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明細書 :磁気共鳴イメージング装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-217743 (P2014-217743A)
公開日 平成26年11月20日(2014.11.20)
発明の名称または考案の名称 磁気共鳴イメージング装置
国際特許分類 A61B   5/055       (2006.01)
G01R  33/48        (2006.01)
FI A61B 5/05 370
A61B 5/05 382
G01N 24/08 520Y
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 32
出願番号 特願2014-069259 (P2014-069259)
出願日 平成26年3月28日(2014.3.28)
優先権出願番号 2013080680
優先日 平成25年4月8日(2013.4.8)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】磯田 裕義
【氏名】藤本 晃司
【氏名】草原 博志
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100089118、【弁理士】、【氏名又は名称】酒井 宏明
審査請求 未請求
テーマコード 4C096
Fターム 4C096AA07
4C096AA10
4C096AB08
4C096AC05
4C096AC07
4C096AC10
4C096AD06
4C096AD07
4C096AD24
4C096AD27
4C096BA01
4C096BA05
4C096BA06
4C096BA19
4C096BA22
4C096BA24
4C096BA41
4C096BA50
4C096BB08
4C096BB32
4C096BB40
4C096CA02
4C096CA05
4C096CA15
4C096CA17
4C096DA18
4C096DA19
4C096DC33
要約 【課題】非造影撮像における描出能を向上する磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置100は、シーケンス制御部120と、画像生成部136とを備える。シーケンス制御部120は、標識化領域にRF(Radio Frequency)パルスを印加してから所定の時間経過後に撮像領域内の磁気共鳴信号を収集する。画像生成部136は、磁気共鳴信号を用いて画像を生成する。また、シーケンス制御部120は、領域を選択せずに第1RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第1時間と、標識化領域を選択して第2RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第2時間とが異なるように、RFパルスの印加タイミングを設定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
標識化領域にRF(Radio Frequency)パルスを印加してから所定の時間経過後に撮像領域内の磁気共鳴信号を収集するシーケンス制御部と、
前記磁気共鳴信号を用いて画像を生成する画像生成部とを備え、
前記シーケンス制御部は、領域を選択せずに第1RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第1時間と、前記標識化領域を選択して第2RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第2時間とが異なるように、RFパルスの印加タイミングを設定するものであって、
前記第2時間は、前記第2RFパルスの印加タイミングに前記標識化領域内に存在した流体が、前記撮像領域内の所望の位置に到達するまでの時間であり、前記第1時間は、前記撮像領域内の組織であって、前記第2RFパルスの印加によって標識化された関心対象以外の組織である背景組織の縦磁化成分が略ゼロになる時間である、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記シーケンス制御部は、前記第1RFパルス及び前記第2RFパルスとして、組織の縦磁化成分を反転させるIR(Inversion Recovery)パルスを印加する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記標識化領域は、前記撮像領域内の関心領域と重ならない位置に設定される、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記第2時間は、前記背景組織の縦磁化成分の回復時間に基づき導出される時間に比較して、長い時間である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記第2時間は、所望の数の心収縮期を含む時間である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記シーケンス制御部は、TR(Repetition Time)に応じて、異なる前記第1時間を設定する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記シーケンス制御部は、前記第1時間が異なる磁気共鳴信号を収集する準備スキャンを実行し、該準備スキャンの結果に応じて、イメージングスキャンで設定される前記第1時間を導出する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記関心対象は、血液である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記撮像領域内の関心領域は、肝臓である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記撮像領域内の関心領域は、子宮である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記第1時間と、前記第2時間とを独立に設定可能である操作部を更に備える、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
標識化領域にRFパルスを印加してから所定の時間経過後に撮像領域内の磁気共鳴信号を収集するシーケンス制御部と、
前記磁気共鳴信号を用いて画像を生成する画像生成部と、
領域を選択せずに第1RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第1時間と、前記標識化領域を選択して第2RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第2時間とを独立に設定可能である操作部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記操作部は、前記第1時間を固定した状態で、前記第2時間を設定可能である、請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
前記操作部は、前記第2時間として、前記撮像領域内の組織であって前記第2RFパルスの印加によって標識化された関心対象以外の組織である背景組織の縦磁化成分の回復時間に基づき導出される時間に比較して、長い時間を設定可能である、請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンを、そのラーモア(Larmor)周波数のRF(Radio Frequency)パルスによって磁気的に励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号のデータから画像を生成する撮像法である。
【0003】
磁気共鳴イメージングの1つとして、MRA(Magnetic Resonance Angiography)が注目されている。造影剤を投与せずに撮像を行う非造影MRAでは、例えば、血管の上流に設定された標識化領域で血液に標識化パルスを印加し、所定の時間経過後、関心領域のデータを収集することで、関心領域に流入した血液を選択的に描出する。しかしながら、この非造影MRAにおいては、末梢血管の描出や背景組織とのコントラストといった観点において十分な画像を得ることが難しい状況にある。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2001-252263号公報
【特許文献2】特開2008-067857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、非造影撮像における描出能を向上することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、シーケンス制御部と、画像生成部とを備える。シーケンス制御部は、標識化領域にRFパルスを印加してから所定の時間経過後に撮像領域内の磁気共鳴信号を収集する。画像生成部は、磁気共鳴信号を用いて画像を生成する。また、シーケンス制御部は、領域を選択せずに第1RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第1時間と、標識化領域を選択して第2RFパルスを印加してから磁気共鳴信号の収集を開始するまでの第2時間とが異なるように、RFパルスの印加タイミングを設定する。第2時間は、第2RFパルスの印加タイミングに標識化領域内に存在した流体が、撮像領域内の所望の位置に到達するまでの時間であり、第1時間は、撮像領域内の組織であって、第2RFパルスの印加によって標識化された関心対象以外の組織である背景組織の縦磁化成分が略ゼロになる時間である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成を示す機能ブロック図。
【図2】図2は、Time—SLIP法を説明するための図。
【図3A】図3Aは、BBTI時間と画像との関係を説明するための図。
【図3B】図3Bは、BBTI時間と画像との関係を説明するための図。
【図4A】図4Aは、BBTI時間と画像との関係を説明するための図。
【図4B】図4Bは、BBTI時間と画像との関係を説明するための図。
【図5A】図5Aは、第1の実施形態におけるIRパルスの印加タイミングを説明するための図。
【図5B】図5Bは、第1の実施形態におけるIRパルスの印加タイミングを説明するための図。
【図6】図6は、第1の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図7】図7は、第1の実施形態における標識化領域及び撮像領域の設定を説明するための図。
【図8】図8は、肝臓の解剖学的構造を説明するための図。
【図9】図9は、第1の実施形態におけるパルスシーケンスを説明するための図。
【図10】図10は、第1の実施形態における縦磁化成分の時間的変化を説明するための図。
【図11】図11は、第1の実施形態における肝臓の血管像を説明するための図。
【図12】図12は、第1の実施形態の変形例における標識化領域及び撮像領域の設定を説明するための図。
【図13】図13は、第2の実施形態における標識化領域及び撮像領域の設定を説明するための図。
【図14】図14は、第2の実施形態におけるパルスシーケンスを説明するための図。
【図15】図15は、第2の実施形態における子宮の血管像(差分画像)を説明するための図。
【図16A】図16Aは、第3の実施形態においてTRと第1TI時間との関係を説明するための図。
【図16B】図16Bは、第3の実施形態においてTRと第1TI時間との関係を説明するための図。
【図17】図17は、その他の実施形態におけるGUIを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」)を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、各実施形態において説明する内容は、原則として、他の実施形態においても同様に適用することができる。

【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御部106と、送信コイル107と、送信部108と、受信コイル109と、受信部110と、シーケンス制御部120と、計算機130とを備える。なお、MRI装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御部120及び計算機130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。

【0010】
静磁場磁石101は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源102から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、MRI装置100は、静磁場電源102を備えなくてもよい。また、静磁場電源102は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。

【0011】
傾斜磁場コイル103は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライスエンコード用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及び読み出し用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。

【0012】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御部106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部106は、計算機130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。

【0013】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信部108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。

【0014】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、適宜「MR(Magnetic Resonance)信号」)を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部110へ出力する。

【0015】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。

【0016】
受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部110は、生成したMRデータをシーケンス制御部120へ送信する。なお、受信部110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。

【0017】
シーケンス制御部120は、計算機130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信部108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御部120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。

【0018】
なお、シーケンス制御部120は、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部110からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機130へ転送する。

【0019】
計算機130は、MRI装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。計算機130は、インタフェース部131、記憶部132、制御部133、入力部134、表示部135、及び画像生成部136を備える。

【0020】
インタフェース部131は、シーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信し、シーケンス制御部120からMRデータを受信する。また、インタフェース部131は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶部132に格納する。記憶部132に格納されたMRデータは、制御部133によってk空間に配置される。この結果、記憶部132は、k空間データを記憶する。

【0021】
記憶部132は、インタフェース部131によって受信されたMRデータや、制御部133によってk空間に配置されたk空間データ、画像生成部136によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、記憶部132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。

【0022】
入力部134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、キーボード等の入力デバイスである。表示部135は、制御部133による制御の下、撮像条件の入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像生成部136によって生成された画像等を表示する。表示部135は、例えば、液晶モニタ等の表示デバイスである。

【0023】
制御部133は、MRI装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。また、制御部133は、図1に示すように、撮像条件設定部133aを有する。撮像条件設定部133aは、撮像条件の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、撮像条件設定部133aは、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信する。例えば、制御部133は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。

【0024】
画像生成部136は、k空間データを記憶部132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。

【0025】
続いて、図2は、Time—SLIP(Spatial Labeling Inversion Pulse)法を説明するための図であり、RFパルスの印加タイミングとMR信号の収集との関係を示す。Time—SLIP法では、撮像領域とは独立に設定される標識化領域で、組織の縦磁化成分を反転させるIR(Inversion Recovery)パルスを流体に印加し、所定の時間経過後に関心領域のデータを収集することで、関心領域内に流入した流体を選択的に描出する。また、Time—SLIP法では、標識化領域を選択して印加されるIRパルスの他に、領域を選択せずに印加されるIRパルスを更に組み合わせて用いる場合がある。以下では、適宜、前者を「選択IRパルス(SP:selective IR pulse)」と称し、後者を「非選択IRパルス(NP:non-selective IR pulse)」と称する。なお、選択IRパルスは、「標識化パルス」、「タグパルス」等とも称される。

【0026】
図2に示すように、一般的なTime—SLIP法において、シーケンス制御部120は、非選択IRパルスと選択IRパルスとを概ね同時に印加した後、所定の時間経過後、FASE(Fast Asymmetric Spin Echo)法やbalancedSSFP(Steady-State Free Precession)法等によってMR信号を収集する。なお、図2に示すように、IRパルスを印加してからMR信号の収集が開始されるまでの時間のことを「BBTI(Black-Blood Time to Inversion)時間」と称する場合がある。

【0027】
図3A、図3B、図4A、及び図4Bは、Time—SLIP法におけるBBTI時間と画像との関係を説明するための図である。なお、図3A及び図4Aにおいては、標識化領域で選択IRパルスを印加された血液であって、その後、関心領域内に流入した血液の縦磁化成分を、実線で示す。一方、関心領域内の組織であって、関心対象(例えば、血液)以外の背景組織の縦磁化成分を、点線で示す。

【0028】
ここで、第1の実施形態においては、関心領域と標識化領域とは、両者の位置関係上、多少の重なりが生じる場合を除き、原則として、重ならない位置関係にあると想定する。この場合、関心領域内に流入した血液は、非選択IRパルス及び選択IRパルスの2つのIRパルスを印加されるため、その縦磁化成分は、図3Aに示すように、一旦反転した後再び反転する。一方、関心領域内の背景組織は、非選択IRパルス1つのみを印加されるため、その縦磁化成分は、図3Aに示すように、反転した後、徐々に回復していく。

【0029】
この回復過程においては、背景組織の縦磁化成分が「0」になるヌルポイントがある。例えば、図3Aに示すように、BBTI時間をこのヌルポイントに合わせて設定すると、MR信号の収集タイミングでは、関心領域内における流入血液と背景組織との間に縦磁化成分の差d1が生じる。この場合の画像は、図3Bに示すように、背景組織の信号が抑えられ、血管と背景組織とのコントラストが上がる一方で、末梢まで血液が到達せず、末梢血管が十分に描出されない。この結果、全体として十分な描出能を得ることができない。

【0030】
これに対し、例えば、図4Aに示すように、BBTI時間を、ヌルポイントより後まで延長すると、MR信号の収集タイミングでは、関心領域内における流入血液と背景組織との間の縦磁化成分の差として、d2とd3との差しか生じない。この場合の画像は、図4Bに示すように、末梢まで血液が到達し、末梢血管が十分に描出される一方で、背景組織の信号が回復してきてしまい、ノイズが増えるため、血管と背景組織とのコントラストは低下する。この結果、やはり、全体として十分な描出能を得ることができない。

【0031】
そこで、第1の実施形態においては、以下に説明するように、非選択IRパルスの印加タイミングと、選択IRパルスの印加タイミングとを、独立に設定する手法を提案する。即ち、シーケンス制御部120は、非選択IRパルスを印加してからMR信号の収集を開始するまでの待ち時間と、選択IRパルスを印加してからMR信号の収集を開始するまでの待ち時間とが異なるように、2つのIRパルスの印加タイミングを設定する。なお、以下では、非選択IRパルスを印加してからMR信号の収集を開始するまでの時間を「第1TI(Inversion Time)時間」と称し、選択IRパルスを印加してからMR信号の収集を開始するまでの時間を「第2TI時間」と称する。

【0032】
図5A及び図5Bは、第1の実施形態におけるIRパルスの印加タイミングを説明するための図である。図5Aでは、まず、非選択IRパルスが印加され、その後、選択IRパルスが印加される。この場合、第1TI時間は、第2TI時間に比較して長くなる。また、図5Bでは、まず、選択IRパルスが印加され、その後、非選択IRパルスが印加される。この場合、第1TI時間は、第2TI時間に比較して短くなる。

【0033】
このように、第1の実施形態に係るシーケンス制御部120は、非選択IRパルスと、選択IRパルスとの前後関係を問わずに、2つのIRパルスの印加タイミングを、独立に設定することができる。また、このとき、シーケンス制御部120は、2つのIRパルスについて、関心領域はどの部位か、標識化領域をどの位置に設定するか、関心対象や背景組織は何か、背景組織の縦磁化成分の回復時間(縦緩和時間、T1値)はどの程度か、等の種々の条件に応じて、適切な印加タイミングを設定する。

【0034】
例えば、シーケンス制御部120は、第1TI時間については、背景組織の縦磁化成分が概ねゼロになる時間(ヌルポイントまでの時間)を設定する。また、シーケンス制御部120は、第2TI時間については、選択IRパルスの印加タイミングに標識化領域内に存在した流体が、関心領域内の所望の位置に到達するまでの時間を設定する。この場合、第2TI時間は、第1TI時間と独立に設定されるので、背景組織の縦磁化成分の制約を受けずに設定可能である。例えば、第2TI時間は、背景組織の縦磁化成分の回復時間に基づき導出される時間(例えば、ヌルポイントまでの時間)に比較して、長い時間を設定可能である。

【0035】
さて、以下では、第1の実施形態に係るMRI装置100において『肝臓内の動脈(肝動脈)の血管像』を得るためのイメージングの一例を説明する。

【0036】
図6は、第1の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。なお、一般的には、図6に示す処理の前に、操作者は、撮像条件入力用のGUI上で、肝動脈の血管像を得るための一連のプロトコル群(例えば、位置決め画像収集用のプロトコル、感度マップ撮像用のプロトコル、シミング撮像用のプロトコル、イメージングスキャン用のプロトコル等)を選択済みである。シーケンス制御部120は、選択された一連のプロトコル群に従って、図6に示す各種処理を実行する。

【0037】
図6に示すように、シーケンス制御部120は、まず、位置決め画像の収集や、感度マップ撮像、シミング撮像等の各種準備スキャンを実行する(ステップS1)。

【0038】
続いて、撮像条件設定部133aが、標識化領域や撮像領域、第1TI時間や第2TI時間等の撮像条件の設定を受け付ける(ステップS2)。例えば、撮像条件設定部133aは、ステップS1で収集された位置決め画像をGUI上に表示し、操作者から標識化領域及び撮像領域の設定を受け付ける。

【0039】
図7は、第1の実施形態における標識化領域及び撮像領域の設定を説明するための図である。第1の実施形態において、画像への描出が望まれる関心対象は『肝動脈』である。このため、操作者は、位置決め画像上で、関心領域である『肝臓』が含まれるように、撮像領域(画像化の対象となるMR信号を収集する領域)を設定する。また、操作者は、標識化領域については、肝動脈を選択的に描出しつつ、肝静脈や門脈の影響をできる限り避ける位置に設定する。

【0040】
図8は、肝臓の解剖学的構造を説明するための図である。図8に示すように、肝臓では、肝動脈及び門脈のそれぞれから血液が流入し、また、肝静脈から血液が流出する。図8において、矢印が、血流の向きを示している。このような場合、標識化領域は、例えば、図7に示すように、肝臓の上辺に沿う位置に設定される。標識化領域が肝臓の上辺に沿う位置に設定された場合、選択IRパルスは、大動脈を流れる血液に対して印加されることになり、ここで印加された血液は、図8に示すように、下向きに流れて肝臓に流入する。一方で、選択IRパルスは、下大静脈を流れる血液に対しても印加されることになるが、ここで印加された血液は、図8に示すように、上向きに流れるので、肝動脈の描出に影響を与えない。

【0041】
また、標識化領域の幅(図7において上下方向の幅)を広くすればするほど、大動脈内で選択IRパルスを印加される血液の量が増える。即ち、標識化された血液の血流量が増えるので、所定の時間内に末梢に到達する血流量を増やすことができる。もっとも、この幅をあまり広くしすぎて標識化領域が肝静脈に重なってしまうと、肝静脈までもが描出されてしまうことになり、肝動脈を選択的に描出する場合においては望ましくない。

【0042】
そこで、第1の実施形態において、標識化領域は、肝臓の上辺に沿う位置に設定され、ある程度の幅を有しつつも、肝臓に重ならない程度にその幅が制限されたものとする。

【0043】
また、撮像条件設定部133aは、第1TI時間及び第2TI時間の撮像条件の設定をそれぞれ独立に受け付ける。例えば、肝動脈の血管像を得る場合、背景組織は、「肝臓」である。そこで、第1の実施形態において、第1TI時間は、肝臓のT1値に基づいて、例えば『1200msec』とする。また、末梢まで血液が到達するように、第2TI時間は、例えば『1600msec』とする。この場合、第2TI時間は、背景組織である「肝臓」のヌルポイントまでの時間に比較して、長い時間である。撮像条件設定部133aは、例えば、GUIを表示して、操作者から、第1TI時間『1200msec』、第2TI時間『1600msec』の入力を受け付ける。なお、操作者からの入力を受け付けることなく、シーケンス制御部120がパルスシーケンスを実行する際に、自動的に上述した値が設定されてもよい。

【0044】
図6に戻り、こうして、撮像条件の設定が終わると、シーケンス制御部120は、イメージングスキャンを実行する(ステップS3)。ここで、第1の実施形態においては、被検体Pの呼吸に同期しながら撮像を行う「呼吸同期撮像」を採用する。関心領域である肝臓は、呼吸に伴う体動の影響を比較的大きく受ける。また、例えば3Dのボリュームデータを収集する場合、MR信号は、複数の呼吸に亘って収集される。そこで、第1の実施形態においては、位置ずれを抑制すべく、呼吸同期撮像を行い、呼吸周期内の同じ呼吸位相で、MR信号を収集する。

【0045】
図9は、第1の実施形態におけるパルスシーケンスを説明するための図である。一般的には、呼吸の練習が行われた後、被検体Pは、音声指示(例えば、「息を吸って下さい」「息を吐いて下さい」)に合わせて呼吸をする。一方、シーケンス制御部120は、この音声指示をトリガ信号として、若しくは別途被検体Pをモニタリングして検出された呼吸の動き等をトリガ信号として、図9に示すように、呼吸同期撮像を行う。

【0046】
例えば、シーケンス制御部120は、息の吸い始めのトリガ信号を検出すると、このトリガ信号から所定の遅延時間経過後、標識化領域に、選択IRパルスを印加する。また、シーケンス制御部120は、選択IRパルスを印加した後、400msec(=1600msec-1200msec)経過後、領域を選択することなく、非選択IRパルスを印加する。そして、シーケンス制御部120は、非選択IRパルスを印加した後、1200msec経過後、例えば1スライスエンコード分のMR信号を、FASEやbalancedSSFP等によって、撮像領域から収集する。なお、図9において、TRは、繰り返し時間(Repetition Time)である。

【0047】
なお、図9においては図示を省略したが、シーケンス制御部120は、肝臓内の脂肪や皮下脂肪の信号を抑制するために、脂肪抑制パルスを合わせて印加することができる。脂肪抑制パルスを印加する手法としては、例えば、CHESS(CHEmical Shift Selective)法、STIR(Short Time Inversion Recovery)法、SPIR(Spectral Presaturation with Inversion Recovery)法等がある。

【0048】
CHESS法とは、物質毎の共鳴周波数の違いを利用して、脂肪成分の中心周波数をプリパルスの中心周波数に設定し、脂肪成分を周波数選択的に抑制した上でMR信号を収集する手法である。また、STIR法とは、物質毎の縦緩和時間の違いを利用し、脂肪成分の縦磁化成分がゼロになる反転時間のタイミングで、MR信号を収集する手法である。また、SPIR法とは、周波数選択的なプリパルスの印加によって脂肪成分の縦磁化成分を反転させることで、脂肪を抑制する手法である。

【0049】
CHESS法による脂肪抑制パルスを印加する場合、シーケンス制御部120は、MR信号の収集を開始する直前に、この脂肪抑制パルスを印加すればよい。また、STIR法やSPIR法による脂肪抑制パルスを印加する場合、シーケンス制御部120は、更に、TI時間を調整して、これらの脂肪抑制パルスを印加する。なお、シーケンス制御部120は、これらの脂肪抑制パルスを、領域を選択することなく非選択に印加してもよいし、あるいは撮像領域を含む領域を選択して印加してもよい。

【0050】
図6に戻り、こうして、イメージングスキャンが実行され、肝臓のボリュームデータが収集されると、画像生成部136は、収集されたボリュームデータを用いて肝臓の血管像を生成し、これを表示部135に表示する(ステップS4)。

【0051】
図10は、第1の実施形態における縦磁化成分の時間的変化を説明するための図であり、図11は、第1の実施形態における肝臓の血管像を説明するための図である。図10においては、標識化領域で選択IRパルスを印加された血液であって、その後、肝臓内に流入した血液の縦磁化成分を、実線で示す。一方、背景組織である肝臓の縦磁化成分を、点線で示す。

【0052】
第1の実施形態においては、まず標識化領域に選択IRパルスが印加されるので、図10に示すように、標識化領域内の血液の縦磁化成分のみが反転する。この血液は、図10に示すようにその縦磁化成分を回復しながら、標識化領域から流出する。なお、背景組織である肝臓にはこの選択IRパルスは印加されないため、図10に示すように、背景組織の縦磁化成分は変化しない。続いて、400msec後、標識化領域を含む撮像領域全体に非選択IRパルスが印加される。すると、図10に示すように、背景組織の縦磁化成分が反転するとともに、一旦反転して回復過程にあった血液の縦磁化成分が、再び反転し、それぞれ、回復する。

【0053】
ここで、シーケンス制御部120は、背景組織の縦磁化成分がヌルポイントになるタイミングでMR信号を収集する。すると、図10に示すように、関心領域内における流入血液と背景組織との間に十分な縦磁化成分の差が生じるので、この場合の画像では、図11に示すように、血管と背景組織とのコントラストが向上する。また、シーケンス制御部120は、血液が末梢に到達するまでの時間を加味したタイミングで選択IRパルスを印加している。このため、この場合の画像では、図11に示すように、末梢血管も十分に描出されたものとなる。

【0054】
上述したように、第1の実施形態において、シーケンス制御部120は、第1TI時間と第2TI時間とが異なるように、IRパルスの印加タイミングを設定する。言い換えると、第1の実施形態においては、非選択IRパルスの印加タイミングと、選択IRパルスの印加タイミングとをそれぞれ独立に設定することによって、背景組織を抑制するための時間と、血管(末梢血管等)を描出するための時間とを、別々に制御する。この結果、第1の実施形態によれば、肝臓のヌルポイント付近で撮像を行うことができ、且つ、十分な血液の流入時間を確保することができる。このように、末梢血管の描出や、背景組織とのコントラストのいずれの観点においても良好な画像を得ることができ、非造影撮像における描出能を向上することができる。

【0055】
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。

【0056】
(標識化領域の設定)
例えば、第1の実施形態においては、肝動脈の血管像を得ることを目的として、図7に示す位置に標識化領域を設定する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。関心対象や、解剖学的構造上の個人差等に応じて、標識化領域の設定位置は適宜変更されるものである。

【0057】
図12は、第1の実施形態の変形例における標識化領域及び撮像領域の設定を説明するための図である。この変形例において、画像への描出が望まれる関心対象は『門脈』である。このため、操作者は、標識化領域について、門脈を選択的に描出しつつ、肝動脈や肝静脈の影響をできる限り避ける位置に設定する。

【0058】
図8に示すように、肝臓内の門脈には、脾静脈や上腸間膜静脈からの血液が流入する。このような場合、標識化領域は、例えば、図12に示すように、肝臓の下辺に沿う位置に設定される。標識化領域が肝臓の下辺に沿う位置に設定された場合、選択IRパルスは、脾静脈や上腸間膜静脈を流れる血液に対して印加されることになり、ここで印加された血液は、図8に示すように、上向きに流れて肝臓に流入する。一方で、選択IRパルスは、肝動脈を流れる血液に対しても印加されることになるが、ここで印加された血液は、図12に示すように、右方向に流れて肝臓には流入しないので、肝臓内の門脈の描出に影響を与えない。

【0059】
(心電同期・脈波同期)
また、第1の実施形態においては、呼吸同期撮像を採用する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。シーケンス制御部120は、呼吸の替わりに、他の生体信号や、MRI装置100のクロック信号等をトリガ信号として用いてもよい。また、シーケンス制御部120は、呼吸同期と心電同期(若しくは脈波同期)とを組み合わせてもよい。この場合、シーケンス制御部120は、呼吸位相及び心位相の両方が一致したタイミングで、MR信号を収集する。画質の向上が期待される一方で、撮像時間の長時間化が予想される。

【0060】
(処理手順)
また、第1の実施形態においては、図6を用いてその処理手順を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、第1TI時間や第2TI時間の設定は、例えば、図6の処理が開始される前の段階で(例えば、肝動脈の血管像が撮像されることが入力された段階で)行われてもよい。

【0061】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態においては、『子宮の血管像』を得るためのイメージングの一例を説明する。なお、第2の実施形態に係るMRI装置100は、第1の実施形態に係るMRI装置100と同様の構成を備え、また第1の実施形態と同様の処理手順を実行する。以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。

【0062】
図13は、第2の実施形態における標識化領域及び撮像領域の設定を説明するための図である。第2の実施形態において、画像への描出が望まれる関心対象は『子宮内の血液』である。このため、操作者は、位置決め画像上で、関心領域である『子宮』が含まれるように、撮像領域を設定する。

【0063】
また、図13に示すように、子宮には、大動脈からの血液が流入する。そこで、操作者は、大動脈を多く含みつつ、子宮に重ならない位置に、標識化領域を設定する。一般的には、図13に示すように、標識化領域と撮像領域とは概ね平行の位置に設定される。なお、子宮は、個人差や、膀胱に蓄積された尿の影響を大きく受けて、前方や後方に傾く場合がある。このような場合にも、標識化領域は、子宮と重ならないように設定されることが望ましい。

【0064】
次に、図14は、第2の実施形態におけるパルスシーケンスを説明するための図である。図14に示すように、第2の実施形態においては、呼吸同期撮像に替えて、被検体Pの心拍に同期しながら撮像を行う「心電同期撮像」を採用し、トリガ信号として、特徴波(例えば、R波)を用いる。また、第2の実施形態においては、背景組織の信号を抑制するために2つの画像の差分をとる「差分法」を適用する。以下では、これらの2点について詳細に説明する。なお、第2の実施形態において、第1TI時間は、子宮のT1値に基づいて、例えば『1300msec』とする。また、子宮自体への血液の流入量が可能な限り多くなるように、第2TI時間は、例えば『1600msec』とする。

【0065】
まず、第2の実施形態において、心電同期撮像を採用する理由の1つは、子宮は、肝臓に比較すると、呼吸に伴う体動の影響をそれほど受けないことが挙げられる。

【0066】
また、2つめの理由として、第2の実施形態においては、単に心電波形をトリガ信号として用いるだけでなく、画像化される血流量を増やす効果を合わせて狙っている。第1の実施形態と同様、第2の実施形態においても、非選択IRパルスの印加タイミングと、選択IRパルスの印加タイミングとは、独立に設定される。例えば、図14に示すように、第1TI時間は『1300msec』である一方で、第2TI時間は、それよりも、更に300msec長い『1600msec』である。このように、第2TI時間を300msec延長することで、まずは血液の到達度合いを高めることができるが、300msec延長することで、血液を多く送り出す心収縮期をより多く取り込むことができれば、画像化される血流量を増やすという効果も合わせて得られるはずである。

【0067】
図14に示すように、第2の実施形態においては、選択IRパルスが印加されてから、MR信号が収集されるまでの間に2つのR波を含んでおり、心収縮期を2回含んでいる。同じ第2TI時間でMR信号を収集するにしても、このように、心電同期と組み合わせてタイミングを図ることで、できるだけ多くのR波を含むように、調整することができる。この結果、子宮の血管像に描出される血流量を、より多くすることができ、描出能を更に向上することができる。

【0068】
次に、「差分法」を説明する。差分法は、同じ撮像スライスについて、選択IRパルスを印加する場合のMR信号と印加しない場合のMR信号とをそれぞれ収集し、各MR信号から生成された2つの画像の差分を算出することで、背景組織の信号を差し引いた画像を得る手法である。

【0069】
例えば、第2の実施形態に係るシーケンス制御部120は、図14に示すように、同じスライスエンコードについて、選択IRパルスを印加するTRと、選択IRパルスを印加しないTRとを、交互に繰り返しながら実行する。

【0070】
選択IRパルスを印加するTRを説明すると、例えば、シーケンス制御部120は、あるR波をトリガ信号として、このトリガ信号から所定の遅延時間経過後、標識化領域に、選択IRパルスを印加する。また、シーケンス制御部120は、選択IRパルスを印加した後、300msec(=1600msec-1300msec)経過後、領域を選択することなく、非選択IRパルスを印加する。そして、シーケンス制御部120は、非選択IRパルスを印加した後、1300msec経過後、例えば『スライスエンコード1』のMR信号を、FASEやbalancedSSFP等によって収集する。そして、次のトリガ信号までの一連の時間を、1TRとする。

【0071】
また、選択IRパルスを印加しないTRを説明すると、シーケンス制御部120は、あるR波をトリガ信号として、このトリガ信号から所定の遅延時間+300msec経過後、領域を選択することなく、非選択IRパルスを印加する。そして、シーケンス制御部120は、非選択IRパルスを印加した後、1300msec経過後、同じ『スライスエンコード1』のMR信号を、FASEやbalancedSSFP等によって収集する。そして、次のトリガ信号までの一連の時間を、1TRとする。

【0072】
なお、図14においては図示を省略したが、シーケンス制御部120は、その後、他のスライスエンコードについても同様に、上述した、選択IRパルスを印加するTRと、上述した、選択IRパルスを印加しないTRとを交互に繰り返しながら実行する。なお、差分法は、必ずしも、交互に繰り返す手法に限られるものではない。例えば、選択IRパルスを印加しながらボリュームデータ全体を収集した後に、選択IRパルスを印加せずに同じボリュームデータ全体を収集してもよい。

【0073】
図15は、第2の実施形態において、差分法により得られた子宮の血管像(差分画像)を説明するための図である。差分法では、選択IRパルスを印加して得られた画像(以下、「選択IRパルス有り画像」)と、選択IRパルスを印加せずに得られた画像(以下、「選択IRパルス無し画像」)との差分を算出することで、血液を、黒く描出したり、白く描出したりする。具体的には、選択IRパルス無し画像から選択IRパルス有り画像を差し引いた場合、差分画像において、血管像は、黒く描出される。一方、選択IRパルス有り画像から選択IRパルス無し画像を差し引いた場合、差分画像において、血管像は、白く描出される。また、画像表示の際に差分画像の白黒を反転させれば、血管像の白黒も反転する。図15では、選択IRパルス無し画像から選択IRパルス有り画像を差し引いた子宮の血管像を例示しており、子宮動脈が黒く描出されている。

【0074】
第2の実施形態において、差分法を採用する理由の1つは、子宮の背景組織にある。子宮の背景組織は、例えば、子宮の内膜や子宮の周りの筋層等であるが、これらのT1値は若干異なっているため、第1TI時間を背景組織のヌルポイントまでの時間に設定したとしても、背景組織の信号が十分に抑制されずに微妙に残ってしまうおそれがある。この点、第2の実施形態においては、2つの画像の差分を算出して子宮の血管像を得るので、十分に抑制されずに残っていた背景組織の信号についても、差分処理によって抑制することができると考えられる。

【0075】
また、2つめの理由として、第2の実施形態においては、差引前の画像において十分に背景組織の信号が抑制されるため、差分法を適用した場合の効果がより顕著になることが挙げられる。差分法を適用した場合、理論上は、背景組織の信号は差し引かれてほぼゼロになると考えられる。しかしながら、実際には、動きの影響やその他の様々な要因から、差引前の画像に背景組織の信号が残っている場合、その後差分したとしても、その信号は必ずしもゼロにはならない。差引前の画像に残る背景組織の信号が大きければ大きいほど、動きの影響や誤差も大きくなる。この点、第2の実施形態においては、第1TI時間を背景組織のヌルポイントまでの時間に設定するので、常に、背景組織の信号がゼロに近い状態で撮像を行うことができ、差引前の画像に残る背景組織の信号を、極力抑えることができる。この結果、その後差分した場合に、誤差が生じにくく、良好な画像を得ることができる。

【0076】
(第2の実施形態の変形例)
なお、第2の実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。例えば、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、差分法を適用しない通常の手法によって、MR信号を収集し、画像を生成してもよい。なお、第1の実施形態においても、差分法を適用してもよい。

【0077】
また、第2の実施形態においては、心電同期撮像を採用する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。シーケンス制御部120は、心拍の替わりに、他の生体信号や、MRI装置100のクロック信号等をトリガ信号として用いてもよい。また、シーケンス制御部120は、心電同期と呼吸同期とを組み合わせてもよい。また、心電同期に替えて、脈波同期でもよい。

【0078】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。上述した第1及び第2の実施形態においては、第1TI時間及び第2TI時間として、固定の値を用いる例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。以下では、個人毎のTRに応じて異なる第1TI時間を設定する手法、及び、第1TI時間や第2TI時間を準備スキャンで求める手法を説明する。なお、以下に説明する手法は、上述した第1及び第2の実施形態やその他の実施形態と、適宜組み合わせることができる。

【0079】
(TRに応じて異なる第1TI時間を設定する手法)
まず、個人毎のTRに応じて異なる第1TI時間を設定する手法を説明する。例えば、第1の実施形態においては、被検体Pの呼吸に同期しながら撮像を行う「呼吸同期撮像」の適用を想定した。呼吸同期撮像においては、一般的に、被検体Pの呼吸周期を『TR』とする。このため、TRは、個人によって異なる長さとなり得るが、この場合には、背景組織の縦磁化成分の回復との関係で、第1TI時間を調整することが望ましい。

【0080】
図16A及び図16Bは、第3の実施形態においてTRと第1TI時間との関係を説明するための図である。図16Aは、比較的呼吸周期が長い(例えば、TR=4000msec程度)場合を例示し、図16Bは、比較的呼吸周期が短い(例えば、TR=2000msec程度)場合を例示する。

【0081】
ここで、図16Aに示すように、TRが十分に長い場合、非選択IRパルスの印加によって反転した背景組織の縦磁化成分は、次のTRが開始されるまでに、十分に回復する。すると、次のTRにおいて再び非選択IRパルスを印加した場合に、背景組織の縦磁化成分は、十分に回復した状態から反転されることになるので、ヌルポイントに到達するまでの時間は、この背景組織のT1値となる。

【0082】
一方、図16Bに示すように、TRが短い場合、非選択IRパルスの印加によって反転した背景組織の縦磁化成分は、次のTRが開始されるまでに回復し切ることができない。すると、次のTRにおいて再び非選択IRパルスを印加した場合に、背景組織の縦磁化成分は、途中までしか回復していない状態から反転されることになるので、ヌルポイントに到達するまでの時間は、この背景組織のT1値よりも短くなる。すると、図16Bに示すように、仮に第1TI時間でMR信号を収集したとしても、その収集タイミングが、背景組織のヌルポイントに合わない事態が発生し得る。

【0083】
この点、TRが短い場合にも、TRを繰り返すことで、図16Bに示した縦磁化成分の回復過程はやがて定常状態に到達し、短いTRに対する適切な第1TI時間を求めることができる。そこで、例えば、実験やシミュレーションを事前に行うことで、TRと、適切な第1TI時間との対応関係を求めておき、例えば、両者を対応付けたテーブルを、予め記憶しておけばよい。また、このテーブルは、撮像目的等に応じて準備されればよい。

【0084】
この場合、シーケンス制御部120は、撮像目的(例えば、『肝動脈の血管像』)等の情報に基づき、該当するテーブルを参照し、呼吸の練習で得られた被検体Pの呼吸周期の情報に基づき、この被検体Pの呼吸周期に対応する第1TI時間を取得し、設定する。

【0085】
(準備スキャンで求める手法)
次に、第1TI時間や第2TI時間を準備スキャンで求める手法を説明する。上述したように、第1TI時間については、背景組織の縦磁化成分のヌルポイントまでの時間を設定し、第2TI時間については、選択IRパルスの印加タイミングに標識化領域内に存在した流体が、関心領域内の所望の位置に到達するまでの時間を設定することが望ましい。そこで、第1TI時間や第2TI時間を変化させながら準備スキャンを行い、その結果得られた画像や信号値を、自動若しくは操作者による手動によって解析し、適切な第1TI時間や第2TI時間を求めてもよい。

【0086】
例えば、シーケンス制御部120は、図6に示したステップS1の段階で、この準備スキャンを行う。準備スキャンとしては、第1TI時間を求めるものと、第2TI時間を求めるものとがある。前者の場合、例えば、シーケンス制御部120は、第2TI時間をある固定の値に設定しつつ、TR毎に第1TI時間を変えながら、1枚/1TRで2Dの画像を収集する。その後、例えば、シーケンス制御部120は、収集した複数枚の画像を解析して、背景組織とのコントラストが最も高い画像を特定し、特定した画像に対応する第1TI時間を、イメージングスキャンの第1TI時間として設定する。あるいは、例えば、シーケンス制御部120は、収集した複数枚の画像を表示部135に表示し、操作者から画像の指定を受け付けることで、背景組織とのコントラストが最も高い画像を特定してもよい。

【0087】
同様に、後者の場合、例えば、シーケンス制御部120は、第1TI時間をある固定の値に設定しつつ、TR毎に第2TI時間を変えながら、1枚/1TRで2Dの画像を収集する。その後、例えば、シーケンス制御部120は、収集した複数枚の画像を解析して、血液の到達度合いが最も高い画像を特定し、特定した画像に対応する第2TI時間を、イメージングスキャンの第2TI時間として設定する。あるいは、例えば、シーケンス制御部120は、収集した複数枚の画像を表示部135に表示し、操作者から画像の指定を受け付けることで、血液の到達度合いが最も高い画像を特定してもよい。

【0088】
なお、準備スキャンの手法は上述した手法に限られるものではない。例えば、シーケンス制御部120は、1TR内において、異なる第1TI時間(あるいは、異なる第2TI時間)のMR信号(例えば、1セグメント分)を、連続的に収集してもよい。この場合、シーケンス制御部120は、例えば1セグメント分のMR信号を解析して、第1TI時間を求めてもよいし、その解析結果を表示部135に表示して、操作者からの指定を受け付けてもよい。また、シーケンス制御部120は、複数のTRに亘って1画像分のMR信号が収集された場合には、上述した手法と同様に第1TI時間毎に画像を生成し、その画像を解析したり、表示部135に表示する等して、所望の画像を特定してもよい。

【0089】
(その他の実施形態)
なお、実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。

【0090】
例えば、上述した実施形態においては、関心領域として肝動脈や門脈、子宮を想定して説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、肝静脈や、腎臓等の他の部位を関心領域とするイメージングにおいても、上述した実施形態を同様に適用することができる。また、上述した実施形態においては、流体として血液を想定したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、脳脊髄液(CSF(Cerebrospinal Fluid))、リンパ液等にも、上述した実施形態を同様に適用することができる。

【0091】
また、例えば、上述した実施形態においては、標識化領域を1箇所に設定する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、標識化領域を複数個所に設定する場合にも、同様に適用することができる。

【0092】
また、上述した実施形態においては、MR信号収集時のRFパルスとして、フリップ角90度のRFパルスを印加した後、フロップ角180度のRFパルスを印加する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、FASE法によってMR信号を収集する場合には、CFA(Constant Flop Angle)法及びVFA(Variable Flop Angle)法のいずれを適用してもよい。CFA法の場合、フリップ角90度、フロップ角120度のように、任意且つ一定のフロップ角のRFパルスが印加される。一方、VFAの場合、スイープパターンに従って変化するフロップ角のRFパルスが印加される。また、例えば、balancedSSFP法によってMR信号を収集する場合、α°/2、α°、α°、・・・、α°のように、steady stateが成立する任意のフリップ角のRFパルスが印加される。

【0093】
ところで、上述した実施形態においては、撮像条件設定部133aが、例えば、GUIを表示して、操作者から、第1TI時間、第2TI時間の入力を受け付ける例を説明した。このように、MRI装置100は、第1TI時間と、第2TI時間とを独立に設定可能なGUI(「操作部」とも呼ばれる)を備え、このGUIを介して操作者から入力を受け付ける。以下では、このGUIについていくつか例を挙げて説明する。なお、以下に説明するGUIは、上述した各実施形態のいずれにおいても適用である。

【0094】
図17は、その他の実施形態におけるGUIを説明するための図である。図17に示すGUIは、例えば、位置決め画像に対して操作者から標識化領域や撮像領域の設定を受け付けるタイミング(例えば、図6のステップS2のタイミング)で、表示される。なお、図17に示すGUIは、表示部135に表示されるGUIのうちの一部を簡略化して示すものである。図17においては図示を省略するが、GUI上には、例えば、位置決め画像や、その他の設定画面等が表示されていてもよい。

【0095】
例えば、図17に示すように、GUIには、実行予定のパルスシーケンスに関して、各パラメータの設定を受け付けるための操作ツールが表示される。なお、一部操作ツールについては、簡略化して示す。また、操作ツールの種類や配置は、一例に過ぎない。図17に示すGUIでは、第1TI時間については、まず、領域r1で、非選択IRパルスの印加の有無(On、Off)の入力を受け付けてから、「On」の入力に応じて別ウィンドウr2を表示し、別ウィンドウr2上で、第1TI時間の入力を受け付ける例を示す。例えば、図17に示すGUIの操作ツールでは、第1TI時間として、最小値「100」msecから最大値「2000」msecまでの値が設定可能であり、一例として、「1200」msecが入力されている様子を示す。なお、非選択IRパルスの種類によってはフリップ角の制御も可能であるので、図17に示すように、非選択IRパルスのフリップ角の設定を受け付けるための操作ツールを表示してもよい。また、図17に示すGUIでは、第2TI時間については、領域r3で入力を受け付ける例を示す。なお、この第2TI時間についても、ウィンドウr2と同様、別ウィンドウを表示して受け付けることも可能である。

【0096】
また、例えば、図17に示すように、GUIには、タイムチャートr4を併せて表示してもよい。例えば、呼吸同期下で、パルスシーケンスが実行される場合、タイムチャートr4には、例えば、呼吸周期を示す波形r5が表示される。また、タイムチャートr4上には、例えば、選択IRパルスのTI時間(第2TI時間)を示す矩形マークr6(矩形マークr6の左端が、選択IRパルスの印加タイミング)と、非選択IRパルスのTI時間(第1TI時間)を示す矩形マークr7(矩形マークr7の左端が、非選択IRパルスの印加タイミング)と、MR信号の収集を示す矩形マークr8(矩形マークr8の左端が、収集開始のタイミング)とが表示される。操作者は、第1TI時間や第2TI時間をそれぞれ独立に設定しながら、このタイムチャートr4上で、呼吸周期とMR信号の収集タイミングとの関係を確認することができる。なお、タイムチャートr4上に、現在設定中の第1TI時間や第2TI時間の値自体を表示してもよい。

【0097】
なお、図17に示すGUIでは、第1TI時間及び第2TI時間の両方の値について、操作者からの入力を受け付ける例を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。GUIは、第1TI時間を固定の値に固定した状態で、第2TI時間の入力を受け付けるものでもよい。第2TI時間は、固定された第1TI時間と連動せずに、独立に、任意の値を設定可能である。この場合、GUIは、第1TI時間を表示してもよいし、あるいは表示しなくてもよい。又は、その反対に、GUIは、第2TI時間を固定の値に固定した状態で、第1TI時間の入力を受け付けるものでもよい。

【0098】
このように、MRI装置100は、第1TI時間と、第2TI時間とを独立に設定可能なGUIを備える。以下では、かかるGUIの、更に別の形態を説明する。

【0099】
上述した図17の例では、GUIとして、パルスシーケンスの各パラメータの設定を受け付けるための操作ツールを表示し、各パラメータの設定の1つとして、第1TI時間や第2TI時間の入力を受け付ける例を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。

【0100】
MRI装置100の中には、パルスシーケンスのプリセット情報を、操作者に提供することができるものがある。パルスシーケンスのプリセット情報とは、パルスシーケンスの各パラメータについて初期値が予め設定されたものであり、撮像目的に応じて提供される場合や、単にバリエーションの1つとして提供される場合等がある。操作者は、例えば、ある検査の撮像計画段階においてこのプリセット情報を選択し、選択したプリセット情報に対して必要に応じてカスタマイズを行うことで、その検査に適したパルスシーケンスの設定を完了させることができる。

【0101】
そこで、撮像条件設定部133aは、第1TI時間と、第2TI時間とを独立に設定可能なGUIとして、プリセット情報を表示し、操作者からプリセット情報の選択を受け付けることもできる。例えば、図6のステップS1よりも前の撮像計画段階において、撮像条件設定部133aは、GUIとして、肝動脈の撮像用に準備された、複数のプリセット情報をリスト表示する。例えば、GUIは、プリセット情報Aと、プリセット情報Bとをリスト表示する。プリセット情報Aには、例えば、第1TI時間『1200msec』、第2TI時間『1600msec』が予め設定されている。一方、プリセット情報Bには、例えば、第1TI時間『1200msec』、第2TI時間『1650msec』が予め設定されている。操作者は、このように予め準備された複数のプリセット情報の中から、所望のプリセット情報を選択する。

【0102】
また、上述した実施形態においては、図16A及び図16Bを用いて、個人毎のTRに応じて異なる第1TI時間を設定する手法を説明した。例えば、撮像条件設定部133aは、事前に判明した被検体PのTRに対応する第1TI時間を求め、この第1TI時間が設定されたプリセット情報を推奨のプリセット情報として、そのプリセット情報のみを、あるいは他のプリセット情報と併せて、表示してもよい。

【0103】
更に、例えば、第1TI時間を固定の値に固定した状態で、第2TI時間を変えながら何度かパルスシーケンスの実行を繰り返し、各パルスシーケンスで得られたMR信号からそれぞれ画像を得る手法を想定することもできる。流体の到達位置が徐々に変化する複数の画像には、流体の動態が現れる。例えば、このような撮像目的の場合、撮像条件設定部133aは、GUIとして、第2TI時間が異なる複数のプリセット情報をリスト表示する。そして、操作者は、リスト表示された複数のプリセット情報を、必要に応じて全て(若しくは一部)選択することができる。

【0104】
(具体的な数値、処理の順序)
また、上述した実施形態において例示した具体的な数値(例えば、第1TI時間や第2TI時間の数値、呼吸同期のTRや、心電同期のRR間隔、等)や処理の順序(例えば、図6に示す処理手順)は、原則として、一例に過ぎない。パルスシーケンスについても、任意に変更することができる。

【0105】
(プログラム)
また、上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態のMRI装置100と同様の動作を実現することができる。また、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合は、ネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。

【0106】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、非造影撮像における描出能を向上することができる。

【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0108】
100 MRI装置
120 シーケンス制御部
133 制御部
133a 撮像条件設定部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図4A】
4
【図4B】
5
【図5A】
6
【図5B】
7
【図6】
8
【図7】
9
【図8】
10
【図9】
11
【図10】
12
【図11】
13
【図12】
14
【図13】
15
【図14】
16
【図15】
17
【図16A】
18
【図16B】
19
【図17】
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