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明細書 :担体の製造方法、触媒担持体の製造方法、担体、及び触媒担持体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-144994 (P2015-144994A)
公開日 平成27年8月13日(2015.8.13)
発明の名称または考案の名称 担体の製造方法、触媒担持体の製造方法、担体、及び触媒担持体
国際特許分類 B01J  37/14        (2006.01)
H01M   4/88        (2006.01)
H01M   4/86        (2006.01)
B01J  32/00        (2006.01)
B01J  21/18        (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
B01J  35/06        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  23/46        (2006.01)
B01J  23/44        (2006.01)
FI B01J 37/14
H01M 4/88 K
H01M 4/86 B
B01J 32/00
B01J 21/18
B01J 37/02 101E
B01J 35/06 L
B01J 35/02 H
B01J 23/46 301M
B01J 23/44 M
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2014-018750 (P2014-018750)
出願日 平成26年2月3日(2014.2.3)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成25年8月16日 公益社団法人 化学工学会発行 「化学工学会 第45回 秋季大会講演要旨集」にて公開 平成25年9月18日 公益社団法人 化学工学会主催 「化学工学会 第45回 秋季大会」にて公開
発明者または考案者 【氏名】中川 紳好
【氏名】石飛 宏和
【氏名】工藤 悠平
出願人 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
5H018
Fターム 4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BA21C
4G169BB01C
4G169BC19C
4G169BC70B
4G169BC72B
4G169BC75B
4G169BD02C
4G169BE06C
4G169CC32
4G169DA05
4G169EA03X
4G169EA03Y
4G169EB19
4G169EC28
4G169FA01
4G169FB14
4G169FB40
4G169FC02
4G169FC04
4G169FC07
5H018AA07
5H018BB00
5H018BB01
5H018BB17
5H018DD05
5H018EE05
5H018HH05
5H018HH08
要約 【課題】少ない触媒使用量で、高い液体燃料酸化反応活性が得られる担体の製造方法、これを用いた触媒担持体の製造方法、並びにこれらの製造方法によって製造された担体及び触媒担持体を提供する。
【解決手段】カーボン材の表面に酸化チタン前駆体を付着させる付着工程と、前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材を、酸素を含む雰囲気下において400℃以上550℃以下の温度で加熱する酸化処理工程であって、前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材における前記加熱前の全質量に対して、前記加熱によって減少する質量の割合が、45%以上65%以下の範囲に達するまで前記加熱を行う、酸化処理工程と、を有する担体の製造方法、これを用いた触媒担持体の製造方法、並びにこれらの製造方法によって製造された担体及び触媒担持体である。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
カーボン材の表面に酸化チタン前駆体を付着させる付着工程と、
前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材を、酸素を含む雰囲気下において400℃以上550℃以下の温度で加熱する酸化処理工程であって、前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材における前記加熱前の全質量に対して、前記加熱によって減少する質量の割合が、45%以上65%以下の範囲に達するまで前記加熱を行う、酸化処理工程と、
を有する担体の製造方法。
【請求項2】
前記カーボン材は、カーボンナノファイバーである、請求項1に記載の担体の製造方法。
【請求項3】
前記酸化チタン前駆体は、チタンアルコキシドである、請求項1又は請求項2に記載の担体の製造方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の担体の製造方法により担体を製造する工程と、
前記担体に触媒を担持させる工程と、
を有する触媒担持体の製造方法。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の担体の製造方法により製造された担体。
【請求項6】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の担体の製造方法により製造された担体と、
前記担体に担持された触媒と、
を有する触媒担持体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、担体の製造方法、触媒担持体の製造方法、担体、及び触媒担持体に関する。
【背景技術】
【0002】
メタノールを直接燃料に利用する直接メタノール燃料電池は、燃料のエネルギー密度が高いこと、改質器が不要でシステムが小型化できること、メタノールの取扱いが容易なことなどの利点から、従来の二次電池に代わる小型電源として期待されている。
【0003】
そのような直接メタノール型燃料電池に用いる電極触媒として、例えば特許文献1には、白金等触媒へのCO被毒を解消させる目的で、電極触媒をヒドロキシカルボン酸で分散安定化されたアナターゼ型結晶質酸化チタンゾルで被覆処理する方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、液体燃料や電解質に対する耐溶解性と安定性に優れた担持触媒を得る目的で、プロトン伝導を促進する金属酸化物超強酸粒子が、カーボン担体上に直接または金属触媒粒子を介して担持された燃料電池用担持触媒が開示されている。
【0005】
また特許文献3には、気体を燃料として用いる燃料電池の電極触媒層を構成する触媒担持担体を製造する方法として、結晶化された酸化チタンを可及的に触媒金属と合金化させないようにして導電性担体の表面に担持する目的で、導電性担体の表面に触媒金属が担持された触媒担持担体の中間体の懸濁液に、酸化チタン前駆体を添加して加水分解して300℃で焼成する方法が開示されている。
【0006】
また非特許文献1には、酸化チタン微粒子を埋め込んだカーボンナノファイバーを触媒の担体として用いることで、酸化チタン微粒子を埋め込んでいない場合に比べ、触媒のメタノール酸化活性が大きく向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2005-56746号公報
【特許文献2】特開2009-76359号公報
【特許文献3】特開2013-59741号公報
【0008】

【非特許文献1】Journal of Power Sources, 第242巻,P280-288 (2013年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現状では、メタノールやギ酸等の液体を直接燃料として用いる直接型燃料電池においては、電極での燃料酸化反応活性が低いために出力が小さく、白金、ルテニウム等の触媒を多く必要とするなどの問題があった。
そこで本発明は、少ない触媒使用量で、高い液体燃料酸化反応活性が得られる担体の製造方法、これを用いた触媒担持体の製造方法、並びにこれらの製造方法により製造された担体及び触媒担持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> カーボン材の表面に酸化チタン前駆体を付着させる付着工程と、前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材を、酸素を含む雰囲気下において400℃以上550℃以下の温度で加熱する酸化処理工程であって、前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材における前記加熱前の全質量に対して、前記加熱によって減少する質量の割合が、45%以上65%以下の範囲に達するまで前記加熱を行う、酸化処理工程と、を有する担体の製造方法である。
【0011】
<2> 前記カーボン材は、カーボンナノファイバーである、<1>に記載の担体の製造方法である。
【0012】
<3> 前記酸化チタン前駆体は、チタンアルコキシドである、<1>又は<2>に記載の担体の製造方法である。
【0013】
<4> <1>~<3>のいずれか1項に記載の担体の製造方法により担体を製造する工程と、前記担体に触媒を担持させる工程と、を有する触媒担持体の製造方法。
【0014】
<5> <1>~<3>のいずれか1項に記載の担体の製造方法により製造された担体。
【0015】
<6> <1>~<3>のいずれか1項に記載の担体の製造方法により製造された担体と、前記担体に担持された触媒と、を有する触媒担持体。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、少ない触媒使用量で、高い液体燃料酸化反応活性が得られる担体の製造方法、これを用いた触媒担持体の製造方法、並びにこれらの製造方法により製造された担体及び触媒担持体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
[担体の製造方法、担体]
本発明における担体の製造方法は、カーボン材の表面に酸化チタン前駆体を付着させる付着工程と、前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材を、酸素を含む雰囲気下において400℃以上550℃以下の温度で加熱する酸化処理工程であって、前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材における前記加熱前の全質量に対して、前記加熱によって減少する質量の割合が、45%以上65%以下の範囲に達するまで前記加熱を行う、酸化処理工程と、を有し、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
以下、前記酸化処理工程において前記酸化チタン前駆体が付着したカーボン材を加熱する温度を「酸化処理温度」と称する場合がある。また、酸化処理工程によって減少する質量の割合を「質量減少率」と称する場合がある。

【0018】
なお、本発明の製造方法によって得られた担体は、例えば、メタノールやギ酸等の液体を直接燃料として用いる直接型燃料電池において、前記燃料として用いる液体(以下「液体燃料」と称する場合がある)の酸化反応を活性化させる触媒(以下単に「触媒」と称する場合がある)を担持させるものである。そして本発明においては、上記製造方法によって得られた担体の表面に触媒を担持させた触媒担持体を、例えば、前記直接型燃料電池における電極(燃料極)の表面に付着させることで、前記酸化反応を活性化させ、効率的に電気エネルギーを取り出すものである。
すなわち本発明において、「担体」は、触媒を担持させるための土台となるものであり、「触媒担持体」は、担体に触媒を担持させたものである。

【0019】
前記本発明の製造方法により得られた担体は、少ない触媒使用量でも、触媒による液体燃料酸化反応活性(以下「触媒活性」と称する場合がある)が高くなる。その理由は定かではないが、以下のように推測される。

【0020】
例えばカーボン材の原料である高分子化合物に酸化チタンの粒子又は酸化チタン前駆体を混ぜ込んでから加熱して担体を得る場合は、カーボン材を形成させるために1000℃以上の高温に加熱する必要がある。これに対し本発明のように、出来上がったカーボン材を用い、その表面で酸化チタンを形成させる場合は、酸化チタン形成時の加熱において、比較的低い温度での加熱が可能となる。そして本発明では、酸化チタンを形成させる温度(酸化処理温度)を前記範囲としているため、1000℃以上の高温で加熱して酸化チタンを得た場合に比べ、アナターゼ型の結晶が形成されやすいと考えられる。このアナターゼ型結晶の形成は、触媒活性が向上する要因のひとつであると推測される。

【0021】
しかし、前記範囲の酸化処理温度で加熱を行った場合、前記加熱を行う時間(以下「酸化処理時間」と称する場合がある)を長くするほどアナターゼ型の結晶が成長するにも関わらず、ある酸化処理時間を越えると、酸化処理時間を長くするにつれて触媒活性が下がることが、本発明を検討するにあたり確認された。
このことから、本発明の製造方法で得られた担体が少ない触媒使用量で高い触媒活性が得られる理由は、アナターゼ型結晶の形成だけではないと推測される。

【0022】
そして、本発明では、酸化処理温度を前記範囲とすることに加えて、酸化処理工程における加熱を、質量減少率が前記範囲に達するまで行うことで、高い触媒活性が得られることを見出した。
前記質量減少率は、酸化処理時間を長くすればするほど、加熱対象である「前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材」の質量が減少し、値が大きくなっていくことが分かった。また、前記質量減少率は加熱時の酸素分圧や酸素流量にも依存し、加熱時の酸素流量が多いほど短い酸化処理時間で値が前記範囲に達することも分かった。具体的には、酸素流量と、質量減少率が前記範囲に達する酸化処理時間と、が反比例する。すなわち前記質量減少率は、酸化処理に用いた酸素の総量(酸素流量×酸化処理時間)に依存する値であり、加熱対象である「前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材」が、前記酸化処理温度下においてどの程度の酸素と接触して反応したかを示していると考えられる。

【0023】
すなわち本発明では、酸化処理温度を前記範囲としてアナターゼ型の結晶を成長させることに加え、質量減少率を前記範囲として適度な酸化処理を行うことで、カーボン材と酸化チタンとの相互作用、酸化チタンと触媒との相互作用、及び触媒担持体の導電性のすべてが最良の状態となり、前記効果が得られたと推測される。
なお、前記酸素との接触により質量が減少する反応の詳細は定かではないが、例えば、前記酸化チタン前駆体が酸化して酸化チタンが生成する反応、前記カーボン材の炭素が酸化して二酸化炭素が生成する反応等の複数の反応が起こっていると推測される。

【0024】
また本発明では、カーボン材の表面に酸化チタンが付着した担体が得られるため、例えばカーボン材の内部に酸化チタンを含む担体に比べて、表面に露出した酸化チタンの面積(すなわち、触媒が付着できる酸化チタンの表面積)が大きくなりやすいと考えられる。すなわち本発明では、担体に触媒を担持させると、カーボン材に直接担持された触媒よりも、酸化チタンを介して担持された触媒が多くなりやすいという観点からも、酸化チタンと触媒との良好な相互作用が得られ、前記効果が得られると考えられる。

【0025】
以上のような理由から、本発明における担体の製造方法を用いることで、少ない触媒使用量で触媒活性の高い担体が得られると推測される。

【0026】
以下、本発明における担体の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
<付着工程>
付着工程においては、カーボン材の表面に酸化チタン前駆体を付着させる。

【0027】
-カーボン材-
カーボン材は、炭素を主成分とする(例えば炭素を全元素の90個数%以上含む)ものであり、具体的には、例えば、カーボンナノファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。その中でも、表面積が広く、表面に結晶構造的欠陥をより形成し易いため、カーボン材と酸化チタンとの相互作用が得られやすいという観点から、カーボンナノファイバーを用いることが望ましい。

【0028】
カーボン材がカーボンナノファイバーである場合、その径としては、例えば50nm以上500nm以下の範囲が挙げられ、200nm以上300nm以下の範囲が好ましい。
カーボンナノファイバーの製法としては、代表的なものとして例えば静電紡糸法が挙げられるが、これに限られるものではない。

【0029】
前記静電紡糸法は、原料となる高分子化合物の溶液をノズル等の噴出口から噴出させながら高電圧を印加する静電紡糸操作を行い、繊維状のカーボンナノファイバーを得る方法である。
原料となる高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリイミド(PI),ポリビニリデンフルオライド(PVDF),ピッチ、フェノール樹脂等が挙げられる。高分子化合物の溶液に用いる溶媒は、原料となる高分子化合物を溶解させるものであれば特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、塩化亜鉛水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液等が挙げられ、溶解性および粘度、導電性などの静電紡糸特性の観点からN,N-ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。

【0030】
なお、静電紡糸操作の後に、例えば恒温槽で高温の空気雰囲気下において安定化処理を行ってもよく、高温の窒素雰囲気下において炭化処理を行ってもよく、また炭化後に高温で水蒸気雰囲気や二酸化炭素雰囲気下において賦活処理を行ってもよく、さらに炭化後に高温でアンモニア雰囲気において窒素ドープ処理を行ってもよく、前記安定化処理、前記炭化処理、前記賦活処理、前記窒素ドープ処理のいずれかまたはそれらの組み合わせを行ってもよい。

【0031】
カーボン材がカーボンブラックである場合、その平均一次粒子径としては、例えば1nm以上100nm以下が挙げられ、20nm以上80nm以下が好ましい。
またカーボンブラックとしては、例えば、チェンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックが挙げられる。

【0032】
-酸化チタン前駆体-
酸化チタン前駆体は、加熱(酸化処理)によって酸化チタンになる化合物であり、具体的には、例えば、チタンアルコキシド、チタン水酸化物、チタン過酸化物、ハロゲン化チタン等が挙げられ、その中でも、反応速度が大きいという観点からチタンアルコキシドが好ましい。
チタンアルコキシドとしては、例えば、オルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド(TBT)、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラターシャリブトキシド等が挙げられる。
ハロゲン化チタンとしては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン等の塩化チタン、臭化チタン等が挙げられる。

【0033】
-酸化チタン前駆体の付着-
酸化チタン前駆体をカーボン材の表面に付着させる方法としては、例えば、酸化チタン前駆体を溶媒に溶かした溶液(以下「前駆体溶液」と称する場合がある)をカーボン材の表面に付着させる方法が挙げられる。なお、酸化チタン前駆体が液体の場合は、溶媒を用いずにそのまま酸化チタン前駆体を、前駆体溶液を用いる場合と同様の方法によりカーボン材の表面に付着させてもよい。ただし、カーボン材の表面に付着する酸化チタン前駆体の量を調整する観点から、酸化チタン前駆体が液体であっても前駆体溶液を用いることが望ましい。

【0034】
前駆体溶液中における酸化チタン前駆体の濃度としては、例えば0.01質量%以上10質量%以下の範囲が挙げられる。前駆体溶液中における酸化チタン前駆体の濃度を上記範囲とすることで、カーボン材の表面に付着する酸化チタン前駆体の量を調整しやすくなり、得られた担体における酸化チタンの含有量も調整しやすくなる。また、前駆体溶液の上記濃度を上記範囲とすることで、得られた担体における酸化チタンの層が厚くなりすぎないため、導電性が良好となり、触媒活性の高い担体が得られやすいと考えられる。
前駆体溶液をカーボン材の表面に付着させる方法としては、例えば、前駆体溶液にカーボン材を浸漬させる浸漬塗布法のほか、スプレー塗布法等が挙げられる。

【0035】
前駆体溶液を用いる場合、溶媒としては、酸化チタン前駆体を溶解させるものであればとくに限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1、4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等のアリールアルカン類等が挙げられ、入手性及び溶解性の観点からエタノールが好ましい。
前駆体溶液を用いる場合は、前駆体溶液をカーボン材の表面に付着させた後、乾燥等により溶媒を除去する工程を経てもよい。
溶媒を除去する方法としては、溶媒の種類等によっても異なるが、例えば、常温常圧下(例えば25℃、1気圧下)で自然乾燥させる方法、恒温槽内において高温で乾燥させる方法、真空下で乾燥させる方法等が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。

【0036】
<酸化処理工程>
酸化処理工程においては、酸化チタン前駆体が付着したカーボン材を、酸素を含む雰囲気下において400℃以上550℃以下の温度で加熱し、前記質量減少率が45%以上65%以下の範囲に達するまで前記加熱を行う。

【0037】
酸化処理工程では、例えば、前記酸化チタン前駆体が付着したカーボン材を試料支持台に入れ、例えば内径が29mm以上31mm以下である円筒状の反応管内に前記試料支持台を置き、酸素ガス及び酸素以外のガスを反応管内に流通させる。そして、酸化処理温度が前記範囲内となるように加熱し、前記質量減少率が前記範囲になるように流通させる酸素の総量(具体的には酸素流量及び酸化処理時間)を調整する。
なお、酸素以外のガスとしては、不活性ガスが好ましく、具体的には、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等が挙げられ、これらの混合ガスを用いてもよい。

【0038】
上記方法により酸化処理を行う場合、質量減少率が前記範囲になるように反応管内に流通させる酸素の総量としては、例えば前記カーボン材1gあたり0.15mol以上0.3mol以下の量が挙げられ、0.2mol以上0.3mol以下が好ましく、0.22mol以上0.28mol以下がより好ましく、0.24mol以上0.26mol以下がさらに好ましい。

【0039】
また、反応管内に流通させる酸素の総量が上記範囲となる酸素流量及び酸化処理時間としては、前記酸化チタン前駆体が付着したカーボン材300mgについて、例えば、酸素30mL/minおよび窒素ガス270mL/minの混合ガスの場合はガス供給時間が50分以上75分以下の範囲であり、酸素10mL/minおよび窒素ガス290mL/minの混合ガスの場合はガス供給時間が150分以上225分以下と算出される。

【0040】
なお、酸素流量としては、例えば、0.1mL/min以上1000mL/min以下の範囲が好ましく、1mL/min以上10mL/min以下の範囲がより好ましい。また、酸素及び酸素以外のガスの混合ガス全体の流量としては、例えば、1mL/min以上5000mL/min以下の範囲が好ましく、10mL/min以上1000mL/minの範囲がより好ましい。さらに、前記混合ガス全体の流量に対する酸素流量の割合は、0.1%以上25%以下が好ましく、1%以上21%以下がより好ましい。

【0041】
酸素ガス及び酸素以外のガス全体の圧力(容器内全体の圧力)としては、特に限定されないが、好ましくは常圧(すなわち95kPa以上105kPa以下の範囲)である。前記全体の圧力は水銀柱で測定される。

【0042】
酸化処理温度は、前記のとおり400℃以上550℃以下であり、420℃以上530℃以下が好ましく、470℃以上510℃以下がより好ましい。
なお、前記酸化処理温度は、雰囲気下の温度(すなわち容器内の温度)であり、例えば測定装置として熱電対を用いて前記酸化処理温度の測定を行う。

【0043】
また質量減少率は、前記の通り45%以上65%以下であり、50%以上60%以下が好ましく、52%以上58%以下がより好ましい。
なお、前記質量減少率は、酸化処理工程の前後において試料(前記酸化チタン前駆体が付着した前記カーボン材)の総質量を測定し、測定によって得られた酸化処理工程前における質量をM、酸化処理工程後における質量をMとすると、下記式に基づいて算出される。
式:質量減少率(%)=(M-M)/M×100

【0044】
以上、一例として、特定の形状を有する反応管内に試料支持台を置いて混合ガスを流通させる方法において、質量減少率が前記範囲となるように流通させる酸素の総量等について説明した。一方、質量減少率を前記範囲とするのに必要な酸素の総量(酸化処理酸素量)は酸化チタン前駆体が付着したカーボン材と酸素を含むガスとの接触状況に影響されると考えられる。具体的には、例えば、前記方法に比べ、より効率的な接触操作が可能な充填層型の気固接触操作や、流動層型の気固接触操作の場合は最適酸素量(質量減少率を前記範囲とするのに必要な酸素の総量)がより少なくなることも考えられる。

【0045】
なお、酸化処理工程の前に、容器内の温度を前記酸化処理温度まで昇温させる昇温工程を経てもよい。昇温工程は、例えば、上記不活性ガス雰囲気下で行う。また、酸化処理工程の後に、温度を室温まで降温させる降温工程を経てもよい。降温工程も、例えば上記不活性ガス雰囲気下で行う。

【0046】
以上のようにして、本発明の製造方法により担体が製造される。
上記本発明の製造方法によって得られた担体において、炭素(元素)100質量部に対するチタン(元素)の含有量(以下「チタン含有比」と称する場合がある)としては、例えば、0.5質量部以上10質量部以下が挙げられる。ここで、担体におけるチタン含有比は、例えばエネルギー分散型蛍光X線分析等によって担体の元素組成を調べることにより求められる。
また、上記本発明の製造方法によって得られた担体に含まれる酸化チタンの結晶粒径としては、例えば1nm未満が挙げられる。上記酸化チタンの結晶粒径を求める方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡により担体表面を観察する方法等が挙げられる。

【0047】
[触媒担持体の製造方法、触媒担持体]
本発明の触媒担持体の製造方法は、上述した担体の製造方法により担体を製造する工程と、前記担体に触媒を担持させる工程と、を有する。
また本発明の触媒担持体は、上述した担体の製造方法により製造された担体と、前記担体に担持された触媒と、を有する。
なお、前記のとおり、本発明の担体の製造方法によって得られた担体は、従来に比べて酸化チタンが表面に露出している割合が大きい。そのため本発明の触媒担持体では、従来の触媒担持体に比べて、触媒が担体の表面に露出した酸化チタンに接触して担体に担持されやすいと考えられる。そして、酸化チタンに接触した触媒の割合が多いことにより、高い液体燃料酸化反応活性が得られると考えられる。

【0048】
前記触媒は、液体燃料の酸化反応を活性化させる化合物であり、液体燃料の種類等に応じて適宜選択される。触媒としては、例えば金属触媒が挙げられ、具体的には、例えば、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム等の白金族元素等が挙げられ、これらの混合物でもよい。さらには、前記の白金属元素と他の金属(ニッケル、銅、コバルト、鉄、タングステン)との混合物でもよい。その中でも、例えば液体燃料としてメタノールを用いる場合、触媒としては、白金、白金とルテニウムとの混合物、白金と鉄の混合物等が好ましい。ここで、白金とルテニウムとの混合物を用いる場合、白金の原子数に対するルテニウムの原子数は、特に限定されないが、好ましくは0.9倍以上1.1倍であり、最も好ましくは1倍である。また、例えば液体燃料としてギ酸を用いる場合、触媒としては、パラジウム、白金とルテニウムの混合物、白金と鉛の混合物等が好ましい。

【0049】
触媒の担持量としては、例えば、触媒担持体全体に対する触媒の質量が1質量%以上60質量%以下である範囲が挙げられる。なお、本発明においては前記のとおり、少ない触媒使用量で高い燃料酸化反応活性が得られるものであり、触媒担持体全体に対する触媒の質量が、従来の触媒担持体では50質量%程度とすることが一般的であったのに対し、本発明では0.1質量%以上20質量%以下であっても、十分な燃料酸化反応活性が得られ、さらに0.1質量%以上5質量%以下であっても、十分な燃料酸化反応活性が得られる。
得られた触媒担持体から触媒の担持量を測定する方法としては、例えば、エネルギー分散型蛍光X線分析等によって触媒担持体の元素組成を調べ、それらの値から算出する方法が挙げられる。

【0050】
担体に担持された触媒の結晶子径としては、例えば2nm以上5nm以下の範囲があげられる。触媒の結晶子径は、例えば透過型電子顕微鏡により触媒担持体の表面を観察することにより求められる。

【0051】
担体に触媒を担持させる方法は、一般的な方法を用いればよく、例えば化学還元法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。

【0052】
本発明の触媒担持体は、前記のとおり、直接型燃料電池における電極(燃料極)の表面に付着させて用いる。本発明の触媒担持体を用いることにより、前記触媒を直接電極に付着させた場合や、他の担体に触媒を担持した触媒担持体を電極に付着させた場合等に比べて、触媒の液体燃料酸化反応活性が高くなる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0054】
[担体1の製造]
<カーボンナノファイバーの製造>
溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、14質量%となるようにポリアクリロニトリル(PAN)を添加して、100℃で1時間攪拌し、原料溶液を得た。
得られた原料溶液を注射器に入れ、シリンジポンプを用いて注射器の針先から噴出させ、注射器の針先の噴出口からファイバー回収位置までの距離が15cm、印加電圧が15~18kV、流速が0.05mL/minの条件で、静電紡糸操作を行い、ナノファイバーを得た。
【実施例】
【0055】
得られたナノファイバーを、恒温槽を用いて250℃の空気雰囲気下に10時間置く安定化処理を行った。
安定化処理後のナノファイバーを、電気炉内で1000℃の窒素雰囲気下に1時間置く炭化処理を行い、直径が270nmのカーボンナノファイバーを得た。
【実施例】
【0056】
<付着工程>
得られたカーボンナノファイバーを、オルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)の0.3質量%エタノール溶液(前駆体溶液)に10分間浸漬させた。
その後、前駆体溶液からカーボンナノファイバーを取り出し、室温(25℃)の大気中で2時間自然乾燥させた後、恒温槽内で、80℃、マイナス100kPa(ゲージ圧)の条件で3時間真空乾燥を行い、酸化チタン前駆体が表面に付着したカーボンナノファイバーを得た。
【実施例】
【0057】
<酸化処理工程>
酸化チタン前駆体が表面に付着したカーボンナノファイバーを300mgアルミナボートに載せ、円筒電気炉内に設置した内径30mmの円筒状の反応管に前記アルミナボートをいれ、反応管内を窒素ガスで30分間パージした。
その後、反応管内に窒素ガスを300mL/minで流通させながら、電気炉の温度を5℃/minの昇温速度で500℃まで昇温させた(昇温工程)。
【実施例】
【0058】
電気炉内の温度が500℃に到達した後、反応管に流通させているガスを、酸素ガス10mL/minと窒素ガス290mL/minとの混合ガスに切り替えて電気炉内全体の圧力を常圧(100kPa)とし、電気炉内の温度を500℃に60分間保持した。すなわち、酸素分圧が3.3kPa、酸化処理温度が500℃、酸化処理時間が60分の条件で、酸化チタン前駆体が表面に付着したカーボンナノファイバーの加熱を行った(酸化処理工程)。カーボンナノファイバー1gあたりにおける酸化処理に用いた酸素の総量を表1に示す。
【実施例】
【0059】
その後、反応管に流通させているガスを、窒素ガス300mL/minに切り替え、電気炉電源を切って室温に下がるまで放置し、担体1を得た(降温工程)。
担体1における前記質量減少率を表1に示す。
また、得られた担体1におけるチタン含有比を前記方法で求めた結果、1.4質量部であった。
また、担体1における酸化チタンの表面を透過型電子顕微鏡により観察した結果、1nm以上の大きさの結晶粒は観察されなかった。
【実施例】
【0060】
[担体2~4の製造]
酸化処理工程における酸化処理時間を、それぞれ120分、180分、及び240分とした以外は、担体1と同様にして、それぞれ担体2~担体4を得た。
担体2~担体4における前記カーボンナノファイバー1gあたりの酸化処理に用いた酸素の総量及び前記質量減少率を表1に示す。
また、得られた担体2~担体4におけるチタン含有比を前記方法で求めた結果、それぞれ1.5質量部、2.5質量部、及び7.7質量部であった。
また、得られた担体2~担体4における酸化チタンの表面を透過型電子顕微鏡により観察した結果、1nm以上の大きさの結晶粒は観察されなかった。
【実施例】
【0061】
[担体5の製造]
<カーボンナノファイバーの製造>
溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、14質量%となるようにポリアクリロニトリル(PAN)を添加して、100℃で1時間攪拌し、その後チタニア微粒子(日本アエロジル、P25)を適量加え、2時間撹拌し原料溶液を得た。
得られた原料溶液を注射器に入れ、注射器の針先からファイバー回収位置までの距離が18cm、印加電圧が16kV、流速が0.05mL/minの条件で、静電紡糸操作を行い、ナノファイバーを得た。
得られたナノファイバーを、3時間室温空気で乾燥させた後、恒温槽を用いて250℃の空気雰囲気下に10時間置く安定化処理を行った。
安定化処理後のナノファイバーを、電気炉内で1000℃の窒素雰囲気下に1時間置く炭化処理を行い、直径が270nmのカーボンナノファイバーを得た。
得られたカーボンナノファイバーを電気炉内の反応管内に置き、850℃で1時間、70℃の水中にバブリングした窒素ガスを200mL/min流して水蒸気賦活処理を行って担体5を得た。
得られた担体5におけるチタン含有比は50質量部、酸化チタンの結晶粒径は55nmであった。
【実施例】
【0062】
[触媒担持体11~触媒担持体15の製造]
得られた担体1~担体5に対して、下記の方法により触媒を担持させることにより、それぞれ触媒担持体11~触媒担持体15を得た。
【実施例】
【0063】
具体的には、まず、水6gと2-プロパノール6gとの混合液に、得られた担体を100mg加え、超音波処理を30分間行い、担体分散液を得た。
得られた担体分散液に、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物43.7mgと、塩化ルテニウム(III)n水和物22.1mgと、を加え、30分間攪拌し、触媒混合液を得た。その後、触媒混合液を80℃に加熱し、水酸化ナトリウムを加えてpHを8に調整した。
pHを8に調整した触媒混合液を80℃に保ったまま、0.2Mの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)水溶液7.5mLを加え、60分間攪拌した。
次に、この混合物をブフナー漏斗により吸引濾過し、蒸留水を用いて十分洗浄した後、一晩真空冷却乾燥(-20℃、-100kPa(ゲージ圧)の環境下)を行った。
さらに、ブフナー漏斗を用いた吸引濾過装置で、再度、蒸留水による洗浄を施し、その後乾燥機内(120℃)で3時間乾燥し、触媒担持体を得た。
得られた触媒担持体における触媒担持量(触媒担持体全体に対する触媒の質量比)を表1に示す。
【実施例】
【0064】
[触媒担持体16の製造]
担体として、市販のカーボンブラック(Cabot社製、Vulcan XC72)をそのまま用いた以外は、上記触媒担持体11~触媒担持体15と同様にして、触媒担持体16を得た。
得られた触媒担持体における触媒担持量(触媒担持体全体に対する触媒の質量比)を表1に示す。
【実施例】
【0065】
[触媒担持体の評価]
得られた触媒担持体11~触媒担持体16、及び市販の触媒担持体17(田中貴金属工業株式会社製、型番:TEC61E54)をそれぞれ用い、以下のようにして、三電極セルを用いたサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、得られたピーク電流密度の値により、液体燃料酸化反応活性の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、市販の触媒担持体17は、カーボンブラックの表面に直接、プラチナ及びルテニウムが1:1の割合で担持されたものである。
【実施例】
【0066】
触媒担持体5mg、蒸留水80μL、エタノール80μL、及びフッ素樹脂共重合体(デュポン社製、商品名:ナフィオン)の5質量%水分散液(和光純薬 型番328-86713)25μLを混合し、ガラスビーズを加えて超音波処理を30分間行うことで、触媒インクを調製した。
三電極セルとしては、作用極がグラッシーカーボン(GC)電極(電極面積:0.0706cm)、対極が白金ワイヤー、参照電極がHg/HgSO/KSOであるものを用いた。
三電極セルの作用極に、得られた触媒インクを2.5μL塗布し、100℃で30分の乾燥を行うことで、電極に触媒担持体を付着させた。
なお、作用極における触媒塗布量(すなわち、触媒担持体のうち触媒であるパラジウム及びルテニウムの量)は、0.193mg/cmであった。
また、電解質としては0.5MのHSO水溶液を用い、液体燃料としては2MのCHOH水溶液を用い、走査速度は20mV/sとし、0~1.2Vvs.NHEの範囲で測定した。
【実施例】
【0067】
【表1】
JP2015144994A_000002t.gif
【実施例】
【0068】
[触媒担持体21~触媒担持体22の製造]
担体3に対して、下記の方法により触媒を担持させることにより、触媒担持体21を得た。
具体的には、まず、エチレングリコール15mLに、得られた担体を100mg加え、超音波処理を15分間行い、担体分散液(1)を得た。
塩化パラジウム(PdCl)8.78mgをエチレングリコール15mLに加え、超音波処理を15分間行い、溶液(2)を得た。
得られた担体分散液(1)に溶液(2)を加え、15分間攪拌し、触媒混合液を得た。その後、触媒混合液に2M 水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを12に調整した。
pHを12に調整した触媒混合液を160℃のオイルバスに漬け、撹拌しながら還流操作を6時間おこなった。
次に、還流操作を行った後の混合物をブフナー漏斗により吸引濾過し、蒸留水を用いて十分洗浄した後、80℃の恒温槽内に一晩おいて乾燥させ、触媒担持体を得た。
【実施例】
【0069】
また、担体として、市販のカーボンブラック(Cabot社製、Vulcan XC72)をそのまま用いた以外は、上記触媒担持体21と同様にして、触媒担持体22を得た。
得られた触媒担持体における触媒担持量(触媒担持体全体に対する触媒の質量比)を表2に示す。
【実施例】
【0070】
[触媒担持体の評価]
得られた触媒担持体21~触媒担持体22をそれぞれ用い、液体燃料としてギ酸(5Mのギ酸水溶液)を用いた以外は、前記触媒担持体11~触媒担持体17の評価と同様にして、三電極セルを用いたサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、得られたピーク電流密度の値により、液体燃料酸化反応活性の評価を行った。結果を表2に示す。
【実施例】
【0071】
【表2】
JP2015144994A_000003t.gif
【実施例】
【0072】
[担体11~15の製造]
酸化処理工程における酸化処理時間およびガス組成を変更した以外は、担体1と同様にして、それぞれ担体11~担体15とした。担体11~15における酸化処理時間、ガス組成(すなわち酸素流量及び窒素流量)、カーボンナノファイバー1gあたりの酸化処理に用いた酸素の総量、及び前記質量減少率を表3に示す。
得られた担体11~担体13および担体15におけるチタン含有比を前記方法で求めた結果、それぞれ1.7質量部、10.8質量部、3.2質量部および4.6質量部であった。
また、得られた担体11~担体15における酸化チタンの表面を電界放出形走査電子顕微鏡により観察した結果、1nm以上の大きさの結晶粒は観察されなかった。
【実施例】
【0073】
[触媒担持体31~触媒担持体35の製造]
得られた担体11~担体15に対して、触媒担持体11~触媒担持体15と同様の方法により触媒を担持させることにより、それぞれ触媒担持体31~触媒担持体35を得た。
得られた触媒担持体における触媒担持量(触媒担持体全体に対する触媒の質量比)は、いずれも20質量%であった。
【実施例】
【0074】
[触媒担持体の評価]
得られた触媒担持体31~触媒担持体35をそれぞれ用い、また液体燃料として0.5MのCHOH水溶液を用いた以外は、前記触媒担持体11~触媒担持体17の評価と同様にして、三電極セルを用いたサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、得られた値により、液体燃料酸化反応活性の評価を行った。
また、比較のため、前記触媒担持体11及び前記触媒担持体13についても同様に、上記条件下でピーク電流密度の測定を行った。
結果を表3に示す。
【実施例】
【0075】
【表3】
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【実施例】
【0076】
[担体21及び22の製造]
酸化処理工程における酸化処理温度を変更した以外は、担体13と同様にして、それぞれ担体21及び担体22とした。担体21及び担体22における酸化処理温度、カーボンナノファイバー1gあたりの酸化処理に用いた酸素の総量及び前記質量減少率を表4に示す。
得られた担体21及び担体22におけるチタン含有比を前記方法で求めた結果、それぞれ0.8質量部、1400質量部であった。
また、得られた担体21における酸化チタンの表面を電界放出形走査電子顕微鏡により観察した結果、1nm以上の大きさの結晶粒は観察されなかった。担体22は薄い灰色の微量粉末であった。チタン含有比が1400質量部と大きいことから、カーボンの殆どが酸化し、二酸化炭素として消失し、酸化チタンのみが残った状態であること分かった。カーボンの機能が期待できないことから、担体22については触媒担持を行わなかった。
【実施例】
【0077】
[触媒担持体41の製造]
得られた担体21に対して、触媒担持体11~触媒担持体15と同様の方法により触媒を担持させることにより、触媒担持体41を得た。
得られた触媒担持体における触媒担持量(触媒担持体全体に対する触媒の質量比)は、20質量%であった。
【実施例】
【0078】
[触媒担持体の評価]
得られた触媒担持体41を用い、また液体燃料として0.5MのCHOH水溶液を用いた以外は、前記触媒担持体11~触媒担持体17の評価と同様にして、三電極セルを用いたサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、得られた値により、液体燃料酸化反応活性の評価を行った。
また、比較のため、前記触媒担持体33についても同様に、上記条件下でピーク電流密度の測定を行った。
結果を表4に示す。
【実施例】
【0079】
【表4】
JP2015144994A_000005t.gif
【実施例】
【0080】
表1~表4に示す結果より、実施例では、比較例に比べ、少ない触媒量で高い液体燃料酸化反応活性が得られることがわかった。