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明細書 :官能基含有又は非含有環状化合物及びこれらの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成27年7月30日(2015.7.30)
発明の名称または考案の名称 官能基含有又は非含有環状化合物及びこれらの製造方法
国際特許分類 C07C  25/22        (2006.01)
C07C  41/18        (2006.01)
C07C  17/357       (2006.01)
C07C  43/192       (2006.01)
C07C  43/21        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 25/22 CSP
C07C 41/18
C07C 17/357
C07C 43/192
C07C 43/21
C07B 61/00 300
国際予備審査の請求
全頁数 83
出願番号 特願2014-503546 (P2014-503546)
国際出願番号 PCT/JP2013/056353
国際公開番号 WO2013/133386
国際出願日 平成25年3月7日(2013.3.7)
国際公開日 平成25年9月12日(2013.9.12)
優先権出願番号 2012052318
優先日 平成24年3月8日(2012.3.8)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KM , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ , VC
発明者または考案者 【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】瀬川 泰知
【氏名】大町 遼
【氏名】松浦 沙奈枝
【氏名】中西 勇介
【氏名】石井 優貴
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H039
Fターム 4H006AA01
4H006AA02
4H006AC12
4H006AC13
4H006AC24
4H006BA21
4H006BA25
4H006BA45
4H006BA48
4H006BA92
4H006BB11
4H006BB12
4H006BB17
4H006BB22
4H006BB25
4H006BB31
4H006EA22
4H006GP01
4H006GP02
4H006GP22
4H039CA40
4H039CH10
要約 今までに選択合成されていない10個、11個又は13個のベンゼン環を有するシクロパラフェニレン化合物を選択的に合成する。また、今までに成功していない所望の箇所に官能基を導入したシクロパラフェニレン化合物も合成する。
特定の原料を特定の反応を用いて反応させることで、10、11又は13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物を選択的に純物質として得られる。また、特定の官能基非含有有機化合物と特定の官能基含有有機化合物とを反応させる工程を備える方法により、10個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基が、置換基で置換された1,4-フェニレン基で置換された、官能基含有環状化合物が得られる。
特許請求の範囲 【請求項1】
10個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基が、一般式(2):
【化1】
JP2013133386A1_000084t.gif
[式中、Rは置換基である。]
で示される基で置換された、官能基含有環状化合物。
【請求項2】
一般式(2)で示される基の数が1個であり、2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基の数が9個以上である、請求項1に記載の官能基含有環状化合物。
【請求項3】
前記Rがハロゲン原子である、請求項1又は2に記載の官能基含有環状化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の官能基含有環状化合物の製造方法であって、
1個以上の一般式(2)で示される基と、
3~4個の一般式(1):
【化2】
JP2013133386A1_000085t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される基と、
6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなる輪状の化合物が有するシクロヘキサン環部を、ベンゼン環に変換する工程
を備える、製造方法。
【請求項5】
さらに、官能基非含有化合物と官能基含有化合物とを反応させて前記輪状の化合物を得る工程を備え、且つ、
前記官能基非含有化合物は、一般式(I):
【化3】
JP2013133386A1_000086t.gif
[式中、Rは前記に同じ;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物、及び
一般式(II):
【化4】
JP2013133386A1_000087t.gif
[式中、Yは前記に同じである。]
で示される化合物
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(III):
【化5】
JP2013133386A1_000088t.gif
[式中、R及びYは前記に同じである。]
で示される化合物、又は
前記一般式(III)で示される化合物と少なくとも1個の前記官能基非含有化合物とを反応させて得られる化合物である、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記官能基非含有化合物は、一般式(VII-1):
Y-R-Y
[式中、Rは、1~3個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(VII-2):
Y-R-Y
[式中、Rは、1個以上の一般式(2)で示される構造単位と、0~2個の一般式(1)で示される構造単位と、0個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物である、
請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
1個以上の一般式(2):
【化6】
JP2013133386A1_000089t.gif
[式中、Rは置換基である。]
で示される基と、
3~4個の一般式(1):
【化7】
JP2013133386A1_000090t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される基と、
6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなる輪状の化合物。
【請求項8】
請求項7に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
官能基非含有化合物と官能基含有化合物とを反応させて前記輪状の化合物を得る工程を備え、且つ、
前記官能基非含有化合物は、一般式(I):
【化8】
JP2013133386A1_000091t.gif
[式中、Rは前記に同じ;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物、及び
一般式(II):
【化9】
JP2013133386A1_000092t.gif
[式中、Yは前記に同じである。]
で示される化合物
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(III):
【化10】
JP2013133386A1_000093t.gif
[式中、R及びYは前記に同じである。]
で示される化合物、又は
前記一般式(III)で示される化合物と少なくとも1個の前記官能基非含有化合物とを反応させて得られる化合物である、
製造方法。
【請求項9】
前記官能基非含有化合物は、一般式(VII-1):
Y-R-Y
[式中、Rは、1~3個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(VII-2):
Y-R-Y
[式中、Rは、1個以上の一般式(2)で示される構造単位と、0~2個の一般式(1)で示される構造単位と、0個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物である、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
9~13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(IV):
X-R-X
[式中、Rは、3~4個の一般式(1):
【化11】
JP2013133386A1_000094t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子である。]
で示される鎖状化合物の末端原子同士を、分子内閉環反応により反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【請求項11】
10~13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(V-1):
Y-R5a-Y
[式中、R5aは、3個の一般式(1)で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(V-2):
Y-R5b-Y
[式中、R5bは、1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【請求項12】
9~13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(VI-1):
Y-R6a-Y
[式中、R6aは、2個の一般式(1)で示される構造単位と、4個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(VI-2):
Y-R6b-Y
[式中、R6bは、1個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【請求項13】
3~4個の一般式(1):
【化12】
JP2013133386A1_000095t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される構造単位と、
6~9個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなり、且つ、
一般式(1)で示される構造単位と2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基とを合計で10、11又は13個有する、輪状の化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
一般式(IV):
X-R-X
[式中、Rは、3~4個の一般式(1):
【化13】
JP2013133386A1_000096t.gif
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子である。]
で示される鎖状化合物の末端原子同士を、分子内閉環反応により反応させる工程
を備える、製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
一般式(V-1):
Y-R5a-Y
[式中、R5aは、3個の一般式(1)で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(V-2):
Y-R5b-Y
[式中、R5bは、1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【請求項16】
請求項13に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
一般式(VI-1):
Y-R6a-Y
[式中、R6aは、2個の一般式(1)で示される構造単位と、4個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(VI-2):
Y-R6b-Y
[式中、R6bは、1個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、官能基含有又は非含有環状化合物及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素原子を含むナノ構造体としては、2次元のグラフェンシートを筒状に巻いた構造を有するカーボンナノチューブ、このカーボンナノチューブからなる輪状カーボンナノチューブ等が知られている。
【0003】
カーボンナノチューブは、機械的強度も極めて高く、高温にも耐えうること、そして、電圧をかけると効率よく電子を放出する等の優れた性質を有していることから、化学分野、電子工学分野、生命科学分野等の様々な分野への応用が期待されている。
【0004】
カーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法、レーザー・ファネス法及び化学気相成長法等が知られている。しかし、これらの製造方法では、様々な太さと長さのカーボンナノチューブが混合物という形でしか得られないという問題がある。
【0005】
近年、カーボンナノチューブのように、炭素原子の連続的な結合により、一定以上の長さを有する管状のナノ構造体ではなく、輪状のナノ構造体が検討されつつある。例えば、シクロパラフェニレン(CPP)は、ベンゼンをパラ位で環状につなげたシンプルで美しい分子であり、近年、非常に特異な構造や性質を有することが明らかになってきている。特に、このCPPは、構成するベンゼン環の数によって径が異なり、その性質も異なり、また、作り分けをすることができれば、異なる径を有するカーボンナノチューブへの展開が期待されるため、ベンゼン環の数の異なるCPPを完全に作り分けることが求められている。しかしながら、CPPは、混合物として得る手法は知られているものの、選択合成に成功した例は非常に少ない。
【0006】
本発明者らは、シクロヘキサン環を屈曲部として用いた輪状のシクロパラフェニレン前駆体として用いる手法により、様々なシクロパラフェニレン化合物の合成に成功した(特許文献1~2、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】国際公開第2011/099588号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2011/111719号パンフレット
【0008】

【非特許文献1】Takaba,H.;Omachi,H.;Yamamoto,Y.;Bouffard,J.;Itami,K. Angew.Chem. Int. Ed.2009, 48, 6112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記手法により合成されたシクロパラフェニレン化合物は、9個、12個又は14個以上のベンゼン環からなる化合物であり、10個、11個又は13個のベンゼン環を有するシクロパラフェニレン化合物の合成方法はいまだ知られていない。しかも、仮に偶然合成できたとしても少量に過ぎず、混合物としてしか得られず、これらの数のベンゼン環を有するシクロパラフェニレン化合物の選択合成はいまだなし得ていない。
【0010】
また、上記のように、シクロパラフェニレン化合物は、非常に特異な構造や性質を有しているが、そこに官能基を導入して新たな機能を導入する試みはなされていない。このように、CPPの所望の箇所に官能基を導入するには、CPPのような対称性の高い分子においては、等価な反応点が多数存在する(例えば、12個のベンゼン環を有する[12]CPPの場合48個もの等価な反応点が存在する)ため、数及び位置を制御した官能基の導入は困難であるからである。
【0011】
これらの点から、本発明では、今までに選択合成されていない10個、11個又は13個のベンゼン環を有するシクロパラフェニレン化合物を選択的に合成することを目的とする。また、今までに成功していない所望の箇所に官能基を導入したシクロパラフェニレン化合物を合成することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、様々な原料の組合せ及び様々な反応を採用することにより、今までに合成されていない10個、11個又は13個のベンゼン環を有するシクロパラフェニレン化合物を混合物としてではなく純物質として、選択的に合成できることを見出した。また、原料に官能基を導入しておき、これが反応しないように合成することで、所望の位置に官能基を導入したシクロパラフェニレン化合物を合成できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の項1~16の環状化合物及びその製造方法、並びに該環状化合物の製造原料として好適な化合物及びその製造方法を包含する。
【0013】
項1.10個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基が、一般式(2):
【0014】
【化1】
JP2013133386A1_000002t.gif

【0015】
[式中、Rは置換基である。]
で示される基で置換された、官能基含有環状化合物。
【0016】
項2.一般式(2)で示される基の数が1個であり、2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基の数が9個以上である、項1に記載の官能基含有環状化合物。
【0017】
項3.前記Rがハロゲン原子である、項1又は2に記載の官能基含有環状化合物。
【0018】
項4.項1~3のいずれかに記載の官能基含有環状化合物の製造方法であって、
1個以上の一般式(2)で示される基と、
3~4個の一般式(1):
【0019】
【化2】
JP2013133386A1_000003t.gif

【0020】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される基と、
6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなる輪状の化合物が有するシクロヘキサン環部を、ベンゼン環に変換する工程
を備える、製造方法。
【0021】
項5.さらに、官能基非含有化合物と官能基含有化合物とを反応させて前記輪状の化合物を得る工程を備え、且つ、
前記官能基非含有化合物は、一般式(I):
【0022】
【化3】
JP2013133386A1_000004t.gif

【0023】
[式中、Rは前記に同じ;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物、及び
一般式(II):
【0024】
【化4】
JP2013133386A1_000005t.gif

【0025】
[式中、Yは前記に同じである。]
で示される化合物
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(III):
【0026】
【化5】
JP2013133386A1_000006t.gif

【0027】
[式中、R及びYは前記に同じである。]
で示される化合物、又は
前記一般式(III)で示される化合物と少なくとも1個の前記官能基非含有化合物とを反応させて得られる化合物である、
項4に記載の製造方法。
【0028】
項6.前記官能基非含有化合物は、一般式(VII-1):
Y-R-Y
[式中、Rは、1~3個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(VII-2):
Y-R-Y
[式中、Rは、1個以上の一般式(2)で示される構造単位と、0~2個の一般式(1)で示される構造単位と、0個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物である、
項5に記載の製造方法。
【0029】
項7.1個以上の一般式(2):
【0030】
【化6】
JP2013133386A1_000007t.gif

【0031】
[式中、Rは置換基である。]
で示される基と、
3~4個の一般式(1):
【0032】
【化7】
JP2013133386A1_000008t.gif

【0033】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される基と、
6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなる輪状の化合物。
【0034】
項8.項7に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
官能基非含有化合物と官能基含有化合物とを反応させて前記輪状の化合物を得る工程を備え、且つ、
前記官能基非含有化合物は、一般式(I):
【0035】
【化8】
JP2013133386A1_000009t.gif

【0036】
[式中、Rは前記に同じ;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物、及び
一般式(II):
【0037】
【化9】
JP2013133386A1_000010t.gif

【0038】
[式中、Yは前記に同じである。]
で示される化合物
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(III):
【0039】
【化10】
JP2013133386A1_000011t.gif

【0040】
[式中、R及びYは前記に同じである。]
で示される化合物、又は
前記一般式(III)で示される化合物と少なくとも1個の前記官能基非含有化合物とを反応させて得られる化合物である、
製造方法。
【0041】
項9.前記官能基非含有化合物は、一般式(VII-1):
Y-R-Y
[式中、Rは、1~3個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物であり、
前記官能基含有化合物は、一般式(VII-2):
Y-R-Y
[式中、Rは、1個以上の一般式(2)で示される構造単位と、0~2個の一般式(1)で示される構造単位と、0個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物である、
項8に記載の製造方法。
【0042】
項10.9~13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(IV):
X-R-X
[式中、Rは、3~4個の一般式(1):
【0043】
【化11】
JP2013133386A1_000012t.gif

【0044】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子である。]
で示される鎖状化合物の末端原子同士を、分子内閉環反応により反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【0045】
項11.10~13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(V-1):
Y-R5a-Y
[式中、R5aは、3個の一般式(1)で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(V-2):
Y-R5b-Y
[式中、R5bは、1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【0046】
項12.9~13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(VI-1):
Y-R6a-Y
[式中、R6aは、2個の一般式(1)で示される構造単位と、4個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(VI-2):
Y-R6b-Y
[式中、R6bは、1個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【0047】
項13.3~4個の一般式(1):
【0048】
【化12】
JP2013133386A1_000013t.gif

【0049】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基である。)
で示される構造単位と、
6~9個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなり、且つ、
一般式(1)で示される構造単位と2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基とを合計で10、11又は13個有する、輪状の化合物。
【0050】
項14.項13に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
一般式(IV):
X-R-X
[式中、Rは、3~4個の一般式(1):
【0051】
【化13】
JP2013133386A1_000014t.gif

【0052】
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子である。]
で示される鎖状化合物の末端原子同士を、分子内閉環反応により反応させる工程
を備える、製造方法。
【0053】
項15.項13に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
一般式(V-1):
Y-R5a-Y
[式中、R5aは、3個の一般式(1)で示される構造単位と、6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(V-2):
Y-R5b-Y
[式中、R5bは、1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【0054】
項16.項13に記載の輪状の化合物の製造方法であって、
一般式(VI-1):
Y-R6a-Y
[式中、R6aは、2個の一般式(1)で示される構造単位と、4個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(VI-2):
Y-R6b-Y
[式中、R6bは、1個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える、製造方法。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基(特に1,4-フェニレン基)の数を、9個以上であればどの数でも自在に変更した環状化合物(特にシクロパラフェニレン化合物)を選択的に純物質として合成することが可能である。このため、本発明により得られる環状化合物を、構成する数の違いにより生じる径の違いにより、様々な電子材料、発光材料等に好適に用いることができる。
【0056】
また、このように、様々な数の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基(特に1,4-フェニレン基)を有する環状化合物(特に1,4-フェニレン基)を選択的に純物質として合成可能であるため、2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基(特に1,4-フェニレン基)の数に応じた径を有するカーボンナノチューブの合成材料として有用である。
【0057】
さらに、本発明によれば、シクロパラフェニレン化合物のように対象性が高く、等価な反応点を多数有する環状化合物の所望の箇所に所望の数だけ官能基を導入することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[1]環状化合物
本発明の環状化合物は、官能基が導入されていない環状化合物であり、10、11又は13個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物である。

【0059】
このような化合物は、具体的には、一般式(A):

【0060】
【化14】
JP2013133386A1_000015t.gif

【0061】
[式中、Arは同じか又は異なり、それぞれ2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基;nは10、11又は13である。]
で示される環状化合物である。

【0062】
Arは、2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基である。つまり、Arは芳香環及び複素環から選ばれる有機環を備える2価の基(以下、「2価の有機環基」と言うこともある)であり、この有機環を構成する2つの炭素原子に結合する水素原子をそれぞれ、1つずつ脱離させてなる基である。なお、各Arは、同一でもよいし異なっていてもよい。

【0063】
芳香環としては、ベンゼン環だけでなく、複数のベンゼン環を縮合した環(ベンゼン縮合環)、ベンゼン環と他の環を縮合させた環等も挙げられる(以下、複数のベンゼン環を縮合した環及びベンゼン環と他の環を縮合させた環をまとめて、単に「縮合環」と言うことがある)。上記縮合環としては、例えば、ペンタレン環、インデン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環、トリフェニレン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環等が挙げられる。

【0064】
複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、リン原子、ケイ素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種の原子を有する複素環(具体的には、複素芳香環又は複素脂肪族環、特に複素芳香環)が挙げられる。複素環の具体例としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シロール環、ボロール環、ホスホール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。また、これら同士又はこれらとベンゼン環、上記縮合環等との複素縮合環等(チエノチオフェン環、キノリン環等)も使用できる。

【0065】
R’としては、上記の環のなかでも、2価の6員芳香環又は2価の6員複素芳香環を備える基であって、パラ位に結合手を有する基が好ましい。

【0066】
また、Arを形成する有機環としては、単環又は縮合環が好ましく、単環がより好ましい。

【0067】
これらのなかでも、Arは、好ましくはフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)及びナフチレン基(特に1,5-ナフチレン基又は2,6-ナフチレン基)であり、より好ましくはフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)である。

【0068】
本発明の環状化合物においては、n、つまり2価の有機環基の数は、10、11又は13個である。

【0069】
環状化合物としては、例えば、1,4-フェニレン基からなる環状化合物であるシクロパラフェニレン化合物を例に取ると、上記した通り、従来の手法(特許文献1、2、非特許文献1)により、9個、12個、又は14個以上の1,4-フェニレン基からなるシクロパラフェニレン化合物を得ることが可能である。

【0070】
本発明では、これらの9個、12個、又は14個以上の2価芳香族炭化水素基を有する環状化合物も合成可能であるが、今まで選択的に純物質として合成できなかった、10個、11個又は13個の2価の有機環基を有する環状化合物を選択的に純物質として合成できる。つまり、本発明の環状化合物は、文献未記載の新規化合物である(つまり、選択的に純物質として製造できるように記載された文献はない)。

【0071】
また、本発明の環状化合物の大きさは、2価の有機環基(特に1,4-フェニレン基)を10個有する場合は直径1.39nm程度、11個有する場合は直径1.51nm程度、13個有する場合は直径1.79nm程度である。

【0072】
また、本発明の環状化合物としては、全ての有機環基がフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)からなるシクロパラフェニレン化合物が好ましい。

【0073】
また、本発明の環状化合物のうち、例えば、1,4-フェニレン基を10、11又は13個有するシクロパラフェニレン化合物は、下記一般式(A1):

【0074】
【化15】
JP2013133386A1_000016t.gif

【0075】
に示される。

【0076】
本発明の化合物は、統一された半径を有するカーボンナノチューブの合成材料(純粋合成の材料)として有用であり、また、電子材料、発光材料等にも好適に用いることができる。この効果は、上記一般式(A1)に示されるシクロパラフェニレン化合物のように、全ての2価の有機環基が1,4-フェニレン其である場合に特に顕著である。

【0077】
[2]環状化合物の製造方法
<原料>
本発明においては、原料として、一般式(I):

【0078】
【化16】
JP2013133386A1_000017t.gif

【0079】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物、及び
一般式(II):

【0080】
【化17】
JP2013133386A1_000018t.gif

【0081】
[式中、Yは前記に同じである。]
で示される化合物
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物を原料として用いる。

【0082】
より好ましくは、本発明の環状化合物の製造方法においては、一般式(Ia):

【0083】
【化18】
JP2013133386A1_000019t.gif

【0084】
[式中、Rは前記に同じ;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子である。]
で示される化合物、
一般式(Ib):

【0085】
【化19】
JP2013133386A1_000020t.gif

【0086】
[式中、Rは前記に同じ;Y’は同じか又は異なり、それぞれボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物、
一般式(IIa):

【0087】
【化20】
JP2013133386A1_000021t.gif

【0088】
[式中、Xは前記に同じである。]
で示される化合物、及び
一般式(IIb):

【0089】
【化21】
JP2013133386A1_000022t.gif

【0090】
[式中、Y’は前記に同じである。]
で示される化合物
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物を用いて、環状化合物を製造することができる種々様々な化合物の組合せ及び反応を用いることで、本発明の環状化合物を得ることができる。

【0091】
フェニレン基を構成するベンゼン環は、一般に、剛直な平面構造である。一方、上記一般式(I)で示される化合物が有するシクロヘキサン環は、1位及び4位の2箇所でベンゼン環と結合しており、このベンゼン環が、それぞれアキシアル、エクアトリアルの配置にあるいす形配座による非直線構造(L字型形状)を有している。このため、一般式(I)で示される化合物は、直線構造とは異なる非平面及び非直線構造にすることができる。

【0092】
また、シクロヘキサン環には、上述のいす形配座以外に、舟形配座、ねじれ舟形配座等による非平面構造のシクロヘキサン環もある。従って、種々の有機環基を適宜複数選択することにより、様々な構造を有する化合物とすることも可能である。

【0093】
例えば、一般式(I)で示される化合物が、いす形配座のシクロヘキシレン誘導体基を1つのみ有していることから、一般式(I)で示される化合物は、1位及び4位の2箇所でベンゼン環と結合しており、このベンゼン環が、それぞれアキシアル、エクアトリアルの配置にあることにより、L字型の構造を有する化合物とすることができる。また、この場合のL字形構造は、シクロヘキシレン誘導体基における折れ曲がった鋭角部分の角度(以下、「内角」という)が、ほぼ90度の構造となる。さらに、後述の一般式(5)で示される化合物のように、いす型のシクロヘキサン環からなる有機環基を2つ有する場合には、内角がそれぞれ約90度であるU字形構造とすることができる。さらに同様に、後述の一般式(3)で示される化合物のように、いす型のシクロヘキサン環からなる有機環基を3つ有する場合には、内角がそれぞれ約90度であるC字形構造とすることができる。

【0094】
は水素原子又は水酸基の保護基である。

【0095】
水酸基の保護基としては、特に制限されるわけではないが、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシメチル基(-CH-O-CH、以下、「-MOM」と表記する場合がある)等)、アルカノイル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等)、テトラヒドロピラニル基(THP)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、t-ブチル基等)、ベンジル基等が挙げられ、好ましくはアルコキシアルキル基、特にメトキシメチル基である。

【0096】
上記保護基(好ましくはアルコキシアルキル基、特にメトキシメチル基)は、アルコール(水酸基)を形成する水素原子と置換されて、アルコールの保護基として機能する。

【0097】
また、保護基のなかでも、メトキシメチル基は、例えば、保護基を形成させるアルコールにクロロメチルメチルエーテル(Cl-CH-O-CH)を反応させること等により得られる。

【0098】
また、Rは同一であっても異なっていてもよい。本発明の環状化合物においては、Rは、全てアルコキシアルキル基であることが好ましく、特に全てメトキシメチル基(-CH-O-CH)であることが好ましい。

【0099】
ハロゲン原子(X又はYで表記)としては特に限定されない。具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。本発明においては、臭素原子及びヨウ素原子が好ましく、特に臭素原子が好ましい。また、X及びY(Yがハロゲン原子の場合)は同一であっても異なっていてもよい。

【0100】
ボロン酸若しくはそのエステル基(Y又はY’で表記)としては、

【0101】
【化22】
JP2013133386A1_000023t.gif

【0102】
[式中、R’は同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は低級アルキル基(特に炭素数1~10のアルキル基)であり、R’は互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。]
で示される基が好ましい。

【0103】
このボロン酸若しくはそのエステル基(X又はYで表記)は同一であっても異なっていてもよい。

【0104】
上記ボロン酸若しくはそのエステル基のR’は水素原子又はアルキル基である。このアルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~5がさらに好ましい。また、上記式において、2つのR’は同一であっても異なっていてもよい。また、R’がアルキル基である場合には、それぞれのアルキル基を構成する炭素原子が、互いに結合してホウ素原子及び酸素原子とともに環を形成してもよい。

【0105】
このようなボロン酸若しくはそのエステル基としては、例えば、

【0106】
【化23】
JP2013133386A1_000024t.gif

【0107】
[上記式中、R”は同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は低級アルキル基(特に炭素数1~10のアルキル基)である。]
で示される基が挙げられる。これらの基とすることにより、本発明の環状化合物をより効率的に得ることができる。

【0108】
上記化合物のうち、一般式(Ia)で示される化合物は、例えば、

【0109】
【化24】
JP2013133386A1_000025t.gif

【0110】
に示される1,4-シクロヘキサンジオンと、

【0111】
【化25】
JP2013133386A1_000026t.gif

【0112】
[式中、Xは前記に同じである。]
に示される化合物(以下、「芳香族ジハロゲン化合物」と言うこともある。)とを反応させて得られる。

【0113】
また、芳香族ジハロゲン化合物としては、1位及び4位にハロゲン原子を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、1,4-ジブロモベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン等が挙げられる。

【0114】
この場合、芳香族ジハロゲン化合物の使用量は、1,4-シクロヘキサンジオン1モルに対して、2.0~10モルが好ましく、2.3~5.0モルがより好ましい。

【0115】
上記原料を用いた製造方法は特に限定されない。具体的には、芳香族ジハロゲン化合物と有機アルカリ金属化合物とを反応させて、アルカリ金属原子とハロゲン原子との交換反応により、芳香族ジハロゲン化合物の1つのハロゲン原子が、有機アルカリ金属化合物由来の炭化水素基に交換された、ハロゲン原子と炭化水素基とを有する前駆化合物を得る。次いで、この前駆化合物と1,4-シクロヘキサンジオンとを反応させて、求核付加反応により製造する方法が挙げられる。この場合、芳香族ジハロゲン化合物としては、1,4-ジブロモベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン等が好ましい。

【0116】
また、上記有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物等が挙げられ、特に有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、例えば、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等が用いられる。

【0117】
上記有機リチウム化合物の具体例としては、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、シクロペンタジエニルリチウム、インデニルリチウム、1,1-ジフェニル-n-ヘキシルリチウム、1,1-ジフェニル-3-メチルペンチルリチウム、リチウムナフタレン、ブタジエニルジリチウム、イソプロペニルジリチウム、m-ジイソプレニルジリチウム、1,3-フェニレン-ビス-(3-メチル-1-フェニルペンチリデン)ビスリチウム、1,3-フェニレン-ビス-(3-メチル-1,[4-メチルフェニル]ペンチリデン)ビスリチウム、1,3-フェニレン-ビス-(3-メチル-1,[4-ドデシルフェニル]ペンチリデン)ビスリチウム、1,1,4,4-テトラフェニル-1,4-ジリチオブタン、ポリブタジエニルリチウム、ポリイソプレニルリチウム、ポリスチレン-ブタジエニルリチウム、ポリスチレニルリチウム、ポリエチレニルリチウム、ポリ-1,3-シクロヘキサジエニルリチウム、ポリスチレン-1,3-シクロヘキサジエニルリチウム、ポリブタジエン-1,3-シクロヘキサジエニルリチウム等が挙げられる。これらのうち、n-ブチルリチウム等が好ましい。

【0118】
上記有機アルカリ金属化合物の使用量は、芳香族ジハロゲン化合物1モルに対して0.8~5モルが好ましく、0.9~3.0がより好ましい。

【0119】
上記製造方法において、原料としては、芳香族ジハロゲン化合物として1,4-ジブロモベンゼンと、有機アルカリ金属化合物としてn-ブチルリチウムとの組合せが好ましい。この場合、1,4-ジブロモベンゼン及びn-ブチルリチウムの反応(リチウム-ブロモ交換反応)によって、4-ブロモフェニルリチウムを生成させることができる。次いで、この4-ブロモフェニルリチウムと、シクロヘキサン1,4-ジオンと、を求核付加反応させることにより、

【0120】
【化26】
JP2013133386A1_000027t.gif

【0121】
に示される化合物が得られる。

【0122】
また、上記反応においては、塩化リチウム、塩化セリウム等の金属塩化物を使用することができる。例えば、芳香族ジハロゲン化合物として1,4-ジブロモベンゼンを、有機アルカリ金属化合物としてn-ブチルリチウムを用いる場合、n-ブチルリチウム等の有機リチウム反応剤によくある副反応として、4-ブロモフェニルリチウムが塩基として作用してしまう(副反応)場合がある。これを抑える目的で、4-ブロモフェニルリチウムと塩化セリウムから、上記反応系中で対応する4-ブロモフェニルセリウム反応剤(有機セリウム反応剤)を調製することができる。この有機セリウム反応剤は、一般的に塩基性が低いことから、上記の副反応が抑制できると考えられる。また、さらに、塩化リチウムを使用することができる。この塩化リチウムは、例えば4-ブロモフェニルセリウム反応剤の有機溶媒に対する溶解性を上げる効果があると考えられる。

【0123】
また、塩化リチウム及び塩化セリウム等の金属塩化物を用いる場合の使用量は、芳香族ジハロゲン化合物(特に1,4-ジブロモベンゼン)に対して、それぞれ0.1~100モル当量が好ましく、0.5~20モル当量がより好ましい。

【0124】
上記芳香族ジハロゲン化合物及び有機アルカリ金属化合物の反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等の環状エーテル類;塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。

【0125】
上記芳香族ジハロゲン化合物及び有機アルカリ金属化合物の反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0126】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0127】
上記反応工程の後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0128】
この後、公知の方法で水酸基を保護してもよい。これにより、Rが保護基である、一般式(Ia)で示される化合物が得られる。保護基としては、上記例示したものが挙げられる。

【0129】
一般式(Ib)で示される化合物は、一般式(Ia)で示される化合物の両末端のハロゲン原子を、例えばホウ素化合物を用いたボリル化反応によりボロン酸若しくはそのエステル基に変換することで得られる。

【0130】
上記ホウ素化合物としては、具体的には、2-フェニル-1,3,2-ジオキサボリナン、(4,4,5,5)-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ[1,3,2-ジオキサボロラン](ビスピナコラートジボロン)、5,5,5’,5’-テトラメチル-5,5’,6,6’-テトラヒドロ-2,2’-ビ[4H-1,3,2-ジオキサボリン]、1,1,2,2-テトラヒドロキシ-1,2-ジボラエタン等が挙げられる。

【0131】
ホウ素化合物の使用量は、一般式(Ia)で示される化合物1モルに対して1~10モルが好ましく、1.5~7モルがより好ましい。

【0132】
反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。本発明においては、鈴木-宮浦カップリング反応に使用されるパラジウム系触媒(パラジウム化合物)を用いることができる。具体的には、Pd(PPh(Phはフェニル基)、PdCl(PPh(Phはフェニル基)、Pd(OAc)(Acはアセチル基)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd(dba))、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt-ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、及び(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が挙げられる。本工程では、Pd(dba)、Pd(PPh、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が好ましい。

【0133】
本工程でパラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(Ia)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1モルが好ましく、0.005~0.1モルがより好ましくい。

【0134】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を触媒とともに用いることができる。このリン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス[2-(ジフェニルホスフィノ)エチル]ホスフィン、ビス(2-メトキシフェニル)フェニルホスフィン、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジフェニルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、トリ-t-ブチルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(2-ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(S-Phos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)、ビス(2-ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEPhos)等が挙げられる。本工程では、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)等が好ましい。

【0135】
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(Ia)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~1.0モルが好ましく、0.05~0.5モルがより好ましい。

【0136】
また、上記パラジウム系触媒に加えて、必要に応じて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を使用することもできる。この塩基は、鈴木-宮浦カップリング反応において、ホウ素原子上にアート錯体を形成し得る化合物であれば特に限定はされない。具体的には、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸銀、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、酢酸カリウム等である。この塩基の使用量は、原料の一般式(Ia)で示される化合物と、上記一般式(Ib)で示される化合物のうち少ないほうの化合物1モルに対して、通常、0.1~5.0モル程度が好ましく、0.5~1.0モルがより好ましい。

【0137】
また、反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等の環状エーテル類;塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、ジメチルスルホキシド等が好ましい。

【0138】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0139】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。

【0140】
なお、ホウ素化合物が環状のボロン酸エステル基を有する化合物である場合には、該ボロン酸エステル基を有する化合物を製造してから加水分解し、ボロン酸基に変換してもよい。

【0141】
また、一般式(II)で示される化合物としては、公知又は市販の化合物を用いることができる。

【0142】
原料として用いる化合物のうち、一般式(I)で示される化合物、一般式(II)で示される化合物の2種以上の化合物を反応させて得られる化合物は、例えば、一般式(3):

【0143】
【化27】
JP2013133386A1_000028t.gif

【0144】
[式中、R及びYは前記に同じである。]
で示される化合物、
一般式(4):

【0145】
【化28】
JP2013133386A1_000029t.gif

【0146】
[式中、R及びYは前記に同じ;m1は1以上の整数(特に1)である。]
で示される化合物、
一般式(5):

【0147】
【化29】
JP2013133386A1_000030t.gif

【0148】
[式中、R及びYは前記に同じ;m2は1以上の整数(好ましくは1)である。]
で示される化合物、
一般式(6):

【0149】
【化30】
JP2013133386A1_000031t.gif

【0150】
[式中、R及びYは前記に同じ;m3は同じか又は異なり、それぞれ2以上の整数(好ましくは2)である。]
で示される化合物等が挙げられる。

【0151】
一般式(3)で示される化合物
一般式(3)で示される化合物は、例えば、一般式(I)で示される化合物を用いた反応により得ることができる。より具体的には、一般式(Ia)で示される化合物と、一般式(Ib)で示される化合物を用いて、一般式(Ia)で示される化合物の末端のハロゲン原子と、一般式(Ib)で示される化合物の末端のボロン酸若しくはそのエステル基とを反応させて、三量体化することで、一般式(3)で示される化合物が得られる。

【0152】
【化31】
JP2013133386A1_000032t.gif

【0153】
[式中、R、X、Y及びY’は前記に同じである。]
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、C字型の鎖状化合物として、一般式(3)で示される化合物を得ることができる。

【0154】
上記一般式(Ia)で示される化合物と、上記一般式(Ib)で示される化合物との反応は、鈴木-宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。鈴木・宮浦カップリング反応は、炭素-炭素結合の反応であり、ハロゲン化アリール化合物と有機ホウ素化合物とをカップリングさせる反応である。上記一般式(Ia)で示される化合物はハロゲン原子を有するハロゲン化アリール化合物であり、上記一般式(Ib)で示される化合物はボロン酸若しくはそのエステル基を有する有機ホウ素化合物である。

【0155】
上記一般式(Ia)で示される化合物と、上記一般式(Ib)で示される化合物との使用量は、目的とする一般式(3)で示される化合物によって適宜調整することが好ましい。

【0156】
より詳細には、一般式(3)で示される化合物の両末端をハロゲン原子とする場合には一般式(Ia)で示される化合物を過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(Ib)で示される化合物の使用量は、一般式(Ia)で示される化合物1モルに対して、0.05~0.2モルが好ましく、0.075~0.15モルがより好ましい。

【0157】
また、一般式(3)で示される化合物の両末端をボロン酸若しくはそのエステル基とする場合には一般式(Ib)で示される化合物を過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(Ib)で示される化合物の使用量は、一般式(Ia)で示される化合物1モルに対して、5~20モルが好ましく、7~15モルがより好ましい。

【0158】
上記の反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。本発明においては、鈴木-宮浦カップリング反応に使用されるパラジウム系触媒(パラジウム化合物)を用いることができる。具体的には、Pd(PPh(Phはフェニル基)、PdCl(PPh(Phはフェニル基)、Pd(OAc)(Acはアセチル基)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd(dba))、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt-ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、及び(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が挙げられる。本工程では、Pd(PPh、Pd(dba)等が好ましい。

【0159】
パラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(Ia)で示される化合物と、上記一般式(Ib)で示される化合物のうち少ないほうの化合物1モルに対して、通常、0.001~1モルが好ましく、0.005~0.5モルがより好ましい。

【0160】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を触媒とともに用いることができる。このリン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス[2-(ジフェニルホスフィノ)エチル]ホスフィン、ビス(2-メトキシフェニル)フェニルホスフィン、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジフェニルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、トリ-t-ブチルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(2-ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(S-Phos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)、ビス(2-ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEPhos)等が挙げられる。本工程では、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)等が好ましい。

【0161】
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(Ia)で示される化合物と、上記一般式(Ib)で示される化合物のうち少ないほうの化合物1モルに対して、通常、0.01~1.0モルが好ましく、0.05~0.5モルがより好ましい。

【0162】
また、上記パラジウム系触媒に加えて、必要に応じて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を使用することもできる。この塩基は、鈴木-宮浦カップリング反応において、ホウ素原子上にアート錯体を形成し得る化合物であれば特に限定はされない。具体的には、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸銀、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、フッ化セシウム、炭酸セシウム、炭酸銀、リン酸カリウム等である。この塩基の使用量は、原料の一般式(Ia)で示される化合物と、上記一般式(Ib)で示される化合物のうち少ないほうの化合物1モルに対して、通常、0.1~5.0モル程度が好ましく、0.5~4.0モルがより好ましい。

【0163】
また、反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等の環状エーテル類;塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。

【0164】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0165】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。空気雰囲気とすることもできる。

【0166】
一般式(5)で示される化合物
一般式(5)で示される化合物は、例えば、一般式(I)で示される化合物及び一般式(II)で示される化合物を用いた反応により得ることができる。より具体的には、一般式(Ia)で示される化合物又は一般式(IIa)で示される化合物の末端のハロゲン原子と、一般式(Ib)で示される化合物又は一般式(IIb)で示される化合物の末端のボロン酸若しくはそのエステル基とを反応させて得られる。

【0167】
【化32】
JP2013133386A1_000033t.gif

【0168】
[式中、R、X、Y、Y’及びm2は前記に同じである。]
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、U字型の鎖状化合物として、一般式(5)で示される化合物を得ることができる。

【0169】
上記一般式(I)で示される化合物と、上記一般式(II)で示される化合物との反応は、鈴木-宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。つまり、一般式(Ia)で示される化合物と一般式(IIb)で示される化合物とを反応させるか、一般式(Ib)で示される化合物と一般式(IIa)で示される化合物とを反応させることが好ましい。

【0170】
また、この反応では一般式(I)で示される化合物を過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(II)で示される化合物の使用量は、一般式(I)で示される化合物1モルに対して、0.05~0.2モルが好ましく、0.075~0.15モルがより好ましい。

【0171】
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記説明したパラジウム系触媒を使用することができる。これらのうち、Pd(PPh等が好ましい。

【0172】
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(I)で示される化合物1モルに対して、通常、0.0001~0.1モルが好ましく、0.0005~0.02モルがより好ましい。

【0173】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記説明したリン配位子を使用することができる。これらのうち、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)等が好ましい。

【0174】
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(I)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1.0モルが好ましく、0.01~0.8モルがより好ましい。

【0175】
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記説明した塩基を使用することができる。好ましくは、炭酸ナトリウム等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の一般式(I)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~10モルが好ましく、0.1~5.0モルがより好ましい。

【0176】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記説明した反応溶媒を使用することができる。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。また、水を含む系であってもよい。

【0177】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0178】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0179】
一般式(4)で示される化合物
一般式(4)で示される化合物は、上記のように一般式(5):

【0180】
【化33】
JP2013133386A1_000034t.gif

【0181】
[式中、R、Y及びm2は前記に同じである。]
で示される化合物を得た後、さらに一般式(5)で示される化合物の末端のハロゲン原子又はボロン酸若しくはそのエステル基と、一般式(I)又は(II)で示される化合物の末端のハロゲン原子又はボロン酸若しくはそのエステル基を反応させることで得られる。

【0182】
【化34】
JP2013133386A1_000035t.gif

【0183】
[式中、R、Y、m1及びm2は前記に同じである。]
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、C字型の鎖状化合物として、一般式(4)で示される化合物を得ることができる。

【0184】
上記一般式(5)で示される化合物と、上記一般式(I)で示される化合物との反応は、鈴木-宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。

【0185】
ここでは、一般式(I)で示される化合物を過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(I)で示される化合物の使用量は、一般式(5)で示される化合物1モルに対して、5~20モルが好ましく、7~15モルがより好ましい。

【0186】
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記説明したパラジウム系触媒を使用することができる。これらのうち、Pd(PPh等が好ましい。

【0187】
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(5)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1モルが好ましく、0.005~0.5モルがより好ましい。

【0188】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記説明したリン配位子を使用することができる。これらのうち、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)等が好ましい。

【0189】
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(5)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1.0モルが好ましく、0.01~0.8モルがより好ましい。

【0190】
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記説明した塩基を使用することができる。好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸銀等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の一般式(5)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~10モルが好ましく、0.1~5.0モルがより好ましい。

【0191】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記説明した反応溶媒を使用することができる。これらのうち、本発明では、芳香族炭化水素類(トルエン等)が好ましい。また、水を含む系であってもよい。

【0192】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0193】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0194】
一般式(6)で示される化合物
一般式(6)で示される化合物は、例えば、一般式(I)で示される化合物及び一般式(II)で示される化合物を用いた反応により得ることができる。より具体的には、一般式(Ia)で示される化合物又は一般式(IIa)で示される化合物の末端のハロゲン原子と、一般式(Ib)で示される化合物又は一般式(IIb)で示される化合物の末端のボロン酸若しくはそのエステル基とを反応させて得られる。

【0195】
【化35】
JP2013133386A1_000036t.gif

【0196】
[式中、R、X、Y、Y’及びm3は前記に同じである。]
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、L字型の鎖状化合物として、一般式(6)で示される化合物を得ることができる。

【0197】
上記一般式(I)で示される化合物と、上記一般式(II)で示される化合物との反応は、鈴木-宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。つまり、一般式(Ia)で示される化合物と一般式(IIb)で示される化合物とを反応させるか、一般式(Ib)で示される化合物と一般式(IIa)で示される化合物とを反応させることが好ましい。

【0198】
ここでは、一般式(II)で示される化合物を過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(II)で示される化合物の使用量は、一般式(I)で示される化合物1モルに対して、5~20モルが好ましく、7~15モルがより好ましい。

【0199】
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記説明したパラジウム系触媒を使用することができる。これらのうち、Pd(PPh等が好ましい。

【0200】
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(I)で示される化合物1モルに対して、通常、0.0001~0.5モルが好ましく、0.0005~0.2モルがより好ましい。

【0201】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記説明したリン配位子を使用することができる。これらのうち、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)等が好ましい。

【0202】
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(I)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1.0モルが好ましく、0.01~0.8モルがより好ましい。

【0203】
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記説明した塩基を使用することができる。好ましくは、炭酸銀等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の一般式(I)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~10モルが好ましく、0.1~5.0モルがより好ましい。

【0204】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記説明した反応溶媒を使用することができる。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。

【0205】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0206】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0207】
<第1の態様>
本発明の第1の態様における環状化合物の製造方法は、9~13個(特に9個、11個又は13個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(IV):
X-R-X
[式中、Rは、3~4個の一般式(1):

【0208】
【化36】
JP2013133386A1_000037t.gif

【0209】
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される構造単位と、6個以上(特に6~9個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Xは前記に同じである。]
で示される鎖状化合物の末端原子同士(特にハロゲン原子同士)を、分子内閉環反応により反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える。

【0210】
ここでは、一般式(IV)で示される化合物を、分子内閉環反応により輪状の化合物を得る。なお、一般式(IV)で示される化合物は、上記説明した原料を用いて反応させることにより得られる。

【0211】
一般式(IV)で示される化合物は、上記説明した化合物のなかでも、一般式(3)で示される化合物、及び一般式(4)で示される化合物のうち両末端がハロゲン原子である化合物を包含する概念である。そのため、一般式(IV)で示される化合物のうち、他の化合物についても、一般式(3)で示される化合物、及び一般式(4)で示される化合物のうち両末端がハロゲン原子である化合物と同様の方法により得ることができる。

【0212】
ここでは、上記一般式(IV)で示される化合物の末端原子同士が結合して輪状の化合物が形成される。一般式(IV)で示される化合物は、2つのハロゲン原子を有しており、ニッケル化合物を用いることにより、そのハロゲン原子同士を結合させ、分子内閉環反応を起こさせることができる。

【0213】
この工程において、一般式(IV)で示される化合物が有する環の数がそのまま本発明の環状化合物が有する環の数となる。このことから、一般式(IV)で示される化合物を好適に選択することにより、連結する2価の有機環基の個数を自在に設計することができ、所望の数の2価の有機環基が連続的に結合してなる輪状構造の化合物からなる環状化合物を、短工程で効率良く製造することができる。

【0214】
分子内閉環反応においては、ニッケル化合物が用いられる。このニッケル化合物としては、特に限定されないが、0価のNiの塩又は2価のNiの塩が好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの錯体は、試薬として投入するもの及び反応中で生成するものの両方を意味する。

【0215】
上記0価のNiの塩としては、特に制限されないが、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジカルボニル、ニッケルカルボニル等が挙げられる。

【0216】
また、上記2価のNiの塩としては、酢酸ニッケル(II)、トリフルオロ酢酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート、過塩素酸ニッケル(II)、クエン酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、シクロヘキサン酪酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、スルファミンニッケル(II)、炭酸ニッケル(II)、チオシアン酸ニッケル(II)、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル(II)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(II)、ビス(4-ジエチルアミノジチオベンジル)ニッケル(II)、シアン化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)、ホウ化ニッケル(II)、ホウ酸ニッケル(II)、次亜リン酸ニッケル(II)、硫酸アンモニウムニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、シクロペンタジエニルニッケル(II)、及びこれらの水和物、並びにこれらの混合物等が挙げられる。

【0217】
0価のNiの塩及び2価のNiの塩としては、配位子を事前に配位させた化合物を使用してもよい。

【0218】
上記ニッケル化合物の使用量は、使用する原料によって異なるが、通常、原料の一般式(IV)で示される化合物1モルに対して、通常、試薬として投入するニッケル化合物の量が0.01~50モル、好ましくは0.1~10モルである。

【0219】
ニッケル化合物とともに、ニッケル(ニッケル原子)に配位し得る配位子を用いることができる。この配位子としては、例えば、カルボン酸系、アミド系、ホスフィン系、オキシム系、スルホン酸系、1,3-ジケトン系、シッフ塩基系、オキサゾリン系、ジアミン系、一酸化炭素、カルベン系の配位子等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記配位子における配位原子は窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子等であり、これらの配位子には配位原子を1箇所のみ有する単座配位子と2箇所以上を有する多座配位子がある。また、一酸化炭素、カルベン系に関しては、炭素原子を配位原子とする配位子である。

【0220】
上記単座の配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ(i-プロピル)ホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ブチル)ホスフィン、トリ(イソプロポキシ)ホスフィン、トリ(シクロペンチル)ホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(オルト-トルイル)ホスフィン、トリ(メシチル)ホスフィン、トリ(フェノキシ)ホスフィン、トリ-(2-フリル)ホスフィン、ビス(p-スルホナートフェニル)フェニルホスフィンカリウム、ジ(tert-ブチル)メチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。

【0221】
上記二座の配位子としては、2,2’-ビピリジン、4,4’-(tert-ブチル)ビピリジン、フェナントロリン、2,2’-ビピリミジル、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、2-アミノメチルピリジン、又は(NE)-N-(ピリジン-2-イルメチリデン)アニリン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’-ビス(tert-ブチル)フェロセン、ジフェニルホスフィノメタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,2-ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3-(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,5-シクロオクタジエン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)、2,2’-ジメチル-6,6’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル(BIPHEMP)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(PROPHOS)、2,3-O-イソプロピリデン-2,3-ジヒドロキシ-1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(DIOP)、3,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1-ベンジルピロリジン(DEGUPHOS)、1,2-ビス[(2-メトキシフェニル)フェニルホスフィノ]エタン(DIPAMP)、置換-1,2-ビスホスホラノベンゼン(DuPHOS)、5,6-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-2-ノルボルネン(NORPHOS)、N,N’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-N,N’-ビス(1-フェニルエチル)エチレンジアミン(PNNP)、2,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)、1-[1’,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチレンジアミン(BPPFA)、2,2’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-5,5’,6,6’,7,7’,8,8’-オクタヒドロ-1,1’-ビナフチル、((4,4’-ビ-1,3-ベンゾジオキソール)-5、5’-ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)(SEGPHOS)、2,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(CHIRAPHOS)、1-[2-(2置換ホスフィノ)フェロセニル]エチル-2置換ホスフィン(JOSIPHOS)等、及びこれらの混合物が挙げられる。

【0222】
また、上記BINAPとしては、BINAPの誘導体も含まれ、具体例としては、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジ-p-トリルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジ-p-第3級ブチルフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジ-m-トリルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジ-3,5-ジメチルフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジ-p-メトキシフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2-ジ(β-ナフチル)ホスフィノ-2’-ジフェニルホスフィノ-1,1’-ビナフチル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-ジ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ-1,1’-ビナフチル等が挙げられる。

【0223】
また、上記BIPHEMPとしては、BIPHEMPの誘導体も含まれ、具体例としては、2,2’-ジメチル-6,6’-ビス(ジフェニルホスフィノ-1,1’-ビフェニル、2,2’-ジメチル-6,6’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ビス(ジメチルアミノ)-6,6’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’,4,4’-テトラメチル-6,6‘-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’-ジメトキシ-6,6’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメトキシ-6,6’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’,4,4’-テトラメチル-3,3’ジメトキシ-6,6’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’-ジメチル-6,6’-ビス(ジ-p-トリルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’-ジメチル-6,6’-ビス(ジ-p-第3級ブチルフェニルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’,4,4’-テトラメチル-3,3’-ジメトキシ-6,6’-ビス(ジ-p-メトキシフェニルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル等が挙げられる。

【0224】
上記配位子を使用する場合、その使用量は、原料の一般式(IV)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~50モル、好ましくは0.1~10モルである。

【0225】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記説明した反応溶媒を使用することができる。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。

【0226】
反応溶媒を使用する場合、原料の濃度は種々調整することが好ましいが、原料の濃度を高くしすぎないことが好ましい。具体的には、一般式(IV)で示される化合物の濃度は、0.1~5mmol/Lが好ましく、0.2~3mol/Lがより好ましい。

【0227】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0228】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0229】
これにより、輪状の化合物が得られる。原料として、一般式(3)で示される化合物のうち両末端がハロゲン原子である化合物を使用した場合には、一般式(a1):

【0230】
【化37】
JP2013133386A1_000038t.gif

【0231】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される化合物が得られる。

【0232】
また、原料として、一般式(4)で示される化合物のうち両末端がハロゲン原子でm1が1である化合物を使用した場合には、一般式(a2):

【0233】
【化38】
JP2013133386A1_000039t.gif

【0234】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される化合物が得られる。

【0235】
また、同様の方法により、一般式(a3):

【0236】
【化39】
JP2013133386A1_000040t.gif

【0237】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される化合物等も得られる。

【0238】
<第2の態様>
本発明の第2の態様における環状化合物の製造方法は、10~13個(特に10個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の製造方法であって、
一般式(V-1):
Y-R5a-Y
[式中、R5aは、3個の一般式(1)で示される構造単位と、6個以上(特に6~9個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(V-2):
Y-R5b-Y
[式中、R5bは、1個以上(特に1~4個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程か、
一般式(VI-1):
Y-R6a-Y
[式中、R6aは、2個の一般式(1)で示される構造単位と、4個以上(特に4~8個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸若しくはそのエステル基である。]
で示される化合物と、
一般式(VI-2):
Y-R6b-Y
[式中、R6bは、1個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上(特に2~6個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える。

【0239】
つまり、上記一般式(V-1)で示される化合物と一般式(V-2)で示される化合物との反応、又は一般式(VI-1)で示される化合物と一般式(VI-2)で示される化合物との反応により、輪状の化合物を得る。

【0240】
一般式(V-1)で示される化合物は、一般式(3)で示される化合物を包含し、一般式(V-2)で示される化合物は、一般式(II)で示される化合物を包含する。

【0241】
このことから、一般式(V-1)で示される化合物と一般式(V-2)で示される化合物との反応、具体的には、例えば、以下の反応:

【0242】
【化40】
JP2013133386A1_000041t.gif

【0243】
[式中、R及びYは前記に同じである。]
により輪状の化合物が得られる。

【0244】
また、一般式(VI-1)で示される化合物は、一般式(5)で示される化合物を包含し、一般式(VI-2)で示される化合物は、一般式(I)又は一般式(6)で示される化合物を包含する。

【0245】
このことから、一般式(VI-1)で示される化合物と一般式(VI-2)で示される化合物との反応、具体的には、例えば、以下の反応:

【0246】
【化41】
JP2013133386A1_000042t.gif

【0247】
[式中、R及びYは前記に同じである。]
により輪状の化合物が得られる。

【0248】
従来の手法では、シクロヘキサン環の角度を利用して明らかに略長方形又は略三角形の形状の輪状の化合物を合成できる組合せを用いる方法のみが知られていたが、本発明では、上記のように、いびつな形状の輪状化合物が得られると考えられる組合せであっても採用できる。これにより、様々な環の数を有する環状化合物の合成が可能となる。

【0249】
ここでは、上記の反応のみに限られず、様々な一般式(V-1)で示される化合物と一般式(V-2)で示される化合物の組合せ、一般式(VI-1)で示される化合物と一般式(VI-2)で示される化合物の組合せが採用し得る。

【0250】
上記反応は、鈴木-宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。つまり、一般式(V-1)で示される化合物と一般式(V-2)で示される化合物の片方の化合物の両末端をハロゲン原子、もう片方の化合物の両末端をボロン酸若しくはそのエステル基とすることが好ましい。また、一般式(VI-1)で示される化合物と一般式(VI-2)で示される化合物の片方の化合物の両末端をハロゲン原子、もう片方の化合物の両末端をボロン酸若しくはそのエステル基とすることが好ましい。

【0251】
一般式(V-2)で示される化合物の使用量は、一般式(V-1)で示される化合物1モルに対して、0.01~5.0モルが好ましく、0.05~3.0モルがより好ましい。同様に、一般式(VI-2)で示される化合物の使用量は、一般式(VI-1)で示される化合物1モルに対して、0.01~5.0モルが好ましく、0.05~3.0モルがより好ましい。

【0252】
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記説明したパラジウム系触媒を使用することができる。これらのうち、Pd(OAc)(Acはアセチル基)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt-ブチルホスフィノ)パラジウム(0)等が好ましい。

【0253】
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(V-1)で示される化合物又は一般式(VI-1)で示される化合物1モルに対して、通常、0.0001~1.0モルが好ましく、0.0005~0.5モルがより好ましい。

【0254】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記説明したリン配位子を使用することができる。これらのうち、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)等が好ましい。

【0255】
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(V-1)で示される化合物又は一般式(VI-1)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1.0モルが好ましく、0.01~0.8モルがより好ましい。

【0256】
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記説明した塩基を使用することができる。好ましくは、水酸化ナトリウム、リン酸カリウム等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の一般式(V-1)で示される化合物又は一般式(VI-1)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~10モルが好ましく、0.1~5.0モルがより好ましい。

【0257】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記説明した反応溶媒を使用することができる。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(ジオキサン等)が好ましい。また、水を含む系としてもよい。

【0258】
反応溶媒を使用する場合、原料の濃度は種々調整することが好ましいが、原料の濃度を高くしすぎないことが好ましい。例えば、一般式(3)で示される化合物と一般式(II)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(3)で示される化合物の濃度は、0.1~5mmol/Lが好ましく、0.2~3mol/Lがより好ましい。また、同様に、一般式(5a)で示される化合物と一般式(I)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(5a)で示される化合物の濃度は、0.1~5mmol/Lが好ましく、0.2~3mol/Lがより好ましい。

【0259】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0260】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0261】
このようにして得られる輪状の化合物は、3~4個の一般式(1):

【0262】
【化42】
JP2013133386A1_000043t.gif

【0263】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される構造単位と、
6~9個の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなり、且つ、
一般式(1)で示される構造単位と2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基とを合計で10、11又は13個有する、輪状の化合物である。

【0264】
<シクロヘキサン環のベンゼン化>
上記のようにして輪状の化合物を得た後、シクロヘキサン環部をベンゼン環に変換することにより、本発明の環状化合物が得られる。

【0265】
例えば、一般的な酸化反応を施せばよい。その具体例としては、例えば、酸の存在下、輪状の化合物を加熱する(酸処理する)方法の他、酸素存在下(空気雰囲気、酸素雰囲気等)加熱する方法、キノン類、金属酸化剤等と反応させる方法等も挙げられる。これにより、通常、脱水素反応等が適用され、輪状の化合物が有するシクロヘキサン環部を、ベンゼン環に化学変化(芳香化)させて、環状化合物を合成することができる。即ち、変換前の輪状の化合物が有する、シクロヘキサン環部におけるORも脱離され、且つ脱水素反応も進行して、環状化合物が得られる。

【0266】
上記酸処理を行う場合、その具体的な方法等は、特に限定されないが、例えば、以下の方法等が好ましい。
(A)輪状の化合物と酸とを溶媒に溶解させた後、得られた溶液を加熱して反応させる方法。
(B)輪状の化合物を溶媒に溶解させた後、得られた溶液と酸とを混合して得られた混合物を加熱して反応させる方法。

【0267】
なお、上記変換工程を行う場合、無溶媒による酸処理とすることもできる。

【0268】
上記酸は、特に限定されないが、触媒等に使用される強酸が好ましい。例えば、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、タングストリン酸、タングストケイ酸、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、三フッ化ホウ素エチラート、四塩化スズ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。

【0269】
また、上記酸の使用量は、製造条件等により異なるが、上記(A)の方法の場合、輪状の化合物1モルに対して、0.01~100モルが好ましく、0.5~50モルがより好ましく、1~20モルがさらに好ましい。

【0270】
また、上記(B)の方法の場合、上記酸の使用量は、輪状の化合物1モルに対して、0.01~100モルが好ましく、0.5~50モルがより好ましく、1~20モルがさらに好ましい。

【0271】
また、酸処理の反応に用いられる溶媒は、非極性溶媒であっても極性溶媒であってもよい。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン等のハロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等のベンゼン類;クロルベンゼン、ブロムベンゼン等のハロベンゼン類;ジエチルエーテル、アニソール等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。上記溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。溶媒を用いる場合において、原材料から環状化合物に至るまでの反応中間体が、使用した1の溶媒に対して低い溶解性となることがあり、この場合、他の溶媒を、予め、又は反応の途中から、添加しておいてもよい。

【0272】
上記(A)~(B)における加熱温度は、特に制限されないが、通常、50℃以上であり、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。溶媒を用いる場合は、上記溶媒の沸点温度以下の範囲から選択される。

【0273】
加熱手段としては、オイルバス、アルミブロック恒温槽、ヒートガン、バーナー、マイクロ波の照射等が挙げられる。マイクロ波を照射する場合には、マイクロ波反応に使用される公知のマイクロ波反応装置を用いることができる。加熱の際には還流冷却を併用してもよい。

【0274】
また、上記酸処理における反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0275】
さらに、上記のようにして環状化合物を得た後に、必要に応じて、精製工程を備えることができる。即ち、溶媒(溶剤)除去(溶媒を使用した場合)、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。特に得られる勘定化合物は、通常、アモルファス(非結晶)であるので、従来から公知の有機化合物の再結晶法を利用して、結晶化させることができる。結晶化物においては、再結晶操作において用いた有機溶媒が、分子を構成する輪の内部に包含されることがある。

【0276】
[3]官能基含有環状化合物
本発明の官能基含有有機化合物は、10個以上(特に10~14個、さらに10、12又は14個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基が、一般式(2):

【0277】
【化43】
JP2013133386A1_000044t.gif

【0278】
[式中、Rは置換基である。]
で示される基で置換されている。

【0279】
特に、一般式(2)で示される基を1個、2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基を9個以上(特に9~13個、さらに9、11、13個)有することが好ましい。

【0280】
2価芳香族炭化水素基及び2価複素環式基は、上記説明したとおりである。

【0281】
また、Rで示される置換基としては、炭化水素のみの環状化合物では付与できない機能を付与できる官能基が好ましく、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリール基(4-メトキシフェニル基等)、炭素数1~12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ボリル基、シリル基、アミノ基等が挙げられる。これらのなかでも、ハロゲン原子が好ましい。また、後述の本発明の製造方法においては、製造原料の時点で官能基を導入しているが、このように、製造原料の時点から導入し、製造工程の途中で特に反応点となりにくい点から塩素原子がより好ましい。

【0282】
具体的には、一般式(1)で示される化合物が1個、2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基が9、11又は13個である化合物は、下記一般式(B1):

【0283】
【化44】
JP2013133386A1_000045t.gif

【0284】
[式中、Rは前記に同じである。]
に示される。

【0285】
本発明においては、例えば、ベンゼン環の数が12個のシクロパラフェニレン化合物の場合には等価な反応点が48個も存在するため、所望の箇所に官能基を導入することは困難であったが、後述の本発明の製造方法によれば、所望の箇所に所望の数だけ官能基を導入することが可能である。

【0286】
[4]官能基含有環状化合物の製造方法
本発明の官能基含有環状化合物の製造方法は、10個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基からなる環状化合物の1個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基が、一般式(2):

【0287】
【化45】
JP2013133386A1_000046t.gif

【0288】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される基で置換された、官能基含有環状化合物の製造方法であって、
1個以上(特に1~4個、さらに1個)の一般式(2)で示される基と、
3~4個の一般式(1):

【0289】
【化46】
JP2013133386A1_000047t.gif

【0290】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される基と、
6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなる輪状の化合物が有するシクロヘキサン環部を、ベンゼン環に変換する工程
を備える。

【0291】
また、この輪状の化合物は、官能基非含有化合物と、官能基含有化合物とを反応させて得られる。官能基非含有化合物としては、好ましくは、一般式(VII-1):
Y-R-Y
[式中、Rは、1~3個の一般式(1)で示される構造単位と、2個以上(特に2~6個)の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物である。

【0292】
この官能基非含有化合物としては、上記「[2]環状化合物の製造方法」で原料として説明した化合物が挙げられる。具体的には、一般式(I)で示される化合物の他、一般式(3)~(6)で示される化合物等が挙げられる。

【0293】
一方、官能基含有化合物は、一般式(VII-2):
Y-R-Y
[式中、Rは、1個以上の一般式(2)で示される構造単位と、0~2個の一般式(1)で示される構造単位と、0個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、からなる2価の基;Yは前記に同じである。]
で示される化合物である。

【0294】
詳細には、一般式(III):

【0295】
【化47】
JP2013133386A1_000048t.gif

【0296】
[式中、R及びYは前記に同じである。]
で示される化合物、又は
前記一般式(III)で示される化合物と少なくとも1個の前記官能基非含有化合物とを反応させて得られる化合物である。

【0297】
一般式(III)で示される化合物と少なくとも1個の前記官能基非含有化合物とを反応させて得られる化合物としては、具体的には、
一般式(5’):

【0298】
【化48】
JP2013133386A1_000049t.gif

【0299】
[式中、R、R及びYは前記に同じ;m2’は1以上の整数(好ましくは1)である。]
で示される化合物
等が挙げられる。

【0300】
一般式(5’)で示される化合物は、上記説明した一般式(5)で示される化合物と同様の方法を用いて、一般式(II)で示される化合物の代わりに一般式(III)で示される化合物を用いて合成することができる。具体的には、以下のとおりである。

【0301】
一般式(5’)で示される化合物
一般式(5’)で示される化合物は、例えば、一般式(I)で示される化合物及び一般式(III)で示される化合物を用いた反応により得ることができる。より具体的には、一般式(Ia)で示される化合物の末端のハロゲン原子と、一般式一般式(IIIa)で示される化合物の末端のボロン酸若しくはそのエステル基とを反応させて得られる。

【0302】
【化49】
JP2013133386A1_000050t.gif

【0303】
[式中、R、R、X、Y、Y’及びm2’は前記に同じである。]
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、U字型の鎖状化合物として、一般式(5’)で示される化合物を得ることができる。

【0304】
上記一般式(I)で示される化合物と、上記一般式(III)で示される化合物との反応は、鈴木-宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。

【0305】
つまり、一般式(Ia)で示される化合物と一般式(IIIa)で示される化合物とを反応させるか、一般式(Ib)で示される化合物と一般式(IIIb)で示される化合物とを反応させることが好ましい。一般式(Ia)で示される化合物と一般式(IIIa)で示される化合物とを反応させると、一般式(5’)で示される化合物として、両末端がボロン酸若しくはそのエステル基である化合物を得ることができる。また、一般式(Ib)で示される化合物と一般式(IIIb)で示される化合物とを反応させると、一般式(5’)で示される化合物として、両末端がハロゲン原子である化合物を得ることができる。この後、上記説明したホウ素化合物を用いたボリル化反応によりボロン酸若しくはそのエステル基に変換することで、両末端がボロン酸若しくはそのエステル基である化合物も得られる。

【0306】
また、この反応では一般式(I)で示される化合物を過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(I)で示される化合物の使用量は、一般式(III)で示される化合物1モルに対して、5~20モルが好ましく、7~15モルがより好ましい。

【0307】
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記説明したパラジウム系触媒を使用することができる。これらのうち、Pd(PPh、Pd(OAc)(Acはアセチル基)等が好ましい。

【0308】
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(III)で示される化合物1モルに対して、通常、0.0001~0.15モルが好ましく、0.0005~0.07モルがより好ましい。

【0309】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記説明したリン配位子を使用することができる。これらのうち、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)等が好ましい。

【0310】
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の一般式(III)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1.0モルが好ましく、0.01~0.8モルがより好ましい。

【0311】
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記説明した塩基を使用することができる。好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸銀等である。特に、炭酸銀を用いた場合に特に高収率で反応を進めることができる。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の一般式(III)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~10モルが好ましく、0.1~5.0モルがより好ましい。

【0312】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記説明した反応溶媒を使用することができる。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)が好ましい。特に、テトラヒドロフランを用いた場合に特に高収率で反応を進めることができる。

【0313】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0314】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0315】
官能基非含有化合物と官能基含有化合物との反応は、例えば、以下の反応:

【0316】
【化50】
JP2013133386A1_000051t.gif

【0317】
等が挙げられる。

【0318】
他にも、例えば、以下の反応:

【0319】
【化51】
JP2013133386A1_000052t.gif

【0320】
[式中、R、R、X、Y及びY’は前記に同じである。]
によっても輪状の化合物が得られる。

【0321】
他にも、これらの組合せのみに限られず、種々様々な反応により、輪状の化合物が得られる。

【0322】
上記反応は、鈴木-宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。つまり、官能基非含有化合物と官能基含有化合物の片方の化合物の両末端をハロゲン原子、もう片方の化合物の両末端をボロン酸若しくはそのエステル基とすることが好ましい。

【0323】
官能基非含有化合物と官能基含有化合物との使用量は、用いる化合物の組合せによって種々調整することが好ましい。具体的には、一般式(5)で示される化合物と一般式(5’)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(5)で示される化合物の使用量は、一般式(5’)で示される化合物1モルに対して、0.01~5.0モルが好ましく、0.05~3.0モルがより好ましい。また、一般式(3)で示される化合物と一般式(III)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(III)で示される化合物の使用量は、一般式(3)で示される化合物1モルに対して、0.01~5.0モルが好ましく、0.05~3.0モルがより好ましい。

【0324】
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記説明したパラジウム系触媒を使用することができる。これらのうち、Pd(OAc)(Acはアセチル基)等が好ましい。

【0325】
上記パラジウム系触媒の使用量も種々調整することが好ましい。一般式(5)で示される化合物と一般式(5’)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(5’)で示される化合物1モルに対して、通常、0.0001~1.0モルが好ましく、0.0005~0.5モルがより好ましい。また、一般式(3)で示される化合物と一般式(III)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(3)で示される化合物1モルに対して、0.0001~1.0モルが好ましく、0.0005~0.5モルがより好ましい。

【0326】
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記説明したリン配位子を使用することができる。これらのうち、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(S-Phos)等が好ましい。

【0327】
上記リン配位子を使用する場合、その使用量も種々調整することが好ましい。一般式(5)で示される化合物と一般式(5’)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(5’)で示される化合物1モルに対して、通常、0.001~1.0モルが好ましく、0.01~0.8モルがより好ましい。また、一般式(3)で示される化合物と一般式(III)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(3)で示される化合物1モルに対して、0.001~1.0モルが好ましく、0.01~0.8モルがより好ましい。

【0328】
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記説明した塩基を使用することができる。好ましくは、水酸化ナトリウム、リン酸カリウム等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、種々調整することが好ましいが、原料の官能基非含有化合物又は官能基含有化合物1モルに対して、通常、0.01~50モルが好ましく、0.1~20モルがより好ましい。

【0329】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記説明した反応溶媒を使用することができる。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)が好ましい。なお、一般式(5)で示される化合物と一般式(5’)で示される化合物とを反応させる場合には収率の観点からテトラヒドロフランが特に好ましく、一般式(3)で示される化合物と一般式(III)で示される化合物とを反応させる場合にはジオキサンが好ましい。

【0330】
反応溶媒を使用する場合、原料の濃度は種々調整することが好ましいが、原料の濃度を高くしすぎないことが好ましい。例えば、一般式(5)で示される化合物と一般式(5’)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(5’)で示される化合物の濃度は、0.1~5mmol/Lが好ましく、0.2~3mol/Lがより好ましい。同様に、一般式(3)で示される化合物と一般式(III)で示される化合物とを反応させる場合には、一般式(3)で示される化合物の濃度は、0.1~5mmol/Lが好ましく、0.2~3mol/Lがより好ましい。

【0331】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0332】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0333】
このようにして得られる輪状の化合物は、1個以上の一般式(2):

【0334】
【化52】
JP2013133386A1_000053t.gif

【0335】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される基と、
3~4個の一般式(1):

【0336】
【化53】
JP2013133386A1_000054t.gif

【0337】
[式中、Rは前記に同じである。]
で示される基と、
6個以上の2価芳香族炭化水素基若しくは2価複素環式基又はこれらの誘導体基と、
からなる輪状の化合物である。

【0338】
<シクロヘキサン環のベンゼン化>
上記のようにして輪状の化合物を得た後、上記「[2]環状化合物の製造方法」で説明したのと同様に、シクロヘキサン環部をベンゼン環に変換することにより、本発明の環状化合物が得られる。

【0339】
例えば、一般的な酸化反応を施せばよい。その具体例としては、例えば、酸の存在下、輪状の化合物を加熱する(酸処理する)方法の他、酸素存在下(空気雰囲気、酸素雰囲気等)加熱する方法、キノン類、金属酸化剤等と反応させる方法等も挙げられる。これにより、通常、脱水素反応等が適用され、輪状の化合物が有するシクロヘキサン環部を、ベンゼン環に化学変化(芳香化)させて、環状化合物を合成することができる。即ち、変換前の輪状の化合物が有する、シクロヘキサン環部におけるORも脱離され、且つ脱水素反応も進行して、環状化合物が得られる。

【0340】
上記酸処理を行う場合、その具体的な方法等は、特に限定されないが、例えば、以下の方法等が好ましい。
(A)輪状の化合物と酸とを溶媒に溶解させた後、得られた溶液を加熱して反応させる方法。
(B)輪状の化合物を溶媒に溶解させた後、得られた溶液と酸とを混合して得られた混合物を加熱して反応させる方法。

【0341】
なお、上記変換工程を行う場合、無溶媒による酸処理とすることもできる。

【0342】
上記酸は、特に限定されないが、触媒等に使用される強酸が好ましい。例えば、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、タングストリン酸、タングストケイ酸、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、三フッ化ホウ素エチラート、四塩化スズ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。

【0343】
また、上記酸の使用量は、製造条件等により異なるが、上記(A)の方法の場合、輪状の化合物1モルに対して、0.01~100モルが好ましく、0.5~50モルがより好ましく、1~20モルがさらに好ましい。

【0344】
また、上記(B)の方法の場合、上記酸の使用量は、輪状の化合物1モルに対して、0.01~100モルが好ましく、0.5~50モルがより好ましく、1~20モルがさらに好ましい。

【0345】
また、酸処理の反応に用いられる溶媒は、非極性溶媒であっても極性溶媒であってもよい。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン等のハロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等のベンゼン類;クロルベンゼン、ブロムベンゼン等のハロベンゼン類;ジエチルエーテル、アニソール等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。上記溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。溶媒を用いる場合において、原材料から環状化合物に至るまでの反応中間体が、使用した1の溶媒に対して低い溶解性となることがあり、この場合、他の溶媒を、予め、又は反応の途中から、添加しておいてもよい。

【0346】
上記(A)~(B)における加熱温度は、特に制限されないが、通常、50℃以上であり、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。溶媒を用いる場合は、上記溶媒の沸点温度以下の範囲から選択される。

【0347】
加熱手段としては、オイルバス、アルミブロック恒温槽、ヒートガン、バーナー、マイクロ波の照射等が挙げられる。マイクロ波を照射する場合には、マイクロ波反応に使用される公知のマイクロ波反応装置を用いることができる。加熱の際には還流冷却を併用してもよい。

【0348】
また、上記酸処理における反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0349】
さらに、上記のようにして環状化合物を得た後に、必要に応じて、精製工程を備えることができる。即ち、溶媒(溶剤)除去(溶媒を使用した場合)、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。特に得られる勘定化合物は、通常、アモルファス(非結晶)であるので、従来から公知の有機化合物の再結晶法を利用して、結晶化させることができる。結晶化物においては、再結晶操作において用いた有機溶媒が、分子を構成する輪の内部に包含されることがある。

【0350】
上記のようにして本発明の官能基含有環状化合物を製造した後、公知の方法で、当該官能基を他の官能基に置換することも可能である。
【実施例】
【0351】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0352】
薄層クロマトグラフィー(TLC)には、E. Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm厚)を用いた。クロマトグラムは、UVランプ(254 nm)を用いて分析した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(FCC)は、E. Merckシリカゲル60 F254(230~400メッシュ)を用いて行った。分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)には、Wakogel B5-Fシリカコートプレート(0.75 mm厚)を作製して用いた。リサイクル分取ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)には、JAI LC-9204型(分取カラムJAIGEL-1H/JAIGEL-2H、クロロホルム)を用いて行った。質量スペクトルは、Waters Micromass LCT Premier(エレクトロスプレーイオン化飛行時間質量スペクトル分析、ESI-TOFMS)、JEOL JMS700(高速原子衝撃質量分析装置、FAB-MS)Bruker Daltonics Ultraflex III TOF/TOF(MALDI-TOF-MS)を用いて得た。元素分析は、Yanako MT-6を用いて行った。融点は、MPA100型OptiMelt融点測定装置を用いて行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL GSX-270(1H 270MHz, 13C 67.8MHz)分光計、JEOL JNM-ECS400(1H 400MHz, 13C 100MHz)、JEOL JNM-ECA-600(1H 600MHz, 13C 150MHz)分光計を用いて、CDCl3又はDMSO-d6中で行った。1H NMRについての化学シフトは、テトラメチルシラン(δ0.00 ppm)、CHCl3(δ7.26 ppm)、又はCDCl2(δ5.32 ppm)と比較してppmで表した。13C NMRについての化学シフトは、CDCl3(δ77.0 ppm)と比較してppmで表した。
【実施例】
【0353】
合成例1:化合物(Ia-1)
【実施例】
【0354】
【化54】
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【実施例】
【0355】
内容積1Lの丸底フラスコに、塩化リチウム(LiCl)1.68 g(33 mmol)と、セリウム(III)トリクロリド・七水和物(derium(III)trichloride heptahydrate)14.4 g(0.33 mol)とを入れ、このフラスコをオイルバスに浸し、真空下、90℃で、2時間加熱し乾燥させた。得られた反応剤混合物を粉末状に砕いた後、その粉末状の反応剤混合物を再びフラスコに入れた。更に、フラスコをオイルバスに浸し、真空下、90℃で、1時間加熱した。このフラスコに攪拌子を入れ、フラスコを再びオイルバスに浸し、攪拌しながら、真空下、150℃で、3時間加熱した。フラスコ内の内容物が冷めないうちに、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。ここに乾燥させたテトラヒドロフラン(THF)200 mlを入れて懸濁させ、生じた懸濁液を、室温(約23℃、以下同様)で、8時間程度攪拌した。この懸濁液に、1,4-シクロヘキサンジオン(cyclohexane-1,4-dione)1.68 g(15 mmol)のTHF溶液15 mlをキャニュラを用いて入れて、室温で、2時間攪拌した後、-78℃に冷却して、懸濁液Aを得た。
【実施例】
【0356】
上記とは別の内容積1lの丸底フラスコに、1,4-ジブロモベンゼン(1,4-Dibromobenzene)10.7 g(45 mmol)及び乾燥THF90 mlを入れた。ここにn-ブチルリチウム(n-Butyllithium)のヘキサン溶液29.5 ml(1.57 M、45 mmol)を、-78℃の温度条件下で、徐々に滴下した(添加速度4.5 cm3/分)。滴下終了後、-78℃で、30分間、攪拌し、得られた溶液を、上記の懸濁液Aにキャニュラを用いて入れて、混合物を得た。
【実施例】
【0357】
そして、この混合物を-78℃で、1時間攪拌した後、次いで、室温で2時間攪拌した。その後、混合物に飽和NH4Cl水溶液50 mlを加え、反応を停止させた。生成物をセライトでろ過し、得られたろ液をエバポレーターで濃縮した。そして、得られた残渣(濃縮物)に酢酸エチルを添加して粗生成物を抽出し、無水Na2SO4により乾燥を行い、酢酸エチル溶液を得た。その溶液をエバポレーターで濃縮し、残渣(濃縮物)をクロロホルムにより再結晶することで、白色固体の目的化合物5.32 gを得た(収率83%)。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.71 (s, 2H), d 2.07 (s, 8H), 7.34 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.47 (d, J = 8.6 Hz, 4H); 13C NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ 33.2 (CH2), 72.3 (4°), 121.5 (4°), 127.2 (CH), 131.6 (CH), 144.6 (4°); HRMS (FAB, negative) m/z calcd for C18H17Br2O2[M-H]: 422.9595, found 422.9576; mp : 177.7-178.7℃。
【実施例】
【0358】
合成例2:化合物(Ia-2)
【実施例】
【0359】
【化55】
JP2013133386A1_000056t.gif
【実施例】
【0360】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた200 ml丸底フラスコに、上記の合成例1により得られた化合物(Ia-1)4.69 g(11 mmol)と、乾燥ジクロロメタン(CH2Cl2)44 mlと、ジイソプロピルエチルアミン(Diisopropylethylamine)7.7 ml(44 mmol)とを入れて、フラスコを氷浴に浸した。そして、フラスコ内の混合物を0℃で30分間攪拌した後、クロロメチルメチルエーテル(Methoxymethyl chloride)3.5 ml(46 mmol)を入れた。次いで、その混合物を、撹拌しながら、室温で18時間反応させた後に、飽和NH4Cl水溶液20 mlを加え、反応を停止させた。生成物をCH2Cl2(20 ml×3)で抽出し、抽出後の有機層を無水Na2SO4で乾燥し溶液を得た。その溶液をエバポレーターで濃縮し、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2)で精製し、白色固体の目的化合物5.48 gを得た(収率97%)。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.71 (s, 2H), 2.07 (s, 8H), 7.34 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.47 (d, J = 9 Hz, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 56.2 (CH3), 77.9 (4°), 92.3 (CH2), 121.8 (4°), 128.7 (CH), 131.6 (CH), 141.6 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C22H26Br2O4Na [M+Na]+: 535.0096, found 535.0103. mp : 107.1-108.9℃。
【実施例】
【0361】
合成例3:化合物(Ib-1)
【実施例】
【0362】
【化56】
JP2013133386A1_000057t.gif
【実施例】
【0363】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例2により得られた化合物(Ia-2)518 mg(1.0 mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(bis(pinacolate)diboron)636 mg(2.5 mmol)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド-ジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2)23.2 mg(30μmol)、酢酸カリウム(KOAc)624 mg(6.35 mmol)、及び乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)20 mLを入れた。シュレンク管を攪拌しながら80℃で17時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後に、水でクエンチした。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をリサイクル分取ゲル浸透クロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、白色固体の目的化合物390 mgを得た(収率64%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.33 (s, 24H), 2.09 (br, 4H), 2.31 (br, 4H), 3.40 (s, 6H), 4.41 (s, 4H), 7.43 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.76 (d, J = 8 Hz, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 24.9 (CH3), 32.9 (CH2), 56.0 (CH3), 78.3 (4°), 83.8 (4°), 92.2 (CH2), 126.2 (CH), 128.1 (4°), 134.8 (CH); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8 [M・Na]+: 631.3584, found 631.3605。
【実施例】
【0364】
なお、両末端臭素原子の化合物(Ia-2)ではなく、両末端ヨウ素原子の化合物を用いて同様の条件(ただし、ビス(ピナコレート)ジボロンを2.7 mmol、PdCl2(dppf)・CH2Cl2を32μmol、KOAcを9.0 mmolとした)で同様の反応を行ったところ、収率を83%まで向上させることが可能であった。
【実施例】
【0365】
合成例4:化合物(3a-1)
【実施例】
【0366】
【化57】
JP2013133386A1_000058t.gif
【実施例】
【0367】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた200 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例2により得られた化合物(Ia-2)5.58 g(10.9 mmol)、上記の合成例3により得られた化合物(Ib-1)608 mg(1.00 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)114 mg(98.2μmol)、炭酸銀(Ag2CO3)983 mg(3.57 mmol)及び乾燥THF100 mLを入れた。得られた混合物を撹拌しながら、還流下に38時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、水でクエンチした。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 5/1~1/1)で精製し、無色固体の目的化合物789 mgを得た(収率65%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.11(brs, 12H), 2.28-2.43 (m, 12H), 3.40 (s, 6H), 3.42 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.46 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.31 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.43 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.47-7.57 (m, 16H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ32.8 (CH2), 55.9 (CH3), 77.8 (4°), 77.9 (4°), 78.0 (4°), 92.0 (CH2), 92.1 (CH2), 121.5 (4°), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 127.2 (CH), 128.6 (CH), 131.4 (CH), 139.4 (4°), 139.5 (4°), 141.5 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C66H78Br2NaO12 [M・Na]+: 1243.3752, found: 1243.3760。
【実施例】
【0368】
なお、反応条件を60℃24時間とし、他は同様に行ったところ、収率は59%であった。
【実施例】
【0369】
合成例5:化合物(5a-1)
【実施例】
【0370】
【化58】
JP2013133386A1_000059t.gif
【実施例】
【0371】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた200 ml丸底フラスコに、フッ化セシウム(Cesium fluoride)400 mg(2.6 mmol)、合成例2で得られた化合物(Ia-2)2.07 g(4 mmol)、化合物(IIb-1)(1,4-ベンゼンジボロン酸ビス(ピナコール)エステル、1,4-benzenediboronic acid bis(pinacol) ester)151.2 mg(0.5 mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)30.1 mg(0.026 mmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥THF60 mlを導入し、混合物とした後に、この混合物を撹拌しながら、65℃で26時間反応させた。次いで、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、その混合物(反応液)をセライトでろ過した。得られたろ液からエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製し、白色固体の目的化合物319.9 mgを得た(収率68%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.11 (brs, 8H), 2.30-2.40 (brm, 8H), 3.42 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.44 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.33 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.45 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.51 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.65 (s, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 77.9 (4°), 78.1 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 121.7 (4°), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 128.7 (4°), 131.5 (CH), 139.5 (4°), 139.8 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C50H56Br2O8Na [M+Na]+: 965.2240, found 965.2195; mp : 184.7-186.4℃。
【実施例】
【0372】
合成例6:化合物(5a-2)
【実施例】
【0373】
【化59】
JP2013133386A1_000060t.gif
【実施例】
【0374】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 ml丸底フラスコに、合成例5で得られた化合物(5a-1)285.4 mg(0.30 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)6.0 mg(6.6μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)13.3 mg(28μmol)、ビスピナコレートジボロン(Bis(pinacolate)diboron)227.5 mg(0.9 mmol)、及び酢酸カリウム(KOAc)180.1 mg(1.8 mmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥させたジオキサン(1,4-dioxane)15 mlを導入し、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、90℃で5時間反応させた。フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をゲル浸透クロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、白色固体の目的化合物271.7 mgを得た(収率87%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.32 (s, 24H) 2.14 (brs, 8H), 2.36 (brs, 8H), 3.41 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.46 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.45 (δ, J = 9 Hz, 4H), 7.51 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 7.65 (s, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.9 (CH3), 33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 78.2 (4°), 78.3 (4°), 83.8 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 126.2 (4°), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 134.8 (4°), 134.9 (CH), 139.5 (4°), 139.7 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C62H80B2O12Na [M・Na]+: 1061.5753, found 1061.5719; mp : 225.1-226.6℃。
【実施例】
【0375】
合成例7:化合物(6a)
【実施例】
【0376】
【化60】
JP2013133386A1_000061t.gif
【実施例】
【0377】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた100 mlフラスコに、合成例2で得られた化合物(Ia-2)366 mg(712μmol)、化合物(IIb-1)(1,4-ベンゼンジボロン酸ビス(ピナコール)エステル、1,4-benzenediboronic acid bis(pinacol) ester)1.99 g(6.03 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)70.6 mg(61.1μmol)、炭酸銀(Ag2CO3)284 mg(1.03 mmol)、及び乾燥THF30 mLを入れた。この混合物を撹拌しながら、65℃で24時間反応させ、混合物を水でクエンチした。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 10/1-5/1)で精製し、無色固体の目的化合物290 mgを得た(収率54%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ1.35 (s, 24H), 2.17 (br, 4H), 2.38 (br, 4H), 3.44 (s, 6H), 4.48 (s, 4H), 7.52 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.58 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.58 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.86 (d, J = 8 Hz, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ24.9 (CH3), 33.1 (CH2), 56.0 (CH3), 78.2 (4°), 83.8 (4°), 92.3 (CH2), 126.3 (CH), 127.1 (CH), 127.3 (br, CH), 135.3 (CH), 140.1 (4°), 143.2 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8 [M・Na]+: 783.4210, found 783.4240。
【実施例】
【0378】
合成例8:化合物(7)
【実施例】
【0379】
【化61】
JP2013133386A1_000062t.gif
【実施例】
【0380】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた100 mlフラスコに、合成例7で得られた化合物(6a)155 mg(204μmol)、合成例2で得られた化合物(Ia-2)1.22 g(2.37 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)25.4 mg(22.0 mmol)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)107 mg(1.01 mmol)、乾燥トルエン12 mL、及び乾燥酢酸エチル(EtOAc)3 mLを入れた。この混合物を撹拌しながら、70℃で24時間反応させた。室温まで冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 6/1~1/1)で精製し、無色固体の目的化合物239 mgを得た(収率44%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.10 (br, 12H), 2.27-2.49 (m, 12H), 3.41 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.47 (s, 4H), 4.50 (s, 4H), 7.32 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.44 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.50 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.54 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.59 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.64 (s, 8H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 77.9 (4°), 78.1 (4°), 78.2 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 121.7 (4°), 126.9 (CH), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 127.4 (CH), 128.7 (CH), 131.5 (CH), 139.4 (4°), 139.5 (4°), 139.7 (4°), 139.8 (4°), 141.6 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C76H86Br2NaO8 [M・Na]+: 1395.4378, found 1395.4364。
【実施例】
【0381】
合成例9:化合物(4a)
【実施例】
【0382】
【化62】
JP2013133386A1_000063t.gif
【実施例】
【0383】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例6により得られた化合物(5a-2)102 mg(98.2μmol)、上記の合成例2により得られた化合物(Ia-2)500 mg(972μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)11.1 mg(9.60μmol)、炭酸銀(Ag3CO3)108 mg(355μmol)、及び乾燥THF10mLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、60℃で19時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、水でクエンチした。その後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 3/1~2/3)で精製し、無色固体の目的化合物93.9 mgを得た(収率58%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.15 (br, 16H), 2.27-2.42 (m, 16H), 3.40 (s, 6H), 3.41 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.45 (s, 4H), 4.47 (s, 4H), 4.49 (s, 4H), 7.31 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.43 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.45-7.56 (m, 20H), 7.59 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.63 (s, 4H); HRMS (FAB) m/z calcd for C94H108Br2NaO16[M・Na]+: 1673.5896, found 1673.5862。
【実施例】
【0384】
実施例1:化合物(a1-1)
【実施例】
【0385】
【化63】
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【実施例】
【0386】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)14.5 mg(52.7μmol)、上記の合成例4により得られた化合物(3a-1)30.6 mg(25.0μmol)、及び2,2'-ビピリジル(2,2'-bipyridyl)7.82 mg(50.1μmol)を入れた。その後、乾燥THFを15.5 mL添加した。得られた混合物を撹拌しながら、還流下に24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲルでろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄し、その後減圧下に溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc)で精製し、無色固体の目的化合物12.2 mgを得た(収率46%)。
1H NMR (600 MHz, 50 ℃, CDCl3) δ 2.07 (br, 12H), 2.28-2.34 (m, 12H), 3.43 (s, 18H), 4.58 (s, 12H), 7.40 (d, J = 8 Hz, 12H), 7.46 (d, J= 8 Hz, 12H); 13C NMR (150 MHz, 50 ℃, CDCl3) δ 33.3 (CH2), 55.9 (CH3), 78.1 (4°), 92.4 (CH2), 126.8 (CH), 127.3 (CH), 139.4 (4°), 141.2 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C66H78NaO12 [M・Na]+: 1085.5391, found: 1085.538; mp : 182.3-187.0℃。
【実施例】
【0387】
実施例2:化合物(a4-1)その1
【実施例】
【0388】
【化64】
JP2013133386A1_000065t.gif
【実施例】
【0389】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例2により得られた化合物(Ia-2)21.0 mg(40.9μmol)、上記の合成例6により得られた化合物(5a-2)49.4 mg(47.6μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)3.8 mg(8.0μmol)、リン酸カリウム(K3PO4)84.9 mg(405μmol)、1,4-ジオキサン20mL及び水80μLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲル層でろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄し、その後減圧下に溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)、及び分取薄層クロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc = 1/1)で精製し、無色固体の目的化合物9.3 mgを得た(収率20%)。
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2, 35℃) δ 1.67 (s, 4H), 1.93-2.53 (m, 20H), 2.31 (br, 4H), 3.36 (s, 6H), 3.37 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.48 (s, 4H), 4.55 (s, 4H), 4.58 (s, 4H), 7.29 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.40-7.47 (m, 12H), 7.60 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.66 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.68 (s, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3, 50℃) δ 32.8 (CH2), 33.2 (CH2), 34.0 (CH2), 55.5 (CH3), 55.9 (CH3), 56.2 (CH3), 77.9 (4°), 78.3 (4°), 78.4 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 92.6 (CH2), 126.6 (CH), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 128.3 (CH), 139.3 (4°), 139.3 (4°), 139.5 (4°), 139.5 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8 [M・Na]+: 631.3584, found 631.3605。
【実施例】
【0390】
実施例3:化合物(a4-1)その2
【実施例】
【0391】
【化65】
JP2013133386A1_000066t.gif
【実施例】
【0392】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例4により得られた化合物(3a-1)29.5 mg(24.1μmol)、化合物(IIb-1)(1,4-ベンゼンジボロン酸ビス(ピナコール)エステル、1,4-benzenediboronic acid bis(pinacol) ester)11.1 mg(33.6μmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)2.15 mg(9.58μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)4.57 mg(9.59μmol)、10 M NaOH水溶液20.0 mL(200μmol)及び1,4-ジオキサン20mLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で17時間反応させた。さらに水を添加し、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)、及び分取薄層クロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc = 1/1)で精製し、無色固体の目的化合物5.04 mgを得た(収率18 %)。
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2, 35℃) δ 1.67 (s, 4H), 1.93-2.53 (m, 20H), 2.31 (br, 4H), 3.36 (s, 6H), 3.37 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.48 (s, 4H), 4.55 (s, 4H), 4.58 (s, 4H), 7.29 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.40-7.47 (m, 12H), 7.60 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.66 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.68 (s, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3, 50℃) δ 32.8 (CH2), 33.2 (CH2), 34.0 (CH2), 55.5 (CH3), 55.9 (CH3), 56.2 (CH3), 77.9 (4°), 78.3 (4°), 78.4 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 92.6 (CH2), 126.6 (CH), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 128.3 (CH), 139.3 (4°), 139.3 (4°), 139.5 (4°), 139.5 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8[M・Na]+: 631.3584, found 631.3605。
【実施例】
【0393】
実施例4:化合物(a3-1)
【実施例】
【0394】
【化66】
JP2013133386A1_000067t.gif
【実施例】
【0395】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた20 ml J-Youngシュレンク管に、上記の合成例8により得られた化合物(7)70.0 mg(50.9μmol)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)48.2 mg(17.5μmol)、2,2'-ビピリジル(2,2'-bipyridyl)27.1 mg(17.3μmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン2 mLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。室温まで冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc = 2/1)で精製し、無色固体の目的化合物26.1 mgを得た(収率42%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3, 50℃) δ 1.86 (br, 4H), 2.08 (br, 4H), 2.21-2.47 (m, 16H), 3.39 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 4.52 (s, 4H), 4.54 (s, 4H), 4.62 (s, 4H), 7.35 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.42 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.44 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.54 (d, J = 8 Hz, 8H), 7.56-7.62 (m, 16H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3, 50℃) δ 32.8 (CH2), 33.4 (CH2), 33.7 (CH2), 55.7 (CH3), 55.8 (CH3), 56.2 (CH3), 77.9 (4), 78.0 (4), 78.3 (4), 92.2 (CH2), 92.4 (CH2), 92.5 (CH2), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 126.9 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 127.5 (CH), 127.9 (CH), 139.2 (4°), 139.3 (4°), 139.4 (4°), 139.5 (4°), 139.6 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C76H86NaO8 [M・Na]+: 1237.6011, found 1237.6014。
【実施例】
【0396】
実施例5:化合物(a2-1)
【実施例】
【0397】
【化67】
JP2013133386A1_000068t.gif
【実施例】
【0398】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例9により得られた化合物(4a)41.3 mg(25.0μmol)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)13.8 mg(50.2μmol)、及び2,2'-ビピリジル(2,2'-bipyridyl)を入れた。乾燥THF12.5 mLを添加した後、得られた混合物を撹拌しながら、還流下に24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後、シリカゲルでろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄し、その後減圧下に溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc)で精製し、無色固体の目的化合物19.0 mgを得た(収率51%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3, 50℃) δ 1.90-2.46 (m, 32H), 3.38 (s, 6H), 3.40 (s, 6H), 3.40 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.40 (s, 4H), 4.42 (s, 4H), 4.50 (s, 4H), 4.52 (s, 4H), 7.42 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.45-7.52 (m, 20H), 7.55 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.59 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.63 (s, 4H); HRMS (FAB) m/z calcd for C94H108NaO8[M・Na]+: 1515.7535, found 1515.7530。
【実施例】
【0399】
実施例6:[9]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0400】
【化68】
JP2013133386A1_000069t.gif
【実施例】
【0401】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
20mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の実施例1により得られた化合物(a1-1)26.6 mg(25μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)69.1 mg(400μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.5 mL及び乾燥m-キシレン(m-xylene)5 mLを入れ、攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物(反応液)をCHCl3で抽出した。抽出後、Na2SO4で乾燥した後に、減圧下、溶媒留去して粗生成物を得た。その後、TLC(CH2Cl2/ヘキサン)により、黄色固体の目的化合物4.2 mgを得た(収率24%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.52 (s, 36H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.3 (CH), 137.9 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C54H36 [M・]+: 684.2817, found: 684.2834。
【実施例】
【0402】
実施例7:[10]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0403】
【化69】
JP2013133386A1_000070t.gif
【実施例】
【0404】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の実施例2又は3により得られた化合物(a4-1)9.3 mg(8.2μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)28 mg(20μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.5 mL及び乾燥m-キシレン(m-xylene)5 mLを入れ、攪拌しながら150℃で72時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液でクエンチし、溶媒として酢酸エチル(EtOAc)を用いてセライトでろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。さらに、有機相をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(ヘキサン/CH2Cl2=1/1)により、黄色固体の目的化合物1.5 mgを得た(収率24%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.56 (s, 40H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.4 (CH), 138.2 (4°); HRMS (MALDI) m/z calcd for C60H40 [M・]+: 760.3125, found: 760.3153。
【実施例】
【0405】
実施例8:[11]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0406】
【化70】
JP2013133386A1_000071t.gif
【実施例】
【0407】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の実施例4により得られた化合物(a3-1)20.7 mg(17.0μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)51.6 mg(37.4μmol)、o-クロラニル(o-chloranil)20.7 mg(84.2μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.5 mL及び乾燥m-キシレン(m-xylene)4 mLを入れた。攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液でクエンチし、溶媒として酢酸エチル(EtOAc)を用いてセライトでろ過した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。さらに、有機相をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(ヘキサン/CH2Cl2=1/1)により、黄色固体の目的化合物4.6 mgを得た(収率32%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.58 (s, 44H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.3 (CH), 138.4 (4°); HRMS (MALDI) m/z calcd for C66H44 [M・]+: 836.3438, found: 836.3437。
【実施例】
【0408】
実施例9:[13]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0409】
【化71】
JP2013133386A1_000072t.gif
【実施例】
【0410】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の実施例5により得られた化合物(a2-1)4.0 mg(2.7μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)7.4 mg(54μmol)、o-クロラニル(o-chloranil)3.3 mg(13μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.5 mL及び乾燥m-キシレン(m-xylene)4 mLを入れた。攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液でクエンチし、溶媒として酢酸エチル(EtOAc)を用いてセライトでろ過した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(ヘキサン/CH2Cl2=1/1)により、黄色固体の目的化合物9.3 mgを得た(収率20%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.64 (s, 52H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.4 (CH), 138.7 (4°); HRMS (MALDI) m/z calcd for C78H52 [M・]+: 988.4064, found: 988.4086。
【実施例】
【0411】
このように、従来は選択的に純物質として合成できなかった数の環を有する環状化合物を含め、様々な環状化合物を自在に選択的に純物質として合成することができた。このことから、本発明の方法を採用すれば、他にも様々な数の環を有する環状化合物を簡便に選択的に純物質として合成することが可能である。
【実施例】
【0412】
合成例10:化合物(IIIa-1)
【実施例】
【0413】
【化72】
JP2013133386A1_000073t.gif
【実施例】
【0414】
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、1,4-ジブロモ-2-クロロベンゼン(IIIb-1;1,4-dibromo-2-chlorobenzene)136 mg(0.5 mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(bis(pinacolate)diboron)320 mg(1.25 mmol)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド(PdCl2(dppf))12.8 mg(15μmol)、酢酸カリウム(KOAc)148 mg(1.5 mmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン5 mLを入れた。シュレンク管を攪拌しながら80℃で6時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲルでろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄し、その後減圧下に溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc=10/1)で精製し、白色固体の目的化合物133 mgを得た(収率72%)。
1H NMR (270 MHz CDCl3) δ1.34 (s, 12H), 1.37 (s, 12H), 7.62 (d, J = 7 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 7 Hz, 1H), 7.76 (s, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ24.9 (CH3), 84.2 (4°), 131.7 (CH), 135.2 (CH), 135.6 (CH), 139.1 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C18H27B2ClNaO4[M・Na]+: 387.1676, found 387.1668。
【実施例】
【0415】
合成例11:化合物(5’a)
【実施例】
【0416】
【化73】
JP2013133386A1_000074t.gif
【実施例】
【0417】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた100 ml丸底フラスコに、合成例10で得られた化合物(IIIa-1)369 mg(1.01 mmol)、合成例2で得られた化合物(Ia-2)5.12 g(10.0 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)50.1 mg(43.4μmol)、炭酸銀(Ag2CO3)1.10 g(4.0 mmol)、及び乾燥THF20 mLを入れた。この混合物を撹拌しながら、60℃で24時間反応させた。室温まで冷却した後、生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc=5/1-3/1)で精製し、白色固体の目的化合物716 mgを得た(収率72%)。
1H NMR (270 MHz CDCl3) δ2.11 (br, 8H), 2.35 (br, 8H), 3.40 (s, 3H), 3.41 (s, 3H), 3.43 (s, 3H), 3.44 (s, 3H), 4.43 (s, 4H), 4.47 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 7.32-7.38 (m, 5H), 7.44-7.58 (m, 13H), 7.67 (d, J = 2 Hz, 1H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 32.9 (br, CH2), 56.00 (CH3), 56.07 (CH3), 56.1, (CH3), 56.0 (CH3), 77.8 (4°), 77.9 (4°), 77.97 (4°), 78.00 (4°), 92.07 (CH3), 92.12 (CH3), 92.2 (CH3), 92.3 (CH3), 121.6 (4°), 121.7 (4°), 125.4 (CH), 126.4 (CH), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 128.4 (4°), 128.7 (4°), 128.8 (4°), 129.4 (CH), 131.5 (CH), 131.6 (CH), 132.8 (4°), 138.2 (4°), 138.5 (4°), 138.7 (4°), 141.0 (4°). HRMS (FAB) m/z calcd for C50H55Br2ClNaO8[M・Na]+: 999.1844, found 999.1831。
【実施例】
【0418】
反応条件を変更して同様の反応を行ったところ、以下の収率が得られた。結果を表1に示す。なお、表1において、Pd(OAc)2は酢酸パラジウム(II)、XPhosは2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル、Pd(PPh3)4はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を示す。
【実施例】
【0419】
【表1】
JP2013133386A1_000075t.gif
【実施例】
【0420】
実施例10:化合物(b2-1)その1
【実施例】
【0421】
【化74】
JP2013133386A1_000076t.gif
【実施例】
【0422】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例11により得られた化合物(5’a)10.0 mg(10μmol)、上記の合成例2により得られた化合物(Ia-2)8.7 mg(14μmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)0.4 mg(2.0μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',6'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル(S-Phos)0.8 mg(2.0μmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン10mLを入れた。この混合物に、さらに、水酸化ナトリウム水溶液5μL(10 M)を添加した。その後、得られた混合物を撹拌しながら、90℃で24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲル層でろ過した(溶媒は酢酸エチル)。その後、TLC(CH2Cl2/EtOAc=2/1)により、白色固体の目的化合物2.7 mgを得た(収率23%)。
1H NMR (400 MHz CDCl3) δ2.16 (br, 12H), 2.34 (br, 12H), 3.40-3.42 (m, 18H), 4.42-4.46 (m, 12H), 7.42-7.53 (m, 27H). HRMS (FAB) m/z calcd for C72H81ClNaO12[M・Na]+: 1195.5309, found: 1195.5297。
【実施例】
【0423】
配位子として、上記のS-Phosではなく、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)を用いた他は同様に行った場合にも、22%の収率が得られた。
【実施例】
【0424】
また、上記の実施例では、化合物(5’a)の濃度は1 mMとして反応を行ったが、濃度が2 mMの場合も収率23%であった。
【実施例】
【0425】
実施例11:化合物(b2-1)その2
【実施例】
【0426】
【化75】
JP2013133386A1_000077t.gif
【実施例】
【0427】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例4により得られた化合物(3a-1)25.5 mg(21μmol)、上記の合成例10により得られた化合物(IIIa-1)12.5 mg(34μmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)1.7 mg(49μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)1.5 mg(67μmol)及び乾燥1,4-ジオキサン20 mLを入れた。この混合物に、さらに、水酸化ナトリウム水溶液20μL(10 M)を添加した。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲル層でろ過した(溶媒は酢酸エチル)。その後、TLC(CH2Cl2/EtOAc=2/1)により、白色固体の目的化合物8.2 mgを得た(収率34%)。
1H NMR (400 MHz CDCl3) δ2.16 (br, 12H), 2.34 (br, 12H), 3.40-3.42 (m, 18H), 4.42-4.46 (m, 12H), 7.42-7.53 (m, 27H). HRMS (FAB) m/z calcd for C72H81ClNaO12[M・Na]+: 1195.5309, found: 1195.5297。
【実施例】
【0428】
なお、化合物(3a-1)の量を0.12 mmolとした(化合物(IIIa-1)の量はそれに応じて1.4当量となるように増加させた)ところ、収率は16~27%程度となった。
【実施例】
【0429】
実施例12:化合物(b3)
【実施例】
【0430】
【化76】
JP2013133386A1_000078t.gif
【実施例】
【0431】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例11により得られた化合物(5’a)44.9 mg(45.8μmol)、上記の合成例7により得られた化合物(6a)49.0 mg(64.4μmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)3.0 mg(13.4μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)8.9 mg(18.4μmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン46mLを入れた。この混合物に、さらに、水酸化ナトリウム水溶液46μL(10 M, 0.46 mmol)を添加した。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲル層でろ過した(溶媒は酢酸エチル)。その後、TLC(CH2Cl2/EtOAc=2/1)により、白色固体の目的化合物6.5 mgを得た(収率11%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.16 (br, 12H), 2.39 (br, 12H), 3.45 (s, 18H), 4.49 (s, 12H), 7.42-7.71(m, 35H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 29.7 (br, CH2), 56.0 (CH3), 78.2 (br, 4°), 92.2 (CH2), 125.4, 126.5, 126.9, 127.0, 127.3, 128.4, 128.8, 129.4, 131.5, 131.6, 139.5, 139.7, 140.3, 140.5; LRMS (FAB) m/z calcd for C84H90ClO12 [M・H]+: 1325.6115, found 1326。
【実施例】
【0432】
このように、実施例12では、実施例10ほど高収率で反応が進まなかった。
【実施例】
【0433】
実施例13:化合物(b1-1)
【実施例】
【0434】
【化77】
JP2013133386A1_000079t.gif
【実施例】
【0435】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例11により得られた化合物(5’a)13.0 mg(13.2μmol)、上記の合成例6により得られた化合物(5a-2)18.7 mg(18.0μmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)0.6 mg(2.6μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)2.5 mg(5.1μmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン6.5mLを入れた。この混合物に、さらに、水酸化ナトリウム水溶液13μL(10 M, 13mmol)を添加した。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲル層でろ過した(溶媒は酢酸エチル)。その後、TLC(CH2Cl2/EtOAc=1/1)により、白色固体の目的化合物7.2 mgを得た(収率21%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.17 (br, 16H), 2.39 (br, 16H), 3.43 (s, 12H), 3.44 (s, 12H), 4.44-4.50 (m, 16H), 7.43-7.63(m, 39H); 13C NMR (98.52 MHz, CDCl3) δ33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 78.1 (4°), 92.2 (CH2), 125.3 (CH), 126.4 (4°), 126.8 (CH), 127.3 (CH), 128.3 (CH), 128.5 (CH), 128.7 (CH), 129.4 (CH), 131.4 (CH), 131.5(CH), 131.6 (CH), 132.7 (4°), 138.0 (4°), 138.4 (4°), 138.6 (4°), 139.4 (4°), 139.5 (4°), 139.6 (4°), 141.0 (4°), 141.5 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C100H111ClNaO16 [M・Na]+: 1625.7453, found 1625.7483。
【実施例】
【0436】
実施例14:クロロ[10]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0437】
【化78】
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【実施例】
【0438】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の実施例10又は11により得られた化合物(b2-1)47.3 mg(40.3μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)113 mg(0.81 mmol)、o-クロラニル(o-chloranil)50.0 mg(0.20 mmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.3 mL及び乾燥m-キシレン(m-xylene)5 mLを入れ、攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(CH2Cl2/ヘキサン =1/1)により、黄色固体の目的化合物5.7 mgを得た(収率18%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.50?7.66 (m, 38Η), 7.78 (d, J = 2 Hz, 1Η);13C NMR (150.8 MHz, CDCl3) δ 127.0, 127.18, 127.24, 127.3, 127.42, 127.44, 127.5, 127.6, 127.8, 127.9, 128.0, 129.1, 132.4, 133.4, 133.9, 137.6, 137.65, 137.68, 137.8, 137.9, 138.1, 138.16, 138.19, 138.25, 138.32, 138.4, 138.5, 138.6, 138.8, 138.9, 139.0, 139.1, 139.6, 139.9, 141,5; HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C60H39Cl [M・]+: 794.2740, found 794.2743。
【実施例】
【0439】
実施例15:クロロ[12]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0440】
【化79】
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【実施例】
【0441】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の実施例12により得られた化合物(b3)4.2 mg(3.17μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)30.0 mg(0.22 mmol)、o-クロラニル(o-chloranil)2.8 mg(11.3μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)0.2 mL、及び乾燥m-キシレン(m-xylene)0.7 mLを入れ、攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(CH2Cl2/ヘキサン =1/1)により、黄色固体の目的化合物0.4 mgを得た(収率13%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.58-7.64 (m, 46H), 7.80 (d, J = 2Hz, 1H); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C72H47Cl [M・]+: 946.3366, found 947.0030。
【実施例】
【0442】
実施例16:クロロ[14]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0443】
【化80】
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【実施例】
【0444】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の実施例13により得られた化合物(b1-1)15.2 mg(9.47μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)26.7 mg(0.19 mmol)、o-クロラニル(o-chloranil)12.2 mg(47.3μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)0.6 mL、及び乾燥m-キシレン(m-xylene)2.0 mLを入れ、攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(CH2Cl2/ヘキサン =1/1)により、黄色固体の目的化合物3.5 mgを得た(収率32%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.18 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.60-7.72 (m, 53H), 7.81 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 127.0 (CH)127.0 (CH), 127.3 (CH), 127.47 (CH), 127.54 (CH), 127.7 (CH), 129.6 (CH), 132.0 (4°), 133.2 (CH), 137.8 (4°), 137.9 (4°), 138.0 (4°), 138.6 (4°), 138.7 (4°), 138.8 (4°), 139.0 (4°), 139.2 (4°), 139.7 (4°), 140.5 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C84H55Cl [M・]+: 1098.3992, found 1099.2469。
【実施例】
【0445】
実施例14~16を比較すると、実施例14~15と比較し、実施例16では高収率で反応が進行した。このことから、リングサイズの違いによる歪みエネルギーの違いが芳香族化反応に関わっていると考えられる。
【実施例】
【0446】
このように、従来は困難とされていた、シクロパラフェニレンのように対称性の高い環状化合物の所望の箇所に官能基を導入することができた。本発明の方法を採用すれば、他の数の環を有する環状化合物に官能基を導入することも可能である。また、いずれの実施例においても、本発明の合成過程において、クロロ基が反応点となった副生成物は得られなかった。
【実施例】
【0447】
実施例17:p-アニシル化[10]シクロパラフェニレン
【実施例】
【0448】
【化81】
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【実施例】
【0449】
20 mLの攪拌機シュレンク管に、上記の実施例14により得られたクロロ[10]シクロパラフェニレン4.6 mg(5.8μmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(4-methoxyphenylboronic acid)1.7 mg(11.2μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)0.6 mg(0.57μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)0.6 mg(1.2μmol)、リン酸カリウム(K3PO4)2.7 mg(11.7μmol)、乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)0.45 mL、及び水0.05 mLを入れ、攪拌しながら135℃で23時間加熱した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。その後、TLC(CH2Cl2/ヘキサン =1/1)により、白色固体の目的化合物0.5 mgを得た(収率10%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.84 (s, 3H), 6.93 (m, 2H), 7.08 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.43-7.60 (m, 38H), 7.89 (d, J = 10 Hz, 1H); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C67H46O [M・]+: 866.3549, found 866.5002。
【実施例】
【0450】
このように、実施例14~16において導入した官能基を他の官能基に変換することも可能であることが見出された。特に、合成過程で導入しづらい官能基であっても、一度合成しやすい官能基を導入した環状化合物を合成し、その後所望の官能基に変換すれば、容易に環状化合物に官能基が導入できる。このことから、他の様々な官能基をシクロパラフェニレン化合物等の環状化合物に導入することが可能である。
【実施例】
【0451】
なお、実施例17で得たp-アニシル化[10]シクロパラフェニレンは、実施例14で得たクロロ[10]シクロパラフェニレンと比較するとやや高い極性を示した。また、365 nmのUVランプを照射すると、p-アニシル化[10]シクロパラフェニレン及びクロロ[10]シクロパラフェニレンともに、水色の蛍光を示した。