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明細書 :アワビ養殖用飼料、アワビ養殖用飼料の製造方法、アワビ養殖用装置、アワビの養殖方法及び廃棄海藻の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-159729 (P2015-159729A)
公開日 平成27年9月7日(2015.9.7)
発明の名称または考案の名称 アワビ養殖用飼料、アワビ養殖用飼料の製造方法、アワビ養殖用装置、アワビの養殖方法及び廃棄海藻の処理方法
国際特許分類 A23K   1/18        (2006.01)
A23K   1/16        (2006.01)
A01K  61/00        (2006.01)
FI A23K 1/18 102B
A23K 1/16 304C
A23K 1/16 303D
A01K 61/00 E
請求項の数または発明の数 16
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2014-034862 (P2014-034862)
出願日 平成26年2月26日(2014.2.26)
発明者または考案者 【氏名】山川 紘
【氏名】池田 吉用
出願人 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100090402、【弁理士】、【氏名又は名称】窪田 法明
審査請求 未請求
テーマコード 2B005
2B104
2B150
Fターム 2B005GA07
2B104AA27
2B104CA01
2B104CC04
2B104CC18
2B104CF02
2B104CF07
2B104DC02
2B150AA07
2B150AB20
2B150AE26
2B150BC01
2B150BC10
2B150BE01
2B150DC14
2B150DD48
2B150DD56
要約 【課題】廃棄処分する海藻をアワビ養殖用飼料の材料として利用できるようにすることで、アワビを低コストで養殖する。
【解決手段】褐藻類の藻類を含む海藻の破砕前、破砕中又は破砕後に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを用いて該海藻中のアルギン酸化合物を可溶化させ、該廃棄海藻を破砕して海藻ペーストを得、該海藻ペーストを成形して細長シート状もしくは紐状の成形物を得、該成形物を塩化カルシウム水溶液に浸漬して含有されているアルギン酸を凝固させ、得られたものをアワビ養殖用飼料として養殖アワビに食べさせる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも褐藻類の海藻からなる海藻ペーストを細長シート状もしくは紐状に成形した成形物からなり、該成形物に含まれているアルギン酸がカルシウム塩になっていることを特徴とするアワビ養殖用飼料。
【請求項2】
前記海藻ペーストが褐藻類の海藻を50wt%以上含むことを特徴とする請求項1に記載のアワビ養殖用飼料。
【請求項3】
前記成形物の厚さが0.5mm~2.0mmであることを特徴とする請求項1に記載のアワビ養殖用飼料。
【請求項4】
前記成形物に栄養成分が添加されていることを特徴とする請求項1に記載のアワビ養殖用飼料。
【請求項5】
海藻を破砕して海藻ペーストを得るペースト化工程と、該海藻の破砕前、破砕中又は破砕後に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを用いて該海藻中のアルギン酸化合物を可溶化させる可溶化工程と、該海藻ペーストを成形して細長シート状もしくは紐状の成形物を得る成形工程と、該成形物を塩化カルシウム水溶液に浸漬して含有されているアルギン酸を凝固させる凝固工程とを備え、該海藻は褐藻類の海藻を含んでいることを特徴とするアワビ養殖用飼料の製造方法。
【請求項6】
前記褐藻類の海藻を酸水溶液に浸漬する酸処理工程を前記可溶化工程の前に備えていることを特徴とする請求項5に記載のアワビ養殖用飼料の製造方法。
【請求項7】
前記海藻ペーストが褐藻類の海藻を50wt%以上含むことを特徴とする請求項5に記載のアワビ養殖用飼料の製造方法。
【請求項8】
前記成形物の厚さが0.5mm~2.0mmであることを特徴とする請求項5に記載のアワビ養殖用飼料の製造方法。
【請求項9】
前記成形物に栄養成分を添加することを特徴とする請求項5に記載のアワビ養殖用飼料の製造方法。
【請求項10】
海水を入れた水槽と、該水槽内に所定間隔をおいて立設された複数枚の着生板と、該着生板に接して及び/又は該着生板の近傍に配置されてなる請求項1~5のいずれかに記載のアワビ養殖用飼料とを備えたことを特徴とするアワビ養殖用装置。
【請求項11】
前記着生板に前記アワビ養殖用飼料を垂れ下がるように掛けたことを特徴とする請求項10に記載のアワビ養殖装置。
【請求項12】
海水を入れた水槽内に着生板を複数枚立設し、該着生板にアワビを着生・棲息させ、請求項1~5のいずれかに記載のアワビ養殖用飼料を該着生板に接して及び/又は該着生板の近傍に配置し、該アワビ養殖用飼料を該アワビに食べさせることを特徴とするアワビの養殖方法。
【請求項13】
前記着生板に前記アワビ養殖用飼料を垂れ下がるように掛けたことを特徴とする請求項12に記載のアワビの養殖方法。
【請求項14】
アワビの飼育時期に合わせてアワビ養殖用飼料の原料海藻の組み合わせを変えることを特徴とする請求項12に記載のアワビの養殖方法。
【請求項15】
アワビの発育段階に応じて必要な栄養成分を前記アワビ養殖用飼料に加えることを特徴とする請求項12に記載のアワビの養殖方法。
【請求項16】
褐藻類の藻類を含む廃棄海藻の破砕前、破砕中又は破砕後に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを用いて該海藻中のアルギン酸化合物を可溶化させ、該廃棄海藻を破砕して海藻ペーストを得、該海藻ペーストを成形して細長シート状の成形物を得、該成形物を塩化カルシウム水溶液に浸漬して含有されているアルギン酸を凝固させ、得られたアワビ養殖用飼料を養殖アワビに食べさせることを特徴とする廃棄海藻の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば養殖廃棄物のワカメや流れ藻等、廃棄処分される海藻を利用した、アワビ養殖用飼料、アワビ養殖用飼料の製造方法、アワビ養殖用装置、アワビの養殖方法及び廃棄海藻の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、アワビは、大型の水槽を用いて人工的に養殖されている。アワビは成長段階によって餌の種類や量が違っているので、以下、アワビの養殖方法をアワビの成長段階に従って簡単に説明する。
【0003】
まず、稚貝(殻長1~5mm)段階のアワビは、珪藻やウルベラsp緑藻(珪藻等)を付着させた合成樹脂製の着床板を水槽内に垂下・設置し、この着床板の上にアワビ幼生を着生させ、アワビ幼生にこの着床板に付着している珪藻等を食べさせている。
【0004】
稚貝から一般に種苗放流サイズもしくは優良養殖種(いわゆるトビ種苗)の選別サイズ(殼長20~30mm)段階になったアワビは、平板方形状もしくは平板円形状のアワビ養殖用配合飼料を、夕方、シェルター周辺(上面や底面)に散布し、この散布した配合飼料を、夜間の索餌行動の際に食べさせている。
【0005】
この段階では、シェルター周辺に散布したアワビ養殖用配合飼料が1~2日で溶解し、水質を悪化させるので、水槽を時々清掃して水質をきれいに保つ必要がある。
【0006】
稚貝から一般に種苗放流サイズもしくは優良養殖種(いわゆるトビ種苗)の選別サイズ(殼長20~30mm)段階になったアワビは、成長を促進させるためにアワビ養殖用配合飼料を大量に与えている。
【0007】
しかし、アワビは索餌行動が緩慢な上に、高密度で養殖されているために、アワビ養殖用配合飼料が餌として利用される率が低いことから、大量のアワビ養殖用配合飼料がアワビに食べられることなく放置され、そのアワビ養殖用配合飼料の費用が無駄になっているという問題がある。
【0008】
また、餌として与えられて無駄になった大量のアワビ養殖用配合飼料をそのままにしておくと水中で腐敗し、水質を急激に悪化させるので、水槽内の水を頻繁に清掃しなければならないという問題もある。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特公昭62-25334号公報
【特許文献2】特公平6-87755号公報
【特許文献3】特開平6-189689号公報
【0010】

【非特許文献1】榎牧子他「海藻ペーストを用いた浚渫用凝集材の開発-アルギン酸抽出を伴なわないワカメペーストの調整とその泥水凝集性能」日本水産学会誌 74(4), 688-693(2008)
【非特許文献2】上田智弘,阿部隆弘(2003):新しい加工技術の開発(5)水産加工残滓の有効利用技術開発(養殖餌料等).岩手県水産技術センター年報, 121-126.
【非特許文献3】Uki Nagahisa (1986) : Dietary value of seaweeds occurring on the Pacific coast of Tohoku for growth of the abalone Haliotis discus hannai. Bull. Japn. Soc. Sci. Fish., 52(2), 257-266.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、従来のアワビ養殖では餌として市販の配合飼料を与えているので、アワビを養殖するためにかなりの費用がかかる点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るアワビ養殖用飼料は、少なくとも褐藻類の海藻からなる海藻ペーストを細長シート状に成形した成形物からなり、該成形物に含まれているアルギン酸とカルシウムが結合し、NaCl等の塩が溶出したものとなっていることを最も主要な特徴とする。
【0013】
ここで、前記海藻ペーストは褐藻類の海藻だけでもよいし、褐藻類以外の海藻を含んでいてもよいし、必要に応じて植物蛋白等の栄養成分を含んでいてもよい。ただし、前記成形物の成形性(保形性)を考えると、褐藻類の海藻は50wt%以上含むのが好ましい。また、前記成形物の厚さは浸透性からみて0.5mm~2.0mmの範囲が好ましい。
【0014】
また、褐藻類の海藻としては、例えばワカメ、コンブ、クロメ、アラメ、カジメなどのコンブ類、ヒジキ、及びヒジキ、ヤツマタモク、ヨレモク、オオバモク等のモク類を挙げることができる。また、褐藻類以外の海藻としては、例えばスピルリナ(藍藻)や、ヒトエグサ、アオサ、アナアオサ等の緑藻類、テングサ、マクサ等の紅藻類を挙げることができる。
【0015】
本発明に係るアワビ養殖用飼料の製造方法は、海藻を破砕して海藻ペーストを得るペースト化工程と、該海藻の破砕前、破砕中又は破砕後に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを用いて該海藻中のアルギン酸化合物を可溶化させる可溶化工程と、該海藻ペーストを成形して細長シート状の成形物を得る成形工程と、該成形物を塩化カルシウム水溶液に浸漬して含有されているアルギン酸を凝固させる凝固工程とを備え、該海藻は少なくとも褐藻類の海藻を含んでいることを最も主要な特徴とする。
【0016】
ここで、前記可溶化工程は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムの水溶液に破砕前の前記海藻を浸漬するものであってもよいし、破砕前、破砕中又は破砕後の海藻に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを添加するものであってもよい。
【0017】
また、前記褐藻類の海藻の細胞膜を軟化させる処理として酸水溶液に浸漬する酸処理工程を前記可溶化工程の前に備えていてもよい。酸としては クエン酸その他、動物が摂取して問題のない酸であれば使用することができる。
【0018】
また、前記海藻ペーストは褐藻類の海藻だけでもよいし、褐藻類以外の海藻を含んでいてもよいし、必要に応じてフィッシュミール等の栄養成分を含んでいてもよい。ただし、前記成形物の成形性(保形性)を考えると、褐藻類の海藻は50wt%以上含むのが好ましい。また、前記成形物の厚さは最大4mm厚程度まで処理が可能であるが、短時間で成形するためには0.5mm~2.0mmの範囲が好ましい。
【0019】
本発明に係るアワビ養殖用装置は、海水を入れた水槽と、該水槽内に所定間隔をおいて立設された複数枚の着生板と、該着生板に接して及び/又は該着生板の近傍に配置されてなる前記アワビ養殖用飼料とを備えたことを最も主要な特徴とする。ここで、前記アワビ養殖用飼料は前記着生板に垂れ下がるように掛けるのが好ましい。
【0020】
本発明に係るアワビの養殖方法は、海水を入れた水槽内に着生板を複数枚立設し、該着生板にアワビを着生・棲息させ、前記アワビ養殖用飼料を該着生板に接して及び/又は該着生板の近傍に配置し、該アワビ養殖用飼料を該アワビに食べさせることを最も主要な特徴とする。また、本発明に係るアワビの養殖方法は大型個体の養殖が主体となる場合には、海藻の葉形状にも近いことから摂餌に有効である。
【0021】
ここで、前記アワビ養殖用飼料は前記着生板に垂れ下がるように掛けるのが好ましい。また、アワビの飼育時期に合わせてアワビ養殖用飼料の原料海藻の組み合わせを変えるのが好ましい。また、アワビの発育段階に応じて必要な栄養成分を前記アワビ養殖用飼料に加えるのが好ましい。
【0022】
本発明に係る海藻の処理方法は、褐藻類の藻類を含む海藻の破砕前、破砕中又は破砕後に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを用いて該海藻中のアルギン酸化合物を可溶化させ、該海藻を破砕して海藻ペーストを得、該海藻ペーストを成形して細長シート状もしくは紐状の成形物を得、該成形物を塩化カルシウム水溶液に浸漬して含有されているアルギン酸を凝固させ、得られたアワビ養殖用飼料を養殖アワビに食べさせることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、廃棄処分される海藻をアワビ用飼料の原料として使用することができるので、アワビ養殖のための配合飼料を購入する経済的な負担が少なくなり、従って、アワビを低コストで養殖することができるという利点がある。
【0024】
また、本発明は、アワビ養殖用の水槽内に複数枚の着生板を所定間隔をおいて立設しているので、該着生板に着生するアワビの稚貝を水槽内に立体的に分散・棲息させることができ、水槽内の空間をアワビの養殖のために立体的に利用することができ、従って、水槽の限られた設置面積でより多くのアワビを効率良く養殖することができるという利点がある。
【0025】
また、本発明は、栄養バランスの点で単独ではアワビ養殖用飼料として使用し難い海藻を、複数種組み合わせてアワビ養殖用飼料の原料として使用するため、栄養バランスのとれたアワビ養殖用飼料をワカメメカブ等の海藻原料からも作ることができ、従って、海藻をアワビ養殖用飼料の原料として用いてアワビを年間を通じて安定的に養殖することができるという利点がある。
【0026】
また、本発明は、廃棄処分される海藻をアワビ用飼料の原料として使用することができるので、従来は焼却処分するなど、コストを掛けて処分するしかなかった大量の海藻を、低コストで処分することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1はアワビ養殖用飼料の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】図2はアワビ養殖用飼料の製造方法の他の例を示す工程図である。
【図3】図3はアワビ養殖装置の一例を示す説明図である。
【図4】図4はアワビ養殖装置の他の例を示す説明図である。
【図5】図5は各飼料区のクロアワビの生存率を示すグラフである。
【図6】図6は飼料実験の組み合わせ別の生存率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
アワビをできるだけ低コストで養殖するという目的を、廃棄される予定の海藻をアワビ養殖用飼料の原料として使用するという簡単な方法で、アワビの成長を阻害させることなく実現した。
【実施例1】
【0029】
図1はアワビ養殖用飼料の製造方法の一例を示す工程図である。以下、アワビ養殖用飼料の製造方法の一例をこの工程図に従って説明する。
【実施例1】
【0030】
(1)原料の準備
アワビ養殖用飼料の原料海藻として、ワカメとアナアオサを準備し、これらの海藻を水洗し、付着している塩分を除去した。ここで、ワカメは褐藻類の海藻として準備し、アナアオサは褐藻類以外の海藻として準備した。ワカメは、一般的には廃棄されている茎を使用した。また、ワカメとアナアオサは未乾燥のものを使用した。
【実施例1】
【0031】
(2)酸処理工程
濃度5%のクエン酸水溶液を準備し、このクエン酸水溶液に上記(1)で準備したワカメの茎を、3時間、浸漬した。ここで、ワカメの茎をクエン酸水溶液に浸漬したのは、次の(3)の可溶化工程でワカメの茎の中に含まれているアルギン酸化合物を可溶化させ易くするためである。
【実施例1】
【0032】
(3)可溶化工程
濃度1%の炭酸ナトリウム水溶液を準備し、この炭酸ナトリウム水溶液に上記(2)の酸処理工程を経たワカメの茎を、1時間、浸漬した。この工程により、ワカメの茎の中に含まれているアルギン酸カルシウムやアルギン酸マグネシウム等のアルギン酸化合物が水溶性のアルギン酸ナトリウムとなる。
【実施例1】
【0033】
(4)ペースト化工程
上記(3)の可溶化工程を経たワカメの茎と上記(1)で準備したアナアオサをフードプロセッサーに入れ、一緒に破砕し、海藻ペーストを得た。ここで、ワカメの茎とアナアオサの比率は重量比で55:45とした。
【実施例1】
【0034】
(5)成形工程
上記(4)のペースト化工程で得られた海藻ペーストをパスタ用製麺機で細長シート状に成形し、細長シート状の成形物を得た。成形物の厚さは0.5mm~2.0mmとした。
【実施例1】
【0035】
(6)凝固工程
濃度5%の塩化カルシウム水溶液を準備し、上記(5)の成形工程で得られた成形物をこの塩化カルシウム水溶液に浸漬した。この塩化カルシウム水溶液への浸漬により、成形物中に含まれていたアルギン酸ナトリウムは不溶性のアルギン酸カルシウムに変化し、成形物は凝固する。そして、この成形物を取り出して水洗し、乾燥させて、アワビ養殖用飼料を得た。
【実施例1】
【0036】
なお、上記の実施例では、未乾燥の海藻をフードプロセッサーで粉砕したが、図2に示すように、ワカメとアナアオサを天日干しで乾燥させた後、フードプロセッサーで粉砕し、粉砕機で0.21mmまで粉砕し、炭酸ナトリウムと塩化カルシウムを添加し、水を加えて混練させ、板状に成形し、乾燥させても同様のアワビ養殖用飼料を作ることができた。
【実施例1】
【0037】
また、上記の実施例では、海藻の破砕前に炭酸ナトリウム水溶液に海藻を浸漬してアルギン酸化合物を可溶化しているが、海藻を破砕中又は破砕後に炭酸ナトリウムを添加してもアルギン酸化合物を同様に可溶化することができた。また、炭酸ナトリウムを用いてアルギン酸化合物を可溶化しているが、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを用いて可溶化しても同様の結果が得られた。
【実施例2】
【0038】
図3はアワビ養殖装置の一例を示す説明図である。同図において、図示していない水槽内には海水10が入れられている。海水10中には複数枚の着生板12が所定間隔をおいて立設されている。着生板12には細長シート状のアワビ養殖用飼料14が掛けられている。アワビ養殖用飼料14は着生板12に接するように、又は着生板12の近傍に存在するようになっている。
【実施例2】
【0039】
水槽内の海水10は、図示しない循環ポンプにより循環し、図示しない濾過装置により濾過され、また、図示しない温度コントロール装置により一定の温度(15~20℃)に保たれている。
【実施例2】
【0040】
アワビはこのアワビ養殖装置を用いて次のように養殖する。すなわち、まず着生板12にアワビ16を着生・棲息させる。アワビは暗くて狭い場所を好むので、着生板12の間や着生板12とアワビ養殖用飼料14の間に着生・棲息する。
【実施例2】
【0041】
アワビ16は、日中又は夜中に、着生板12の表面を移動しながら着生板12に接している、又は着生板12の近傍にあるアワビ養殖用飼料14を食べる。アワビ16は、厚さが0.5mm~2.0mmの範囲のアワビ養殖用飼料14を良く食べた。
【実施例2】
【0042】
なお、図4に示すように、アワビ養殖用飼料14を箒状に束ね、これを着生板12に沿って垂らすように設けても、アワビはアワビ養殖用飼料14を良く食べる。また、原料海藻の組み合わせを変えて形成したアワビ養殖用飼料をアワビに与えても、アワビを養殖することができた。また、アワビの発育段階に応じてフィッシュミールその他、アワビの養殖に必要な栄養成分をアワビ養殖用飼料に加えて与えても良好な結果が得られた。
【実施例2】
【0043】
また、アワビ養殖用飼料14に切れ目を入れて暖簾状にしたものを垂下してもよい。このようにすれば、水槽10内の水流を妨げず、着生板12の両面のアワビと餌が接触する機会を増やすことができる。また、水槽10の縁に引っ掛けるようにしてもよい。このようにすれば、シート形状のアワビ養殖用飼料14を垂下すれば、餌の投入と交換が容易になる。また、着生板12の距離が離れている場合は暖簾状のアワビ養殖用飼料14を丸め、筒状にして与えてもよい。
【実施例3】
【0044】
次に、アワビ養殖用飼料の原料海藻を表1の左欄に示す通りとし、実施例2で説明したアワビの養殖方法を用いてアワビを養殖し、アワビの殻長と成長率を調べたところ、これらのアワビ養殖用飼料を与えられたアワビの殻長と成長率は表1の右欄に示す通りであった。
【実施例3】
【0045】
【表1】
JP2015159729A_000003t.gif
【実施例4】
【0046】
また、アワビ養殖用飼料の原料海藻を表2の左欄に示す通りとし、実施例2で説明したアワビの養殖方法を用いてクロアワビを養殖し、アワビの殻長と成長率を調べたところ、これらのアワビ養殖用飼料を与えられたクロアワビの殻長と成長率は表2の右欄に示す通りであった。
【実施例4】
【0047】
【表2】
JP2015159729A_000004t.gif
【実施例5】
【0048】
また、アワビ養殖用飼料の原料海藻を表3の左欄に示す通りとし、実施例2で説明したアワビの養殖方法を用いてアワビを養殖し、アワビの殻長の成長を調べ、ワカメ投餌区の殻長の成長を基準にした各種海藻の餌料効果を調べたところ、これらのアワビ養殖用飼料を与えて養殖したアワビの餌料効果は表3の右欄に示す通りであった。
【実施例5】
【0049】
【表3】
JP2015159729A_000005t.gif
【実施例6】
【0050】
また、アワビ養殖用飼料の原料海藻を図5に示す通り種々変更し、実施例2で説明したアワビの養殖方法を用いてクロアワビを養殖し、クロアワビの生存率を求めたところ、各飼料区のクロアワビの生存率は図5に示す通りであった。
【実施例7】
【0051】
また、アワビ養殖用飼料の原料海藻を図6に示す通り種々変更し、実施例2で説明したアワビの養殖方法を用いてクロアワビを養殖し、クロアワビの生存率を求めたところ、各飼料区のクロアワビの生存率は図6に示す通りであった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上記各実施例では海藻ペーストの成形物をアワビの養殖用飼料として使用する場合について説明したが、この成形物はナマコ類、ウニ類、サザエなどの貝類の養殖用飼料として使用する用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0053】
10 海水
12 着生板
14 アワビ養殖用飼料
16 アワビ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5