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明細書 :内視鏡用訓練装置および内視鏡用訓練プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-196075 (P2015-196075A)
公開日 平成27年11月9日(2015.11.9)
発明の名称または考案の名称 内視鏡用訓練装置および内視鏡用訓練プログラム
国際特許分類 A61B   1/00        (2006.01)
G09B  23/28        (2006.01)
FI A61B 1/00 300B
G09B 23/28
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2014-077322 (P2014-077322)
出願日 平成26年4月3日(2014.4.3)
発明者または考案者 【氏名】久米 恵一郎
【氏名】滝本 隆
出願人 【識別番号】506087705
【氏名又は名称】学校法人産業医科大学
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100182567、【弁理士】、【氏名又は名称】遠坂 啓太
審査請求 未請求
テーマコード 2C032
4C161
Fターム 2C032CA03
2C032CA06
4C161GG11
4C161JJ08
4C161NN10
要約 【課題】操作者による内視鏡操作の訓練が正確に評価できることで、内視鏡操作の習熟を短期間に向上させることができる内視鏡用訓練装置および内視鏡用訓練プログラムを提供する。
【解決手段】内視鏡用訓練装置10は、内視鏡が挿入される腸管モデル20と、腸管モデル20に挿入された内視鏡による腸管モデル20の形状変形を検知する直線変位センサ31および曲げセンサ32によるセンサ手段30と、センサ手段30により検知された腸管モデル20の変形量に基づいて、内視鏡の挿入操作を採点する評価手段として機能する制御装置60と、腸管当接部41により腸管モデル20の腸管を縮経したり、拡経したりして、腸管の蠕動運動を再現する蠕動運動手段40とを備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
内視鏡が挿入される腸管モデルと、
前記腸管モデルに挿入された内視鏡による前記腸管モデルの形状変形を検知するセンサ手段と、
前記センサ手段により検知された前記腸管モデルの変形量に基づいて、前記内視鏡の挿入操作を採点する評価手段とを備えたことを特徴とする内視鏡用訓練装置。
【請求項2】
前記腸管モデルには、腸管の蠕動運動を再現する蠕動運動手段が設けられた請求項1記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項3】
前記蠕動運動手段は、前記腸管モデルに巻かれて緊張または弛緩する紐状体と、前記紐状体を挿通させた状態で前記腸管モデルの外周面を押圧する複数の押圧体とを備えた請求項2記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項4】
前記押圧体は、前記紐状体を挿通させて連ねた円環状の板材により形成されている請求項3内視鏡用訓練装置。
【請求項5】
前記蠕動運動手段は、前記腸管モデルが縮径したときに、前記腸管モデルの凹み易い部位に対して凹み難い部位に取り付けられた複数の押圧体と、前記複数の押圧体を連結して、前記複数の押圧体を接近または離間させる紐状体とを備えた請求項2記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項6】
前記紐状体は、通電時に収縮し、非通電時に元の状態に復帰する金属線材により形成されている請求項3から5のいずれかの項に記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項7】
前記センサ手段は、前記腸管モデルに沿って配置され、前記腸管モデルの曲がり量を検出するものである請求項1から6のいずれかの項に記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項8】
前記センサ手段は、前記腸管モデルに先端部が接続され、基端部を基準に前記先端部の移動量を検出するものである請求項1から6のいずれかの項に記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項9】
前記評価手段は、前記センサ手段からの前記腸管モデルの変形量を示す変形量情報と、前記腸管モデルの腸壁の変形持続時間を示す時間情報とに基づいて採点する請求項1から8のいずれかの項に記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項10】
前記評価手段は、基準となる内視鏡の操作を示す前記変形量情報を基準変形量情報として格納する記憶手段と、前記記憶手段に格納された前記基準変形量情報と訓練する操作者が内視鏡を操作したときの前記変形量情報との差分に、前記時間情報を乗じて採点する請求項9記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項11】
前記評価手段は、前記センサ手段により検知された前記腸管モデルの変形量から前記蠕動運動手段による前記腸管モデルの変形量を除去する請求項2記載の内視鏡用訓練装置。
【請求項12】
コンピュータを、
内視鏡を挿入することによって形状変形する腸管モデルの変形量を示す変形量情報をセンサ手段から入力し、前記変形量情報に基づいて、前記内視鏡の挿入操作を採点するための評価手段として機能させることを特徴とする内視鏡用訓練プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を操作する操作者が、人体の腸管を模した腸管モデルに内視鏡を挿入して、内視鏡の操作を訓練する内視鏡用訓練装置および内視鏡用訓練プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の内視鏡用訓練装置に関する技術として、特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の大腸内視鏡挿入練習装置は、5種類の横行結腸ユニットや、7種類のS字結腸ユニットのいずれかを適宜選択的に取付けるようにしたものである。また、特許文献1の大腸内視鏡挿入練習装置には、歪み量検出装置に、歪み検知器から出力される検出信号に基づいて、制御手段が患者の苦痛の程度を判断して、例えば患者の苦痛の程度がある値を越えると警報装置が警告音を出すことが記載されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の内視鏡用訓練装置は、内視鏡がS字結腸の内壁を押圧して内壁が延びたときに、S字結腸の体積が変化して、第2のチャンバーから第2の水槽に押し出された水の流量を、第2の流量計で測定して、この流量が所定値を超えた場合、検出信号処理回路が、実物の臓器の内壁が破れる、又は被験者が苦痛を感じると、判断して警告を発するものである。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平10-211160号公報
【特許文献2】特開2014-6444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の大腸内視鏡挿入練習装置では、制御手段が患者の苦痛の程度を判断して、警報装置が警告音を出すものであるが、警告音だけでは、操作者は、どの程度、習熟度が向上しているかが分かり難い。
また、特許文献2に記載の内視鏡用訓練装置では、流量が所定値を超えたときに警告を発するが、単に腸管の体積の変化だけでは、内視鏡の操作を正確に評価することは難しい。例えば、操作者が、内視鏡を腸管に進行させるときに、患者に苦痛を与えてしまうような大きな変形をさせたが、腸管の体積変化が小さいようなケースでは、特許文献2に記載の内視鏡用訓練装置は、このケースを検出することができない。
【0007】
内視鏡の操作は、操作者が腸管に内視鏡を挿入して進行させるときに、必要な箇所では腸管を大きく変形させ、刺激に敏感な箇所では必要以上な変形を抑える必要がある。
そして、内視鏡用訓練装置では、このような操作を正確に評価できるようにして、操作者の習熟が短期間に向上できるようにするのが望ましい。
【0008】
そこで本発明は、操作者による内視鏡操作の訓練が正確に評価できることで、操作者の内視鏡操作の習熟を短期間に向上させることができる内視鏡用訓練装置および内視鏡用訓練プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡用訓練装置は、内視鏡が挿入される腸管モデルと、前記腸管モデルに挿入された内視鏡による前記腸管モデルの形状変形を検知するセンサ手段と、前記センサ手段により検知された前記腸管モデルの変形量に基づいて、前記内視鏡の挿入操作を採点する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の内視鏡用訓練装置によれば、腸管モデルに内視鏡が挿入されると、腸管モデルの形状変形をセンサ手段が検知する。このセンサ手段が検知した腸管モデルの変形量に基づいて、評価手段が内視鏡の挿入操作を採点するため、操作訓練のために内視鏡を操作する操作者の技量を正確に評価することができる。
【0011】
前記腸管モデルには、腸管の蠕動運動を再現する蠕動運動手段が設けられているのが望ましい。腸管モデルが蠕動運動手段によって蠕動運動が再現されるので、操作者は人体の腸管に則した訓練を行うことができる。
【0012】
前記蠕動運動手段は、前記腸管モデルに巻かれて緊張または弛緩する紐状体と、前記紐状体を挿通させた状態で前記腸管モデルの外周面を押圧する複数の押圧体とを備えているのが望ましい。腸管モデルに巻かれる紐状体が、緊張または弛緩して、紐状体を挿通させた複数の押圧体が腸管モデルの外周面を押圧することにより、平均的に腸管モデルを縮径させることができるので、忠実に蠕動運動を再現することができる。
【0013】
前記押圧体は、前記紐状体を挿通させて連ねた円環状の板材により形成されているのが望ましい。紐状体を挿通させることによって連なった円環状の板材が、腸管モデルに巻かれた紐状体に沿って腸管モデルの外周面の円弧面に、順次当接して押圧するので、撓み難い部位にも当接して平均的に腸管モデルを縮径させることができる。
【0014】
前記蠕動運動手段は、前記腸管モデルが縮径したときに、前記腸管モデルの凹み易い部位に対して凹み難い部位に取り付けられた複数の押圧体と、前記複数の押圧体を連結して、前記複数の押圧体を接近または離間させる紐状体とを備えているのが望ましい。腸管モデルが縮径したときに、凹み難い部位に取り付けられた複数の押圧体が、紐状体によって接近することで、腸管モデルが縮径し、または複数の押圧体が離間して、腸管モデルが元の状態に復帰する。従って、腸管モデルに凹み難い部位があっても、平均的に腸管モデルを縮径させることができる。
【0015】
前記紐状体は、通電時に収縮し、非通電時に元の状態に復帰する金属線材により形成されているのが望ましい。紐状体が、通電時に収縮し、非通電時に元の状態に復帰する金属線材により形成されていれば、通電または非通電とすることで、紐状体として容易に緊張または弛緩させることができる。
【0016】
前記センサ手段は、前記腸管モデルに沿って配置され、前記腸管モデルの曲がり量を検出するものであるのが望ましい。センサ手段が腸管モデルに沿って配置されて、腸管モデルの曲がり量を検出するものであれば、内視鏡の挿入により腸管モデルの曲がりの変化による患者の苦痛度合いを測定することができる。
【0017】
また、前記センサ手段は、前記腸管モデルに先端部が接続され、基端部を基準に前記先端部の移動量を検出するものであるのが望ましい。センサ手段が腸管モデルに接続された先端部の移動量を検出するものであれば、内視鏡の挿入により腸管モデルが変形することによる患者の苦痛度合いを測定することができる。
【0018】
前記評価手段は、前記センサ手段からの前記腸管モデルの変形量を示す変形量情報と、前記腸管モデルの腸壁の変形持続時間を示す時間情報とに基づいて採点するのが望ましい。患者の苦痛は腸管モデルの変形量だけでなく、この変形がどの程度持続したかによっても影響を受ける。従って、評価手段が、センサ手段からの腸管モデルの変形量を示す変形量情報と、腸壁の変形持続時間を示す時間情報とに基づいて採点することで、患者の苦痛度合いを正確に測定できるので、操作者の技量を正確に測定することができる。
【0019】
前記評価手段は、基準となる内視鏡の操作を示す前記変形量情報を基準変形量情報として格納する記憶手段と、前記記憶手段に格納された前記基準変形量情報と訓練する操作者が内視鏡を操作したときの前記変形量情報との差分に、前記時間情報を乗じて採点するのが望ましい。評価手段が、基準となる基準となる内視鏡の操作を示す変形量情報を基準変形量情報として、訓練する操作者が内視鏡を操作したときの変形量情報との差分を算出して、時間情報を乗じて採点することで、操作者の操作による腸管モデルの変形が、基準となる操作者よりも劣っていれば患者が苦痛を受けていると判定することができ、優れていれば患者に苦痛を与えることなく内視鏡を操作していると判定することができる。
【0020】
前記評価手段は、前記センサ手段により検知された前記腸管モデルの変形量から前記蠕動運動手段による前記腸管モデルの変形量を除去するのが望ましい。蠕動運動手段による腸管モデルが変形するため、評価手段での挿入操作を採点する際に、センサ手段により検知された腸管モデルの変形量から、蠕動運動手段による腸管モデルの変形量を除去することで、内視鏡による腸管モデルの変形を正確に測定することができる。
【0021】
また、本発明の内視鏡用訓練装置は、コンピュータを、内視鏡を挿入することによって形状変形する腸管モデルの変形量を示す変形量情報をセンサ手段から入力し、前記変形量情報に基づいて、前記内視鏡の挿入操作を採点する評価手段として機能させる内視鏡用訓練プログラムにより実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の内視鏡用訓練装置および内視鏡用訓練プログラムによれば、センサ手段が検知した腸管モデルの変形量に基づいて、評価手段が内視鏡の挿入操作を採点するため、操作訓練のために内視鏡を操作する操作者の技量を正確に評価することができるので、操作者の内視鏡操作の習熟を短期間に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る内視鏡用訓練装置の全体を示す図である。
【図2】図1に示す内視鏡用訓練装置の斜視図である。
【図3】図1に示す内視鏡用訓練装置の制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】(A)および(B)は、図1に示す内視鏡用訓練装置の腸管当接部を説明するための図である。
【図5】腸管モデルの蠕動運動を説明するための図である。
【図6】(A)から(E)は、図1に示す内視鏡用訓練装置の動作および使用状態を説明するための図であり、αループとなったS状結腸に内視鏡の挿入部を、αループを解除して進行させる状態の図である。
【図7】(A)から(C)は、図1に示す内視鏡用訓練装置の動作および使用状態を説明するための図であり、αループとなったS状結腸に内視鏡の挿入部を、αループを解除せずに進行させる状態の図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る内視鏡用訓練装置の全体を示す図である。
【図9】図8に示す内視鏡用訓練装置の腸管当接部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る内視鏡用訓練装置について、図面に基づいて説明する。
図1に示す内視鏡用訓練装置10は、腸管モデル20と、センサ手段30と、蠕動運動手段40と、評価手段50(図3参照)とを備えている。

【0025】
腸管モデル20は、人体の腸管を模したもので、軟質な樹脂材やゴム材により形成されている。腸管モデル20は、例えば、シリコーン樹脂やポリウレタンゴムなどで成形することができる。本実施の形態1では、腸管モデル20を、肛門201と、直腸202と、S状結腸203と、下行結腸204と、横行結腸205と、上行結腸206と、盲腸207と、虫垂208とが形成された大腸を模したものとしている。腸管モデル20は、筐体21に収納されている。
筐体21は、箱状に形成されている。図2に示すように、筐体21の前面壁部211には、肛門201が接続された開口部212が形成されている。

【0026】
図1に示すように、センサ手段30は、腸管モデル20の形状変形を検知して、変形量を示す変形量情報を評価手段50へ出力する。センサ手段30は、先端部が腸管モデル20に接続され、基端部が筐体21に回動可能に接続された直線変位センサ31と、腸管モデル20に沿って配置された曲げセンサ32とを備えている。

【0027】
直線変位センサ31は、リニアポテンショメータとも称されるセンサである。直線変位センサ31は、センサ本体からの軸部の突出量(スライド量)に応じた抵抗値となる可変抵抗器である。直線変位センサ31が、先端部が腸管モデル20に接続され、基端部が筐体21に回動可能に接続されていることで、基端部を基準に、先端部の移動量を、腸管モデル20の変形量として検出することができる。
曲げセンサ32は、曲がり状態に応じた抵抗値となるもので、腸管モデル20に沿って配置されていることで、腸管モデル20の曲がり量を、腸管モデル20の変形量として検出することができる。

【0028】
なお、図1においては、センサ手段30が、腸管モデル20の5箇所に配置しているように図示しているが、センサ手段30は、訓練する操作者の訓練を評価するのに必要な位置に配置されている。

【0029】
蠕動運動手段40は、図1に示す腸管当接部41と、図3に示す運動制御手段42および駆動手段43とを備えている。
図4(A)および同図(B)に示すように、腸管当接部41は、腸管モデル20に巻かれて緊張または弛緩する紐状体411と、紐状体411を挿通させた状態で、腸管モデル20の外周面を押圧する複数の押圧体412とを備えている。

【0030】
紐状体411は、通電時に収縮し、非通電時に元の状態に復帰する金属線材により形成されている。紐状体411としては、例えば、バイオメタル(登録商標)が使用できる。押圧体412は、中央部に貫通孔に、紐状体411を挿通させて連ねた円環状の板材により形成されている。

【0031】
図4(A)に示す腸管当接部41では、腸管モデル20の外周面全体に、押圧体412が配置されている。また、図4(B)に示す腸管当接部41では、押圧体412が、腸管モデル20を縮径させたときに、腸管モデル20の凹み易い部位20aに対して凹み難い部位20bに配置されている。このように、腸管当接部41は、腸管モデル20の状態に応じて、図4(A)のように全体に押圧体412を配置したり、図4(B)のように凹みが必要な箇所に押圧体412を配置したりすることができる。

【0032】
図3に示す運動制御手段42は、腸管モデル20に腸管の蠕動運動を再現するために、腸管当接部41の紐状体411に通電の指示を行う。駆動手段43は、運動制御手段42の指示に基づいて、紐状体411に電流を駆動する機能を有している。

【0033】
図3に示す評価手段50は、AD変換手段51と、記憶手段52と、表示手段53と、演算手段54とを備えている。
AD変換手段51は、センサ手段30からのアナログ信号を、演算手段54が演算できるように、デジタル信号に変換する機能を有している。センサ手段30がデジタル信号を出力するものであれば、AD変換手段51は省略することができる。

【0034】
記憶手段52は、基準となる変形量情報を基準変形量情報として格納している。記憶手段52は、ハードディスクドライブとしたり、フラッシュメモリとしたりすることができる。
この基準変形量情報は、熟練した操作者が内視鏡を操作したときの変形量情報としたり、理想とする手順により内視鏡を操作したときの変形量情報としたりすることができる。
熟練した操作者は、教育機関で初心者に教えるような理想とする手順でなくても、被術者に苦痛を与えずに内視鏡を操作するノウハウを有している場合が多い。従って、基準変形量情報を、理想とする手順としたり、熟練した操作者による手順としたりすることができる。

【0035】
基準変形量情報を理想とする手順とするときには、予め記憶手段52に、腸管モデル20の変形量を想定して設定しておく。また、基準変形量情報を熟練した操作者による手順とするときには、何人かの操作者が腸管モデル20に内視鏡を挿入してセンサ手段30による変形量情報を測定し、その平均値を算出して基準変形量情報とすることができる。
何人かの熟練した操作者で変形量情報を測定したときに、変形量情報のばらつきが大きくなるときには、理想とする手順による変形量情報を、基準変形量情報とするのが好ましい。

【0036】
表示手段53は、演算手段54からの表示データを表示するものである。表示手段53は、LCDや有機ELディスプレイ、CRTとすることができる。
演算手段54は、センサ手段30により検知された腸管モデル20の変形量を示す変形量情報を、AD変換手段51を介して入力し、この変形量情報に基づいて内視鏡の挿入操作を採点する機能を備えている。

【0037】
図3に示すように、蠕動運動手段40の運動制御手段42および駆動手段43と、評価手段50のAD変換手段51、記憶手段52、表示手段53および演算手段54とは、入力手段61と共に、制御装置60を構成する。

【0038】
制御装置60は、デスクトップ型やノートブック型、タブレット型などのパーソナルコンピュータとすることができる。運動制御手段42は、ハードウェアで構成することができる。また、運動制御手段42は、コンピュータを運動制御手段42として機能させる蠕動運動制御プログラムにより構成することもできる。
更に、評価手段50の演算手段54は、コンピュータを演算手段54として機能させる内視鏡用訓練プログラムにより構成することができる。

【0039】
入力手段61は、例えば、電源ボタン、スタートボタン、ストップボタンなどを備えた操作盤とすることができる。制御装置60を、デスクトップ型やノートブック型のパーソナルコンピュータとしたときには、入力手段61はキーボードとすることができる。

【0040】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る内視鏡用訓練装置の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。

【0041】
まず、入力手段61の電源ボタンを押下して、制御装置60の電源を投入する。制御装置60の電源投入に伴って、運動制御手段42は、駆動手段43に、紐状体411への通電の指示を行う。紐状体411が通電状態となったり、非通電状態となったりすることで、紐状体411は通電時に収縮し、非通電時に元の状態に復帰する。

【0042】
この紐状体411の収縮により、押圧体412が腸管モデル20の腸壁の外周面を押圧して、腸管モデル20が縮径する。また、紐状体411が元の状態に復帰することで、紐状体411が伸張して腸管モデル20が拡径する。運動制御手段42は、図5に示すように、腸管モデル20の管腔を伸縮する波を、肛門201へ伝達することで、便が排出方向に向かうように、腸管の蠕動運動を再現させる。

【0043】
図4(A)に示す蠕動運動手段40の腸管当接部41では、腸管モデル20の外周面全体に、円環状の板材により形成された押圧体412が連なった状態で配置されているため、紐状体411だけでは1次元的に腸管モデル20を緊縛するが、押圧体412が設けられていると、紐状体411が収縮することで、押圧体412が2次元的に面で、順次当接して押圧するため、撓み難い部位にも当接して、平均的に腸管モデル20を縮径することができる。

【0044】
また、図4(B)に示す腸管モデル20では、窪みがあるため、腸管モデル20を全体的に縮径させようとすると、凹み易い部位20aが先に撓むため、凹み難い部位20bは撓み難い。このような腸管モデル20である場合には、腸管当接部41が、腸管モデル20の凹み易い部位20aに対して、凹み難い部位20bに押圧体412が配置されている。

【0045】
そのため、腸管モデル20を縮径したときに、凹み難い部位20bに取り付けられた複数の押圧体412が、紐状体411によって接近することで、腸管モデル20が縮径し、または複数の押圧体412が離間して、元の状態に復帰する。従って、腸管モデル20に凹み難い部位20bがあっても、平均的に腸管モデル20を同心円状に縮径させることができる。

【0046】
また、押圧体412を繋ぐ紐状体411が、通電時に収縮し、非通電時に元の状態に復帰する金属線材により形成されているため、運動制御手段42により、通電または非通電を指示することで、容易に紐状体411により腸管モデル20を緊張または弛緩させることができる。

【0047】
訓練をする操作者(以下、これを「訓練者」と称す。)は、内視鏡を持ち、まず、図1に示すように、制御装置60の入力手段61のスタートボタンを押下する。そして、腸管に挿入される内視鏡の挿入部を、筐体21の開口部212(図2参照)を介して、腸管モデル20の肛門201に挿入する。なお、記憶手段52に格納された基準変形量情報として、熟練した操作者が内視鏡を操作したときの変形量情報、または理想とする手順により内視鏡を操作したときの変形量情報のいずれかを使用するかは、予め入力手段61により指定しているものとする。
入力手段61のスタートボタンが押下されたことで、評価手段50の演算手段54(図3参照)は時間を計測し始める。

【0048】
訓練者は、挿入部を進行させて、挿入部を肛門201から直腸202を通過してS状結腸203へと進入させる。ここで、αループとなったS状結腸203を、右回転短縮法(right turn shortening technique)により解除すると共に、下行結腸204へ進入させるときの評価法について、図6(A)から同図(E)に基づいて説明する。なお、図6(A)から同図(E)においては、直線変位センサ31を用いて腸管モデル20の変形を検出する例を説明する。

【0049】
図6(A)に示すように、αループとなったS状結腸203には、センサ手段30の直線変位センサ31(31a~31c)のそれぞれが、αループのSトップ部203aと、直腸・S状結腸移行部203bと、S状結腸・下行結腸移行部203cから肛門201側に約10cm以内の範囲で寄った部位とに接続されている。
まず、訓練者は、内視鏡の挿入部Xを、肛門203aからSトップ部203aまで進行させ、アップアングルを掛けて腸管を固定する。
この時点では、挿入部XがSトップ部203aまで進行しても、直線変位センサ31a~31cは初期状態のままであるのが望ましい。このときの直線変位センサ31a~31cが示す変形量情報が初期値となる。

【0050】
記憶手段52に格納された基準変形量情報は、基準となる変形量情報であるため、直線変位センサ31a~31cが変位しない初期状態の値が格納される。演算手段54は、このときの直線変位センサ31a~31cからの変形量情報と、初期状態の基準変形量情報との差分が0であれば加点する。しかし、差分がある場合には、基準となる操作者とは異なる操作を行ったことになるため、差に応じた減点をする。
このように、腸管モデル20に接続された直線変位センサ31により、挿入部Xの先端部の移動量を、腸管モデル20の変形量として検出することができるので、内視鏡の挿入により腸管モデル20の変形による患者の苦痛度合いを測定することができる。

【0051】
更に、直線変位センサ31a~31cが変位し始めた時から、変位が終了した時までの変形持続時間を時間情報として、これらの採点に乗算する。
これは、腸管の変形が持続して長引けば、その分、被術者に苦痛を与えていることなる。内視鏡の操作では、腸管が変形しない操作であれば、腸管の変形が少ない方が望ましく、また、腸管の変形が必要な操作であれば、基準変形量情報に近い操作が望ましく、腸管の変形に要する時間が短い方が望ましい。従って、内視鏡用訓練装置10では、変形持続時間を採点の一つの要素しているため、患者の苦痛度合いを正確に測定できるので、訓練者の技量を正確に測定することができる。

【0052】
次に、訓練者は、図6(A)の状態から、挿入部Xを、図6(B)に示すように右回転させる。この操作では、挿入部Xの右回転により、直腸・S状結腸移行部203bが右回転して直線変位センサ31bは伸張するのが望ましい。また、直線変位センサ31a,31cは、この挿入部Xの右回転によっても、変位しないのが望ましい。

【0053】
従って、直線変位センサ31bについての基準変形量情報は、図6(A)に示す状態から図6(B)に示す状態に、直線変位センサ31bが伸張したときの値を示している。また、直線変位センサ31a,31cについての基準変形量情報は、初期状態の値を示している。

【0054】
演算手段54は、このときの直線変位センサ31a~31cからの変形量情報と、これらの直線変位センサ31a~31cについての基準変形量情報とのそれぞれの差分が0であれば加点し、差分がある場合には、差に応じた減点をする。更に、演算手段54は、直線変位センサ31a~31cが変位し始めた時から、変位が終了した時までを、変形持続時間として、これらの採点に乗算する。

【0055】
次に、訓練者は、図6(B)の状態から、挿入部Xを、図6(C)に示すように更に右回転させる。この挿入部Xの更に右回転によりαループが解除される。
この操作では、挿入部Xの更なる右回転により、直腸・S状結腸移行部203bが右回転して、直線変位センサ31bが更に伸張する。このときにおいても、直線変位センサ31a,31cは変位しないのが望ましい。

【0056】
従って、直線変位センサ31bについての基準変形量情報は、図6(C)に示す状態から更に伸張したときの値を示している。また、直線変位センサ31a,31cについての基準変形量情報は、初期状態の値を示している。

【0057】
演算手段54は、このときの直線変位センサ31a~31cからの変形量情報と、これらの直線変位センサ31a~31cについての基準変形量情報とのそれぞれの差分が0であれば加点し、差分がある場合には、差に応じた減点をする。更に、演算手段54は、直線変位センサ31a~31cが変位し始めた時から、変位が終了した時までを、変形持続時間として、これらの採点に乗算する。

【0058】
次に、訓練者は、図6(D)に示すように、挿入部Xを引き、挿入部Xのアップアングル状態の先端部によりS状結腸203を手繰り寄せることで、S状結腸203を短縮する。
この操作では、直腸・S状結腸移行部203bはそのままの位置で、Sトップ部203aは、直線変位センサ31aが伸張する方向に変位し、S状結腸・下行結腸移行部203cは、直線変位センサ31cが収縮する方向に変位するのが望ましい。

【0059】
従って、直線変位センサ31bについての基準変形量情報は、図6(C)に示す状態と同じ値を示している。また、直線変位センサ31aについての基準変形量情報は、初期状態から伸張した値を示している。また、直線変位センサ31cについての基準変形量情報は、初期状態から収縮した値を示している。
演算手段54は、これらの基準変形量情報と、このときの直線変位センサ31a~31cからの変形量情報とから採点する。更に、演算手段54は、これらの採点に変形持続時間を乗算する。

【0060】
次に、訓練者は、挿入部Xを、図6(E)に示すように、挿入部Xの先端部のアップアングルを解除して進行させることで、S状結腸203を通過させ、下行結腸204へ進行させる。
この操作では、Sトップ部203aおよび直腸・S状結腸移行部203bはそのままの位置で、S状結腸・下行結腸移行部203cは、直線変位センサ31cが伸張する方向に変位するのが望ましい。

【0061】
従って、直線変位センサ31a,31bについての基準変形量情報は、図6(D)に示す状態と同じ値を示している。また、直線変位センサ31cについての基準変形量情報は、初期状態から伸張した値を示している。
演算手段54は、これらの基準変形量情報と、このときの直線変位センサ31a~31cからの変形量情報とから採点する。更に、演算手段54は、これらの採点に変形持続時間を乗算する。

【0062】
ここで、αループとなったS状結腸203を解除せずに、挿入部Xをαループに沿って挿入したときの評価法について、図7(A)から同図(C)に基づいて説明する。なお、図7(A)から同図(C)においては、直線変位センサ31は、図6(A)から同図(E)を用いて説明したαループを解除するときの評価法と同じ位置である。

【0063】
図7(A)に示すように、まず、訓練者は、内視鏡の挿入部Xを肛門203aからSトップ部203aまで、そのまま直線的に挿入して進行させる。この状態では、挿入部XがSトップ部203aまで進行しても、直線変位センサ31a~31cは初期状態のままである。肛門201からSトップ部203aまでの変形が初期状態であるため、演算手段54は、このときの直線変位センサ31a~31cからの変形量情報と、初期状態の基準変形量情報とから、差分が0であれば加点する。

【0064】
しかし、図7(B)に示すように、訓練者が、挿入部XをSトップ部203aに至ってもそのまま直線的に進行させてしまうと、挿入部XがSトップ部203aを押し上げることでSトップ部203aが伸展しなくなる。訓練者は、挿入部Xの直線的な進行が困難になったことを契機に、挿入部Xにアップアングルを掛ける。
この操作により、直線変位センサ31aが収縮する方向に変位し、直線変位センサ31bが変位せず、直線変位センサ31cが伸長する方向に変位する。
従って、直線変位センサ31aからの変形量情報が基準変形量情報より収縮した状態を示し、直線変位センサ31bからの変形量情報が基準変形量情報と同じ値を示し、直線変位センサ31cからの変形量情報が基準変形量情報より伸長した状態を示す。

【0065】
このような、挿入部XをSトップ部203aに至ってもそのまま直線的に進行させるような操作は、患者に苦痛を与えるため、演算手段54は変形量情報と基準変形量情報とに基づいて減点する。更に、演算手段54は、これらの採点に変形持続時間を乗算して採点とする。つまり、苦痛の持続時間が長ければ減点の度合いが大きくなる。

【0066】
次に、訓練者は、図7(B)の状態から、挿入部Xを、図7(C)に示すように、そのまま直線的に進行させて下降させる。そして、訓練者は、挿入部Xを、直線変位センサ31cが接続された部位まで進行を続け、伸展しなくなったことを契機に挿入部Xにアップアングルを掛けて、S状結腸・下行結腸移行部203cへ向けて進行させる。

【0067】
この操作により、直線変位センサ31aおよび直線変位センサ31bは、図7(B)の状態から変位せず、直線変位センサ31cは収縮する方向に変位する。
従って、直線変位センサ31aと直線変位センサ31bとからの変形量情報が基準変形量情報と同じ値を示し、直線変位センサ31cからの変形量情報が基準変形量情報より収縮した状態を示す。

【0068】
このような図7(C)に示す操作においても、患者に苦痛を与えるため、演算手段54は変形量情報と基準変形量情報とに基づいて減点する。更に、演算手段54は、これらの採点に変形持続時間を乗算して採点とする。
このように、演算手段54は、患者に苦痛が伴う操作を訓練者が行うことで、加点だけでなく、減点となる採点を行うので、総合的な採点として操作を評価することができる。

【0069】
このようにして、訓練者は、内視鏡を、腸管モデル20内に進行させる。そして、訓練が終了すると、入力手段61のストップボタンを押下する。
演算手段54は、入力手段61のストップボタンが押下されたことで時間の計測を終了する。演算手段54は、スタートボタンの押下からストップボタンの押下までを、訓練に要した時間を示す時間情報として、記憶手段52に格納する。
記憶手段52には、基準となる時間情報が基準時間情報として格納されている。演算手段54は、訓練者の時間情報と、基準となる基準時間情報とから差分を算出して、この差分を採点の要素とする。つまり、演算手段54は、基準時間情報に近ければ加点を大きく、差分が大きければ加点を小さく、または減点する。

【0070】
演算手段54は、採点の結果、訓練時間を表示手段53に表示する。図1の例では、「得点」が85点、「検査時間」を示す訓練時間が4分30秒、そして、演算手段54は、採点の結果に基づいて、苦痛の度合いを、顔を象ったマークにより3段階で表示している。

【0071】
演算手段54は、顔を象ったマークを、採点の結果に基づいて表示することもできるが、操作中にリアルタイムに、苦痛の度合いに応じて表示手段53に表示させることもできる。例えば、演算手段54により採点で、加点が大きれば笑顔の表情、加点が小さいまたは減点であれば苦痛の表情とすることで、訓練者は顔を象ったマークにより、内視鏡の操作を即時に矯正することが可能である。また、制御装置60に音声発生手段を設ければ、顔の表情に対応した、例えば、「先生、苦しいです!」、「先生、痛いです!」、「先生、すごく痛いです!」、「もう我慢できません」、「もう止めて下さい!!」等の音声にして発生することも可能である。

【0072】
以上のように、本実施の形態1に係る内視鏡用訓練装置10によれば、腸管モデル20に内視鏡が挿入されると、腸管モデル20の形状変形をセンサ手段30が検知して、腸管モデル20の変形量に基づいて、評価手段50が内視鏡の挿入操作を採点するため、訓練者の技量を正確に評価することができる。従って、内視鏡用訓練装置10は、訓練者の内視鏡操作の習熟を短期間に向上させることができる。

【0073】
また、評価手段50の演算手段54が、基準となる変形量情報を基準変形量情報として、訓練者が内視鏡を操作したときの変形量情報との差分を算出して、時間情報を乗じて採点することで、訓練者の操作による腸管モデル20の変形が、基準となる操作者よりも劣っていれば患者が苦痛を受けていると判定することができ、優れていれば患者に苦痛を与えることなく内視鏡を操作していると判定することができる。
また、腸管モデル20に、腸管の蠕動運動を再現する蠕動運動手段40が設けられているので、訓練者は、人体の腸管に則した訓練を行うことができる。

【0074】
上記採点では、演算手段54が、直線変位センサ31a~31cの変位に基づいて腸管モデル20の変形量を測定していた。しかし、蠕動運動手段40により腸管モデル20の蠕動運動を再現しているため、腸管モデル20の蠕動運動による腸管モデル20の縮径または拡径が、直線変位センサ31a~31cの変位に影響を与える。

【0075】
例えば、運動制御手段42が腸管モデル20の拡径を指示しているときには、直線変位センサ31が収縮方向に変位する。また、運動制御手段42が腸管モデル20の縮径を指示しているときには、直線変位センサ31が伸張方向に変位する。従って、演算手段54は、腸管モデル20の縮径または拡径による変形量をノイズとして除去することで、内視鏡による腸管モデル20の変形を正確に測定することができる。
なお、この蠕動運動は、入力手段61から運動制御手段42への指示により有効としたり無効としたりすることができる。訓練者が、運動制御手段42による腸管モデル20への蠕動運動を再現した状態で訓練する場合には、腸管モデル20の縮径または拡径による変形量をノイズとして除去すると共に、蠕動運動を再現しない場合と比較して、内視鏡の操作の難易度が上がることから、蠕動運動を再現することを選択することで加点としてもよい。

【0076】
また、上記例では、直線変位センサ31a~31cの変位に基づいて腸管モデル20の変形量を測定していたが、曲げセンサ32によっても、内視鏡の挿入により腸管モデル20の曲がりの変化による患者の苦痛度合いを測定することができる。従って、演算手段54は、曲げセンサ32からの曲がり量を示す変形量情報と、記憶手段52に格納された基準変形量情報とに基づいて採点することができる。

【0077】
更に、上記説明では、図6に示すように、S状結腸203がαループとなった状態で、内視鏡の挿入部XをS状結腸203に挿入しながら、S状結腸203を短縮して、αループを解除して下行結腸204へ向かわせる操作であった。しかし、腸管モデル20は、このαループとなったS状結腸203の状態以外に、例えば、S状結腸過長、Nループ、裏αループ、横行結腸過長、またはこれらの組み合わせ等とすることができる。

【0078】
S状結腸203のαループを内視鏡の操作により解除して、S状結腸203を短縮する操作は、最も苦痛のない挿入法である。このときの採点がもっと高得点となるように基準変形量情報を設定する。
そして、αループを解除しないで、αループに沿って最後まで挿入する場合と、途中、即ち、一旦S状結腸203をやり過ごして下行結腸204に挿入した後に、αループを解消した場合に、S状結腸203ではαループが解消できなかったが、この下行結腸204の口側部分に達する前に、αループを解消したことを、下行結腸204の口側部分に設けたセンサ手段30により判断することで、次点の理想的挿入法と判定することも可能である。

【0079】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る内視鏡用訓練装置について、図面に基づいて説明する。なお、図8および図9においては、図1および図4(B)と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。

【0080】
図8に示すように、本実施の形態2に係る内視鏡用訓練装置10xは、蠕動運動手段40xの腸管当接部410が、押圧体が腸管モデル20に取り付けられ、固定されている。
図9に示すように、腸管モデル20は、腸壁が窪んだ部分が凹み易い部位20aであると共に、この凹み易い部位20aを除いた残余部分が、凹み易い部位20aに対して、凹み難い部位20bである。

【0081】
腸管当接部410は、この凹み難い部位20bに取り付けられ固定された複数の押圧体413と、複数の押圧体413を連結する紐状体411とにより形成されている。
図8に示す例では、腸管モデル20のヵ所の凹み難い部位20bに、押圧体413が取り付けられ、隣り合う押圧体413同士を紐状体411が連結すると共に、それぞれの押圧体413から紐状体411が延びて駆動手段43(図3参照)に接続されている。このようにして、3組の腸管当接部410a~410cが腸管モデル20に配置されている。

【0082】
腸管当接部410a~410cのそれぞれの紐状体411に通電することで、紐状体411が収縮して、押圧体413を引き寄せる。押圧体413が引き寄せられ、互いが接近することで、凹み難い部位20bが押圧されて、腸管モデル20が縮径する。
また、紐状体411を非通電とすることで、紐状体411が伸張して元の状態に復帰して、押圧体413が離間するので、凹み難い部位20bが膨らみ、腸管モデル20が拡径する。
このように、腸管当接部410は、腸管モデル20に凹み難い部位20bがあっても、平均的に腸管モデル20を縮径させることができる。

【0083】
以上、本実施の形態1,2に係る内視鏡用訓練装置10,10xを説明したが、本発明は前記実施の形態1,2に限定されるものではない。内視鏡用訓練装置10,10xは腸管モデル20が大腸であったが、小腸も備えるようにしてもよい。また、センサ手段30は、直線変位センサ31と曲げセンサ32とを備えているが、センサ手段として、加速度センサにより急激な腸管の変形を検知するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の内視鏡用装置は、未熟な操作者が内視鏡の操作技術を向上させることができるので、医療教育施設や医療施設、科学館などの展示施設に好適である。
【符号の説明】
【0085】
10,10x 内視鏡用訓練装置
20 腸管モデル
201 肛門
202 直腸
203 S状結腸
203a Sトップ部
203b 直腸・S状結腸移行部
203c S状結腸・下行結腸移行部
204 下行結腸
205 横行結腸
206 上行結腸
207 盲腸
208 虫垂
20a 凹み易い部位
20b 凹み難い部位
21 筐体
211 前面壁部
212 開口部
30 センサ手段
31,31a~31c 直線変位センサ
32 曲げセンサ
40,40x 蠕動運動手段
41,410,410a~410c 腸管当接部
411 紐状体
412,413 押圧体
42 運動制御手段
43 駆動手段
50 評価手段
51 AD変換手段
52 記憶手段
53 表示手段
54 演算手段
60 制御装置
61 入力手段
X 挿入部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8