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明細書 :信号再生装置及び信号再生方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5900848号 (P5900848)
公開番号 特開2013-135244 (P2013-135244A)
登録日 平成28年3月18日(2016.3.18)
発行日 平成28年4月6日(2016.4.6)
公開日 平成25年7月8日(2013.7.8)
発明の名称または考案の名称 信号再生装置及び信号再生方法
国際特許分類 H03F   1/26        (2006.01)
H04B   1/10        (2006.01)
FI H03F 1/26
H04B 1/10 K
請求項の数または発明の数 15
全頁数 22
出願番号 特願2011-282505 (P2011-282505)
出願日 平成23年12月23日(2011.12.23)
審査請求日 平成26年12月16日(2014.12.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】田所 幸浩
【氏名】一木 輝久
【氏名】葛西 誠也
個別代理人の代理人 【識別番号】100087723、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 修
審査官 【審査官】柳下 勝幸
参考文献・文献 特開2002-221546(JP,A)
特開2004-312606(JP,A)
国際公開第2004/077669(WO,A1)
特開2011-099820(JP,A)
特開2004-193803(JP,A)
特開平06-069760(JP,A)
調査した分野 H03F 1/26
H04B 1/10
特許請求の範囲 【請求項1】
伝達情報である微弱信号に雑音が重畳した入力信号を、確率共鳴現象により、該微弱信号を再生する信号再生装置において、
非線形素子と、
前記入力信号に対する前記非線形素子の時間を変数として変化する出力信号の補間を行う補間装置と、
を有し、
前記補間装置は、
N個(Nは2以上の自然数)の分岐線路と、
該分岐線路により分岐されたN個の信号に対して、それぞれ異なる時間だけ遅延させるN個の遅延素子と、
前記N個の分岐線路において、少なくともそれぞれの前記遅延素子を通過した信号を一つの信号に合成する合成器と
を有することを特徴とする信号再生装置。
【請求項2】
前記入力信号がN個の前記分岐線路に分岐され、前記非線形素子はN個存在し、それぞれの非線形素子は、それぞれの前記分岐線路に設けられ、分岐されたそれぞれの入力信号を入力し、それぞれの非線形素子の出力信号を、それぞれの前記遅延素子に入力させ、前記合成器は、それぞれの前記遅延素子の出力信号を合成する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号再生装置。
【請求項3】
前記入力信号がN個の前記分岐線路に分岐され、それぞれの前記遅延素子は、分岐されたそれぞれの入力信号を入力し、前記非線形素子はN個存在し、それぞれの非線形素子は、それぞれの前記分岐線路に設けられ、それぞれの前記遅延素子の出力信号を、それぞれの非線形素子に入力させ、前記合成器は、それぞれの前記非線形素子の出力信号を合成する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号再生装置。
【請求項4】
前記非線形素子は前記入力信号を入力し、前記非線形素子の出力信号が、N個の前記分岐線路に分岐され、それぞれの分岐された信号がそれぞれの前記遅延素子に入力し、前記合成器は、それぞれの前記遅延素子の出力信号を合成する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号再生装置。
【請求項5】
前記入力信号を入力する側から、前記非線形素子、前記遅延素子の順で接続された第1線路と、前記入力信号を入力する側から、前記遅延素子、前記非線形素子の順で接続された第2線路とが混在し、
前記合成器は、前記非線形素子及び前記遅延素子のうち後段に位置する素子の出力信号を合成することを特徴とする請求項1に記載の信号再生装置。
【請求項6】
前記第1線路における非線形素子は1個であって、その非線形素子の出力信号が複数に分岐された後に前記第1線路における前記各遅延素子に入力していることを特徴とする請求項5に記載の信号再生装置。
【請求項7】
それぞれの前記非線形素子は、その特性の不均一性により出力に異なる遅延を生じ、それぞれの前記遅延素子を兼ねる
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の信号再生装置。
【請求項8】
それぞれの前記遅延素子の遅延時間は、公差Δtの等差数列で与えることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の信号再生装置。
【請求項9】
N個の遅延素子における遅延時間の差のうち最小遅延時間差は、前記微弱信号に重畳されている前記雑音の相関時間よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の信号再生装置。
【請求項10】
前記微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、N個の遅延素子における遅延時間の差うち最大遅延時間差は1/(2f)以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の信号再生装置。
【請求項11】
前記微弱信号の再生単位となる時間幅をTとする時、N個の遅延素子における遅延時間の差うち最大遅延時間差はT以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の信号再生装置。
【請求項12】
伝達情報である微弱信号に雑音が重畳した入力信号を、確率共鳴現象により、前記微弱信号を再生する信号再生方法において、
非線形の入出力特性により、前記入力信号に対する非線形出力信号を得て、時間を変数として変化する該非線形出力信号の補間を行うことにより前記微弱信号を再生する信号再生方法であって、
前記補間は、前記入力信号にして、N個(Nは2以上の自然数)の異なる遅延時間だけ遅延されたN個の非線形出力信号を生成した後一つの信号に合成することにより行う
ことを特徴とする信号再生方法。
【請求項13】
N個の前記遅延時間の差のうち最小遅延時間差は、前記入力信号に重畳されている前記雑音の相関時間よりも大きいことを特徴とする請求項12に記載の信号再生方法。
【請求項14】
前記微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、N個の前記遅延時間の差うち最大遅延時間差は1/(2f)以下であることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の信号再生方法。
【請求項15】
前記微弱信号の再生単位となる時間幅をTとする時、N個の前記遅延時間の差うち最大遅延時間差はT以下であることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の信号再生方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微弱信号に雑音が重畳した入力信号から、確率共鳴現象を用いて、微弱信号を再生する信号再生装置及び信号再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の非特許文献1において、微弱信号をN個の複数の信号に分配し、それぞれの信号に独立した雑音を加えて、非線形素子に入力して、N個の非線形素子の出力を合成することで微弱信号を再生することが知られている。この方法は、雑音に埋没した微弱信号は、閾値特性を持つ閾値応答素子に入力すると、微弱信号が存在する期間には閾値を越える確率が高くなるということを利用して、微弱信号を再生する方法である。閾値応答素子の出力は、微弱信号が存在する期間には閾値を越える確率が高くなるという現象は、確率共鳴、又は、確率共振と言われている。
【0003】
非線形素子を1個だけ用いた場合には、微弱信号の存在する期間において、入力信号が閾値を越える確率が高くなり、微弱信号が存在しない期間には閾値を越える確率が低くなることが、微弱信号の再生にとって重要となる。したがって、閾値、微弱信号レベル、雑音レベルが適切な関係にある場合に、信号の検出精度が高くなる。また、最大の検出精度を得るためには最適な雑音レベルが存在する。
【0004】
非特許文献1の方法は、多数の非線形素子の出力を合成することで、雑音レベルに依存することなく、微弱信号の検出精度を高くしている。すなわち、雑音レベルが高くなると、各閾値応答素子の出力は、微弱信号が存在する期間も微弱信号が存在しない期間も、閾値を越える確率が高くなる。ところが、入力信号が雑音レベルにより閾値を越える場合には、重畳するN個の雑音が独立したものであることから、N個の閾値応答素子において、入力信号が閾値を越える位相はランダムとなる。一方、入力信号が微弱信号の存在により閾値を越える場合には、N個の入力信号に含まれる微弱信号は同相となるので、閾値応答素子の出力も同相となる。この結果、N個の閾値応答素子の出力を1つの信号に合成すると、微弱信号の存在期間に出力レベルが高くなり、微弱信号が存在しない期間には出力レベルは低くなる。非特許文献1は、このような原理により、雑音レベルに係わらず、微弱信号の再生精度を向上させるものである。
【0005】
また、特許文献1において、非特許文献1による微弱信号にそれぞれ独立した雑音を重畳させたN個の入力信号を非線形素子に入力して、それぞれの非線形素子の出力を1つの信号に合成する方法を実現する装置において、非線形素子を電界効果トランジスタとして、サブスレショルド領域で動作させるようにした装置が知られている。
【0006】
また、特許文献2においては、一つの非線形素子を用いた確率共鳴現象を利用してS/N比を改善する回路において、非線形特性とS/N比との関係が開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2009-212551
【特許文献2】特開2011-52991
【0008】

【非特許文献1】J.J.Collins, Carson C.Chow and Thomas T.Imhoff, LETTERS TO NATURE. Stochastic resonance without tuning. vol.376, pp.236-238, 20 July, 1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、非特許文献1、特許文献1の方法は、非線形素子の数を多くすればする程、雑音レベルが大きくなっても、微弱信号の再現性を高くでき、合成信号のS/N比を向上させることができる。
しかしながら、この方法は、N個の非線形素子に入力させる信号に印加する雑音が独立していることが必要である。仮に、同一雑音源からの同一雑音を印加した場合には、非線形素子の出力信号の合成からは、雑音成分をキャンセルすることが困難となり、微弱信号の再現性が低下し、出力信号のS/N比が向上しない。
したがって、非特許文献1、特許文献1の方法では、独立したN個の雑音源を準備する必要があり、装置が複雑になるという問題がある。
【0010】
また、非特許文献1、特許文献1の方法においては、入力信号をN個の信号に分配して、それぞれ、独立した雑音を印加する必要があるため、伝送路において雑音が混入した信号を復調する場合、受信器の増幅器において雑音が混入した場合などのように、最初から雑音が信号に混入し、雑音に埋もれた微弱信号を復調するには適切な方法ではない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、独立したN個の雑音源を必要としないし、また、雑音源による雑音をN個の入力信号に印加することなく、入力信号に含まれる微弱信号を精度良く再現するようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、伝達情報である微弱信号に雑音が重畳した入力信号を、確率共鳴現象により、該微弱信号を再生する信号再生装置において、非線形素子と、入力信号に対する非線形素子の時間を変数として変化する出力信号の補間を行う補間装置と、を有し、補間装置は、N個(Nは2以上の自然数)の分岐線路と、該分岐線路により分岐されたN個の信号に対して、それぞれ異なる時間だけ遅延させるN個の遅延素子と、N個の分岐線路において、少なくともそれぞれの遅延素子を通過した信号を一つの信号に合成する合成器と
を有することを特徴とする信号再生装置である。
【0013】
補間には、非線形素子から直接、出力される信号に対して補間する場合と、非線形信号に入力される入力信号に対して、処理されて、その処理された結果の信号が非線形素子に入力することで、結果的に非線形素子の出力信号が補間される場合とがある。
非線形素子が、例えば、信号レベルをある閾値により2値化する2値化素子であるとすると、伝達情報である微弱信号に雑音が重畳した入力信号を非線形素子に入力すると、雑音のレベル変動により、非線形素子の出力は雑音の周波数に応じた幅のパルス列となる。このパルスの占有率(ある時間区間当たりのレベルの時間積分、すなわち面積密度)は微弱信号のレベルに比例することになる。補間は、このパルスの占有率を拡大(増幅)する処理を意味する。非線形素子の出力である時間を変数として変化するパルス列において、パルスが存在しない期間を、パルスの存在(占有率)に応じて、埋める処理(占有率の拡大又は増幅)が行われる。本明細書では、補間は、このような時間軸方向での信号レベルの補間処理を意味するものとして使用している。
【0014】
非線形素子が2値化素子でなくとも、非線形素子の出力信号は雑音レベルの変動により、微弱信号のレベルに比例して、非線形素子の出力信号の単位時間区間当たりのレベルの時間積分(レベル占有率)が大きくなる。したがって、非線形素子が2値化素子でなくとも、補間は、非線形素子の出力信号のレベル占有率に比例させて、レベルが比較的低い領域のレベル占有率を拡大(増幅)する処理であるとして定義される。このような補間は、後述するように、非線形素子の出力信号を複数の異なる遅延時間だけ遅延して合成することにより、占有率の小さい領域の占有率を微弱信号のレベルに応じて増加させることができる。
補間の間隔は、雑音の相関時間よりも長くすることが望ましい。また、補間の間隔は、微弱信号の再生すべき最大周波数fの2倍の逆数1/(2f)以下とすることが望ましい。
また、非線形素子の出力信号をローパスフィルタや積分器を通過させて、ある周波数以上の周波数成分を遮断することで、非線形素子の出力信号のパルスをブロードにする、または、信号の変化を滑らかにすることで、占有率の小さい領域の占有率を微弱信号のレベルに応じて増加させることができる。なお、補間には、遅延合成やパルス面積の累積の後の時間微分など、任意の補間を用いることができる。
【0015】
上記発明において、非線形素子は、閾値を越える信号に対して信号を出力する閾値応答素子のような2値出力の素子、入力レベルが低い場合には入力レベルの増加に対する出力レベルの増加率が小さく、入力レベルが高い場合には入力レベルの増加に対する出力レベルの増加率が大きくなるような非線形特性を有した素子である。閾値応答素子にはコンパレータやトランジスタなどを用いることができる。非線形素子には、非線形領域を動作領域とするバイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタなどのユニポーラトランジスタを用いることができる。
【0016】
また、入力信号には、アナログ信号や、アナログ信号をサンプリングしA/D変換した後のディジタル信号であっても良い。非線形素子としては、入力信号をディジタル信号とする場合に、関数演算器を用いることができる。関数演算器による非線形関数には、ロジスティック関数、シグモイド関数、ステップ関数などを用いることができる。また、アナログ信号を扱う非線形素子には、入力と出力との関係がこれらの非線形関係にある素子であれば、任意の素子が使用可能である。
【0017】
また、伝達情報である微弱信号は、周期的信号であっても、非周期的信号であっても、一時間だけ存在する単一信号であっても良い。微弱信号は正弦波、方形波など任意形状の波形であり、正弦波を任意の信号で変調した信号であっても良い。
【0018】
また、非線形素子の非線形特性が、ステップ関数など閾値が設定される特性である場合には、閾値は基準レベルであっても良いし、基準レベルに対して正、負の2領域に閾値が設定されるものであっても良い。また、シュミットトリガーのように、入力と出力との関係にヒステリシス特性が存在しても良い。非線形素子にコンパレータを使用する場合には、第1閾値とこれより大きい第2閾値との間に入力信号レベルが存在する場合には、基準レベルの出力、入力信号レベルが第1閾値より低い場合には基準レベルより低いLレベル、入力信号レベルが第2閾値より高い場合には、基準レベルより高いHレベルを出力するウインドウコンパレータであっても良い。
【0019】
一般的には、検出すべき微弱信号の電圧レベルは、雑音の電力レベルよりも小さいが、大きくてもかまわない。また、各非線形素子の非線形特性が閾値を有する場合には、閾値は、微弱信号に雑音が重畳した入力信号の電圧レベル以下であれば、任意に設定できる。閾値は入力信号の基準レベルに設定しても良い。閾値を基準レベルに設定した場合に、微弱信号が基準レベルを中心として正、負に振動する信号であれば、全周期の微弱信号の波形を再生することができる。例えば、入力信号の基準レベルが0の場合には、閾値は0であっても良い。以下の説明では、微弱信号も、雑音も、雑音が重畳された入力信号も、基準レベル(バイアスレベル)を零レベルとして正、負の電圧で振動する信号とする。閾値を0に設定した場合に、微弱信号が正、負となる全周期の波形の生成が可能となる。微弱信号に雑音が重畳された入力信号は、雑音の電圧レベルが微弱信号の電圧レベルにより変動した信号となる。したがって、閾値を正の領域に設定すると、微弱信号の正期間の波形を、負期間の波形よりはより精度良く再現できる。逆に、閾値を負の領域に設定すると、微弱信号の負期間の波形を、正期間の波形よりもより精度良く再現できる。
【0021】
一般的には、微弱信号の最大周波数は、雑音の最大電力の周波数よりも低い。N個の入力信号を、それぞれ、異なる遅延時間で遅延させて、それぞれの遅延信号の非線形出力信号を生成して、合成すると、雑音成分は、遅延に対して相関がなく、微弱信号については遅延に関して相関がある。このため、合成信号は、雑音成分がキャンセルされ、微弱信号は自己相関により増幅される。N個の入力信号の非線形出力信号を生成して、それぞれの非線形出力信号を、 それぞれ、異なる遅延時間だけ遅延して合成した場合にも、雑音成分は、遅延に対して相関がなく、微弱信号については遅延に関して相関がある。このために、合成信号は、雑音成分がキャンセルされ、微弱信号が自己相関により増幅される。本発明はこの原理により合成信号のS/N比を向上させている。
【0022】
また、本発明において、分岐線路、遅延素子の数Nは、2以上の自然数であれば、任意である。Nは10以上が望ましく、さらに、100以上が望ましい。Nが100以上となると、雑音レベルの増加に対して、微弱信号の再生精度の低下が抑制される。Nを1000以上とすると、雑音レベルの増加に対して、ほぼ、確実な一定の精度で微弱信号が再生される。
【0023】
各分岐線路に配設される非線形素子と遅延素子との配置関係は、非線形素子の出力信号を遅延素子に入力させて、遅延素子の出力を合成する場合と、遅延素子の出力信号を非線形素子に入力させて、非線形素子の出力を合成する方法と2通りある。いずれにしても、結果として、非線形素子の出力の遅延合成された信号が得られる。
したがって、上記発明において、入力信号がN個の分岐線路に分岐され、非線形素子はN個存在し、それぞれの非線形素子は、それぞれの分岐線路に設けられ、分岐されたそれぞれの入力信号を入力し、それぞれの非線形素子の出力信号を、それぞれの遅延素子に入力させ、合成器は、それぞれの遅延素子の出力信号を合成するようにしても良い。
【0024】
また、上記発明において、入力信号がN個の分岐線路に分岐され、それぞれの遅延素子は、分岐されたそれぞれの入力信号を入力し、非線形素子はN個存在し、それぞれの非線形素子は、それぞれの分岐線路に設けられ、それぞれの遅延素子の出力信号を、それぞれの非線形素子に入力させ、合成器は、それぞれの非線形素子の出力信号を合成するようにしても良い。
【0025】
また、上記発明において、各分岐線路に設けられている非線形素子が同一特性であるならば、入力信号が各分配回路に分配される前の段階で、一つの非線形素子を設けても良い。
すなわち、上記発明において、非線形素子は入力信号を入力し、非線形素子の出力信号が、N個の分岐線路に分岐され、それぞれの分岐された信号がそれぞれの遅延素子に入力し、合成器は、それぞれの遅延素子の出力信号を合成するようにしても良い。
【0026】
また、非線形素子と遅延素子との接続関係は、信号の入力する側から非線形素子、遅延素子の順と、遅延素子、非線形素子との順の2通りがある。
したがって、上記発明において、入力信号を入力する側から、非線形素子、遅延素子の順で接続された第1線路と、入力信号を入力する側から、遅延素子、非線形素子の順で接続された第2線路とが混在し、合成器は、非線形素子及び遅延素子のうち後段に位置する素子の出力信号を合成するようにしても良い。
この発明において、遅延素子はN個存在し、遅延素子が存在する分岐線路もN個存在するが、非線形素子の数は、N個以下、2以上である。非線形素子の数がN個の場合には、遅延素子と非線形素子との直列接続回路がN個存在することになる。非線形素子が遅延素子の前段に設けられる線路においては、その非線形素子を共通化することができる。この場合には、非線形素子の個数は2以上、N個より少ない。
したがって、上記発明において、第1線路における非線形素子は1個であって、その非線形素子の出力信号が複数に分岐された後に第1線路における各遅延素子に入力しているようにしても良い。
【0027】
また、各分配回路に設けられる非線形素子の特性が不均一であれば、その特性により異なる伝搬遅延時間を与えることができる。
したがって、上記発明において、それぞれの非線形素子は、その特性の不均一性により出力に異なる遅延を生じ、それぞれの遅延素子を兼ねるようにしても良い。
また、上記の発明において、各遅延素子の各遅延時間は、それぞれ異なれば、任意であるが、規則性があっても良い。例えば、遅延時間を、公差Δtの等差数列で与えても良い。遅延時間を等差数列で与えると、微小信号の再現性がより向上する。
【0028】
また、N個の遅延素子における遅延時間の差のうち最小遅延時間差は、入力信号に重畳されている雑音の相関時間よりも大きいことが望ましい。複数の入力信号又は入力信号の非線形出力信号を遅延させて合成する場合に、合成により雑音成分をキャンセルするには、遅延された各雑音に関して相関がないことが必要である。したがって、白色雑音の場合には、相関時間は短いが、相関が一定の値以下に低下する時間よりも、遅延時間差の最小値を大きくすることが望ましい。このときに、合成信号において、効果的に雑音成分をキャンセルして、伝達情報である微弱信号を再生することができる。
【0029】
また、微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、N個の遅延素子における遅延時間の差のうち最大遅延時間差は1/(2f)以下とすることが望ましい。再生すべき最大周波数とは、微弱信号の目的に応じた再生に必要とする最大周波数であり、微弱信号を構成する最大周波数成分の周波数以下である。微弱信号の波形の必要とする再生の程度によって決定される。1/(2f)は最大周波数の半周期である。最大周波数の正弦波、余弦波を半周期以内の遅延時間で遅延させて合成した場合には、波形が保存されるので、微弱信号の波形の再生が可能である。また、最大遅延時間差を1/(4f)以下、すなわち、周期/4以下としても良い。
【0030】
また、微弱信号の再生単位となる時間幅をTとする時、N個の遅延素子における遅延時間の差のうち最大遅延時間差はT以下であることが望ましい。この時間幅は、上述した微弱信号の再生すべき最大周波数fに対して、1/(2f)に相当する。時間幅Tで変化する信号を再生する場合には、最大遅延時間差はT以下とする必要がある。また、最大遅延時間差をT/2とすると、微小信号の自己相関がより高くなるので、再現精度はより高くなる。
【0031】
また、本発明とは別に以下のことが明細書には記載されている。第1の発明において、非線形素子は、入力信号を入力し、補間装置は、非線形素子の出力信号を入力するローパスフィルタであることを特徴とする信号再生装置である。
【0032】
ローパスフィルタには、入力信号がアナログの場合には、アナログフィルタを用いることができる。入力信号がディジタル信号の場合、又は、アナログの場合であってもサンプリングした後ディジタルに変換した信号の場合には、ディジタルフィルタを用いることができる。
【0033】
また、ディジルタフィルタを用いた場合には、タップ数は任意である。タップ数Nは、2以上の自然数であれば、任意である。Nは10以上が望ましく、さらに、100以上が望ましい。Nが100以上となると、雑音レベルの増加に対して、微弱信号の再生精度の低下が抑制される。Nを1000以上とすると、雑音レベルの増加に対して、ほぼ、確実な一定の精度で微弱信号が再生される。また、タップ係数については、所定のローパスフィルタの伝達関数が得られるように設定すれば良い。なお、タップ係数を全て1としても、周波数特性がシグモイド関数となるローパスフィルタとなるので、微弱信号の再生が可能である。
【0034】
また、ディジタルフィルタを用いる場合に、入力信号のサンプリング周期Δtは、入力信号に重畳されている雑音の相関時間よりも大きいことが望ましい。相関時間の逆数を相関周波数と定義すると、雑音において、相関周波数以下の周波数成分は、相関周波数以上の成分に対して、十分に小さい。したがって、サンプリング周期Δtでサンプリングされた入力信号のフーリエ変換の第1ブリルアンゾーン(1/Δt以下の帯域)における雑音成分は、十分に小さくなる。また、換言すれば、ディジタルフィルタは、入力信号の非線形出力信号をタップ毎に、順次、Δtづつ遅延させて合成することと等価である。したがって、合成により雑音成分をキャンセルするには、遅延された各雑音に関して相関がないことが必要である。したがって、サンプリング周期Δtは、雑音の相関が一定の値以下に低下する時間よりも大きくすることが望ましい。このときに、合成信号において、効果的に雑音成分をキャンセルして、伝達情報である微弱信号を再生することができる。また、ウインドの時間T、すなわち、タップ数N×サンプリング周期Δtは、上述した微弱信号の再生すべき最大周波数fに対して、1/(2f)以下とすることが望ましい。NΔtはローパスフィルタの遮断周波数を与えるので、遮断周波数を微弱信号の最大再生周波数fの2倍(2f)以上に設定することと等価であるからである。
【0035】
入力信号のフーリエ変換と、入力信号を非線形素子に入力させて、その非線形素子の出力する非線形出力信号のフーリエ変換とを比べた場合には、非線形による確率共鳴により、後者の場合には、微弱信号成分が雑音よりも相対的に大きくなる。したがって、非線形出力信号をローパスフィルタに入力することにより、効果的に、微弱信号を抽出することができる。したがって、ローパスフィルタの遮断周波数は、非線形素子の出力信号のフーリエ変換によるスペクトルのレベルが、雑音のレベルよりも高くなる周波数範囲の最大値以上に設定されていることが望ましいが、その最大値に設定されていることが最も望ましい。この場合には、入力信号において、雑音レベルよりもレベルが高くなる周波数帯域のみが抽出されることから、相対的に微弱信号の成分がより多く抽出されることになる。この結果、微弱信号を精度良く検出することができる。
また、ローパスフィルタの遮断周波数は、上記最大値の1/2以上、最大値の2倍以下の範囲に設定されていることが望ましい。この範囲であれば、入力信号の成分を精度良く抽出することができる。
また、ローパスフィルタの遮断周波数に関して、次のような見方をすることができる。遮断周波数は、微弱信号の再生すべき最大周波数fまでの信号を再生するには、2f以上に設定される必要がある。一方、雑音の相関周波数(1/相関時間)よりも低く設定される必要がある。したがって、遮断周波数は2f以上、雑音の相関周波数以下に設定することが望ましい。
【0036】
また、ローパスフィルタの遮断周波数は、微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、2fに設定されていることが最も望ましい。遮断周波数を2fに設定すると、このローパスフィルタのインパルス応答は、最初の零点が1/(2f)となるシグモイド関数となる。したがって、これは、時間軸上では、シグモイド関数による1/fの時間ウインドウをトランスバーサルフィルタに設定したことを意味する。これにより、非線形出力信号から微弱信号成分を抽出することができる。ローパスフィルタの伝達関数には、矩形波、シグモイド関数、バターワース関数、チェビシェフ関数、楕円関数、その他、一般にフィルタの設計に用いられる伝達関数を採用することができる。
【0037】
また、第2の発明は、伝達情報である微弱信号に雑音が重畳した入力信号を、確率共鳴現象により、前記微弱信号を再生する信号再生方法において、非線形の入出力特性により、入力信号に対する非線形出力信号を得て、時間を変数として変化する該非線形出力信号の補間を行うことにより微弱信号を再生する信号再生方法であって、補間は、入力信号にして、N個(Nは2以上の自然数)の異なる遅延時間だけ遅延されたN個の非線形出力信号を生成した後一つの信号に合成することにより行うことを特徴とする信号再生方法である。
この発明は、第1の装置発明に対応する方法発明である。したがって、上記の装置発明で説明したことが、方法発明においても適用される。
【0039】
入力信号のN個の遅延信号又は入力信号の非線形出力信号のN個の遅延信号に関して、微弱信号については相関があり、雑音については相関がない。このため、遅延及び非線形処理された信号を合成することで、雑音をキャンセルして、微弱信号を増幅して、効果的に微弱信号を再生することができる。
【0040】
この方法発明において、信号の遅延と、非線形出力信号の生成との前後関係は、任意であり、上記した通りである。また、入力信号の非線形出力信号を生成してからN個の非線形出力信号に分配して、それぞれの非線形出力信号をそれぞれ異なる遅延時間だけ遅延させても良いことも、装置発明で説明した通りである。
また、最終的には、N個の遅延された非線形出力信号が得られれば良いので、入力信号の遅延の後、非線形出力を得る場合と、入力信号の非線形出力を得た後、遅延させる場合とが、混在していても良い。上記に説明した通りである。
【0041】
この方法発明においても、N個の遅延時間の差のうち最小遅延時間差は、入力信号に重畳されている雑音の相関時間よりも大きいことが望ましい。
また、微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、N個の前記遅延時間の差のうち最大遅延時間差は1/(2f)以下とすることが望ましい。最大遅延時間差は1/(4f)以下とすることがさらに望ましい。
また、微弱信号の再生単位となる時間幅をTとする時、N個の遅延時間の差のうち最大遅延時間差はT以下であることが望ましい。最大遅延時間差は、さらに、T/2以下であることが望ましい。
【0042】
間は、非線形出力信号から、遮断周波数以上の高周波成分を除去することにより行うことも可能である。
【0043】
この場合、遮断周波数は、非線形出力信号のフーリエ変換のレベルが、雑音のレベルよりも高くなる周波数範囲の最大値に設定されていることが望ましい。また、遮断周波数は、微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、2fに設定されていることが望ましい。また、遮断周波数以上の高周波成分の除去は、ディジタルフィルタによるものであり、入力信号のサンプリング周期は、雑音の相関時間よりも長いことが望ましい。
【発明の効果】
【0044】
本装置発明及び方法発明は、伝達情報である微弱信号に雑音が重畳した入力信号を、確率共鳴現象により、該微弱信号を再生する信号再生装置において、入力信号に対する非線形素子の時間を変数として変化する出力信号の補間を行うようにしている。非線形素子の出力信号は、雑音によるレベル変動により、微弱信号のレベルに比例して、ある時間区間におけるレベルの時間積分(信号の占有率、信号の面積密度)が変化する。時間軸での補間により、この占有率が拡大されることになり、再生される信号の感度が向上する。
【0045】
た、N個の入力信号又は入力信号の非線形出力信号を、それぞれ異なる遅延時間だけ遅延させて、一つの信号に合成することを特徴としている。この非線形処理及び遅延処理の後の各信号(以下、単に、「遅延信号」という)においては、伝達情報である微弱信号については相関があり、雑音については相関がない。このため、遅延信号を合成(以下、「遅延合成」という)することで、雑音をキャンセルして、微弱信号を増幅して、効果的に微弱信号を再生することができる。
【0046】
このとき、N個の遅延時間の差のうち最小遅延時間差を、入力信号に重畳されている雑音の相関時間よりも大きくすることで、各遅延信号の合成において雑音が効果的に除去される。また、微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、N個の前記遅延時間の差のうち最大遅延時間差は1/(2f)以下、望ましくは1/(4f)以下とすることで、1/(2f)、1/(4f)の期間は、各遅延信号において、微弱信号の相関が高い期間であるので、遅延合成により微弱信号を増幅することができる。微弱信号の再生単位となる時間幅をTとする時、N個の遅延時間の差のうち最大遅延時間差はT以下、望ましくはT/2以下とすることで、時間T、T/2は、微弱信号の相関が高い期間であるので、遅延合成により微弱信号を増幅することができる。この結果、合成信号において、S/N比を向上させることができる。
【0047】
また、合成すべき遅延信号の数Nは、大きい程、雑音レベルが増加しても、S/N比の低下が抑制される。例えば、Nが10以上の場合には、雑音レベルによらず、0.6以上の確度で微弱信号が再現される。また、Nが100以上の場合に、混入された雑音レベルが増加しても、微弱信号をほぼ再現することができ、合成した再生信号におけるS/N比を大きくでき、低下させることがない。Nが1000以上の場合には、雑音レベルが増加しても、S/N比は最大を維持し、雑音レベルの増加に対して安定して微弱信号を再生することができる。また、本発明は、N個の独立した雑音を入力信号に重畳させる方法ではないために、重畳させる雑音源が不要であり、相関のないN個の雑音源を設けるという複雑な装置、方法を必要としない。
【0048】
また、本発明とは別に、伝達情報である微弱信号に雑音が重畳した入力信号を、入出力特性が非線形である非線形素子に入力して、非線形出力信号を得て、その非線形出力信号に対して、遮断周波数以上の周波数成分を遮断するようにすることも可能である。この場合、入力信号において、微弱信号が雑音に埋もれていても、非線形出力信号では、微弱信号のレベルが雑音のレベルに対して相対的に大きくなる。この結果、非線形出力信号から、ローパスフィルタにより、微弱信号の帯域を抽出すれば、微弱信号の精度の高い検出が実現される。
【0049】
このとき、ディジタル処理の場合には、入力信号のサンプリング周期ΔTを、入力信号に重畳されている雑音の相関時間よりも大きくすることで、各遅延信号の合成において雑音が効果的に除去される。また、微弱信号の再生すべき最大周波数をfとする時、遮断周波数を2fとして、非線形出力信号から、その遮断周波数以上の周波数成分を遮断することで、微弱信号の抽出が可能となり、S/N比を向上させることができる。
【0050】
また、ディジタル処理の場合にディジタルフィルタのタップ数Nは、大きい程、雑音レベルが増加しても、S/N比の低下が抑制される。例えば、Nが10以上の場合には、雑音レベルによらず、0.6以上の確度で微弱信号が再現される。また、Nが100以上の場合に、混入された雑音レベルが増加しても、微弱信号をほぼ再現することができ、合成した再生信号におけるS/N比を大きくでき、低下させることがない。Nが1000以上の場合には、雑音レベルが増加しても、S/N比は最大を維持し、雑音レベルの増加に対して安定して微弱信号を再生することができる。
また、本発明は、N個の独立した雑音を入力信号に重畳させる方法ではないために、重畳させる雑音源が不要であり、相関のないN個の雑音源を設けるという複雑な装置、方法を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1の信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図2.A】本発明の実施例2の信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図2.B】本発明の実施例2の変形例に係る信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図3.A】本発明の実施例3の信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図3.B】本発明の実施例3の変形例に係る信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図4】本発明の実施例4の信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図5】本発明の実施例1の信号再生装置に入力する微弱信号と雑音との関係を示し波形図。
【図6】本発明の実施例1の信号再生装置に使用したコンパレータの非線形特性図。
【図7】本発明の実施例1の信号再生装置の動作を説明する説明図。
【図8】本発明の実施例1の信号再生装置の動作を説明する説明図。
【図9】本発明の実施例1の信号再生装置の動作を説明する説明図。
【図10】本発明の実施例5の信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図11】本発明の実施例5の信号再生装置において用いられた電界効果トランジスタの非線形特性を示した特性図。
【図12】雑音の遅延時間と自己相関との関係を示した特性図
【図13】入力信号に重畳される雑音の電力レベルと、再生される微弱信号とその原信号との相関との関係を、遅延合成する信号の数Nをパラメータとして示した特性図。
【図14】確率共鳴を説明した説明図。
【図15】参考例1の信号再生装置の構成を示したブロック図。
【図16】再生すべき微弱信号のフーリエ変換による周波数特性図。
【図17】非線形素子であるコンパレータの出力する非線形出力信号のフーリエ変換による周波数特性図。
【図18】参考例2に係る信号再生装置のローパスフィルタの伝達関数を示した特性図。
【図19】参考例2に係る信号再生装置のローパスフィルタの伝達関数を示した特性図。
【図20】参考例3に係る信号再生装置のローパスフィルタのインパルス応答を示した特性図。
【図21】参考例3に係る信号再生装置のローパスフィルタの伝達関数を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0053】
図1は、本発明の具体的な一実施例に係る信号再生装置1の構成を示したブロック図である。信号再生装置1 には、伝達情報である微弱信号Sに雑音Wが重畳された受信信号R(入力信号)が入力している。本実施例では、雑音Wは送信機や伝送路で混入された雑音の他、信号再生装置1 の前段に設けられる受信機の増幅器で重畳される雑音等も含む。要するに、雑音Wは、本信号再生装置1 に対する入力信号に含まれる雑音を意味し、本装置において、特別に付加している訳ではない。
【実施例1】
【0054】
本実施例では、入力信号は、受信信号Rで表す。信号再生装置1は、受信信号RをN個の信号に分配するN個の分岐線路L1 ~LN を有しており、各分岐線路L1 ~LN には、それぞれ非線形素子NL1 ~NLN と遅延素子D1 ~DN との直列接続回路が設けられている。非線形素子NL1 ~NLN と遅延素子D1 ~DN のそれぞれの総数はN個である。非線形素子NL1 ~NLN から出力されたそれぞれの非線形出力信号NLO1 ~NLON は、それぞれの遅延素子D1 ~DN に入力している。それぞれの遅延素子D1 ~DN から出力される遅延信号DS1 ~DSn は合成器10により一つの信号に合成される。合成器10の出力を遅延合成信号DAという。
【実施例1】
【0055】
本実施例では、非線形素子NL1 ~NLN は、閾値応答素子であるコンパレータを用いた。コンパレータの非線形特性は図6に示すように、入力信号が閾値ξ以上の場合にはレベル+V(以下、Hレベルという)、閾値ξより小さい場合にはレベル-V(以下、Lレベルという)の非線形出力信号を出力する。本実施例では、微弱信号Sを、図5(a)に示すようなパルス幅TH のパルス信号とする。この微弱信号Sにホワイト雑音Wが重畳された受信信号Rは、図5(b)に示すような波形となる。このとき、雑音Wの電圧レベルは、微弱信号Sの電圧レベルよりも大きいので、微弱信号Sは雑音Wの中に埋没したものとなる。したがって、微弱信号Sは、フィルタなどによっては抽出することはできない。
【実施例1】
【0056】
微弱信号Sに雑音Wが重畳された受信信号Rをコンパレータに入力すると、閾値ξ以上の期間でHレベル、閾値ξより小さい期間でLレベルの信号が出力される。コンパレータの出力信号は、図7の(b)に示すような信号となる。なお、図7(a)のように、閾値ξを高く設定しているので、微弱信号Sが存在しない期間は、図7(b)においては、コンパレータの出力がLレベルで一定となり変化していないが、閾値ξを低く設定すれば、例えば、0レベルに設定すれば、微弱信号Sが存在しない期間においても、コンパレータの出力は、微小期間Hレベルとなる多数のパルスが出力される。閾値ξは、図5に示すように、受信信号Rの最大電圧レベルと0レベルとの間の区間Bにおいて、任意に設定することができる。
【実施例1】
【0057】
次に、各コンパレータの出力信号であるそれぞれの非線形出力信号NLO1 ~NLON は、それぞれの遅延素子D1 ~DN に入力する。単位遅延時間はΔtであり、各遅延素子D1 ~DN の各遅延時間はΔt,…kΔt,…NΔt(k=1,2,…N)である。すなわち、各遅延時間を公差Δtの等差数列で与えている。各遅延素子D1 ~DN により遅延された遅延信号DS1 ~DSn は、図7(d)に示すような信号となる。これらの遅延信号DS1 ~DSn が合成器10に入力して、合成される。受信信号Rは、雑音が雑音の周波数より低周波数の微弱信号によりレベルが変動したものとなるため、微弱信号が存在する期間においては、受信信号Rは、閾値ξ以上となる確率が、他の期間における確率よりも高い。したがって、図7(d)に示すパルス信号は、微弱信号Sが存在する期間においては、パルスの占有面積が、他の期間よりも大きくなる。
【実施例1】
【0058】
これらの各コンパレータ(非線形素子NL1 ~NLN )の出力するそれぞれの非線形出力信号NLO1 ~NLON においては、微弱信号成分と、雑音成分とが混在したものとなる。しかし、各非線形出力信号NLO1 ~NLON のそれぞれ異なる時間だけ遅延された遅延信号DS1 ~DSn 間においては、雑音成分に関しては相関がなく、微弱信号成分に関しては相関が大きい。このため、図7(d)の非線形出力信号を遅延させた遅延信号DS1 ~DSn を合成器10により合成した後の遅延合成信号DAは、雑音成分が除去されたものとなり、N個の微弱信号成分の大きな自己相関信号が得られる。このようにして、雑音を除去して微弱信号Sのみを増幅することができる。この結果、合成器10の出力する遅延合成信号DAのS/N比が向上する。
【実施例1】
【0059】
図8は、非線形出力信号NLO1 をΔt1 だけ遅延させた遅延信号D1 と、非線形出力信号NLO2 をΔt2 だけ遅延させた遅延信号D2 とを合成することを示している。雑音の自己相関値は、例えば、図12に示すような特性を有している。自己相関時間は10-7秒程度である。したがって、最小遅延時間差(遅延時間を等差数列で与える場合には、公差Δt)を、10-7秒以上とすることで、各非線形出力信号を遅延させた各遅延信号DS1 ~DSn に含まれる雑音成分間の相関を極めて小さくすることができ、これらの遅延信号DS1 ~DSn を合成した遅延合成信号DAにおいはて雑音成分が除去されたものとなる。
【実施例1】
【0060】
一方、微弱信号が図9に示すパルス幅Tのパルス信号の場合に、最大遅延時間差((N-1)Δt=ΔtN -Δt1 )を、パルス幅T以下とする。このパルス幅Tの期間において、パルス信号は自己相関が高い。また、最大遅延時間差をT/2とすることで、さらに、自己相関が大きい期間において、遅延合成することができ、より精度の高い信号の再生が可能となる。
【実施例1】
【0061】
図14は、確率共鳴を説明する図である。非線形素子の閾値ξを微弱信号Sの電圧レベルよりも大きく設定すると、微弱信号を非線形素子に入力しても、Hレベルの出力は得られない。微弱信号に雑音が重畳された信号を非線形素子に入力すると、非線形素子の出力は、微弱信号のレベルに応じて、Hレベルとなる確率が高くなり、微弱信号のレベルが高い程、非線形素子の出力するパルスの占有面積が増加する。そして、雑音レベルが高くなるほど、入力信号が閾値ξを越える確率が高くなり、微弱信号の検出精度が大きくなる。しかし、雑音レベルがさらに増加すると、非線形素子の出力には雑音成分が多く含まれるようになり、微弱信号の再生精度が低下する。したがって、一つの非線形素子を用いて信号の再生を行う場合には、再生信号のS/N比が最大となる雑音レベルが存在することになる。この現象は、確率共鳴、又は、確率共振と言われている。
【実施例1】
【0062】
本発明は、非線形素子を一つ用いるのではなく、N個の非線形素子NL1 ~NLN を用いると共に、非線形出力信号NLO1 ~NLON をそれぞれ異なる時間で遅延させた、遅延信号DS1 ~DSn を合成するようにしている。この合成により、雑音成分の非相関性を利用して雑音成分をキャンセルするようにしている。雑音成分をキャンセルすることができるために、非線形素子NL1 ~NLN の閾値ξや雑音レベルによらず、遅延合成信号DAにおいて、S/N比を向上させることができる。遅延信号DS1 ~DSn の数Nと、遅延合成信号DAと微弱信号Sとの相関値との関係を図13に示す。最小遅延時間差Δtは、0.1μs、微弱信号Sのバルス幅Tは2msとしている。Nが10以上において、遅延合成信号DAと微弱信号Sとの相関値は、雑音レベルによらず、0.6以上となり、Nが100以上では、1に近い相関値が得られている。
【実施例1】
【0063】
本実施例では、最大遅延時間差は(N-1)Δtであり、この最大遅延時間差の期間の微弱信号が遅延されて合成されることになる。したがって、(N-1)Δt=Tを満たすならば、微弱信号であるパルス幅Tのパルスは、パルス幅2T、半値幅Tのパルスとして再生することができる。また、(N-1)Δt=T/2を満たす場合には、パルス幅T、半値幅T/2のパルスとして再生することができる。(N-1)ΔtがTに比べて十分に短い場合には、パルス幅Tのパルスとして再現することができる。
【実施例1】
【0064】
このことは、次のように一般化することができる。微弱信号は、周期的信号、非周期的信号、単一信号など、一般化された波形とする。この微弱信号のスペクトルにおいて最大周波数をfとする。この最大周波数fの正弦波が再生できれば、微弱信号は、精度良く再生できることになる。最大遅延時間差を(N-1)Δt=1/(2f)に設定すると、最大周波数の正弦波の半周期の期間、微弱信号はΔtづつ遅延されて合成されることになる。この場合には、最大周波数fの正弦波は、周波数fの正弦波(位相は異なる)として再生できる。また、最大遅延時間差を(N-1)Δt=1/(4f)に設定すると、最大周波数の正弦波の1周期/4の期間(位相差π/2の期間)、微弱信号はΔtづつ遅延されて合成されることになる。この場合にも、最大周波数fの正弦波は、周波数fの正弦波(位相は異なる)として再生できる。(N-1)Δtが1/(2f)に比べて十分に短い場合には、最大周波数fの正弦波の振幅を、他の周波数成分の正弦波の振幅に比べて、減衰させることなく、再現できる。したがって、最大遅延時間差(N-1)Δtは短い程、微弱信号を歪みなく再生することが可能となる。
【実施例1】
【0065】
結局、最大遅延時間差の逆数は、一般化された波形の微弱信号Sを再現する場合の波形の再生精度に比例している。一定の波形再生精度を得るために、最大遅延時間差をある値W以下に設定すると、(N-1)Δt≦Wを満たす必要がある。したがって、S/N比の向上の観点からは、Nは大きく、最小遅延時間差Δtは雑音の相関時間より大きい方が望ましいが、波形の歪みの観点からは望ましくないことになる。よって、N、Δtには、S/N比、波形歪みの観点から、最適値が存在することになる。
【実施例2】
【0066】
実施例2に係る信号再生装置2の構成を図2.Aに示す。実施例1と同一要素には、同一符号が付されている。本実施例2では、実施例1において、遅延素子D1 ~DN と非線形素子NL1 ~NLN との接続の前後関係を逆にしたものである。すなわち、遅延素子D1 ~DN の出力する信号を非線形素子NL1 ~NLN に入力して、それらの非線形素子NL1 ~NLN の出力する非線形出力信号NLO1 ~NLON を合成器10に入力したものである。本実施例では、図5(b)に示す受信信号Rを、それぞれ、遅延時間を等差数列Δt,…kΔt,…NΔt(k=1,2,…N)で遅延している。図5(b)に示す受信信号Rは、遅延させても信号波形は保持されるので、遅延の後に、非線形素子NL1 ~NLN に入力しても、それらの非線形素子NL1 ~NLN の出力は、実施例1における図7(d)に示す出力と同一になる。よって、このような構成によっても、本発明の効果を実現することができる。
【実施例2】
【0067】
また、実施例2の変形例として、図2.Bに示す構成を採用しても良い。遅延素子D1 ~DN と非線形素子NL1 ~NLN との接続の前後関係について、非線形素子が遅延素子の前段に位置する場合と、遅延素子が非線形の前段に位置する場合とが混在していても良い。受信信号Rが入力される側から、非線形素子(NL1 , NL3 ,…)、遅延素子(D1 ,D3 ,…)の順に接続されている分岐線路(L1 ,L3 ,…)が第1線路である。また、受信信号Rが入力される側から、遅延素子(D2 ,…DN )、非線形素子(NL2 , …NLN )の順に接続されている分岐線路(L2 ,…LN )が第2線路である。第1線路と第2線路との数は、任意であり、一致していても一致していなくとも良い。また、第1線路だけ図面上、上段に集め、第2線路だけ下段に集めても良いし、第1線路と第2線路とを交互に配置しても良い。
【実施例3】
【0068】
実施例1では、受信信号RをN個に分配し、N個の非線形素子NL1 ~NLN を用いた。図1において、各非線形素子NL1 ~NLN には、同一の受信信号Rが入力されているので、各非線形素子NL1 ~NLN が同一の非線形特性を有するのであれば、各非線形素子NL1 ~NLN の出力信号は、同一となる。したがって、この非線形素子は、一つとすることができる。その構成が図3.Aに示されている。非線形素子NLの出力する非線形出力信号NLOは図7(b)に示すものとなり、その非線形出力信号NLOをN個の信号に分配した後、各遅延素子D1 ~DN に入力させると、各遅延素子D1 ~DN から出力される遅延信号DS1 ~DSn は、図7(d)に示す信号となる。したがって、本実施例においても、実施例1と同一の効果を奏することができる。
【実施例3】
【0069】
また、実施例3の変形例として、実施例2の変形例において、非線形素子が遅延素子の前段に位置する第1線路に関して、非線形素子を1個の共通素子とした実施例3の構成を採用しても良い。
すなわち、図3.Bに示すように、受信信号Rを入力する側から各遅延素子(D1 ,…DM )、各非線形素子(NL1 ,…NLM )の順に直列接続されたM個(Mは、Nより小さい自然数)の分岐線路(L1 ,…LM )からなる第2線路が設けられている。また、また、第1線路は、共通の1個の非線形素子NLM+1 と、その非線形素子NLM+1 の出力信号を(N-M)に分岐する分岐線路(LM+1 ,…LN )に配設された各遅延素子(DM+1 ,…DN )とを有している。
このように、前段に設けられる第1線路において、非線形素子を共通化した1個の素子とすることができる。
【実施例4】
【0070】
本実施例4は、実施例1、2における遅延素子D1 ~DN と非線形素子NL1 ~NLN とを共通化したものである。実施例4の構成を図4に示す。非線形素子NLD1 ~NLDN は、応答速度が異なるものを使用する。これにより、遅延操作と非線形操作とを、非線形素子の機能により兼用させることができる。
【実施例5】
【0071】
実施例1~4では、非線形素子NL1 ~NLN としてコンパレータを用いたが、図10に示すように、電界効果トランジスタFETを用いても良い。図11に示す電界効果トランジスタの非線形動作特性を用いることができる。閾値は、この電界効果トランジスタのゲート閾値電圧に設定されることになる。
【実施例5】
【0072】
上記の全ての実施例において、受信信号Rは、単一信号であっても、周期的な連続信号、非周期的な連続信号、離散的信号であっても良い。上記のパルス幅Tは、連続した周期信号であれば、半周期である。伝達すべき微弱信号は、送信器において帯域が制限されているので、受信信号には、最大周波数fが存在する。最大遅延時間差を1/(2f)、すなわち、最大周波数の正弦波の1/2周期とすることで、微弱信号の相関を大きくすることができる。望ましくは、最大遅延時間差を1/(4f)、すなわち、最大周波数の正弦波の1/4周期(位相差にしてπ/2の期間)とすることで、微弱信号の相関をより大きくすることができる。
[参考例1]
【実施例5】
【0073】
参考例は、図3.Aに示す実施例3の遅延合成を、別の手段により実施したものである。実施例3で説明したように、図3.Aの構成では、受信信号Rは、非線形素子NLに入力し、その素子から非線形出力信号NLOが得られる。そして、その非線形出力信号NLOが、それぞれの遅延時間Δt1 ~ΔtN だけ遅延させて合成される。これにより遅延合成信号DAが得られる。
【実施例5】
【0074】
参考例1の信号再生装置について説明する。本参考例の信号再生装置1の構成を図15に示す。入力信号は、上記したように伝達すべき情報である微弱信号Sに雑音Wが重畳した信号であり、本例では、受信信号Rである。受信信号Rは、コンパレータである非線形素子NLに入力して、その素子から非線形出力信号NLOが出力される。この非線形出力信号NLOは、ローパスフィルタLPに入力して、遮断周波数fc より大きい周波数が遮断される。ローパスフィルタLPは、本例ではRCから成るアナログのフィルタである。
【実施例5】
【0075】
図16は、微弱信号Sを、デューティ比20%(パルス幅2ms)、繰返周波数100Hzの矩形波とした場合の、微弱信号Sのフーリエ変換による周波数特性である。図17は、コンパレータである非線形素子NLの出力する非線形出力信号NLOのフーリエ変換による周波数特性である。図17では、微弱信号Sの非線形出力信号の周波数特性に、雑音Wの非線形出力信号の周波数特性を別々に分離して表示されている。図17の非線形出力信号NLOのフーリエ変換において、レベルが雑音レベルよりも高くなる周波数範囲の上限値をfc とする。ローパスフィルタLPでは、遮断周波数をfc に設定する。これにより、ローパスフィルタLPにより、非線形出力信号NLOから周波数fc を越える帯域の周波数成分が除去される。この結果、ローパスフィルタLPの出力する再生信号LPOは、遮断周波数fc 以下の周波数成分のみとなる。遮断周波数fc 以下の帯域では、微弱信号Sのレベルは、雑音Wのレベルよりも、十分に大きいので、微弱信号Sを精度良く再生することができる。
[参考例2]
【実施例5】
【0076】
参考例は、ローパスフィルタLPをディジルタフィルタ、非線形素子NLに入力する入力信号を、受信信号Rを時間間隔Δtでサンプリングして、振幅値をディジタル値に変換したデータ信号とする。図18は、ローパスフィルタLPの周波数特性(伝達関数)を示している。この特性は、時間軸上での幅(N-1)Δt=Tの方形波窓関数のフーリエ変換である。すなわち、図18の周波数特性を有するローパスフィルタLPの出力は、ローパスフィルタLPに入力する非線形出力信号NLOと方形波窓関数との畳み込みとなる。したがって、このローパスフィルタLPの機能は、図3.Aにおける非線形出力信号NLOの期間(N-1)Δt=Tにおける時間間隔Δtでの遅延合成と等価となる。
【実施例5】
【0077】
期間Tで1、他の期間で0の方形波関数g(t)のフーリエ変換G(ω)は、ωに関するシグモイド関数となり、次式で表される。
【数1】
JP0005900848B2_000002t.gif

G(ω)の周波数特性は図19のようになる。これを縦軸を対数、横軸を周波数fで表現すると、図18のようになる。このように伝達関数が図18、図19に示すようなシグモイド関数となるローパスフィルタを用いることで、微弱信号Sの精度の高い再生が可能となる。図18は、Δt=0.1μs、N-1=1000であり、期間T=(N-1)Δt=0.1msの方形波窓関数g(t)に対応するフィルタの周波数特性である。
[参考例3]
【実施例5】
【0078】
次に、伝達関数を参考例2とは異なる特性を有するディジタルフィルタを用いる例について説明する。遮断周波数fc のローパスフィルタの伝達関数H(ω)をfc 以下の周波数で1、他の周波数帯では0とする。伝達関数H(ω)の逆フーリエ変換をh(t)とすると、h(t)は時間tに関するシグモイド関数となり、次式で表される。
【数2】
JP0005900848B2_000003t.gif
h(t)は、伝達関数H(ω)のローパスフィルタのインパルス応答であるが、図20のような時間特性を有する。
【実施例5】
【0079】
そこで、h(kΔt)、ただし、kは整数、Δtは、受信信号Rのサンプリング周期、をタップ係数h0 ,…,hk ,…hN とする。ローパスフィルタの伝達関数H(ω)は、図21に示すようになる。これが、ディジタルローパスフィルタの伝達関数のブロック図である。ただし、zとωとは、z=exp(jωΔt)の関係がある。したがって、時間領域では、トランスバーサルフィルタの各タップからは、受信信号Tが、順次、0,Δt,…kΔt,…,NΔtだけ遅延された信号に、タップ係数h0 ,…,hk ,…hN を乗じた信号が出力され、これらの合成信号が、ディジタルフィルタの出力信号となる。この実施例では、遅延させない信号もタップ係数h0 だけ増幅して加算しているので、NΔt=Tである。
【実施例5】
【0080】
上記実施例では、非線形素子NLとしてコンパレータを用いたが、電界効果トランジスタFETを用いても良い。電界効果トランジスタの非線形動作特性を用いることができる。閾値は、この電界効果トランジスタのゲート閾値電圧に設定されることになる。
【実施例5】
【0081】
上記の参考例1-3において、受信信号Rは、単一信号であっても、周期的な連続信号、非周期的な連続信号、離散的信号であっても良い。上記のパルス幅Tは、連続した周期信号であれば、半周期である。伝達すべき微弱信号は、送信器において帯域が制限されているので、受信信号には、最大周波数fが存在する。ローパスフィルタの遮断周波数fc を、最大周波数の2倍とすることで、微弱信号の相関を大きくすることができる。望ましくは、ローパスフィルタの遮断周波数fc を最大周波数の4倍とすることで、微弱信号の相関をより大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、雑音に埋もれた微弱信号を再生する受信装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0083】
S…微弱信号
W…雑音
R…受信信号
NL1 ~NLN …非線形素子
1 ~DN …遅延素子
10…合成器
NLO1 ~NLON …非線形出力信号
DS1 ~DSn …遅延信号
DA…遅延合成信号
1 ~LN …分岐線路
NL…非線形素子
LP…ローパスフィルタ

図面
【図1】
0
【図2.A】
1
【図2.B】
2
【図3.A】
3
【図3.B】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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