TOP > 国内特許検索 > イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質 > 明細書

明細書 :イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-195731 (P2015-195731A)
公開日 平成27年11月9日(2015.11.9)
発明の名称または考案の名称 イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C07K  14/39        (2006.01)
C07K  16/14        (2006.01)
C12N   1/15        (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
A61K  38/00        (2006.01)
A61K  39/395       (2006.01)
A61P  17/00        (2006.01)
A61P  37/08        (2006.01)
FI C12N 15/00 A
C07K 14/39 ZNA
C07K 16/14
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/00 101
G01N 33/53 N
G01N 33/53 Q
A61K 37/02
A61K 39/395 D
A61K 39/395 Q
A61P 17/00 171
A61P 37/08
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2014-073548 (P2014-073548)
出願日 平成26年3月31日(2014.3.31)
発明者または考案者 【氏名】秀 道広
【氏名】平郡 隆明
【氏名】平郡 真記子
【氏名】石井 香
【氏名】永田 雅彦
出願人 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
【識別番号】100062144、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 葆
【識別番号】100106518、【弁理士】、【氏名又は名称】松谷 道子
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4B065
4C084
4C085
4H045
Fターム 4B024AA10
4B024AA11
4B024BA61
4B024BA80
4B024CA01
4B024CA04
4B024CA09
4B024CA11
4B024CA20
4B024DA01
4B024DA02
4B024DA05
4B024DA06
4B024DA11
4B024EA04
4B024GA11
4B024HA01
4B024HA03
4B065AA01X
4B065AA26X
4B065AA57X
4B065AA72Y
4B065AA87X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA43
4B065CA46
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA22
4C084CA05
4C084DC50
4C084MA01
4C084NA14
4C084ZA892
4C084ZB132
4C084ZC612
4C085AA13
4C085AA14
4C085BA49
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA10
4H045DA75
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA29
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
4H045GA31
要約 【課題】イヌのアレルギー性皮膚炎抗原および該抗原に特異的に結合する抗体等を提供する。
【解決手段】イヌに常在する酵母であるMalassezia Pachydermatisよりイヌアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を特定することにより、上記課題を解決した。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質。
【請求項2】
配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が70%以上であるアミノ酸配列からなるアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質。
【請求項3】
アトピー性皮膚炎イヌ血清に結合する請求項2に記載の蛋白質。
【請求項4】
請求項1-3のいずれかに記載の蛋白質に特異的に結合する抗体またはその抗体断片。
【請求項5】
請求項1-3のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子。
【請求項6】
請求項5に記載の遺伝子を含むベクター。
【請求項7】
請求項6に記載のベクターによって形質転換された形質転換体。
【請求項8】
請求項1-3のいずれかに記載の蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原に結合する抗体の検出または定量用キット。
【請求項9】
請求項1-3のいずれかに記載の蛋白質を含む、イヌのアトピー性皮膚炎診断用キット。
【請求項10】
抗体がIgEまたはIgGである、請求項8または9に記載のキット。
【請求項11】
請求項4に記載の抗体または抗体断片を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原検出または定量用キット。
【請求項12】
ELISAである、請求項8-11のいずれかに記載のキット。
【請求項13】
請求項1-3のいずれかに記載の蛋白質を含む、イヌのアトピー性皮膚炎の治療用組成物。
【請求項14】
請求項4に記載の抗体または抗体断片を含む、アレルギー抗原除去用組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、イヌのアレルギー抗原蛋白質、その遺伝子、当該抗原蛋白質に結合する抗体およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー疾患は、ヒトだけでなく、ヒト以外の多くの哺乳動物に観察される。イヌもアレルギーを罹患し、30%に及ぶイヌがアレルギーまたはアレルギー関連疾患に罹患すると考えられている。特に、アレルギー性皮膚炎はイヌ全体の3~15%に及ぶと考えられている。イヌにおけるアレルギー疾患の蔓延に鑑み、イヌのアレルギーを適切に診断し、治療する方法および組成物の開発が必要とされている(特許文献1)。
【0003】
一方、Malasseziaはヒトや動物の皮膚に常在する担子菌系の酵母である。Malassezia globosa由来の蛋白質であるMGL_1304がヒトアトピー性皮膚炎患者の汗抗原として同定されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特表2002-539818号公報
【特許文献2】国際公開2014-003008号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、アトピー性皮膚炎イヌの皮膚に常在するMalassezia pachydermatisより抗原蛋白質を特定し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を提供する。
【0007】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子を提供する。
【0008】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に特異的に結合する抗体または抗体断片を提供する。
【0009】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体の定量用または検出用の組成物またはキットを提供する。
【0010】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体または抗体断片を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質の定量用または検出用の組成物またはキットを提供する。
【0011】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎診断用組成物またはキットを提供する。
【0012】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎治療用組成物を提供する。
【0013】
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原の除去または中和用組成物またはイヌのアレルギー性皮膚炎抗原の除去剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】Malassezia pachydermatisからクローニングした新規アレルゲン(MPA)のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。
【図2】Malassezia pachydermatisからクローニングした新規アレルゲン(MPA)の遺伝子配列(配列番号2)を示す。
【図3】大腸菌内で発現させたMPAのコバルトカラム精製画分のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。
【図4】COS7細胞で発現させたMalassezia globosa由来ヒト汗アレルギー抗原蛋白質(MGL_1304)、MPA、ダニ抗原(Der f 1)のウェスタンブロットの結果を示す。
【図5】TF、TF-MGL_1304、TF-MPAをアトピー性皮膚炎イヌ血清(AD dog sera)、正常イヌ血清(Normal dog serum)、抗Hisタグ抗体(anti-His Ab)でウェスタンブロットを行った結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を提供する。
本明細書において、アレルギー性皮膚炎は、好ましくはI型アレルギーに分類される皮膚炎であり、例えば、アトピー性皮膚炎である。
一つの実施態様において、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質は、Malassezia pachydermatisが産生する蛋白質である。また、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質は、Malassezia pachydermatis菌体外に分泌される蛋白質であり得る。Malassezia pachydermatisは、ヒトや動物の皮膚に常在する担子菌系の酵母である。
好ましくは、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質である。配列番号1で表されるアミノ酸配列を以下に示す。
配列番号1(図1):
MVSTKFCFSAALMGVLASMVAAAPSNIVRRTTPDNQVWVTSVADHCMILPRHKTSIGDSEQPGGMKSYCTKPYDKSQGHLASDFWSEVHFKKTKHYVQLTGCIRPEVQSTLLRKDDGGQYDSNGGDGGRGNPRDSVCLGYSSYVELVEPTARRACIRCCVDDKYCNVNNDEDGCESVIPGQYC

【0016】
本発明は、また、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質の類縁体を提供する。類縁体の例には、配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が60、70、80、90または95%以上のアミノ酸配列からなる蛋白質、配列番号1で表されるアミノ酸配列において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなる蛋白質が挙げられる。類縁体の他の例には、タグが付加された配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質が挙げられる。本明細書においてタグとは、蛋白質またはポリペプチドの精製、検出等のため蛋白質またはポリペプチドに付加される部分を意味し、ヒスチジン(His)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、myc、FLAGタグ、Trigger Factor(TF)などが例示される。

【0017】
本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質およびその類縁体(例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質および配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が60、70、80、90または95%以上のアミノ酸配列からなる蛋白質)は、通常の遺伝子工学的方法により、製造され得る。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードする遺伝子を発現ベクターに組み込み、微生物、細胞等の適切な宿主(例えば、大腸菌、COS7細胞、CHO細胞、Malassezia pachydermatis)で発現させることで製造することができる。また、Malassezia pachydermatisの培養上清より、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィー等を用いて、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を精製してもよい。精製は、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)のイヌの血清との結合を指標とすることにより行ってもよい。
タグが付加されたポリペプチドは、例えば、pET30a(Novagen社製)(Hisタグ用)、pGEX(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)(GSTタグ用)、pColdTFベクター(タカラバイオ社製)などの発現ベクターを用いて、微生物、細胞等の適当な宿主(例えば、大腸菌、COS7細胞、CHO細胞、Malassezia pachydermatis)で発現させることで得られる。

【0018】
本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質およびその類縁体は、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)のイヌの血清に存在する抗体(例えばIgE)に結合することができる。
好ましくは、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質およびその類縁体は、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)のイヌの血清に存在するIgEに結合し、健常なイヌの血清に存在するIgEには結合しないか、ほとんど結合しない。
また、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質およびその類縁体は、好ましくは、ヒスタミン遊離活性を有し得る。
ヒスタミン遊離活性は、公知の方法に従って測定することができる(Koro, O. et al., J. Allergy Clin. Immunol., 103, 663-670, 1999)。例えば、細胞表面にIgE受容体を発現する細胞に汗アレルギー抗原及びIgE抗体を接触させ、該細胞から分泌されるヒスタミン量を測定することで、ヒスタミン遊離活性を決定してもよい。細胞表面にIgE受容体を発現する細胞は、例えば、好塩基球、マスト細胞(肥満細胞)、IgE受容体遺伝子を発現させて人工的に作製したヒスタミン等の化学伝達物質遊離能を有する細胞株等が挙げられる。
例えば、ヒスタミン量を測定し、全ヒスタミン量に対する遊離ヒスタミン量が3~97%の範囲の場合にヒスタミン遊離活性を有すると判定することができる(Koro, O. et al., J. Allergy Clin. Immunol., 103, 663-670, 1999)。

【0019】
一つの実施態様において、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質およびその類縁体のアトピー性皮膚炎抗原としての使用を提供する。

【0020】
2.イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子を提供する。
一つの実施態様において、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子は、配列番号2で表される塩基配列からなる遺伝子である。配列番号2で表される塩基配列を以下に示す。
配列番号2:(図2)
ATGGTGTCTACGAAGTTCTGTTTCTCTGCTGCGCTTATGGGTGTGCTCGCCTCGATGGTGGCTGCTGCTCCTTCGAACATTGCTCGCCGCACCACCCCTGACAACCAGGTGTGGGTGACCAGCGTGGCTGACCACTGCATGATTCTCCCGCGTCACAAGATGTCGATCGGTGACAGCGAGCAGCCCGGCGGTATGAAGTCGTACTGCACCAAGCCCTACGACAAGTCGCAGGGTCATCTCGCTTCGGACTTCTGGAGTGAGGTCCACTTCAAGAAGACCAAGCACTACGTCCAGCTGACTGGTTGCATTCGTCCTGAGGTGCAGAGCACTCTTCTCCGCAAGGACGACGGTGGTCAGTACGACTCGAACGGTGGTGACGGTGGCCGCGGTAACCCGCGCGACTCGGTCTGCCTTGGCTACTCGTCGTACGTGGAGCTTGTCGAGCCTACTGCTCGCCGTGCCTGCATCCGTTGCTGCGTTGATGACAAGTACTGCAACGTCAACAACGACGAGGACGGTTGCGAGTCTGTCATTCCTGGCCAGTACTGCTAA

【0021】
本発明は、また、配列番号2で表される塩基配列からなる遺伝子の類縁体を提供する。類縁体の例には、配列番号2で表される塩基配列と同一性が60、70、80、90または95%以上の塩基配列からなる遺伝子、配列番号2で表される塩基配列において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。類縁体の他の例には、標識された配列番号2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。標識されたポリヌクレオチドの例としては、蛍光団で標識されたポリヌクレオチドが挙げられる。

【0022】
好ましくは、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子およびその類縁体は、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)のイヌの血清に存在する抗体(例えばIgE)に結合することができるイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子である。
より好ましくは、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子およびその類縁体は、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)のイヌの血清に存在するIgEに結合し、健常なイヌの血清に存在するIgEには結合しないか、ほとんど結合しないイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子である。
また、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子およびその類縁体は、好ましくは、ヒスタミン遊離活性を有するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質をコードする遺伝子であり得る。

【0023】
本発明が提供する遺伝子は、単離されたポリヌクレオチドであり得る。
本発明が提供する遺伝子は、適宜、ベクターに導入され、宿主細胞で発現させることができる。
よって、一つの実施態様において、本発明は、本発明が提供するポリヌクレオチド含むベクター及び本発明が提供するポリヌクレオチドが導入された宿主細胞(形質転換体)を提供する。
これらの、本発明が提供する遺伝子、ベクター、宿主細胞は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはそれらの類縁体の製造に使用することができる。

【0024】
3.イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に特異的に結合する抗体または抗体断片を提供する。
一つの実施態様において、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体または抗体断片は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に特異的に結合する抗体または抗体断片である。また、一つの実施態様において、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質の類縁体(例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が60、70、80、90または95%以上のアミノ酸配列からなる蛋白質)に特異的に結合する抗体または抗体断片を提供する。

【0025】
本明細書において、抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が含まれる。
抗体の断片は、抗原と特異的に結合する抗体の一部である。抗体の断片には、Fab (fragment of antigen binding)、F(ab')2、Fab'、一本鎖抗体(single chain Fv;以下、scFvと称する)、ジスルフィド安定化抗体(disulfide stabilized Fv;以下、dsFvと称する)、2量化体V領域断片 (以下、Diabodyと称する)、CDRを含むペプチド等を挙げることができる(エキスパート・オピニオン・オン・テラピューティック・パテンツ、第6巻、第5号、第441~456頁、1996年)。抗体および抗体の断片は、当業界にて周知の方法により調製可能である(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988、http://www.gene.mie-u.ac.jp/Protocol/Original/Antibody.html、米国特許第6331415号、米国特許第5693761号、米国特許第5225539号、米国特許第5981175号、米国特許第5612205号、米国特許第5814318号、米国特許第5545806号、米国特許第7145056号、米国特許第6492160号、米国特許第5871907号、米国特許第5733743号などを参照)。

【0026】
本発明が提供する抗体は、イヌ由来の試料、例えば皮膚に存在する配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる蛋白質を認識し、当該蛋白質の量、分布、機能等を解析するツールとなり得る。

【0027】
本発明が提供する抗体は、標識物質が結合されていてもよい。標識物質の例には、酵素、蛍光物質、放射性同位元素、ビオチン等が挙げられる。
酵素の例としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼ等が挙げられる。
蛍光物質の例としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、GFP、ルシフェリン等が挙げられる。
放射性同位元素の例としては、125I、14C、32P等が挙げられる。

【0028】
4.イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体の定量用または検出用の組成物またはキット
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体の定量用または検出用の組成物またはキットを提供する。
一つの実施態様として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体の定量用または検出用の組成物またはキットが提供される。定量、検出のための方法の例には、ELISA、ウエスタンブロッティング、ドットブロッティングが挙げられる。ELISAはサンドウィッチELISAであってもよい。定量、検出する抗体を含む試料の例には、イヌの血清、イヌの血漿が挙げられる。定量、検出する抗体はIgEまたはIgGであり得る。
一つの実施態様として、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体の定量用または検出用キットは、ELISAキットであり、例えば、プレート(例えば、96穴プレート)、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、ブロッキング溶液(例えば、BSA溶液、乳蛋白質溶液)および洗浄液(界面活性剤を含むリン酸緩衝液(例えば、Tween20を含むPBS)を含むキットである。
このキットを用い、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコーティングしたELISAプレートに、試料であるイヌの血清を添加し、洗浄後、抗イヌIgE抗体を用いて配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合したイヌ血清に存在するIgE抗体を検出および/または定量することができる。
また、一つの実施態様として、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体の定量用または検出用キットは、ウエスタンブロッティング用キットであり、SDS-PAGEゲル、ニトロセルロース膜やPVDF膜、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、ブロッキング溶液(例えば、BSA溶液、乳蛋白質溶液)および洗浄液(界面活性剤を含むリン酸緩衝液(例えば、Tween20を含むPBS)および発光検出試薬等を含んでもよい。ドットブロッティング用キットであれば、例えば、上記ウエスタンブロッティング用キットよりSDS-PAGEゲルを除いた物質を含んでもよい。

【0029】
5.イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質の定量用または検出用の組成物またはキット
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体または抗体断片を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質の定量用または検出用の組成物またはキットを提供する。
一つの実施態様として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体に結合する抗体を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質の定量用または検出用の組成物またはキットが提供される。定量、検出のための方法の例には、ELISA、ウエスタンブロッティング、ドットブロッティングが挙げられる。ELISAはサンドウィッチELISAであってもよい。定量、検出するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む試料の例には、イヌの皮膚の洗浄液が挙げられる。
一つの実施態様として、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質の定量用または検出用キットは、ELISAキットであり、例えば、プレート(例えば、96穴プレート)、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合する抗体、ブロッキング溶液(例えば、BSA溶液、乳蛋白質溶液)および洗浄液(界面活性剤を含むリン酸緩衝液(例えば、Tween20を含むPBS)を含むキットである。
このキットを用い、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合するモノクローナル抗体をコーティングしたELISAプレートに、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む試料を添加し、洗浄後、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合するポリクローナル抗体を用いて試料中のイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を検出および/または定量することができる。
また、ウエスタンブロッティング用キットであれば、SDS-PAGEゲル、ニトロセルロース膜やPVDF膜、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合する抗体、ブロッキング溶液(例えば、BSA溶液、乳蛋白質溶液)および洗浄液(界面活性剤を含むリン酸緩衝液(例えば、Tween20を含むPBS)および発光検出試薬等を含んでもよい。ドットブロッティング用キットであれば、例えば、上記ウエスタンブロッティング用キットよりSDS-PAGEゲルを除いた物質を含んでもよい。
一つの実施態様として、既知量の配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を用いて、検量線を作成することにより、試料中のイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を定量することができる。

【0030】
6.イヌのアレルギー性皮膚炎診断用組成物またはキット
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎診断用組成物またはキットを提供する。
一つの実施態様において、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)診断用組成物またはキットを提供する。
一つの実施態様として、上記4で説明した「イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質に結合する抗体の定量用または検出用の組成物またはキット」を、イヌのアレルギー性皮膚炎診断用に用いてもよい。
例えば、プレート(例えば、96穴プレート)、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、ブロッキング溶液(例えば、BSA溶液、乳蛋白質溶液)および洗浄液(界面活性剤を含むリン酸緩衝液(例えば、Tween20を含むPBS)を含むキットを用いてもよい。
一つの実施態様として、i)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコーティングしたELISAプレートに、対象であるイヌの血清を添加すること、ii)抗イヌIgE抗体を用いて、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合するIgE抗体がイヌ血清に存在したか否かを決定することを含む方法により、対象であるイヌが配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を抗原とするアトピー性皮膚炎であるか否かが診断される。この実施態様において、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合するIgE抗体がイヌ血清に存在した場合は、対象であるイヌが配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を抗原とするアトピー性皮膚炎である可能性が高いと判定され、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合するIgE抗体がイヌ血清に存在しなかった場合は、対象であるイヌが配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を抗原とするアトピー性皮膚炎である可能性が低いと判定される。この判定と、対象であるイヌの症状の診察結果に基づき、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を抗原とするアトピー性皮膚炎であるか否かを獣医が診断できる。診断の結果、例えば、獣医は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をイヌから除去する等の処置をすることができる。

【0031】
好ましい実施態様では、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体は、アトピー性皮膚炎を発症しているイヌの血清とは免疫反応が認められ、健常イヌの血清とは免疫反応が認められない(図5参照)。よって、陰性対照として健常イヌの血清または血漿を試験し、健常イヌの試料からは配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質に結合する抗体が検出されないことを確認してもよい。

【0032】
一つの実施態様において、ダニ抗原等の他のイヌのアレルギー性皮膚炎の抗原と同時に、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を試験し、対象であるイヌのアレルゲンをスクリーニングしてもよい。

【0033】
また、一つの実施態様として、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を含む、皮膚テスト用キットまたは組成物を提供する。皮膚テストは、例えば、パッチテスト、スクラッチテスト、プリックテスト、皮内反応テストであり得る。皮膚テストにより、被験対象であるイヌがアレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)に罹患していること、またはそのリスクがあることが診断され得る、または診断の補助となるデータが提供され得る。
皮膚テスト用キットには、比較対照として使用する生理食塩水をさらに含んでもよい。
パッチテストは接触性アレルギーの簡便な検査法として皮膚科領域で広く実施されている。接触性アレルギーが存在するときは、皮膚炎のある部位だけではなく全身の皮膚が感作されているので、健康な皮膚にアレルギー性接触皮膚炎を人工的に再現させることにより接触皮膚炎の原因が判定できる。例えば、絆創膏に、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を滴下、あるいは塗布し、イヌに貼付する。判定は、2日、3日、1週間後に公知の方法(Vet Dermatol 17: 95-102, 2006) により行う。なにも反応がなければ(-)、絆創膏の試薬部分に紅斑を生じた状態を(+)、浸潤または浮腫を伴う紅斑を(++)、水疱を伴う紅斑、またはより激しい反応を(+++)と判定する。
スクラッチテスト、プリックテストは抗原溶液を皮膚表面に滴下し、針先で皮膚に出血しない程度の擦り傷をつけ、15~20分後に反応を調べる検査である。真皮上層の肥満細胞表面に抗原特異的IgE抗体が存在すれば、滴下した抗原と反応し、肥満細胞内のヒスタミンや化学伝達物質が放出され、局所が赤く腫れる。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体をスクラッチテスト、プリックテストの為の抗原として使用できる。
皮内反応テストは、極少量の抗原溶液を薄い皮膚の内部に注入し、一定時間後に注入部が赤くはれるか否かを観察して、アレルギーの有無を判断するテストである。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を皮内反応テストの為の抗原として使用できる。
また、さらなる一つの実施態様において、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を含む、ヒスタミン遊離試験用キットまたは組成物を提供する。ヒスタミン遊離試験は、抗原刺激による被験犬血球(好塩基球)または被験犬血清で感作されたマスト細胞(肥満細胞)、IgE受容体遺伝子を発現させて人工的に作製した細胞株等からのヒスタミン等の化学伝達物質遊離量を、細胞反応測定法を用いて測定してもよい。例えば、抗原刺激により血球(好塩基球)から遊離したヒスタミンの量により、被験対象であるイヌがアレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)に罹患していること、またはそのリスクがあることが診断され得、または診断の補助となるデータが提供され得る。
ヒスタミン遊離試験用キットには、抗ヒスタミン抗体、スタンダードとしてのヒスタミンをさらに含んでもよい。

【0034】
7.イヌのアレルギー性皮膚炎治療用組成物
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎治療用組成物を提供する。
アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)の治療用組成物は、減感作治療用の組成物であり得る。「減感作治療」とはIgE抗体が関与するアレルギーにおいて、微量の治療用アレルゲンを、一定日数をあけてしだいに増量しつつ投与し、原因アレルゲンが進入してもアレルギー反応が生じないようにする治療法である。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体は、減感作治療において治療用アレルゲンとして使用され得る。
本発明が提供する治療用組成物は、本発明が提供するイヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を使用して、適宜製剤化される。例えば、本発明が提供する治療用組成物は、医薬品として許容できる担体(添加剤も含む)と共に製剤化することができる。医薬品として許容できる担体としては、例えば、賦形剤(例えば、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等)、溶剤(例えば、水、食塩水、大豆油等)、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル等)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記治療用組成物の投与量、投与方法は、投与対象の年齢、体重、健康状態によって、当業者により適宜選択され得る。
一つの実施態様として、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体を投与することを含む、イヌのアトピー性皮膚炎を治療する方法を提供する。

【0035】
8.イヌのアレルギー性皮膚炎抗原の除去または中和用組成物またはイヌのアレルギー性皮膚炎抗原の除去剤
本発明は、一つの側面において、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原蛋白質を含む、イヌのアレルギー性皮膚炎抗原の除去または中和用組成物またはイヌのアレルギー性皮膚炎抗原の除去剤を提供する。
一つの実施態様において、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体に特異的に結合する抗体は、イヌのアレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)の抗原活性を中和するために使用できる。また、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)の抗原を患部から除去するためにも使用できる。
例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体に特異的に結合する抗体を含む生理食塩水等の等張液を患部に接触させることにより、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)抗原が中和および/またはアレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)抗原の患部からの除去が達成され得る。

【0036】
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質またはその類縁体に特異的に結合する抗体を繊維に固定化して、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)抗原を患部から除去する除去材として使用してもよい。除去材の例としては、拭き取りシートが挙げられる。このような除去材は、当業者が適宜製造することができる。
例えば、特許第3642340号には、公定水分率が7%以上である繊維(織布または不織布等)に抗体を固定化して、拭き取りシート等の除去材を製造する方法が開示されている。
抗体を繊維等の担体に固定化する方法は、例えば、担体をγ-アミノプロピルトリエトキシシランなどを用いてシラン化した後、グルタールアルデヒドなどで担体表面にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、未処理の担体を抗体の水溶液中に浸漬してイオン結合により抗体を担体に固定する方法、特定の官能基を有する担体にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、特定の官能基を有する担体に抗体をイオン結合させる方法、特定の官能基を有するポリマーで担体をコーティングしたのちにアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法を挙げることができる。ここで、上記の特定の官能基としては、NHR基(RはH以外のメチル、エチル、プロピル、ブチルのうちいずれかのアルキル基)、NH2基、C6H5NH2基、CHO基、COOH基、OH基を挙げることができる。また、抗体は、リンカーを介して担体に担持されていてもよく、使用されるリンカーの例としては、マレイミド、NHS(N-Hydroxysuccinimidyl)エステル、イミドエステル、EDC(1-Etyl-3-[3-dimetylaminopropyl]carbodiimido)、PMPI(N-[p-Maleimidophenyl]isocyanete)が挙げられる。
除去材は、グリセロールを含む水に含浸させて保管され得る。

【0037】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
実施例1:大腸菌で発現させたイヌのアトピー性皮膚炎抗原蛋白質(MPA)の調製
イヌに常在するMalassezia pachydermatisの蛋白質をコードする遺伝子の中から、ヒト汗抗原MGL_1304をコードする遺伝子(配列番号3)と相同性のある遺伝子をスクリーニングした結果、配列番号2で表される塩基配列からなる新規アレルゲン(MPA)遺伝子を見いだした。
この配列番号2で表される塩基配列からなる遺伝子をTF(trigger factor)タグ融合発現ベクターpCold TFベクター(タカラバイオ株式会社より入手)に組み込み、大腸菌で発現させた。コバルトカラムを用いて精製し、各フラクションをポリアクリルアミドゲル電気泳動し、クマシーブリリアントブルーで染色した(図3)。
【実施例】
【0039】
実施例2:動物細胞で発現させたイヌのアトピー性皮膚炎抗原蛋白質(MPA)の調製
pSecTag2ベクター(Invitrogen)にMGL_1304をコードする遺伝子(配列番号3)、MPAをコードする遺伝子(配列番号2)、Der f 1をコードする遺伝子(配列番号4)を組み込み、それぞれをCOS7細胞で発現させた。培養上清中に含まれる組換え蛋白を抗Hisタグ抗体でウェスタンブロットを行った。動物細胞で発現したMPAの分子量は約16.6 kDa程度と推定される(19 kDaから分泌シグナル2.4 kDaを引いた値)(図4)。
【実施例】
【0040】
実施例3:アトピー性皮膚炎抗原蛋白質(MPA)のアトピー性皮膚炎イヌ血清との反応
TF、TF-MGL_1304、TF-MPAをアトピー性皮膚炎イヌ血清、正常イヌ血清、抗Hisタグ抗体でウェスタンブロットを行った。その結果、8匹のアトピー性皮膚炎イヌの血清は全てMPAと免疫反応を示したが、健常イヌの血清はMPAと免疫反応を示さなかった(図5)。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4