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明細書 :複合部材の接合構造、有床義歯、複合部材の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-199258 (P2015-199258A)
公開日 平成27年11月12日(2015.11.12)
発明の名称または考案の名称 複合部材の接合構造、有床義歯、複合部材の製造方法
国際特許分類 B32B   3/06        (2006.01)
A61C  13/093       (2006.01)
FI B32B 3/06
A61C 13/093
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2014-079295 (P2014-079295)
出願日 平成26年4月8日(2014.4.8)
発明者または考案者 【氏名】原川 良介
出願人 【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 4F100
Fターム 4F100AA37
4F100AB01A
4F100AK00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100DG01
4F100DG07
4F100DG11
4F100EC12
4F100EC14
4F100EC15
4F100EC20
4F100EH31
4F100GB66
4F100JA04
4F100JL11
要約 【課題】樹脂部材と金属部材との接合部で、樹脂部材と金属部材とが剥離するのを抑制することができる複合部材の接合構造、有床義歯、複合部材の製造方法を得る。
【解決手段】複数本の炭素繊維20から構成される繊維シート22が、樹脂部材12の内部と金属部材14の内部とに跨るように配置されている。このため、樹脂部材12と金属部材14とが剥離しようとすると、剥離しようとする力が繊維シート22に伝達される。これにより、樹脂部材と金属部材との接合部で、樹脂部材と金属部材とが剥離するのを抑制することができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
樹脂材料で成形される樹脂部材と、
金属材料に成形され、前記樹脂部材に形成される接触面と接触する被接触面が形成される金属部材と、
前記樹脂部材の前記接触面と前記金属部材の前記被接触面とが接触した状態で、前記接触面及び前記被接触面を横切って、前記樹脂部材の内部と前記金属部材の内部とに跨るように配置される繊維部材と、
を備える複合部材の接合構造。
【請求項2】
前記繊維部材は、一端側から他端側にかけて、前記樹脂部材の内部と前記金属部材の内部とに交互に配置されるように波形状とされる請求項1に記載の複合部材の接合構造。
【請求項3】
前記繊維部材は、炭素繊維である請求項1又は2に記載の複合部材の接合構造。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の複合部材の接合構造を備え、
樹脂材料で成形され、人工歯が一体的に形成される樹脂部材としての樹脂床と、
金属材料で成形され、前記樹脂床が接合される金属部材としての金属床と、を有する有床義歯。
【請求項5】
繊維部材の一部が外部に露出し、前記繊維部材の他の一部が内部に配置される焼却部材を、前記繊維部材と伴に液状の型材に埋没させる埋没工程と、
液状の前記型材を硬化させる硬化工程と、
硬化した前記型材を加熱して前記焼却部材を焼却し、焼却した前記焼却部材を前記型材の外部へ排出する排出工程と、
前記焼却部材が外部へ排出されることで前記型材の内部に形成された空洞に、溶融した金属材料を流し込む鋳造工程と、
前記空洞に流し込まれた金属材料を硬化させて金属部材を成形する金属部材成形工程と、
前記繊維部材の他の一部が内部に配置された前記金属部材を前記型材から取り出す取り出し工程と、
前記金属部材の外部に露出した前記繊維部材の一部が、内部に配置されるように樹脂材料で樹脂部材を成形する樹脂部材成形工程と、
を備える複合部材の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複合部材の接合構造、有床義歯、及び複合部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属材料、ガラス材料、又はセラミック材料と樹脂材料との接合方法(金属樹脂接合方法)が記載されている。この接合方法では、金属材料等と樹脂材料とを合わせた状態で、接合部の樹脂材料に気泡が発生するように接合部を加熱することにより、金属材料等(金属部材)と樹脂材料(樹脂部材)とを接合するようになっている。そして、接合部を加熱する加熱源としては、レーザ光源が用いられる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2007/029440号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の接合方法では、樹脂部材と金属部材とから構成される複合部材に、樹脂部材と金属部材とが相対的に異なる方向に移動する力が加えられると、接合部で樹脂部材と金属部材とが容易に剥離してしまうことが考えられる。
【0005】
本発明の課題は、樹脂部材と金属部材との接合部で、樹脂部材と金属部材とが剥離するのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る複合部材の接合構造は、樹脂材料で成形される樹脂部材と、金属材料に成形され、前記樹脂部材に形成される接触面と接触する被接触面が形成される金属部材と、前記樹脂部材の前記接触面と前記金属部材の前記被接触面とが接触した状態で、前記接触面及び前記被接触面を横切って、前記樹脂部材の内部と前記金属部材の内部とに跨るように配置される繊維部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、樹脂部材の接触面と金属部材の被接触面とが接触した状態で、繊維部材が、接触面及び被接触面を横切って、樹脂部材の内部と金属部材の内部とに跨るように配置される。このため、複合部材に、樹脂部材と金属部材とが相対的に異なる方向に移動する力が加えられた場合に、樹脂部材と金属部材との接合部(接触面及び被接触面)で、樹脂部材と金属部材とが剥離するのを抑制することができる。
【0008】
本発明の請求項2に係る複合部材の接合構造は、請求項1に記載の複合部材の接合構造において、前記繊維部材は、一端側から他端側にかけて、前記樹脂部材の内部と前記金属部材の内部とに交互に配置されるように波形状とされることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、繊維部材は、一端側から他端側にかけて、樹脂部材の内部と金属部材の内部とに交互に配置されるように波形状とされている。このため、直線状の繊維部材を樹脂部材の内部と金属部材の内部とに跨るように配置する場合と比して、樹脂部材と金属部材との接合部で、樹脂部材と金属部材とが離れる離間方向に、樹脂部材と金属部材とが剥離するのを抑制することができる。
【0010】
本発明の請求項3に係る複合部材の接合構造は、請求項1又は2に記載の複合部材の接合構造において、前記繊維部材は、炭素繊維であることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、繊維部材は、炭素繊維である。このため、繊維部材が天然繊維の場合と比して、樹脂部材と金属部材との接合部で、樹脂部材と金属部材とが剥離するのを抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項4に係る有床義歯は、請求項1~3の何れか1項に記載の複合部材の接合構造を備え、樹脂材料で成形され、人工歯が一体的に形成される樹脂部材としての樹脂床と、金属材料で成形され、前記樹脂床が接合される金属部材としての金属床と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、有床義歯に備えられた樹脂床と金属床とを接合するために、請求項1~3の何れか1項に記載された複合部材の接合構造が用いられる。このため、請求項1~3の何れか1項に記載された複合部材の接合構造が用いられない場合と比して、樹脂床と金属床との接合部で、樹脂床と金属床とが剥離するのを抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項5に係る複合部材の製造方法は、繊維部材の一部が外部に露出し、前記繊維部材の他の一部が内部に配置される焼却部材を、前記繊維部材と伴に液状の型材に埋没させる埋没工程と、液状の前記型材を硬化させる硬化工程と、硬化した前記型材を加熱して前記焼却部材を焼却し、焼却した前記焼却部材を前記型材の外部へ排出する排出工程と、前記焼却部材が外部へ排出されることで前記型材の内部に形成された空洞に、溶融した金属材料を流し込む鋳造工程と、前記空洞に流し込まれた金属材料を硬化させて金属部材を成形する金属部材成形工程と、前記繊維部材の他の一部が内部に配置された前記金属部材を前記型材から取り出す取り出し工程と、前記金属部材の外部に露出した前記繊維部材の一部が、内部に配置されるように樹脂材料で樹脂部材を成形する樹脂部材成形工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、繊維部材の一部が外部に露出し、繊維部材の他の一部が内部に配置される焼却部材を、埋没工程で、繊維部材と伴に液状の型材に埋没させる。さらに、排出工程で、硬化した型材を加熱して焼却部材を焼却し、焼却した焼却部材を型材の外部へ排出する。
【0016】
そして、焼却部材が外部へ排出されることで型材の内部に形成された空洞に、鋳造工程で、溶融した金属材料を流し込む。これにより、金属部材成形工程で、繊維部材の他の一部が内部に配置された金属部材が成形される。さらに、樹脂部材成形工程で、金属部材の外部に露出した繊維部材の一部が、内部に配置されるように樹脂材料で樹脂部材を成形する。
【0017】
このようにして、樹脂部材の内部と金属部材の内部とに跨るように配置される繊維部材を備えた複合部材を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、樹脂部材と金属部材との接合部で、樹脂部材と金属部材とが剥離するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る複合部材の接合構造を備える複合部材を示した斜視図、及び断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る複合部材の接合構造を備える複合部材を示した分解斜視図である。
【図3】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る複合部材の製造方法を説明するのに用いた工程図である。
【図4】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る複合部材の製造方法を説明するのに用いた工程図である。
【図5】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る複合部材の製造方法を説明するのに用いた工程図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る有床義歯を示した斜視図である。
【図7】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る有床義歯を示した拡大斜視図、及び分解斜視図である。
【図8】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る有床義歯を示した側面図、及び分解側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る有床義歯に対する比較形態に係る有床義歯を示した側面図である。
【図10】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る有床義歯において、評価に用いた実施例に係る複合部材を示した斜視図、及び分解斜視図である。
【図11】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る有床義歯において、評価に用いた比較例に係る複合部材を示した斜視図、及び分解斜視図である。
【図12】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る有床義歯において、評価に用いる設備を示した概略構成図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る有床義歯において、評価結果をグラフで示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る複合部材の接合構造、及び複合部材の製造方法の一例について図1~図5に従って説明する。

【0021】
(全体構成)
図2には、第1実施形態に係る複合部材の接合構造を備えた複合部材10の分解斜視図が記載されている。この複合部材10は、樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)で直方体状に成形された樹脂部材12と、金属材料(例えば、パラジウム合金)で直方体状に成形された金属部材14とを備えている。さらに、この複合部材10は、繊維部材の一例としての炭素繊維20を直交する二つの方向に配列してシート状とした繊維シート22を備えている。このように、繊維シート22は、複数本の炭素繊維20から構成されている。

【0022】
樹脂部材12には平坦状の接触面12Aが形成され、金属部材14には、樹脂部材12の接触面12Aと接触する被接触面14Aが形成されている。また、接触面12A及び被接触面14Aは、同様の形状とされ、一方向(図中矢印A方向)に延びる長方形状とされている。

【0023】
そして、繊維シート22は、図1(A)(B)に示されるように、接触面12A及び被接触面14Aを横切って、樹脂部材12の内部と金属部材14の内部とに跨るように配置されている。

【0024】
また、繊維シート22が複合部材10の内部に配置された状態で、繊維シート22を構成する炭素繊維20は、前述した一方向と、一方向と直交すると共に樹脂部材12と金属部材14とが接合される接合方向(図中B方向)とに配列されている。

【0025】
(製造方法)
次に、複合部材10の製造方法について説明する。

【0026】
図3(A)に示されるように、繊維シート22の一部が外部に露出するように、繊維シート22の他の一部に焼却部材30を成形する。これにより、繊維シート22の他の一部が、焼却部材30の内部に配置される。焼却部材30の外形形状は、金属部材14(図2参照)の外形形状と同様とされ、直方体状とされている。また、焼却部材30の材料には、加熱すると溶融する材料が用いられ、本実施形態では、一例として、ワックス(蝋)が用いられる。

【0027】
次に、図3(B)に示されるように、この焼却部材30を、繊維シート22と伴に、液状の型材34に埋没させる(埋没工程)。型材34の材料には、耐火性を有する材料が用いられ、本実施形態では、一例として、石膏が用いられる。

【0028】
次に、液状の型材34を乾燥し、型材34を硬化させる(硬化工程)。

【0029】
次に、図4(A)に示されるように、型材34の外部と焼却部材30とを連通する(繋ぐ)貫通孔34Aを形成し、貫通孔34Aの開口を鉛直方向の下方へ向ける。さらに、繊維シート22が酸化しないように型材34を不活性雰囲気下に置いて、型材34を加熱する。そして、型材34に埋没した焼却部材30を溶融し、溶融した材料を、貫通孔34Aを通して型材34の外部へ排出する(排出工程)。これにより、金属部材14(焼却部材30)と同一形状の空洞40が、型材34内に形成される。

【0030】
次に、図4(B)に示されるように、貫通孔34Aの開口を鉛直方向の上方へ向ける。そして、貫通孔34Aを通して空洞40に溶融した金属材料を流し込む(鋳造工程)。

【0031】
次に、型材34を冷却し、空洞40に流し込まれた金属材料を硬化させて金属部材14を成形する(金属部材成形工程)。この状態で、金属部材14を構成する金属材料は、繊維シート22の他の一部に含浸している。

【0032】
次に、超音波等を用いて型材34を粉砕し、図5(A)に示されるように、繊維シート22の他の一部が内部に配置された金属部材14を取り出す(取り出し工程)。

【0033】
次に、図5(B)に示されるように、金属部材14の外部に露出した繊維シート22の一部が、内部に配置されるように樹脂材料で樹脂部材12を成形する(樹脂部材成形工程)。この樹脂部材12の成形については、既知の射出成形工法、又は熱プレス工法等を用いることができる。この状態で、樹脂部材12を構成する樹脂材料は、繊維シート22の一部に含浸している。

【0034】
以上の工程により、樹脂部材12と金属部材14とが接合部で接合された複合部材10が製造される。

【0035】
(作用・効果)
樹脂部材12と金属部材14とが相対的に異なる方向に移動する力が複合部材10に加えられると、接触面12Aと被接触面14Aとが離間して、樹脂部材12と金属部材14とが剥離してしまうことが考えられる。しかし、複数本の炭素繊維20から構成される繊維シート22が、樹脂部材12の内部と金属部材14の内部とに跨るように配置されている。このため、樹脂部材12と金属部材14とが剥離しようとすると、剥離しようとする力が繊維シート22に伝達される。

【0036】
ここで、繊維シート22の一部には、樹脂部材12を構成する樹脂材料が含浸し、繊維シート22の他の一部には、金属部材14を構成する金属材料が含浸している。このため、樹脂部材12の内部から繊維シート22が抜き出るのが抑制されると共に、金属部材14の内部から繊維シート22が抜き出るのが抑制される。これにより、樹脂部材12と金属部材14との接合部で、樹脂部材12と金属部材14とが剥離するのを抑制することができる。

【0037】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る複合部材の接合構造を備えた有床義歯の一例について図6~図13に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。

【0038】
(構成・作用)
第2実施形態に係る有床義歯50は、図6に示すように、人工歯52が一体的に成形される樹脂部材の一例としての樹脂床54と、樹脂床54が接合される金属部材の一例としての金属床56とを備えている。具体的には、樹脂床54が一対備えられ、一対の樹脂床54の間に金属床56が配置されている。

【0039】
図7(A)(B)に示されるように、金属床56には、樹脂床54に形成される接触面54Aと接触する被接触面56Aが形成されている。

【0040】
そして、接触面54Aと被接触面56Aとが接触した状態(図7(A)参照)で、接触面54A及び被接触面56Aを横切って、樹脂床54の内部と金属床56の内部とに跨るように配置される複数本の炭素繊維20の束である炭素繊維束60が備えられている。

【0041】
具体的には、図8(A)(B)に示されるように、炭素繊維束60(炭素繊維20)は、一端側(図中左端側)から他端側(図中右端側)にかけて、樹脂床54の内部と金属床56の内部とに交互に配置されるように波形状とされている。そして、樹脂床54の内部に配置された炭素繊維束60の一部に、樹脂床54を構成する樹脂材料が含侵し、金属床56の内部に配置された炭素繊維束60の他の一部に、金属床56を構成する金属材料が含浸している。

【0042】
このように、炭素繊維束60(炭素繊維20)は、波形状とされ、樹脂床54の内部と金属床56の内部とに交互に配置されている。このため、複数の直線状の炭素繊維束90を樹脂床54の内部と金属床56の内部とに跨るように配置する場合(比較形態:図9参照)と比して、アンカー効果が生じるため、樹脂床54と金属床56とが離れる離間方向に、樹脂床54と金属床56とが接合部で剥離するのを抑制することができる。

【0043】
(評価)
次に、樹脂部材と金属部材との接合に炭素繊維を用いた場合(実施例)と、炭素繊維を用いなかった場合(比較例)とを評価した評価結果等について説明する。

【0044】
[評価仕様]
・実施例:図10(A)には、実施例に係る複合部材70が示され、図10(B)には、複合部材70を構成する樹脂部材72と金属部材74とが別々に示されている。

【0045】
図10(A)に示されるように、図中矢印E方向に延びる直方体状の樹脂部材72の内部に、矢印E方向に延びる板状の金属部材74が配置されている。この金属部材74には、図10(B)に示されるように、波形状となるように、金属部材74の表裏を貫通する炭素繊維束76が備えられている。なお、複合部材70の寸法については、JIS K7074における試験片の標準寸法とされている。
・比較例:図11(A)には、比較例に係る複合部材80が示され、図11(B)には、複合部材80を構成する樹脂部材82と金属部材84とが別々に示されている。複合部材80については、金属部材84に炭素繊維束76が備えられていない点を除いて、複合部材70と同一である。

【0046】
[評価方法]
JIS K7074の3点曲げ試験方法により、複合部材70、80を評価する。具体的には、図12(A)(B)に示されるように、複合部材70、80の長手方向の両端部を下方から支持し、先端球状の圧子で複合部材70、80の長手方向の中央部を上方から押圧する。そして、複合部材70、80の長手方向の中央部の変位δと、この変位δに対する荷重Fを導出する。

【0047】
[評価結果]
図13には、複合部材70、80を評価した評価結果がグラフで示されている。グラフの横軸は、複合部材70、80の長手方向の中央部の変位δであり、グラフの縦軸は、変位δに対する荷重Fである。また、グラフ中の実線が、実施例に係る複合部材70の評価結果を示し、グラフ中の点線は、比較例に係る複合部材80の評価結果を示している。

【0048】
複合部材70に荷重Fを負荷してから荷重Fが最大値になるまで(図中範囲J)を比較すると、 同一の値の荷重Fを複合部材70、80に負荷した場合は、複合部材70の変位δが複合部材80の変位δより小さいのが分かる。

【0049】
これは、実施例に係る複合部材70では、樹脂部材72と金属部材74との接触面(被接触面)に剪断方向の力が作用すると、炭素繊維束76によって、接触面における剪断方向の剥離が抑制されるためである。なお、複合部材70については、荷重Fが最大値となった後、発生荷重Fが急激に減少している。これは、樹脂部材72と炭素繊維束76との結合(接合)が解除されたため、発生したものと考えられる。

【0050】
以上の評価結果からも分かるように、本実施例の複合部材70では、炭素繊維束76(炭素繊維)を備えることで、樹脂部材72と金属部材74との剥離が抑制される。

【0051】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第1実施形態では、樹脂部材12を構成する樹脂材料としてアクリル樹脂を用いたが、エポキシ樹脂等の他の樹脂材料を用いてもよい。

【0052】
また、上記第1実施形態では、金属部材14を構成する金属材料としてパラジウム合金を用いたが、銀合金等の他の金属材料を用いてもよい。

【0053】
また、上記第1実施形態では、繊維シート22が、接触面12A及び被接触面14Aを横切って、樹脂部材12の内部と金属部材14の内部とに跨るように配置されたが、繊維シート22ではなく、炭素繊維20が、樹脂部材12の内部と金属部材14の内部とに跨るように配置されていればよく、一本の炭素繊維20であってよく、複数本の炭素繊維20であってもよい。

【0054】
また、上記第1、第2実施形態では、繊維部材として炭素繊維20を用いたが、繊維部材としてパラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維、メタ系アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維等を用いてもよい。

【0055】
また、上記第1実施形態では、焼却部材30として、一例として、加熱すると溶融するワックス(蝋)が用いられたが、加熱すると焼却されるレジンやプラスチック等を用いてもよい。

【0056】
また、上記第1実施形態では、型材34を硬化させた後に、型材34の外部と焼却部材30とを連通する(繋ぐ)貫通孔34Aを形成したが、例えば、液状の型材34を乾燥し、型材34を硬化させる(硬化工程)際に、貫通孔34Aを形成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 複合部材
12 樹脂部材
12A 接触面
14 金属部材
14A 被接触面
20 炭素繊維(繊維部材の一例)
22 繊維シート
30 焼却部材
34 型材
40 空洞
50 有床義歯
54 樹脂床
54A 接触面
56 金属床
56A 被接触面
60 炭素繊維束
70 複合部材
72 樹脂部材
74 金属部材
76 炭素繊維束
図面
【図6】
0
【図7】
1
【図11】
2
【図12】
3
【図13】
4
【図1】
5
【図2】
6
【図3】
7
【図4】
8
【図5】
9
【図8】
10
【図9】
11
【図10】
12