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明細書 :アンモニア酸化分解触媒、並びにアンモニア酸化分解触媒を用いる水素製造方法及び水素製造装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-164109 (P2016-164109A)
公開日 平成28年9月8日(2016.9.8)
発明の名称または考案の名称 アンモニア酸化分解触媒、並びにアンモニア酸化分解触媒を用いる水素製造方法及び水素製造装置
国際特許分類 C01B   3/04        (2006.01)
B01J  29/74        (2006.01)
B01J  29/44        (2006.01)
B01J  29/67        (2006.01)
B01J  29/22        (2006.01)
B01J  29/12        (2006.01)
B01J  37/00        (2006.01)
B01J  37/08        (2006.01)
FI C01B 3/04 B
B01J 29/74 M
B01J 29/44 M
B01J 29/67 M
B01J 29/22 M
B01J 29/12 M
B01J 37/00 Z
B01J 37/08
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-045351 (P2015-045351)
出願日 平成27年3月6日(2015.3.6)
発明者または考案者 【氏名】永岡 勝俊
【氏名】佐藤 勝俊
出願人 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100087413、【弁理士】、【氏名又は名称】古賀 哲次
【識別番号】100093665、【弁理士】、【氏名又は名称】蛯谷 厚志
【識別番号】100128495、【弁理士】、【氏名又は名称】出野 知
【識別番号】100111903、【弁理士】、【氏名又は名称】永坂 友康
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
Fターム 4G169AA03
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4G169BA07A
4G169BA07B
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4G169BC68A
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4G169CC31
4G169DA06
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4G169FA08
4G169FB14
4G169FB29
4G169FC07
4G169ZA02A
4G169ZA03A
4G169ZA04A
4G169ZA04B
4G169ZA06A
4G169ZA06B
4G169ZA08A
4G169ZA11A
4G169ZA11B
4G169ZA13A
4G169ZA13B
4G169ZA19A
4G169ZA19B
4G169ZA36A
4G169ZD03
4G169ZD06
要約 【課題】アンモニアの酸化分解のコールドスタート性に関して優れた特性を有するアンモニア酸化分解触媒、並びにこの触媒を用いた水素製造方法及び水素製造装置を提供する。
【解決手段】本発明の水素製造方法は、Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される1種以上の触媒金属と、触媒金属を担持しているゼオライト担体とを有するアンモニア酸化分解触媒20に、アンモニア及び酸素を含有している原料ガスL1を接触させることによりアンモニアを酸化分解して水素を製造するに際し、ゼオライト担体へのアンモニアの吸着による発熱を利用してアンモニアの酸化分解反応を開始する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される1種以上の触媒金属と、前記触媒金属を担持しているゼオライト担体とを有するアンモニア酸化分解触媒に、アンモニア及び酸素を含有している原料ガスを接触させることによりアンモニアを酸化分解して水素を製造するに際し、前記ゼオライト担体への前記アンモニアの吸着による発熱を利用してアンモニアの酸化分解反応を開始する、水素製造方法。
【請求項2】
前記ゼオライト担体が、A型、フェリエライト、MCM-22、ZSM-5、モルデナイト、L型、Y型、X型、及びベータ型からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンモニア酸化分解触媒を、前記アンモニア酸化分解触媒を不活性雰囲気中において80℃以上300℃以下の温度に加熱して前処理する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アンモニアの酸化分解反応の反応熱によって、前記ゼオライト担体の酸点からアンモニアを脱離させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される一種以上の触媒金属と、前記触媒金属を担持しているゼオライト担体とを有する、アンモニア酸化分解触媒。
【請求項6】
前記ゼオライト担体が、A型、フェリエライト、MCM-22、ZSM-5、モルデナイト、L型、Y型、X型、及びベータ型からなる群より選択される、請求項5に記載の触媒。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のアンモニア酸化分解触媒を備えている、水素製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア酸化分解触媒、並びにアンモニア酸化分解触媒を用いる水素製造方法及び水素製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアを水素媒体とした高度エネルギー変換・利用システムが提唱されている。このシステムでは、日照量の多い地域で、太陽光を利用して水を光分解することにより水素を製造し、得られた水素を窒素と反応させてアンモニアに変換し、液体のアンモニアを消費地まで運搬した後、アンモニアを分解して水素を生成することにより、水素が利用される。
【0003】
上記システムの実用化に向けて、アンモニアの分解に用いられるアンモニアの分解触媒の開発が行われている。アンモニアの分解触媒に関しては、これまでにも種々の触媒が提案されている(例えば、下記特許文献1~4を参照)。
【0004】
また、2NH→N+3Hで示されるアンモニアの分解反応は吸熱反応であり、アンモニアを十分に分解するには400℃という温度が必要である。したがって、従来のアンモニアの分解触媒を利用した水素製造装置では、起動のために触媒を400℃まで加熱する必要があり、起動後も更に外部からの熱供給が必要であり、起動時間やエネルギー消費の点で課題がある。
【0005】
このような課題に関して、本件特許の発明者らは、室温などの低い温度から、外部からの熱供給なしに若しくはわずかな熱供給によってアンモニアの酸化分解を開始すること(以下、「アンモニアの酸化分解のコールドスタート」という場合もある)を可能とするアンモニア酸化分解触媒、並びにこの触媒を用いた水素製造方法及び水素製造装置を提案している(下記特許文献5)。
【0006】
なお、この特許文献5では、アンモニア酸化分解触媒として、Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される1種以上の触媒金属と、この触媒金属を担持している担体とを有するアンモニア酸化分解触媒を開示しており、この担体としては具体的には、La、MgO、Mg-Alオキサイドからなる群より選択される1種以上の酸化物、Al及びSiOからなる群より選択される一種以上の酸化物、並びにCe、Zr及びPrから選択される1種又は2種以上の元素を含有している酸化物を挙げている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2005-246163号公報
【特許文献2】特開2006-326578号公報
【特許文献3】特開2006-346642号公報
【特許文献4】特開2007-021482号公報
【特許文献5】特開2014-111517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本件発明者らが特許文献5で提案しているアンモニア酸化分解触媒、並びにこの触媒を用いた水素製造方法及び水素製造装置は、アンモニアの酸化分解のコールドスタートに関する課題を少なくとも部分的に解消するものであるが、本発明では、このコールドスタートに関して更に優れた特性を有するアンモニア酸化分解触媒、並びにこの触媒を用いた水素製造方法及び水素製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、上記の課題について検討の結果、下記の本発明に想到した。
【0010】
本発明の水素製造方法は、Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される1種以上の触媒金属と、触媒金属を担持しているゼオライト担体とを有するアンモニア酸化分解触媒に、アンモニア及び酸素を含有している原料ガスを接触させることによりアンモニアを酸化分解して水素を製造するに際し、ゼオライト担体へのアンモニアの吸着による発熱を利用してアンモニアの酸化分解反応を開始する。
【0011】
また、本発明のアンモニア酸化分解触媒は、Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される一種以上の触媒金属と、触媒金属を担持しているゼオライト担体とを有する。
【0012】
また、本発明の水素製造装置は、本発明のアンモニア酸化分解触媒を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アンモニア酸化分解の優れたコールドスタート性を有するアンモニア酸化分解触媒、並びにこの触媒を用いた水素製造方法及び水素製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る水素製造装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る水素製造装置の他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《水素製造方法》
本発明の水素製造方法は、Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される1種以上の触媒金属と、この触媒金属を担持しているゼオライト担体とを有するアンモニア酸化分解触媒に、アンモニア及び酸素を含有している原料ガスを接触させることによりアンモニアを酸化分解して水素を製造するに際し、ゼオライト担体へのアンモニアの吸着による発熱を利用してアンモニアの酸化分解反応を開始する。

【0016】
すなわち、本発明の水素製造方法によれば、原料ガスに含有されているアンモニアのゼオライト担体への吸着、特にゼオライト担体の酸点への塩基としてのアンモニアの吸着による発熱を利用することにより、速やかにアンモニアの燃焼開始温度に到達させることができる。

【0017】
また、本発明の水素製造方法によれば、アンモニアの燃焼開始温度に到達した後は、原料ガスに含有されている酸素でアンモニアを燃焼させることによる発熱によって、外部からの熱供給なし又は外部からの熱供給を少なくして、アンモニアを水素及び窒素に分解する吸熱反応を進行させることができる。

【0018】
この本発明の方法では、触媒金属の担体としてゼオライトを用いることによって、ゼオライトに代えてSiO-Al等の他の担体を用いる特許文献5の方法と比較しても、予想外に更に優れたアンモニアの酸化分解のコールドスタート性を提供することができ、例えばアンモニアの酸化分解触媒の前処理に必要な温度を低下させることができる。

【0019】
理論に限定されるものではないが、これは、ゼオライトが結晶質であり、かつ微細多孔構造を有することによって、酸点数が多く、酸強度が強く、それによってアンモニアの吸着において大きな熱量をもたらすことによると考えられる。

【0020】
本発明の水素製造方法で用いられるアンモニア酸化分解触媒については、本発明のアンモニア酸化分解触媒に関する下記の記載を参照することができる。

【0021】
(前処理)
本発明の水素製造方法では、ゼオライト担体の酸点を発現させるための前処理を行うことが好ましい。

【0022】
この前処理は、アンモニア酸化分解触媒を、不活性雰囲気中、空気流通下、又は静止空気中において、80℃以上、90℃以上、又は100℃以上であって、300℃以下、250℃以下、200℃以下、150℃以下、又は120℃以下の温度に加熱して行うことができる。

【0023】
したがって例えば、この前処理は、触媒を反応器に充填して触媒層を設けた後で、上記の温度に加熱した触媒層に不活性ガスとして例えばHeガスを5分~5時間、好ましくは10分~3時間、より好ましくは30分~2時間流通させ、その後、触媒層の温度を例えば100℃~常温に低下させることにより行うことができる。この際、不活性ガスの代わりに空気を流通してもよく、又は静止空気中で処理してもよい。触媒層の温度を低下させる際には触媒上の酸点を維持するために酸点を被毒する水蒸気を含まない雰囲気に保持すること、例えばHeでパージを行うことが好ましい。

【0024】
(原料ガス)
原料ガスにおけるアンモニアと酸素との体積比は、1.0:0.095~0.5が好ましく、1.0:0.2~0.4がより好ましい。空気を用いる場合、上記のアンモニアと酸素の比率になるよう空気の量を調節することができる。原料ガスには、発熱量を調整するために、ヘリウムなどの不活性ガスを随伴させることもできる。

【0025】
(ゼオライト担体の酸点の再生)
本発明の方法の1つの態様では、アンモニアの酸化分解反応が一旦連続的に行われるようになったときに、この反応の反応熱によって、ゼオライト担体の酸点からアンモニアを脱離させることができる。これによれば、ゼオライト担体の酸点を再生して、アンモニアの吸着に関して再び利用可能にすることができ、したがって触媒に前処理を施さなくても、繰り返しアンモニアの分解反応を開始させることができる。

【0026】
すなわち例えば、この態様によれば、反応停止・触媒層を降温した後、酸点を被毒する水蒸気に触れないような条件、例えば不活性雰囲気下若しくは還元雰囲気下(例えば、水素雰囲気下)、又は乾燥空気中で触媒系を維持することにより、上述したような前処理(スタート前の加熱・水素還元処理など)を施すことなく2回目の起動が可能となる。

【0027】
なお、このとき触媒が酸素を含有しているガスに触れても、アンモニアの吸着点が十分に残れば、前処理を施すことなく2回目の起動が可能となる。具体的には、例えば、Heなどの不活性ガスを流通させることで触媒層をパージし、発熱を止め、触媒層を常温まで降温した後、原料ガスを供給することにより再起動が可能となる。このとき、水蒸気を含まなければ、触媒層をパージするガスとしては空気や酸素を供給してもよい。

【0028】
上記の効果は、アンモニアの酸化分解反応の反応熱によって吸着したアンモニアが担体からin-situ脱離され、酸点が再び発現することによるものと考えられる。

【0029】
この態様において、二回目又は三回目以降の起動時には、アンモニアと酸素(好ましくは空気)を含有している原料ガスを供給、又は酸素(好ましくは空気)を先に供給してからアンモニアを含有している原料ガスを供給することが望ましい。

【0030】
(アンモニア酸化分解触媒)
本発明のアンモニア酸化分解触媒は、Ru、Co、Rh、Ir及びNiからなる群より選択される一種以上の触媒金属と、この触媒金属を担持しているゼオライト担体とを有する。

【0031】
本発明のアンモニア酸化分解触媒は、本発明の水素製造方法で用いることができる。すなわち、本発明のアンモニア酸化分解触媒によれば、アンモニア酸化分解の優れたコールドスタート性を提供することができる。

【0032】
(担体)
ゼオライト担体としては、天然又は合成ゼオライトを用いることができ、ゼオライト担体は例えば、A型、フェリエライト、MCM-22、ZSM-5、モルデナイト、L型、Y型、X型、及びベータ型からなる群より選択されるゼオライト担体であってよい。ゼオライト担体は、シリカ・アルミナゲルを出発原料として用いる合成方法で合成することもできるが、市販のゼオライトを用いることができる。

【0033】
担体は、上記ゼオライト担体以外の化合物を含有することができる。例えば、成型体として機械的強度を維持する目的でアルミナなどをバインダー成分として用いることができる。

【0034】
担体の形状は、円筒状、ペレット状、球状、塊状、粉状とすることができる。担体の形状は、担体の粉化や異物混入などによって触媒間の空隙が閉塞して反応流体の流通が妨げられたり、差圧が発生したりすることが無いよう、円筒状、ペレット、球状、塊状のいずれかの形状を有することが望ましい。

【0035】
(触媒金属)
本発明のアンモニア酸化分解触媒において、触媒金属の含有量は、触媒の全質量を基準として、0.1~50.0質量%であることが好ましく、0.5~40.0質量%であることがより好ましく、1.0~30.0質量%であることがさらに好ましい。

【0036】
触媒金属の担体への担持方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用することにより容易に行うことができる。例えば、含浸法、沈着法、共沈法、混練法、イオン交換法、ポアフィリング法等が挙げられ、特に含浸法が望ましい。

【0037】
触媒を製造する際の触媒金属の出発物質は、担持法により異なり、適宜選択することができるが、通常、塩化物、硝酸塩、酢酸等の有機酸塩、カルボニル化物を用いることができる。

【0038】
触媒を製造する際の触媒金属の出発物質としては、具体的には、Ru(C、RuCl、Ru(NO)(NO(OH)、Rh(NO・2HO、Ru(CO)12、[(CHCOO)Rh]、[Rh(C15COO)、RhCl・nHO、Rh(NO、Rh(C)x・nHO、C1521IrO、IrCl・nHO、Ni(NO・6HO、(CHCOO)Ni・4HO、NiCl・6HO、Ni(O・nHO、Co(NO・6HO、(CHCOCHCOCHCo・2HO、Co(CO)、CoCl・6HOを用いることができる。

【0039】
含浸法を適用する場合、例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸等の有機酸塩、カルボニル化物を水または有機溶剤に加えた溶液を調製し、担体に含浸させたのち、乾燥、必要に応じ焼成する方法を例示することができる。

【0040】
焼成は、通常、空気や窒素雰囲気下などで行われ、温度は、上記塩化物、硝酸塩、酢酸等の有機酸塩、カルボニル化物の分解温度以上であれば特に限定されないが、例えば、100~1000℃、好ましくは200~900℃、より好ましくは250~800℃が望ましい。

【0041】
(水素製造装置)
本発明の水素製造装置は、本発明のアンモニア酸化分解触媒を備える。

【0042】
本発明に係る水素製造装置によれば、本発明のアンモニア酸化分解触媒を備えることにより、起動のためのエネルギーの消費を抑制することができ、起動後は外部からの熱供給なしに水素を製造することができる。本発明に係る水素製造装置は、起動性及び省エネルギーに優れた装置であるといえる。

【0043】
本発明に係る水素製造装置の具体的態様としては、特許文献5で示すような水素製造装置を挙げることができる。

【0044】
図1は、本発明に係る水素製造装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示される水素製造装置1は、反応器10と、反応器10内に設けられた触媒層20と、反応器10を取り囲むように設けられた断熱材30とを備える。反応器10の入口には、水素の原料となる原料ガスを導入するための流路L1が接続され、反応器10の出口には、生成ガスを取り出すための流路L2が接続されている。更に、反応器10は、仕切材40で仕切られた触媒層20の上流側及び下流側に不活性充填材50が充填されている。

【0045】
図2は、本発明に係る水素製造装置の他の実施形態を示す模式図である。図1に示される水素製造装置2は、断熱材30が反応器10の下流側にのみ設けられていること、不活性充填材50が触媒層20の下流側にのみ充填されていること以外は図1の水素製造装置1と同様の構成を有している。

【0046】
反応器10は、固定床流通式反応器であることが好ましい。反応器は単一であってもよいし、直列又は並列に配置された複数で構成されてもよい。また反応器内に設けられる触媒床は単一であってもよいし、複数に区分されていてもよい。

【0047】
触媒層20は、本発明に係るアンモニア酸化分解触媒が充填される。

【0048】
断熱材30としては、熱伝導性が低く、アンモニア酸化分解反応温度で十分な耐熱性を有する一般的な断熱材を使用することができる。例えば、セラミック、ロックウール、ケイ酸カルシウム水和物系などを用いることができる。

【0049】
仕切材40は、触媒が不活性充填材と混合しないようにするためのものであり、例えば、石英ウール、金属製メッシュ、又はパンチングメタル板などを用いることができる。

【0050】
不活性充填材50としては、触媒層20の固定や反応流体の整流を目的として、例えば、α-Alボール、セラミックボール、炭化ケイ素などの反応に不活性な成型物又は粒状物を用いることができる。

【0051】
本発明の水素製造装置1及び2によれば、上記の本発明の水素製造方法を実施することができる。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
Ru(CO)12(田中貴金属工業(株)製)をテトラヒドロフランに溶かした溶液に、担体としてのβ型(Z-HB25)ゼオライト粒子(触媒学会参照触媒、JRC-Z-HB25)を含浸した後、ロータリーエバポレーターにて蒸発乾固し、Ruの担持量が触媒の全質量を基準として5質量%となるように担持を行った。次に、得られた含浸物をHe流通下、350℃で5時間、加熱処理して、実施例1の触媒を得た。
【実施例】
【0053】
(実施例2~7)
担体として、下記のゼオライトを用いたことを除いて実施例1と同様にして、実施例2~7の触媒を得た。
実施例2:ZSM-5(90NA)ゼオライト(触媒学会参照触媒、JRC-Z-90NA)
実施例3: ZSM-5(ZSM-5)ゼオライト(東ソー株式会社、HSZ-820NHA)
実施例4:フェリエライト(FER)(東ソー株式会社、HSZ-720NHA)
実施例5:モルデナイト(MOR)(東ソー株式会社、HSZ-640HOA)
実施例6:ZSM-5(ZSM-5)(東ソー株式会社、HSZ-840NHA)
実施例7:Y型(Na-Y)ゼオライト(触媒学会参照触媒、JRC-Z-Y5.5)
【実施例】
【0054】
(比較例1~3)
担体として、下記の担体を用いたことを除いて実施例1と同様にして、比較例1~3の触媒を得た。
比較例1:γ-Al粒子(住友化学株式会社、高純度アルミナAKP-G15、空気中700℃で5時間焼成したもの)
比較例2:SiO粒子(日本アエロジル株式会社、AEROSIL300、空気中700°Cで、5時間焼成したもの)
比較例3:SiO-Al粒子(日揮触媒化成株式会社、IS-28E、空気中700℃で5時間焼成したもの)
【実施例】
【0055】
(評価)
図2と同様の構成を有する反応装置を用意した。反応装置は、直径7mmの円筒状の常圧固定床流通式反応器と、この容器の触媒層から下流部分を囲むように設けられたセラミック製断熱材とを有しており、石英ウールで仕切られた触媒層の下流側にはα-Alボールが充填されている。反応装置の内部には触媒層にまで到達する熱電対が設けられており、これにより触媒層の温度を測定することができる。また、反応器の外側に設けられた電気炉により触媒層、石英ウール、α-Alボールを加熱することができる。
【実施例】
【0056】
上記の反応装置を用いて以下の手順により水素の製造を行った。まず、前処理として、触媒0.2gを充填した触媒層を加熱し、ヘリウムガスを50℃、100℃、200℃、300℃、400℃、又は450℃で、0.5時間流通させた。
【実施例】
【0057】
その後、触媒層の加熱を止め、Heでパージを行った。触媒層の温度が常温に低下した後、NH、O及びHeが混合した原料ガスをNH/O/He=150/37.5/20.8(ml/分)の割合で反応装置の入口から常温で供給し、生成ガスをGC-TCD(GC-8A、島津製作所製)により分析した。
【実施例】
【0058】
(実施例1の触媒の評価)
触媒として実施例1の触媒を用いた場合、前処理においてヘリウムガスを流通させる温度が50℃及び100℃の場合には、アンモニア及び酸素を含有する原料ガスからの水素及び窒素への転化が実質的に観察されなかったが、この前処理温度が200℃以上の場合には、水素及び窒素への転化が観察された。水素及び窒素への転化のために必要な触媒の前処理温度、必要最低前処理温度が比較的低いことは、アンモニア酸化分解触媒としての有用性が大きいことを意味している。
【実施例】
【0059】
また、この必要最低前処理温度である200℃におけるアンモニア(NH)及び酸素(O)の転化率は、いずれも100%であった。また、アンモニア(NH)からの水素(H)及び窒素(N)の収率はそれぞれ、66.3%及び100%であった。また、水素(H)への選択率は、66.6%であった。実施例1についての試験条件及び試験結果を表1にまとめている。
【実施例】
【0060】
(実施例2~7の触媒の評価)
実施例2~7の触媒についても実施例1の触媒と同様にして、必要最低前処理温度、並びに必要最低前処理温度で前処理を行った場合の転化率、収率、選択率を評価した。実施例2~7についての試験条件及び試験結果を表1にまとめている。
【実施例】
【0061】
(比較例1~3の触媒の評価)
比較例1~3の触媒についても実施例1の触媒と同様にして、必要最低前処理温度、並びに必要最低前処理温度で前処理を行った場合の転化率、収率、選択率を評価した。比較例1~3についての試験条件及び試験結果を表1にまとめている。なお、比較例2の触媒では、前処理温度が450℃のときにも、アンモニア及び酸素を含有する原料ガスからの水素及び窒素への転化が実質的に観察されなかった。
【実施例】
【0062】
【表1】
JP2016164109A_000003t.gif
【実施例】
【0063】
表1からは、触媒金属の担体としてゼオライトを用いている実施例1~7のアンモニア酸化分解触媒では、ゼオライトに代えてSiO、Al、又はSiO-Alを用いている比較例1~3のアンモニア酸化分解触媒と比較しても、アンモニアの酸化分解触媒の前処理に必要な温度(必要最低前処理温度)が予想外に低下していることが理解される。
【符号の説明】
【0064】
1,2… 水素製造装置
10… 反応器
20… 触媒層
30… 断熱材
40… 仕切材
50… 不活性充填材
図面
【図1】
0
【図2】
1