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明細書 :パワーアシストロボット装置およびその制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6032644号 (P6032644)
公開番号 特開2013-138848 (P2013-138848A)
登録日 平成28年11月4日(2016.11.4)
発行日 平成28年11月30日(2016.11.30)
公開日 平成25年7月18日(2013.7.18)
発明の名称または考案の名称 パワーアシストロボット装置およびその制御方法
国際特許分類 A61F   2/70        (2006.01)
B25J  11/00        (2006.01)
FI A61F 2/70
B25J 11/00 Z
請求項の数または発明の数 17
全頁数 48
出願番号 特願2012-265712 (P2012-265712)
出願日 平成24年12月4日(2012.12.4)
優先権出願番号 2011266330
優先日 平成23年12月5日(2011.12.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年10月1日(2015.10.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145283
【氏名又は名称】国立大学法人 和歌山大学
発明者または考案者 【氏名】八木 栄一
【氏名】佐藤 元伸
【氏名】佐野 和男
個別代理人の代理人 【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎
審査官 【審査官】石田 宏之
参考文献・文献 特開2000-051289(JP,A)
特開2007-282991(JP,A)
特開2010-207620(JP,A)
特開2005-095561(JP,A)
調査した分野 A61F 2/70
B25J 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
装着者の腰部または股関節の左右方向両側近傍にそれぞれ配置され、装着者の上体および大腿部の動きに追従する方向に、上体および大腿部の動きを補助するための駆動トルクを発生する2つの回転駆動部と、
装着者の胸部および腰部に装着され、前記2つの回転駆動部の回転軸および固定端側のうちのいずれか一方が固定される上体フレームと、
一端部が回転駆動部の回転軸および固定端側のうちのいずれか他方に固定され、他端部が大腿部の側部に装着される2つの大腿部フレームとを含むことを特徴とするパワーアシストロボット装置。
【請求項2】
前記上体フレームは、
装着者の胸部に装着される胸部フレームと、
前記2つの回転駆動部を両端部でそれぞれ保持し、前記2つの回転駆動部間を装着者の腰部の背面に沿って延び、装着者の腰部に装着される腰部フレームと、
胸部フレームと腰部フレームとを前後軸線および上下軸線まわりに回転自在に連結する上体連結部とを含むことを特徴とする請求項1に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項3】
前記回転駆動部は、該回転駆動部の回転軸に固定される内輪部と、内輪部に対して前記回転軸の軸線まわりに回転自在に設けられる外輪部とから構成される軸受部を含み、
前記大腿部フレームの一端部は、前記内輪部に固定され、
前記腰部フレームは、装着者の腰部に密着して装着され、前記外輪部に固定されるサブフレームを含むことを特徴とする請求項2に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項4】
前記胸部フレームは、
装着者の胸部前面で左右軸線方向に延びる胸部前フレームと、
装着者の腰部背面で左右軸線方向に延び、上体連結部によって前記腰部フレームと連結される胸部後フレームと、
胸部前フレームの右端部と胸部後フレームの右端部とを変位自在に連結する胸部右フレームと、
胸部前フレームの左端部と胸部後フレームの左端部とを変位自在に連結する胸部左フレームと、
胸部前フレームの左右軸線まわりに回転自在に連結する胸連結部によって該胸部前フレームに連結され、装着者の胸部に密着して装着されるクッション部とを含むことを特徴とする請求項2または3に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項5】
前記胸部フレームは、
装着者の胸部前面で左右軸線方向に延びる胸部前フレームと、
装着者の腰部背面で左右軸線方向に延び、上体連結部によって前記腰部フレームと連結される胸部後フレームと、
胸部前フレームと胸部後フレームとの距離を調整する調整機構とを含むことを特徴とする請求項2に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項6】
前記胸部フレームは、
胸部前フレームを含む胸部側部分と胸部後フレームを含む腰部側部分とを連結/分離するためのコネクタを含むことを特徴とする請求項5に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項7】
前記腰部フレームは、前記2つの回転駆動部間の距離を調整する腰部調整機構を含み、
前記大腿部フレームは、該大腿部フレームの一端部と他端部との距離を調整する大腿部調整機構を含むことを特徴とする請求項2~6のいずれか1つに記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項8】
前記大腿部フレームは、該大腿部フレームの他端部と大腿部とを左右軸線まわりに回転自在に連結する大腿部連結部を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項9】
装着者の上体の左右軸線まわりの回転角度を検出する第1の角度検出部と、
前記2つの回転駆動部にそれぞれ設けられ、各回転駆動部の回転軸の回転角度を検出する第2の角度検出部と、
装着者が装着する靴の靴底部における爪先部分および踵部分にそれぞれ設けられ、予め定める値以上の荷重が爪先部および踵部に作用しているか否かを検出する床反力検出部とをさらに含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項10】
第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向および回転に要する回転トルクを算出し、
さらに、算出した静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動制御部をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項11】
前記2つの回転駆動部にそれぞれ設けられ、各回転駆動部の回転軸の回転角度を検出する角度検出部と、
装着者が装着する靴の靴底部における爪先部分および踵部分にそれぞれ設けられ、予め定める値以上の荷重が爪先部および踵部に作用しているか否かを検出する床反力検出部とをさらに含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項12】
角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向および回転に要する回転トルクを算出し、
さらに、算出した静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動制御部をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項13】
前記駆動制御部は、前記算出した駆動トルクを、装着者が前記2つの回転駆動部を逆方向に駆動することができる減速比以下の減速比に減少させて、前記2つの回転駆動部に発生させることを特徴とする請求項10または12に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項14】
装着者の個体差を表すパラメータを入力するパラメータ入力部をさらに含み、
前記駆動制御部は、パラメータ入力部によって入力されたパラメータに基づいて、前記駆動トルクを算出することを特徴とする請求項10,12,13のいずれか1つに記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項15】
前記駆動制御部は、第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、装着者の個体差を表すパラメータを生成することを特徴とする請求項10に記載のパワーアシストロボット装置。
【請求項16】
請求項9に記載のパワーアシストロボット装置の制御方法であって、
第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向およびに回転に要する回転トルクを算出する算出ステップと、
算出ステップで算出された静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動ステップとを含むことを特徴とするパワーアシストロボット装置の制御方法。
【請求項17】
請求項11に記載のパワーアシストロボット装置の制御方法であって、
角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向およびに回転に要する回転トルクを算出する算出ステップと、
算出ステップで算出された静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動ステップとを含むことを特徴とするパワーアシストロボット装置の制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者が行う力作業を支援するパワーアシストロボット装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本の農業において、少子高齢化が進んでいる。すなわち、全国の農業従事者の数が減少しつつある中で、60歳以上の農業従事者が220万人まで増加している。また、食料自給率向上が叫ばれており、農作業支援の必要性が高まっている。このような状況の中で、従来の米国型の大型の農業機械化ではなく、狭い日本の農地に適し、さらに山間部農業の活性化や地域再生化に役立つ農作業支援機器として、パワーアシストスーツなどのパワーアシストロボット装置が利用される。
【0003】
パワーアシストスーツには、軽作業用パワーアシストスーツと重作業用パワーアシストスーツとがある。軽作業用パワーアシストスーツは、軽作業支援として、果物、たとえば桃、柿、みかん、ぶどうおよびキュウイなどの受粉、摘花、摘果、袋掛けおよび収穫などの上向き作業、および、いちごなどの収穫時の中腰作業など、10kg程度以下の軽量物の持ち上げ、持ち下ろしおよび運搬などの作業支援、さらに、平地や傾斜地および階段での歩行や走行支援に用いられる。
【0004】
重作業用パワーアシストスーツは、重作業支援として、大根やキャベツなど大型野菜の中腰姿勢での収穫作業、ならびに、米袋・収穫物コンテナなど30kg程度の重量物の持ち上げ、積み込み、積み下ろしおよび運搬作業の支援に用いられる。
【0005】
また、パワーアシストスーツは、農業用以外に工場用として、重量物の運搬作業や長時間継続する一定姿勢での作業などに使用される。さらに、パワーアシストスーツは、介護用として、ベッドから車椅子への人の移乗作業などに使用され、また、リハビリ用として、歩行リハビリ支援用などにも使用することができる。
【0006】
パワーアシストスーツを駆動する駆動方式には、パッシブ方式およびアクティブ方式がある。パッシブ方式には、バネ式およびゴム式などの方式がある。アクティブ方式には、電動モータ方式、空気圧駆動方式および油圧駆動方式などの方式がある。空気圧駆動方式には、空気圧ゴム人工筋肉、空気圧シリンダ、および空気圧ロータリアクチュエータを用いる方式(たとえば特許文献1,2参照)がある。
【0007】
また、パワーアシストスーツを制御するアシスト制御方式には、音声入力やスイッチ入力による動作パターン再生方式、表面筋電位信号より筋肉が出そうとするトルクを推定する方式(たとえば特許文献3参照)、表面筋電位信号をトリガ信号として動作パターンを再生する動作パターン再生方式(たとえば特許文献4参照)、パワーアシストスーツを取りつけている装着者の手首部や足首部に作用する力を、センサを用いて計測してフィードバック制御することによって、装着者の動きにパワーアシストスーツを追従させるマスタスレーブ制御方式(たとえば特許文献2,5,6参照)などがある。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特許第3771056号公報
【特許文献2】特開2007-97636号公報
【特許文献3】特許第4200492号公報
【特許文献4】特許第4178185号公報
【特許文献5】特開2007-130234号公報
【特許文献6】特開2006-75456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
バネ式やゴム式のパッシブ方式は、一方向にしかパワーアシストすることができない。高減速比の減速機付き電動モータ方式は、安全性に問題がある。空気圧方式は、空気圧縮用コンプレッサを搭載すると重くなる。油圧方式でも同様に重くなる。動作パターン再生方式は、再生することができるパターンに限界があり、動作の切り換わり時に不連続になる恐れがある。表面筋電位からトルクを推定する方式は、事前の学習時間を必要とする。マスタスレーブ制御は、装着者が動いてからフィードバックがかかるので遅れが生じ、どうしても、装着者がパワーアシストロボット装置を引っ張っているという感覚を覚えてしまう。
【0010】
また、上述した従来技術は、重量物を持ち上げて運搬する作業などにおいて、腰痛を防ぐための腰椎のパワーアシストと、歩行のための股関節のパワーアシストとを、同時に実現することができていない。腰補助用のパワーアシストとして、空気圧式人工筋肉を用いて、所定の動作、たとえば腰曲げを補助するものもあるが、腰曲げの動作を再現して補助するだけで、上体の回転や左右方向への動きが拘束され、また、歩行動作と連動して補助することはできない。また、駆動源は、腰椎のパワーアシスト用と、股関節のパワーアシスト用とをそれぞれ設ける必要がある。
【0011】
本発明の目的は、少ない駆動源で重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができるパワーアシストロボット装置およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、装着者の腰部または股関節の左右方向両側近傍にそれぞれ配置され、装着者の上体および大腿部の動きに追従する方向に、上体および大腿部の動きを補助するための駆動トルクを発生する2つの回転駆動部と、
装着者の胸部および腰部に装着され、前記2つの回転駆動部の回転軸および固定端側のうちのいずれか一方が固定される上体フレームと、
一端部が回転駆動部の回転軸および固定端側のうちのいずれか他方に固定され、他端部が大腿部の側部に装着される2つの大腿部フレームとを含むことを特徴とするパワーアシストロボット装置である。
【0013】
また本発明は、前記上体フレームは、
装着者の胸部に装着される胸部フレームと、
前記2つの回転駆動部を両端部でそれぞれ保持し、前記2つの回転駆動部間を装着者の腰部の背面に沿って延び、装着者の腰部に装着される腰部フレームと、
胸部フレームと腰部フレームとを前後軸線および上下軸線まわりに回転自在に連結する上体連結部とを含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記回転駆動部は、該回転駆動部の回転軸に固定される内輪部と、内輪部に対して前記回転軸の軸線まわりに回転自在に設けられる外輪部とから構成される軸受部を含み、
前記大腿部フレームの一端部は、前記内輪部に固定され、
前記腰部フレームは、装着者の腰部に密着して装着され、前記外輪部に固定されるサブフレームを含むことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記胸部フレームは、
装着者の胸部前面で左右軸線方向に延びる胸部前フレームと、
装着者の腰部背面で左右軸線方向に延び、上体連結部によって前記腰部フレームと連結される胸部後フレームと、
胸部前フレームの右端部と胸部後フレームの右端部とを変位自在に連結する胸部右フレームと、
胸部前フレームの左端部と胸部後フレームの左端部とを変位自在に連結する胸部左フレームと、
胸部前フレームの左右軸線まわりに回転自在に連結する胸連結部によって該胸部前フレームに連結され、装着者の胸部に密着して装着されるクッション部とを含むことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記胸部フレームは、
装着者の胸部前面で左右軸線方向に延びる胸部前フレームと、
装着者の腰部背面で左右軸線方向に延び、上体連結部によって前記腰部フレームと連結される胸部後フレームと、
胸部前フレームと胸部後フレームとの距離を調整する調整機構とを含むことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記胸部フレームは、
胸部前フレームを含む胸部側部分と胸部後フレームを含む腰部側部分とを連結/分離するためのコネクタを含むことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記腰部フレームは、前記2つの回転駆動部間の距離を調整する腰部調整機構を含み、
前記大腿部フレームは、該大腿部フレームの一端部と他端部との距離を調整する大腿部調整機構を含むことを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記大腿部フレームは、該大腿部フレームの他端部と大腿部とを左右軸線まわりに回転自在に連結する大腿部連結部を含むことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、装着者の上体の左右軸線まわりの回転角度を検出する第1の角度検出部と、
前記2つの回転駆動部にそれぞれ設けられ、各回転駆動部の回転軸の回転角度を検出する第2の角度検出部と、
装着者が装着する靴の靴底部における爪先部分および踵部分にそれぞれ設けられ、予め定める値以上の荷重が爪先部および踵部に作用しているか否かを検出する床反力検出部とをさらに含むことを特徴とする。
【0021】
また本発明は、第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向および回転に要する回転トルクを算出し、
さらに、算出した静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動制御部をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記2つの回転駆動部にそれぞれ設けられ、各回転駆動部の回転軸の回転角度を検出する角度検出部と、
装着者が装着する靴の靴底部における爪先部分および踵部分にそれぞれ設けられ、予め定める値以上の荷重が爪先部および踵部に作用しているか否かを検出する床反力検出部とをさらに含むことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向および回転に要する回転トルクを算出し、
さらに、算出した静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動制御部をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記駆動制御部は、前記算出した駆動トルクを、装着者が前記2つの回転駆動部を逆方向に駆動することができる減速比以下の減速比に減少させて、前記2つの回転駆動部に発生させることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、装着者の個体差を表すパラメータを入力するパラメータ入力部をさらに含み、
前記駆動制御部は、パラメータ入力部によって入力されたパラメータに基づいて、前記駆動トルクを算出することを特徴とする。
【0026】
また本発明は、前記駆動制御部は、第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、装着者の個体差を表すパラメータを生成することを特徴とする。
【0027】
また本発明は、前記パワーアシストロボット装置の制御方法であって、
第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向およびに回転に要する回転トルクを算出する算出ステップと、
算出ステップで算出された静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動ステップとを含むことを特徴とするパワーアシストロボット装置の制御方法である。
【0028】
また本発明は、前記パワーアシストロボット装置の制御方法であって、
角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向およびに回転に要する回転トルクを算出する算出ステップと、
算出ステップで算出された静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる駆動ステップとを含むことを特徴とするパワーアシストロボット装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、2つの回転駆動部は、装着者の腰部または股関節の左右方向両側近傍にそれぞれ配置され、装着者の上体および大腿部の動きに追従する方向に、上体および大腿部の動きを補助するための駆動トルクを発生する。上体フレームは、装着者の胸部および腰部に装着され、前記2つの回転駆動部の回転軸および固定端側のうちのいずれか一方が固定される。そして、2つの大腿部フレームは、一端部が回転駆動部の回転軸および固定端側のうちのいずれか他方に固定され、他端部が大腿部の側部に装着される。したがって、パワーアシストロボット装置は、少ない駆動源、すなわち腰部両側に設けられる2つの回転駆動部で重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。
【0030】
また本発明によれば、前記上体フレームは、胸部フレームと、腰部フレームと、上体連結部とを含む。胸部フレームは、装着者の胸部に装着される。腰部フレームは、前記2つの回転駆動部を両端部でそれぞれ保持し、前記2つの回転駆動部間を装着者の腰部の背面に沿って延び、装着者の腰部に装着される。そして、上体連結部は、胸部フレームと腰部フレームとを前後軸線および上下軸線まわりに回転自在に連結する。したがって、パワーアシストロボット装置は、胸部フレームと腰部フレームとをそれぞれの端部の2箇所で連結する場合よりも、上体の左右方向の動作および上体の回転動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。
【0031】
また本発明によれば、前記回転駆動部は、該回転駆動部の回転軸に固定される内輪部と、内輪部に対して前記回転軸の軸線まわりに回転自在に設けられる外輪部とから構成される軸受部を含む。前記大腿部フレームの一端部は、前記内輪部に固定される。そして、前記腰部フレームは、装着者の腰部に密着して装着され、前記外輪部に固定されるサブフレームを含む。したがって、パワーアシストロボット装置は、腰部の動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。
【0032】
本発明によれば、前記胸部フレームは、胸部前フレームと、胸部後フレームと、胸部右フレームと、胸部左フレームと、クッション部とを含む。胸部前フレームは、装着者の胸部前面で左右軸線方向に延びる。胸部後フレームは、装着者の腰部背面で左右軸線方向に延び、上体連結部によって前記腰部フレームと連結される。胸部右フレームは、胸部前フレームの右端部と胸部後フレームの右端部とを変位自在に連結する。胸部左フレームは、胸部前フレームの左端部と胸部後フレームの左端部とを変位自在に連結する。そして、クッション部は、胸部前フレームの左右軸線まわりに回転自在に連結する胸連結部によって該胸部前フレームに連結され、装着者の胸部に密着して装着される。したがって、パワーアシストロボット装置は、上体の前後方向の動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。
【0033】
また本発明によれば、前記胸部フレームは、胸部前フレームと、胸部後フレームと、調整機構とを含む。胸部前フレームは、装着者の胸部前面で左右軸線方向に延びる。胸部後フレームは、装着者の腰部背面で左右軸線方向に延び、上体連結部によって前記腰部フレームと連結される。そして、調整機構は、胸部前フレームと胸部後フレームとの距離を調整する。したがって、パワーアシストロボット装置は、胸部フレームを、装着者の体型に応じた形態に変形させることができる。
【0034】
また本発明によれば、前記胸部フレームは、コネクタを含む。コネクタは、胸部前フレームを含む胸部側部分と胸部後フレームを含む腰部側部分とを連結/分離するための部材である。したがって、パワーアシストロボット装置は、胸部側部分と腰部側部分とをこのコネクタを介して容易に連結/分離することができるので、装着者は、パワーアシストロボット装置を容易に着脱することができる。
【0035】
また本発明によれば、前記腰部フレームは、前記2つの回転駆動部間の距離を調整する腰部調整機構を含む、そして、前記大腿部フレームは、該大腿部フレームの一端部と他端部との距離を調整する大腿部調整機構を含む。したがって、パワーアシストロボット装置は、装着者の体型に応じた形態に変形させることができる。
【0036】
また本発明によれば、前記大腿部フレームは、該大腿部フレームの他端部と大腿部とを左右軸線まわりに回転自在に連結する大腿部連結部を含む。したがって、パワーアシストロボット装置は、大腿部の動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。
【0037】
また本発明によれば、第1の角度検出部は、装着者の上体の左右軸線まわりの回転角度を検出する。第2の角度検出部は、前記2つの回転駆動部にそれぞれ設けられ、各回転駆動部の回転軸の回転角度を検出する。そして、床反力検出部は、装着者が装着する靴の靴底部における爪先部分および踵部分にそれぞれ設けられ、予め定める値以上の荷重が爪先部および踵部に作用しているか否かを検出する。したがって、パワーアシストロボット装置は、表面筋電位センサを装着する煩わしさがなく、実用的である。
【0038】
また本発明によれば、駆動制御部は、第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向および回転に要する回転トルクを算出する。さらに、駆動制御部は、算出した静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる。したがって、パワーアシストロボット装置は、数多くの動作パターンをデータベース化しておく必要がなく、動作の切り換わり時に不連続になることがない。
【0039】
また本発明によれば、角度検出部は、前記2つの回転駆動部にそれぞれ設けられ、各回転駆動部の回転軸の回転角度を検出する。そして、床反力検出部は、装着者が装着する靴の靴底部における爪先部分および踵部分にそれぞれ設けられ、予め定める値以上の荷重が爪先部および踵部に作用しているか否かを検出する。したがって、パワーアシストロボット装置は、表面筋電位センサを装着する煩わしさがなく、実用的である。
【0040】
また本発明によれば、駆動制御部は、角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向および回転に要する回転トルクを算出する。さらに、駆動制御部は、算出した静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる。したがって、パワーアシストロボット装置は、数多くの動作パターンをデータベース化しておく必要がなく、動作の切り換わり時に不連続になることがない。
【0041】
本発明によれば、前記駆動制御部は、前記算出した駆動トルクを、装着者が前記2つの回転駆動部を逆方向に駆動することができる減速比以下の減速比に減少させて、前記2つの回転駆動部に発生させる。したがって、パワーアシストロボット装置は、装着者の安全を確保することができる。
【0042】
本発明によれば、パラメータ入力部は、装着者の個体差を表すパラメータを入力する。そして、前記駆動制御部は、パラメータ入力部によって入力されたパラメータに基づいて、前記駆動トルクを算出する。したがって、パワーアシストロボット装置は、装着者の個人差に対応した補助を行うことができる。
【0043】
また本発明によれば、前記駆動制御部は、第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、装着者の個体差を表すパラメータを生成する。したがって、パワーアシストロボット装置は、装着者にパワーアシストロボット装置を装着させて実際に動作させることによって、装着者の個人差に依存するパラメータを生成することができる。
【0044】
また本発明によれば、前記パワーアシストロボット装置の制御方法を実行するにあたって、算出ステップでは、第1の角度検出部によって検出される上体の回転角度、第2の角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向およびに回転に要する回転トルクを算出する。そして、駆動ステップでは、算出ステップで算出された静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる。したがって、本発明に係る制御方法は、少ない駆動源、すなわち腰部両側に設けられる2つの回転駆動部で重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。
【0045】
また本発明によれば、前記パワーアシストロボット装置の制御方法を実行するにあたって、算出ステップでは、角度検出部によって検出される回転駆動部の回転軸の回転角度、および床反力検出部によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向およびに回転に要する回転トルクを算出する。そして、駆動ステップでは、算出ステップで算出された静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つの回転駆動部が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つの回転駆動部を駆動させる。したがって、本発明に係る制御方法は、少ない駆動源、すなわち腰部両側に設けられる2つの回転駆動部で重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態である重作業用アシストスーツ100の外観を示す図である。
【図2】パワーアシスト用電動モータ1が取り付けられたメインフレームの断面図である。
【図3】重作業用アシストスーツ100に含まれる制御機器の構成を示す図である。
【図4】ハンディ端末50の外観を示す図である。
【図5】回転トルクTの算出を説明するための図である。
【図6】重作業用アシストスーツ100で実行されるアシストスーツ制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】パラメータ書換えシーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】姿勢情報入力シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】股関節制御シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】歩行判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】歩行制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】上体判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】第1の上体制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第2の上体制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】中腰判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】第1の中腰制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】第2の中腰制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第2の実施形態である重作業用アシストスーツ300の外観を示す図である。
【図19】パワーアシスト用電動モータ201が取り付けられたメインフレームの断面図である。
【図20】重作業用アシストスーツ300に含まれる制御機器の構成を示す図である。
【図21】回転トルクTの算出を説明するための図である。
【図22】重作業用アシストスーツ300で実行されるアシストスーツ制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図23】パラメータ書換えシーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】姿勢情報入力シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】股関節制御シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図26】歩行判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図27】歩行制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図28】遊脚側のアシストトルクの計算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図29】保持脚側のアシストトルクの計算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図30】上体判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図31】上体制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図32】中腰判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図33】中腰制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明の第1の実施形態である重作業用アシストスーツ100の外観を示す図である。図1(a)は、装着者によって装着された状態の重作業用アシストスーツ100の外観を示す正面図である。図1(b)は、装着者によって装着された状態の重作業用アシストスーツ100の外観を示す側面図である。本発明の第1の実施形態に係る制御方法は、重作業用アシストスーツ100で実行される。

【0048】
パワーアシストロボット装置である重作業用アシストスーツ100は、重作業用のアシストスーツである。重作業用アシストスーツ100は、パワーアシスト用電動モータ1、フレーム2~6,14~18,23,24、受動回転軸7,10,12,13,19、スライド穴8、受け部9、ベルト11,21,25、ベアリング22、胸部クッション20、クッション26、角度調整機構27、およびコントロールボックス28を含んで構成される。

【0049】
回転駆動部であるパワーアシスト用電動モータ1は、たとえば電動サーボモータによって構成される。パワーアシスト用電動モータ1は、上体および大腿部のパワーアシスト用、つまり上体および大腿部の動きを補助するための動力源として用いられる電動モータである。換言すると、パワーアシスト用電動モータ1は、腰椎における第3~第5腰椎付近を支点とする上体および大腿部の回転をアシストするための動力を発生する。

【0050】
パワーアシスト用電動モータ1は、腰椎における第3~第5腰椎付近の左右両サイドに、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸が左右軸線まわりに回転するように、次のようにして取り付けられている。重作業用アシストスーツ100の各部位と装着者との位置関係は、装着者が重作業用アシストスーツ100を装着したときの装着者に対する位置である。

【0051】
パワーアシスト用電動モータ1の固定端側は、メインフレームに取り付けられている。腰部フレームであるメインフレームは、フレーム2およびフレーム3を含んで構成されている。メインフレームは、フレーム2およびフレーム3に設けられた調整穴によってメインフレームの左右方向の幅が調整できるようになっている。メインフレームは、フレーム2およびフレーム3に設けられた調整穴による調整機構によって、メインフレームの左右方向の幅を装着者の体型に合わせることができる。フレーム2およびフレーム3に設けられた調整穴による調整機構は、腰部調整機構である。

【0052】
パワーアシスト用電動モータ1の回転端側には、下肢アシストアームが取り付けられている。大腿部フレームである下肢アシストアームは、フレーム4~6を含んで構成される。フレーム4とフレーム5とは、股関節の前後軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸7を介して取り付けられている。フレーム6は、フレーム5側に設けられたスライド穴8内を上下方向にスライドするようになっている。下肢アシストアームは、フレーム6がスライド穴8内をスライドする調整機構によって、装着者の体型に合ったアーム長の調整を行うことができる。メインフレームおよび上体アシストアームは、上体フレームを構成する。フレーム6がスライド穴8内をスライドする調整機構は、大腿部調整機構である。

【0053】
フレーム6の先端には、半円筒状の受け面を有する受け部9が、左右軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸10を介して取り付けられている。大腿部連結部である受動回転軸10は、受け部9に左右軸線まわりの回転動作をさせることによって、装着者の大腿部の動作に対応して、受け部9の受け面に適切な角度を与えることができる。受け部9には、ベルト11が取り付けられている。ベルト11は、装着者の大腿部を受け部9に固定するようになっている。

【0054】
フレーム3は、上下軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸12および前後軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸13を介して、上体アシストアームが取り付けられている。胸部フレームである上体アシストアームは、フレーム14~18を含んで構成される。

【0055】
上体アシストアームは、装着者の腰部の背面から脇を通して胸部の前面に至るように配置され、装着者の上体を支えるようになっている。上体アシストアームは、フレーム15およびフレーム16に設けられた角度調整機構27によって、装着者の体型に合った上体アシストアームの角度に調整をすることができる。また、フレーム14およびフレーム15に設けられた調整穴によって上体アシストフレームの横幅が調整できるようになっている。上体アシストフレームは、この調整穴による調整機構によって、装着者の体型に合わせることができる。受動回転軸12および受動回転軸13は、上体連結部である。フレーム14およびフレーム15は、胸部後フレームである。

【0056】
上体アシストアームは、フレーム16内部に設けられた図示しないコイルばねによるスライド機構によって、フレーム16の全長が伸縮できるようになっている。上体アシストアームは、このスライド機構によって、装着者が上体を前傾や後傾した場合に、上体アシストアームが装着者の前傾や後傾の動作を妨げない構造になっている。フレーム16は、フレーム17を介してフレーム18に連結される。メインフレームおよび上体アシストアームは、上体フレームである。装着者の右側に配置されるフレーム16およびフレーム17は、胸部右フレームであり、装着者の左側に配置されるフレーム16およびフレーム17は、胸部左フレームである。

【0057】
胸部前フレームであるフレーム18には、左右軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸19を介して、胸部クッション20が取り付けられている。2本のベルト21は、フレーム18から装着者の両肩部上方をそれぞれ通り、フレーム14に至るように取り付けられている。胸部クッション20およびベルト21によって、上体アシストアームが装着者に密着するようになっている。受動回転軸19は、胸連結部である。胸部クッション20は、クッション部である。

【0058】
図2は、パワーアシスト用電動モータ1が取り付けられたメインフレームの断面図である。図2は、図1(b)に示した切断面線A-Aでの断面図である。左右の各フレーム2には、図2に示すように、背面側に突出するようにコントロールボックス28がそれぞれ取付けられている。パワーアシスト用電動モータ1の回転端側には、さらに、ベアリング22を介してサブフレームが取り付けられている。サブフレームは、フレーム23およびフレーム24を含んで構成される。

【0059】
軸受部であるベアリング22は、内輪部と外輪部とを含んで構成されている。パワーアシスト用電動モータ1の回転端側は、ベアリング22の内輪部に取り付けられている。具体的には、内輪部は、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸に取り付けられている。そして、内輪部には、下肢アシストアームの上端部、つまりフレーム4の上端部が取り付けられている。外輪部は、内輪部に対して、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸の軸線周りに回転自在に設けられる。サブフレームのフレーム23は、ベアリング22の外輪部に取り付けられている。

【0060】
このように、サブフレームが外輪部に取り付けられ、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸が内輪部に取り付けられることによって、パワーアシスト用電動モータ1が回転軸を回転させても、サブフレームが回転動作を行わない構成となっている。

【0061】
サブフレームには、ベルト25とクッション26とが取り付けられている。ベルト25とクッション26とによって、重作業用アシストスーツ100のサブフレームを装着者の腰部に密着させることができる。

【0062】
図3は、重作業用アシストスーツ100に含まれる制御機器の構成を示す図である。重作業用アシストスーツ100に含まれる制御機器は、ハンディ端末装置(以下「ハンディ端末」という)50、通信ユニット130、制御ユニット140、右足底ユニット150、左足底ユニット160および電池ユニット170を含んで構成される。

【0063】
通信ユニット130、制御ユニット140および電池ユニット170は、フレーム2に装着される。通信ユニット130および電池ユニット170は、装着者の右後ろ付近の位置に設けられたコントロールボックス28に収納され、制御ユニット140は、装着者の左後ろ付近の位置に設けられたコントロールボックス28に収納される。右足底ユニット150は、装着者の右側の靴底に装着され、左足底ユニット160は、装着者の左側の靴底に装着される。パラメータ入力部であるハンディ端末50は、携帯型の端末装置であり、装着者の右手あるいは左手によって保持されて操作される。

【0064】
通信ユニット130は、無線通信部131、電源制御部132、およびモータドライバ133を含んで構成される。無線通信部131は、無線による通信によって、右足底ユニット150、左足底ユニット160、およびハンディ端末50と通信し、有線による通信によって、制御ユニット140と通信する。

【0065】
電源制御部132は、電池ユニット170を制御する。モータドライバ133は、装着者の腰部の右側に装着されるパワーアシスト用電動モータ1を制御するドライバである。モータドライバ133は、有線による通信によって、モータ制御部141と通信し、モータ制御部141からアシストに必要な出力トルク指令などの指令を受けるとともに、モータの位置情報などの情報をモータ制御部141へ送っている。モータの位置情報は、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度を表す情報である。なお、電源制御部132およびモータ制御部141はそれぞれ、CPUを含むコンピュータによって実現される。

【0066】
制御ユニット140は、モータ制御部141およびモータドライバ142を含んで構成される。駆動制御部であるモータ制御部141は、2軸傾斜センサを含んで構成される。第1の角度検出部である2軸傾斜センサは、たとえば直交する2軸の加速度を検出する加速度センサであり、装着者の上体の左右軸線まわりの回転角度および装着者の上体の前後軸線まわりの回転角度を検出するように配置される。本実施形態では、上体の左右軸線まわりの回転角度を検出するために、2軸傾斜センサを用いているが、2軸傾斜センサに限定されるものではなく、たとえば3軸加速度センサと3軸ジャイロセンサとを用いてもよい。

【0067】
モータ制御部141は、無線通信部131からの情報と、モータドライバ133,142からのモータの位置情報とからアシストに必要な駆動トルクを計算し、モータドライバ133,142へ出力トルク指令を送る。モータドライバ142は、装着者の腰部の左側に装着されるパワーアシスト用電動モータ1を制御するドライバである。モータドライバ142は、モータ制御部141からアシストに必要な出力トルク指令などの指令を受けるとともに、モータの位置情報などの情報をモータ制御部141へ送っている。

【0068】
右足底ユニット150は、無線通信部151、電池152、爪先スイッチ(以下「SW」ともいう)153および踵SW154を含んで構成される。電池152は、充電可能な蓄電池であり、無線通信部151、爪先SW153および踵SW154に電力を供給する。無線通信部151は、爪先SW153および踵SW154の状態、すなわち、爪先SW153および踵SW154によって検出された検出結果を、通信ユニット130の無線通信部131を経由して、制御ユニット140のモータ制御部141に送っている。

【0069】
爪先SW153は、装着者が装着する右側の靴の靴底部における爪先部分に配置され、予め定める値以上の荷重が爪先部に作用しているか否かを検出する。踵SW154は、装着者が装着する右側の靴の靴底部における踵部分に配置され、予め定める値以上の荷重が踵部に作用しているか否かを検出する。

【0070】
左足底ユニット160は、無線通信部161、電池162、爪先SW163および踵SW164を含んで構成される。無線通信部161、電池162、爪先SW163および踵SW164は、それぞれ無線通信部151、電池152、爪先SW153および踵SW154と同じ構成であり、重複を避けるために説明は省略する。爪先SW153、踵SW154、爪先SW163および踵SW164は、床反力検出部である。

【0071】
ハンディ端末50は、重作業用アシストスーツ100の動作に必要な後述するパラメータを設定するために使用される。電池ユニット170は、電池171を含んで構成される。電池171は、充電可能な蓄電池である。電池ユニット170は、電池171からの電力を通信ユニット130および制御ユニット140に供給している。

【0072】
図4は、ハンディ端末50の外観を示す図である。ハンディ端末50は、重作業用アシストスーツ100の動作に必要なパラメータを設定するために使用される端末装置である。ハンディ端末50は、パラメータ番号選択スイッチ51、上昇スイッチ52、下降スイッチ53、エントリスイッチ54、パラメータ表示部55、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下「LED」という)56、歩行スイッチ57、上体スイッチ58および中腰スイッチ59を含んで構成される。

【0073】
パラメータ番号選択スイッチ51は、パラメータ番号(以下「パラメータNo」または「P_No」ともいう)を入力するためのスイッチであり、スイッチを押下するたびに、パラメータNoが「0」から「1」ずつカウントアップされる。上昇スイッチ52は、設定するためのパラメータ値をカウントアップするためのスイッチであり、押下するたびにパラメータ値が「1」ずつカウントアップされる。下降スイッチ53は、設定するためのパラメータ値をカウントダウンするためのスイッチであり、押下するたびにパラメータ値が「1」ずつカウントダウンされる。

【0074】
エントリスイッチ54は、選択されたパラメータNoおよび更新されたパラメータ値を、図示しない記憶部に記憶して設定するためのスイッチである。パラメータ表示部55は、たとえば数字、記号および文字を表示する表示装置によって構成される。図4に示したパラメータ表示部55は、7桁の数字、記号および文字を表示することができる。上位3桁がパラメータNoを表示し、第4桁目が記号「-」を表示し、第5桁目~第7桁目の3桁がパラメータ値を表示する。LED56は、選択されたパラメータNoおよび更新されたパラメータ値が、図示しない記憶部に記憶されて設定されたことを示すランプである。LED56は、パラメータが正常に更新されると、所定時間、たとえば3秒間点滅する。

【0075】
歩行スイッチ57、上体スイッチ58および中腰スイッチ59は、ティーチング用のスイッチである。歩行スイッチ57は、「歩行パラメータ」を図示しない記憶部に記憶して設定するためのスイッチである。上体スイッチ58は、「上体パラメータ」を図示しない記憶部に記憶して設定するためのスイッチである。中腰スイッチ59は、「中腰パラメータ」を図示しない記憶部に記憶して設定するためのスイッチである。

【0076】
装着者は、歩行スイッチ57、上体スイッチ58および中腰スイッチ59のうち、ティーチングする動作に対応するスイッチを押下した後、ティーチングする一連の動作を実際に行う。LED56は、実際に行われた一連の動作からその動作をアシストするためのパラメータが生成され、生成されたパラメータがハンディ端末50に送信されると、所定時間点滅する。モータ制御部141は、歩行スイッチ57、上体スイッチ58および中腰スイッチ59のうちのいずれかが押下されてから、生成したパラメータをハンディ端末50に送信し終わるまで、ティーチングモードとする。

【0077】
ハンディ端末50に設定可能なパラメータを表1~表4に示す。表1は、共通パラメータおよび歩行パラメータの一覧表である。パラメータNo「0」は、装着者ごとのパラメータの記憶領域を指定するための共通パラメータである。パラメータNo「1」~「15」は、歩行パラメータである。ハンディ端末50は、10人分のパラメータを記憶することができる。装着者ごとのパラメータの記憶領域は、装着者ごとに、パラメータNo「1」~「40」のパラメータを記憶することができる。

【0078】
パラメータNo「1」~「7」は、遊脚側の歩行制御パラメータであり、パラメータNo「8」~「10」は、保持側の歩行制御パラメータであり、パラメータNo「11」~「15」は、歩行判断パラメータである。遊脚は、地に着いていない方の脚であり、保持脚は、地に着いている方の脚である。歩行制御パラメータは、歩行動作をアシストするためのパラメータであり、歩行判断パラメータは、装着者が行っている動作が歩行動作であるか否かを判断するためのパラメータである。

【0079】
【表1】
JP0006032644B2_000002t.gif

【0080】
表2は、上体パラメータの一覧表である。パラメータNo「20」~「22」,「24」,「25」は、上体制御パラメータであり、パラメータNo「26」~「28」は、上体判断パラメータである。上体制御パラメータは、上体の動作をアシストするためのパラメータであり、上体判断パラメータは、装着者が行っている動作が上体の動作であるか否かを判断するためのパラメータである。

【0081】
【表2】
JP0006032644B2_000003t.gif

【0082】
表3は、中腰パラメータの一覧表である。パラメータNo「30」~「32」,「34」,「35」は、中腰制御パラメータであり、パラメータNo「36」~「38」は、中腰判断パラメータである。中腰制御パラメータは、中腰の動作をアシストするためのパラメータであり、中腰判断パラメータは、装着者が行っている動作が中腰の動作であるか否かを判断するためのパラメータである。

【0083】
【表3】
JP0006032644B2_000004t.gif

【0084】
表4は、床反力検出のための足底パラメータの一覧表である。

【0085】
【表4】
JP0006032644B2_000005t.gif

【0086】
図5は、回転トルクTの算出を説明するための図である。モータ制御部141は、装着者の様々な作業姿勢にて体を動かすのに必要な回転トルクTを、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度および上体の回転角度を用いて力学的に算出することによって、アシストトルクを算出する。アシストトルクは、パワーアシスト用電動モータ1によって生成される駆動トルクである。

【0087】
モータ制御部141は、まず腰角度θおよび上体前傾角度αを取得する。上体前傾角度αは、上体の回転角度、すなわち、鉛直線を基準とする角度である。腰角度θは、上体に対する各大腿部の角度、すなわち、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度である。モータ制御部141は、モータドライバ133,142から、左右の腰角度θを取得し、モータ制御部141に含まれる2軸傾斜センサから上体前傾角度αを取得する。

【0088】
脚部の質量をm[kg]、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸から受動回転軸10までの距離をL[m]とすると、質量mの脚部を動作させるのに必要な回転トルクT[N・m]は、計算式「T=Lgsin(π-θ-α)」によって計算することができる。

【0089】
同様に、上体の質量をm[kg]、腰からフレーム18までの距離をL[m]とすると、質量mの上体を動作させるのに必要な回転トルクTは、計算式「T=Lgsin(α)」によって計算することができる。

【0090】
gは、重力加速度である。L、m、Lおよびmは、比例定数であり、装着者によって決まる固定値である。モータ制御部141は、これらの値をパラメータとして設定しておくことによって、アシストトルクを算出している。パラメータは、装着者が図4に示したハンディ端末50を使用して設定する。

【0091】
重作業用アシストスーツ100は、筋肉を動かそうとした時に筋肉に流れる微弱な表面筋電位信号を用いずに、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要な回転トルクTを力学的に算出することによってアシストトルクを算出するので、表面筋電位センサを装備する必要がない。

【0092】
また、重作業用アシストスーツ100は、動作パターンの再生方式ではなく、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要な回転トルクTを力学的に算出し、アシストする比率を乗じてアシストトルクを算出するので、動作の切り替わり時に不連続になることがない。

【0093】
図6は、重作業用アシストスーツ100で実行されるアシストスーツ制御処理の処理手順を示すフローチャートである。アシストスーツ制御処理は、電源起動シーケンス処理、パラメータ書換えシーケンス処理、姿勢情報入力シーケンス処理および股関節制御シーケンス処理の4つの処理で構成されている。モータ制御部141は、重作業用アシストスーツ100の電源が投入されてパワーアシスト用電動モータ1を除く部位への電力の供給が開始され、動作可能状態になると、ステップA1に移る。

【0094】
ステップA1では、モータ制御部141は、電源起動シーケンス処理を実行する。具体的には、モータ制御部141は、ハンディ端末50から送信されるアシストに必要なパラメータの受信完了を待っている。モータ制御部141は、アシストに必要なパラメータの受信完了後、装着者が直立している直立状態での各関節の回転角度、つまり上体の回転角度および上体に対する各大腿部の回転角度の初期化を行い、パワーアシスト用電動モータ1用の電源をオンする。

【0095】
ステップA2では、モータ制御部141は、パラメータ書換えシーケンス処理を実行する。アシストに必要なパラメータは、装着者の持っているハンディ端末50から適宜送られてくる。アシストスーツ制御処理は、このパラメータの更新を常時実行できるようにするために、パラメータ書換えシーケンス処理をメインループ内で行っている。メインループは、ステップA2~A4によって形成される処理手順のループである。

【0096】
ステップA3では、モータ制御部141は、姿勢情報入力シーケンス処理を実行する。姿勢情報入力シーケンス処理は、装着者の姿勢に関するデータを取得する処理である。

【0097】
ステップA4では、モータ制御部141は、股関節制御シーケンス処理を実行して、ステップA2に戻る。股関節制御シーケンス処理は、ステップA3で取得されたデータに基づいて、歩行動作、上体動作および中腰動作の各動作に対するパワーアシスト用電動モータ1による駆動に必要なアシストトルクを計算して出力する。

【0098】
モータ制御部141は、メインループを10mS間隔で実行しており、重作業用アシストスーツ100は、装着者へのスムーズなアシストを実現している。モータ制御部141は、アシストを開始する前、数秒間で装着者の動作を判断し、判断後アシストトルクを出力する。重作業用アシストスーツ100は、健常者のアシストを目的としており、動作の開始時に数秒間アシストがなくても、実用上支障はない。

【0099】
図7は、パラメータ書換えシーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。パラメータの更新には、手動での入力による更新と、ティーチングモードでの入力による更新がある。図7に示したパラメータ書換えシーケンス処理は、ティーチングモードでの入力による更新の処理である。モータ制御部141は、図6に示したステップA2が実行されると、ステップB1に移る。

【0100】
ステップB1では、モータ制御部141は、ティーチングモードであるか否かを判定している。モータ制御部141は、ティーチングモードであるとき、ステップB2に進み、ティーチングモードでないとき、ステップB5に進む。モータ制御部141は、歩行スイッチ57、上体スイッチ58および中腰スイッチ59のうちのいずれかが押下されると、ティーチングモードを開始し、ティーチングモードでのパラメータの生成およびハンディ端末50へのパラメータの転送が完了すると、ティーチングモードを終了する。

【0101】
ステップB2では、モータ制御部141は、アシストをオフする。モータ制御部141は、アシストがオフの間、パワーアシスト用電動モータ1によるアシストを停止し、図6に示したステップA3の姿勢情報入力シーケンス処理およびステップA4の股関節制御シーケンス処理を実行することなく、ステップA2に戻る。

【0102】
ステップB3では、モータ制御部141は、モータドライバ133,142から送られてくる左右の腰角度θ、モータ制御部141に含まれる2軸傾斜センサから送られてくる上体前傾角度α、右足底ユニット150から送られてくる爪先SW153および踵SW154による検出結果、および左足底ユニット160から送られてくる爪先SW163および踵SW164による検出結果に基づいて、装着者による歩行動作、上体動作および中腰動作の各動作を解析することによって、装着者が意図する動作を判断するために必要なパラメータを生成する。生成されたパラメータのうち、歩行判断パラメータのパラメータNo「11」~「15」、上体判断パラメータのパラメータNo「26」~「28」、および中腰判断パラメータのパラメータNo「36」~「38」は、この動作解析によって得られる。

【0103】
ステップB4では、モータ制御部141は、生成したパラメータをハンディ端末50に送信して、パラメータ書換えシーケンス処理を終了する。ハンディ端末50に送信されたパラメータは、ハンディ端末50で装着者によって確認される。確認されたパラメータは、ハンディ端末50に再送信することによって有効になる。

【0104】
ステップB5では、モータ制御部141は、ハンディ端末50からパラメータを受信し、受信したパラメータを設定する。ステップB6では、モータ制御部141は、アシストをオンして、パラメータ書換えシーケンス処理を終了する。パラメータを更新した後にアシストをオンしているのは、装着者の安全を確保するためである。

【0105】
図8は、姿勢情報入力シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図6に示したステップA3が実行されると、ステップC1に移る。

【0106】
ステップC1では、モータ制御部141は、床反力スイッチを読込み、床反力の有無を検出する。床反力スイッチは、右足底ユニット150の爪先SW153および踵SW154、ならびに、左足底ユニット160の爪先SW163および踵SW164である。具体的には、モータ制御部141は、爪先SW153および踵SW154の検出結果を右足底ユニット150から受信し、爪先SW163および踵SW164の検出結果を左足底ユニット160から受信する。

【0107】
ステップC2では、モータ制御部141は、モータエンコーダの角度を読込む。具体的には、モータ制御部141は、モータエンコーダ、すなわちパワーアシスト用電動モータ1に含まれるエンコーダから、パワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度、つまり腰角度θを、モータドライバ133,142を介して読込む。ステップC3では、モータ制御部141は、腰角速度、つまりパワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度の角速度を計算する。パワーアシスト用電動モータ1に含まれるエンコーダは、第2の角度検出部である。

【0108】
ステップC4では、モータ制御部141は、モータ制御部141に含まれる2軸傾斜センサの検出値を読込む。ステップC5では、モータ制御部141は、2軸傾斜センサの検出値に基づいて、上体の回転角度、つまり上体前傾角度αを計算する。ステップC6では、モータ制御部141は、計算された上体の回転角度から、上体の回転角度の角速度を計算して、姿勢情報入力シーケンス処理を終了する。

【0109】
図9は、股関節制御シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップD1,D2は、歩行動作に対する処理である。ステップD3,D4は、上体動作に対する処理である。ステップD5,D6は、中腰動作に対する処理である。歩行動作に対する処理、上体動作に対する処理および中腰動作に対する処理は、並列に処理される。モータ制御部141は、図6に示したステップA4が実行されると、ステップD1,D3,D5に移る。

【0110】
ステップD1では、モータ制御部141は、歩行判断を行う。具体的には、モータ制御部141は、腰角度θ、上体前傾角度αおよび床反力に基づいて、歩行動作を行っているか否かを判断する。ステップD2では、モータ制御部141は、歩行制御を行う。具体的には、モータ制御部141は、歩行動作行っているとき、時々刻々変化する腰角度θ、上体前傾角度αおよび床反力に基づいて、歩行動作をアシストするための遊脚側のアシストトルクおよび保持脚側のアシストトルクを計算する。

【0111】
ステップD3では、モータ制御部141は、上体判断を行う。具体的には、モータ制御部141は、腰角度θ、上体前傾角度αおよび床反力に基づいて、上体動作を行っているか否かを判断する。上体動作は、上体を曲げ、次に上体を起こす動作である。ステップD4では、モータ制御部141は、上体制御を行う。具体的には、モータ制御部141は、上体動作を行っているとき、上体動作をアシストするためのアシストトルクを計算する。モータ制御部141は、両脚に必要な、上体前傾角度αに比例したアシストトルクを算出する。

【0112】
ステップD5では、モータ制御部141は、中腰判断を行う。具体的には、モータ制御部141は、腰角度θ、上体前傾角度αおよび床反力に基づいて、中腰動作を行っているか否かを判断する。中腰動作は、中腰姿勢での動作である。ステップD6では、モータ制御部141は、中腰制御を行う。具体的には、モータ制御部141は、中腰動作を行っているとき、中腰動作をアシストするためのアシストトルクを計算する。モータ制御部141は、両脚に必要な、腰角度θに比例したアシストトルクを算出する。ステップD1~D6は、算出ステップである。

【0113】
駆動ステップであるステップD7では、モータ制御部141は、計算値を合算し、合算した駆動トルクを出力して、股関節制御シーケンス処理を終了する。具体的には、モータ制御部141は、ステップD2で計算されたアシストトルクと、ステップD4で計算されたアシストトルクと、ステップD6で計算されたアシストトルクとを合算し、合算したアシストトルクを出力するように、モータドライバ133,142を制御して、パワーアシスト用電動モータ1を駆動させて、股関節制御シーケンス処理を終了する。

【0114】
図10は、歩行判断処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD1が実行されると、ステップE1に移る。

【0115】
ステップE1では、モータ制御部141は、腰角度θを微分する。ステップE2では、モータ制御部141は、腰の角速度を計算する。つまり、モータ制御部141は、ステップE1で腰角度θを微分した値を腰の角速度とする。ステップE3では、モータ制御部141は、歩行判断ポイントを左右の足について検出する。具体的には、モータ制御部141は、角速度が歩行状態になっているか否かを判断し、角速度が歩行状態になっているとき、その角速度の発生点を歩行判断ポイントとする。

【0116】
ステップE4では、モータ制御部141は、歩行判断ポイントで時間積算タイマをクリアする。時間積算タイマは、モータ制御部141に内蔵されるタイマであり、電源オンから、クリアされるまで積算を続けるタイマである。時間積算タイマは、歩行判断ポイントでクリアされるので、時間積算タイマの積算値は一定値以上に大きくならないことになる。したがって、モータ制御部141は、時間積算タイマの積算値に基づいて、歩行しているか否かの判断が可能となる。

【0117】
ステップE5では、モータ制御部141は、時間積算タイマ値、つまり時間積算タイマの積算値に基づいて歩行継続を判断する。すなわち、モータ制御部141は、歩行判断ポイントから再び歩行判断ポイントに戻るまでの時間積算タイマ値によって、歩行が継続しているか否かを判断する。ステップE6では、モータ制御部141は、歩行判断割合を計算して、歩行判断処理を終了する。

【0118】
歩行判断割合(%)は、計算式「歩行判断割合(%)=(時間積算タイマの積算値)÷(移行時間)×100」によって計算される。移行時間は、時間積算タイマの積算値の上限である。一定値はパラメータNo「13」の「判断時間」として、および、「移行時間」は、パラメータNo「14」として、パラメータ化されて設定されている。

【0119】
図11は、歩行制御処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD2が実行されると、ステップF1に移る。

【0120】
ステップF1では、モータ制御部141は、アシスト開始を検出する。具体的には、モータ制御部141は、遊脚側の脚が歩行判断ポイントに位置付いたことを検出する。ステップF2では、モータ制御部141は、遊脚側のアシストトルクを計算する。遊脚側の歩行動作は、「振上開始」、「振上中」、「振下開始」、「振下中」および「振下完了」の順序で順次実行され、「振下完了」で終了する。遊脚側の踵SWがオフで、腰角度が小さい場合は、足の振上開始と判断され、振上方向に短時間最大のアシストトルクが算出される。「振上開始」に続いて、「振上中」と判断された場合は、腰角度に比例した振上方向へのアシストトルクが算出される。腰角度が一定値以上に到達すると、「振下開始」と判断され、「振下中」も含めて、アシストトルクは0となる。

【0121】
ステップF3では、モータ制御部141は、保持脚側のアシストトルクを計算して、歩行制御処理を終了する。モータ制御部141は、保持脚によって直立姿勢を保持するために、大腿部角度に比例したアシストトルクを算出する。大腿部角度は、鉛直線に対する大腿部の角度であり、腰角度θと上体前傾角度αとを加算した角度である。

【0122】
図12は、上体判断処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD3が実行されると、ステップG1に移る。

【0123】
ステップG1では、モータ制御部141は、上体の角速度を読込む。具合的には、モータ制御部141は、モータ制御部141に含まれる2軸傾斜センサの検出値から上体の角速度を計算する。ステップG2では、モータ制御部141は、上体曲げ動作開始ポイントを検出する。具体的には、モータ制御部141は、ステップG1で計算した角速度がパラメータNo「26」の「曲角速度」を越えた位置を検出し、その位置を上体曲げ動作開始ポイントとする。

【0124】
ステップG3では、モータ制御部141は、上体起こし開始ポイントを検出する。具体的には、モータ制御部141は、上体の曲げ動作が停止した位置を検出し、その位置を上体起こし開始ポイントとする。

【0125】
ステップG4では、モータ制御部141は、タイムアップを検出したか否かを判定する。モータ制御部141は、ステップG3での上体起こしの動作が一定時間内に終了しなかったとき、タイムアップを検出したと判定し、ステップG5に進み、ステップG3での上体起こしの動作が一定時間内に終了したとき、タイムアップを検出なかったと判定し、ステップG6に進む。ステップG5では、モータ制御部141は、第1の上体制御割合であると判断し、上体判断処理を終了する。ステップG6では、モータ制御部141は、第2の上体制御割合であると判断し、上体判断処理を終了する。

【0126】
図13は、第1の上体制御処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD4が実行され、図12のステップG5で第1の上体制御割合であると判断されていると、ステップH1に移る。ステップH1では、モータ制御部141は、上体動作をアシストするアシストトルクを、最大の出力トルクとして、第1の上体制御処理を終了する。

【0127】
図14は、第2の上体制御処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD4が実行され、図12のステップG6で第2の上体制御割合であると判断されていると、ステップJ1に移る。ステップJ1では、モータ制御部141は、上体動作をアシストするアシストトルクを、上体傾斜角度αに応じた出力トルクとして、第2の上体制御処理を終了する。

【0128】
図15は、中腰判断処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD5が実行されると、ステップK1に移る。

【0129】
ステップK1では、モータ制御部141は、腰角度、つまり腰角度θを読込む。具体的には、モータ制御部141は、パワーアシスト用電動モータ1に含まれるエンコーダから、左右のパワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度を、モータドライバ133,142を介して読込む。ステップK2では、モータ制御部141は、ステップK1で読込んだ腰角度を微分する。ステップK3では、モータ制御部141は、ステップK2で微分した腰角度から両脚の曲げ角速度を計算する。

【0130】
ステップK4では、モータ制御部141は、ステップK3で計算した角速度がパラメータNo「36」の「曲角速度」を越えた位置を検出し、その位置を両脚曲げ開始ポイントとする。ステップK5では、モータ制御部141は、両脚の曲げ動作が停止した位置を検出し、その位置を両脚伸ばし開始ポイントとする。

【0131】
ステップK6では、モータ制御部141は、タイムアップを検出したか否かを判定する。モータ制御部141は、ステップK5での両脚伸ばしの動作が一定時間内に終了しなかったとき、タイムアップを検出したと判定し、ステップK7に進み、ステップK5での両脚伸ばしの動作が一定時間内に終了したとき、タイムアップを検出なかったと判定し、ステップK8に進む。ステップK7では、モータ制御部141は、第1の中腰制御割合であると判断し、中腰判断処理を終了する。ステップK8では、モータ制御部141は、第2の中腰制御割合であると判断し、中腰判断処理を終了する。

【0132】
図16は、第1の中腰制御処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD6が実行され、図15のステップK7で第1の中腰制御割合であると判断されていると、ステップL1に移る。ステップL1では、モータ制御部141は、中腰動作をアシストするアシストトルクを、最大の出力トルクとして、第1の中腰制御処理を終了する。

【0133】
図17は、第2の中腰制御処理の処理手順を示すフローチャートである。モータ制御部141は、図9に示したステップD6が実行され、図15のステップK8で第2の中腰制御割合であると判断されていると、ステップM1に移る。ステップM1では、モータ制御部141は、中腰動作をアシストするアシストトルクを、腰角度θに応じた出力トルクとして、第2の中腰制御処理を終了する。

【0134】
重作業用アシストスーツ100は、腰椎についてパワーアシストするために、パワーアシスト用電動モータ1を腰の左右両サイドに配置されている。パワーアシスト用電動モータ1は、バックドライアブルとするため、すなわち、装着者側から駆動機器を動かすことができるようにするため、パワーアシスト用電動モータ1に付加される減速機の減速比を1/100程度の減速比にして、装着者が出せる以上の力を出せないようにパワーアシスト用電動モータ1の出力を制限し、抗重力方向に十分なアシスト力を確保している。

【0135】
このように、重作業用アシストスーツ100は、使用しているパワーアシスト用電動モータ1をバックドライアブルとするため、パワーアシスト用電動モータ1に付加する減速機の減速比を1/100程度の低減速比にして、装着者が出せる以上の力を出せないようにパワーアシスト用電動モータ1の出力を制限しているので、装着者の安全を確保することができる。

【0136】
重作業用アシストスーツ100は、パワーアシスト用電動モータ1を取り付けているアシスト機構として、アシスト方向以外の装着者の動作を妨げないように受動回転軸7,10,12,13,19、すなわち駆動機器を取りつけていない回転軸を、対象とする装着者の関節の外側周囲に配置している。

【0137】
このように、重作業用アシストスーツ100は、アシスト方向以外の装着者の動作を妨げないように受動回転軸7,10,12,13,19を、対象とする装着者の関節の外側周囲に配置しているので、装着者の動作を拘束することがない。

【0138】
また、重作業用アシストスーツ100は、重量物を持ち上げて運搬する作業において、腰椎と股関節とを同時にパワーアシストすることができる機構および制御なっている。重作業用アシストスーツ100は、腰痛を防ぐために、腰椎をパワーアシストし、かつ歩行を補助するために、股関節をパワーアシストする。このように、重作業用アシストスーツ100は、腰痛を防ぎつつ歩行を補助するために、腰椎と股関節とを同時にパワーアシストすることができる。

【0139】
また、重作業用アシストスーツ100は、筋肉を動かそうとしたときに筋肉に流れる微弱な表面筋電位信号を用いずに、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要な回転トルクなどを力学的に算出することによって、アシストトルクを算出するので、表面筋電位センサを装着するという煩わしさがない。このように、重作業用アシストスーツ100は、表面筋電位センサを装着するという煩わしさがなく、実用的である。

【0140】
また、重作業用アシストスーツ100は、動作パターンの再生方式ではなく、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要なトルクなどを力学的に算出することによって、アシストトルクを算出するので、動作の切り換わり時に不連続になることがない。このように、重作業用アシストスーツ100は、数多くの動作パターンをデータベース化しておく必要がなく、動作の切り換わり時に不連続になることがない。

【0141】
また、バネ式やゴム式のパッシブ方式では、一方向にしかパワーアシストできないが、重作業用アシストスーツ100は、パワーアシスト用電動モータ1を用いたアクティブ方式であるで、双方向にアシストすることができる。

【0142】
このように、2つのパワーアシスト用電動モータ1は、装着者の腰部の左右方向両側近傍にそれぞれ配置され、装着者の上体および大腿部の動きに追従する方向に、上体および大腿部の動きを補助するための駆動トルクを発生する。上体フレームは、装着者の胸部および腰部に装着され、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1を保持する。そして、2つの下肢アシストアームは、一端部がパワーアシスト用電動モータ1の回転軸に固定され、他端部が大腿部の側部に装着される。したがって、重作業用アシストスーツ100は、少ない駆動源、すなわち腰部両側に設けられる2つのパワーアシスト用電動モータ1で重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0143】
さらに、前記上体フレームは、上体アシストアームと、メインフレームと、受動回転軸12および受動回転軸13とを含む。上体アシストアームは、装着者の胸部に装着される。メインフレームは、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1を両端部でそれぞれ保持し、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1間を装着者の腰部の背面に沿って延び、装着者の腰部に装着される。そして、受動回転軸12および受動回転軸13は、上体アシストアームとメインフレームとを前後軸線および上下軸線まわりに回転自在に連結する。したがって、重作業用アシストスーツ100は、上体アシストアームとメインフレームとをそれぞれの端部の2箇所で連結する場合よりも、上体の左右方向の動作および上体の回転動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0144】
さらに、パワーアシスト用電動モータ1は、該パワーアシスト用電動モータ1の回転軸に固定される内輪部と、内輪部に対して前記回転軸の軸線まわりに回転自在に設けられる外輪部とから構成される軸受部を含む。下肢アシストアームの一端部は、前記内輪部に固定される。そして、メインフレームは、装着者の腰部に密着して装着され、前記外輪部に固定されるサブフレームを含む。したがって、重作業用アシストスーツ100は、腰部の動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0145】
さらに、上体アシストアームは、フレーム18と、フレーム14およびフレーム15と、装着者の右側に配置されるフレーム16およびフレーム17と、装着者の左側に配置されるフレーム16およびフレーム17と、胸部クッション20とを含む。フレーム18は、装着者の胸部前面で左右軸線方向に延びる。フレーム14およびフレーム15は、装着者の腰部背面で左右軸線方向に延び、受動回転軸12および受動回転軸13によってメインフレームと連結される。装着者の右側に配置されるフレーム16およびフレーム17は、フレーム18の右端部とフレーム15の右端部とを変位自在に連結する。装着者の左側に配置されるフレーム16およびフレーム17は、フレーム18の左端部とフレーム15の左端部とを変位自在に連結する。そして、胸部クッション20は、フレーム18の左右軸線まわりに回転自在に連結する受動回転軸19によって該フレーム18に連結され、装着者の胸部に密着して装着される。したがって、重作業用アシストスーツ100は、上体の前後方向の動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0146】
さらに、下肢アシストアームは、該下肢アシストアームの他端部と大腿部とを左右軸線まわりに回転自在に連結する受動回転軸10を含む。したがって、重作業用アシストスーツ100は、大腿部の動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0147】
さらに、メインフレームは、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1間の距離を調整するフレーム2およびフレーム3に設けられた調整穴による調整機構を含む、そして、下肢アシストアームは、該下肢アシストアームの一端部と他端部との距離を調整するフレーム6がスライド穴8内をスライドする調整機構を含む。したがって、重作業用アシストスーツ100は、装着者の体型に応じた形態に変形させることができる。

【0148】
さらに、2軸傾斜センサは、装着者の上体の左右軸線まわりの回転角度を検出する。パワーアシスト用電動モータ1に含まれるエンコーダは、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1にそれぞれ設けられ、各パワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度を検出する。そして、爪先SW153、踵SW154、爪先SW163および踵SW164は、装着者が装着する靴の靴底部における爪先部分および踵部分にそれぞれ設けられ、予め定める値以上の荷重が爪先部および踵部に作用しているか否かを検出する。したがって、重作業用アシストスーツ100は、表面筋電位センサを装着する煩わしさがなく、実用的である。

【0149】
さらに、モータ制御部141は、2軸傾斜センサによって検出される上体の回転角度、パワーアシスト用電動モータ1に含まれるエンコーダによって検出されるパワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度、および爪先SW153、踵SW154、爪先SW163および踵SW164によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向および回転に要する回転トルクを算出する。さらに、モータ制御部141は、算出した静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1を駆動させる。したがって、重作業用アシストスーツ100は、数多くの動作パターンをデータベース化しておく必要がなく、動作の切り換わり時に不連続になることがない。

【0150】
さらに、モータ制御部141は、前記算出した駆動トルクを、装着者が前記2つのパワーアシスト用電動モータ1を逆方向に駆動することができる減速比以下の減速比に減少させて、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1に発生させる。したがって、重作業用アシストスーツ100は、装着者の安全を確保することができる。

【0151】
さらに、ハンディ端末50は、装着者の個体差を表すパラメータを入力する。そして、モータ制御部141は、ハンディ端末50によって入力されたパラメータに基づいて、前記駆動トルクを算出する。したがって、重作業用アシストスーツ100は、装着者の個人差に対応した補助を行うことができる。

【0152】
さらに、モータ制御部141は、2軸傾斜センサによって検出される上体の回転角度、パワーアシスト用電動モータ1に含まれるエンコーダによって検出されるパワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度、および爪先SW153、踵SW154、爪先SW163および踵SW164によって検出される検出結果に基づいて、装着者の個体差を表すパラメータを生成する。したがって、重作業用アシストスーツ100は、装着者に重作業用アシストスーツ100を装着させて実際に動作させることによって、装着者の個人差に依存するパラメータを生成することができる。

【0153】
さらに、重作業用アシストスーツ100の制御方法を実行するにあたって、ステップD1~D6では、2軸傾斜センサによって検出される上体の回転角度、パワーアシスト用電動モータ1に含まれるエンコーダによって検出されるパワーアシスト用電動モータ1の回転軸の回転角度、および爪先SW153、踵SW154、爪先SW163および踵SW164によって検出される検出結果に基づいて、上体および両大腿部に作用する静的トルク、回転方向およびに回転に要する回転トルクを算出する。そして、ステップD7では、ステップD1~D6で算出された静的トルク、回転方向および回転トルクに基づいて、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1が駆動する駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生するように、前記2つのパワーアシスト用電動モータ1を駆動させる。したがって、本発明に係る制御方法は、少ない駆動源、すなわち腰部両側に設けられる2つのパワーアシスト用電動モータ1で重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0154】
図18は、本発明の第2の実施形態である重作業用アシストスーツ300の外観を示す図である。図18(a)は、装着者によって装着された状態の重作業用アシストスーツ300の外観を示す正面図である。図18(b)は、装着者によって装着された状態の重作業用アシストスーツ300の外観を示す側面図である。図19は、パワーアシスト用電動モータ201が取り付けられたメインフレームの断面図である。図19は、図18(b)に示した切断面線B-Bでの断面図である。本発明の第2の実施形態に係る制御方法は、重作業用アシストスーツ300で実行される。

【0155】
パワーアシストロボット装置である重作業用アシストスーツ300は、重作業用のアシストスーツである。重作業用アシストスーツ300は、パワーアシスト用電動モータ201と、腰フレーム204と、背面フレーム205と、フレーム202,203,207~210,220~223,225,226,228と、受動回転軸206,211~213,224,235と、受け部214と、ベルト215,218,230,231と、ベルトホルダ216,217と、コネクタ227と、胸部ガイド229と、胸部クッション232と、クッション219と、コントロールボックス233と、ドライバ収容ボックス234と、横倒れ防止スプリング236と、角度調整機構237とを含んで構成される。

【0156】
なお、図18に示すように、パワーアシスト用電動モータ201、腰フレーム204、フレーム202,203,207~210,223,226,228、受動回転軸206,211~213,224、受け部214、ベルト215,218,230,231、ベルトホルダ216,217、コネクタ227、横倒れ防止スプリング236、および、ドライバ収容ボックス234は、装着者の左右両側にそれぞれ1つずつ設けられている。

【0157】
回転駆動部であるパワーアシスト用電動モータ201は、たとえば電動サーボモータによって構成される。パワーアシスト用電動モータ201は、上体および大腿部のパワーアシスト用、つまり上体および大腿部の動きを補助するための動力源として用いられる電動モータである。換言すると、パワーアシスト用電動モータ201は、股関節付近を支点とする上体および大腿部の回転をアシストするための動力を発生する。

【0158】
2つのパワーアシスト用電動モータ201は、装着者の左右両側であって、装着者の股関節と同程度の高さ位置に、その回転軸が左右軸線まわりに回転するように、次のようにしてそれぞれ取り付けられている。なお、重作業用アシストスーツ300の各部位と装着者との位置関係は、装着者が重作業用アシストスーツ300を装着したときの装着者に対する位置である。

【0159】
パワーアシスト用電動モータ201の回転軸は、腰部フレームであるメインフレームに対して連結されている。ここで、メインフレームとは、腰椎周囲の背部である腰部における左右方向の中央部分を覆うように設けられる1つの背面フレーム205と、装着者における左右の両側部にそれぞれ設けられるフレーム202、フレーム203、および腰フレーム204とを含んで構成される部分であり、各パワーアシスト用電動モータ201の回転軸は、このメインフレームにおける各フレーム202の下端部に対してそれぞれ固定されている。

【0160】
メインフレームは左右対称に構成されるため、以下では、一方側についてのみ説明することとする。フレーム202は、装着者の側部に沿って上下方向に延びるように設けられ、その下端部には、前記のようにパワーアシスト用電動モータ201の回転軸が固定され、その上端部には、股関節における下肢の前後軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸206を介して、フレーム203の下端部が連結されている。すなわち、フレーム202の上端部とフレーム203の下端部とは、前後軸線まわりに回転自在に連結されている。

【0161】
フレーム203は、装着者の側部に沿って上下方向に延びるように設けられ、その下端部には、前記のようにフレーム202が連結され、その上端部には、腰フレーム204の一端部が締結固定されている。

【0162】
腰フレーム204は、フレーム203が固定される前記一端部から該一端部とは反対側の他端部にわたって湾曲しながら延び、大略的にL字状に形成されている。腰フレーム204は、フレーム203の延在方向に対して直角に延びるように、その一端部が、装着者の第3~第5腰椎付近の高さ位置でフレーム203に連結され、腰フレーム204の他端部は、背面フレーム205の下端部に対して固定されている。

【0163】
腰フレーム204の他端部には、その長手方向に沿って複数の調整穴が設けられ、同様に、背面フレーム205の下端部にも、左右方向に沿って複数の調整穴が設けられており、これらの調整穴を介して、腰フレーム204の他端部と背面フレーム205の下端部とが連結されるように構成されている。すなわち、メインフレームは、腰フレーム204および背面フレーム205それぞれに設けられた複数の調整穴による調整機構によって、左右方向の幅が調整可能であり、これにより、メインフレームの左右方向の幅を装着者の体型に合わせることができるようになっている。腰フレーム204および背面フレーム205に設けられた調整穴による調整機構は、腰部調整機構である。

【0164】
また、背面フレーム205の上端部には、その左右の両側に、ベルトホルダ216がそれぞれ取付けられており、また、各腰フレーム204の前記一端部にも、ベルトホルダ217がそれぞれ取付けられている。すなわち、図18に示すように、ベルトホルダ216は、ベルトホルダ217よりも上方の位置に設けられている。

【0165】
そして、左側のベルトホルダ216と右側のベルトホルダ217とにわたって一方のベルト218が取付けられ、右側のベルトホルダ216と左側のベルトホルダ217とにわたって他方のベルト218が取付けられている。すなわち、2本のベルト218は、装着者の腹部でクロスするように、襷掛け状に設けられている。このように、2本のベルト218を、装着者の腹部に巻き付けて締め付けることによって、メインフレームが、装着者の腰部に装着される。

【0166】
なお、図18(b)に示すように、背面フレーム205における装着者に臨む側の面には、クッション219が取付けられており、装着状態において、背面フレーム205が装着者の腰部に直接接触しないようになっている。メインフレームは、このクッション219を介して、装着者の腰部に密着して取り付けることができるようになっている。また、背面フレーム205において、クッション219が取付けられる側とは反対側の面には、後述する制御ユニット310と電池ユニット360とが収容されるコントロールボックス233が取り付けられている。

【0167】
第1の実施形態では、図2に示すように、メインフレームの構造が二重構造、すなわちダブルフレーム構造であったが、本実施形態では、図19に示すように、メインフレームの構造が一重構造、すなわちシングルフレーム構造によって構成されている。これにより、本実施形態では、装置全体の重量を、第1の実施形態に係る重作業用アシストスーツ100に比べて軽量化している。このように、装置全体の重量を軽量化することで、装着時の身体への負担を軽減することができる。

【0168】
各パワーアシスト用電動モータ201は、上記のように、その回転軸がメインフレームにおける各フレーム202に固定されているのに対し、その回転軸を軸線まわりに回転させるモータ本体が設けられる固定端側には、大腿部フレームである下肢アシストアームがそれぞれ連結されている。ここで、下肢アシストアームは、フレーム207~210を含んで構成される部分であり、各パワーアシスト用電動モータ201の固定端側は、この下肢アシストアームにおける各フレーム207の上端部に対してそれぞれ固定されている。

【0169】
フレーム207は、装着者の側部に沿って上下方向に延びるように設けられ、その上端部には、前記のようにパワーアシスト用電動モータ201の固定端側が締結固定され、その下端部には、股関節における下肢の前後軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸211を介して、フレーム208の上端部が連結されている。すなわち、フレーム207の下端部とフレーム208の上端部とは、前後軸線まわりに回転自在に連結されている。

【0170】
フレーム208は、装着者の側部に沿って上下方向に延びるように設けられ、その上端部には、前記のようにフレーム207が連結され、その下端部には、後述するモータドライバユニット320が収容されたドライバ収容ボックス234が外方に突出するように取り付けられるとともに、フレーム209の上端部が固定される。

【0171】
フレーム209は、装着者の側部に沿って上下方向に延びるように設けられ、その上端部には、前記のようにフレーム208が固定され、その下端部には、股関節における下肢の前後軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸212を介して、フレーム210が固定されている。すなわち、フレーム209の下端部とフレーム210とは、前後軸線まわりに回転自在に連結されている。

【0172】
このフレーム210には、装着者の大腿部を前方から部分的に覆う半円筒状の受け面を有する受け部214が、左右軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸213を介して取り付けられている。大腿部連結部である受動回転軸213によって、受け部214が左右軸線まわりに回転動作することによって、装着者の大腿部の動作に対応して、適切な受け部214の角度を与えることができる。また、受け部214には、その両端部間にわたって、ベルト215が取り付けられており、このベルト215を大腿部の背部に巻き付けて締め付けることによって、受け部214を装着者の大腿部に固定するようになっている。

【0173】
ここで、フレーム208の下端部には、その長手方向に沿って複数の調整穴が設けられ、同様に、フレーム209の上端部にも、その長手方向に沿って複数の調整穴が設けられており、これらの調整穴を介して、フレーム208とフレーム209とが連結されるように構成されている。すなわち、下肢アシストアームは、フレーム208およびフレーム209それぞれに設けられた複数の調整穴による調整機構によって、上下方向の寸法が調整可能であり、これにより、受け部214が大腿部の適当な位置に配置されるように、下肢アシストアームの全長を装着者の体型に合わせることができるようになっている。フレーム208およびフレーム209に設けられた調整穴による調整機構は、大腿部調整機構である。

【0174】
上記のように、本実施形態では、パワーアシスト用電動モータ201の上下の位置に、股関節における下肢の前後軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸206,211を設けているので、下肢アシストアームを装着者の体型に確実に沿わせることができ、また、装着者が開脚したときやしゃがみ込んだときにも、下肢アシストアームを装着者の体型に沿わせることができる。
また、第1の実施形態では、下肢アシストアームにばねによるスライド機構を設けていたが、本実施形態では、複数の調整穴による調整機構によって、下肢アシストアームの全長を装着者の体型に合わせるような構造を採用しており、これによって、第1の実施形態と比較して、装置全体の重量を軽量化している。これにより、装着時の身体への負担を軽減することができる。

【0175】
また、本実施形態では、モータドライバユニット320を、コントロールボックス233ではなく、ドライバ収容ボックス234に収容して下肢アシストアームに設けるように構成しているので、第1の実施形態と比較して、メインフレームに取り付けられるコントロールボックス233のサイズを小さくすることができ、コントロールボックス233のメインフレームから背面側への突出量を低減することができる。これにより、重作業用アシストスーツ300を装着したまま椅子などに腰をかける場合に、コントロールボックス233が外部の物体と接触しにくくすることができ、装着者は、コントロールボックス233の存在を気にすることなく腰をかけることができる。また、外部の物体との接触によるコントロールボックス233の損傷を防止することができる。

【0176】
メインフレームにおける背面フレーム205の上端部には、上体の上下軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸235を介して、胸部フレームを構成する第1の上体アシストアームが連結されている。ここで、第1の上体アシストアームは、フレーム220~222と、装着者における左右の両側にそれぞれ設けられるフレーム223とを含んで構成される部分であり、背面フレーム205の上端部は、受動回転軸235を介して、この第1の上体アシストアームにおけるフレーム220に連結されている。

【0177】
フレーム221は、上体の前後軸線まわりの回転の自由度に対応するための受動回転軸224を介して、フレーム220に連結されている。受動回転軸224および受動回転軸235は、上体連結部である。このような受動回転軸224,235を設けることによって、重作業用アシストスーツ300の装着者の上体の旋回運動と上体を左右方向に傾ける回転運動とが妨げられることを防止することができる。

【0178】
また、フレーム220とフレーム221とは、一対の横倒れ防止スプリング236によって連結されている。この一対の横倒れ防止スプリング236は、受動回転軸224を介してフレーム220に連結されている部分、具体的には、胸部フレームのうちのフレーム220を除く部分(以下、「可動部分」と称する)が、受動回転軸224の軸線まわりに容易に回転してしまうことを防止する機能を有している。詳細には、この一対の横倒れ防止スプリング236は、図18に示す直立状態(フレーム222における第1の延設部が左右方向に平行な状態)の可動部分が受動回転軸224の軸線まわりに回動したときに、その弾性回復力によって該可動部分に対して直立状態に復帰させるように作用することによって、該可動部分が受動回転軸224の軸線を支点として、該軸線まわりに左右に容易に倒れてしまわないように支持する機能を有している。本実施形態では、このような一対の横倒れ防止スプリング236を設けることによって、装着者が単独で重作業用アシストスーツ300を装着する場合であっても、容易に装着できるようにしている。なお、この一対の横倒れ防止スプリング236は、重作業用アシストスーツ300の装着者によって行われる上体を左右方向に傾ける回転運動を妨げることがないように設計されている。

【0179】
フレーム222は、装着者の背部において左右方向に延びるように設けられる第1の延設部(胸部後フレーム)と、該第1の延設部の両端部にそれぞれ連なり、該第1の延設部に対して直角に屈曲して互いに同方向に延びる一対の第1の屈曲部とを有し、大略的にコ字状に形成されている。

【0180】
フレーム221には、この第1の延設部における長手方向の中央部を挿通可能な挿通孔が左右方向に延びるように形成されており、フレーム222は、該挿通孔を介して、左右軸線まわりに回転可能にフレーム221に連結されている。

【0181】
フレーム222の各第1の屈曲部は、後述するフレーム226を遊嵌可能な挿入孔が形成されることによって、それぞれ筒状を成している。そして、この挿入孔の開口が形成される各第1の屈曲部の遊端部には、該挿入孔に遊嵌されたフレーム226を、該第1の屈曲部に対して締結固定するためのクランプ機構を有するフレーム223がそれぞれ連結されている。なお、このクランプ機構は、手動操作可能に構成されている。

【0182】
この一対の第1の屈曲部およびフレーム223を介して、胸部フレームを構成する第2の上体アシストアームが、第1の上体アシストアームに連結されている。ここで、第2の上体アシストアームは、装着者の胸部を覆うように設けられる板状の胸部ガイド229と、フレーム225と、装着者における左右の両側にそれぞれ設けられるフレーム226,228およびコネクタ227とを含んで構成される部分である。なお、胸部フレームは、第1の上体アシストアームと第2の上体アシストアームとによって構成され、この胸部フレームと前記腰部フレームとによって、上体フレームが構成される。

【0183】
フレーム225は、装着者の胸部前方において左右方向に延びるように設けられる第2の延設部(胸部前フレーム)と、該第2の延設部の両端部にそれぞれ連なり、該第2の延設部に対して直角に屈曲して互いに同方向に延びる一対の第2の屈曲部とを有し、大略的にコ字状に形成されている。

【0184】
胸部ガイド229には、該胸部ガイド229と協働してフレーム225における第2の延設部を挿通可能な挿通孔を左右方向に沿って延びるように形成する一対のフレーム228が締結固定され、フレーム225は、各挿通孔を介して、左右軸線まわりに回転自在に胸部ガイド229に連結されている。

【0185】
フレーム225の各第2の屈曲部における遊端部には、コネクタ227を介して、棒状のフレーム226の一端部がそれぞれ連結されている。詳細には、フレーム226の軸線と第2の屈曲部の軸線とが一致するように連結されている。コネクタ227は、装着者が操作することによって、フレーム225とフレーム226とを容易に連結/分離できるように構成されている。このように、装着者は、コネクタ227を操作することによって、重作業用アシストスーツ300を、容易に着脱することができる。

【0186】
上記のように構成される第2の上体アシストアームは、左右両側に設けられる第2の屈曲部およびコネクタ227を介して連結されたフレーム226を、装着者の脇を通して装着者の背部に至らしめ、各フレーム226における他端部を、第1の上体アシストアームにおけるフレーム222の各第1の屈曲部の挿入孔にそれぞれ挿し込み、挿入方向にスライドさせて位置決めし、フレーム223におけるクランプ機構を操作して、第1の屈曲部に対して締結固定することによって、第1の上体アシストアームに連結される。すなわち、第1の上体アシストアームと第2の上体アシストアームとは、フレーム222,223,226によって構成される調整機構によって、フレーム222における第1の延設部とフレーム225における第2の延設部との距離を、装着者の体型に合わせて調整できるようになっている。

【0187】
胸部ガイド229には、装着者の胸部に臨む側の面に胸部クッション232が取付けられるとともに、ベルト230,231が取付けられており、このベルト230,231を締め付けることによって、第2の上体アシストアームが装着者の胸部に密着して装着される。

【0188】
また、第1の上体アシストアームにおいて、フレーム221とフレーム222との連結部には、フレーム221の挿入孔に挿通されたフレーム222の第1の延設部を、フレーム221に対して締結固定するためのクランプ機構を有する角度調整機構237が設けられている。なお、このクランプ機構は、手動操作可能に構成されている。装着者は、この角度調整機構237を操作することによって、上下方向に対する胸部フレームの傾斜角度γ(図18(b)参照)を装着者の体型に合わせて調整して固定できるようになっている。

【0189】
図20は、重作業用アシストスーツ300に含まれる制御機器の構成を示す図である。重作業用アシストスーツ300に含まれる制御機器は、制御ユニット310と、2つのモータドライバユニット320と、右足底ユニット330と、左足底ユニット340と、ハンディ端末装置(以下「ハンディ端末」という)350と、電池ユニット360と、右手スイッチユニット370と、左手スイッチユニット380とを含んで構成される。

【0190】
右足底ユニット330は、装着者の右側の靴底に装着され、左足底ユニット340は、装着者の左側の靴底に装着される。パラメータ入力部であるハンディ端末350は、携帯型の端末装置であり、装着者の右手あるいは左手によって保持されて操作される。ハンディ端末350は、たとえばスマートフォンによって実現される。右手スイッチユニット370は、手袋型に構成され、装着者の右手に装着される。また、左手スイッチユニット380は、手袋型に構成され、装着者の左手に装着される。

【0191】
制御ユニット310は、第1無線通信部311と、第2無線通信部312と、中央制御部313と、電源制御部314とを含んで構成される。第1無線通信部311は、無線による通信によって、右足底ユニット330、左足底ユニット340、右手スイッチユニット370、および左手スイッチユニット380と通信可能に構成され、これらのユニットと中央制御部313との情報の中継を行っている。第2無線通信部312は、無線による通信によって、ハンディ端末350と通信可能に構成され、ハンディ端末350と中央制御部313との情報の中継を行っている。中央制御部313は、有線による通信によって、各モータドライバユニット320と通信するように構成されている。電源制御部314は、電池ユニット360を制御する。なお、中央制御部313および電源制御部314は、CPUを含むコンピュータによって実現される。

【0192】
一方のモータドライバユニット320は、装着者の右側に装着されるパワーアシスト用電動モータ201を制御する右モータドライバ321を含んで構成され、他方のモータドライバユニット320は、装着者の左側に装着されるパワーアシスト用電動モータ201を制御する右モータドライバ322を含んで構成される。各モータドライバ321,322は、有線による通信によって、中央制御部313と通信し、中央制御部313からアシストに必要な出力トルク指令などの指令を受けるとともに、モータの位置情報などの情報を中央制御部313へ送っている。モータの位置情報は、パワーアシスト用電動モータ201の回転軸の回転角度を表す情報である。

【0193】
右足底ユニット330は、無線通信部331、電池332、爪先スイッチ(以下「SW」ともいう)333および踵SW334を含んで構成される。電池332は、充電可能な蓄電池であり、無線通信部331、爪先SW333および踵SW334に電力を供給する。無線通信部331は、爪先SW333および踵SW334の状態、すなわち、爪先SW333および踵SW334によって検出された検出結果を、第1無線通信部311を介して中央制御部313に送っている。

【0194】
爪先SW333は、装着者が装着する右側の靴の靴底部における爪先部分に配置され、予め定める値以上の荷重が爪先部に作用しているか否かを検出する。踵SW334は、装着者が装着する右側の靴の靴底部における踵部分に配置され、予め定める値以上の荷重が踵部に作用しているか否かを検出する。

【0195】
左足底ユニット340は、無線通信部341、電池342、爪先SW343および踵SW344を含んで構成される。無線通信部341、電池342、爪先SW343および踵SW344は、それぞれ無線通信部331、電池332、爪先SW333および踵SW334と同じ構成であり、重複を避けるために説明は省略する。爪先SW333、踵SW334、爪先SW343および踵SW344は、床反力検出部である。

【0196】
右手スイッチユニット370は、無線通信部371、電池372および手袋SW373を含んで構成される。電池372は、充電可能な蓄電池であり、無線通信部371および手袋SW373に電力を供給する。無線通信部371は、手袋SW373の状態、すなわち、手袋SW373によって検出された検出結果を、第1無線通信部311を介して中央制御部313に送っている。手袋SW373は、装着者が装着する右側の手袋の指の掌側の部分に配置され、予め定める値以上の荷重がその部分に作用しているか否かを検出する。

【0197】
左手スイッチユニット380は、無線通信部381、電池382および手袋SW383を含んで構成される。無線通信部381、電池382および手袋SW383は、それぞれ無線通信部371、電池372および手袋SW373と同じ構成であり、重複を避けるために説明は省略する。手袋SW373および手袋SW383は、手指反力検出部である。

【0198】
ハンディ端末350は、重作業用アシストスーツ300の動作に必要な後述するパラメータを設定するために使用される。電池ユニット360は、電池361を含んで構成される。電池361は、充電可能な蓄電池である。電池ユニット360は、電池361からの電力を制御ユニット310および各モータドライバユニット320に供給している。

【0199】
駆動制御部である中央制御部313は、第1無線通信部311から与えられる各スイッチの情報と、各モータドライバ321,322から与えられるモータの位置情報とに基づいて、アシストに必要な駆動トルクを計算し、各モータドライバ321,322へ出力トルク指令を送る。

【0200】
本実施形態では、図20に示すように、制御ユニット310に、2つの無線通信部、すなわち、右足底ユニット330、左足底ユニット340、右手スイッチユニット370、および左手スイッチユニット380と通信を行う第1無線通信部311と、ハンディ端末350と通信を行う第2無線通信部312とを備えることにより、通信速度が向上され、並列処理を行うことができる。

【0201】
図21は、回転トルクTの算出を説明するための図である。中央制御部313は、装着者の様々な作業姿勢にて体を動かすのに必要な回転トルクTを、パワーアシスト用電動モータ201の回転軸の回転角度を用いて力学的に算出することによって、アシストトルクを算出する。アシストトルクは、パワーアシスト用電動モータ201によって生成される駆動トルクである。

【0202】
中央制御部313は、まず股関節角度βを取得する。股関節角度βは、大腿部の回転角度、すなわち、鉛直線を基準とする角度である。中央制御部313は、各モータドライバ321,322から、左右の股関節角度βを取得する。

【0203】
脚部の質量をm[kg]、パワーアシスト用電動モータ201の回転軸から受動回転軸213までの距離をL[m]とすると、質量mの脚部を動作させるのに必要な回転トルクT[N・m]は、計算式「T=Lgsin(β)」によって計算することができる。

【0204】
ただし、gは、重力加速度である。Lおよびmは、比例定数であり、装着者によって決まる固定値である。中央制御部313は、これらの値をパラメータとして予め設定しておくことによって、アシストトルクを算出している。パラメータは、ハンディ端末350を使用して設定することができる。

【0205】
このように、本実施形態に係る重作業用アシストスーツ300は、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要な回転トルクTを、筋肉を動かそうとした時に筋肉に流れる微弱な表面筋電位信号を用いることなく、股関節角度βから力学的に算出することによってアシストトルクを算出するので、表面筋電位センサを装着する煩わしさをなくすことができる。

【0206】
また、重作業用アシストスーツ300は、予め設定された動作パターンの再生方式ではなく、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要な回転トルクTを力学的に算出し、アシストする比率を乗じてアシストトルクを算出するので、動作の切り替わり時に不連続になることがない。

【0207】
ここで、ハンディ端末350を使用して設定されるパラメータを下記の表5に示す。パラメータNo「01」~「07」は、遊脚側の歩行制御パラメータであり、パラメータNo「11」~「13」は、保持脚側の歩行制御パラメータである。遊脚は、地に着いていない方の脚であり、保持脚は、地に着いている方の脚である。歩行制御パラメータは、歩行動作をアシストするためのパラメータである。

【0208】
パラメータNo「21」~「25」は、上体制御パラメータである。上体制御パラメータは、上体の動作をアシストするためのパラメータである。パラメータNo「31」~「35」は、中腰制御パラメータである。中腰制御パラメータは、中腰の動作をアシストするためのパラメータである。パラメータNo「41」~「45」は、ティーチングパラメータである。ハンディ端末350は、これらのパラメータを記憶する記憶領域を有している。

【0209】
【表5】
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【0210】
図22は、重作業用アシストスーツ300で実行されるアシストスーツ制御処理の処理手順を示すフローチャートである。アシストスーツ制御処理は、電源起動シーケンス処理、パラメータ書換えシーケンス処理、姿勢情報入力シーケンス処理および股関節制御シーケンス処理の4つの処理で構成されている。中央制御部313は、重作業用アシストスーツ300の電源が投入されてパワーアシスト用電動モータ201を除く部位への電力の供給が開始され、動作可能状態になると、ステップA11に移る。

【0211】
ステップA11では、中央制御部313は、電源起動シーケンス処理を実行する。具体的には、中央制御部313は、ハンディ端末350から送信されるアシストに必要なパラメータの受信完了を待っている。中央制御部313は、アシストに必要なパラメータの受信完了後、装着者が直立している直立状態での各大腿部の回転角度の初期化を行い、パワーアシスト用電動モータ201用の電源をオンする。

【0212】
ステップA12では、中央制御部313は、パラメータ書換えシーケンス処理を実行する。アシストに必要なパラメータは、装着者の持っているハンディ端末350から適宜送られてくる。アシストスーツ制御処理は、このパラメータの更新を常時実行できるようにするために、パラメータ書換えシーケンス処理をメインループ内で行っている。メインループは、ステップA12~A14によって形成される処理手順のループである。

【0213】
ステップA13では、中央制御部313は、姿勢情報入力シーケンス処理を実行する。姿勢情報入力シーケンス処理は、装着者の姿勢に関するデータを取得する処理である。

【0214】
ステップA14では、中央制御部313は、股関節制御シーケンス処理を実行して、ステップA12に戻る。股関節制御シーケンス処理は、ステップA13で取得されたデータに基づいて、歩行動作、上体動作および中腰動作の各動作に対するパワーアシスト用電動モータ201による駆動に必要なアシストトルクを計算して出力する処理である。

【0215】
中央制御部313は、メインループを20mS間隔で実行しており、重作業用アシストスーツ300は、装着者へのスムーズなアシストを実現している。中央制御部313は、アシストを開始する前、数秒間で装着者の動作を判断し、判断後アシストトルクを出力する。重作業用アシストスーツ300は、健常者のアシストを目的としており、動作の開始時に数秒間アシストがなくても、実用上支障はない。

【0216】
図23は、パラメータ書換えシーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。パラメータの更新には、手動での入力による更新と、ティーチングモードでの入力による更新とがある。中央制御部313は、図22に示したステップA12が実行されると、ステップB11に移る。

【0217】
ステップB11では、中央制御部313は、ハンディ端末350から受信した情報に基づいてティーチングモードであるか否かを判定している。中央制御部313は、ティーチングモードであるとき、ステップB12に進み、ティーチングモードでないとき、ステップB15に進む。

【0218】
ステップB12では、中央制御部313は、アシストをオフする。中央制御部313は、アシストがオフの間、パワーアシスト用電動モータ201によるアシストを停止し、図22に示したステップA13の姿勢情報入力シーケンス処理およびステップA14の股関節制御シーケンス処理を実行することなく、ステップA12に戻る。

【0219】
ステップB13では、中央制御部313は、各モータドライバ321,322から送られてくる左右の股関節角度β、右足底ユニット330から送られてくる爪先SW333および踵SW334による検出結果、および左足底ユニット340から送られてくる爪先SW343および踵SW344による検出結果に基づいて、装着者による歩行動作、上体動作および中腰動作の各動作を解析することによって、装着者が意図する動作を判断するために必要なパラメータを生成する。生成されたパラメータのうち、ティーチングパラメータのパラメータNo「41」~「45」は、この動作解析によって得られる。

【0220】
ステップB14では、中央制御部313は、生成したパラメータをハンディ端末350に送信して、パラメータ書換えシーケンス処理を終了する。ハンディ端末350に送信されたパラメータは、ハンディ端末350で装着者によって確認される。確認されたパラメータは、ハンディ端末350に再送信することによって有効になる。

【0221】
ステップB15では、中央制御部313は、ハンディ端末350からパラメータを受信し、受信したパラメータを設定する。ステップB16では、中央制御部313は、アシストをオンして、パラメータ書換えシーケンス処理を終了する。パラメータを更新した後にアシストをオンしているのは、装着者の安全を確保するためである。

【0222】
図24は、姿勢情報入力シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。中央制御部313は、図22に示したステップA13が実行されると、ステップC11に移る。

【0223】
ステップC11では、中央制御部313は、床反力スイッチを読込み、床反力の有無を検出する。床反力スイッチは、右足底ユニット330の爪先SW333および踵SW334、ならびに、左足底ユニット340の爪先SW343および踵SW344である。具体的には、中央制御部313は、爪先SW333および踵SW334の検出結果を右足底ユニット330から受信し、爪先SW343および踵SW344の検出結果を左足底ユニット340から受信する。

【0224】
ステップC12では、中央制御部313は、モータエンコーダの角度を読込む。具体的には、中央制御部313は、パワーアシスト用電動モータ201に含まれるエンコーダから、パワーアシスト用電動モータ201の回転軸の回転角度、つまり股関節角度βを、各モータドライバ321,322を介して読込む。ステップC13では、中央制御部313は、股関節角速度、つまりパワーアシスト用電動モータ201の回転軸の回転角度の角速度を計算して、姿勢情報入力シーケンス処理を終了する。パワーアシスト用電動モータ201に含まれるエンコーダは、角度検出部である。

【0225】
図25は、股関節制御シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップD11,D12は、歩行動作に対する処理である。ステップD13,D14は、上体動作に対する処理である。ステップD15,D16は、中腰動作に対する処理である。歩行動作に対する処理、上体動作に対する処理および中腰動作に対する処理は、並列に処理される。中央制御部313は、図22に示したステップA14が実行されると、ステップD11,D13,D15に移る。

【0226】
ステップD11では、中央制御部313は、歩行判断を行う。具体的には、中央制御部313は、股関節角度βおよび床反力に基づいて、歩行動作を行っているか否かを判断する。ステップD12では、中央制御部313は、歩行制御を行う。具体的には、中央制御部313は、歩行動作を行っているとき、時々刻々変化する股関節角度βおよび床反力に基づいて、歩行動作をアシストするための遊脚側のアシストトルクおよび保持脚側のアシストトルクを計算する。

【0227】
ステップD13では、中央制御部313は、上体判断を行う。具体的には、中央制御部313は、股関節角度βおよび床反力に基づいて、上体動作を行っているか否かを判断する。上体動作は、上体を曲げ、次に上体を起こす動作である。ステップD14では、中央制御部313は、上体制御を行う。具体的には、中央制御部313は、上体動作を行っているとき、上体動作をアシストするためのアシストトルクを計算する。中央制御部313は、両脚に必要な、股関節角度βに比例したアシストトルクを算出する。

【0228】
ステップD15では、中央制御部313は、中腰判断を行う。具体的には、中央制御部313は、股関節角度βおよび床反力に基づいて、中腰動作を行っているか否かを判断する。中腰動作は、中腰姿勢での動作である。ステップD16では、中央制御部313は、中腰制御を行う。具体的には、中央制御部313は、中腰動作を行っているとき、中腰動作をアシストするためのアシストトルクを計算する。中央制御部313は、両脚に必要な、股関節角度βに比例したアシストトルクを算出する。ステップD11~D16は、算出ステップである。

【0229】
ステップD17では、中央制御部313は、歩行制御、上体制御および中腰制御に関して予め設定された優先順位に従って判定を行い、駆動ステップであるステップD18で、中央制御部313は、前記優先順位に従って、算出したアシストトルクを出力するように、各モータドライバ321,322を制御して、パワーアシスト用電動モータ201を駆動させて、股関節制御シーケンス処理を終了する。

【0230】
なお、本実施形態では、上体制御の優先度が最も高く、中腰制御の優先度がそれに続き、歩行制御の優先度が最も低くなるように予め設定されている。この優先順位は、特に農作業をアシストするために定められたものであるが、歩行制御、上体制御および中腰制御の優先順位は、必要に応じて、適宜設定変更することができる。

【0231】
このように、本実施形態では、歩行制御、上体制御および中腰制御に関して優先順位を予め設定しておくことにより、装着者側ではなく、中央制御部313において動作を推定して、歩行制御、上体制御および中腰制御が混ざらないように明確に切り分けられている。

【0232】
図26は、歩行判断処理の処理手順を示すフローチャートである。歩行判断処理では、ステップE11~E20の手順によって、装着者の姿勢情報のうち、股関節角度βと床反力スイッチの変化に基づいて、停止状態から歩行への移行割合を算出している。中央制御部313は、図25に示したステップD11が実行されると、ステップE11,E15に移る。

【0233】
ステップE11では、中央制御部313は、股関節角度βを微分する。ステップE12では、中央制御部313は、その角速度を計算する。つまり、中央制御部313は、ステップE11で股関節角度βを微分した値を股関節角速度とする。ステップE13では、中央制御部313は、歩行判断ポイントを左右の足について検出し、ステップE14では、中央制御部313は、股関節角速度が歩行状態になっているか否かを判断し、股関節角速度が歩行状態になっているとき、その股関節角速度の発生点を歩行判断ポイントとする。具体的には、股関節角速度が、「屈曲側」のパラメータ41を越えた点を「屈曲開始点」、「伸展側」のパラメータ42を越えた点を「伸展開始点」とし、越えた時点で歩行状態になったと判断している。

【0234】
また、ステップE15では、中央制御部313は、装着者の床反力データに基づいて足の接地状態を計算し、ステップE16では、中央制御部313は、接地状態の変化点を求め、ステップE17では、中央制御部313は、接地状態が歩行状態になっているかを判断し、接地判断ポイントとしている。屈曲判断ポイントと接地判断ポイントを合わせて歩行判断ポイントとする。

【0235】
ステップE18では、中央制御部313は、歩行判断ポイントで時間積算タイマをクリアする。時間積算タイマは、中央制御部313に内蔵されるタイマであり、電源オンから、クリアされるまで積算を続けるタイマである。時間積算タイマは、歩行判断ポイントでクリアされるので、時間積算タイマの積算値は一定値以上に大きくならないことになる。したがって、中央制御部313は、時間積算タイマの積算値に基づいて、歩行しているか否かの判断が可能となる。

【0236】
ステップE19では、中央制御部313は、時間積算タイマ値、つまり時間積算タイマの積算値に基づいて歩行継続を判断する。すなわち、中央制御部313は、歩行判断ポイントから再び歩行判断ポイントに戻るまでの時間積算タイマ値によって、歩行が継続しているか否かを判断する。ステップE20では、中央制御部313は、歩行判断割合を計算して、歩行判断処理を終了する。

【0237】
歩行割合(%)は、前記一定値をパラメータNo「43」の「一定時間」とし、積算値の上限をパラメータNo「44」の「増加」とすると、式(1)によって、歩行判断の度合いを「歩行割合」として求めることができる。

【0238】
【数1】
JP0006032644B2_000007t.gif
歩行割合(%)は、パラメータNo「44」の「増加」の時間で0%から100%へ変化することになる。

【0239】
歩行ポイントの無い状態が続くと、積算値がパラメータNo「43」の「一定時間」以上になる。このときは、歩行していないと判断することができる。このときは「歩行割合」を減少させて、歩行の判断度合いを0%に移行させる。パラメータNo「45」の「減少」の時間で100%から0%へ変化することになる。

【0240】
図27は、歩行制御処理の処理手順を示すフローチャートである。歩行制御処理では、装着者の姿勢情報の内、時々刻々変化する股関節角度βと床反力の有無を基に、歩行時に必要とされる遊脚側トルクと保持脚側トルクを計算している。中央制御部313は、図25に示したステップD12が実行されると、ステップF11に移る。

【0241】
ステップF11では、中央制御部313は、アシスト開始を検出する。具体的には、中央制御部313は、遊脚側の脚が歩行判断ポイントに位置付いたことを検出する。ステップF12では、中央制御部313は、遊脚側のアシストトルクを計算する。ステップF13では、中央制御部313は、保持脚側のアシストトルクを計算する。ステップF14では、中央制御部313は、歩行割合による補正を行うことで、歩行アシストトルクを算出する。

【0242】
図28は、遊脚側のアシストトルクの計算処理の処理手順を示すフローチャートである。中央制御部313は、図27に示したステップF12が実行されると、ステップF21に移る。

【0243】
ステップF21では、中央制御部313は、遊脚であるか否かを判断し、遊脚であると判断された場合には、ステップF22に進み、股関節角度βを読み込む。遊脚でないと判断された場合には、当該計算処理を終了する。遊脚であると判断された場合には、歩行シーケンスが、「振上開始」→「振上中」→「振下開始」→「振下中」と順次実行され、振下完了で終了する。

【0244】
踵SWが足の浮きを検出すると足の「振上開始」と判断され、パラメータNo「01」の「保持最大」トルクが、ステップF23にて振上側にパラメータNo「03」の「加速時間」出力される。加速時間経過後も振上げ動作が続く場合は「振上中」と判断され、パラメータNo「01」の「保持最大」・パラメータNo「02」の「比例範囲」を基に、ステップF22にて読み込んだ股関節角度βに比例した振上側へのアシストトルクが出力される(ステップF24)。股関節角度βがパラメータNo「04」の「戻り角度」以上に到達すると「振下開始」と判断され、「振下中」も含めて、振下方向にパラメータNo「04」の「戻り角度」・パラメータNo「05」の「戻り出力」を基に、股関節角度βに比例したアシストトルクが出力される(ステップF25)。ただし、パラメータNo「13」の「不感帯」内ではトルクを切っている。また、急激なトルク変化が装着者の負担とならないよう、ステップF26にてパラメータNo「07」の「増加割合」によって出力トルクの出方を加減している。

【0245】
図29は、保持脚側のアシストトルクの計算処理の処理手順を示すフローチャートである。中央制御部313は、図27に示したステップF13が実行されると、ステップF31に移る。

【0246】
ステップF31では、中央制御部313は、保持脚であるか否かを判断し、保持脚であると判断された場合には、ステップF32に進み、保持脚でないと判断された場合には、当該計算処理を終了する。保持脚であると判断された場合には、直立姿勢を保持するためのトルクを出力する。

【0247】
ステップF32で、中央制御部313は、股関節角度βを読み込み、ステップF33で、中央制御部313は、パラメータNo「11」の「保持最大」・パラメータNo「12」の「比例範囲」を基に、股関節角度βに比例した保持トルクを計算する。ただし、パラメータNo「13」の「不感帯」内ではトルクを切っている。また、急激なトルク変化が装着者の負担とならないよう、ステップF34にてパラメータNo「07」の「増加割合」によるトルクの加減を行って出力している。

【0248】
図30は、上体判断処理の処理手順を示すフローチャートである。上体判断処理では、装着者の姿勢情報を使って、股関節を曲げ、次に上体を起こそうとしているかどうかを判断している。中央制御部313は、図25に示したステップD13が実行されると、ステップG11に移る。

【0249】
ステップG11で、中央制御部313は、股関節角速度を読込む。ステップG12で、中央制御部313は、上体曲げ動作開始ポイントを検出する。具体的には、ステップG11で計算した股関節角速度がパラメータNo「41」の「屈曲側」を越えた位置を検出し、その位置を上体曲げ動作開始ポイントとする。ステップG13で、中央制御部313は、開始スイッチの検出を待ち、スイッチのONが検出されると上体制御出力を開始し、パラメータNo「24」の「不感帯」内に戻った段階で上体制御を終了している(ステップG14~G16)。

【0250】
図31は、上体制御処理の処理手順を示すフローチャートである。中央制御部313は、図25に示したステップD14が実行されると、ステップH11に移る。ステップH11では、中央制御部313は、両脚に必要な、股関節角度βに比例したアシストトルクを算出している。上体制御開始直後のパラメータNo「23」の「加速時間」内では、パラメータNo「21」の「保持最大」・パラメータNo「22」の「比例範囲」を基に、開始時の股関節角度βに比例した最大トルクを出力し(ステップH12)、加速時間後は股関節角度βに応じたトルクを設定している(ステップH13)。ただし、急激なトルク変化が装着者の負担とならないよう、ステップH14でパラメータNo「25」の「増加割合」によって出力トルクの出方を加減している。

【0251】
図32は、中腰判断処理の処理手順を示すフローチャートである。中腰判断処理では、装着者の姿勢情報を使って中腰姿勢を判断している。中央制御部313は、図25に示したステップD15が実行されると、ステップK11に移る。

【0252】
ステップK11で、中央制御部313は、股関節角速度を読み込む。ステップK12で、中央制御部313は、中腰動作開始ポイントを検出する。具体的には、ステップK11で計算した股関節角速度がパラメータNo「41」の「屈曲側」を越えた位置を検出し、その位置を中腰動作開始ポイントとする。パラメータNo「33」の「待ち時間」経過後も「上体制御」が始まらない場合を中腰制御開始と判断し、パラメータNo「34」の「不感帯」が検出されるまで、中腰制御をおこなっている(ステップK13~K15)。

【0253】
図33は、中腰制御処理の処理手順を示すフローチャートである。中央制御部313は、図25に示したステップD16が実行されると、ステップL11に移る。ステップL11では、両脚に必要な、股関節角度βに比例したアシストトルクを算出している。

【0254】
中腰開始後は、パラメータNo「31」の「保持最大」・パラメータNo「32」の「比例範囲」を基に、ステップL11で開始時の股関節角度βから中腰保持に必要なトルクを計算している。ただし、急激なトルク変化が装着者の負担とならないよう、ステップL12でパラメータNo「35」の「増加割合」によって出力トルクの出方を加減している。

【0255】
重作業用アシストスーツ300は、腰椎についてパワーアシストするために、パワーアシスト用電動モータ201を股関節の左右両サイドに配置されている。パワーアシスト用電動モータ201は、バックドライアブルとするため、すなわち、装着者側から駆動機器を動かすことができるようにするため、パワーアシスト用電動モータ201に付加される減速機の減速比を1/100程度の減速比にして、装着者が出せる以上の力を出せないようにパワーアシスト用電動モータ201の出力を制限し、抗重力方向に十分なアシスト力を確保している。

【0256】
このように、重作業用アシストスーツ300は、使用しているパワーアシスト用電動モータ201をバックドライアブルとするため、パワーアシスト用電動モータ201に付加する減速機の減速比を1/100程度の低減速比にして、装着者が出せる以上の力を出せないようにパワーアシスト用電動モータ201の出力を制限しているので、装着者の安全を確保することができる。

【0257】
重作業用アシストスーツ300は、パワーアシスト用電動モータ201を取り付けているアシスト機構として、アシスト方向以外の装着者の動作を妨げないように受動回転軸206,211~213,224,235、すなわち駆動機器を取りつけていない回転軸を、対象とする装着者の関節の外側周囲に配置している。

【0258】
このように、重作業用アシストスーツ300は、アシスト方向以外の装着者の動作を妨げないように受動回転軸206,211~213,224,235を、対象とする装着者の関節の外側周囲に配置しているので、装着者の動作を拘束することがない。

【0259】
また、重作業用アシストスーツ300は、重量物を持ち上げて運搬する作業において、腰椎と股関節とを同時にパワーアシストすることができる機構および制御となっている。重作業用アシストスーツ300は、腰痛を防ぐために、腰椎をパワーアシストし、かつ歩行を補助するために、股関節をパワーアシストする。このように、重作業用アシストスーツ300は、腰痛を防ぎつつ歩行を補助するために、腰椎と股関節とを同時にパワーアシストすることができる。

【0260】
また、重作業用アシストスーツ300は、筋肉を動かそうとしたときに筋肉に流れる微弱な表面筋電位信号を用いずに、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要な回転トルクなどを力学的に算出することによって、アシストトルクを算出するので、表面筋電位センサを装着するという煩わしさがない。このように、重作業用アシストスーツ300は、表面筋電位センサを装着するという煩わしさがなく、実用的である。

【0261】
また、重作業用アシストスーツ300は、動作パターンの再生方式ではなく、装着者の様々な作業姿勢で体を動かすのに必要なトルクなどを力学的に算出することによって、アシストトルクを算出するので、動作の切り換わり時に不連続になることがない。このように、重作業用アシストスーツ300は、数多くの動作パターンをデータベース化しておく必要がなく、動作の切り換わり時に不連続になることがない。

【0262】
また、バネ式やゴム式のパッシブ方式では、一方向にしかパワーアシストできないが、重作業用アシストスーツ300は、パワーアシスト用電動モータ201を用いたアクティブ方式であるで、双方向にアシストすることができる。

【0263】
このように、2つのパワーアシスト用電動モータ201は、装着者の股関節の左右方向両側近傍にそれぞれ配置され、装着者の上体および大腿部の動きに追従する方向に、上体および大腿部の動きを補助するための駆動トルクを発生する。上体フレームは、装着者の胸部および腰部に装着され、前記2つのパワーアシスト用電動モータ201を保持する。そして、2つの下肢アシストアームは、一端部がパワーアシスト用電動モータ201の固定側に固定され、他端部が大腿部の側部に装着される。したがって、重作業用アシストスーツ300は、少ない駆動源、すなわち腰部両側に設けられる2つのパワーアシスト用電動モータ201で重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0264】
さらに、前記上体フレームは、上体アシストアームと、メインフレームと、受動回転軸224および受動回転軸235とを含む。上体アシストアームは、装着者の胸部に装着される。メインフレームは、前記2つのパワーアシスト用電動モータ201を両端部でそれぞれ保持し、前記2つのパワーアシスト用電動モータ201間を装着者の腰部の背面に沿って延び、装着者の腰部に装着される。そして、受動回転軸224および受動回転軸235は、上体アシストアームとメインフレームとを前後軸線および上下軸線まわりに回転自在に連結する。したがって、重作業用アシストスーツ300は、上体アシストアームとメインフレームとをそれぞれの端部の2箇所で連結する場合よりも、上体の左右方向の動作および上体の回転動作を拘束することなく、重量物の持ち上げ動作および歩行動作を補助することができる。

【0265】
さらに、中央制御部313は、前記算出した駆動トルクを、装着者が前記2つのパワーアシスト用電動モータ201を逆方向に駆動することができる減速比以下の減速比に減少させて、前記2つのパワーアシスト用電動モータ201に発生させる。したがって、重作業用アシストスーツ300は、装着者の安全を確保することができる。
【符号の説明】
【0266】
1 パワーアシスト用電動モータ
2~6,14~18,23,24 フレーム
8 スライド穴
9 受け部
7,10,12,13,19 受動回転軸
11,21,25 ベルト
20 胸部クッション
22 ベアリング
26 クッション
27 角度調整機構
50 ハンディ端末
51 パラメータ番号選択スイッチ
52 上昇スイッチ
53 下降スイッチ
54 エントリスイッチ
55 パラメータ表示部
56 LED
57 歩行スイッチ
58 上体スイッチ
59 中腰スイッチ
100 重作業用アシストスーツ
130 通信ユニット
131,151,161 無線通信部
132 電源制御部
134,142 モータドライバ
140 制御ユニット
141 モータ制御部
150 右足底ユニット
152,162,171 電池
153,163 爪先SW
154,164 踵SW
160 左足底ユニット
170 電池ユニット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32