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明細書 :ジャイロレートオフセット除去方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-165190 (P2015-165190A)
公開日 平成27年9月17日(2015.9.17)
発明の名称または考案の名称 ジャイロレートオフセット除去方法
国際特許分類 G01C  19/00        (2013.01)
FI G01C 19/00 Z
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2014-039939 (P2014-039939)
出願日 平成26年2月28日(2014.2.28)
発明者または考案者 【氏名】久米 達哉
出願人 【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100093816、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 邦雄
審査請求 未請求
テーマコード 2F105
Fターム 2F105BB08
2F105BB12
要約 【課題】ジャイロレートオフセットの変動に追従し、簡易な構成で、かつジャイロの反転にも追従するとともに、地球自転のようなジャイロの反転に追従しないレートオフセット成分をも除去することができる、簡便なジャイロレートオフセット除去方法、ジャイロ装置を提供する。
【解決手段】ジャイロ1と、位置保障された測定対象面2及び前記測定対象面2との位置が保障された基準エッジ5aとの位置関係を利用しながら前記ジャイロ1を前記測定対象面2に垂直な反転軸3cを中心に周期的に反転させ、ジャイロレートオフセットの変動に追従してジャイロレートオフセットを除去するとともに、前記ジャイロ1の反転前後のジャイロ角度検出値の差分値の時間変化量から、前記ジャイロ1の反転に関係なく加わるジャイロレートオフセット成分を検出し、除去する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
ジャイロと、位置保障された測定対象面及び前記測定対象面との位置が保障された基準エッジとの位置関係を利用しながら前記ジャイロを前記測定対象面に垂直な反転軸を中心に周期的に反転させ、ジャイロレートオフセットの変動に追従してジャイロレートオフセットを除去するとともに、
前記ジャイロの反転前後のジャイロ角度検出値の差分値の時間変化量から、前記ジャイロの反転に関係なく加わるジャイロレートオフセット成分を検出し、除去することを特徴とするジャイロレートオフセット除去方法。
【請求項2】
前記基準エッジが、1本の基準バー又は2本の基準バーであることを特徴とする請求項1に記載のジャイロレートオフセット除去方法。
【請求項3】
前記基準エッジが、1本の基準バーと1点又は1本の柱、或いは、3点又は3本の柱であることを特徴とする請求項1に記載のジャイロレートオフセット除去方法。
【請求項4】
ジャイロレートオフセット変動、ジャイロ反転及びジャイロ反転に追随しないジャイロレートオフセットを除去できるジャイロ装置であって、
測定対象面に載置される底面、側面を備えた枠と、
前記枠に固定したジャイロと、
前記測定対象面に対して垂直な位置に固定された第一基準エッジと、
前記第一基準エッジと直角をなして前記測定対象面に対して垂直な位置に固定された第三基準エッジと、
を備え、
ジャイロレートオフセットを検出するに際し、
前記枠の対向する2面を、交互に前記第一基準エッジ及び第三基準エッジに当接させる反転を繰り返すことを特徴とするジャイロ装置。
【請求項5】
ジャイロレートオフセット変動、ジャイロ反転及びジャイロ反転に追随しないジャイロレートオフセットを除去できるジャイロ装置のジャイロユニットであって、
測定対象面に載置される底面、前記底面に垂直に起立する第一面、前記底面に垂直に起立しかつ前記第一面に平行な第二面、前記第一面及び第二面に対して直角で前記底面に連設する第三面、前記第一面及び第二面に対して直角かつ前記第三面と平行で前記底面に連設する第四面を備えた枠と、
前記枠に固定されたジャイロと、
からなることを特徴とするジャイロユニット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロを用いた角度検出において大きな誤差要因となるレートオフセット(角速度誤差)を除去する方法に関する。ジャイロレートオフセット(単に、レートオフセットということもある)とは、ジャイロが静止状態では角速度出力値が0でなければならないところ、実際に出力される角速度値(信号値)のことである。
【背景技術】
【0002】
回転角度をジャイロにより検出測定する場合にレートオフセットが存在すると、検出角速度を積分して得られる検出角度にはオフセット値が時間的に積分された角度誤差も含まれることになる。従って、正確な角度検出、測定を実施するためには、ジャイロは、レートオフセットが極く小さくなければならない。
【0003】
従来のレートオフセットの除去方法として、次の技術が知られている。
(1)ジャイロを一定時間静止させ、得られた信号をレートオフセットと定め、その後の測定値から静止状態の信号(値)を測定値から差し引く方法。
(2)図1に示すように、ジャイロ角度検出方向と直交する方向に、周期的にジャイロを搖動し、得られた信号からレートオフセット分を除去する方法(特許文献1)。
(3)図2に示すように、ジャイロ角度検出方向と直交する方向に、ジャイロを反転させ得られた信号からレートオフセット分を除去する方法(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、上記従来のレートオフセット除去方法(1)は、ジャイロレートオフセットの変動に追従した除去をすることができない。(2)の方法では、レートオフセット値の変動に追従し除去することが可能であるが装置が複雑となる。(3)の方法では、ジャイロの反転に追従するレートオフセット成分を除去することができるが、地球自転のように、ジャイロの反転に追従しないレートオフセット成分を除去することができない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2008-233095号公報
【特許文献2】特開2009-092583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ジャイロレートオフセットの変動に追従し、簡易な構成で、かつジャイロの反転にも追従するとともに、地球自転のようなジャイロの反転に追従しないレートオフセット成分をも除去することができる、簡便なジャイロレートオフセット除去方法、ジャイロ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ジャイロの反転測定によるジャイロドリフト除去・抑制の検討を行う中で、ジャイロレートオフセットが簡便に検出され、除去可能である、当該発明を完成するに至った。
具体的には、上記の課題を解決するために、本発明は、
(1)
ジャイロと、位置保障された測定対象面及び前記測定対象面との位置が保障された基準エッジとの位置関係を利用しながら前記ジャイロを前記測定対象面に垂直な反転軸を中心に周期的に反転させ、ジャイロレートオフセットの変動に追従してジャイロレートオフセットを除去するとともに、
前記ジャイロの反転前後のジャイロ角度検出値の差分値の時間変化量から、前記ジャイロの反転に関係なく加わるジャイロレートオフセット成分を検出し、除去することを特徴とするジャイロレートオフセット除去方法。
(2)
前記基準エッジが、1本の基準バー又は2本の基準バーであることを特徴とする(1)に記載のジャイロレートオフセット除去方法。
(3)
前記基準エッジが、1本の基準バーと1点又は1本の柱、或いは、3点又は3本の柱であることを特徴とする(1)に記載のジャイロレートオフセット除去方法。
(4)
ジャイロレートオフセット変動、ジャイロ反転及びジャイロ反転に追随しないジャイロレートオフセットを除去できるジャイロ装置であって、
測定対象面に載置される底面、側面を備えた枠と、
前記枠に固定したジャイロと、
前記測定対象面に対して垂直な位置に固定された第一基準エッジと、
前記第一基準エッジと直角をなして前記測定対象面に対して垂直な位置に固定された第三基準エッジと、
を備え、
ジャイロレートオフセットを検出するに際し、
前記枠の対向する2面を、交互に前記第一基準エッジ及び第三基準エッジに当接させる反転を繰り返すことを特徴とするジャイロ装置。
(5)
ジャイロレートオフセット変動、ジャイロ反転及びジャイロ反転に追随しないジャイロレートオフセットを除去できるジャイロ装置のジャイロユニットであって、
測定対象面に載置される底面、前記底面に垂直に起立する第一面、前記底面に垂直に起立しかつ前記第一面に平行な第二面、前記第一面及び第二面に対して直角で前記底面に連設する第三面、前記第一面及び第二面に対して直角かつ前記第三面と平行で前記底面に連設する第四面を備えた枠と、
前記枠に固定されたジャイロと、
からなることを特徴とするジャイロユニット。
、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記構成であるので、以下の効果を発揮する。ジャイロレートオフセットの変動に追従し、簡易な構成で、かつジャイロの反転にも追従するとともに、地球自転のようなジャイロの反転に追従しないレートオフセット成分をも除去することができる、簡便なジャイロレートオフセット除去方法、ジャイロ装置を提供することができた。
【0009】
すなわち、本発明ではジャイロを位置保障された測定対象面と測定対象面との位置が保障基準エッジの位置関係を用いて、前記ジャイロを周期的に測定対象面に垂直な反転軸を中心に測定対象面と平行な面内で反転させることで、変動するレートオフセットの除去を可能としつつ、装置の複雑化を避けることができた。さらに、ジャイロの反転時前後のジャイロ角度検出値差分値の時間変化量から、ジャイロの反転とは無関係に加わるレートオフセット成分をも検出し除去することができる。
【0010】
基準エッジとしては、2本の基準エッジ、例えば第一、第三基準エッジ、の併用、それらは、直交されていても、直交されていなくてもよく、また、それらの基準エッジの一方を単体で用いることもできる。2本の基準エッジを併用すると、ジャイロの位置が一意に簡単に決められるため、反転操作が楽になり、望ましい。
【0011】
さらに、基準エッジとして、1本の基準エッジと1点又は測定対象面に垂直な柱も採用できる。さらには3点又は3本の柱の基準であっても同様に基準エッジとなる。加えて、2点と1本の柱、1点と2本の柱も採用できる。これらであれば枠と2本の基準エッジほどの組み立て精度を要しない。いずれにしても、ジャイロが同一面で位置保障され180°の反転が可能であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来(特許文献1)の周期的にジャイロを搖動し、得られた信号からレートオフセットを除去した角度値を導出する技術の説明図である。
【図2】従来(特許文献2)の周期的にジャイロを反転し、得られた信号からレートオフセットを除去する方法の説明図である。
【図3】本発明であるジャイロレートオフセット除去方法に用いる、ジャイロ装置1の斜視写真(A)、及び反転軸3cを回転中心として、ジャイロ4を固定した枠3(ジャイロユニット1a)を反転方向3dに交互に180°反転させて、ジャイロ角度検出軸4aを回転中心としたジャイロ4の傾き角度を測定する場合の模式図(B)(C)である。図3(B)の枠3を180°反転方向3dに反転させると、図3(C)になる。
【図4】ジャイロ装置を反転させて、ジャイロレートオフセットを検出するモデルのジャイロ角度検出軸方向から見た図である。
【図5】ジャイロレートオフセット成分の導出式である。
【図6】同一位置にて、図3の枠の反転の繰り返しを1時間行った場合に得られたジャイロ角度出力θ(t)の測定値である。
【図7】図6の測定値(ジャイロ角度出力θ(t))から求められた反転前後のジャイロ角度出力θ(t)の差である。傾斜分を直線(a)、直線(b)で示した。この図は、図5の(4)、(5)式で示される関係に相当する。
【図8】振動グラフは、図6の測定値(ジャイロ角度出力θ(t))から求められた1周期離れたジャイロ角度出力θ(t)の差である。白抜きラインは、移動平均処理により高周波ノイズ分を除去した値である。直線(c)は、ジャイロレートオフセット成分のジャイロ反転に追従する成分roに比例する成分((6)式の右辺—2Δt・ro)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面3-8を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
図3の写真に示すように、ジャイロレートオフセット変動、ジャイロ反転及びジャイロ反転に追随しないジャイロレートオフセットの検出(導出)、除去に使用されるジャイロ装置1は、測定対象面2に載置されると、枠3と、ジャイロ4と、基準プレート5と、基準バー6と、からなる。なお、枠3とジャイロとで、ジャイロユニット1aを形成する。
【実施例1】
【0015】
測定対象面2は、設置位置が保障されている。即ち、測定対象面2は、ジャイロ4の反転動作の間は、位置(方位、傾き)が変化しない。なお、測定対象面2の近傍の他の測定対象面でジャイロレートオフセットを除去した後、実際の測定対象面2で測定することもできる。
【実施例1】
【0016】
枠3は、測定対象面2に載置される底面、前記底面に垂直に起立する第一面3a、前記底面に垂直に起立しかつ第一面3aに平行な第二面3b、第一面3a及び第二面3bに対して直角で前記底面に連設する第三面3e、第一面3a及び第二面3bに対して直角かつ第三面3eと平行で前記底面に連設する第四面3fを備える。
【実施例1】
【0017】
ここでは、枠3は内部空洞で、第三面3e、第四面3fはそれぞれ開口部を有し、連通する。枠3に前記開口部を備えることで、ジャイロ4の設置、配線4cの引き出しが容易になる。また、上面にも板が嵌められている。そして、第一面3aと第二面3bは同形で、上面と底面も同形である。
【実施例1】
【0018】
このような枠3であれば、検出すべき角度に合わせて、ジャイロユニット1aの必要な面(第一~第四面、上面、底面)を向け、測定対象面2に設置すればよい。なお、ジャイロ4が基準エッジに対して、位置保障されて反転できれば、当該枠の形状に限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
測定対象面2に垂直なジャイロ4の反転軸3cを中心とする反転方向3dに、ジャイロ4を測定対象面2において180°反転させることで、測定対象面2と平行なジャイロ角度検出軸4aを中心とする回転方向であるジャイロ角度検出方向4bに不要な角度変化を与えない。反転に際して、ジャイロを測定対象面2に接触させながら反転させると、不要な角度変化を一層抑えることができる。
【実施例1】
【0020】
ジャイロ4は、物体の角度や角速度を検出する計測器で、ジャイロスコープ、ジャイロセンサとも呼ばれる。検出信号を計算機(図示省略)に配線4cを介して送信する。
【実施例1】
【0021】
ここでは、枠3の底面に平行かつ第一面3aと第二面3bを貫通するジャイロ角度検出軸4aとジャイロ角度検出軸4aと直交するジャイロ4の反転軸3cとの交点位置に中心を位置させ底面を第一面3aの内側に固定したジャイロ4とした。これにより、ジャイロ角度検出軸4aを回転中心としたジャイロ角度検出方向4bの基準2aに対する回転角を測定することができる。ジャイロ4は自己の位置基準を備えるため、基準2aは任意に設定できる。この場合、反転せずに検出されるジャイロ角出力信号には、基準2aに対する実際の検出すべき角度成分(後述のθ)の他に、後述のθとrとrをも含む。
【実施例1】
【0022】
基準プレート5は、ここでは、測定対象面2に垂直な側面が第一基準エッジ5a及び第二基準エッジ5bとなり、測定対象面2にボルト5cなどで固定され、位置保障されている。枠3の面に当接し、ジャイロ4の反転中位置保障されていれば、測定対象面2に固定されていなくてもよい。
【実施例1】
【0023】
基準バー6は、ここでは、測定対象面2に垂直な側面が第三基準エッジ6aとなり、基準プレート5の第二基準エッジ5bに当接した上で、測定対象面2にボルトなどで固定され、位置保障されている。枠3の面に当接し、ジャイロ4の反転中位置保障されていれば、測定対象面2に固定されていなくてもよい。また、基準バー6に当接しなくてもよい。
【実施例1】
【0024】
基準プレート5と基準バー6との当接で形成される第一基準エッジ5aと第三基準エッジ6aとの角度は90°である。枠3の第一面3aと第三面3e、第三面3eと第二面3b、第一面3aと第四面4fとの角度もそれぞれ90°で、枠3の底面を測定対象面2に接触させながら、枠3の第一面3a及び第三面3eと、第二面3b及び第四面3fの組み合わせを、交互に第一基準エッジ5a及び第三基準エッジ6aに当接させる反転を繰り返し、ジャイロレートオフセット成分を検出する。
【実施例1】
【0025】
ここでは、基準プレート5及び基準バー6、すなわち、第一基準エッジ5aと第三基準エッジ6aは、別体としたが、一体としてもよい。
【実施例1】
【0026】
ジャイロ装置1では、図3に示すように、ジャイロ4を備える枠3を、水平方向に対する角度検出のためのジャイロ角度検出軸4aと直交する反転軸3cを中心に周期的に180°反転(反転方向3d)させることで、ジャイロレートオフセットの変動に追従してジャイロレートオフセットを除去することができる。
【実施例1】
【0027】
このとき、基準エッジにより、ジャイロの反転軸3cを反転中心とする反転方向3dへの反転角度(180°)と反転前後のジャイロ4の位置関係を保障し、さらに、測定対象面2に接触させながらジャイロ4を反転させ、無用な角度変化をジャイロ角度検出方向4bに与えないようにすることで、特許文献1のジャイロレートオフセット方法において問題となる装置の複雑化を避けた上で、反転時の誤差を軽減することができる。
【実施例1】
【0028】
さらに、反転前後のジャイロ4の角度検出値差分値の時間変化量から、ジャイロ4の反転とは無関係なレートオフセット成分を検出し、除去することができる。
【実施例1】
【0029】
次に、図4のモデル、図5の式を参照して、ジャイロレートオフセット成分の導出、除去方法について説明する。
【実施例1】
【0030】
ここでは、図4に示すように、検出すべき角度をθ、ジャイロ角度オフセットをθ、ジャイロ4の反転に追従するレートオフセット成分をr、地球自転の影響などジャイロ4の反転に追従しないレートオフセット成分をrとする。
【実施例1】
【0031】
このときジャイロ4が、その角度検出面内にある反転軸3cに対して一定の時間間隔Δtで反転方向3dに反転するものと考えると、時刻tおよびt+Δtでのジャイロ角度出力θ(t)、θ(t+Δt)はそれぞれ、図5の(1)、(2)式のように表される。(1)、(2)式から(3)~(6)式が導き出せる。
【実施例1】
【0032】
(3)式は、測定対象物の角度θの導出式である。(4)、(5)式は反転前後のジャイロ角度出力の差、(6)式は1周期離れたジャイロ角度出力の差を表している。
【実施例1】
【0033】
(4)、(5)式それぞれの右辺第3項の2r・t、および、-2r・tは、時間tの比例項であり、(4)、(5)式の関係を時間tのグラフで示した場合、反転間隔Δtで入れ替わる直線の傾き成分となる。一方、(6)式右辺第1項の-2・t・rはジャイロ4の反転に追従するレートオフセット成分項であり、(6)式の関係を時間tのグラフで示した場合、直線のオフセット成分となる。
【実施例1】
【0034】
すなわち、(4)、(5)式を示すグラフの傾きから、ジャイロ4の反転に追従しないレートオフセット成分rが導出できる。また、(6)式の関係を示すグラフのオフセットから、ジャイロ4の反転に追従するレートオフセット成分rが導出できることを示す。
【実施例1】
【0035】
次に、図3のジャイロ装置1、図5の式を用いて、ジャイロレートオフセット成分の検出について検討した結果を説明する。
【実施例1】
【0036】
時間間隔Δt=60sの反転測定を行い、その効果を検証した。ここでは、反転方向3d(反転軸3c)と独立したジャイロ角度検出方向4d(ジャイロ角度検出軸4a)を持つことから反転測定に対する制約が少なく、高精度、かつ、機械的に堅牢な光ファイバジャイロ(FOG)ユニットを用いた。測定は、23±1℃で空調制御された恒温室内の石定盤上に設置された光学プレート(測定対象面2)上にて行われた。
【実施例1】
【0037】
実験では、図3に示されるようにジャイロ4の基準側面(第一面3a及び第二面3b、第三面3e及び第四面3f)が、基準エッジ(第一基準エッジ5a、第三基準エッジ6a)への当接面となるように、ジャイロ4を光学プレート上の枠3に設置し、その底面が常に光学プレートに接触するように反転することで、ジャイロ角度検出方向4bへ不要な角度変化を与えることの無い反転測定を実現した。
【実施例1】
【0038】
同一位置にて反転を繰返し1時間行った場合に得られたジャイロ角度出力θ(t)を図6に示す。一方、図6に示されるジャイロ角度出力θ(t)から求められた(4)、(5)式で示される、反転前後のジャイロ角度出力の差、および、(6)式で示される1周期離れたジャイロ角度出力の差をそれぞれ図7、8に示す。
【実施例1】
【0039】
図7に示された関係から、各反転測定回におけるrの値を求めると、r=-55±15(標準偏差)μrad/sとなる。
【実施例1】
【0040】
一方、図8に示された関係から各反転測定回におけるrの値を求めると、r=61±39(標準偏差)μrad/sとなる。rの値については、測定地点の緯度約36°と角度検出面の子午線からの偏角約90°から導出した59μrad/sに近い値となっている。
【実施例1】
【0041】
これらの値を(3)式に代入することで、r、rの影響を受けることなく測定対象の角度θを求めることができる。すなわち、測定値からジャイロレートオフセットを除去できることとなる。この場合、繰返し1時間行われた各反転測定回で得られた角度は、θ=9.1±0.4(標準偏差)mradとなる。
【実施例1】
【0042】
本発明であるジャイロレートオフセット除去方法は、方位測定、慣性航法、角度測定、形状測定、測量技術に応用でき、既存機器に大きな改造を施すことなく、高精度で、前記技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ジャイロ装置
1a ジャイロユニット
2 測定対象面
2a 基準
3 枠
3a 第一面
3b 第二面
3c 反転軸
3d 反転方向
3e 第三面
3f 第四面
4 ジャイロ
4a ジャイロ角度検出軸
4b ジャイロ角度検出方向
4c 配線
5 基準プレート
5a 第一基準エッジ
5b 第二基準エッジ
5c ボルト
6 基準バー
6a 第三基準エッジ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7