TOP > 国内特許検索 > タンパク質を蛍光標識する方法 > 明細書

明細書 :タンパク質を蛍光標識する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5686385号 (P5686385)
登録日 平成27年1月30日(2015.1.30)
発行日 平成27年3月18日(2015.3.18)
発明の名称または考案の名称 タンパク質を蛍光標識する方法
国際特許分類 C07K   1/13        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C07K  19/00        (2006.01)
C07D 499/54        (2006.01)
G01N  33/48        (2006.01)
G01N  33/58        (2006.01)
FI C07K 1/13
C12N 15/00 ZNAA
C07K 19/00
C07D 499/54 CSP
G01N 33/48 P
G01N 33/58 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 38
出願番号 特願2012-555924 (P2012-555924)
出願日 平成24年2月1日(2012.2.1)
国際出願番号 PCT/JP2012/052227
国際公開番号 WO2012/105596
国際公開日 平成24年8月9日(2012.8.9)
優先権出願番号 2011020804
優先日 平成23年2月2日(2011.2.2)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年6月6日(2013.6.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
発明者または考案者 【氏名】菊地 和也
【氏名】水上 進
【氏名】渡辺 修司
【氏名】秋元 悠里
個別代理人の代理人 【識別番号】110000040、【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
審査官 【審査官】松田 芳子
参考文献・文献 特開2010-119382(JP,A)
菊地和也 他,バイオイメージングのための新規Zn2+螢光プローブ,化学と生物,2001年,vol.39,p.549-53
菊地和也,生細胞蛍光プローブを用いた生体可視化解析,日本化学会生体機能関連化学部会 ニュースレター,2001年,vol.16,p.4-7
菊地和也,機能的蛍光標識導入によるβアミロイド蓄積過程の分析手法開発に関する研究,アミノスフェロイド仮説によるアルツハイマー病病態解明と臨床応用に関する研究 平成18年度 総括・分担研,2007年,p.12-3
秋元悠里 他,変異体β-ラクタマーゼを用いた細胞内タンパク質ラベル化法の開発,日本化学会第91春季年会(2011)講演予稿集III,2011年 3月11日,p.718, 1 B3-54
調査した分野 C12N 15/09
特許請求の範囲 【請求項1】
細胞内タンパク質を蛍光標識する方法であって、
標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質を細胞内で得ること、
下記式(I)で表される化合物またはその塩を、細胞内のエステラーゼにより下記式(II)で表される化合物またはその塩へ変換すること、
および前記融合タンパク質と下記式(II)で表わされる化合物またはその塩とを反応させることにより、前記対象タンパク質を蛍光標識することを含み、
前記変異型βラクタマーゼは、前記式(II)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、その結果、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なタンパク質であり、
前記融合タンパク質における前記変異型βラクタマーゼのアミノ酸配列が、
配列表の配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列、及び、
配列表の配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の1~数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列であって、前記融合タンパク質において上記式(II)で表わされる化合物のβ-ラクタム環を開環させ、かつ、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であるタンパク質の蛍光標識方法。
【化21】
JP0005686385B2_000023t.gif
前記式(I)および式(II)中、
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。
【請求項2】
前記融合タンパク質を得ることが、前記融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得ること、前記融合タンパク質を発現可能なプラスミド若しくはベクターを得ること、細胞内で前記融合タンパク質を発現させること、又は、発現した前記融合タンパク質を単離することを含む、請求項1に記載の細胞内タンパク質の蛍光標識方法。
【請求項3】
前記式(I)で表わされる化合物またはその塩を含む請求項1または2の方法に用いるための組成物。
【化22】
JP0005686385B2_000024t.gif
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物と、
請求項1または2の方法に用いるためのプラスミドまたはベクターを含むタンパク質の蛍光標識方法用キットであって、
前記プラスミドまたはベクターは、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをクローニングするため又は前記融合タンパク質を発現させるためのプラスミド又はベクターであり、
前記プラスミド又はベクターは、
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列及び
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列の1~数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列であって、前記融合タンパク質において式(I)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、その結果、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列をコードする塩基配列からなる群から選択される塩基配列を含むプラスミドまたはベクターであるタンパク質の蛍光標識方法用キット
【化23】
JP0005686385B2_000025t.gif
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。
【請求項5】
一般式(I)で表わされる化合物またはその塩。
【化24】
JP0005686385B2_000026t.gif
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質を蛍光標識する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生物が生きた状態において、生物内のタンパク質などの生体分子の機能を観察するバイオイメージングが注目されている。この生体分子機能の観察は、生体分子を蛍光で標識し、生物内におけるその生体分子の局在や動きを可視化することにより汎用的に行われている。生体分子を蛍光で標識する方法としては、遺伝子工学的手法を用いて、蛍光タンパク質を目的とする生体分子(タンパク質)の末端に共発現させる方法が一般的である。この蛍光タンパク質は、分子サイズが大きく、また、組織透過性の高い近赤外光蛍光の観測が困難であるなどの不都合がある。そのため、蛍光タンパク質より分子サイズが小さく、かつ、蛍光特性に優れた有機小分子に注目が集まっている。有機小分子を目的タンパク質にラベルする技術として、HaloTag(登録商標)(プロメガ株式会社)(例えば非特許文献1参照)およびSNAP-tag(登録商標)(例えば非特許文献2参照)を用いたラベル化キットが商品化されている。これらのラベル化法は、酵素反応を利用して目的とする生体分子を蛍光で標識する。そのため、有機小分子を目的とする生体分子にラベル化する際の特異性は非常に高いが、生体分子に結合していない有機小分子由来の蛍光が、バックグラウンドシグナルとして観測されてしまう。このバックグラウンドシグナルを小さくするため、目的とする生体分子を有機小分子で蛍光標識した後、洗浄して、未反応の有機小分子を除去する必要がある。しかしながら、細胞内や生体内に存在する生体分子を洗浄するのは、一般的に困難であり、洗浄できない場合も多い。従って、細胞内や生体内での生体分子の機能を観察するには、上述のラベル化法は汎用的とはいえない。また、有機小分子と目的とする生体分子とを結びつける特定配列のペプチドを用いて、生体分子を蛍光で標識する方法も開発されているが、この方法は、ペプチドと有機小分子との特異性が低いという問題がある。
【0003】
前記問題を解決するため、本発明者らは、既に、下記式(A)を有する化合物を用いた、細胞内や生体内における生体分子(タンパク質)を蛍光で標識するために使用できる、タンパク質を蛍光標識する方法を提供している(特許文献1)。この方法では、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質を得ること、および前記融合タンパク質と下記式(A)で表わされる化合物またはその塩とを反応させることにより、前記対象タンパク質を蛍光標識することを含み、前記変異型βラクタマーゼは、前記式(A)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、かつ、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なタンパク質である、タンパク質の蛍光標識方法を提供している。
【0004】
【化1】
JP0005686385B2_000002t.gif

【0005】
前記式(A)中、X’は、蛍光性基であり、L1’は、X’のためのリンカーであり、R1’は、H、低級アルキルカルボニルオキシで置換された低級アルキレン基または低級アルキル基である。
【0006】
しかしながら、前記化合物(A)を用いる方法によって細胞膜透過性が低い場合があり、その結果、細胞内における生体分子(タンパク質)を蛍光で標識するのは効率が悪い場合があった。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2010-119382号公報
【0008】

【非特許文献1】Qureshi,M.H., ら、J. Biol. Chem., 2001, 276, p.46422-8
【非特許文献2】Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2004, 101, p.9955-9959
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、細胞内や生体内における生体分子(タンパク質)を蛍光で標識するために使用できる、効率よくタンパク質を蛍光標識する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、細胞内タンパク質を蛍光標識する方法であって、
標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質を細胞内で得ること、
下記式(I)で表される化合物またはその塩を、細胞内のエステラーゼにより下記式(II)で表される化合物またはその塩へ変換すること、
および前記融合タンパク質と下記式(II)で表わされる化合物またはその塩とを反応させることにより、前記対象タンパク質を蛍光標識することを含み、
前記変異型βラクタマーゼは、前記式(II)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、その結果、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なタンパク質である。なお、前記「細胞内のエステラーゼ」とは、細胞に本来的に存在するエステラーゼおよび、外部から細胞内へ導入したエステラーゼの少なくとも一方を意味する。
【0011】
【化2】
JP0005686385B2_000003t.gif


【0012】
前記式(I)および式(II)中、
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のタンパク質を蛍光標識する方法は、細胞内や生体内における生体分子(タンパク質)を効率よく蛍光で標識するために使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1(1)】図1(1)は、100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物RBの吸収および蛍光スペクトルを示す。
【図1(2)】図1(2)は、100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物FBの吸収および蛍光スペクトルを示す。
【図1(3)】図1(3)は、100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物FB-DAの吸収および蛍光スペクトルを示す。
【図1(4)】図1(4)は、100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物CBの吸収および蛍光スペクトルを示す。
【図1(5)】図1(5)は、100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物CB-MAの吸収および蛍光スペクトルを示す。
【図2】図2は、エステラーゼ添加による、化合物RBの加水分解を示すHPLCチャートである。
【図3】図3は、100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物RBの安定性を示すHPLCチャートである。
【図4】図4は、化合物RBと化合物RAの細胞透過性の蛍光画像を示す。
【図5】図5は、化合物RBによる細胞質BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図6】図6は、BL-NLSおよび細胞質BLのタンパク質発現を示すウエスタンブロット分析である。
【図7】図7は、化合物RBによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図8】図8は、化合物RBによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図9】図9は、化合物RBによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図10】図10は、化合物RA、FAおよびRBによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図11】図11は、化合物RBによる細胞内BL-NLSのラベル化反応の時間経過を示す蛍光画像である。
【図12】図12は、化合物RBによる分子内BL-tag融合タンパク質を、化合物FAによる分子外BL-tag融合タンパク質と同時にラベル化したことを示す蛍光画像である。
【図13】図13は、化合物FB-DAによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図14】図14は、化合物FB-DAによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図15】図15は、化合物CBによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図16】図16は、化合物CB-MAによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【図17】図17は、化合物FB-DAによる核局在BL-tag融合タンパク質および市販試薬であるSNAP-Cell TMR-Starによるミトコンドリア局在SNAP-tagの同時蛍光ラベル化を示す蛍光画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
βラクタマーゼのひとつ、TEM-1は、下記スキーム1に示すような反応を経て、ペニシリンなどのβ-ラクタム系抗生物質を加水分解することが知られている。

【0016】
【化3】
JP0005686385B2_000004t.gif

【0017】
前記スキーム1に示すように、TEM-1は、その70位Serがラクタム環へ求核攻撃してアシル-酵素複合体を形成する。次いで、その複合体が加水分解され、β-ラクタム環の加水分解が生じる。加水分解においては、TEM-1の166位Gluにより促進されることが知られている。そして、この166位Gluを他のアミノ酸に変更した変異型βラクタマーゼは、アシル-酵素複合体の加水分解速度が大きく低下することが知られていた。例えば、166位GluをAsnに変更した変異型βラクタマーゼの場合、下記スキーム2に示すように、アシル-酵素中間体の加水分解が起こらない。そのため、このような変異型βラクタマーゼは、基質であるβ-ラクタム環に不可逆的に結合する。

【0018】
【化4】
JP0005686385B2_000005t.gif

【0019】
本発明は、変異型βラクタマーゼとして例えば、この166位Gluを他のアミノ酸に変更した変異型βラクタマーゼと、式(I)で表わされる化合物(以下、「式(I)の化合物」と呼ぶ)またはその塩を用いることを特徴の一つとする。変異型βラクタマーゼとしては、天然型βラクタマーゼのアミノ酸の変異部位は限定されず、前記式(I)で表わされる化合物のRが水素に置き換えられた下記式(II)の化合物のβ-ラクタム環を開環させ、かつ、前記化合物のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なタンパク質であればよい。

【0020】
式(II)の化合物として下記に示す化合物RAを用い、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質としてBL-tagを用いた場合、式(II)の化合物と変異型βラクタマーゼの反応を以下のスキーム3に示す。

【0021】
【化5】
JP0005686385B2_000006t.gif

【0022】
スキーム3中、「BL-tag」は、「変異型βラクタマーゼ」を意味する。

【0023】
本発明の化合物(I)は、細胞膜透過性が高い。従って、本発明の化合物(I)を用いることにより、効率よく細胞内のタンパク質を蛍光ラベル化することが可能になった。

【0024】
また本発明の式(I)の化合物と、細胞膜透過性が低い式(FA)の化合物とを併用すると、同一タグタンパク質を用いた場合であっても、細胞膜表面と細胞膜内のタンパク質とを異なる蛍光色素でラベルすることが可能である。この同時ラベル化について、以下のスキーム4を用いて説明する。

【0025】
【化6】
JP0005686385B2_000007t.gif

【0026】
化合物RBは細胞膜透過性が高く、細胞内へ移動することが可能である。その細胞内に存在する化合物RBは、細胞内に存在するエステラーゼにより加水分解を受け、化合物RAへ変換される。この化合物RAは、遊離カルボキシ基を分子内に有するため細胞膜透過性が低い。そのため、細胞内の化合物RAは、細胞外への排出が抑制されて、細胞内に効率的に蓄積される。その細胞内の化合物RAは、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質としてBL-tagとの間で、スキーム3に示すような反応が進行し、その結果、標識対象タンパク質のラベル化が可能になる。ここで、細胞内の化合物RBは細胞外への排出が抑制されているため、低濃度の化合物RBを用いて、効率よく細胞内の標識対象タンパク質をラベル化することが可能である。

【0027】
このことは、以下のように説明できる。従来の標識対象タンパク質のラベル化においては、プローブの細胞膜透過性が、プローブに含まれる蛍光性基の性質に大きく依存していた。そのため、細胞膜透過性を有するプローブは、細胞外に存在する標識対象タンパク質にも認識されうる。したがって、細胞膜の内外に標識対象タンパク質が存在する場合、あらかじめ細胞外に存在する標識対象タンパク質を他のプローブでブロックし、その後に、細胞内に存在する標識対象タンパク質をラベル化する必要があった。しかし、本発明によれば、プローブである式(I)の化合物の細胞膜透過性は、蛍光性基Xだけではなく、酵素認識部位であるアンピシリンにも強く依存している。すなわち、式(I)の化合物は、アンピシリンのカルボキシ基が保護されているため、酵素認識が大きく抑制され、その結果、式(I)の化合物による細胞外に存在する標識対象タンパク質のラベル化は非常に抑制される。その結果、細胞膜透過性が低い式(A)の化合物と、細胞膜透過性が高い式(I)の化合物とを併用することで、細胞内外に存在する標識対象タンパク質を同時にラベル化することが可能なのである。このことは、従来技術で知られているラベル化技術によっては、いまだ達成されていない。

【0028】
本発明は、前記のように、前記式(I)で表わされる化合物またはその塩を含む本発明の方法に用いるための組成物である。

【0029】
【化7】
JP0005686385B2_000008t.gif

【0030】
前記式(I)中、
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。

【0031】
本発明は、または、本発明の蛍光標識する方法に用いるためのプラスミドまたはベクターであって、
前記プラスミドまたはベクターは、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをクローニングするため又は前記融合タンパク質を発現させるためのプラスミド又はベクターであり、
前記プラスミド又はベクターは、
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列、
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列の1~数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列であって、前記融合タンパク質において式(II)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、その結果、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列をコードする塩基配列、及び、
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列と70%以上の相同性を有する塩基配列であって、前記融合タンパク質において式(II)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、その結果、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列をコードする塩基配列、からなる群から選択される塩基配列を含む。

【0032】
また、本発明は、前記式(I)で表わされる化合物またはその塩を含む本発明の方法に用いるための組成物と、本発明の方法に用いるためのプラスミドまたはベクターとを含むタンパク質の蛍光標識方法用キットである。

【0033】
本発明のタンパク質の蛍光標識方法用キットは、さらに、前記プラスミド又はベクターを導入するための宿主細胞、キットの取り扱い説明書を含むのが好ましい。

【0034】
本発明の化合物において、蛍光性基とは、可視光線、紫外線、X線等が照射され、そのエネルギーを吸収することにより電子が励起し、それが基底状態に戻る際に余分なエネルギーを電磁波として放出する性質を有する基を意味する。具体的には、蛍光性基とは、クマリン色素、キサンテン色素、シアニン色素、アクリジン、イソインドール、ダンシル色素、アミノフタル酸ヒドラジド、アミノフタルイミド、アミノナフタルイミド、アミノベンゾフラン、アミノキノリン、ジシアノヒドロキノン等から誘導される基あるいは発光性希土類錯体が挙げられ、クマリン色素、キサンテン色素から誘導される基および発光性希土類錯体が好ましい。

【0035】
本発明の化合物において、XのためのリンカーLとは、式(I)および式(II)の化合物のペニシリン骨格とXとを結び付けるための基である。具体的には、Lは、-(CHn1CONR(CHn2-、-(CHn1NRCO(CHn2-、-(CHn1NRCONR(CHn2-、-(CH)n1NRCSNR(CHn2-、-(CHn1CONR(CHn3CONR(CHn2-、-(CHn1CONR(CHn3(CHRn4CONR(CHn2-、-(CHn1-、-(CHn1S(CHn2-、-(CHn1O(CHn2-、-(CHn1NR(CHn2-、-(CHn1CO(CHn2-等が挙げられ、-(CHn1CONR(CHn3CONR(CHn2-および-(CHn1CONR(CHn3(CHRn4CONR(CHn2-が好ましい。前記式中、n1、n2、n3、n4はそれぞれ、0または1~5の整数であり、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、アミノもしくはグアニジンで置換された低級アルキル基またはフェニル基である。このXのためのリンカーとは、本発明のタンパク質を蛍光標識する方法における条件下で、切断されないリンカーであれば、その構造は限定されない。前記式-(CHn1CONR(CHn3CONR(CHn2-で表される基としては、n1=n3=0、n2=2または3、R=R=Hである基が好ましく、式-CONH-(CH-CONH-または-CONH-(CH-CONH-で表される基がより好ましい。また、前記式-(CHn1CONR(CHn3(CHRn4CONR(CHn2-で表される基としては、n1=n2=n3=0、n4=1、R=R=H、R=水素原子、低級アルキル基、アミノもしくはグアニジンで置換された低級アルキル基またはフェニル基である基が好ましく、式-CONH-CH-CONH-、-CONH-CH(CH)-CONH-、-CONH-CH(Ph)-CONH-、-CONH-(CH(CHNH)-CONH-および-CONH-(CH(CH-NH-C=NH(NH))-CONH-で表される基がより好ましい。

【0036】
本発明の化合物において、ペニシリン骨格、X、RおよびLは、1か所以上の不斉中心を有することもあり、それゆえ、式(I)の化合物および式(II)の化合物はラセミ体または純粋な立体異性体として存在してもよい。

【0037】
本発明の化合物において、低級アルキル基とは、炭素数1~6のものが挙げられる。具体的には、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、sec-ペンチル基、t-ペンチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、および1-エチル-1-メチルプロピル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができ、好適には炭素数1~3のものが挙げられる。

【0038】
本発明の化合物において、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基とは、例えば、エトキシカルボニルオキシ(メチル)メチル等が挙げられ、中でもエトキシカルボニルオキシ(メチル)メチルが好ましい。

【0039】
本発明において、式(I)の化合物の塩は、式(I)の化合物と、酸または塩基との塩であってもよい。また、式(II)の化合物の塩は、式(II)の化合物と、酸または塩基との塩であってもよい。そのような塩としては、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などの無機塩基との塩、及びトリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンアミンなどの有機アミン塩、及び塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸塩、及びギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸などの有機カルボン酸塩、及びメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのスルホン酸付加塩、及びアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの塩基性又は酸性アミノ酸といった塩基との塩又は酸付加塩が挙げられる。

【0040】
本発明において、式(I)の化合物は、溶媒和物の形をとることもありうるが、これも本発明の範囲に含まれる。溶媒和物としては、好ましくは、水和物及びエタノール和物が挙げられる。

【0041】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる式(I)の化合物は、従来技術における公知文献を参考に自家製造してもよいし、市販で入手してもよい。

【0042】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質を得ることは、例えば、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得ること、融合タンパク質を発現可能なプラスミド若しくはベクターを得ること、細胞内で融合タンパク質を発現させること、又は、発現した融合タンパク質を単離することを含んでもよい。融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、標識対象タンパク質をコードするポリヌクレオチド、変異型βラクタマーゼをコードするポリヌクレオチド等を用い、通常の方法に従い、融合タンパク質を発現可能なプラスミド若しくはベクターを調製することができる。

【0043】
本発明の蛍光標識する方法において、前記融合タンパク質と、式(II)の化合物とを反応させる工程は、融合タンパク質を発現する細胞内や生体内で行ってもよく、単離した融合タンパク質を用いてin vitroで行ってもよい。標識をin vitroで行う場合、例えば、緩衝液中(pH6.8~7.4)で20~37℃の温度で行ってもよい。

【0044】
本発明のタンパク質を蛍光標識する方法において、融合タンパク質における変異型βラクタマーゼのアミノ酸配列は、
(i)配列表の配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列、
(ii)配列表の配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の1~数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列であって、前記融合タンパク質において上記式(II)で表わされる記化合物のβ-ラクタム環を開環させ、かつ、前記化合物のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列、及び、
(iii)配列表の配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、前記融合タンパク質において上記式(II)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、かつ、前記化合物のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列であるのが好ましい。

【0045】
本発明の蛍光標識する方法は、変異型β-ラクタマーゼを利用する。β-ラクタマーゼは細菌酵素であり、哺乳類細胞中には存在しないため、内在性タンパク質をラベル化することは無い。従って、本発明のタンパク質を蛍光標識する方法は、内在性タンパク質ではなく対象タンパク質を選択的にラベル化することができる。

【0046】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質を得ることは、例えば、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得ること、融合タンパク質を発現可能なプラスミド若しくはベクターを得ること、細胞内で融合タンパク質を発現させること、又は、発現した融合タンパク質を単離することを含んでもよい。融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、標識対象タンパク質をコードするポリヌクレオチド、変異型βラクタマーゼをコードするポリヌクレオチド等を用い、通常の方法に従い、融合タンパク質を発現可能なプラスミド若しくはベクターを調製することができる。

【0047】
本発明は、また、前記式(I)で表わされる化合物を含む本発明の方法に用いるための組成物である。

【0048】
【化8】
JP0005686385B2_000009t.gif

【0049】
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。

【0050】
本発明は、または、本発明の蛍光標識する方法に用いるためのプラスミドまたはベクターであって、
前記プラスミドまたはベクターは、標識対象タンパク質と変異型βラクタマーゼとの融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをクローニングするため又は前記融合タンパク質を発現させるためのプラスミド又はベクターであり、
前記プラスミド又はベクターは、
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列、
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列の1~数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列であって、前記融合タンパク質において式(II)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、その結果、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列をコードする塩基配列、及び、
配列表の配列番号5~8のいずれかの塩基配列と70%以上の相同性を有する塩基配列であって、前記融合タンパク質において式(II)で表わされる化合物またはその塩のβ-ラクタム環を開環させ、その結果、前記化合物またはその塩のβ-ラクタム環が開環した部分と共有結合可能なアミノ酸配列をコードする塩基配列、からなる群から選択される塩基配列を含む。

【0051】
また、本発明は、前記式(I)で表わされる化合物またはその塩を含む本発明の方法に用いるための組成物と、本発明の方法に用いるためのプラスミドまたはベクターとを含むタンパク質の蛍光標識方法用キットである。

【0052】
本発明のタンパク質の蛍光標識方法用キットは、さらに、前記プラスミド又はベクターを導入するための宿主細胞、キットの取り扱い説明書を含むのが好ましい。

【0053】
本発明の蛍光標識する方法、組成物、およびキットにおいて、一般式(I)で表わされる化合物としては、Xが下記式(i)に示す基、式(ii)に示す基または式(iii)に示す基:

【0054】
【化9】
JP0005686385B2_000010t.gif

【0055】
であり、Lが-(CHn1CONR(CHn3CONR(CHn2-または-(CHn1CONR(CHn3(CHRn4CONR(CHn2-(前記式中、n1、n2、n3、n4はそれぞれ、0または1~5の整数であり、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、アミノもしくはグアニジンで置換された低級アルキル基またはフェニル基である。)
であり、Rは低級アルキルカルボニルオキシで置換された低級アルキル基である化合物が好ましく、下記化合物RB、化合物FB-DA、CBおよび化合物CB-MAがより好ましい。

【0056】
【化10】
JP0005686385B2_000011t.gif



【0057】
また、本発明の蛍光標識する方法、組成物、およびキットにおいて、一般式(II)で表わされる化合物としては、Xが下記式(i)に示す基:

【0058】
【化11】
JP0005686385B2_000012t.gif

【0059】
であり、Lが-(CHn1CONR(CHn3CONR(CHn2-または-(CHn1CONR(CHn3(CHRn4CONR(CHn2-(前記式中、n1、n2、n3、n4はそれぞれ、0または1~5の整数であり、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、アミノもしくはグアニジンで置換された低級アルキル基またはフェニル基である。)
であり、Rは低級アルキルカルボニルオキシで置換された低級アルキル基である化合物が好ましく、下記化合物RAがより好ましい。

【0060】
【化12】
JP0005686385B2_000013t.gif

【0061】
また、本発明は、一般式(I)で表わされる化合物またはその塩である。

【0062】
【化13】
JP0005686385B2_000014t.gif

【0063】
前記式(I)中、
Xは、蛍光性基であり、
1は、Xのためのリンカーであり、
1は、低級アルキルオキシカルボニルオキシで置換された低級アルキル基または、3-オキシ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イルである。

【0064】
前記一般式(I)で表わされる化合物としては、Xが前記式(i)に示す基、式(ii)に示す基または式(iii)に示す基であり、Lが-(CHn1CONR(CHn3CONR(CHn2-または-(CHn1CONR(CHn3(CHRn4CONR(CHn2-(前記式中、n1、n2、n3、n4はそれぞれ、0または1~5の整数であり、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、アミノもしくはグアニジンで置換された低級アルキル基またはフェニル基である。)であり、Rは低級アルキルカルボニルオキシで置換された低級アルキル基である化合物が好ましく、前記化合物RB、化合物FB-DA、CBおよび化合物CB-MAがより好ましい。

【0065】
なお、前記化合物FB-DAは、細胞内へ移動した後、細胞内エステラーゼにより以下の部分(式中、矢印で示した)が加水分解されると考えられる。

【0066】
【化14】
JP0005686385B2_000015t.gif

【0067】
化合物FB-DAにおける蛍光性基は、アニオン性水酸基がアセチル基で保護されているため、蛍光は抑制されている。しかし、この加水分解により脱保護されると、化合物FAが生成し、蛍光は回復する。その結果、細胞内エステラーゼにより加水分解された化合物FAは、細胞内で蛍光を生じることができる。

【0068】
式(I)の化合物は、下記式で表わされるバカンピシリンを出発原料とし、従来技術における公知文献ならびに化合物RBおよび化合物CB-MAの製造方法を参考にすることにより、製造することができる。

【0069】
【化15】
JP0005686385B2_000016t.gif

【0070】
[実施例]
本明細書の記載において、以下の略語を使用する。
DMF:ジメチルホルムアミド
TEA:トリエチルアミン
DMSO:ジメチルスルホキシド
WSCD・HCl:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
HEPES:4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸
DMEM:ダルベッコ変法イーグル培地
FBS:ウシ胎児血清
HBSS:ハンクス平衡塩
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
TBST:トリス緩衝塩水トゥィーン20(Tris-Buffered Saline Tween 20)
DIC:Differential Interference Contrast Microscopic Image(微分干渉顕微鏡像)。

【0071】
[化合物および機器]
化合物は、入手できる最も高いグレードのものであり、東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社、およびシグマ-アルドリッチジャパン株式会社から購入して、さらなる精製を行わずに用いた。抗βラクタマーゼ抗体は、ミリポア(Millipore)から購入し、抗βアクチンはシグマから購入した。ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合2次抗体は、GEヘルスケアから購入した(抗ウサギNA934、抗マウスNA931)。ECLウエスタンブロッティング検出試薬は、GEヘルスケアから購入した(RPN2109)。leibovitzの培地とpcDNA3.1(+)ベクターはインビトロジェンから購入した(21083-027)。エステラーゼはシグマから購入した(E2884)。制限エンドヌクレアーゼおよびPrimeSTAR(登録商標)HSDNAポリメラーゼはタカラバイオ株式会社から購入した。プラスミドDNAは、QIAprep Spin Miniprep kit(商品名)(株式会社キアゲン)を用いて単離した。5(6)-カルボキシテトラメチルローダミン-スクシンイミジルエステルは、インビトロジェンから購入した(C1171)。

【0072】
NMRスペクトルは、H用には400MHzで、13NMR用には100.4MHzで、テトラメチルシランを内部標準として用い、JEOL JNM-AL400装置で測定した。質量スペクトルは、Waters LCT-Premier XE(日本ウォーターズ株式会社)で測定した。蛍光スペクトルは、日立分光蛍光光度計F-4500を用いて測定した。UV-可視吸収スペクトルは、紫外可視分光光度計UV1650PCスペクトロメーター(株式会社島津製作所)を用いて測定した。SDS-PAGEの蛍光イメージは、ローダミン誘導体については、BSPEBV001EtBrビューワー(Biospeed)を用いて可視化した。

【0073】
[HPLC分析]
HPLC分析を、Inertsil ODS-3 (4.6mm×250mm)カラム(GL Sciences Inc.)、ポンプ(PU-2080, JASCO)および検出器(MD-2010またはFP-2020, JASCO)からなるHPLCシステムを用いて、行った。分離HPLCは、Inertsil ODS-3(10.0mm×250mm)カラム(GL Sciences Inc.)、ポンプ(PU-2087, JASCO)および検出器(UV-2075, JASCO)からなるHPLCシステムを用いて行った。

【0074】
[蛍光顕微鏡検査]
蛍光顕微鏡画像は、IX71蛍光顕微鏡(オリンパス)、クール・スナップ・HQ冷却(Cool Snap HQ cooled)CCDカメラ(Roper Scientific)およびUSH-103OL水銀ランプ(オリンパス)を用いて記録した。用いたフィルターセットは、化合物RB用に、オリンパスBP510-550、DM575およびBA575-625であった。メタモルフ・イメージング・ソフトウェア(MetaMorph imaging software)(Universal Imaging Corporation)を、イメージングとデータ解析に用いた。共焦点顕微鏡については、共焦点レーザー蛍光顕微鏡FV10iを用いた(オリンパス)。励起光はFA,FBの場合は473 nm、RBの場合は559nmの光をそれぞれ用いた。また、用いた吸収フィルターセットは、FA、FBについてはオリンパスBA490-540、化合物RBについてはBA570-620であった。

【0075】
[Cytoplasmic-BLプラスミドの構築]
BLのDNAフラグメントは、BL-EGFRプラスミド(特開2010-119382号公報;S. Mizukami, S. Watanabe, Y. Hori, K. Kikuchi, J. Am. Chem. Soc.2009, 131, 5016-5017)からPCRにより、増幅させ、NhelおよびHindlllを用いて消化させた。DNAフラグメントは、pcDNA3.1(+)にライゲーションさせ、それを同じ制限酵素を用いて消化させて、pcDNA3.1(+)-BL(Cytoplasmic-BL)を得た。

【0076】
[BL-NLSプラスミドの構築]
NLSオリゴDNAを市販のオリゴヌクレオチド(配列番号9および配列番号10: Gene design inc.)から増幅させ、HindlllおよびBamHlを用いて消化させた。その後、Cytoplasmic-BLプラスミドをHindlllおよびBamHlを用いて消化させた。消化されたNLSオリゴDNAは、消化されたCytoplasmic-BLプラスミドにライゲーションさせ、pcDNA3.1(+)-BL-NLS (BL-NLS)を得た。

【0077】
[化合物RBのエステラーゼ活性]
エステラーゼ反応溶液(5ユニット/mL)を100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中で調製した。化合物RBストック溶液(DMSO中1mM)をエステラーゼ反応溶液へ添加した(最終濃度:10μM)。反応混合物を25℃で10分間インキュベートし、その後、反応性生物を逆相HPLCで分析した。

【0078】
[Cytoplasmic-BLおよびBL-NLSを化合物RBによりラベル化]
37℃5%CO雰囲気下でDMEM(Invitrogen)の10%FBS中に保持されたHEK293T細胞を、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000(Invitrogen)を用いて、Cytoplasmic-BLまたはBL-NLSをコードするプラスミドを用いて形質移入した。5~6時間後、培地をDMEM(フェノール・レッド無し)と置き換え、その細胞を37℃で24時間インキュベートした。その細胞を次いで、HBSSを用いて一度洗浄し、化合物RB(5nM~100nM)と共に37℃で15分間インキュベートした。未反応プローブを洗浄した後、細胞の蛍光イメージを適切なフィルターセットを用いて、HBSS中で撮影した。

【0079】
[HEK293T細胞中で発現したCytoplasmic-BL、BL-NLSおよびBL-ERのウエスタンブロット分析]
HEK293T細胞を、リポフェクタミン2000を用いてCytoplasmic-BLもしくはBL-NLSを、またはBL-ER用いて形質移入した。5~6時間後、培地をDMEMと置き換え、その細胞を37℃で24時間インキュベートした。その細胞を次いで、PBS(-)を用いて洗浄し、200μLの1×SDSゲル・ローディング緩衝液(50mMトリス-HCl緩衝液(pH6.8)、1.3%SDS、10%グリセロールおよび5%メルカプトエタノール)を用いて、溶解させた。かき取った後、溶解産物を95℃で3分間沸騰させた。次いで、サンプルを7.5%または10%のSDS-ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、ウェスタンブロット用のPVDF膜に移した。膜を5%スキムミルクを含むTBST緩衝液(0.01%Tween20、138mMのNaCl、20mMのトリス、pH7.6)を用いて室温で1時間インキュベーションすることにより、ブロックした。その後、抗βラクタマーゼ(1:5000希釈)または抗βアクチン(1:5000希釈)抗体を各膜に加えた。16時間4℃で振とうしながらインキュベーションした後、膜をTBST緩衝液で3回洗浄し、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ結合2次抗体と共にインキュベートし、TBST緩衝液で洗浄し、ECLウェスタンブロット検出試薬を用いて視覚化させた。
【実施例1】
【0080】
[化合物RBの製造]
【実施例1】
【0081】
【化16】
JP0005686385B2_000017t.gif

【実施例1】
【0082】
バカンピシリン塩酸塩(71 mg,140μmol)をDMF(500μL)中に溶解させた。TEA(29mg,280μmol)と5(6)-カルボキシテトラメチルローダミン-スクシンイミジルエステル(15mg,28μmol)をその後室温で加えた。その混合物を16時間攪拌し、溶媒を凍結乾燥した。残渣を、0.1%ギ酸を含むHO/アセトニトリルで溶出して逆相HPLCにより精製して、化合物RB(6mg,収率24%)を得た。
【実施例1】
【0083】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.23 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.40-1.48 (m, 9H), 2.95 (s, 12H), 4.14 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 4.25 (s, 1H), 5.40 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 5.57 (dd, 1H J = 3.9, 9.3 Hz), 5.63 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 6.29-6.53 (m, 7H), 6.68 (q, J = 5.4 Hz, 1H), 7.16 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.27-7.41 (m, 5H), 7.59 (d, 1H, J = 5.8 Hz), 8.05 (dd, 1H, J = 1.5, 7.8 Hz), 8.33 (s, 1H);
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 14.1, 19.5, 26.8, 31.0, 40.2, 57.9, 58.6, 64.8, 67.7, 70.2, 70.3, 92.2, 98.4, 106.3, 108.9, 109.0, 123.5, 124.9, 127.5, 128.6, 128.8 (2つの炭素), 129.0 (2つの炭素), 133.8, 135.2, 136.9, 152.4, 152.9, 153.1, 165.4, 165.7, 168.9, 169.4, 172.9;
HRMS (ESI+) m/z: 878.3094 ([M+H]+について計算値: 878. 3077)。
【実施例2】
【0084】
[化合物FB-DAの製造]
【実施例2】
【0085】
【化17】
JP0005686385B2_000018t.gif

【実施例2】
【0086】
<FBの製造>
バカンピシリン塩酸塩(566mg,1.13mmol)をDMF(2.5mL)中に溶解させた。TEA(114mg,1.13mmol)と6-カルボキシフルオレセイン-スクシンイミジルエステル(107mg,225μmol)をその後0℃で加えた。その混合物を22時間攪拌し、その混合物へ酢酸エチルを加えた。有機相を10%クエン酸水溶液および水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を有機相から除去した後、残渣を、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物FB(61mg,収率32%)を得た。
【実施例2】
【0087】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.21(t, 3H, J = 7.2 Hz), 1.34-1.52(m, 9H), 4.15(q, 2H), 4.31(s, 1H), 5.44(d, 1H, J = 4 Hz), 5.54(dd, 1H, J = 4.0, 7.0 Hz), 5.86(d, 1H, J = 7.6 Hz), 6.55-6.58(m, 7H), 7.27-7.43(m, 5H), 7.83(s, 1H), 8.07(d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.23(d, 1H, J = 8.4 Hz), 9.11(d, 1H, J = 7.0 Hz), 9.21(d, 1H, J = 7.6 Hz), 10.14(s, 2H) ;
HRMS (FAB+) m/z: 824.2105 ([M+H]+について計算値:824.2047)。
【実施例2】
【0088】
<FB-DAの製造>
FB(30mg,36.4μmol)を、アセトニトリル(2mL)中に溶解させ、その溶液中へ、炭酸セシウム(49mg,153μmol)および無水酢酸のジクロロメタン溶液(109μL,109μmol)を、室温で添加した。得られた混合物を25℃で2時間攪拌し、その混合物へ酢酸エチルを加えた。有機相を10%クエン酸水溶液および水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を有機相から除去した後、残渣を、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物FB-DA(15mg,収率46%)を得た。
【実施例2】
【0089】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.26-1.56(m, 12H), 2.32(s, 6H), 4.18-4.24(m, 3H), 5.30-5.42(m, 2H), 5.59(d, 1H, J = 6.8 Hz), 6.73-6.87(m, 7H), 7.29-7.37(m, 5H), 7.55(s, 1H), 8.01(d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.06(d, 1H, J = 8.4 Hz) ;
HRMS (FAB+) m/z: 908.2312 ([M+H]+について計算値: 908.2258)。
【実施例2】
【0090】
[参考例]
化合物FA、RAは、Multicolor Protein Labeling in Living Cells Using Mutant β-lactamase-Tag Technology; Watanabe, S.; Mizukami, S.; Hori, Y.; Kikuchi, K. Bioconjug. Chem. 2010, 21, DOI: 10.1021/bc100333k.に従い製造した。
【実施例2】
【0091】
【化18】
JP0005686385B2_000019t.gif

【実施例3】
【0092】
[化合物CB-MAの製造]
【実施例3】
【0093】
【化19】
JP0005686385B2_000020t.gif

【実施例3】
【0094】
<化合物2の合成>
カルボン酸1(129mg,626μmol)のDMF(2.6mL)溶液にN-ヒドロキシコハク酸イミド(109mg,947μmol)を加え、0℃に冷却した。そこにWSCD・HCl(180mg,939μmol)を加え、0℃で11時間撹拌した。酢酸エチル(10mL)で希釈した後、10%クエン酸水溶液(10mL)で洗浄した。次いで、水(10mL)で洗浄後、飽和食塩水(10mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することで、スクシンイミジルエステル2(63.8mg,210μmol,34%)を得た。なお、カルボン酸1は、Alvim, Jr. J.; Dias, R. L. A.; Castilho, M. S.; Oliva, G.; Correa, A. G. J. Braz. Chem. Soc., 2005, 16, 763-773.に従い製造した。
【実施例3】
【0095】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 11.46 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.90 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 2.88 (s, 4H);
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6)
δ 170.4, 165.8, 158.8, 158.1, 155.7, 152.8, 133.3, 114.6, 110.5, 106.4, 102.0, 25.6;
HRMS (FAB+) m/z: 304.0457 ([M+H]+について計算値: 304.0451)。
【実施例3】
【0096】
<化合物CBの製造>
バカンピシリン塩酸塩(75.4mg,150μmol)のDMF(3mL)溶液を0℃に冷却した後、DIPEA(38μL,218μmol)、スクシンイミジルエステル2(29.6mg,97.6μmol)を加え、0℃で16時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(1mL)を加え、10分間撹拌した後、酢酸エチル(5×5mL)で抽出した。次いで10%クエン酸水溶液(25mL)で洗浄後、水(25mL)および飽和食塩水(25mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することで、化合物CB(61.9mg,94.7μmol,97%)を得た。なお、この反応は、 Mizukami, S.; Watanabe, S.; Hori, Y.; Kikuchi, K. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 5016-5017.を参考にして行った。細胞試験には化合物CB(30.2mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=99:1)でさらに精製したもの(27.6mg)を供した。
【実施例3】
【0097】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 11.14 (brs, 1H), 9.62 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 9.41 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.79 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.45-7.43 (m, 2H), 7.37-7.27 (m, 3H), 6.88 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.72-6.66 (m, 1H), 5.91 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 5.60 (ddd, J = 8.0, 8.0, 4.0 Hz, 1H), 5.45 (dd, J = 4.0, 2.8 Hz,1H), 4.37 (d, J = 21.6 Hz, 1H), 4.19-4.13 (m, 2H), 1.54 (s, 3H), 1.48 (t, J = 5.6 Hz, 3H), 1.38 (s, 3H), 1.23-1.19 (m, 3H);
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6)
δ 173.5, 173.2, 169.7, 165.7, 165.6, 164.0, 161.3, 160.8, 156.5, 152.4, 152.3, 148.6, 138.2, 132.2, 128.5, 127.8, 126.6, 114.5, 113.0, 111.1, 101.9, 92.1, 92.0, 69.8, 69.5, 67.3, 67.1, 64.4, 64.1, 64.0, 58.5, 58.0, 55.6, 30.4, 29.4, 26.3, 19.2, 13.9;
HRMS (FAB+) m/z: 654.1731 ([M+H]+について計算値: 654.1758);
【実施例3】
【0098】
<化合物CB-MAの製造>
化合物CB(29.2mg,44.7μmol)のCHCl(0.26mL)溶液にEtN(8.75μL,62.8μmol)を加え、0℃に冷却した。そこにAcO(5.1μL,54.0μmol)を加え、室温で3時間半撹拌した。CHCl(3mL)で希釈し、0℃に冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液(1mL)を加え、反応を停止した。有機層を回収し、水層については、さらにCHCl(3×3mL)で抽出した。次いで飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。この粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl)で精製することで化合物CB-MA(24.7mg,35.5μmol,79%)を得た。なお、この反応は、Zhao, Y.; Zheng, Q.; Dakin, K.; Xu, K.; Martinez, M. L.; Li, W-H. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 4653-4663.を参考にして行った。
【実施例3】
【0099】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.63 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 9.43 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.88 (s, 1H), 8.04 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.47-7.43 (m, 3H), 7.37-7.25 (m, 4H), 6.71-6.61 (m, 1H), 5.92 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 5.60 (ddd, J = 7.6, 7.6, 4.0 Hz, 1H), 5.45 (dd, J = 4.2, 2.6 Hz,1H), 4.38 (d, J = 21.2 Hz, 1H), 4.19-4.13 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 1.54 (s, 3H), 1.48 (t, J = 5.6 Hz, 3H), 1.38 (s, 3H), 1.23-1.19 (m, 3H);
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6)
δ 173.5, 173.1, 169.6, 168.7, 165.7, 165.6, 160.6, 160.3, 154.7, 154.7, 152.4, 152.3, 147.6, 138.1. 131.4, 128.5, 127.9, 126.7, 119.6, 117.6, 116.4, 110.0, 92.1, 92.0, 79.2, 69.8, 69.5, 67.3, 67.1, 64.5, 64.4, 64.1, 64.0, 58.5, 58.1, 55.7, 30.4, 29.4, 26.3, 20.9, 19.2, 13.9;
HRMS (FAB+) m/z: 696.1851 ([M+H]+について計算値: 696.1863);
【実施例3】
【0100】
[蛍光分析]
励起光および蛍光の両方について、スリット幅は2.5nmであり、光電子倍増管電圧は700Vであった。化合物RB、化合物RA、化合物FA、化合物FB、化合物CBおよび化合物CB-MAをDMSO中に溶解して、10mMストック溶液を調製し、これらの溶液を適切な水性緩衝液を用いて所望の最終濃度まで希釈した。化合物RBおよび化合物RAの相対的蛍光量子収率を、サンプルの蛍光スペクトル下面積を、0.5μMのローダミンB(545nmで励起したときに、0.97の量子効率である)のEtOH溶液の蛍光スペクトル下面積と比較することにより得た。化合物FAおよび化合物FBの相対的蛍光量子収率を、サンプルの蛍光スペクトル下面積を、フルオレセイン(492nmで励起したときに、0.85の量子効率である)の100mMのNaOH水溶液の蛍光スペクトル下面積と比較することにより得た。また、緩衝液中の化合物CBおよびEtOH中の化合物CB-MAの絶対的蛍光量子収率を得た。得られた結果を表1に示す。
【実施例3】
【0101】
【表1】
JP0005686385B2_000021t.gif

【実施例3】
【0102】
100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物RBの吸収および蛍光スペクトルを図1(1)に示す。吸収スペクトル測定では、化合物RBの濃度は5μMであり、蛍光スペクトル測定では、化合物RBの濃度は0.5μMであった。励起波長は555nmであった。図1(1)に示すように、化合物RBは、化合物RAと同様のスペクトル特性を示した。従って、アンピシリンのカルボキシ基をエステル化したことにより、蛍光体のスペクトル特性には影響は無かった。
【実施例3】
【0103】
100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物FBの吸収および蛍光スペクトルを図1(2)に示す。吸収スペクトル測定では、化合物FBの濃度は5μMであり、蛍光スペクトル測定では、化合物FBの濃度は0.5μMであった。励起波長は492nmであった。図1(2)に示すように、化合物FBは、化合物FAと同様のスペクトル特性を示した。従って、アンピシリンのカルボキシ基をエステル化したことにより、蛍光体のスペクトル特性には影響は無かった。
【実施例3】
【0104】
100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物FB-DAの吸収および蛍光スペクトルを図1(3)に示す。吸収スペクトル測定では、化合物FB-DAの濃度は5μMであり、蛍光スペクトル測定では、化合物FBの濃度は0.5μMであった。図1(3)に示すように、化合物FB-DAは、フルオレセインがアセチル化され、ラクトン環を形成しているため、吸収および蛍光はほとんど無かった。
【実施例3】
【0105】
100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中化合物CBの吸収および蛍光スペクトルを図1(4)に、エタノール中化合物CB-MAの吸収および蛍光スペクトルを図1(5)に示す。吸収スペクトル測定では、化合物CBおよび化合物CB-MAの濃度はそれぞれ10μMであり、蛍光スペクトル測定では、化合物CBおよび化合物CB-MAの濃度はそれぞれ0.1μMであった。励起波長は406nmであった。図1(4)および図1(5)に示すように、化合物CB-MAは、クマリンのヒドロキシ基をアセチル化したことにより、蛍光体のスペクトル特性に影響は無かった。
【実施例3】
【0106】
<エステラーゼ添加による、化合物RBのエトキシカルボニルオキシエチルエステルの加水分解>
化合物RBを細胞内に導入した際、化合物RBは、細胞内エステラーゼにより加水分解され、対応する化合物RAに変換された。化合物RBがエステラーゼにより化合物RAへ変換することを確認するため、化合物RBを試験管内の100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)中のエステラーゼで処理し、反応生成物をHPLCで分析した。エステラーゼの添加により、化合物RBの保持時間は10分以内にシフトし(図2参照)、対応する生成物の質量スペクトルは化合物RAの質量スペクトル([M+H]:762.3)と同様であった。一方、化合物RBは、100mMのHEPES(pH7.4)中で120℃で120分間インキュベートした後でさえも、エステラーゼ非存在下で非常に安定であった。図3中、下段のチャートはインキュベート前の化合物RBのチャートであり、上段のチャートはインキュベート後の化合物RBのチャートである。溶離液:(A)0.1%ギ酸/水、(B)0.1%ギ酸/アセトニトリル。(A)の割合は、0分から25分で10%まで減少させた。流速は1mL/分であり、溶出液は550nmで吸収をモニターした。図3中、「I」は、規格化吸収強度である。
【実施例3】
【0107】
<化合物RAの細胞透過性と比較した化合物RBの細胞透過性>
化合物RBの細胞透過性と化合物RAの細胞透過性を比較した。HEK293T細胞を5μMの化合物RAまたは化合物RB溶液と共にCOインキュベータ中で30分間インキュベートした。その後、染料を2回洗浄して、細胞からの蛍光を共焦点顕微鏡により測定した。その結果、強い蛍光が、化合物RBと共にインキュベートした細胞に確認され、その蛍光は少なくとも180分間持続した。一方、化合物RAと共にインキュベートした細胞には、ほとんど蛍光は確認できなかった。細胞の蛍光分析の結果を図4に示す。蛍光分析画像は、559nmにおいて励起したものである。スケールバーは20μmを示す。図4中、「DIC」は、Differential Interference Contrast Microscopic Image(微分干渉顕微鏡像)を、「Fluorescence」は蛍光分析画像を意味する。この結果により、化合物RBはC3位のカルボキシ基のエステル化により十分な細胞透過性を有することが確認できた。細胞内に入ったあと、化合物RBは迅速に加水分解され、生じたカルボキシ基の負の荷電により、細胞内に留まる。
【実施例3】
【0108】
<化合物RBによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化>
まず、BL-tag遺伝子を哺乳類発現ベクターにライゲートした。E.coliにおいて、βラクタマーゼの非修飾コード領域は、ペリプラスム中に分泌するためのシグナルペプチド配列を含む(R. P. Ambler, G. K. Scott, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 1978, 75, 3732-3736)。BLタンパク質の細胞内形態を生成するため、そのシグナル配列を除去し、イニシエーター・メチオニンと置き換えた。さらに、発現レベルを増強するため、真核生物における最適翻訳効率用のコンセンサス配列を、イニシエーター・コドンに隣接して添加した(M. Kozak, J. Cell Biol., 1991, 115, 887-903.)。修飾したBL-tag遺伝子を哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1(+))へ挿入し、pcDNA3.1(+)-BL(cytoplasmic BL)を生じた。HEK293T細胞に細胞質BLをコードするプラスミドをトランスフェクトし、化合物RBと共にインキュベートして、トランスフェクトされた細胞の細胞質ゾルを赤色蛍光でラベルした(図5)。図5中、「DIC」は、Differential Interference Contrast Microscopic Image(微分干渉顕微鏡像)を、「Fluorescence」は蛍光分析画像を意味する。「BL-CYTO」は、修飾したBL-tag遺伝子を哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1(+))へ挿入したサンプルを、「Empty vector」は、哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1(+))自体のサンプルを意味する。図5に示すように、BL-tag融合タンパク質は、哺乳類細胞中で発現し、化合物RBでラベル化されることが確認できた。
【実施例3】
【0109】
蛍光ラベルを測定するのを容易にするため、BL-tagを3つの連続サル・ウィルス40(SV40)大T抗原核局在化配列(NLS)(D. Kalderon, B. L. Roberts, W. D. Richardson, A. E. Smith, Cell, 1984, 39, 499-509.)に融合し、BL-NLSプラスミドを得ることにより、哺乳類細胞の核をラベル化した。BL-NLSおよび細胞質BLのタンパク質発現は、ウエスタンブロット分析により確認した。図6参照。図6中、「WB:anti-β-lactamase」は抗ベータラクタマーゼ抗体を用いたウエスタンブロットを意味し、「WB:anti-β-actin」は、抗ベータアクチン抗体を用いたウエスタンブロットを意味し、「1.BL-CYTO」は、修飾したBL-tag遺伝子を哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1(+))へ挿入したサンプルを意味し、「2.BL-NLS」は、修飾したBL-tag遺伝子を3つの連続サル・ウィルス40(SV40)大T抗原核局在化配列(NLS)へ挿入したサンプルを意味し、「3.Empty vector」は、哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1(+))自体のサンプルを意味する。細胞質BLプラスミドによりトランスフェクトされた細胞の溶解物が、抗βラクタマーゼ抗体により検出された場合、1つの太いバンドが分子量約25kDaの付近で確認できた。このバンドは、細胞質BL融合タンパク質に対応する。1つのバンドがBL-NLSによりトランスフェクトされた細胞からも確認された。このバンドは、細胞質BLのものより僅かに上の位置に観察された。このことは、3つの連続したNLSの融合の結果、分子量が増加したことと合致した。
【実施例3】
【0110】
ベクター発現BL-NLSを用いてトランスフェクトされたHEK293T細胞を、化合物RB(100nM)と共に核染色剤ヘキスト33342で15分間インキュベートし、洗浄して、共焦点蛍光顕微鏡でイメージ化した。洗浄の後、ネガティブコントロール細胞と比較して、赤色蛍光がほとんど全てのトランスフェクトされた細胞において確認された。図7および図8参照。図7中、「phase contrast」は、位相差顕微鏡像を、「Fluorescence」は蛍光分析画像を意味する。「BL-NLS」は、修飾したBL-tag遺伝子を3つの連続サル・ウィルス40(SV40)大T抗原核局在化配列(NLS)へ挿入したサンプルを意味し、「Empty vector」は、哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1(+))自体のサンプルを意味する。図8中、「a」は位相差顕微鏡像を、「b」はヘキスト蛍光画像を、「c」はRB蛍光画像を、「d」は画像bと画像cを重ね合わせた画像を意味する。ラベル化された細胞の組み合わせ、かつ核染色試薬ヘキスト33342との共染色画像(図8)から、細胞の核のみが強い蛍光シグナルを発していることが確認できた。これらの実験により、核の蛍光ラベルは、BL-NLSの共有結合ラベル化によるものであることが確認できた。BL-NLS発現細胞を化合物FA及びRA(5μM)ならびに化合物RB(200nM)と共にインキュベートした場合、化合物FAおよび化合物RAの場合には、核の染色は確認できなかった(図10参照)。図10中、「DIC」は、Differential Interference Contrast Microscopic Image(微分干渉顕微鏡像)を、「Fluorescence」は蛍光分析画像を意味する。
【実施例3】
【0111】
BL-NLS発現細胞を、5 nMの化合物RBと共に洗浄操作を行う事無く、インキュベートした。その結果、BL-NLS融合タンパク質細胞は時間と共に徐々に核のラベル化が確認できた(図9)。このことにより、化合物RBは加水分解により化合物RAへ変換され、トラップされ、効率的に細胞内に蓄積されることが確認できた。
【実施例3】
【0112】
<BL-NLSのラベル化反応の時間経過>
洗浄工程の時間経過を確認した。HEK293T細胞をBL-NLSプラスミドを用いてトランスフェクトし、上記のように化合物RB(200nM)と共にインキュベートした。インキュベートの後、その細胞をHBSSで2回洗浄し、空気中での微速度画像のため10%FBSを含むLeibovitz’s L-15培地中でインキュベートし、その後、蛍光顕微鏡で経時的にイメージ化した(図11参照)。図11中、「DIC」は、Differential Interference Contrast Microscopic Image(微分干渉顕微鏡像)を意味する。その結果、細胞核からの明確な蛍光が、培地でインキュベートして10分後から確認できた。細胞の核は、この測定中、安定した強い蛍光を示していた。ラベル化濃度を最適化することにより、細胞内のBL-tag融合タンパク質を、より高いシグナル対ノイズ比でラベル化することができ、かつ、余分なラベル化化合物(化合物RB)を除去する洗浄工程を短くすることが可能である。
【実施例3】
【0113】
<分子内および分子外BL-tag融合タンパク質を同時にラベル化する>
まず、2種類のプラスミド、BL-NLSとBL-EGFRを用いた。BL-EGFRは、上皮成長因子受容体(EGFR)とのBL-tagの融合タンパク質であり、プラスミド・エンコード化BL-EGFRを用いてトランスフェクトすることにより、HEK293T細胞の細胞表面において融合タンパク質BL-EGFRを発現させた。
【実施例3】
【0114】
HEK293T細胞をBL-NLSプラスミドおよびBL-EGFRプラスミドと共にトランスフェクトさせた。その細胞を化合物RBと化合物FAと共にインキュベートした。この化合物FAは、細胞非透過性な蛍光アンピシリン融合体である(S. Mizukami, S. Watanabe, Y. Hori, K. Kikuchi, J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 5016-5017; Watanabe, S.; Mizukami, S.; Hori, Y.; Kikuchi, K.Bioconjugate Chem. 2010, 21, DOI: 10.1021/bc100333k; Sadhu, K. K.; Mizukami, S.; Watanabe, S.; Kikuchi, K. Chem. Commun. 2010, 46, 7403-7405.参照)。その後、共焦点蛍光顕微鏡を用いたイメージングの前に細胞を洗浄し、細胞膜と細胞核において、融合タンパク質が正確に局在化していることを確認した。化合物FA由来の緑色蛍光が、細胞質膜に沿って確認でき、化合物RB由来の赤色蛍光が細胞核から確認できた(図12参照)。図12中、「phase contarst」は、位相差顕微鏡像を、「Fluorescence」は蛍光分析画像を意味する。
【実施例3】
【0115】
【化20】
JP0005686385B2_000022t.gif

【実施例3】
【0116】
化合物RBは、化合物FA(100nM)と同じ濃度(100nM)でラベル化することが可能であった。これは、化合物RBがエステラーゼにより加水分解され、細胞内で効率的にトラップされていることを示す。さらに、化合物RBの細胞透過性はβ-ラクタム部位の特性に拠り、蛍光体には拠らないことも確認できた。化合物RBが他のアンピシリン系化合物と共に細胞外に共存していても、アンピシリン系化合物がBL-tag融合タンパク質と優先的に結合した。これはRBのtagによる認識がエステル保護によって大きく抑制されているためで、RBは細胞内で加水分解を受けることで初めて機能を発揮するためである。従って、化合物RBと他の細胞非透過性なアンピシリン系化合物を同時に、細胞内および細胞外に局在化する2種類のBL-tag融合タンパク質をラベル化することが可能である。
【実施例3】
【0117】
<化合物FB-DAによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化>
BL-NLSを用いてトランスフェクトされたHEK293T細胞を、化合物FB-DA(100nM)と共に15分間インキュベートし、洗浄して、共焦点顕微鏡でイメージ化した(図13参照)。図13中、「phase contrast」は、位相差顕微鏡像を、「Fluorescence」は蛍光分析画像を意味する。その結果、FB-DAを用いた場合は選択的に核の蛍光染色が見られた。これはFB-DAではそのアニオン性残基がアセチル基によって保護されているため、細胞膜を通過できるためと考えられる。なお、化合物FB-DAの場合、フルオレセインのアセチル基はラクトン環を形成しているが、アンピシリンのエトキシカルボニルオキシ(メチル)メチルと同様に、細胞内エステラーゼに切断される。その結果、フルオレセインは細胞内でその蛍光を回復する。以上の結果より、プローブ膜透過性はβ-ラクタムのカルボキシル基の状態と蛍光色素の性質の両者に依存することが分かった。
【実施例3】
【0118】
BL-NLS発現細胞を、5nMの化合物FB-DAと共に洗浄操作を行う事無く、インキュベートした。その結果、BL-NLS融合タンパク質細胞は時間と共に徐々に核のラベル化が確認できた。このことにより、化合物FB-DAは加水分解により化合物FAへ変換され、トラップされ、効率的に細胞内に蓄積されることが確認できた(図14参照)。
【実施例3】
【0119】
<化合物CBおよび化合物CB-MAによる細胞内BL-tag融合タンパク質の蛍光ラベル化>
37℃5%CO雰囲気下でDMEM(Invitrogen)の10%FBS中に保持されたHEK293T細胞を、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000(Invitrogen)を用いて、BL-NLSをコードするプラスミドを用いて形質移入した。その細胞を37℃で24時間インキュベートした。その細胞を次いで、HBSSを用いて一度洗浄し、化合物CBまたは化合物CB-MA(100nM)と共に37℃で15分間インキュベートした。未反応プローブを洗浄した後、細胞の蛍光イメージを適切なフィルターセットを用いて、HBSS中で撮影した(図15および図16)。
【実施例3】
【0120】
図15および図16中、「Confocal microscope」は、共焦点顕微鏡像を、「Fluorescence」は蛍光分析画像を意味する。「BL-NLS」は、修飾したBL-tag遺伝子を3つの連続サル・ウィルス40(SV40)大T抗原核局在化配列(NLS)へ挿入したサンプルを意味し、「control」はコントロールを意味する。図15および図16に示すように、BL-tag融合タンパク質は、哺乳類細胞中で発現し、化合物CBおよびCB-MAでラベル化されることが確認できた。
【実施例3】
【0121】
<化合物FB-DAによる化合物FB-DAによる核局在BL-tag融合タンパク質および市販試薬であるSNAP-Cell TMR-Starによるミトコンドリア局在SNAP-tagの同時蛍光ラベル化>
37℃5%CO雰囲気下でDMEM(Invitrogen)の10%FBS中に保持されたHEK293T細胞を、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000(Invitrogen)を用いて、BL-NLSプラスミドおよびSNAP-COX8—2をコードするプラスミド(New England BioLabs Inc.)の両方を同時に用いて形質移入した。その細胞を37℃で24時間インキュベートした。その細胞を次いで、HBSSを用いて一度洗浄し、化合物FB-DA(100nM)とSNAP-Cell(登録商標)TMR-Star(New England BioLabs Inc., 1μM)と共に37℃で15分間インキュベートした。未反応プローブを洗浄した後、HBSS中で30分インキュベーションし、細胞の蛍光イメージを適切なフィルターセットを用いて、HBSS中で撮影した(図17)。
【実施例3】
【0122】
図17中、(a)は、核局在蛋白質にラベル化されたFB-DA(実際には細胞内エステラーゼによって加水分解されたもの)の蛍光画像を、(b)は、ミトコンドリア局在蛋白質にラベル化されたSNAP-Cell TMR-Starの蛍光画像を、(c)は、細胞の位相差顕微鏡画像を、(d)は、(a)と(b)の重ね合わせ蛍光画像を、を意味する。図17に示すように、本発明技術は市販の細胞内蛋白質ラベル化技術と同時に使用かつ異なる蛍光色で同時に検出が可能であることから、既存技術等見合わせることで複数の細胞内蛋白質の可視化に利用可能であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明のタンパク質を蛍光標識する方法は、細胞イメージング等に適用できる。
【配列表フリ-テキスト】
【0124】
配列番号1 E166N TEM-1のアミノ酸配列
配列番号2 E166A TEM-1のアミノ酸配列
配列番号3 E166D TEM-1のアミノ酸配列
配列番号4 E166Q TEM-1のアミノ酸配列
配列番号5 E166N TEM-1のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号6 E166A TEM-1のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号7 E166D TEM-1のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号8 E166Q TEM-1のアミノ酸配列をコードする塩基配列
配列番号9 オリゴヌクレオチド
配列番号10 オリゴヌクレオチド
図面
【図1(1)】
0
【図1(2)】
1
【図1(3)】
2
【図1(4)】
3
【図1(5)】
4
【図2】
5
【図3】
6
【図4】
7
【図5】
8
【図6】
9
【図7】
10
【図8】
11
【図9】
12
【図10】
13
【図11】
14
【図12】
15
【図13】
16
【図14】
17
【図15】
18
【図16】
19
【図17】
20