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明細書 :電気化学反応装置および電気化学反応装置の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-176774 (P2015-176774A)
公開日 平成27年10月5日(2015.10.5)
発明の名称または考案の名称 電気化学反応装置および電気化学反応装置の製造方法
国際特許分類 H01M   4/86        (2006.01)
C25B  13/02        (2006.01)
C25B   9/00        (2006.01)
C25B   1/10        (2006.01)
H01M   8/12        (2006.01)
H01M   8/02        (2006.01)
G01N  27/409       (2006.01)
FI H01M 4/86 M
C25B 13/02 301
C25B 9/00 A
C25B 1/10
H01M 8/12
H01M 8/02 E
G01N 27/58 B
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 35
出願番号 特願2014-052785 (P2014-052785)
出願日 平成26年3月14日(2014.3.14)
新規性喪失の例外の表示 申請有り
発明者または考案者 【氏名】長藤 圭介
【氏名】鹿園 直毅
【氏名】品川 俊太
【氏名】中尾 政之
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100098729、【弁理士】、【氏名又は名称】重信 和男
【識別番号】100156535、【弁理士】、【氏名又は名称】堅田 多恵子
審査請求 未請求
テーマコード 2G004
4K021
5H018
5H026
Fターム 2G004BB10
2G004BM07
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB11
4K021DB19
4K021DB36
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
5H018AA06
5H018AS02
5H018AS03
5H018BB00
5H018EE04
5H018EE13
5H026AA06
5H026BB00
要約 【課題】燃料電池や充電可能な二次電池あるいは水電解装置等における、酸化物イオン、電子、ガス等の物質輸送と電極内のイオン伝導体、金属、空隙間の界面反応を最適化して効率を高めることが可能な電気化学反応装置および電気化学反応装置の製造方法を提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池(SOFC)8は、燃料極1、空気極2、電解質3の三層を有し、燃料極1は、電解質層部YSZ3の層面からイオン輸送方向に延びる柱状に形成されたYSZ柱部7A、7Bと、Ni粒子6Aを、YSZ柱部7Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともにイオン輸送方向に連続させて2列配置させたNi粒子配置部と、YSZおよびNi粒子が配置されていない空隙18Aと、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
第1物質を輸送する第1輸送媒体を少なくとも備える第1電極部と、前記第1輸送媒体と異なる媒体である第2輸送媒体を少なくとも備える第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられ、前記第1物質と異なる中間物質を輸送する中間輸送媒体を少なくとも備える中間輸送媒体部とを有する電気化学反応装置において、
前記第1電極部には、
前記中間輸送媒体により構成され、前記中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成された複数の中間輸送媒体柱部と、
前記第1輸送媒体を、前記中間輸送媒体柱部間に形成された空間に、前記中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置された第1輸送媒体配置部と、
前記中間輸送媒体および前記第1輸送媒体により空隙として形成される第1空隙部と、
を備えることを特徴とする電気化学反応装置。
【請求項2】
前記中間輸送媒体柱部は、前記中間輸送媒体の代わりに、前記中間輸送媒体以外の他の輸送媒体により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学反応装置。
【請求項3】
前記第1輸送媒体配置部は、前記第1輸送媒体により構成され、前記中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学反応装置。
【請求項4】
前記複数の中間輸送媒体柱部の各々は、当該中間輸送媒体柱部の先端部に向かって先細りに構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気化学反応装置。
【請求項5】
前記第1輸送媒体配置部は、前記中間輸送媒体柱部の先端部に前記第1輸送媒体がさらに配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気化学反応装置。
【請求項6】
前記第2電極部には、
前記中間輸送媒体により構成され、前記中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成された複数の第2中間輸送媒体柱部と、
前記第2輸送媒体を、前記第2中間輸送媒体柱部間に形成された空間に、前記第2中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置された第2輸送媒体配置部と、
前記中間輸送媒体および前記第2輸送媒体により空隙として形成される第2空隙部と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気化学反応装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電気化学反応装置は、燃料電池、水電解装置、水素製造装置、二次電池、ガスセンサのうちいずれかであることを特徴とする電気化学反応装置。
【請求項8】
第1物質を輸送する第1輸送媒体を少なくとも備える第1電極部と、前記第1輸送媒体と異なる媒体である第2輸送媒体を少なくとも備える第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられ、前記第1物質と異なる中間物質を輸送する中間輸送媒体を少なくとも備える中間輸送媒体部とを有する電気化学反応装置の製造方法において、
前記中間輸送媒体部を形成し、当該中間輸送媒体部の層面に、前記第1輸送媒体と異なる中間輸送媒体により複数の柱状の中間輸送媒体柱部を形成する第1工程と、
前記第1輸送媒体を、柱状に形成された前記中間輸送媒体柱部の少なくとも一部に接触させ、物質輸送方向に連続させて配置させる第2工程と、
柱状に形成された前記中間輸送媒体柱部および前記第1輸送媒体が配置された領域に前記第1電極部を構成させる第3工程と、
を備えることを特徴とする電気化学反応装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学反応を伴って物質が輸送・反応する装置に関し、特に、燃料電池や充電可能な二次電池あるいは水電解装置等における、酸化物イオン、電子、ガス等の物質輸送と、電極と電解質や空隙との界面反応を最適化して効率を高めることが可能な電気化学反応装置および電気化学反応装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素と空気中の酸素から電力を取り出す燃料電池の開発が盛んに行われている。燃料電池は、発電時の排出物が水のみである為、環境に優れた発電方式であるだけでなく、水素や炭化水素の燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するためエネルギーの効率が高く、地球規模でのエネルギーや環境問題解決の切り札として特に熱機関として期待されている。その中でも、固体酸化物形燃料電池SOFC (Solid Oxide Fuel Cell)は最も発電効率が高いことが知られている(例えば、特許文献1参照)。SOFCは、電解質として固体酸化物のイオン伝導性セラミックスを用いて、空気極で生成した酸化物イオンが電解質を透過し、燃料極で水素、一酸化炭素、炭化水素、アルコールなどと反応することにより電気エネルギーを発生させるものである。
【0003】
また、例えば、固体高分子形燃料電池PEFC(Polymer Electrolyte(Membrane) Fuel Cell)は、イオン交換膜を挟んで、正極に酸化剤を、負極に還元剤(燃料、専ら水素)を供給することにより発電する燃料電池として知られている。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、燃料電池とは逆の反応を起こすような電気化学反応装置としては、水を電気分解することで、水素や酸素を得るような水電解装置が知られており、例えば、高温水蒸気電解、アルカリ水電解、固体高分子形水電解などが知られている。また、還元ガスや酸化ガスの化学反応現象を用いた、酸素、酸化窒素(NOX)などの分圧を測定可能なガスセンサがある。
また、充電可能な二次電池として利用されているリチウムイオン電池やリチウムやマグネシウムなどの金属を燃料極に用いる空気電池においては、金属が酸化還元するイオン化傾向を利用して酸化還元電位を発生させ、酸化還元作用のある液体の電解質により電極同士を接続させている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2008-546161号公報(第8頁、図2)
【特許文献2】特開2009-99491号公報(第8頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの電気分解を利用する電気化学反応装置では、電解質を介して各電極が接続されており、各電極内は、電極を構成する各物質の微粒子により構成され、例えば、酸化物イオン、電子、ガスがそれぞれ輸送されるとともに、界面において電気化学反応が生じる。このような電気化学反応装置においては、電気化学反応を起こす際に、それにより生じた物質の輸送や伝導が阻害されることで、界面反応と物質輸送を最適化することができず、効率が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、燃料電池や充電可能な二次電池あるいは水電解装置等における、酸化物イオン、水素イオン、金属イオン、電子、ガス等の物質輸送と電極と電解質や空隙との界面反応を最適化して効率を高めることが可能な電気化学反応装置及び電気化学反応装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の電気化学反応装置は、
第1物質を輸送する第1輸送媒体を少なくとも備える第1電極部と、前記第1輸送媒体と異なる媒体である第2輸送媒体を少なくとも備える第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられ、前記第1物質と異なる中間物質を輸送する中間輸送媒体を少なくとも備える中間輸送媒体部とを有する電気化学反応装置において、
前記第1電極部には、
前記中間輸送媒体により構成され、前記中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成された複数の中間輸送媒体柱部と、
前記第1輸送媒体を、前記中間輸送媒体柱部間に形成された空間に、前記中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置された第1輸送媒体配置部と、
前記中間輸送媒体および前記第1輸送媒体により空隙として形成される第1空隙部と、
を備える
ことを特徴としている。
この特徴によれば、中間輸送媒体柱部は、電解質などの中間輸送媒体により構成され、中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成され、これらが複数形成されることで、物質輸送方向に林立された中間輸送媒体柱部とすることができる。柱状としては、例えば、四角柱、多角柱、円柱、また、四角錐、多角錐、円錐、四角錐台、多角錐台、円錐台などの形状とすることができ、また、尾根状も含まれる。また、これらの柱または錘の側面は必ずしも直線の回転体である必要はなく、上に凸、または下に凸、またはこれらの組み合わせでも構わない。尾根状の形状としては、層面に対して垂直に立った構造で、非対称形状のものを指す。また、柱状や尾根状の形状としては、長手方向に、断面形状が一定である必要はない。中間輸送媒体柱部により、中間輸送媒体が途中で途切れることなく物質輸送方向に連続するため、屈曲度を理想的な1に近づけることができる。ここで、物質とは、導電イオン、電子、ガス、水などがあり、これらの物質を伝導させる媒体を輸送媒体という。輸送媒体は、さまざまな材質(material)で構成でき、相(phase)とし形成してもよい。この場合、第1物質は、例えば、電子とした場合、第1輸送媒体は、電子を伝導させる媒体であり、中間物質は、第1物質とは異なる物質であり、例えば、導電イオンとすることができ、中間輸送媒体は、導電イオンを伝導させる電解質などの輸送媒体である。中間輸送媒体柱部は、第1電極部において、中間輸送媒体により構成され、前記中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成されるため、物質の伝導率または拡散係数を高くすることができ、物質の輸送ロスを低減することができる。例えば、中間物質が導電イオンの場合、中間輸送媒体柱部を備えることで導電イオンの伝導率を高くすることができ、導電イオンの輸送ロスを低減することができる。また、第1輸送媒体配置部は、中間輸送媒体柱部間に形成された空間に、中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置され、第1空隙部は、中間輸送媒体および第1輸送媒体が配置されていない領域部分が空隙となることで中間輸送媒体および第1輸送媒体により形成される。中間輸送媒体柱部を構成する中間輸送媒体と、第1輸送媒体配置部に配置された第1輸送媒体と、空隙とにより三相界面を形成し、この三相界面で電気化学反応が起こり、電気化学反応により生成されたイオン、例えば酸化物イオン、電子、ガス等が、中間輸送媒体または第1輸送媒体を介して伝導される。また、第1空隙部を介して電気化学反応により生成されたガスなどの物質が伝導される。第1輸送媒体配置部が、中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置されているため、第1物質の伝導率または拡散係数を高くすることができる。また、三相界面も、第1輸送媒体配置部が、中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて第1輸送媒体が配置されているため、例えば中間輸送媒体柱部の側面と第1輸送媒体配置部の第1輸送媒体との接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。
【0009】
本発明の電気化学反応装置は、前記中間輸送媒体柱部が、前記中間輸送媒体の代わりに、前記中間輸送媒体以外の他の輸送媒体により構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、中間輸送媒体柱部は、中間輸送媒体以外の他の輸送媒体により構成してもよいため、中間輸送媒体部とは異なる輸送媒体で第1電極の中間輸送媒体柱部を形成することができる。
【0010】
本発明の電気化学反応装置は、前記第1輸送媒体配置部は、前記第1輸送媒体により構成され、前記中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1輸送媒体配置部は、第1輸送媒体により構成され、中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成され、これらが複数形成されることで、物質輸送方向に林立された第1輸送媒体柱部とすることができる。第1輸送媒体配置部を柱状に形成することで、第1輸送媒体が途中で途切れることなく連続するため、屈曲度を理想的な1に近づけることができ、導電イオンの伝導率を高くすることができ、導電イオンの輸送ロスを低減することができる。また、第1輸送媒体配置部を柱状に形成することで、中間輸送媒体柱部と、第1輸送媒体配置部とを物質輸送方向に林立させることができ、中間輸送媒体柱部の側面と第1輸送媒体柱部の側面とで接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。
【0011】
本発明の電気化学反応装置は、前記複数の中間輸送媒体柱部の各々は、当該中間輸送媒体柱部の先端部に向かって先細りに構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、中間輸送媒体柱部の先端部に向かって先細りの形状とすることで、柱状の深さ方向で第1輸送媒体と接触しやすくなり、中間輸送媒体柱部の側面と第1輸送媒体との接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。ここで、先細り形状の稜線は必ずしも直線である必要はない。
【0012】
本発明の電気化学反応装置は、前記第1輸送媒体配置部は、前記中間輸送媒体柱部の先端部に前記第1輸送媒体がさらに配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、中間輸送媒体柱部の先端部に前記第1輸送媒体がさらに配置されているので、第1物質の輸送ロスをさらに低減することができる。
【0013】
本発明の電気化学反応装置は、
前記第2電極部には、
前記中間輸送媒体により構成され、前記中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成された複数の第2中間輸送媒体柱部と、
前記第2輸送媒体を、前記第2中間輸送媒体柱部間に形成された空間に、前記第2中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置された第2輸送媒体配置部と、
前記中間輸送媒体および前記第2輸送媒体により空隙として形成される第2空隙部と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、第1電極部だけでなく、第2電極部も同様に中間輸送媒体で柱状の構成とすることができる。この場合、第2中間輸送媒体柱部は、前記中間輸送媒体により構成され、中間輸送媒体部に接続され物質輸送方向に沿って柱状に形成され、これらが複数形成されることで、物質輸送方向に林立された第2中間輸送媒体柱部とすることができる。柱状の構成としては、上述した中間輸送媒体柱部と同様にできる。第2中間輸送媒体柱部により、中間輸送媒体が途中で途切れることなく連続するため、屈曲度を理想的な1に近づけることができ、物質の伝導率または拡散係数を高くすることができ、物質の輸送ロスを低減することができる。また、第2輸送媒体配置部は、第2中間輸送媒体柱部間に形成された空間に、第2中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置され、第2空隙部は、中間輸送媒体および第2輸送媒体が配置されていない領域部分が空隙となることで中間輸送媒体および第2輸送媒体により形成される。第2中間輸送媒体柱部を構成する中間輸送媒体と、第2輸送媒体配置部に配置された第2輸送媒体と、空隙とにより三相界面を形成し、この三相界面で電気化学反応が起こり、電気化学反応により生成されたイオン、例えば酸化物イオン、電子、ガス等が、中間輸送媒体または第2輸送媒体を介して伝導される。また、第1空隙部を介して電気化学反応により生成されたガスなどの物質が伝導される。第2輸送媒体配置部が、第2中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置されているため、第2物質の伝導率または拡散係数を高くすることができる。また、三相界面も、第2輸送媒体配置部が、第2中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向に連続させて配置されているため、例えば第2中間輸送媒体柱部の側面と第2輸送媒体配置部の第2輸送媒体との接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。
【0014】
本発明の電気化学反応装置は、
燃料電池、水電解装置、水素製造装置、二次電池、ガスセンサのうちいずれかであることを特徴としている。
この特徴によれば、電気化学反応装置は、例えば、燃料電池、水電解装置、水素製造装置、二次電池、ガスセンサ等とすることができ、電気化学反応における物質の輸送ロスを低減することで、これらの装置の電気化学反応を効率化することができる。
【0015】
本発明の電気化学反応装置は、
第1物質を輸送する第1輸送媒体を少なくとも備える第1電極部と、前記第1輸送媒体と異なる媒体である第2輸送媒体を少なくとも備える第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられ、前記第1物質と異なる中間物質を輸送する中間輸送媒体を少なくとも備える中間輸送媒体部とを有する電気化学反応装置の製造方法において、
前記中間輸送媒体部を形成し、当該中間輸送媒体部の層面に、前記第1輸送媒体と異なる中間輸送媒体により複数の柱状の中間輸送媒体柱部を形成する第1工程と、
前記第1輸送媒体を、柱状に形成された前記中間輸送媒体柱部の少なくとも一部に接触させ、物質輸送方向に連続させて配置させる第2工程と、
柱状に形成された前記中間輸送媒体柱部および前記第1輸送媒体が配置された領域に前記第1電極部を構成させる第3工程と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、第1工程において、中間輸送媒体部を形成し、当該中間輸送媒体部の層面に、前記第1輸送媒体と異なる中間輸送媒体により複数の柱状の中間輸送媒体柱部を形成する。この工程により、中間輸送媒体柱部が複数形成される。第2工程では、第1輸送媒体を、柱状に形成された前記中間輸送媒体柱部の少なくとも一部に接触させ、物質輸送方向に連続させて配置させる。この工程により、第1輸送媒体配置部が複数形成され、中間輸送媒体および第1輸送媒体が配置されていない領域部分が空隙となることで中間輸送媒体および第1輸送媒体により第1空隙部が設けられる。第3工程では、柱状に形成された前記中間輸送媒体柱部および前記第1輸送媒体が配置された領域に前記第1電極部を構成させる。この工程により、第1電極部が、複数の中間輸送媒体柱部と、複数の第1輸送媒体配置部と、第1空隙部と、を備えることができ、上述した特徴を有する電気化学反応装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における燃料電池の構成を説明する説明図(a)と、従来の燃料電池の構成を説明する説明図(b)である。
【図2】実施例1における燃料電池の燃料極の構成を説明する説明図(a)・(b)である。
【図3】実施例1における燃料電池の燃料極の他の構成を説明する説明図である。
【図4】実施例1における燃料電池の製造方法を説明する説明図(1)~(6)である。
【図5】実施例1における燃料電池の燃料極のSEM像を説明する説明図(a)~(d)である。
【図6】実施例1における燃料電池の燃料極の垂直断面のSEM像を説明する説明図(a)~(d)である。
【図7】実施例1における燃料電池の発電実験の構成を説明する説明図である。
【図8】実施例1における燃料電池の発電実験に基づく結果を示すグラフ(a)・(b)である。
【図9】実施例1における燃料電池の発電実験に基づく燃料極の説明図である。
【図10】実施例1における燃料電池の発電実験に基づく三相界面長さの比と最大パワー密度の関係を示すグラフである。
【図11】実施例1における燃料電池と従来の構成を比較する説明図である。
【図12】屈曲度を説明する説明図である。
【図13】実施例2における燃料電池の構成を説明する説明図である。
【図14】実施例2における燃料電池の製造方法を説明する説明図(a)~(e)である。
【図15】実施例2における燃料電池の他の製造方法を説明する説明図(f)~(j)である。
【図16】実施例2における燃料電池の他の製造方法を説明する説明図(A)及び(B)である。
【図17】実施例2における燃料電池の他の製造方法を説明する説明図である。
【図18】実施例2における燃料電池の他の製造方法を説明する説明図(a—3)~(d—3)である。
【図19】実施例1または2における燃料電池の構成を2次元で示した説明図である。
【図20】実施例1または2における燃料電池の燃料極を考察するための説明図である。
【図21】YSZ体積比0.6の燃料極過電圧の分布図である。
【図22】各体積比率のx方向のポテンシャルの分布図である。
【図23】YSZ 体積比率と燃料極過電圧との関係を示すグラフである。
【図24】実施例1または2における燃料電池の燃料極の構成による違いを説明する説明図である。
【図25】実施例1または2における燃料電池の柱部の山形の構成を説明する説明図(a)・(b)である。
【図26】実施例1または2における燃料電池の柱部の台形の構成を説明する説明図(a)・(b)である。
【図27】実施例1または2における燃料電池の柱部の山形の構成におけるポテンシャル分布を示す分布図(a)・(b)である。
【図28】実施例1または2における燃料電池の柱部の台形の構成におけるポテンシャル分布を示す分布図(a)・(b)である。
【図29】実施例1または2における燃料電池の柱部の山形・台形の構成におけるアスペクト比に対する過電圧の関係を示すグラフ(a)・(b)である。
【図30】実施例1における電気化学反応装置の構成を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る電気化学反応装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明における電気化学反応装置としては、例えば、燃料電池、水電解装置、水素製造装置、二次電池、ガスセンサ等とすることができる。実施例1においては、電気化学反応装置が、燃料電池である場合を例にする。燃料電池としては、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte (Membrane) Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)などがあり、中間輸送媒体である電解層と二つの電極を有する全ての燃料電池に本発明を適用することは可能であるが、ここでは、特に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の場合を例にする。
【実施例1】
【0019】
以下、実施例1に係る電気化学反応装置としての燃料電池につき、図1~図11および図30を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1(a)に、燃料電池の構成を説明する説明図を示す。固体酸化物形燃料電池(SOFC)8は、高い発電効率を有し、第1電極部のアノードである燃料極1、第2電極部のカソードである空気極2、電解質層部(中間輸送媒体部)である電解質3の三層を有している。中間輸送媒体の電解質3は、酸化物イオンの透過性が高い安定化ジルコニアやランタン、ガリウムのペロブスカイト酸化物などのイオン伝導性セラミックスを用いることができ、例えば、イットリア安定化ジルコニア(Yttria-Stabilized Zirconia :YSZ)やスカンジア安定化ジルコニア(Scandia Stabilized Zirconia :ScSZ)を用いることができる。燃料極1は、例えば、第1物質の電子を輸送する第1輸送媒体としてのニッケル(Ni)と、第1物質と異なる中間物質の酸素イオンを輸送する中間輸送媒体の電解質としてのイットリア安定化ジルコニア(Yttria-Stabilized Zirconia :YSZ)と、ガスである水素を移送する空隙の三相を備える。空気極2は、第1輸送媒体と異なる媒体である第2輸送媒体で構成され、酸素から酸化物イオン(O2-)を生成する。空気極2で生成した酸化物イオン(O2-)が電解質3を透過し、燃料極1で水素、一酸化炭素、炭化水素、またはアルコールと反応することにより電気エネルギーを電力部4で発生させている。
【実施例1】
【0021】
ここで、従来の燃料電池の構成を、図1(b)を参照して説明する。図1(b)に、従来のSOFCの燃料極の構成を模式的に示している。従来の燃料極10は、1μm程度の大きさのNi粒子16とYSZ粒子17が分散されて構成されており、Ni粒子16とYSZ粒子17と空隙18の三相が交わる三相界面(Triple-Phase Boundary:TPB)19で反応した酸化物イオン(O2-)と水素ガスHは、電子(e-)と水HOを生成し、Ni粒子16、空隙18を移動する。反応で生成された電子(e-)がNi粒子16を介して輸送され、集電層15へ伝導し、起電圧が得られる。SOFCの発電性能を向上させるためには、燃料極内の電子(e-)と酸化物イオン(O2-)の伝導抵抗の減少と、有効三相界面領域の増加が必要である。SOFCの運転温度である400~1000℃において、酸化物イオン(O2-)の伝導抵抗は電子(e-)の伝導抵抗より106程度オーダが大きいことが知られており、燃料極10全体の伝導抵抗減少にはYSZ体積比の十分な増加が有効であると考えられる。従来の燃料極10は、YSZ粒子17とNi粒子16が不均一に混合しているため、YSZ粒子17またはNi粒子16が途切れる部分で酸化物イオン(O2-)と電子(e-)との伝導が阻害される。このため、生成した電子(e-)が全て集電されるとは限らず、エネルギー効率が低下してしまうという問題がある。
【実施例1】
【0022】
本発明は、有効な三相界面領域を増加させるべく、界面反応を最適化し、電気化学反応により生じた物質を輸送パスが途切れることなく最適に輸送することで、効率を高めることを目的としている。本発明では、従来と比較して有効な三相界面領域が増加し、かつYSZ体積比が増加した燃料極を実現する構造として、図30に示すような構成とする。図30では、本実施例1における電気化学反応装置108の構成を模式的に示している。図30において、電気化学反応装置108は、第1物質120を輸送する第1輸送媒体106Aを少なくとも備える第1電極部101と、第1輸送媒体106Aと異なる媒体である第2輸送媒体109Aを少なくとも備える第2電極部102と、第1電極部101と第2電極部102との間に設けられ、第1物質120と異なる中間物質121を輸送する中間輸送媒体103Aを少なくとも備える中間輸送媒体部103とを有し、第1電極部101には、中間輸送媒体103Aにより構成され、中間輸送媒体部103に接続され物質輸送方向121Aに沿って柱状に形成された複数の中間輸送媒体柱部107Aと、第1輸送媒体106Aを、中間輸送媒体柱部107A間に形成された空間に、中間輸送媒体柱部107Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向120Aに連続させて配置された第1輸送媒体配置部106と、中間輸送媒体103Aおよび第1輸送媒体106Aにより空隙として形成される第1空隙部118Aと、を備える。また、第2電極部102には、中間輸送媒体103Aにより構成され、中間輸送媒体部103に接続され物質輸送方向121Bに沿って柱状に形成された複数の第2中間輸送媒体柱部107Bと、第2輸送媒体109Aを、第2中間輸送媒体柱部107B間に形成された空間に、第2中間輸送媒体柱部107Bの側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向123Aに連続させて配置された第2輸送媒体配置部109と、中間輸送媒体103Aおよび第2輸送媒体109Aにより空隙として形成される第2空隙部118Bと、を備えるようにしてもよい。また、中間輸送媒体柱部107Aの先端側の上部には、集電層105を配置し、第2中間輸送媒体柱部107Bの先端側の下部には、集電層130を配置している。また、第1輸送媒体配置部106には、中間輸送媒体柱部107Aの先端部に第1輸送媒体106Bをさらに配置するようにし、第2輸送媒体配置部109には、第2中間輸送媒体柱部107Bの先端部に第2輸送媒体109Bをさらに配置するようにしてもよい。また、中間輸送媒体柱部107Aは、中間輸送媒体部103に接続されていて、物質輸送方向121Aまたはこれと逆方向に沿っていればよい。中間輸送媒体柱部107Aは、第1電極部101において、中間輸送媒体103Aにより構成され、中間輸送媒体部103に接続され物質輸送方向121Aに沿って柱状に形成されるため、中間物質121の伝導率または拡散係数を高くすることができ、中間物質121の輸送ロスを低減することができる。例えば、中間物質121が導電イオンの場合、中間輸送媒体柱部107Aを備えることで導電イオンの伝導率を高くすることができ、導電イオンの輸送ロスを低減することができる。また、第1輸送媒体配置部106は、中間輸送媒体柱部107A間に形成された空間に、中間輸送媒体柱部107Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向120Aに連続させて配置され、第1空隙部118Aは、中間輸送媒体103Aおよび第1輸送媒体106Aが配置されていない領域部分が空隙となることで中間輸送媒体103Aおよび第1輸送媒体106Aにより形成される。中間輸送媒体柱部107Aを構成する中間輸送媒体103Aと、第1輸送媒体配置部106に配置された第1輸送媒体106Aと、第1空隙部118Aとにより三相界面119を形成し、この三相界面119で電気化学反応が起こり、電気化学反応により生成されたイオン、例えば酸化物イオン、電子、ガス等が、中間輸送媒体103Aまたは第1輸送媒体106Aを介して伝導される。また、第1空隙部118Aを介して電気化学反応により生成されたガスなどの物質が伝導される。第1輸送媒体配置部106が、中間輸送媒体柱部107Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向120Aに連続させて配置されているため、第1物質120の伝導率または拡散係数を高くすることができる。また、三相界面119も、第1輸送媒体配置部106が、中間輸送媒体柱部107Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向120Aに連続させて第1輸送媒体106Aが配置されているため、例えば中間輸送媒体柱部107Aの側面と第1輸送媒体配置部106の第1輸送媒体106Aとの接触部分を大きくすることで有効な三相界面119の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。実施例1において、電気化学反応装置として固体酸化物形燃料電池(SOFC)とする場合、中間輸送媒体103Aとしては、電解質であるYSZを用い、中間輸送媒体部103としての電解質層の層面から物質輸送方向121Aである伝導イオン輸送方向に沿って柱状に形成された複数の第1電解質柱部を中間輸送媒体柱部107Aとして構成する。柱状としては、例えば、四角柱、多角柱、円柱、また、四角錐、多角錐、円錐、四角錐台、多角錐台、円錐台の形状とすることができ、また、尾根状も含まれる。また、これらの柱または錘の側面は必ずしも直線の回転体である必要はなく、上に凸、または下に凸、またはこれらの組み合わせでも構わない。尾根状の形状としては、層面に対して垂直に立った構造で、非対称形状のものを指す。また、柱状や尾根状の形状としては、長手方向に、断面形状が一定である必要はない。第1電解質柱部はYSZ(を主成分とする材料)が詰まった中空または多孔質の構成とする。なお、YSZは単結晶または多結晶とする。第1電解質柱部は、柱状の周面において、物質輸送方向121Aに対しては中間物質121が連続して移送されるような連通部分を有している。本実施例においては、第1物質120は電子であり、第1輸送媒体106Aは電子を伝導させる媒体のNiであり、中間物質121は、第1物質120とは異なる物質の導電イオンとすることができ、中間輸送媒体103Aは、導電イオンを伝導させる電解質で構成され、中間輸送媒体部103は電解質層である。また、第1電極部101である燃料極が備える中間輸送媒体柱部107Aの第1電解質柱部は、中間輸送媒体103Aの電解質により構成され、中間輸送媒体部103の電解質層に接続され物質輸送方向121Aに沿って柱状に形成される。第1輸送媒体配置部106は、第1輸送媒体106AのNiを、中間輸送媒体柱部107Aの第1電解質柱部間に形成された空間に、中間輸送媒体柱部107Aである第1電解質柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向120Aに連続させて配置される。
【実施例1】
【0023】
実施例1における第1電解質柱部の構成例を図2および図3に示す。図2(a)・(b)および図3に、実施例1における燃料電池の燃料極の構成を示している。図2(a)・(b)および図3においては、電解質層部YSZ3の層面から伝導イオン輸送方向に沿って柱状に形成された第1電解質柱部であるYSZ柱部7A、7Bを示している。図2(a)において、YSZ柱部7Aと、隣接するYSZ柱部7Aとの間の空隙18A部分には、Ni粒子6Aを、YSZ柱部7Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて2列配置させてNi粒子配置部としている。YSZ柱部7Aの先端側の上部には、集電層5を配置している。図2(b)および図3においては、YSZ柱部7Bと、隣接するYSZ柱部7Bとの間の空隙18B部分には、Ni粒子6Aを、YSZ柱部7Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて1列配置させてNi粒子配置部としている。この場合、Ni粒子6Aの伝導イオン輸送方向は、垂直方向に限らず、集電層5に向けて上方へ向かっていれば斜め方向でもよく、また、後述する実施例2で、Niを柱状に構成する場合を除いて、Ni粒子6Aは部分的に連続していてもよい。YSZ柱部7Bの電解質と、Ni粒子6Aと、空隙18Bとにより三相界面を形成し、この三相界面で電気化学反応が起こり、電気化学反応により生成された電子(e-)が、Ni粒子6Aを介して伝導される。Ni粒子6Aが、YSZ柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて配置されているため、電子(e-)の伝導率を高くすることができる。また、三相界面も、Ni粒子配置部が、YSZ柱部7Bの側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて配置されているため、例えばYSZ柱部7Bの側面とNi粒子6Aとの接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。
【実施例1】
【0024】
図2(b)および図3においては、YSZ柱部7Bと、隣接するYSZ柱部7Bとの間のピッチを、図2(a)より狭くして微細化することで、YSZの体積分率を増加させることができるので、三相界面19の接触点を増加させることができ、発電性能をより向上させることができる。また、図3においては、YSZ柱部7Bの先端部に接触するようにNi粒子6Bをさらに配置させて、燃料極1の上面側にNi層を設けている。この場合、集電層5にNi粒子6Bが接触するように配置しておくことができる。図3に示すような構成によれば、集電層5とNi粒子6Bの接触不足を解消することができ、電子(e-)の輸送ロスをさらに低減することができる。
【実施例1】
【0025】
また、第1電解質柱部であるYSZ柱部の構成としては、第1電解質柱部の先端部に向かって先細りの形状、例えば、四角錐状とするようにしてもよい。この場合の構成を図4または図5に示す。図4または図5に示すように、YSZ柱部7Cは、先端部に向かって先細りの形状で、空隙18Cは、逆に奥に向かって先細りの形状となる。YSZ柱部7CとYSZを除去した空隙18Cとの体積比は、例えば、50:50になるようにしておく。YSZ柱部7Cは、先端部に向かって先細りの形状であればよいので、例えば、図5に示すように四角錐台の形状とすることができる。二つの隣接するYSZ柱部7C間の先端部分のピッチPと、YSZ柱部7Cの先端面の幅aとは、図5に示すような寸法で構成できる。図5においては、実際に作成した燃料極1を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を示し、図5の上段画像は、燃料極1の上面を観察したものであり、図5の下段画像は、燃料極1を上方斜め方向から斜視したものである。図5(a)においては、幅aが40μm、ピッチPが56μmの場合を示し、図5(b)においては、幅aが20μm、ピッチPが28μmの場合、図5(c)においては、幅aが10μm、ピッチPが14μmの場合、図5(d)においては、幅aが5μm、ピッチPが7μmの場合をそれぞれ示している。YSZ柱部7Cは、先端部に向かって先細りの形状とすることで導電イオンの輸送ロスをさらに低減することができる。
【実施例1】
【0026】
つぎに、図5に示すYSZ柱部7Cの構成を用いて燃料極1を製造する場合の製造方法を、図4を参照して説明する。図4においては、電解質3の上面部分をレーザで除去加工することで円錐台のYSZ柱部7Cを形成している。
(1)まず、電解質3上にYSZ焼結体を作製する。YSZ粒子とバインダとを混合し、YSZ電解質上に塗布した後、1400°Cで3時間加熱して焼結する。電解質3とYSZ柱部7Cとが同材料である場合には、YSZ焼結体を作製し、底面側を電解質3とし、レーザで加工する上面側をYSZ柱部7Cとすればよい。
(2)つぎに、エキシマレーザで電解質3の上面部分を除去加工する。加工寸法としては、上述した図5に示すような5、10、20、40μm四方のYSZ柱部7Cを作製する。NiとYSZの体積比が50:50となるようにしており、YSZ柱部7CのピッチPはそれぞれ7、14、28、56μmとしている。テーパ角度は、約10度としている。YSZ柱部7Cの高さは、例えば、幅aの1倍~10倍ぐらいにして加工する。
(3)除去したYSZをきれいに取り除くことで、YSZ柱部7Cの加工が完了する。
(4)つぎに、真空下で平均粒径1μmの酸化ニッケルNiOのスラリーを滴下させ、大気圧下でスキージを用いて含浸させる。スラリーは、酸化ニッケルNiOと、バインダとを混合することによって調製する。
(5)1400℃で3時間NiOを焼結し、NiOをNiに還元する。これにより、柱状に加工されたYSZ柱部7Cの少なくとも一部にNi粒子6Aを接触させ、伝導イオン輸送方向に連続させて配置させることができる。
(6)さらに、YSZ柱部7Cの先端部に接触するようにNi粒子6Bをさらに配置させるために、燃料極1の上面にNi層を作製し、集電層5とNi粒子の導通を確保することで燃料極1が完成する。
【実施例1】
【0027】
図4に示すような製造方法によれば、レーザを用いてYSZ柱部7Cの形状を作製することができるので、YSZ柱部7CとYSZを除去した空隙18Cとの体積比と、YSZ柱部7Cのピッチおよびサイズの制御が容易となり、例えば、磁場によりNi粒子及びYSZ粒子を連続させて再配列させる手法よりも簡単に製造することができる。
【実施例1】
【0028】
図6に、図4に示すような製造方法により製造した燃料極1の垂直断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を示す。図6(a)~(d)の各幅aとピッチPのサイズは、図5(a)~(d)のそれぞれに対応している。図6(a)~(d)においては、YSZ柱部7Cに接触して垂直方向にNi粒子6Aが配置され、また、上面にNi粒子6Bが配置され、Ni層を構成しているのが観察できる。
【実施例1】
【0029】
つぎに、上述した製造方法で製造した燃料極1を利用した固体酸化物形燃料電池(SOFC)8の発電性能を示すべく評価試験装置を用いて発電実験を行ったので、その結果を図7~図10を参照して説明する。
【実施例1】
【0030】
図7に、発電実験における評価試験装置40の構成を示している。図7に示すように、固体酸化物形燃料電池(SOFC)8は、燃料極1、空気極2、電解質3の三層と、燃料極1に集電層5Aを備え、空気極2に集電層5Bを備え、電解質3より上方の空気極2側は、従来と同様の構成のものを用いている。集電層5Aおよび集電層5Bのピッチは、250μmのものを利用している。評価試験装置40は、真空チャンパー39内に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)8を配置し、Auリング20を用いてシーリングした後に、真空状態とし、上側に酸素ガスOを満たし、下側に水素ガスH(H2O3%)を満たしている。また、空気極2の集電層5Bと、燃料極1の集電層5Aとにそれぞれ電極を接続し、これらに可変抵抗38を接続した。また、電解質3に白金(Pt)で参照極を接続した。その後、運転温度である800℃にして、固体酸化物形燃料電池(SOFC)8で発電させ、上述した図5に示すYSZ柱部7Cの4つのサイズについて、電流密度I(A/cm2)と、燃料極1‐電解質3間の電位差V(V)との関係を計測した。また、測定結果から最大パワー密度を算出した。
【実施例1】
【0031】
YSZ柱部7CのサイズによらずNi粒子が同じように配置されていると仮定し、YSZ柱部7Cの高さを実測したところ、図9に示すように、各高さhは80、55、36、22μmであった。その値を用いてYSZ柱部7Cの側面積を求め、YSZ柱部7Cの側面積の比が、三相界面長さの比と同じとしている。ここで、三相界面長さとは、例えば、図11(b)に示す構成において、Ni粒子6AとYSZ柱部7Bと空隙18Bの三相が交わる三相界面19の領域における長辺部分の長さをいうものとする。図8(a)に、計測した電流密度に対する電位差の関係を示している。図8(b)に、算出した電流密度に対するパワー密度の関係を示している。また、図10に、三相界面長さの比と、最大パワー密度との関係を示している。図10に示すように、三相界面長さの比が1:1.3:1.5:2.0と変化すると、最大パワー密度の比は1:1.1:1.6:1.8と変化していることから、三相界面長さと最大パワー密度には正の相関があることがわかる。また、従来と比較して,YSZ柱部7Cのサイズが5μmの最大パワー密度が従来の1.1倍に増加したことから、YSZ柱部7Cのサイズをさらに微細化することで最大パワー密度をさらに向上させることができる。従って、上述したように、図2(a)と(b)との構成において、YSZ柱部7Bと、隣接するYSZ柱部7Bとの間のピッチを、より狭くして微細化することで、YSZの体積分率を増加させることができ、三相界面19の長さを増加させることができるため、発電性能をより向上させることができる。YSZ柱部7Cのサイズを微細化すると、O2-の伝導率は減少し、これに伴い発電性能が低下するとも考えられるが、この実験においては、三相界面長さの比と最大パワー密度とは比例していることから、それほど影響が出ていないと考えられる。
【実施例1】
【0032】
本実施例1によれば、第1電解質柱部のYSZ柱部により、電解質が途中で途切れることなく連続するため、屈曲度を理想的な1に近づけることができる。ここで屈曲度について図12(a)~(e)を参照して説明する。屈曲度τは、物質の導電や拡散が抑制される程度を示す指標であり、構造で決定され、数1に示すような関係を有する。ここで、Dは、理論上の拡散係数、Deff は構造を考慮した有効拡散係数、εは体積分率、τは屈曲度、σは導電率、σeffは構造を考慮した有効導電率を示している。
【数1】
JP2015176774A_000003t.gif
【実施例1】
【0033】
図12(a)の場合、屈曲度τ=1であり、理想的な屈曲度となり、図11(b)に示すように本実施例1におけるYSZ柱部7Bは電解質3に対して垂直となるので、屈曲度τも1と考えることができる。また、本実施例1によれば、電子と、酸素イオンO2-の伝導率は高くなり、ガスの拡散係数もさらに高くなる。図12(b)の場合、YSZ柱部7が電解質に対して45度傾いた場合、屈曲度τ=1.4(√2)となる。また、図12(c)の場合、Ni粒子に磁場をかけることで垂直方向に並べた場合、屈曲度τ=1にほぼ近似すると考えられる。図12(d)の場合、従来の構成で図11(a)に示すように屈曲度τは大きくなり5~10になると考えられる。図12(e)の場合、YSZが途中で途切れているため、屈曲度τは無限大である。
【実施例1】
【0034】
本実施例1によれば、導電イオンの伝導率を高くすることができ、導電イオンの輸送ロスを低減することができる。また、Ni粒子配置部は、YSZ柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて配置され、空隙部は、YSZの電解質およびNi粒子が配置されていない領域部分が空隙となることで設けられる。YSZ柱部の電解質と、Ni粒子と、空隙とにより三相界面を形成し、この三相界面で電気化学反応が起こり、電気化学反応により生成されたイオン、例えば酸化物イオン、電子等が、電解質またはNi粒子を介して伝導される。また、空隙部を介して電気化学反応により生成されたガスなどの物質が伝導される。Ni粒子が、YSZ柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて配置されているため、導電イオンの伝導率を高くすることができる。また、三相界面も、Ni粒子配置部が、YSZ柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて配置されているため、例えばYSZ柱部の側面とNi粒子との接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。また、YSZ柱部を垂直方向に構成することで屈曲度を理想的な1にすることができる。
【実施例1】
【0035】
また、実施例1においては、燃料極の構成のみを示したが、空気極においても、燃料極と同様に、YSZ柱部を設けるようにしてもよい。
【実施例2】
【0036】
次に、実施例2に係る電気化学反応装置につき、図13を参照して説明する。図13に、実施例2における電気化学反応装置の構成例を示す。実施例2においても、実施例1と同様に、電気化学反応装置が、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の場合を例にする。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明は省略する。
【実施例2】
【0037】
実施例2においては、実施例1に示した第1電解質柱部のYSZ柱部の周囲にNi粒子を配置させる代わりに、Niを、電解質層部YSZ3に接続され伝導イオン輸送方向に沿って柱状に形成し、図13(b)に示すように、燃料極にNi柱部6Dを設ける場合を例にしている。また、実施例2においては、燃料極と、空気極とに、YSZ柱部7Dを設ける場合を例にし、空気極において第2輸送媒体を柱状とする構成とする場合を例にしている。空気極の第2輸送媒体としては、LSM/La0.6Sr0.4MnO (lanthanum Strontium Manganite) 、LSC/La0.6Sr0.4CoO3 (Lanthanum Strontium Cobaltite)、SSC/Sm0.5Sr0.5CoO3(SSC)、LSCF /(La, Sr)(Co, Fe)O3などのMIEC(Mixed Ionic Electric Materials = 電子性混合伝導体)を使用することができ、ここでは、LSMを用いる場合を例とし、LSM柱部9Dを設ける場合を例にする。
【実施例2】
【0038】
図13(b)において燃料極では、YSZ柱部7Dと、隣接するYSZ柱部7Dとの間に、Ni柱部6Dを配置し、YSZ柱部7DとNi柱部6Dとの間に空隙18Dが設けられる。YSZ柱部7DとNi柱部6Dとは少なくとも一部が接触させるように配置される。実施例2においては、各柱部の形状を円柱状としているため、YSZ柱部7DとNi柱部6Dとは側面において接線で接している。このため、三相界面もYSZ柱部7DとNi柱部6Dとの接線上に設けられることとなる。燃料極側では、YSZ柱部7Dの電解質と、Ni柱部6Dと、空隙18Bとにより三相界面を形成し、この三相界面で電気化学反応が起こり、電気化学反応により生成された電子(e-)が、Ni柱部6Dを介して伝導される。Ni柱部6Dが、YSZ柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて配置されているため、電子(e-)の伝導率を高くすることができる。
【実施例2】
【0039】
同様に、図13(a)において空気極では、図30に示す第2中間輸送媒体柱部107BのYSZ柱部7Dと、隣接するYSZ柱部7Dとの間に、第2輸送媒体配置部109を柱状としたLSM柱部9Dを配置し、YSZ柱部7DとLSM柱部9Dとの間に空隙18Dが設けられる。YSZ柱部7DとLSM柱部9Dとは少なくとも一部が接触させるように配置される。実施例2においては、各柱部の形状を円柱状としているため、YSZ柱部7DとLSM柱部9Dとは側面において接線で接している。このため、三相界面もYSZ柱部7DとLSM柱部9Dとの接線上に設けられることとなる。YSZ柱部7Dの電解質と、LSM柱部9Dと、空隙18Bとにより三相界面を形成し、この三相界面で電気化学反応が起こり、電気化学反応により生成された酸化物イオン(O2-)が、LSM柱部9Dを介して伝導される。LSM柱部9Dが、YSZ柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに伝導イオン輸送方向に連続させて配置されているため、酸化物イオン(O2-)の伝導率を高くすることができる。
【実施例2】
【0040】
つぎに、図13に示す構成を用いて燃料極1および空気極2を備える燃料電池を製造する場合の製造方法を、図14および図15を参照して説明する。図14および図15においては、ゲルキャスティングにより成形する製造方法をしている。このゲルキャスティング法によれば、各柱部の大きさをナノレベルとしたピラーを形成することができる。
【実施例2】
【0041】
図14においては、YSZ柱部7Dの成形を行う場合の製造方法を示している。
(a)まず、厚さ50μmのYSZまたはZr-Y基板22上に、金型をセットする。金型の形状は、上述したYSZ柱部7Dが形成されるように構成されている。例えば、YSZ柱部7Dの幅a(直径)はおよびピッチPは100nm~100μmとすることができる。YSZ柱部7Dの高さは、例えば、幅aの1倍~10倍ぐらいにしておく。
(b)つぎに、金型にYSZ粒子とバインダとを混合したスラリーを流し込む。バインダとしては、例えば、主成分である不飽和ポリエステル樹脂と有機過酸化物を、10:1の割合で混合して作製することができる。
【実施例2】
【0042】
ただし、(a)と(b)の順は逆でもかまわない。
(c)そのまま1~20分間硬化させる。
(d)十分に硬化した後に、金型を離型する。
(e)余分なバインダを焼結により除去し、円柱状のYSZ柱部7Dが完成する。
【実施例2】
【0043】
つぎに、図15に示すように、円柱状のYSZ柱部7Dに隣接するように、Ni柱部6DとLSM柱部9Dとの形成を行う。
(f)図14に示すような工程で製造された円柱状のYSZ柱部7Dと隣接するYSZ柱部7Dの間の空隙に、真空下で平均粒径1μmの酸化ニッケルNiOまたは金属ニッケルNiのスラリーを滴下させ、大気圧下でスキージを用いて含浸させる。スラリーは、酸化ニッケルNiOと、バインダとを混合することによって調製する。バインダとしては、例えば、主成分であるテルピネオールとエチルセルロースを100:3の割合で混合して作製することができる。
(g)YSZ柱部7Dの下側に燃料極の集電層となるアノードサポート基板21を配置し、YSZを高温焼結により結晶化させる。
(h)さらに、YSZ柱部7Dの上側に円柱状のYSZ柱部7Dと隣接するYSZ柱部7Dの間の空隙に、真空下で平均粒径1μmのLSMのスラリーを滴下させ、大気圧下でスキージを用いて含浸させる。スラリーは、LSMと、バインダとを混合することによって調製する。バインダとしては、例えば、主成分であるテルピネオールとエチルセルロースを100:3の割合で混合しておくことができる。その後、空気極の集電層となる伝導体を塗布し、1200℃で6時間焼結する。これにより、柱状に形成されたYSZ柱部7Dと隣接するYSZ柱部7Dの間に、LSM柱部9Dを形成することができる。LSM柱部9Dは、伝導イオン輸送方向に連続して配置されるため酸化物イオン(O2-)の伝導率を高くすることができる。
(i)また、この焼結により、燃料極側のNiOがNiに還元される。これにより、柱状に形成されたYSZ柱部7Dと隣接するYSZ柱部7Dの間に、Ni柱部6Dを形成することができる。Ni柱部6Dは、Niが伝導イオン輸送方向に連続して配置されるため電子(e-)の伝導率を高くすることができる。
(j)電極を実装し、集電層5との導通を確保することで電解質層部YSZ3、燃料極1および空気極2が完成し、燃料電池が完成する。
【実施例2】
【0044】
図14および図15に示すような製造方法によれば、ゲルキャスティングによりYSZ柱部7D、Ni柱部6D、LSM柱部9Dの形状を柱状にして製作することができる。YSZ柱部7DとNi柱部6D、LSM柱部9Dと空隙18Dとの体積比と、これらのピッチおよびサイズの制御が容易となり、簡単に製造することができる。また、YSZ柱部7DとNi柱部6Dと空隙18Dとによる三相界面、または、YSZ柱部7DとLSM柱部9Dと空隙18Dとによる三相界面も、これらの接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。
【実施例2】
【0045】
つぎに、図14に示したYSZ柱部7Dの成形を行う場合の製造方法とは別の製造方法を、図16を参照して説明する。図16においては、ナノインプリントにより成形する製造方法をしている。このナノインプリント製造方法によれば、各柱部の大きさをナノレベルとしたピラーを形成することができる。
【実施例2】
【0046】
図16(A)においては、YSZ柱部7Dの成形を行う場合の製造方法を示している。
(a-2)まず、厚さ50μmのZrを主成分とする基板22の上面と下面とに、アルミニウムAlを厚さ20μmで成膜する。
(b-2)つぎに、ナノインプリント用の型を用意し、ナノインプリント用の型で、成膜したアルミニウムAl表面をナノインプリントする。ナノインプリント用の型の形状は、上述したYSZ柱部7Dが形成されるように構成されている。例えば、YSZ柱部7Dの幅a(直径)は220nm、ピッチPは440nmとすることができる。YSZ柱部7Dの高さは、例えば、幅aの0.01倍~10倍ぐらいにしておく。なお、YSZ柱部7Dの幅a(直径)と、ピッチPとは、10~2000nmの範囲のいずれかに設定できる。
(c-2)ナノインプリントされたアルミニウムAlを基材としてたとえば0.5質量%のクエン酸水溶液をもちいて陽極酸化によるアルミナナノホールのテンプレートを作製する。
(d-2)陽極酸化によるアルミナナノホールを鋳型にして、Zrを主成分とする基材を再陽極酸化によって円柱状のYSZ柱部7Dを生成する。
(e-2)NaOH水溶液によりアルミナを除去し、円柱状のYSZ柱部7Dが完成する。
【実施例2】
【0047】
これにより、YSZナノピラーが生成される。完成した円柱状のYSZ柱部7Dに対して、上述した図16に示すような製造方法にてNi柱部6DとLSM柱部9Dとの形成を行うことができ、燃料電池を完成させることができる。また、図16(B)に示す(a)~(h)においては、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を示しているが、この画像は、図16(A)に示す製造方法と同様な工程で、Zrを主成分とする基板22の代わりに、タンタルTaを主成分とする基板を用い、再陽極酸化によって、タンタラ(Ta)のナノピラーを形成した場合を示している。
【実施例2】
【0048】
つぎに、図14および図15に示した燃料電池の製造方法とは別の製造方法を、図17を参照して説明する。図17においては、レーザ加工により成形する製造方法をしている。
(1)まず、直方体状のYSZ焼結体50を作製し、ポーラスYSZを形成する。
(2)つぎに、エキシマレーザでYSZ焼結体50の上面から孔を掘るように除去加工する。加工寸法としては、例えば、20、40、80μm四方ぐらいの柱状の孔部51を作製する。孔部51と孔部51とのピッチPはそれぞれ10μmぐらいにする。テーパ角度は5~10度としている。孔部51の深さは、例えば、20μm四方の1倍~10倍ぐらいにして加工する。なお、レーザの照射条件によって、テーパ角度を0度とすることもできる。
(3)除去したYSZをきれいに取り除き、その後、孔部51にポーラス状のNi粒子を埋め込む。これにより、孔部51にNi柱部6Gを形成することができ、その周囲をYSZ柱部7Gとすることができる。
【実施例2】
【0049】
図17に示した製造工程で製造した工程(2)および工程(3)による様子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を(a-1)~(c-1)および(a-2)~(c-2)に示している。(a-1)は、20μm四方の孔部51を形成した場合の画像であり、(a-2)は、20μm四方の孔部51にNi粒子を埋め込んだ画像を示す。同様に、(b-1)は、40μm四方の孔部51を形成した場合の画像であり、(b-2)は、40μm四方の孔部51にNi6Gを埋め込んだ画像を示し、(c-1)は、80μm四方の孔部51を形成した場合の画像であり、(c-2)は、80μm四方の孔部51にNiを埋め込んだ画像を示す。このようなサイズの3つの燃料極1を作成し、それぞれの発電性能を上述した評価試験装置を用いて発電実験を行った結果を図17(d)および(e)に示す。図17(d)に、算出した電流密度に対するパワー密度の関係を示している。また、図17(e)に、三相界面長さの比と、最大パワー密度との関係を示している。図17(e)に示すように、三相界面長さの比が1:2:4と変化すると、最大パワー密度の比は1:1.2:2.7と変化していることから、三相界面長さと最大パワー密度には正の相関があることがわかり、三相界面長さを大きくすることで、最大パワー密度を大きくすることができる。
【実施例2】
【0050】
このような製造方法によっても、柱状のYSZ柱部7Gと、Ni柱部6Gとを形成することができ、燃料極1を完成させることができる。また、Niを埋め込む代わりに、LSMを埋め込むことでLSM柱部9Gを形成することができ、空気極2を形成することができ、電解質3の上下面にこれらの燃料極1と空気極2とをそれぞれ作成し、集電層を形成することで、本発明における燃料電池を作成することができる。
【実施例2】
【0051】
つぎに、図18を参照して実施例1または2における燃料電池を製造する場合の他の製造方法を説明する。図18においては、スクリーン印刷を用いて実施例1または2における燃料電池を製造する場合の製造方法を示している。スクリーン印刷は、Tシャツの絵柄の印刷、プリント基板への銅、銀、金などの配線、さらにICチップを乗せる前工程の半田の印刷などに利用されている印刷方法であり、ステンシル(シルクスクリーン)またはマスクと呼ばれる、インキを転写させる部分が貫通した版を用い、ゴム製へら(スキージ)で版上のインキを貫通穴から版の下に設置された印刷物に転写させる方式であり、本実施例においては、ステンシル(シルクスクリーン)32に、上述したような各柱部の柱状の形状に対応するような貫通孔を設けておき、インキの代わりに、YSZ、Ni、LSMなどの各物質を塗布していくことで、所望の形状に形成することができる。
(a-3)まず、厚さ50μmのZr-Y基板33の上面側に、ステンシル(シルクスクリーン)32を配置する。ステンシル(シルクスクリーン)32の貫通孔の形状は、上述したYSZ柱部7A~7Gに示すような形状が形成されるように構成され、その厚さは、YSZ柱部7A~7Gの高さに対応している。
(b-3)つぎに、YSZのスラリー31をステンシル(シルクスクリーン)32の貫通孔が形成されていない部分に載せ、ゴム製へら(スキージ)30でスキージし、転写していく。スラリーは、YSZと、バインダとを混合することによって調製する。バインダとしては、例えば、主成分であるテルピネオールとエチルセルロースを100:3の割合で混合して作製することができる。
(c-3)ステンシル(シルクスクリーン)32の貫通孔を介して、YSZのスラリー31がZr-Y基板33の上面に転写されるようにゴム製へら(スキージ)30で押圧する。
(d-3)その後、ステンシル(シルクスクリーン)32を持ち上げて取り外す。これにより、Zr-Y基板33の上面にYSZ 柱部35を形成することができる。このYSZ 柱部35が、上述したような形状のYSZ柱部7A~7Gに対応している。
【実施例2】
【0052】
また、先細り形状の柱部を形成する場合には、柱部の高さによってステンシル(シルクスクリーン)32の貫通孔の形状を異ならせ、上述した(a-3)~(d-3)の工程を繰り返し、Zr-Y基板22の上面側に重ねて転写していくことで形成させることができる。
【実施例2】
【0053】
さらに、LSM柱部9またはNi柱部6を形成する場合には、ステンシル(シルクスクリーン)32の貫通孔の形状を、転写後に上述した円柱状や四角柱状などの形状となるように形成し、YSZ柱部7A~7Gが形成されていない部分の所定位置に、上述した(a-3)~(d-3)の工程を繰り返し、Zr-Y基板33の上面側に重ねて転写していくことで形成させることができる。
【実施例2】
【0054】
さらに、図3に示すような、YSZ柱部7Bの先端部に接触するようにNi粒子6Bをさらに配置させて、燃料極1の上面側にNi層を設けるような場合には、YSZ柱部7BとNi柱部6とを形成後に、それらの上面にNi層を設けるためにスクリーン印刷を行うことで簡単に形成することができる。
【実施例2】
【0055】
同様に、LSM柱部9においても、それらの上面にLSM層を設けるためにスクリーン印刷を行うことで簡単に形成することができる。
【実施例2】
【0056】
最後に、集電層を形成するために、集電層についてもスクリーン印刷を行い、アノードとカソードとを形成する。
【実施例2】
【0057】
このような製造方法によっても、柱状のYSZ柱部7と、Ni柱部6とを形成することができ、燃料極1を完成させることができる。また、柱状のYSZ柱部7と、LSM柱部9とを形成することができ、空気極2を形成することができ、電解質3の上下面にこれらの燃料極1と空気極2とをそれぞれ作成し、集電層を形成することで、本発明における燃料電池を作成することができる。
【実施例2】
【0058】
本実施例2によれば、Ni柱部6は、Niにより構成され、電解質3に接続され伝導イオン輸送方向に沿って柱状に形成され、これらが複数形成されることで、伝導イオン輸送方向に林立された第1輸送媒体柱部とすることができる。Ni柱部6を柱状に形成することで、Niが途中で途切れることなく連続するため、屈曲度を理想的な1に近づけることができ、導電イオンの伝導率を高くすることができ、導電イオンの輸送ロスを低減することができる。また、第1輸送媒体配置部を柱状に形成することで、YSZ柱部7と、Ni柱部6とを伝導イオン輸送方向に林立させることができ、YSZ柱部7の側面とNi柱部6との接触部分を大きくすることで有効な三相界面の領域を大きくすることができ、界面反応を制御することができるとともに、界面反応を最適化して効率を高めることができる。また、YSZ柱部とNi柱部6を垂直方向に構成することで屈曲度を理想的な1にすることができる。
【実施例2】
【0059】
つぎに、上述した実施例1および実施例2において、YSZ柱部7とNi柱部6との体積比率を変化させた場合に、発電性能にどのぐらいの影響があるのかを考察する。ここでは、SOFCの発電性能は過電圧と呼ばれる電圧降下に影響され、過電圧が小さいほど燃料電池の発電性能が高くなることから、格子ボルツマン法計算を用いた過電圧計算により、微細柱状構造を有する燃料極の過電圧を予測する。
【実施例2】
【0060】
簡単のためガスの拡散路である空隙を無視した二次元の柱状構造燃料極を対象とする。上述した燃料極1のYSZ柱部7とNi柱部6とを、図19に示すように2次元の微細柱状構造とみなす。格子ボルツマン法(LBM)を用いた数値解析によりポテンシャル分布を求めることで燃料極1の過電圧を計算する。LBMは粒子の速度を有限個と仮定して拡散現象を表現する方法である。YSZ、Niそれぞれを完全なイオン伝導体、電子伝導体であると仮定する。YSZ内の酸化物イオン拡散方程式とNi内の電子拡散方程式は以下の数2式で表わされる。
【数2】
JP2015176774A_000004t.gif
σは伝導率、μ~は電気化学ポテンシャルである。右辺iは、反応によって発生した電流を表す。LBMでは拡散方程式を格子点上での速度分布関数fiであり、下記数3式で表現する。
【数3】
JP2015176774A_000005t.gif
【実施例2】
【0061】
rは格子点座標、iは粒子速度の種類、ciは粒子速度、τは粒子の緩和時間、fieqは平衡状態での速度分布関数、wは生成量を表す。
【実施例2】
【0062】
ここで、図20に示すように、YSZ柱部7とNi柱部6の柱の幅をパラメータとしてYSZ柱部7とNi柱部6との体積比率を変化させる。また、ピッチと柱形状を固定することで三相界面長さを一定にする。柱長さ方向軸をx、柱法線方向軸をyと表記する。柱状構造モデルの大きさをx方向10μm、y方向2.5μmとし、-0.5<x<0を電解質、4<x<4.5を集電層とした。
【実施例2】
【0063】
電解質/燃料極界面における流入電流一定、および燃料極/集電層における流出電流一定の境界条件を課す。この条件下で物質拡散を計算することで燃料極内のポテンシャル分布が得られる。電解質‐燃料極境界面におけるポテンシャルμO2-,electrolyteと燃料極‐集電極境界面におけるポテンシャルμe-,collectorの差を燃料極全体の過電圧と定義する。前述の通りSOFCの作動温度においてNiの伝導率はYSZのそれより約106倍大きいため、YSZ柱部7とNi柱部6との体積比を106対1、つまりYSZの体積比率がほぼ1のときに燃料極全体のオーム過電圧が最小になると考えられる。また、電子の伝導率が非常に大きいことから、酸化物イオン拡散に比べて電子拡散の速さは大きいと考えられる。
【実施例2】
【0064】
従って収束にかかる時間は非常に小さく、Niの電子ポテンシャルは場所に依らず一定でありその値はYSZ内部の酸化物イオンポテンシャルの最小値と等しいと仮定する。
【実施例2】
【0065】
YSZの体積比率が 0.2、0.4、0.6、0.8、0.96の5種類の燃料極に対してポテンシャル計算を行った。電流密度は0.1A/cm2とした。
【実施例2】
【0066】
YSZ体積比率0.6のモデルポテンシャル分布の計算結果を図21に示す。柱の根本付近のx=0μmにおいて、ポテンシャル変化が最大となった。またx=0付近では、yが小さいほど過電圧が大きくなった。また、図22に示すグラフから得られた各体積比率と過電圧の関係を図23に示す。YSZ体積比率を大きくするほど過電圧が低減される傾向がある一方、体積比率0.8以降体積比率を増やしても過電圧の変化がないことが分かった。酸化物イオンが電解質側から柱構造へ到達するための経路長が過電圧について支配的であるため、yの値が小さい領域で過電圧が発生していると考えられる。体積比率0.8以降では体積比率に対する伝導経路の変化量が小さいため、過電圧変化も小さいと考えられる。本実施例1、2では、ガスを無視した二次元微細柱状モデルにおいて、LBMを用いて拡散方程式の数値計算を行うことで燃料極の過電圧(Arb.unit)の計算を行った。その結果、以下の知見が得られた。燃料極内のYSZ柱の体積比率を大きくすることで過電圧が低減されることを示した。また、YSZ体積比率を0.8にすることで過電圧を十分に低減できることが分かった。これにより、YSZ体積比率を0.8にすることで、過電圧低減のための燃料極微細構造の最適化を行うことができる。
【実施例2】
【0067】
つぎに、上述した実施例1および実施例2における各柱部の形状について考察する。上述したように、柱部の形状としては、例えば、四角柱、多角柱、円柱、また、四角錐、多角錐、円錐、四角錐台、多角錐台、円錐台の形状、また、尾根状等とすることができるが、これらの形状が発電性能にどのぐらいの影響があるのかを考察する。
【実施例2】
【0068】
計算モデルを図24に示す。簡単のためガスの拡散路である空隙を無視した二次元の柱状構造燃料極を対象とする。ここで、図24に示すように、柱長さ方向軸をx、柱法線方向軸をyと表記し、柱状構造モデルの大きさをx方向12μm、y方向3μmとする。形状としては、四角錐または四角錐台の場合の縦断面を2次元で見た場合の山形形状と台形形状とを考える。電流密度0.1A/cm2とし、ガス相を無視し、YSZ柱部7の形状のアスペクト比(高さ/底辺)を変更して計算する。図25に、実施例1または2における燃料電池の柱部の山形の構成を説明する説明図(a)・(b)を示す。図25(a)は、山形のYSZ柱部7Jのアスペクト比が4の場合を示し、図25(b)は、山形のYSZ柱部7Kのアスペクト比が8の場合を示す。計算では、アスペクト比が、2、4、6、8、10の場合を求めている。図27に、実施例1または2における燃料電池の柱部の山形の構成におけるアスペクト比4の場合のポテンシャル分布を示す分布図(a)と、y方向について平均化したポテンシャル分布図(b)とを示す。
【実施例2】
【0069】
また、図26に、実施例1または2における燃料電池の柱部の台形の構成を説明する説明図(a)・(b)を示す。図26(a)は、台形のYSZ柱部7Lの傾斜部分のアスペクト比が4の場合を示し、図26(b)は、台形のYSZ柱部7Mのアスペクト比が8の場合を示す。計算では、アスペクト比が、2、4、6、8、10の場合を求めている。図28に、実施例1または2における燃料電池の柱部の山形の構成におけるアスペクト比4の場合のポテンシャル分布を示す分布図(a)と、y方向について平均化したポテンシャル分布図(b)とを示す。
【実施例2】
【0070】
図27および図28を参照すると、どちらのモデルでもx≦4の領域でポテンシャルが大きく変動している。また、アスペクト比による過電圧の変化を図29(a)・(b)に示している。図29(a)には、図25(a)・(b)に示したような山形のYSZ柱部7のアスペクト比に対する過電圧を示しており、アスペクト比が大きく、ピッチPが小さくなるに従って過電圧が小さくなることがわかる。また、図29(b)には、図26(a)・(b)に示したような台形のYSZ柱部7のアスペクト比に対する過電圧を示しており、この場合には、アスペクト比が過電圧に大きく影響を与えず、ピッチPを変えずに、反応面積を変更しても過電圧が大きくは減少しないことがわかる。
【実施例2】
【0071】
従って、x=0付近での反応面を増加させることで、アスペクト比が無限大となり、燃料極の過電圧がより小さくなり、燃料電池の発電性能を高くすることができる。このため、台形よりは山形がより燃料電池の発電性能を高くすることができ、また、山形の場合には、アスペクト比(高さ/底辺)をより大きくするか、ピッチPのサイズをより小さく微細にすることで、発電性能を高くすることができる。
【実施例3】
【0072】
上述した実施例1および2では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例にして説明したが、他の電気化学反応装置に、上述した実施例1や実施例2に示したような柱部の形状を適用した場合を実施例3として説明する。他の電気化学反応装置としては、水電解装置に適用することができる。水電解装置としては、例えば、高温水蒸気電解、アルカリ水電解、固体高分子形水電解などがある。これらの水電解装置においても、図30に示した構成とすることができる。水電解装置は、電解質層などの中間輸送媒体部103を挟んで、第1電極部101としての水素極と、第2電極部102としての酸素極とを有している。このため、水素極または酸素極において、電解質などの中間輸送媒体103Aにより構成され、中間輸送媒体部103に接続され物質輸送方向121A・121Bに沿って柱状に形成された複数の中間輸送媒体柱部107A・107Bを構成するようにできる。この場合、水素極または酸素極において、第1輸送媒体106Aを、中間輸送媒体柱部の側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向120Aに連続させて配置させた第1輸送媒体配置部106と、中間輸送媒体103Aおよび第1輸送媒体106Aにより空隙として形成される第1空隙部118Aと、を備えるようにする。中間輸送媒体柱部107Aの具体的な構成としては、上述したような実施例1または2に示すような構成とすることができる。また、同様に、第1輸送媒体配置部106も柱部の構成にしてもよい。
【実施例3】
【0073】
また、他の電気化学反応装置としては、二次電池に適用することができる。二次電池としては、リチウムイオン電池やリチウム空気電池などがある。これらの二次電池においても、図30に示した構成とすることができる。二次電池は、電解質層などの中間輸送媒体部103を挟んで、第1電極部101としての正極と、第2電極部102としての負極とを有している。このため、正極または負極において、中間輸送媒体103Aにより構成され、酸化還元作用のある液体の電解質などの中間輸送媒体部103に接続され物質輸送方向120Aに沿って柱状に形成された複数の中間輸送媒体柱部107Aを構成するようにできる。この場合、正極または負極において、第1輸送媒体106Aを、中間輸送媒体柱部107Aの側面の少なくとも一部に接触させるとともに物質輸送方向120Aに連続させて配置させた第1輸送媒体配置部と、中間輸送媒体103Aおよび第1輸送媒体106Aにより空隙として形成される第1空隙部118Aと、を備えるようにする。中間輸送媒体柱部107Aの構成としては、上述したような実施例1または2に示すような構成とすることができる。また、同様に、第1輸送媒体配置部106も柱部の構成にしてもよい。
【実施例3】
【0074】
さらに、他の電気化学反応装置としては、還元ガスや酸化ガスの化学反応現象を用いた、酸素、酸化窒素(NOX)などの分圧を測定可能なガスセンサにも適用できる。これらのガスセンサにおいても、同様に、図30に示した構成とすることができる。
【実施例3】
【0075】
このように、本実施例1および2に示した構成は、電解質層などの中間輸送媒体部103を挟んで、第1電極部101と、第2電極部102とを有している様々な電気化学反応装置に適用することができる。様々な電気化学反応装置に適用した場合にも、上述した実施例1、2に示したような効果を奏することができ、物質の輸送ロスを低減することができるので、効率的な電気化学反応装置を提供することができる。
【実施例3】
【0076】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【実施例3】
【0077】
例えば、前記実施例1または2で示した製造方法は、一部のみを適用し、他の製造方法と組み合わせるようにしてもよい。
【実施例3】
【0078】
また、実施例1または2で示した電解層や、燃料極、空気極の具体的な物質は、上述した以外のものでもよく、適宜変更してもよい。例えば、中間輸送媒体柱部107Aは、中間輸送媒体103Aの代わりに、中間輸送媒体103A以外の他の輸送媒体により構成されるようにしてもよい。この場合、例えば、低温型固体酸化物形燃料電池などの電気化学反応装置108の第1電極部101の空気極において、中間輸送媒体103AとしてYSZを用い、第1電極部101の中間輸送媒体柱部107Aの輸送媒体としては、電解層であるYSZの代わりに、LSCF(La1-xSrxCoyFe1-yO3-σ)を用いることができる。この場合にも、中間輸送媒体柱部107Aは、中間物質121の伝導率または拡散係数を高くすることができる。また、リチウムイオン電池などの電気化学反応装置の正極において、中間輸送媒体としてLiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)を用い、第1電極部101の中間輸送媒体柱部107Aの輸送媒体としては、LiPF6の代わりに、Liとの合金酸化物であるLi1-xMnO2を用いることができる。ここで、LiイオンはMnO2(マンガン酸化物)の層状物の隙間に入り込むため、輸送媒体としてはMnO2となる。
【実施例3】
【0079】
さらに、上述した各実施例においては、中間物質としては、導電イオンを例としていたが、例えば、ガスなどを中間物質としてもよい。また、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の場合、中間物質は、:酸化物イオンの場合を例としたが、固体高分子形燃料電池(PEFC)の場合には、中間物質は水素イオンとなり、リチウムイオン電池の場合には、中間物質はLiイオンとなり、ナトリウム・硫黄電池(NAS電池)の場合には、Naイオンとなる。
【符号の説明】
【0080】
1 :燃料極
2 :空気極
3 :電解質層部
4 :電力部
5、5A、5B :集電層
6、6D、6G :Ni柱部
6A、6B、16 :Ni粒子
7、7A~7M :YSZ柱部
9、9D、9G :LSM柱部
10 :燃料極
15 :集電層
17 :YSZ粒子
18、18B、18C、18D :空隙
19 :三相界面
20 :Auリング
21 :アノードサポート基板
22 :Zr-Y基板
30 :ゴム製へら(スキージ)
31 :スラリー
32 :ステンシル(シルクスクリーン)
33 :Zr-Y基板
35 :YSZ柱部
38 :可変抵抗
39 :真空チャンパー
40 :評価試験装置
50 :YSZ焼結体
51 :孔部
101 :第1電極部
102 :第2電極部
103 :中間輸送媒体部
103A :中間輸送媒体
105、130 :集電層
106 :第1輸送媒体配置部
106A、106B :第1輸送媒体
107A :中間輸送媒体柱部
107B :第2中間輸送媒体柱部
108 :電気化学反応装置
109 :第2輸送媒体配置部
109A、109B :第2輸送媒体
118A :第1空隙部
118B :第2空隙部
120 :第1物質
120A、121A、121B、123A :物質輸送方向
121 :中間物質
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図8】
4
【図10】
5
【図11】
6
【図12】
7
【図13】
8
【図14】
9
【図15】
10
【図18】
11
【図19】
12
【図20】
13
【図21】
14
【図22】
15
【図23】
16
【図24】
17
【図25】
18
【図26】
19
【図27】
20
【図28】
21
【図29】
22
【図30】
23
【図5】
24
【図6】
25
【図7】
26
【図9】
27
【図16】
28
【図17】
29