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明細書 :水晶振動子を用いた荷重センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-025796 (P2015-025796A)
公開日 平成27年2月5日(2015.2.5)
発明の名称または考案の名称 水晶振動子を用いた荷重センサ
国際特許分類 G01L   1/10        (2006.01)
FI G01L 1/10 A
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2013-241319 (P2013-241319)
出願日 平成25年11月21日(2013.11.21)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物名:第5回マイクロ・ナノ工学シンポジウム講演論文集 発行日 :平成25年11月4日 発行者 :一般社団法人 日本機械学会
優先権出願番号 2013130208
優先日 平成25年6月21日(2013.6.21)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】新井 史人
【氏名】市川 明彦
【氏名】室崎 裕一
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100085361、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 治幸
【識別番号】100147669、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 光治郎
審査請求 未請求
要約 【課題】比較的小型であって、高い感度と広い計測範囲が得られるだけでなく、高い応答性および測定精度が得られる、水晶振動子を用いた荷重センサを提供する。
【解決手段】荷重Fを受けて水晶振動子14の一端部に伝達する荷重受部材12f、54fは、一対の側柱部12d、12e、54d、54eの先端部とその荷重受部材12f、54fとの間を連結する板ばね状の弾性ヒンジ部材12c、54cの弾性変形により、荷重受部材12f、54cの基底部12b、54bへ向かう方向の微小変位が許容されるので、荷重Fの変化に応答して微小変位するときに摺動摩擦が発生しない。このため、測定の応答性が十分に得られて、測定された生体情報などの波形がなまることがなく、しかも、摺動摩擦に起因するヒステリシスがなく、測定荷重にヒステリシスが含まれることがないので、荷重波形や荷重の絶対値について、十分な精度が得られる。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
薄板形状の水晶振動子の一端部および他端部を保持する保持器を備え、該水晶振動子の一端部に他端部に向かう方向の外部荷重を受けることで該外部荷重を検出する、水晶振動子を用いた荷重センサであって、前記保持器は、
所定寸法を隔てた一対の側柱部および該一対の側柱部の基端を連結する基底部を有し、該一対の側柱部の間に位置する前記水晶振動子の他端部が該基底部に固定された保持部材と、
前記一対の側柱部の一端部よりも前記基底部とは反対側へ突設され、前記外部荷重を受けて前記水晶振動子の一端部に伝達する荷重受部材と、
該荷重受部の前記基底部へ向かう方向の変位を許容しつつ前記一対の側柱部の先端部と該荷重受部との間を連結する板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材と
を、含むことを特徴とする水晶振動子用いた荷重センサ。
【請求項2】
前記保持部材と前記荷重受部材と前記弾性ヒンジ部材とは、共通の板材から一体に形成されたものである
ことを特徴とする請求項1の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項3】
一端に開口が形成されて前記保持器を収容し、該開口側の内周面に雌ネジ山が形成された円筒形状のケースと、
前記ケース内に収容された前記保持器を介して前記水晶振動子に対して前記外部荷重と同じ方向に力を印加した状態で前記ネジ山に締められ、前記ケースと共に筐体を形成するネジ部材と、
前記ネジ部材と前記ケースの他方端の面との間に配設されて、前記ネジ部材によるねじ締め時のねじり方向の力が前記保持部材へ作用することを抑制すると共に前記長手方向の力が前記保持部材へ伝達されることを許容するスラスト軸受とを、
さらに備えることを特徴とする請求項1または2の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項4】
前記保持器は、前記一対の側柱部および基底部を含む保持部材と前記荷重受部材と前記一対の弾性ヒンジ部材とから、前記水晶振動子の一端部および他端部を狭持する略長四角枠形状をしており、
前記一対の弾性ヒンジ部材は、それぞれ1枚又は複数枚の板ばねから形成されていることを特徴とする請求項3に記載の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項5】
前記荷重受部材は、前記ケースの他方端の面に形成された貫通孔を通って前記筐体外に一部が突出させられているか、或いは前記ネジ部材に形成された前記長手方向に貫通する貫通孔を通って前記筐体外に一部が突出させられている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項6】
前記ネジ部材は、相対回転不能に前記保持部材の一部を受け入れる溝が形成されており、該溝に該保持部材を収容した状態で前記ネジ山に締められるものであり、
前記スラスト軸受は、前記保持部材と前記ケースの他方端の面との間に配設されている
ことを特徴とする請求項3乃至5の何れか1に記載の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項7】
前記水晶振動子の両平面上に設けられた、厚み方向に対向する一対の電極と、
前記電極の各々と直接的或いは間接的に連結された電線とを有し、
前記電線は、前記ネジ部材に形成された前記長手方向に連通する連通溝或いは連通孔を介して前記筐体外に導出されている
ことを特徴とする請求項3乃至6の何れか1に記載の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項8】
前記薄板形状の水晶振動子は、一端部から他端部に向かって切り込まれ且つ厚み方向に連通する一対の線状切込溝を有し、
前記保持器は、前記水晶振動子の周辺部に固着されて該水晶振動子を挟む1対の保持板から構成され、
一対の保持板には、前記水晶振動子の前記一対の線状切込溝の間との間に隙間を形成する凹面と、該水晶振動子の該一対の線状切込溝の外側に密着する一対の側柱部と、該水晶振動子の他端部に密着する基底部と、該水晶振動子の一端部に密着する荷重受け部と、該荷重受部の前記基底部へ向かう方向の変位を許容しつつ前記一対の側柱部の先端部と該荷重受部との間を連結する板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材とが、それぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項1または2の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項9】
前記保持板は、前記凹面および前記弾性ヒンジ部材を形成するホトエッチングがシリコン基板に施されることにより複数個が同時に製造され、且つ該シリコン基板から分割されたものである
ことを特徴とする請求項8の水晶振動子を用いた荷重センサ。
【請求項10】
前記水晶振動子は、電極を形成するスパッタおよび前記線状切込溝を形成するサンドブラストが水晶基板に施されることにより複数個が同時に製造され、且つ該水晶基板から分割されたものである
ことを特徴とする請求項8または9の水晶振動子を用いた荷重センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子を用いた荷重センサに係り、特に、その荷重センサのパッケージング技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボット、医療及び介護などの分野で優れた荷重センサが必要とされている。例えば、ベッド等に加わる分布荷重と、呼吸や心拍数などの生体信号との同時計測や、ロボットが重い対象物の保持や脆弱物を対象とした繊細な作業までを人間の手と同様に行うことが出来るようにする為には、高感度と共にワイドレンジ計測が可能な荷重センサが必要となる。
【0003】
半導体歪ゲージを備える荷重センサが提案されている。これによれば、高い感度が得られるが荷重測定レンジがせまい。これに対して、高感度・ワイドレンジ計測が可能な荷重センサとしては、水晶を用いたセンサが挙げられる。水晶を用いたセンサとして、特許文献1に記載されたような水晶振動子を用いた荷重センサが提案されている。この荷重センサは、容器とその開口内に嵌合された上蓋とから成る外装と、容器と蓋との間に加えられた荷重をその向きを横方向に変換して板状の水晶振動子の両端に作用させる一対の板ばねとを備え、その水晶振動子の共振周波数の変化に基づいて荷重を検出するようになっている。これによれば、高い安定性を持った発振を行い、外力に対して正確に比例した周波数の変化により、比較的小型であって、高い感度と広い計測範囲が得られるといった優れた特徴を有する荷重センサが得られる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-281387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の荷重センサでは、容器とその開口に嵌め入れられた上蓋との間の摺動摩擦が存在し、測定の応答性が十分に得られず、生体情報などの波形がなまるとともに、その摺動摩擦によって測定荷重にヒステリシスが発生するので、荷重波形や荷重の絶対値について、十分な精度が得られないという欠点があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、比較的小型であって、高い感度と広い計測範囲が得られるだけでなく、高い応答性および測定精度が得られる、水晶振動子を用いた荷重センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成する為の本発明の要旨とするところは、(a) 薄板形状の水晶振動子の一端部および他端部を保持する保持器を備え、該水晶振動子の一端部に他端部に向かう方向の外部荷重を受けることで該外部荷重を検出する、水晶振動子を用いた荷重センサであって、(b) 前記保持器は、(b-1) 所定寸法を隔てた一対の側柱部および該一対の側柱部の基端を連結する基底部を有し、該一対の側柱部の間に位置する前記水晶振動子の他端部が該基底部に固定された保持部材と、(b-2) 前記一対の側柱部の一端部よりも前記基底部とは反対側へ突設され、前記外部荷重を受けて前記水晶振動子の一端部に伝達する荷重受部材と、(b-3) 該荷重受部の前記基底部へ向かう方向の変位を許容しつつ前記一対の側柱部の先端部と該荷重受部との間を連結する板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材とを、含むことにある。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、荷重センサにおいて、薄板形状の水晶振動子の一端部および他端部を保持する保持器は、(b-1) 所定寸法を隔てた一対の側柱部および該一対の側柱部の基端を連結する基底部を有し、該一対の側柱部の間に位置する前記水晶振動子の他端部が該基底部に固定された保持部材と、(b-2) 前記一対の側柱部の一端部よりも前記基底部とは反対側へ突設され、前記外部荷重を受けて前記水晶振動子の一端部に伝達する荷重受部材と、(b-3) 該荷重受部の前記基底部へ向かう方向の変位を許容しつつ前記一対の側柱部の先端部と該荷重受部との間を連結する板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材とを、含むことから、荷重を受けて水晶振動子の一端部に伝達する荷重受部材は、一対の側柱部の先端部と該荷重受部との間を連結する板ばね状の弾性ヒンジ部材の弾性変形により、該荷重受部の前記基底部へ向かう方向の変位が許容されるので、荷重の変化に応答して微小変位するときに摺動摩擦がない。このため、測定の応答性が十分に得られて、測定された生体情報などの波形がなまることがなく、しかも、摺動摩擦に起因するヒステリシスがなく、測定荷重にヒステリシスが含まれることがないので、荷重波形や荷重の絶対値について、十分な精度が得られる。
【0009】
ここで、好適には、前記側柱部および基底部を含む保持部材と前記荷重受部材と前記一対の弾性ヒンジ部材とは、共通の板材から一体に形成されたものである。このため、たとえばMEMS技術によって微小な加工が可能となり、小さな保持器から構成される荷重センサが一層小型となる。
【0010】
また、好適には、一端に開口が形成されて前記保持器を収容し、該開口側の内周面に雌ネジ山が形成された円筒形状のケースと、前記ケース内に収容された前記保持器を介して前記水晶振動子に対して前記外部荷重と同じ方向に力を印加した状態で前記ネジ山に締められ、前記ケースと共に筐体を形成するネジ部材と、前記ネジ部材と前記ケースの他方端の面との間に配設されて、前記ネジ部材によるねじ締め時のねじり方向の力が前記保持部材へ作用することを抑制すると共に前記長手方向の力が前記保持部材へ伝達されることを許容するスラスト軸受とを、さらに備える。このため、水晶振動子を用いた荷重センサにおいて、保持器により水晶振動子が保持されて外部荷重が水晶振動子に単純圧縮荷重として負荷され、ネジ部材により保持部材がケース内に封入されて保持部材に対して前荷重が負荷され、その前荷重の負荷時に保持部材へ作用するねじりがスラスト軸受により抑制されるか或いは生じさせられない。このように、水晶振動子を用いた荷重センサの筐体形成において前荷重印加の仕組みを加えることで、前荷重印加と共に筐体の組立てが完了させられる。従って、筐体組立ての工程に前荷重印加の工程が含められ、例えばセンサ配線、筐体組立て、前荷重印加の3工程が、センサ配線、筐体組立ての2工程に簡略化される。加えて、前荷重を印加する為の専用の部品を備えることなく、保持部材や筐体により前荷重を印加でき、水晶振動子を用いた荷重センサの部品点数が低減される。よって、前荷重を印加する為の工程を簡略化し、前荷重を印加する為の部品点数の増加を抑制することができる、水晶振動子を用いた荷重センサが提供される。
【0011】
また、好適には、前記保持器は、前記保持部材と前記荷重受部材と前記弾性ヒンジ部材とから、前記水晶振動子の一端部および他端部を狭持する略長四角枠形状をしており、前記弾性ヒンジ部材は、それぞれ1枚又は複数枚の板ばねから形成されている。このため、水晶振動子を用いた荷重センサにおいて、前記保持器は、前記保持部材と前記荷重受部材と前記弾性ヒンジ部材とから、前記水晶振動子の一端部および他端部を狭持する略長四角枠形状をしているので、保持部材により水晶振動子が安定に保持されて外部荷重が効率良く水晶振動子にその一端部から他端部に向かう一軸線に沿う単純圧縮荷重として負荷される。又、一体構造とされた保持器により組立ての簡略化が図られる。又、一対の弾性ヒンジ部材により長手方向以外の外部荷重が低減されるとともに、摺動抵抗の発生が防止される。又、ネジ部材により保持部材に対して負荷された前荷重が保持部材を介して水晶振動子へ適切に伝達される。この際、一対の側柱部がネジ部材の締込みによる長手方向に対するストッパとして機能することから、前荷重の印加に特別な調整を必要とすることなく、略一定の前荷重を印加することが可能である。
【0012】
また、好適には、前記荷重受部材は、前記ケースの他方端の面に形成された貫通孔を通って前記筐体外に一部が突出させられているか、或いは前記ネジ部材に形成された前記長手方向に貫通する貫通孔を通って前記筐体外に一部が突出させられている。このため、保持部材により外部荷重が効率良く水晶振動子に単純圧縮荷重として負荷される。
【0013】
また、好適には、前記ネジ部材は、相対回転不能に前記保持器の一部を受け入れる溝が形成されており、該溝に該保持部材を収容した状態で前記ネジ山に締められるものであり、前記スラスト軸受は、前記保持器と前記ケースの他方端の面との間に配設されている。このため、ネジ部材により保持部材がケース内に適切に固定された状態で封入され、前荷重の負荷時に保持部材へ作用するねじりがスラスト軸受により適切に抑制されるか或いは生じさせられない。
【0014】
また、好適には、前記水晶振動子の両平面上に設けられた、厚み方向に対向する一対の電極と、前記電極の各々と直接的或いは間接的に連結された電線とを有し、前記電線は、前記ネジ部材に形成された前記長手方向に連通する連通溝或いは連通孔を介して前記筐体外に導出されている。このため、水晶振動子を用いた荷重センサが適切に構成される。
【0015】
また、好適には、前記薄板形状の水晶振動子は、一端部から他端部に向かって切り込まれ且つ厚み方向に連通する一対の線状切込溝を側部に有し、前記保持器は、前記水晶振動子の周辺部に固着されて該水晶振動子を挟む一対の保持板から構成され、その一対の保持板には、前記水晶振動子の一対の線状切込溝の間との間に隙間を形成する凹面と、該水晶振動子の一対の線状切込溝の外側に密着する一対の側柱部と、該水晶振動子の他端部に密着する基底部と、該水晶振動子の一端部に密着する荷重受部と、該荷重受部の前記基底部へ向かう方向の変位を許容しつつ前記一対の側柱部の先端部と該荷重受部との間を連結する板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材とが、それぞれ形成されている。このため、水晶振動子の一対の線状切込溝に挟まれる部分の拘束が無く且つ水晶振動子の一端部に密着する荷重受部は、前記一対の側柱部の先端部と該荷重受部との間を連結する板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材により、それが前記基底部へ向かう方向の変位が許容されるので、荷重の変化に応答して微小変位するときに摺動摩擦がない。このため、測定の応答性が十分に得られて、測定された生体情報などの波形がなまることがなく、しかも、摺動摩擦に起因するヒステリシスがなく、測定荷重にヒステリシスが含まれることがないので、荷重波形や荷重の絶対値について十分な精度を有する荷重センサが得られる。
【0016】
また、好適には、前記保持板は、前記凹面および前記弾性ヒンジ部材を形成するホトエッチングがシリコン基板に施されることにより複数個が同時に製造され、且つ該シリコン基板から分割されたものである。このようにすれば、荷重センサの生産性が高められ且つ組立てが容易となるので、安価な荷重センサが得られる。
【0017】
また、好適には、前記水晶振動子は、電極を形成するスパッタおよび前記線状切込溝を形成するサンドブラストが水晶基板に施されることにより複数個が同時に製造され、且つ該水晶基板から分割されたものである。このようにすれば、荷重センサの生産性が高められ且つ組立てが容易となるので、一層安価な荷重センサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が適用される実施例1の荷重センサを例示する斜視図である。
【図2】図1の荷重センサの内部の構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】図1の荷重センサの内部に収容された保持部材を水晶振動子と共に示す斜視図である。
【図4】図3に示す保持部材及び水晶振動子の正面図である。
【図5】荷重センサを含むシステム全体の構成の一例を説明する図である。
【図6】負荷荷重に対する水晶振動子の特性の一例を示す図であって、保持部材のみを実装した状態における荷重負荷実験の結果である。
【図7】負荷荷重に対する水晶振動子の特性の一例を示す図であって、前荷重を負荷させた荷重センサにおける荷重負荷実験の結果である。
【図8】高負荷時に微小負荷を加えたときの荷重センサの特性を示す図である。
【図9】本発明が適用される荷重センサの他の例を示す模式図である。
【図10】本発明が適用される保持部材の他の例を示す模式図である。
【図11】本発明が適用される実施例2の荷重センサを例示する斜視図である。
【図12】図11の実施例の荷重センサを幅方向の中央で縦方向に切断した斜視図である。
【図13】図11の実施例の荷重センサの組み立て前の状態を示す斜視図である。
【図14】図11に示される荷重センサにおける負荷荷重に対する周波数特性を示す図である。
【図15】図11に示される荷重センサの製造工程を説明する工程図である。
【図16】図11に示される荷重センサに含まれる水晶振動子の製造工程中の加工状態をそれぞれ示す断面図である。
【図17】図11に示される荷重センサに含まれる保持板の製造工程中の加工状態をそれぞれ示す断面図である。
【図18】図11に示される荷重センサの組立て状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比、形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明が適用される荷重センサ10を示す斜視図である。図2は、図1の荷重センサ10の内部の構成を模式的に示す斜視図である。図3は、図1の荷重センサ10の内部に収容された保持器12を水晶振動子14と共に示す斜視図である。図4は、図3に示す保持器12及び水晶振動子14を示す正面図である。図1-図4において、荷重センサ10は、保持器12、水晶振動子14、ケース16、ネジ部材18、スラスト軸受20、電線22、電線24などを備えている。荷重センサ10は、水晶振動子14に対してその断面中心線Cに沿った厚み方向Dと垂直な長手方向Lに力を付与することで外部荷重Fを検出する、水晶振動子14を用いた荷重センサである。水晶振動子14は、保持器12よりも十部に薄い厚みを有している。
【実施例1】
【0021】
ケース16は、一方端が開口した円筒容器形状をしており、その開口側の内面に雌ネジ山16aが施されている。ケース16は、他方端の面16bに貫通孔16cが形成されている。ケース16は、ネジ山16aにネジ部材18が締められることで、そのネジ部材18と共に筐体26を形成する。つまり、荷重センサ10の筐体26は全体として円筒形状をしており、ネジ部材18によって保持器12、水晶振動子14、スラスト軸受20などが筐体26内に封入されている。筐体26の材料は、例えば剛性が高いステンレス鋼(SUS302)である。筐体26は、旋盤等の機械加工を行うことで形成される。
【実施例1】
【0022】
保持器12は、外部荷重Fを薄板状の水晶振動子14に伝達可能に水晶振動子14に対して長手方向Lの一端部および他端部を挟持して水晶振動子14を保持する。又、保持器12は、外部荷重Fを水晶振動子14に伝達可能にケース16に収容されている。具体的には、保持器12は、水晶振動子14を安定に保持して、外部荷重Fを効率良く水晶振動子14にその断面中心線C方向の単純圧縮荷重として負荷する為に、以下に説明する構成を採用している。すなわち、保持器12は、所定寸法を隔てた互いに平行な一対の側柱部12d、12eおよびそれら一対の側柱部12d、12eの基端を連結する基底部12b有し、一対の側柱部12d、12eの間に位置する水晶振動子14の他端部が基底部12bに固定された保持部材12aと、一対の側柱部12d、12eの一端部よりも基底部12bとは反対側へ突き出し、外部荷重Fを受けて水晶振動子の一端部に伝達する荷重受部材12fと、その荷重受部材12fの基底部12bへ向かう方向の変位を許容しつつ一対の側柱部12d、12eの先端部と荷重受部材12fとの間を連結する2枚の板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材12cとを備えて、略枠形状を成している。本実施例の荷重受部材12fは、基底部12b側へ突き出してその基底部12bとの間で水晶振動子14を狭持する当接部12gを備えている。当接部12gは、幅方向Wの長さが水晶振動子14の幅方向Wの長さ以上とされている。
【実施例1】
【0023】
このように構成される保持器12は、組立ての簡略化を図る為に、一体構造とされている。具体的には、保持器12の材料は、例えば繰返し応力に強く高い剛性を有し、且つ板ばねとして優れた特性を持つリン青銅(C5210)の板材から、エンドミルまたはワイヤー放電による加工により形成する。この保持器12の厚みは、水晶振動子14よりも厚く設定されている。
【実施例1】
【0024】
水晶振動子14には、例えば温度安定性に優れたATカット水晶を用いている。ATカット水晶振動子は、外部からの印加電圧により電極部に厚み滑り振動を生じ、外力に対して正確に比例した共振周波数での電気周期信号として出力を得ることができる。水晶振動子14は、例えば長手方向Lすなわち荷重負荷方向の断面を小さくすることによって負荷荷重に対する水晶への負荷応力を増大させて感度の向上を図る為に、長手方向Lの長さが、長手方向Lとは垂直な幅方向Wの長さよりも長くされている。水晶振動子14の平面上の略中央部分には、厚み方向Dに対向する一対の電極28が略円形形状にそれぞれ設けられている。電極28は、水晶振動子14の平面上を対角方向に相反するように各々パターンが端部近くまで伸びている。この端部近くのパターンのところで電線22が連結される。本実施例では、発振源となる略円形の電極28から電線22や保持器12との距離をとることで、Q値の向上を図っている。
【実施例1】
【0025】
このように構成される水晶振動子14は、例えば薄板形状のATカット水晶ウェハの両面にLift-offプロセスを用いて電極を成膜し、ダイシングによる分割を行うことで形成される。具体的には、ATカット水晶ウェハ上に、先ず犠牲層をパターンニングし、次にCr及びAuをスパッタして電極を形成した後、犠牲層を除去する。この一連のプロセスを両面に行って電極をパターンニングし、電極完成後、ダイシングソーによってカットして複数個の水晶振動子14を形成する。
【実施例1】
【0026】
ネジ部材18は、保持器12をケース16内に封入して保持器12に対して前荷重(予荷重)Fpreを負荷する為に、ケース16内に収容された保持器12を介して水晶振動子14に対して長手方向Lに力を印加した状態でケース16のネジ山16aに締められる。具体的には、ネジ部材18は、保持器12をケース16内に適切に固定された状態で封入する為に、相対回転不能に保持部材12aの一部を受け入れる溝18aが形成されている。そして、ネジ部材18は、溝18aに保持器12を収容した状態(例えば固定した状態で)でネジ山16aに締められ、ケース16と共に筐体26を形成する。又、ネジ部材18は、外周の一部を切り欠いて欠損させることで連通溝18bが形成されている。連通溝18bは、筐体26の内外を連通させるように長手方向Lに連通する連通溝であれば良く、略半円筒形状、略矩形形状など種々の態様が採用され得る。
【実施例1】
【0027】
電線22は、水晶振動子14の平面上にて端部近くまで伸びた電極28のパターン上にて、電極28の各々と連結されて電気的に接続されている配線用の銅線である。電線24は、電線22よりも大径の配線用の銅線であり、ネジ部材18の筐体26内側の面18c上に固設された中継基板30を介して(或いは直接的に)電線22と連結されて電気的に接続されている。電線22等を介して電極28の各々と間接的に連結された電線24は、連通溝18bを介して筐体26外に導出されている。尚、電極28の各々と直接的に連結された電線22がそのまま、連通溝18bを介して筐体26外に導出されるような態様であっても良い。
【実施例1】
【0028】
スラスト軸受20は、前荷重Fpreの負荷時に保持器12へ作用するねじりを抑制するか或いは生じさせない為に、ネジ部材18とケース16の他方端の面16bとの間に配設されて、ネジ部材18によるねじ締め時のねじり方向Sの力が保持器12へ作用することを抑制すると共に長手方向Lの力が保持器12へ伝達されることを許容する、例えば公知のボールベアリングである。具体的には、スラスト軸受20は、保持器12とケース16の他方端の面16bとの間に配設されている。スラスト軸受20は、相対回転不能に保持器12の一部を受け入れる溝20aが形成されている。
【実施例1】
【0029】
ケース16、スラスト軸受20、保持器12、及びネジ部材18を備える荷重センサ10では、ネジ部材18により保持器12に対して前荷重Fpreが負荷され、保持器12を介してその前荷重Fpreが水晶振動子14へ適切に伝達される。この際、保持器12の一対の側柱部12d,12eは、ネジ部材18の締込みによる長手方向Lに対するストッパとして機能する。従って、ネジ部材18の締込みによる前荷重Fpreの印加に関して特別な調整をすることなく、略一定の前荷重Fpreを印加することができる。又、前荷重Fpreを負荷することによって、荷重センサ10の組立てに際して生じる保持器12と水晶振動子14との間の隙間を埋め、荷重センサ10の立ち上がりを良くすることができる。
【実施例1】
【0030】
図5は、荷重センサ10を含むシステム全体の構成を説明する図である。荷重センサ10のシステムを構成する要素としては、荷重センサ10、荷重センサ10の主要部である水晶振動子14の発振を持続して行わせる為の発振回路32、発振回路32から出力される周期信号の周波数を読み取る為の周波数カウンタ34、及び発振回路32等へ電源を供給する為の電源回路36などである。発振回路32は、回路構成要素が少なく、小型化が容易なCMOSゲート型を用いており、ノイズ除去の為に、バイパスコンデンサなどが取り付けられている。
【実施例1】
【0031】
以下に、試作した荷重センサ10の一例における主な部位の寸法を示す。これに示されるように、本実施例の荷重センサ10は、十分に小型に構成される。
・筐体26:φ6[mm]、高さ(長手方向L)8[mm]
・水晶振動子14:長手方向L3.5[mm]、幅方向W2.0[mm]、厚み方向D0.1[mm]
・保持器12:長手方向L7[mm]、幅方向W4.2[mm]
・当接部12g:長手方向L1.0[mm]
・ヒンジ部材12c:長手方向L0.1[mm]
・電極28(中心部):φ1[mm]、厚み方向D250[nm]
・電線22:φ0.05[mm]
【実施例1】
【0032】
以下に、上述したように試作した荷重センサ10における解析結果を説明する。水晶振動子14を挟む保持器12のみを実装した状態(図3,4参照)において、長手方向Lから10[N]の外部荷重Fを負荷したときに水晶振動子14に加わる負荷荷重は8.6[N]となった(水晶振動子14の中心部の応力43[MPa]、水晶断面2.0[mm]×0.1[mm]より算出)。ここで、「与えられた外力に対して水晶振動子14に付与される荷重」を「力の変換率」と定義すると、本実施例の荷重センサ10では、力の変換率が86(=(8.6/10)×100)[%]となり、感度の向上が図られた。解析によって算出された水晶振動子14の許容負荷荷重は36[N]であった。
【実施例1】
【0033】
図6及び図7は、水晶振動子14に加わる負荷荷重に対する水晶振動子14の特性を示す図である。図6は、水晶振動子14を挟む保持器12のみを実装した状態(図3,4参照)における荷重負荷実験の結果である。又、図7は、ネジ部材18による締め付けによって、前荷重Fpreを10[N]負荷させた荷重センサ10(図1参照)における荷重負荷実験の結果である。この荷重負荷実験では、実験装置台鉛直上に、長手方向Lを合わせるように保持器12のみ或いは荷重センサ10を配置し、負荷荷重を与える。その与えた負荷荷重をロードセルにより計測し、同時に、発振回路32に接続された水晶振動子14による出力を周波数カウンタ34により計測することで、水晶振動子14への負荷荷重に対する周波数の変化を計測した。
【実施例1】
【0034】
図6において、水晶振動子14の共振周波数は、略5[N]の負荷荷重が印加されるまでは周波数変化が得られなかった。又、水晶振動子14の共振周波数は、略10[N]の負荷荷重が印加されて以降は高い線形性を有した周波数変化が見られた。従って、本実施例の荷重センサ10では、略10[N]の前荷重Fpreを負荷させると、立ち上がりが良好で、外力に対して正確に比例した値が得られる荷重センサを構成できることが分かる。図7に示す解析結果は、図6の実験結果を反映させた荷重センサ10における実験結果である。
【実施例1】
【0035】
図7において、外部荷重Fと水晶振動子14の共振周波数との関係を示す近似直線Aは、次式(1)で表される(x:外部荷重F[N]、Y:共振周波数[MHz])。近似直線Aにおける相関係数はR=0.9972であり、良好な線形性が得られている。又、センサ感度は、896[Hz/N]であり感度の向上が図られた。
Y=896x×10-6+16.491 ・・・(1)
【実施例1】
【0036】
図8は、高負荷時に微小負荷を加えたときの荷重センサ10の特性を示す図である。この実験では、試作した荷重センサ10に対して、2.0[kg]のおもりを吊した後に、1.0[g]のおもりを乗せ、荷重センサ10の出力の変化(すなわち周波数の変化)を計測した。この実験に際しては、おもりを吊したのちにそのおもりの揺れによる出力の変動が収まるまで十分に時間を取り、その後に1.0[g]のおもりを乗せた。図8において、2.0[kg]のおもりに対して、荷重センサ10の破損などはなく、荷重センサ10の出力は19,200[Hz]程度の変動が見られた。又、1.0[g]のおもりに対して、荷重センサ10の出力は10[Hz]程度の変動が見られた。これにより、荷重センサ10は、高負荷時に微小力の計測が可能であることが分かる。つまり、荷重センサ10は、ワイドレンジで高感度な荷重センサであることが分かる。
【実施例1】
【0037】
上述のように、本実施例の水晶振動子14を用いた荷重センサ10によれば、薄板形状の水晶振動子14の一端部および他端部を保持する保持器12は、(b-1) 所定寸法を隔てた一対の側柱部12d、12eおよびそれらの一対の側柱部12d、12eの基端を連結する基底部12bを有し、それらの該一対の側柱部12d、12eの間に位置する水晶振動子14の他端部がその基底部12bに固定された保持部材12aと、(b-2) 一対の側柱部12d、12eの一端部よりも基底部12bとは反対側へ突設され、外部荷重Fを受けて水晶振動子14の一端部に伝達する荷重受部材12fと、(b-3) その荷重受部材12fの基底部12bへ向かう方向の変位を許容しつつ一対の側柱部12d、12eの先端部とその荷重受部材12fとの間を連結する2枚の板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材12cとを、含む。これにより、荷重Fを受けて水晶振動子14の一端部に伝達する荷重受部材12fは、一対の側柱部12d、12eの先端部とその荷重受部材12fとの間を連結する板ばね状の弾性ヒンジ部材12cの弾性変形により、荷重受部材12fの基底部12bへ向かう方向の微小変位が許容されるので、荷重Fの変化に応答して微小変位するときに摺動摩擦が発生しない。このため、測定の応答性が十分に得られて、測定された生体情報などの波形がなまることがなく、しかも、摺動摩擦に起因するヒステリシスがなく、測定荷重にヒステリシスが含まれることがないので、荷重波形や荷重の絶対値について、十分な精度が得られる。
【実施例1】
【0038】
また、本実施例の水晶振動子14を用いた荷重センサ10によれば、一対の側柱部12d、12eおよび基底部12bを含む保持部材12aと荷重受部材12fと一対の弾性ヒンジ部材12cとは、共通の板材である燐青銅板から一体に形成されたものであるため、たとえばMEMS技術によって微小な加工が可能となり、小さな保持器12から構成される荷重センサ10が一層小型となる。
【実施例1】
【0039】
また、本実施例の水晶振動子14を用いた荷重センサ10によれば、保持器12とケース16とネジ部材18とスラスト軸受20とを備えることから、保持器12により水晶振動子14が安定に保持されて外部荷重Fが効率良く水晶振動子14に単純圧縮荷重として負荷され、ネジ部材18により保持器12がケース16内に適切に固定された状態で封入されて保持器12に対して前荷重Fpreが負荷され、前荷重Fpreの負荷時に保持器12へ作用するねじりがスラスト軸受20により適切に抑制されるか或いは生じさせられない。このように、荷重センサ10の筐体26の形成において前荷重Fpreを印加する仕組みを加えることで、前荷重Fpreの印加と共に筐体26の組立てが完了させられる。従って、筐体26の組立て工程に前荷重Fpreの印加工程が含められ、例えばセンサ配線、筐体組立て、前荷重印加の3工程が、センサ配線、筐体組立ての2工程に簡略化される。加えて、前荷重Fpreを印加する為の専用の部品を備えることなく、保持器12や筐体26により前荷重Fpreを印加でき、荷重センサ10の部品点数が低減される。よって、前荷重Fpreを印加する為の工程を簡略化し、前荷重Fpreを印加する為の部品点数の増加を抑制することができる、水晶振動子14を用いた荷重センサ10が提供される。
【実施例1】
【0040】
また、本実施例によれば、一体構造とされた保持器12により組立ての簡略化が図られる。又、ヒンジ部材12cにより長手方向L以外の外部荷重が一層低減される。又、ネジ部材18により保持器12に対して負荷された前荷重Fpreが保持器12を介して水晶振動子14へ適切に伝達される。この際、保持部材12aの側柱部12d,12eがネジ部材18の締込みによる長手方向Lに対するストッパとして機能することから、前荷重Fpreの印加に特別な調整を必要とすることなく、略一定の前荷重Fpreを印加することが可能である。
【実施例1】
【0041】
また、本実施例によれば、保持器12の荷重受付部12fは、ケース16の貫通孔16cを通って筐体26外に一部が突出させられているので、外部荷重Fが効率良く水晶振動子14に単純圧縮荷重として負荷される。
【実施例1】
【0042】
また、本実施例によれば、電線22或いは電線24は、ネジ部材18の連通溝18bを介して筐体26外に導出されているので、水晶振動子14を用いた荷重センサ10が適切に構成される。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の他の実施例の荷重センサ50を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0044】
図11は荷重センサ50を示す斜視図であり、図12は幅方向の中央において縦方向に切断した荷重センサ50の斜視図、図13は荷重センサ50の3層構造を説明するための組み立て前の図である。
【実施例2】
【0045】
荷重センサ50は、薄板形状の水晶振動子14の一端部および他端部を保持する保持器52を備え、その水晶振動子14の一端部に他端部に向かう方向すなわち断面中心を通る軸線Cの方向の外部荷重Fを受けることでその外部荷重Fを検出する。保持器52は、水晶振動子14の底部および側部に接着或いは接合により密着してそれを挟む2枚の保持板54から構成されている。2枚の保持板54は、たとえばSi基板から、MEMS技術で用いられる深堀りホトエッチングによってそれぞれ一体に、同様に構成される。
【実施例2】
【0046】
保持器52を構成する2枚の保持板54は、所定寸法を隔てた一対の側柱部54d、54eおよびそれら一対の側柱部54d、54eの基端を連結する基底部54bを有し、一対の側柱部54d、54eの間に位置する水晶振動子14の他端部がその基底部54bに固定された保持部材54aと、一対の側柱部54d、54eの一端部よりも基底部54bとは反対側へ突設され、外部荷重Fを受けて水晶振動子14の一端部に伝達する荷重受部材54fと、荷重受部材54fの基底部54bへ向かう方向の変位を許容しつつ一対の側柱部54d、54eの先端部と荷重受部材54fとの間を連結する一枚の板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材54cとを、それぞれ備えている。
【実施例2】
【0047】
水晶振動子14は、一端部から他端部に向かって前記基底部54bに至るまで切り込まれ且つ厚み方向に連通する互いに平行な一対の線状切込溝14aを備えている。水晶振動子14は、それら一対の線状切込溝14aの間には接触しない状態で、それら一対の線状切込溝14aの外側に位置する部分と一対の線状切込溝14aの下側に位置する部分とにおいて保持器52により挟持されている。
【実施例2】
【0048】
一対の保持板54には、水晶振動子14の一対の線状切込溝14aの間の面との間に隙間Sを形成する矩形状の凹面Dと、荷重受部材54fおよび一対の弾性ヒンジ部材54cを分離するために厚み方向に貫通するハット(鍔付帽子)形状のスロット56と、水晶振動子14の電極28に一端が接続されたリード線58を挿通させるリード線穴60とが形成されている。
【実施例2】
【0049】
これにより、一対の保持板54には、凹面Dの外側に位置して、水晶振動子14の一対の線状切込溝14aの外側に密着する一対の側柱部54d、54eと、凹面Dの下側すなわち水晶振動子14の他端部側に位置して、水晶振動子14の他端部に密着する基底部54bと、凹面Dの上側すなわち水晶振動子14の一端部側に位置して、水晶振動子14の一端部に密着する荷重受部材54fと、凹面Dの上側すなわち水晶振動子14の一端部側に位置して、荷重受部材54fの基底部54bへ向かう方向の変位を許容しつつ一対の側柱部54d、54eの先端部と荷重受部材54fとの間を連結する板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材54cとが、それぞれ形成されている。
【実施例2】
【0050】
以上のように構成された荷重センサ50は、たとえば水晶振動子14が3.5mm程度の高さ、2.0mm程度の幅、0.1mm程度の厚みであるとすると、5.5mm程度の高さ、4.2mm程度の幅、0,8mm程度の厚み寸法であり、十分に小型に構成される。
【実施例2】
【0051】
図14は、上記の荷重センサ50を、図5に示すものと同様の、発振回路32、発振回路32から出力される周期信号の周波数を読み取る為の周波数カウンタ34、及び発振回路32等へ電源を供給する為の電源回路36を用いて測定した出力特性を示している。図14において、外部荷重Fと水晶振動子14の共振周波数との関係を示す近似直線Bは、次式(2)で表される(x:外部荷重F[N]、Y:共振周波数[MHz])。近似直線Bは、水晶振動子14の共振周波数が、荷重Fに対する高い線形性を有することを示している。相関係数はR=0.993297であり、良好な線形性が得られている。又、センサ感度は、1191[Hz/N]であり感度の向上が図られた。
Y=0.001191x+15.910815 ・・・(2)
【実施例2】
【0052】
図15は上記荷重センサ50の製造工程を説明する工程図であり、図16は荷重センサ50の各製造工程P1~P4における水晶振動子14の中間形状を示し、図17は保持器52の各製造工程P5~P8における保持板54の中間形状を示し、図18は個々の荷重センサ50への分離前の水晶振動子14と保持板54との組立て状態を示している。
【実施例2】
【0053】
図15において、電極形成工程P1では、水晶基板CPの両面において固着され且つ複数個の電極28に対応する形状のパターンが抜かれた図示しないホトレジストの上から電極28の材料Cr/Auをスパッタ装置を用いて成膜し、次いでそのホトレジストをリフトオフすることで、図13に示すパターンの複数個分のCr/Au製の電極28がスパッタ装置を用いて水晶基板CPの両面にそれぞれ固着される。図16の(a)はこの状態を示している。水晶基板CPは、シリコン基板Siよりも十分に薄い厚みを有している。
【実施例2】
【0054】
次いで、ホトレジスト積層工程P2では、エッチングのためのポジ型ホトレジストフィルムPPRが上記水晶基板CPの一面に積層(ドライフィルムラミネーティング)される。図16の(b)はこの状態を示している。
【実施例2】
【0055】
続くパターンニング工程P3では、水晶基板CPの一面に積層されたポジ型レジストフィルムPPRのうち、一対の線状切込溝14aおよび荷重受部材54fの外形状に対応するスリット状部分が露光によって局所的に除去される。図16の(c) はこの状態を示している。
【実施例2】
【0056】
そして、穴抜き工程P4では、上記パターンニングされたポジ型レジストフィルムPRFを通して水晶基板CPにサンドブラスト或いはエッチングが施されることにより一対の線状切込溝14aなどが形成され、次いで剥離液によりポジ型レジストフィルムPPRが除去される。図16の(c) はこの状態を示している。これにより、水晶基板CP内に相互に一体に連結された多数個の電極付の水晶振動子14が同時に(一挙に)製造される。
【実施例2】
【0057】
図15の第1レジストパターンニング工程P5では、ネガ形のホトレジストNPRがシリコン基板Siの一面に所定厚みで塗布された後、露光により、ホトレジストNPRのうちシリコン基板Siの凹面Dに対応する形状のパターンが露出される。図17の(a) はこの状態を示している。次に、第1エッチング工程P6では、MEMS技術で用いられる深彫りエッチングがホトレジストNPRを通してシリコン基板Siの一面に施され、シリコン基板Siの一面に複数個の凹面Dが形成された後、剥離液によりホトレジストNPRが除去される。図17の(b) はこの状態を示している。
【実施例2】
【0058】
次いで、第2レジストパターンニング工程P7では、ネガ形のホトレジストNPRが凹面Dが形成されたシリコン基板Siの一面に所定厚みで塗布された後、露光により、ホトレジストNPRのうちシリコン基板Siのハット(鍔付帽子)形状のスロット56およびリード線穴60に対応する形状のパターンが露出される。図17の(c) はこの状態を示している。次に、第2エッチング工程P8では、MEMS技術で用いられる深彫りエッチングがホトレジストNPRを通してシリコン基板Siの一面に施され、シリコン基板Siを貫通するスロット56およびリード線穴60が形成された後、剥離液によりホトレジストNPRが除去される。これにより、シリコン基板Si内に相互に一体に連結された多数個の保持器52を構成する多数個の保持板54が同時に(一挙に)製造される。
【実施例2】
【0059】
そして、図15の組立て工程P9では、多数個の電極付の水晶振動子14が形成された水晶基板CPを挟んで多数個の保持板54が形成された一対のシリコン基板Siを接着或いは接合により固着させることで、多数個の荷重センサ50が組み立てられる。なお、リード線58は、組立て前に電極28にボンディングされてもよいし、組立て後に電極28にボンディングされてもよい。このようにして組み立てられた後で、図18の1点鎖線に示す位置で、たとえばレーザ光を用いて分離され、図11乃至図13に示す荷重センサ50が得られる。
【実施例2】
【0060】
上述のように、本実施例の水晶振動子14を用いた荷重センサ50によれば、薄板形状の水晶振動子14の一端部および他端部を保持する保持器52は、(b-1) 所定寸法を隔てた一対の側柱部54d、54eおよびそれらの一対の側柱部54d、54eの基端を連結する基底部54bを有し、それらの該一対の側柱部54d、54eの間に位置する水晶振動子14の他端部がその基底部54bに固定された保持部材54aと、(b-2) 一対の側柱部54d、54eの一端部よりも基底部54bとは反対側へ突設され、外部荷重Fを受けて水晶振動子14の一端部に伝達する荷重受部材54fと、(b-3) その荷重受部材54fの基底部54bへ向かう方向の変位を許容しつつ一対の側柱部54d、54eの先端部とその荷重受部材54fとの間を連結する1枚の板ばね状の一対の弾性ヒンジ部材54cとを、含む。これにより、荷重Fを受けて水晶振動子14の一端部に伝達する荷重受部材54fは、一対の側柱部54d、54eの先端部とその荷重受部材54fとの間を連結する板ばね状の弾性ヒンジ部材54cの弾性変形により、荷重受部材54fの基底部54bへ向かう方向の微小変位が許容されるので、荷重Fの変化に応答して微小変位するときに摺動摩擦が発生しない。このため、測定の応答性が十分に得られて、測定された生体情報などの波形がなまることがなく、しかも、摺動摩擦に起因するヒステリシスがなく、測定荷重にヒステリシスが含まれることがないので、荷重波形や荷重の絶対値について、十分な精度が得られる。
【実施例2】
【0061】
また、本実施例の水晶振動子14を用いた荷重センサ50によれば、一対の側柱部54d、54eおよび基底部54bを含む保持部材54aと荷重受部材54fと一対の弾性ヒンジ部材54cとは、共通の板材であるシリコン基板Siから一体に形成されたものであるため、たとえばMEMS技術によって微小な加工が可能となり、小さな保持器52から構成される荷重センサ50が一層小型となる。
【実施例2】
【0062】
また、本実施例の荷重センサ50によれば、保持板54は、凹面Dおよび弾性ヒンジ部材54cを形成するホトエッチングがシリコン基板Siに施されることにより複数個が同時に製造され、且つ該シリコン基板Siから分割されたものである。このため、荷重センサ50の生産性が高められ且つ組立てが容易となるので、安価な荷重センサが得られる。
【実施例2】
【0063】
また、本実施例の水晶振動子14によれば、水晶振動子14は、電極28を形成するスパッタおよび線状切込溝14aを形成するサンドブラストが水晶基板CPに施されることにより複数個が同時に製造され、且つ水晶基板CPから分割されたものである。このため、荷重センサ50の生産性が高められ且つ組立てが容易となるので、一層安価な荷重センサ50が得られる。
【実施例2】
【0064】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【実施例2】
【0065】
例えば、前述の実施例では、ネジ部材18は、溝18aが形成されて、その溝18aに保持部材12aを収容した状態でケース16に締められるものであったが、この態様に限らない。例えば、図9(a)に示すように、ネジ部材18は、溝18aが形成されず、面18cに保持部材12aを当接した状態でケース16に締められても良い。又、電線24(或いは電線22)は、ネジ部材18の連通溝18bを介して筐体26外に導出されていたが、この態様に限らない。例えば、電線24を筐体26外に導出することに関しては、筐体26の内外を連通させる構成であれば良く、図9(a)に示すように、ネジ部材18に形成された長手方向Lに連通する連通孔18dなどの態様も採用され得る。このようにしても、水晶振動子14を用いた荷重センサ10が適切に構成される。
【実施例2】
【0066】
また、前述の実施例では、保持部材12aの荷重受付部12fは、ケース16の貫通孔16cを通って筐体26外に一部が突出させられていたが、この態様に限らない。例えば、図9(b)に示すように、荷重受付部12fは、ネジ部材18に形成された長手方向Lに貫通する貫通孔18eを通って筐体26外に一部が突出させられても良い。このようにしても、外部荷重Fが効率良く水晶振動子14に単純圧縮荷重として負荷される。
【実施例2】
【0067】
また、前述の実施例では、スラスト軸受20は、保持部材12aとケース16の面16bとの間に配設されていたが、この態様に限らない。例えば、ネジ部材18の面18cに保持部材12aを当接した状態でネジ部材18がケース16に締められるような態様(図9(a)参照)の場合には、スラスト軸受20は、ネジ部材18とケース16の面16bとの間に配設されておれば良く、図9(c)に示すように、ネジ部材18と保持部材12aとの間に配設されても良い。このようにしても、前荷重Fpreの負荷時に保持部材12aへ作用するねじりがスラスト軸受20により抑制されるか或いは生じさせられない。荷重受付部12fがネジ部材18に形成された貫通孔18eを通って筐体26外に一部が突出させられるような態様(図9(b)参照)の場合でも、この考え方が適用できることは言うまでもない。
【実施例2】
【0068】
また、前述の実施例では、荷重センサ10と発振回路32等の回路とは、別体であったが、この態様に限らない。例えば、荷重センサ10と発振回路32等とを一体化しても良い。システム全体を小型化し、一体化して配線距離を短くすることで、各機器間の接続におけるノイズの影響を抑えることができる。図9(d)は、発振回路32の基板の小型化を図り、荷重センサ10と発振回路32との一体化を実現したものである。図9(d)において、発振回路32を荷重センサ10の回りに配置し、金属ケース38によってシールドを行うことで外乱の影響を抑えることができる。図9(d)に示す態様では、φ12[mm]×高さ(長手方向L)11[mm]に小型化できた。
【実施例2】
【0069】
また、前述の実施例では、保持部材12aは、2段のヒンジ部材12cを有していたが、この態様に限らない。例えば、ヒンジ部材12cは、3段以上であっても良いし、図10(a)に示すように、1段であっても良い。このようにしても、ヒンジ部材12cにより長手方向L以外の外部荷重Fが低減される。
【実施例2】
【0070】
また、前述の実施例では、保持器12の荷重受部材12fには、当接部12gが一体的に形成されていたが、この態様に限らない。例えば、図10(b)に示すように、荷重受部材12fが直接的に水晶振動子14と当接する態様であっても良い。
【実施例2】
【0071】
前述の実施例2では、水晶振動子14は水晶基板CPに多数個同時に形成されてそれから分割されたものであり、保持板54はシリコン基板Siに多数個同時に形成されてそれから分割されたものであったが、水晶振動子14および保持板54の一方がそのような製造方法で製造されたものであってもよい。
【実施例2】
【0072】
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えばロボット、医療、福祉、介護、移動体、健康器具、微細作業、生体信号検知などの分野にて利用することができる。具体的には、本発明の水晶振動子を用いた荷重センサは、高負荷時に微小力の計測が可能であることから、ベッド等に加わる分布荷重や体重やグリップ力(把持力)などの大きな力と、呼吸や心拍数(脈)などの生体信号との同時計測を行うときなどに利用することができる。又、重い対象物の保持などから、脆弱物を対象とした繊細な作業などまでをロボットに行わせるときなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10、50:荷重センサ(水晶振動子を用いた荷重センサ)
12、52:保持器
12a、54a:保持部材
12b、54b:基底部
12c、54c:ヒンジ部材
12d,12e、54d、54e:側柱部
12f、54f:荷重受付部(荷重受部材)
14:水晶振動子
14a:線状切込溝
16:ケース
16a:ネジ山
16b:面
16c:貫通孔
18:ネジ部材
18a:溝
18b:連通溝
18d:連通孔
18e:貫通孔
20:スラスト軸受
22,24:電線
26:筐体
28:電極
54:保持板
56:ハット形状のスロット
58:リード線
60:リード線穴
D:凹面
Si:シリコン基板(板材)
CP:水晶板(板材)
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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