって著しく低く、高分子量のポリスチレンが得られなかった。またM/Mの値(PDI)も、実施例1における本発明の触媒における値よりもかなり大きくなっている。従って、遷移金属触媒の活性が、本発明の触媒の活性に比べて著しく劣ることが理解される。
【実施例】
【0673】
この比較例4の結果と、実施例1の結果との対比からも理解されるとおり、本発明の触媒は、先行技術における遷移金属錯体触媒に比べて、著しく活性が高い。
【実施例】
【0674】
上記の実施例は、先行技術に開示された先行技術の触媒の性能と比べても本発明が優れることを示している。
【実施例】
【0675】
例えば、上述した非特許文献1に記載された実験例では、以下の反応溶液を反応させる:
スチレン 8.7 M (1 g)
1-フェニルエチルブロミド 87 mM (0.016 g)
CuBr 87 mM (0.013 g)
4,4’-ジ-(5-ノニル)-2,2’-ビピリジン 174 mM (0.076 g)
この反応溶液を110℃で7時間加熱して、ポリマーを得ている。モノマー1gに対して、錯体化合物を0.089g、すなわち、モノマーに対して8.9重量%という多量の触媒を用いている。
【実施例】
【0676】
本発明においては、この例と比較して、触媒使用量を格段に減らすことができ、反応温度を10~70℃下げることができ、かつ、配位子を用いる必要もない。
【実施例】
【0677】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、当業者の技術常識に基づいて特許請求の範囲と等価な範囲を理解することができる。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0678】
上述したとおり、本発明者らは、ハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物を触媒として利用した新しいタイプのリビングラジカル重合方法(精密制御ラジカル重合)を発明した。その特徴は、触媒の低毒性、低使用量、高溶解性(配位子が不要)、温和な反応条件、無着色・無臭(重合反応後の処理が不要)などにあり、従来のリビングラジカル重合に比べて格段に環境に優しく経済性に優れる。
【0679】
本発明の触媒および重合方法は、可逆的錯体形成媒介重合(RCMP)と称する有機触媒型リビングラジカル重合において特に有用である。
【0680】
世界の高分子化合物生産量の半分以上はラジカル重合によるが、リビングラジカル重合は、各種高付加価値材料の生産に応用できる。具体的には、例えば、熱可塑性エラストマー(自動車材料、工業用品、医療材料、履物、スポーツ用品、玩具、電線被覆材、建設・土木資材、樹脂改質など)レジスト、有機EL、接着剤、ポリマーアロイ、各種フィラー添加剤、潤滑剤、界面活性剤、塗料、インク、包装材、薬剤(例えば、医薬除放材)、パーソナルケア製品(化粧品、整髪料など)などの生産に応用でき、市場規模は極めて大きい。本発明のリビングラジカル重合は、新しい電子材料、光学材料、分離材料、または生体材料を生産する優れたプロセスとして幅広く利用され得る。
【0681】
リビングラジカル重合の実用化にあたり、従来技術の大きな問題点は、その高い触媒のコストであった。すなわち、リビングラジカル重合を行った場合、触媒は得られるポリマー中に取り込まれた状態になってしまうため、その触媒をポリマーから回収することは非常に手間がかかり、結果としてプロセスの費用を莫大なものにしてしまい、現実的ではない。このため、現実的には、触媒を回収して再利用することは困難であり、実質的に触媒を使い捨てにすることが実情である。
【0682】
本発明者らは、安価なハロゲン化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物がリビングラジカル重合の優れた触媒として作用することを発見し、従来技術に比べて、はるかに低コストのリビングラジカル重合を実現した。具体的には、1kgのポリマーを合成するのに必要な触媒の費用をアルドリッチ社のカタログに記載された価格に基づいて計算すると、例えば、従来型触媒で最もよく利用されている銅錯体触媒では、触媒の費用がおよそ数千円になる。また、ゲルマニウム触媒を用いても約千円程度の費用がかかるのに対し、本発明では、例えば、アンモニウム塩化合物の触媒の場合、数十円から数円の費用しかかからない。すなわち、本発明によれば、従来の触媒に比べて桁違いに費用を低減させることが可能なのである。
【0683】
汎用的な様々なモノマーの価格が一般に1kgあたり100円~数百円程度であることを考慮すると、従来技術においてはモノマーの費用の10倍程度の触媒費用が必要であったのに対して、本発明では、モノマーの費用の10分の1あるいは100分の1程度しか触媒費用を必要としないのであって、その費用削減効果は劇的である。
【0684】
さらに、触媒の低毒性(あるいは無毒性)、高溶解性(配位子が不要)、温和な反応条件、無着色・無臭(重合反応後の処理が不要)といったゲルマニウム触媒がもつ利点を、本発明の触媒として使用される非金属化合物もすべて保持している。そして、ゲルマニウム触媒において達成されている少触媒量をさらに下回る(例えば1/4の)触媒量で重合の制御が可能である。ゲルマニウム触媒(ヨウ化物)はやや水分と光に弱いが、本発明の触媒として使用される非金属化合物は水分と光に極めて強く、重合操作をさらに容易にする。このように、本発明は、従来法にはない高い環境安全性と、従来法をはるかに凌ぐ優れた経済性と高い簡便性を併せもち、実用性に極めて富む。
【0685】
さらに、本発明の触媒として使用される非金属化合物は、官能基耐性に特に優れ、実用用途の多い、官能基をもつ各種の機能性モノマーへの適用が期待される。本発明の触媒は活性が高いことから、モノマー群としてアクリレート群を含む、各種のモノマー群に適用可能である。また、本発明の触媒は活性が高く、低い温度でも重合が可能であり、低温で重合を行うことにより、副反応が抑制され、高分子量体の合成が可能である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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