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明細書 :コフィン-シリス症候群の検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6004287号 (P6004287)
登録日 平成28年9月16日(2016.9.16)
発行日 平成28年10月5日(2016.10.5)
発明の名称または考案の名称 コフィン-シリス症候群の検出方法
国際特許分類 C12Q   1/68        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
FI C12Q 1/68 ZNAA
C12N 15/00 A
G01N 33/15 Z
G01N 33/50 Z
請求項の数または発明の数 8
全頁数 40
出願番号 特願2013-552406 (P2013-552406)
出願日 平成24年12月20日(2012.12.20)
国際出願番号 PCT/JP2012/083113
国際公開番号 WO2013/103094
国際公開日 平成25年7月11日(2013.7.11)
優先権出願番号 2012000136
優先日 平成24年1月4日(2012.1.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年8月11日(2015.8.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
発明者または考案者 【氏名】松本 直通
【氏名】鶴▲崎▼ 美徳
【氏名】三宅 紀子
個別代理人の代理人 【識別番号】110001656、【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
【識別番号】100088546、【弁理士】、【氏名又は名称】谷川 英次郎
審査官 【審査官】西 賢二
参考文献・文献 小野佑仁、外2名, Coffin-Siris症候群の責任遺伝子探索, 日本人類遺伝学会大会プログラム・抄録集, 2007.09., p.138, O-170
MARTENS, Joseph A., et al., Recent advances in understanding chromatin remodeling by Swi/Snf complexes, Curr. Opin. Genet. dev., 2003, Vol. 13, pp. 136-142
調査した分野 C12Q 1/00-3/00
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
生体から分離された試料を用いて、対象生体がSWI/SNF複合体のサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも1つに少なくとも1つの変異を有するか否かを調べることを含む、コフィン-シリス症候群の検出を補助する方法であって、前記少なくとも1つの変異は、ミスセンス変異、フレームシフト変異、インフレーム欠失及び挿入変異、スプライシング異常を生じる変異、遺伝子領域の全体を欠失する変異、並びに遺伝子領域の一部を欠失する変異からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記サブユニット遺伝子の少なくともいずれか1つの遺伝子の少なくとも一方のアレルに前記少なくとも1つの変異がある場合にコフィン-シリス症候群が検出される、方法。
【請求項2】
SWI/SNF複合体がBAF(BRG1-associated factor)複合体であり、対象生体がSMARCB1、SMARCA4、SMARCA2、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID1B、SMARCE1、SMARCD1、SMARCD2、SMARCD3、ACTL6A、及びACTL6Bから選択される少なくとも1つの遺伝子に少なくとも1つの変異を有するか否かを調べることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ゲノムDNA試料を用いてゲノム配列を調べることにより行なわれる請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの変異は、遺伝子領域の全体を欠失する変異、及び少なくとも1つのエクソンの全体を含む領域が欠失する変異からなる群より選択される少なくとも1つである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
対象生体がSMARCB1、SMARCA4、SMARCE1、ARID1A、ARID1B及びSMARCA2から選択される少なくとも1つの遺伝子に変異を有するか否かを調べることを含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの変異が、下記(1)~(19)からなる群より選択される少なくとも1つである請求項記載の方法。
(1) SMARCB1遺伝子コード領域の第1091位~第1093位(配列番号20の第305位~第307位)の塩基が欠失する変異
(2) SMARCB1遺伝子コード領域の第1130位(配列番号21の第212位)のGがAになる変異
(3) SMARCA4遺伝子コード領域の第1636位~第1638位(配列番号29の第243位~第245位)の塩基が欠失する変異
(4) SMARCA4遺伝子コード領域の第2576位(配列番号35の第271位)のCがTになる変異
(5) SMARCA4遺伝子コード領域の第2653位(配列番号36の第237位)のCがTになる変異
(6) SMARCA4遺伝子コード領域の第2761位(配列番号36の第345位)のCがTになる変異
(7) SMARCA4遺伝子コード領域の第3032位(配列番号38の第259位)のTがCになる変異
(8) SMARCA4遺伝子コード領域の第3469位(配列番号42の第287位)のCがGになる変異
(9) SMARCE1遺伝子コード領域の第218位(配列番号53の第262位)のAがGになる変異
(10) ARID1A遺伝子コード領域の第31位~第56位(配列番号58の第419位~第444位)の塩基が欠失する変異
(11) ARID1A遺伝子コード領域の第2758位(配列番号65の第226位)のCがTになる変異
(12) ARID1A遺伝子コード領域の第4003位(配列番号68の第1417位)のCがTになる変異
(13) ARID1B遺伝子コード領域の第1678位~第1688位(配列番号71の第336位~第346位)の塩基が欠失する変異
(14) ARID1B遺伝子コード領域の第1903位(配列番号73の第327位)のCがTになる変異
(15) ARID1B遺伝子コード領域の第3304位(配列番号81の第369位)のCがTになる変異
(16) ARID1B遺伝子コード領域の第2144位(配列番号75の第307位)のCがTになる変異
(17) ARID1B遺伝子コード領域の第5632位(配列番号88の第807位)の塩基が欠失する変異
(18) ARID1B遺伝子領域が欠失する変異
(19) SMARCA2遺伝子のエクソン20~27を含む領域が欠失する変異
【請求項7】
SWI/SNF複合体によるクロマチンリモデリングの促進を指標として化合物を選択することを含む、コフィン-シリス症候群の症状緩和剤のスクリーニング方法。
【請求項8】
SWI/SNF複合体による転写調節の促進を指標として化合物を選択することを含む、コフィン-シリス症候群の症状緩和剤のスクリーニング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コフィン-シリス症候群の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コフィン-シリス症候群 (Coffin-Siris syndrome、MIM%135900、以下「CSS」と略記することがある) は、発育不全、精神遅滞、小頭、特異な顔貌、手足の第5指の爪の無形成を特徴とするまれな先天的異常症候群である(非特許文献1)。症例の大半は孤発例であり、遺伝形式は常染色体優性遺伝である。遺伝的原因は解明されていない。
【0003】
CSSの診断は複数の症候の組み合わせによって診断されるが、症候の現れ方には患者ごとに差異があり、診断は容易ではない。出生後からなんらかの遺伝子異常が疑われても、CSSとの診断が下るまでに数年以上かかってしまうことがある。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】G. S. Coffin, E. Siris, Am. J. Dis. Child. 119, 433-439 (1970).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、CSSの遺伝子診断を可能にする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、典型的なCSS症例5名(患者1, 4, 5, 9及び11) について、次世代シークエンサーを用いた全エキソーム配列解析を行ない、SMARCB1遺伝子にde novo変異を同定した。SMARCB1遺伝子はクロマチン再構築因子の1種であるSWI/SNF(switching defective/sucrose nonfermenting)複合体の構成成分であることから、他のSWI/SNF複合体サブユニットをコードする15遺伝子をさらに調べたところ、驚くべきことに、SMARCA4 (BRG1)、SMARCE1、ARID1A、ARID1B、及びSMARCA2の5つのサブユニットにも変異が発見された。以上より、SWI/SNF複合体サブユニットをコードする各遺伝子を指標としてCSSの検出が可能であることを見出し、本願発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、生体から分離された試料を用いて、対象生体がSWI/SNF複合体のサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも1つに少なくとも1つの変異を有するか否かを調べることを含む、コフィン-シリス症候群の検出を補助する方法であって、前記少なくとも1つの変異は、ミスセンス変異、フレームシフト変異、インフレーム欠失及び挿入変異、スプライシング異常を生じる変異、遺伝子領域の全体を欠失する変異、並びに遺伝子領域の一部を欠失する変異からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記サブユニット遺伝子の少なくともいずれか1つの遺伝子の少なくとも一方のアレルに前記少なくとも1つの変異がある場合にコフィン-シリス症候群が検出される、方法を提供する。また、本発明は、SWI/SNF複合体によるクロマチンリモデリングの促進又は転写調節の促進を指標として化合物を選択することを含む、コフィン-シリス症候群の症状緩和剤のスクリーニング方法を提供する。

【発明の効果】
【0008】
本発明により、CSSの遺伝子診断が初めて可能となった。ヘテロ二本鎖の検出やシークエンス解析による遺伝子の塩基配列の異常、DNAマイクロアレイ等を用いた染色体異常(微細欠失など)の有無の解析等の手法そのものは常法であり、SWI/SNF複合体サブユニット遺伝子を対象にこれらの解析を行なうことで、CSSの遺伝子診断が可能となる。また、SWI/SNF複合体サブユニット遺伝子が指趾爪の低形成において重要な役割を担っていることは明白であり、本発明によって指趾爪の低形成の基礎的な知見が提供された。さらに、今回同定されたSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子の変異はいずれもサブユニットタンパク質に対し有害な変異と考えられることから、SWI/SNF複合体によるクロマチンリモデリング又は転写調節が促進されるか否かを指標として化合物をスクリーニングすることにより、CSSの症状を緩和する医薬の候補物質をスクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で同定されたSMARCB1遺伝子変異について説明する図である。4名の患者から、1種類の3塩基欠失変異及び1種類のミスセンス変異が同定された。上段は、9個のエクソンからなる当該遺伝子の構造と、変異が発見された部位近傍のアミノ酸の進化的保存性を示す。患者4及び患者11では変異がde novoで生じていることが確認された。中段及び下段は、変異部位近傍のシークエンシングの波形データである。変異していた塩基をグレーのボックスで示す。SMARCB1タンパク質は2つのsucrose nonfermenting 5 (SNF5)ドメインを含む。ドメインのアノテーションはSMART (http://smart.embl-heidelberg.de/) により行なった。
【図2】実施例で同定されたSMARCA4遺伝子変異について説明する図である。6名の患者から、1種類の3塩基欠失変異及び5種類のミスセンス変異が同定された。変異部位のアミノ酸は全て進化的に保存されたアミノ酸であり、いずれもde novoで生じていた。SMARCA4タンパク質は、ドメインの大部分の保存アミノ酸がGln-Leu-Glnである、QLQドメイン, ヘリカーゼ/SANT関連 (helicase/SANT-associated; HSA)ドメイン, Brahma and Kismet (BRK)ドメイン, DEAD様ヘリカーゼスーパーファミリー(DEXDc) ドメイン、ヘリカーゼスーパーファミリーC末端(HELICc) ドメイン及びブロモドメイン(BROMO)を含む。
【図3】実施例で同定されたSMARCE1遺伝子変異について説明する図である。1名の患者からde novoのミスセンス変異が同定された。第73番チロシンは、11の生物種間で進化的に保存されており、high-mobility group (HMG) ドメイン内に位置している。
【図4】実施例で同定されたARID1A遺伝子変異について説明する図である。3名の患者から、1種類のフレームシフト変異及び2種類のナンセンス変異が同定された。患者8では、第1335番アルギニンの1つ目の塩基がCからTに変異していた。エクソン16とイントロン16の境界部を図中に示す。当該変異はcDNAにおいてストップコドンを生じていた。ARID1Aタンパク質はARID/BRIGHT DNA結合 (ARID) ドメインを含む。
【図5】実施例で同定されたARID1B遺伝子変異について説明する図である。4名の患者から、2種類のフレームシフト変異、2種類のナンセンス変異、及び1種類のミスセンス変異が同定された。患者10では、p.Pro715Leuとp.Asp1878MetfsX96の2種類の変異が同定されたが、これらは異なるアレルに存在していた。ARID1Bタンパク質はARID/BRIGHT DNA結合 (ARID) ドメインを含む。
【図6】実施例で同定された、ARID1B遺伝子を含む染色体領域の微細欠失について説明する図である。GeneChip Human Mapping 250K Nspアレイを用いた解析により、患者12で6q25.3-6q27(図中上段の両矢印)に2つの微細欠失が検出された。下段の太いバーは近位側3.7-Mb欠失領域及び遠位側5.5-Mb欠失領域を表す。中段には第6番染色体のイデオグラムを示した。近位側3.7-Mb欠失領域(第6番染色体の座標:156,706,749-160,432,331 bp、UCSC 2009 Febによる)にARID1B遺伝子の全長領域が含まれていた。患者の親のサンプルが利用できなかったため、当該欠失の遺伝については確認できなかった。
【図7】実施例で同定された、SMARCA2遺伝子を含む染色体領域の微細欠失について説明する図である。下段はSMARCA2遺伝子の位置情報を表す。CytoScan HDアレイを用いた解析により、患者19で9q24.3(図中上段の矢印)に微細欠失が検出され、この領域はSMARCA2遺伝子の一部(55 kb)を含んでいた。
【発明を実施するための形態】
【0010】
SWI/SNF複合体は、系統特異化、幹細胞多能性の維持及び腫瘍発生に重要な役割を担っている(D. Reisman, S. Glaros, E. A. Thompson, Oncogene 28, 1653-1668 (2009); B. G. Wilson, C. W. Roberts, Nature Rev. Cancer 11, 481-492 (2011); C. R. Clapier, B. R. Cairns, Annu. Rev.Biochem 78, 273-304 (2009); S. Bultman et al., Mol. Cell 6, 1287-1295 (2000); D. C. Hargreaves, G. R. Crabtree, Cell Res. 21, 396-420 (2011))。SWI/SNF複合体は進化的に保存されたコアサブユニットと様々なサブユニットで構成される(表1)。BRG1-会合因子(BRG1-associated factor; BAF)複合体及びポリブロモBAF (PBAF) 複合体が2つの主要なサブクラスを構成する。

【0011】
【表1】
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【0012】
16遺伝子のうち、実施例で変異が同定されている6遺伝子について、cDNA配列、コードするサブユニットタンパク質のアミノ酸配列、並びに各エクソン及び近傍イントロンの塩基配列を下記表2~7に記載の通りに配列表に示した。転写バリアントが存在する遺伝子については、各バリアント(アイソフォーム)間の相違を表8~13に示し、これらバリアントの中で代表的なもの(表中の*)のcDNA及びアミノ酸配列を配列表に示した。

【0013】
【表2】
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【0014】
【表3】
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【0015】
【表4】
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【0016】
【表5】
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【0017】
【表6】
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【0018】
【表7】
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【0019】
【表8】
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【0020】
【表9】
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【0021】
【表10】
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【0022】
【表11】
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【0023】
【表12】
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【0024】
【表13】
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【0025】
本発明では、生体から分離された試料を用いて、対象生体がSWI/SNF複合体サブユニットをコードする上記16遺伝子(SMARCB1、SMARCA4、SMARCA2、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID1B、BRD7、ARID2、PBRM1、SMARCE1、SMARCD1、SMARCD2、SMARCD3、ACTL6A、ACTL6B)のうちの少なくとも1つ、特にはBAF複合体を構成する13遺伝子(SMARCB1、SMARCA4、SMARCA2、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID1B、SMARCE1、SMARCD1、SMARCD2、SMARCD3、ACTL6A、ACTL6B)のうちの少なくとも1つ、例えばSMARCB1、SMARCA4、SMARCE1、ARID1A、ARID1B及びSMARCA2の6遺伝子のうちの少なくとも1つの遺伝子に少なくとも1つの変異を有するか否かを調べる。CSSは常染色体優性遺伝なので、検査対象となる上記遺伝子のうちのいずれか1つの少なくとも一方のアレルに少なくとも1つの変異がある場合にCSSが検出されたと判断できる。対象生体がCSSの可能性が疑われる患者である場合には、本発明の方法によりCSSであるかどうかを調べることができる。

【0026】
本発明で指標とする遺伝子変異には、上記SWI/SNF複合体サブユニット遺伝子がコードするサブユニットタンパク質のごく少数のアミノ酸の変化のほか、サブユニットタンパク質の少なくとも一部の領域を欠失するような変化をもたらす遺伝子配列の変化が包含され、いずれかのサブユニット遺伝子の全体又は一部を欠失する変異も包含される。例えば、エクソン又はイントロン領域内での塩基の置換、欠失、挿入、重複等によるミスセンス変異、ナンセンス変異、フレームシフト変異、インフレーム欠失若しくは挿入変異(1個以上のアミノ酸の欠失若しくは挿入をもたらす)、スプライシング異常を生じる変異、あるいはいずれかのサブユニット遺伝子の全体又は一部を含むゲノム領域の欠失等が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子領域の一部を欠失する変異は、例えば、少なくとも1つのエクソンの全体を含む領域が欠失する変異である。

【0027】
SWI/SNF複合体サブユニット遺伝子の変異は、ゲノムDNAやRNA等の核酸試料を用いてSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子の塩基配列を解析することで検出可能である。とりわけ、ゲノムDNA試料を用いてゲノム配列の解析を行なうことが最も確実で望ましい。ゲノムDNA等の核酸試料は、末梢血や口腔粘膜スワブ等から常法により容易に調製することができる。また、種々の出生前遺伝子検査法が公知であり、胎児にSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子の変異が存在するかどうかを調べることも可能である。例えば、胎児から細胞を採取して検査する方法(羊水、絨毛、臍帯血を使用)、母体血中に混在している胎児細胞を用いて胎児の遺伝子変異を検査する非侵襲の検査方法、体外受精した受精卵の1細胞を用いる方法(着床前診断)など、種々の手法が公知である。上記非侵襲の検査方法では、胎児細胞を含有する母体血試料が「生体から分離された試料」に該当し、胎児が「対象生体」に該当する。

【0028】
タンパク質のアミノ酸配列は、エクソン領域だけではなくイントロン領域における変異によっても影響され得るが、遺伝子検査では通常、エクソン及びその近傍数十~数百塩基程度、例えば30~50塩基程度のイントロン領域を含めて検査するのが一般的である。本発明でも、対象となるSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子のエクソン及びその近傍のイントロンの塩基配列を解析すればよい。ゲノム配列の解析により変異を検出する場合には、表2~7に挙げた配列番号13~119の配列や公知のデータベースから入手可能なSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子のゲノム配列を参照して適宜プライマーを設計し、ゲノムDNA試料を用いて常法によりシークエンシングを行えばよい。対象生体ゲノムDNA上のSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子の塩基配列を決定し、これを野生型配列と比較することにより、変異を詳細に同定できる。決定した塩基配列は、例えばSeqScape (登録商標) 等の公知のソフトウェアを用いて解析することにより、変異の検出やプロファイリングを容易に行うことができる。

【0029】
配列表に示された6つのサブユニット遺伝子(SMARCB1、SMARCA4、SMARCE1、ARID1A、ARID1B、SMARCA2)のcDNA配列、ゲノム配列、及びコードするサブユニットタンパク質のアミノ酸配列は、正常な野生型配列の典型例であり、アイソフォームが知られているものについてはそのうちで最も代表的な配列を示している。本発明では、変異の有無は、配列表に示された野生型遺伝子の配列を基準とし、この基準配列との対比により判断され得る。6遺伝子以外のサブユニット遺伝子についても、それらの野生型配列は、公知のデータベースから容易に入手することができる。

【0030】
アミノ酸配列に変化を生じる遺伝子変異であれば、CSSの病因変異であると考えることができるが、中でも、進化的に保存性の高いアミノ酸を変化させる遺伝子変異は、正常な機能が損なわれたサブユニットタンパク質を生じる蓋然性が高く、CSSの病因変異の典型例である。種々の動物のSWI/SNF複合体サブユニットタンパク質の配列が公知であり、GenBank等の各種データベースに登録されているので、当業者であれば容易に配列情報を入手して常法により各アミノ酸の進化的保存性を調べることができる。あるいはまた、検出された塩基の変異が、多数の健常者集団には認められない変異であったり、NCBIのdbSNPや1000 Genomes Project等の塩基配列の多様性に関する周知のデータベースに登録されていないまれな塩基変異である場合も、本発明で指標となる病因変異と考えて差し支えない。また、遺伝子領域のうちの比較的広い領域を欠失するような変異の場合、例えば少なくとも1つのエクソンの全体を含む領域が欠失する変異の場合は、通常、コードされるタンパク質の機能が大きく損なわれるため、CSSの病因変異の典型例の一つと考えることができる。

【0031】
ある遺伝子中の変異が病原性変異であるか否かを調べることができる各種の予測ツールが知られている。例えば、SIFT (http://sift.jcvi.org/)、PolyPhen (http://genetics.bwh.harvard.edu/pph/)、PolyPhen-2 (http://genetics.bwh.harvard.edu/pph2/)、Mutation Taster (http://neurocore.charite.de/MutationTaster/index.html)、Align GVGD (http://agvgd.iarc.fr/agvgd_input.php)などが知られている。本発明の方法を実施し、いずれかのサブユニット遺伝子の変異が検出された場合において、その変異が病原性変異であるかどうかに疑義があるときは、このような公知の予測ツールを用いて病原性変異であるかどうかを判断してもよい。SIFTでは、スコア0.05未満の場合、置換はintolerant(タンパク質機能変化に影響あり)と予測される。PolyPhenでは、スコアを基にbenign (0.00-0.99) からprobably damaging (>2.00)まで分類され、possiblyあるいはprobably damagingであるときに病原性変異が強く示唆される。PolyPhen-2では、スコア0.000 (良性の可能性が最も大) ~0.999 (有害の可能性が最も大)でスコア付けされ、スコアをもとにした判定がpossiblyあるいはprobably damagingであるときに病原性変異が強く示唆される。Align GVGDでは、Class C0 (可能性小) ~Class C65 (可能性大)の範囲でクラススコア評価され、クラススコアC55以上の変異であれば病原性変異が示唆される。

【0032】
本発明では、対象となる遺伝子変異が主としてヘテロ変異であるため、ヘテロ二本鎖の検出により遺伝子変異のスクリーニングを行なうことが有効である。ヘテロ変異が存在する場合、ゲノムDNA試料を熱変性後に再会合させることにより、正常型DNAと変異DNAとがハイブリダイズしたヘテロ二本鎖が生じる。ヘテロ二本鎖は、(1)非変性ポリアクリルアミドゲル中で異なる移動度を示す、(2)ミスマッチ部分の塩基は化学物質や酵素による切断を受けやすい、(3)変性の際に異なる変性温度を示す、といった特性を有する。これらの特性を利用してヘテロ二本鎖を検出する方法がこの分野において公知であり、変異の検査方法として実用化もされている。具体的には、例えば、変性高速液体クロマトグラフィー(dHPLC)を用いてヘテロ二本鎖を検出する方法や、High Resolution Melting法が知られている。

【0033】
High Resolution Melting法とは、二本鎖DNAに高密度で結合する蛍光色素(SYTO(登録商標)9, LC Green(登録商標), EvaGreen(商標)等)を用いて、二本鎖DNAの融解(熱変性)の過程を蛍光強度の変化としてとらえ、ヘテロ二本鎖を検出する方法である。すなわち、二本鎖DNAに高密度で結合する蛍光色素を用いて二本鎖DNAを染色すると、該二本鎖DNAを融解(熱変性)させたとき、二本鎖が解離した部位から蛍光色素が脱落するため、二本鎖DNAからの蛍光シグナルの量が減少する。従って、そのような蛍光色素を用いることで、二本鎖DNAの熱変性の過程を蛍光強度の変化として視覚的にとらえることができる。温度-蛍光のデータを高密度で取得し解析することで、ヘテロ二本鎖の検出を迅速に高感度で行うことができる。市販の機器類及びキット等を用いて容易に実施可能である。使用するプライマーは、公知のデータベースから入手可能なSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子のゲノム配列に基づいて適宜設計可能であり、またSMARCB1、SMARCA4、SMARCE1、ARID1A、ARID1B及びSMARCA2の6遺伝子については、本願配列表に上記表8~13の通りに記載したエクソン+近傍イントロン領域の配列に基づいて設計することもできる。下記実施例には、これら6遺伝子の変異のスクリーニングに使用できるHigh Resolution Melting用のプライマー及び反応条件の一例が示されている。

【0034】
本発明では、対象となるSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子のエクソン+近傍イントロン領域の全ての塩基配列を決定し、変異の有無を調べてもよい。あるいは、例えば、ヘテロ二本鎖の検出により塩基配列を決定すべき領域を絞り込み、その後に対象領域の塩基配列を決定することで、検査をより効率的に実施することができる。本発明では、16のSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子の少なくともいずれか1つに少なくとも1つの変異があるかどうかを調べるため、対象となる16遺伝子の全てについて変異の有無を調べることが望ましいが、例えば、まず一部の遺伝子について変異の有無を調べ、いずれか1つの遺伝子に少なくとも1つの変異が検出された場合、残りの遺伝子については変異の有無を調べても調べなくても差し支えない。

【0035】
ゲノムからいずれかのサブユニット遺伝子の全長が欠失している場合には、High Resolution Meltingや塩基配列解析の際のPCRでその遺伝子の増幅断片が得られない。一部領域が欠失している場合でも、プライマーの設定部位によってはゲノムDNAから増幅断片が得られない。従って、増幅断片の有無に基づいて遺伝子領域の欠失(全体欠失又は部分欠失)しているか否かを判断できる。ゲノムからサブユニット遺伝子の一部領域が欠失している場合には、野生型と比較してより小さいサイズの増幅断片が得られることもあるので、増幅断片のサイズに基づいて一部領域の欠失を判断することもできる。

【0036】
あるいは、遺伝子領域の欠失については、DNAマイクロアレイを用いた解析や、in situハイブリダイゼーション法及びサザンハイブリダイゼーション法等の常法により確認することができる。これらの方法により遺伝子領域の欠失を調べるのは、上記したヘテロ二本鎖の検出と配列決定を行なう前でも行なった後でもよく、必要に応じて適宜に実施してよい。

【0037】
DNAマイクロアレイを用いてゲノム中の遺伝子のコピー数を調べる方法は公知であり、市販のアレイや常法により作製したアレイ及び公知のソフトウェアを用いて実施することができる。例えば、WO2009/084472には、数千個のBACクローンを搭載したアレイを用いたCGH(comparative genomic hybridization)法により染色体の微細欠失を同定する方法が記載されている。患者及び健常者からゲノムDNAを採取し、患者DNAをCy5標識し健常者DNAをCy3標識したプローブと、標識色素を入れ替えて作製したプローブとを用いて、アレイとハイブリダイズさせ、市販のスキャナ及びソフトウェア(例えば、AXON社のGenePix4000B及びGenePixPro6.0)を用いて標識からのシグナルを数値化し、常法による解析を行なうことで、微細欠失の有無とその位置を特定することができる。このほか、Affymetrix社のGeneChip Human Mapping 250K Nsp Array、及びCytoScan HD array を用いる方法も知られている。

【0038】
in situハイブリダイゼーション法では、対象生体の細胞を採取し、染色体標本試料を調製する。目的のSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子領域と特異的にハイブリダイズするDNAを標識してプローブを作製し、該プローブを上記染色体標本とハイブリダイズさせる。プローブからのシグナルの有無を調べることにより、目的遺伝子の欠失を検出することができる。DNAの標識は、特に限定されないが、通常、ラジオアイソトープ又は蛍光色素(Cy5、Cy3、FITC等)を用いて行なわれ、蛍光色素がより一般的に用いられている。蛍光標識プローブを用いる場合、この手法はFISH法と呼ばれる。目的のSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子領域と特異的にハイブリダイズするDNAプローブは、当業者であれば、本願配列表に示すSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子ゲノム配列や公知のデータベースに登録されているゲノム配列を参照して適宜プライマーを設計し、正常なゲノムDNAを鋳型としてPCRを行なうことにより調製することができる。また、目的のSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子領域を含むBACクローン等のクローンを標識してプローブとして用いることもできる。ヒトゲノムDNAを含むBACクローン等のクローンは市販もされており、入手は容易である。プローブに用いるDNAは、目的の遺伝子のコード領域の全領域をカバーするものであってもよいし、コード領域の一部のみをカバーするものであってもよい。

【0039】
サザンハイブリダイゼーション法では、対象生体のゲノムDNA試料を任意の制限酵素で切断後、アガロースゲル等で電気泳動し、メンブレンにDNAを転写する。このメンブレン上で、目的のSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子領域と特異的にハイブリダイズするDNAを標識して調製したDNAプローブをハイブリダイズさせる。検出されるバンドの有無を調べることにより、目的遺伝子の欠失を検出することができる。点変異のような変異であっても、制限酵素部位に変化を生じる変異である場合には、検出されるバンドのサイズが変化するため、該方法で検出し得る。プローブとして用いるDNAは上記と同様にして調製でき、プローブの標識は、特に限定されないが、通常、ラジオアイソトープやジゴキシゲニン等のハプテンを用いて行なわれる。

【0040】
下記表14に示した変異は、実施例において、典型的なCSS症例5名の全エキソーム配列解析及びさらにCSS患者計23名を対象として行なったhigh-resolution melting解析等により同定された、CSSの病因変異である。もっとも、これらの変異は、本発明で指標となるSWI/SNF複合体サブユニット遺伝子変異の一例であり、実施例で調査対象となったCSS患者以外の患者では当然ながら異なる変異が存在し得るので、本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。

【0041】
【表14】
JP0006004287B2_000015t.gif

【0042】
SWI/SNF複合体サブユニット遺伝子における有害な変異がCSSを引き起こすことから、CSS患者では、SWI/SNF複合体の活性、すなわちクロマチンリモデリング及びそれを介した転写調節活性が低下していると考えられる。従って、SWI/SNF複合体によるクロマチンリモデリングや、SWI/SNF複合体による転写調節を促進することができる化合物は、CSSの各種症状を緩和する症状緩和剤として有用であると考えられる。本発明は、SWI/SNF複合体によるクロマチンリモデリング又は転写調節の促進を指標として化合物を選択することを含む、コフィン-シリス症候群の症状緩和剤のスクリーニング方法も提供する。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
[材料及び方法]
患者及び臨床データ
全ての患者は主治医の臨床遺伝学者/異常形態学者にCSSと診断された患者であった。DNAサンプルは、末梢血白血球又はリンパ芽球様細胞株からはQuickGene-610 (富士フィルム、日本国東京)を用いて、唾液からはOragene (DNA Genotek, カナダ国オンタリオ州)を用いて分離した。全ての参加者からインフォームドコンセントを得た。本研究は横浜市立大学医学部のIRBにより承認された。
【実施例】
【0045】
エキソームシークエンシング
エキソームの配列解析は既報(D. Reisman, S. Glaros, E. A. Thompson, Oncogene 28, 1653-1668 (2009); B. G. Wilson, C. W. Roberts, Nature Rev. Cancer 11, 481-492 (2011); 及びC. R. Clapier, B. R. Cairns, Annu. Rev.Biochem 78, 273-304 (2009))に従って行なった。典型的なCSS症例5名(患者1, 4, 5, 9及び11) を対象に、以下の手順で全エキソーム配列解析を行なった。
【実施例】
【0046】
SureSelect Human All Exon Kit v1 (Agilent Technologies, カリフォルニア州サンタクララ) を添付の指示書に従って使用し、3μgのゲノムDNAをエキソ-ムキャプチャーした。キャプチャー済みのサンプルは、Illumina GAIIx (Illumina, San Diego, CA) を用いてリード長76bpでpair-endで配列決定した。各サンプルは2レーンで泳動した。画像解析及びベースコーリングはsequence control software 2.6/real time analysis 1.6 (Illumina) 及び/又はoffline basecaller software v1.6.0 (Illumina)により実施した。アラインメントはCASAVA software v1.6.0により実施した。クオリティーコントロールされた(パスフィルター済みの)リードは、Mapping and Assembly with Qualities (MAQ) 及びNextGENe software v2.00 (SoftGenetics, State College, PA)を用いてヒトゲノムリファレンスhg19にマップした。MAQでコールされた変異はSeattleSeq SNP annotation (http://snp.gs.washington.edu/SeattleSeqAnnotation131/)を用いてアノテートした。
【実施例】
【0047】
優先順位付け
表29(後掲)に示す通り、変異は以下の条件でフィルタリングした:
1) ヒト常染色体及びX染色体にのみアノテートされた変異;
2) dbSNP131にも1000 Genome databaseにも登録されていない変異;
3) NextGENeとMAQで共通してコールされた変異;
4) 非同義変異、スプライスサイト変異(エクソン/イントロン境界より±2 bp) 及びNextGENeスコア≧10の挿入・欠失である変異;
5) 我々のin-houseデータベースに登録されていない変異。
【実施例】
【0048】
サンガーシークエンス解析
ソフトウェアMAQ及びNextGENeで検出された変異コールは、自動シークエンサーABI3500xl又はABI3100 (Life Technologies, カリフォルニア州カールズバッド)を製造者のプロトコルに従い使用してサンガー法にて確認した。シークエンシングデータはSequencher software 4.10.1 (Gene Codes Corporation, ミシガン州アナーバー)により解析した。PCR産物はExoSap IT (GE Healthcare UK Ltd., 英国バッキンガムシャー州) を用いて精製し、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems, マサチューセッツ州ベッドフォード) を用いて配列決定した。
【実施例】
【0049】
変異スクリーニング
SWI/SNF複合体サブユニットをコードする16遺伝子のコード領域及びエクソン/イントロン境界部(少なくとも±10 bp)の全てをhigh-resolution melting 解析 (HRM) 及びサンガーシークエンス解析にてスクリーニングした。HRMは、LightCycler 480 (Roche Diagnostics, Otsu, Japan) を用いて以下のプログラムで実施した。
プレインキュベーション[95℃ 10分]
タッチダウンPCRによる増幅 [熱変性95℃ 10秒、アニーリング63℃~59℃ (サイクル当たり0.5℃降温) 25秒、伸長72℃ 25秒、55サイクル]
high-resolution melting [熱変性95℃ 1分、冷却4℃ 1分、加熱65℃~95℃ (ランプ速度0.01℃/秒)、最終冷却4℃]
【実施例】
【0050】
反応は、10 ngゲノムDNA、0.2 mM dNTP、0.125 U ExTaq (タカラバイオ, 日本国大津)、1×バッファー及び1.5μM SYTO9 (Invitrogen, カリフォルニア州カールズバッド)の組成で全量10μLで行なった。コントロールスクリーニングは同様にしてHRMにより行なった。プライマー配列及びPCR条件、HRM条件の詳細は下記の通りである。
【実施例】
【0051】
【表15】
JP0006004287B2_000016t.gif
【実施例】
【0052】
<SMARCB1 Exon1 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 2.15
2×GCI buffer 5.00
dNTP 0.80
LA Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-57.5℃ 30秒-72.0℃ 60秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞
【実施例】
【0053】
<SMARCB1 Exon2,4,6 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 6.15
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
EX Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-*℃ 30秒-72.0℃ **秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
* (℃) ** (s)
Exon2 64.5 60
Exon4 63.5 90
Exon6 65.5 60
【実施例】
【0054】
<SMARCB1 Exon7,8,9 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 1.20
2×KOD buffer 5.00
dNTP 2.00
KOD FX 0.20
10μM Primer 0.60
Template 1.00
反応条件:
94.0℃ 120秒
[94.0℃ 10秒-*℃ 20秒-68.0℃ 30秒]×35サイクル
68.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
* (℃)
Exon7 64.0
Exon8 63.0
Exon9 64.0
【実施例】
【0055】
<SMARCB1 Exon3,5 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 1.20
2×KOD buffer 5.00
dNTP 2.00
KOD FX 0.20
10μM Primer 0.60
Template 1.00
反応条件:
94.0℃ 120秒
[94.0℃ 10秒-55.0℃ 20秒-68.0℃ 30秒]×35サイクル
68.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
【実施例】
【0056】
【表16-1】
JP0006004287B2_000017t.gif
【実施例】
【0057】
【表16-2】
JP0006004287B2_000018t.gif
【実施例】
【0058】
【表17】
JP0006004287B2_000019t.gif
【実施例】
【0059】
【表18】
JP0006004287B2_000020t.gif
【実施例】
【0060】
<SMARCA4 Exon2,4,6 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 4.15
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
PCR enhancer 2.00
EX Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-*℃ 30秒-72.0℃ **秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
* (℃) ** (s)
Exon1 64.5 30
Exon3 63.0 60
Exon5 63.0 30
【実施例】
【0061】
<SMARCA4 Exon27 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 2.65
2×GCI buffer 5.00
dNTP 0.80
LA Taq 0.05
10μM Primer 0.50
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
【実施例】
【0062】
<SMARCA4 Exon30 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 6.15
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
EX Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-62.5℃ 30秒-72.0℃ 150秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
【実施例】
【0063】
<SMARCA4 Exon23 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 6.65
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
EX Taq 0.05
10μM Primer 0.50
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-66.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-64.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-62.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×25サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
【実施例】
【0064】
<SMARCA4 Exon34-1 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 6.45
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
DMSO 0.20
EX Taq 0.05
10μM Primer 0.50
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-66.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-64.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-62.0℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-50.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒]×25サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
【実施例】
【0065】
【表19】
JP0006004287B2_000021t.gif
【実施例】
【0066】
【表20】
JP0006004287B2_000022t.gif
【実施例】
【0067】
<SMARCE1 Exon6,7,11 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 6.15
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
EX Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
94.0℃ 120秒
[94.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-72.0℃ 45秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
【実施例】
【0068】
<SMARCE1 Exon9,10 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 2.15
2×GCI buffer 5.00
dNTP 0.80
LA Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-66.0℃ 30秒-72.0℃ 60秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-64.0℃ 30秒-72.0℃ 60秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-62.0℃ 30秒-72.0℃ 60秒]×5サイクル
[98.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-72.0℃ 60秒]×25サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞秒
【実施例】
【0069】
【表21-1】
JP0006004287B2_000023t.gif
【実施例】
【0070】
【表21-2】
JP0006004287B2_000024t.gif
【実施例】
【0071】
【表21-3】
JP0006004287B2_000025t.gif
【実施例】
【0072】
【表22】
JP0006004287B2_000026t.gif
【実施例】
【0073】
【表23】
JP0006004287B2_000027t.gif
【実施例】
【0074】
<ARID1A Exon1 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 1.20
2×KOD buffer 5.00
dNTP 2.00
KOD FX 0.20
10μM Primer 0.60
Template 1.00
反応条件:
94.0℃ 120秒
[94.0℃ 30秒-66.0℃ 30秒-68.0℃ 120秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-64.0℃ 30秒-68.0℃ 120秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-62.0℃ 30秒-68.0℃ 120秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-68.0℃ 120秒]×25サイクル
68.0℃ 420秒
4.0℃ ∞
【実施例】
【0075】
【表24-1】
JP0006004287B2_000028t.gif
【実施例】
【0076】
【表24-2】
JP0006004287B2_000029t.gif
【実施例】
【0077】
【表24-3】
JP0006004287B2_000030t.gif
【実施例】
【0078】
【表25】
JP0006004287B2_000031t.gif
【実施例】
【0079】
【表26】
JP0006004287B2_000032t.gif
【実施例】
【0080】
<ARID1B Exon1-1 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 2.15
2×GCI buffer 5.00
dNTP 0.80
LA Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 60秒
[98.0℃ 10秒-68.0℃ 60秒]×35サイクル
4.0℃ ∞
【実施例】
【0081】
<ARID1B Exon1-2 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 0.80
2×KOD buffer 5.00
dNTP 2.00
DMSO 0.40
KOD FX 0.20
10μM Primer 0.60
Template 1.00
反応条件:
94.0℃ 120秒
[94.0℃ 30秒-66.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-64.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-62.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×25サイクル
68.0℃ 420秒
4.0℃ ∞
【実施例】
【0082】
<ARID1B Exon1-3 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 1.20
2×KOD buffer 5.00
dNTP 2.00
KOD FX 0.20
10μM Primer 0.60
Template 1.00
反応条件:
94.0℃ 120秒
[94.0℃ 30秒-66.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-64.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-62.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×25サイクル
68.0℃ 420秒
4.0℃ ∞
【実施例】
【0083】
<ARID1B Exon5 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 6.15
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
EX Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-62.5℃ 30秒-72.0℃ 60秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞
【実施例】
【0084】
【表27-1】
JP0006004287B2_000033t.gif
【実施例】
【0085】
【表27-2】
JP0006004287B2_000034t.gif
【実施例】
【0086】
【表28】
JP0006004287B2_000035t.gif
【実施例】
【0087】
<SMARCA2 Exon5 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 0.80
2×KOD buffer 5.00
dNTP 2.00
DMSO 0.40
KOD FX 0.20
10μM Primer 0.60
Template 1.00
反応条件:
94.0℃ 120秒
[94.0℃ 30秒-66.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-64.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-62.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×5サイクル
[94.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-68.0℃ 60秒]×25サイクル
68.0℃ 420秒
4.0℃ ∞
【実施例】
【0088】
<SMARCA2 Exon23 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 2.15
2×GCI buffer 5.00
dNTP 0.80
LA Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 60秒
[94.0℃ 30秒-61.5℃ 30秒-72.0℃ 30秒]×35サイクル
4.0℃ ∞
【実施例】
【0089】
<SMARCA2 Exon28 PCR>
反応液組成(μl):
D.W. 6.15
10×buffer 1.00
dNTP 0.80
EX Taq 0.05
10μM Primer 1.00
Template 1.00
反応条件:
98.0℃ 120秒
[98.0℃ 30秒-60.0℃ 30秒-72.0℃ 60秒]×35サイクル
72.0℃ 420秒
4.0℃ ∞
【実施例】
【0090】
コピー数変異の検出
GeneChip Human Mapping 250K Nsp Array (Affymetrix, カリフォルニア州サンタクララ) を製造者の指示書に従って使用し、患者1~12のコピー数変異を検出した。データはCopy Number Analysis for GeneChip(CNAG)(Y. Nannya et al., Cancer Res.65, 6071 (2005))を用いて解析した。また、CytoScan HDアレイ(Affymetrix)を製造者の指示書に従って使用し、患者19のコピー数変異を検出した。データはChromosome Analysis Suite(ChAS)Software(Affymetrix)を用いて解析した。
【実施例】
【0091】
[結果]
典型的なCSS症例5名(患者1, 4, 5, 9及び11) についての全エキソーム配列解析の結果、特定遺伝子の異常が2名以上の患者に共通していると仮定した優先順位付けスキームに基づき、51の変異が候補として残った(表29)。変異は全て、患者5名とその両親から得たゲノムDNAを用いて増幅したPCR産物のサンガーシークエンス解析で確認した。そのうちの9個が偽陽性(エラー)であり、40個が父母いずれかからの遺伝であったが、SMARCB1に2種のde novoヘテロ変異 [c.1130G>A (p.Arg377His)、及びc.1091_1093del (p.Lys364del)] が発見された(図1、表30)。
【実施例】
【0092】
【表29】
JP0006004287B2_000036t.gif
【実施例】
【0093】
次いで、CSS患者計23名において、ダイレクトシークエンスによりSMARCB1遺伝子を調べたところ、2名の患者(患者21及び22)で反復突然変異p.Lys364delが同定された (図1)。変異検出率が比較的低かったため(4/23, わずか17.4%)、他のSWI/SNFサブユニットをコードする15遺伝子についてさらに調べた。その結果、驚くべきことに、SMARCA4 (BRG1)、SMARCE1、ARID1A、及びARID1Bの4つのサブユニットにも変異が発見された (表30、表31、図2~5)。興味深いことに、顔貌が異型で爪の無形成が不明瞭な患者12では、SNPアレイ解析により、ARID1B遺伝子を含む6q25.3-q27に2箇所の中間部欠失が存在することが確認された (図6)。さらに、CytoScan HDアレイ解析により、患者19で9q24.3にSMARCA2遺伝子の一部を含む約55kbの領域の微細欠失が検出され(図7)、SMARCA2の変異も発見された。総変異検出率は87.0%であった (23症例のうちの20例で6種のサブユニットのいずれかに変異を確認)。
【実施例】
【0094】
【表30】
JP0006004287B2_000037t.gif
【実施例】
【0095】
【表31】
JP0006004287B2_000038t.gif
【実施例】
【0096】
患者10では、ARID1B遺伝子のc.5632delG変異の他、ARID1B遺伝子のc.2144C>T (p.Pro715Leu) 変異も発見された。両親のリンパ芽球様細胞由来の全RNAを用いて増幅したRT-PCR産物をpCR(登録商標)4-TOPO(登録商標)ベクターにクローニングした。各アレルを含むクローンのシークエンシングによると、2つの塩基変異は異なるアレルに存在していた(データ省略)。両親のサンプルは利用不能であったため、約370のコントロールアレルで当該2変異を調べたところ、いずれの変異もコントロールアレルでは検出されなかった(表30)。c.5632delGは明らかに有害であったことから(タンパク質の短縮化を生じる変異)、c.2144C>Tはおそらくまれな多型である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6