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明細書 :コアシェル型カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6225399号 (P6225399)
公開番号 特開2015-171965 (P2015-171965A)
登録日 平成29年10月20日(2017.10.20)
発行日 平成29年11月8日(2017.11.8)
公開日 平成27年10月1日(2015.10.1)
発明の名称または考案の名称 コアシェル型カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法
国際特許分類 C01B  32/05        (2017.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  31/38        (2006.01)
B01J  37/03        (2006.01)
C01B   3/04        (2006.01)
H01M   8/0606      (2016.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
C07C 237/06        (2006.01)
FI C01B 32/05
B01J 35/02 J
B01J 31/38 M
B01J 37/03 B
C01B 3/04 A
H01M 8/06 R
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C07C 237/06
請求項の数または発明の数 8
全頁数 24
出願番号 特願2014-048235 (P2014-048235)
出願日 平成26年3月11日(2014.3.11)
審査請求日 平成29年1月31日(2017.1.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】高口 豊
【氏名】田嶋 智之
【氏名】笹田 由香里
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
【識別番号】100180600、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 俊一郎
審査官 【審査官】神▲崎▼ 賢一
参考文献・文献 特開2013-220980(JP,A)
特開2012-102012(JP,A)
特開2009-212242(JP,A)
Tomoyuki TAJIMA et.al.,Photosensitized hydrogen evolution from water using a single-walled carbon nanotube/fullerodendron/SiO2 coaxial nanohybrid,Advanced Materials,Wiley,2011年,23,5750-5754
調査した分野 C01B 32/05
B01J 31/38
B01J 35/02
B01J 37/03
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C01B 3/04
H01M 8/0606
C07C 237/06
特許請求の範囲 【請求項1】
カーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー及び無機化合物を含むコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料であって、
コア層が、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層された層で形成され、
シェル層が、無機化合物からなる層から形成され、該無機化合物が、ケイ素のアルコキシド及び金属のアルコキシドを用いたゾルゲル反応により得られたシリカと金属酸化物との複合体であることを特徴とするコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料。
【請求項2】
前記デンドリマーが、コアユニットと分岐ユニットとからなり、該コアユニットがマロン酸エステル、芳香族炭化水素及び複素芳香環からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を骨格に有するものであり、該分岐ユニットが下記式(1)で示されるものである請求項1記載のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料。
【化1】
JP0006225399B2_000020t.gif
[式中、括弧内の構造は分岐構成単位を表したものであり、該分岐構成単位は任意であって繰返し結合されていてもよく、
Aは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される1種からなり;
Bは、窒素原子又は3価の芳香族炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Cは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Dは、アルコキシ基、エステル基、アミノ基、アミド基、水酸基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、メソゲン基、糖鎖、スルファニル基、及びポリエーテル鎖からなる群から選択される少なくとも1種を含む1価の置換基である。]
【請求項3】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブ及び二層カーボンナノチューブからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか記載のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を含む光触媒。
【請求項5】
請求項4記載の光触媒からなる光水素発生剤。
【請求項6】
燃料電池用である請求項5記載の光水素発生剤。
【請求項7】
カーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー及び無機化合物を含むコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料の製造方法であって、
(a)フラーレンとデンドリマーとを反応させてフラロデンドロンを得る工程、
(b)前記フラロデンドロンとカーボンナノチューブとを混合することにより、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層されたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層を形成する工程、
(c)前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体に対して、ケイ素のアルコキシドを添加した後に金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させることにより、シリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層を形成する工程、
を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
【請求項8】
ケイ素のアルコキシドを添加した後に5分~48時間経過してから金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させる請求項7記載のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー及び無機化合物を含むコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブに代表される炭素材料、特にカーボンナノチューブ薄膜に期待される用途は広く、例えば、半導体色素としての性質を利用した太陽電池用薄膜、導電性を利用した透明電極用薄膜、生体適合性を利用したバイオインターフェース薄膜などの研究開発が行われている。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(以下「SWNTs」と略記することがある)、二層カーボンナノチューブをはじめとする比較的安価で導電性の高い多層カーボンナノチューブ(以下「MWNTs」と略記することがある)、ピーポッドと呼ばれる分子内包カーボンナノチューブなどに分類される。分子内包カーボンナノチューブは、様々な分子を内包することができ、半導体的な性質を自在にチューニングすることが可能なことから次世代の半導体材料として期待されている。
【0003】
非特許文献1には、SWCNT/フラロデンドロン超分子複合体の分散液中で、オルトけい酸テトラエチルをゾルゲル重合させることで、SWCNT/フラロデンドロン/SiOナノハイブリッドが得られることが記載されている。前記ナノハイブリッドを用いた光水素発生実験を行ったところ、光水素発生量が5.7μmol/hであり、量子収率が31%であったとされている。しかしながら、前記ナノハイブリッドの調製には48時間を要するため、光触媒として使用する際にすぐに準備できないという問題があり、また、更なる光触媒としての機能向上も望まれていた。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Tomoyuki Tajima et al., Photosensitized Hydrogen Evolution from Water Using a Single-Walled Carbon Nanotube/Fullerodendron/SiO2 Coaxial Nanohybrid, Advanced Materials 2011, 23, p.5750-5754
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層されたコア層が形成され、該コア層の外側にシリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層が形成されてなるコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、カーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー及び無機化合物を含むコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料であって、コア層が、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層された層で形成され、シェル層が、無機化合物からなる層から形成され、該無機化合物が、ケイ素のアルコキシド及び金属のアルコキシドを用いたゾルゲル反応により得られたシリカと金属酸化物との複合体であることを特徴とするコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を提供することによって解決される。
【0007】
このとき、前記デンドリマーが、コアユニットと分岐ユニットとからなり、該コアユニットがマロン酸エステル、芳香族炭化水素及び複素芳香環からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を骨格に有するものであり、該分岐ユニットが下記式(1)で示されるものであることが好適である。
【化1】
JP0006225399B2_000002t.gif
[式中、括弧内の構造は分岐構成単位を表したものであり、該分岐構成単位は任意であって繰返し結合されていてもよく、
Aは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される1種からなり;
Bは、窒素原子又は3価の芳香族炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Cは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Dは、アルコキシ基、エステル基、アミノ基、アミド基、水酸基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、メソゲン基、糖鎖、スルファニル基、及びポリエーテル鎖からなる群から選択される少なくとも1種を含む1価の置換基である。]
【0008】
また、このとき、前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブ及び二層カーボンナノチューブからなる群から選択される少なくとも1種であることが好適であり、前記コアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を含む光触媒が本発明の好適な実施態様である。また、前記光触媒からなる光水素発生剤が本発明の好適な実施態様であり、燃料電池用である光水素発生剤も本発明の好適な実施態様である。
【0009】
また、上記課題は、カーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー及び無機化合物を含むコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料の製造方法であって、(a)フラーレンとデンドリマーとを反応させてフラロデンドロンを得る工程、(b)前記フラロデンドロンとカーボンナノチューブとを混合することにより、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層されたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層を形成する工程、(c)前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体に対して、ケイ素のアルコキシドを添加した後に金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させることにより、シリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層を形成する工程、を有するコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料の製造方法を提供することによっても解決される。
【0010】
このとき、ケイ素のアルコキシドを添加した後に5分~48時間経過してから金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層されたコア層が形成され、該コア層の外側にシリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層が形成されてなるコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を提供することができる。こうして得られたコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料は、光触媒、特に光水素発生剤として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】2.5世代フラロデンドロン(C60(G2.5-(COK))のIRスペクトルである。
【図2】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体の調製方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】258nmの吸収の減少を観察した際のカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体の吸収スペクトルである。
【図4】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体の模式図である。
【図5】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体のAFM写真とTEM写真である。
【図6】カーボンナノチューブのSEM写真とカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体のSEM写真である。
【図7】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドの調製方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッド溶液の吸収スペクトルである。
【図9】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドのSEM写真である。
【図10】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドの模式図である。
【図11】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドのIRスペクトルである。
【図12】カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドを用いて得られた光水素発生量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料は、カーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー及び無機化合物を含むコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料であって、コア層が、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層された層で形成され、シェル層が、無機化合物からなる層から形成され、該無機化合物が、ケイ素のアルコキシド及び金属のアルコキシドを用いたゾルゲル反応により得られたシリカと金属酸化物との複合体であることを特徴とする。図10の模式図に示されているように、本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料は、内側からカーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で三層積層されたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層が形成され、更に前記コア層の外側にシリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層が形成された四層の同軸ケーブル構造を有するものである。このような構成とすることで、光触媒としての機能が大幅に向上することが本発明者らにより確認された。

【0014】
本発明で用いられるカーボンナノチューブとしては特に限定されない。単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びピーポッドと呼ばれる分子内包カーボンナノチューブからなる群から選択される少なくとも1種のカーボンナノチューブを好適に用いることができる。中でも、半導体材料として使用する観点からは、単層カーボンナノチューブ及び二層カーボンナノチューブからなる群から選択される少なくとも1種のカーボンナノチューブがより好適に使用される。

【0015】
本発明で用いられるフラーレンとしては特に限定されないが、C60及びC70からなる群から選択される少なくとも1種のフラーレンが好適に使用される。

【0016】
本発明で用いられるデンドリマーとしては特に限定されないが、コアユニットと分岐ユニットとからなり、該コアユニットがマロン酸エステル、芳香族炭化水素及び複素芳香環からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を骨格に有するものであり、該分岐ユニットが下記式(1)で示されるデンドリマーが好適に使用される。本発明で用いられるデンドリマーの世代数としては特に限定されないが、合成の簡便さとカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体の分散性を両立させる観点から、1.5~3.5世代のデンドリマーであることが好ましい。

【0017】
【化2】
JP0006225399B2_000003t.gif
[式中、括弧内の構造は分岐構成単位を表したものであり、該分岐構成単位は任意であって繰返し結合されていてもよく、
Aは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される1種からなり;
Bは、窒素原子又は3価の芳香族炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Cは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Dは、アルコキシ基、エステル基、アミノ基、アミド基、水酸基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、メソゲン基、糖鎖、スルファニル基、及びポリエーテル鎖からなる群から選択される少なくとも1種を含む1価の置換基である。]

【0018】
上記デンドリマーにおいて、コアユニットがマロン酸エステル、芳香族炭化水素及び複素芳香環からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を骨格に有するものであることが好ましい。後述するフラーレンとデンドリマーとを反応させてフラロデンドロンを合成する際には、前記コアユニットがフラーレンに付加されることとなる。この場合、フラーレンの炭素-炭素結合とコアユニットを形成する化合物とにより環が形成されるようにコアユニットがフラーレンに付加されていても構わない。

【0019】
マロン酸エステルを骨格に有するコアユニットとしては、下記式(2)で示されるマロン酸エステル誘導体が好適に使用される。

【0020】
【化3】
JP0006225399B2_000004t.gif
[式中、R及びRは、それぞれ独立して上記式(1)で示される分岐ユニット又はアルキル基である。ただし、R及びRの少なくとも一つは上記式(1)で示される分岐ユニットである。]

【0021】
上記式(2)において、R及びRの少なくとも一つが、上記式(1)で示される分岐ユニットである場合、該分岐ユニットの部分を除いた構造がコアユニットである。上記式(1)で示される分岐ユニットについては後述する。上記式(2)におけるR及びRに用いられるアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好適に使用される。炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。中でも、メチル基又はエチル基が好適に使用され、エチル基がより好適に使用される。

【0022】
芳香族炭化水素を骨格に有するコアユニットとしては、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等のアセン類を骨格に有するコアユニット(アセン誘導体)、下記式(3a)又は式(3b)で示されるo-キノジメタンを骨格に有するコアユニット(o-キノジメタン誘導体)などが挙げられる。これらの中でも、アセン類を骨格に有するコアユニット(アセン誘導体)が好適である。

【0023】
【化4】
JP0006225399B2_000005t.gif
[式中、R及びRは、それぞれ独立して上記式(1)で示される分岐ユニット又はアルコキシ基である。ただし、R及びRの少なくとも一つは上記式(1)で示される分岐ユニットである。]

【0024】
【化5】
JP0006225399B2_000006t.gif
[式中、R及びRは、前記式(3a)と同義である。]

【0025】
上記式(3a)及び(3b)において、R及びRの少なくとも一つが、上記式(1)で示される分岐ユニットである場合、該分岐ユニットの部分を除いた構造がコアユニットである。上記式(1)で示される分岐ユニットについては後述する。上記式(3a)及び(3b)におけるR及びRに用いられるアルコキシ基としては、炭素数1~6のアルコキシ基が好適に使用される。炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。中でも、メトキシ基又はエトキシ基が好適に使用され、メトキシ基がより好適に使用される。

【0026】
複素芳香環を骨格に有するコアユニットとしては、チオフェン環を骨格に有するコアユニット(チオフェン誘導体)、フラン環を骨格に有するコアユニット(フラン誘導体)、ピロール環を骨格に有するコアユニット(ピロール誘導体)、ピロリジン環を骨格に有するコアユニット(ピロリジン誘導体)、ピラゾール環を骨格に有するコアユニット(ピラゾール誘導体)、ピリジン環を骨格に有するコアユニット(ピリジン誘導体)、ピリミジン環を骨格に有するコアユニット(ピリミジン誘導体)、ピラジン環を骨格に有するコアユニット(ピラジン誘導体)、ピリダジン環を骨格に有するコアユニット(ピリダジン誘導体)、イミダゾール環を骨格に有するコアユニット(イミダゾール誘導体)、オキサゾール環を骨格に有するコアユニット(オキサゾール誘導体)、オキサジアゾール環を骨格に有するコアユニット(オキサジアゾール誘導体)、インドール環を骨格に有するコアユニット(インドール誘導体)、カルバゾール環を骨格に有するコアユニット(カルバゾール誘導体)、チエノフラン環を骨格に有するコアユニット(チエノフラン誘導体)、チエノピロール環を骨格に有するコアユニット(チエノピロール誘導体)、ベンゾフラン環を骨格に有するコアユニット(ベンゾフラン誘導体)、ベンゾチアゾール環を骨格に有するコアユニット(ベンゾチアゾール誘導体)、ベンゾチオフェン環を骨格に有するコアユニット(ベンゾチオフェン誘導体)、ベンゾイミダゾール環を骨格に有するコアユニット(ベンゾイミダゾール誘導体)、ベンゾオキサゾール環を骨格に有するコアユニット(ベンゾオキサゾール誘導体)、トリアジン環を骨格に有するコアユニット(トリアジン誘導体)、キノリン環を骨格に有するコアユニット(キノリン誘導体)、イソキノリン環を骨格に有するコアユニット(イソキノリン誘導体)などが挙げられる。これらの中でも、ピロリジン環を骨格に有するコアユニット(ピロリジン誘導体)が好適であり、ピロリジン誘導体の中でも、下記式(4)で示されるアゾメチンイリド誘導体がコアユニットとしてより好適に使用される。

【0027】
【化6】
JP0006225399B2_000007t.gif
[式中、R及びRは、それぞれ独立して上記式(1)で示される分岐ユニット又はアルキル基である。ただし、R及びRの少なくとも一つは上記式(1)で示される分岐ユニットである。]

【0028】
上記式(4)において、R及びRの少なくとも一つが、上記式(1)で示される分岐ユニットである場合、該分岐ユニットの部分を除いた構造がコアユニットである。上記式(1)で示される分岐ユニットについては後述する。上記式(4)におけるR及びRに用いられるアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好適に使用される。炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。中でも、メチル基又はエチル基が好適に使用され、メチル基がより好適に使用される。

【0029】
下記一般式(1)で示される分岐ユニットについて以下説明する。

【0030】
【化7】
JP0006225399B2_000008t.gif
[式中、括弧内の構造は分岐構成単位を表したものであり、該分岐構成単位は任意であって繰返し結合されていてもよく、
Aは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される1種からなり;
Bは、窒素原子又は3価の芳香族炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Cは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種からなり;
Dは、アルコキシ基、エステル基、アミノ基、アミド基、水酸基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、メソゲン基、糖鎖、スルファニル基、及びポリエーテル鎖からなる群から選択される少なくとも1種を含む1価の置換基である。]

【0031】
上記一般式(1)で示される分岐ユニットにおいて、Aは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される1種からなり、Aの好適な具体例としては以下に示されるものが挙げられる。

【0032】
【化8】
JP0006225399B2_000009t.gif

【0033】
上記式(2)で示されるマロン酸エステル誘導体がコアユニットである場合、R及びRの少なくとも一つに結合される分岐ユニットにおけるAの好適な具体例としては以下に示されるものが挙げられる。

【0034】
【化9】
JP0006225399B2_000010t.gif

【0035】
上記式(3a)又は式(3b)で示されるo-キノジメタン誘導体がコアユニットである場合、R及びRの少なくとも一つに結合される分岐ユニットにおけるAの好適な具体例としては以下に示されるものが挙げられる。

【0036】
【化10】
JP0006225399B2_000011t.gif

【0037】
また、上記式(4)で示されるアゾメチンイリド誘導体がコアユニットである場合、R及びRの少なくとも一つに結合される分岐ユニットにおけるAの好適な具体例としては以下に示されるものが挙げられる。

【0038】
【化11】
JP0006225399B2_000012t.gif

【0039】
上記一般式(1)で示される分岐ユニットにおいて、Bは、窒素原子又は3価の芳香族炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種である。Bがこのような1種であることにより、上記一般式(1)で示される分岐ユニットが枝分かれ構造を有することとなる。Bの好適な具体例としては以下に示されるものが挙げられる。中でも、Bが窒素原子であることがより好ましい。

【0040】
【化12】
JP0006225399B2_000013t.gif

【0041】
上記一般式(1)で示される分岐ユニットにおいて、Cは、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種である。Cの好適な具体例としては以下に示されるものが挙げられる。

【0042】
【化13】
JP0006225399B2_000014t.gif

【0043】
また、上記一般式(1)で示される分岐ユニットは、BC構造を有する上記分岐構造単位におけるCに、前述のBが更に結合されてなる。このようにCに更に結合されたBは、BC構造におけるBの構造と同じでも異なっていてもよいが、効率良く合成できる観点から同じ構造であることが好ましい。

【0044】
更に、上記一般式(1)で示される分岐ユニットは、上記分岐構造単位におけるCに結合されたBに、Dが結合されてなる。Dは、アルコキシ基、エステル基、アミノ基、アミド基、水酸基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、メソゲン基、糖鎖、スルファニル基、及びポリエーテル鎖からなる群から選択される少なくとも1種を含む1価の置換基である。このように、上記一般式(1)で示される分岐ユニットにおいて、所望のDが結合されることにより、溶解性および製膜性の向上、更には、自己組織化能の付与による分子配列制御や無機錯体および基板への複合化能の付与による有機半導体デバイスの性能向上等の利点を有する。Dは、アルコキシ基、エステル基、アミド基からなる群から選択される少なくとも1種を含む1価の置換基であることが好ましい。

【0045】
Dに用いられるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基等が挙げられる。

【0046】
Dに用いられる上記アルコキシ基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等の直鎖や分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基等の複素芳香環基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;tert-ブチルジメチルシリルオキシ基、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ基等の三置換シリルオキシ基;アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;メチルスルフォニルオキシ基、エチルスルフォニルオキシ基、フェニルスルフォニルオキシ基、メトキシスルフォニル基、エトキシスルフォニル基、フェニルオキシスルフォニル基等のスルフォン酸エステル基;アミノ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;などが挙げられる。

【0047】
Dに用いられるエステル基としては、-COO-又は-OCO-で示される基を含むものであり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。これらアルコキシカルボニル基は置換基を有してもよく、かかる置換基としては、Dに用いられるアルコキシ基の説明のところで例示されたアルコキシカルボニル基以外の置換基を同様に用いることができる。

【0048】
Dに用いられるアミノ基としては、1級アミノ基(-NH)の他、2級アミノ基、3級アミノ基であっても良い。2級アミノ基は、-NHR(Rは任意の一価の置換基である)で示されるモノ置換アミノ基であり、Rとしては、アルキル基、アリール基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。2級アミノ基の具体例としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基等のようにRがアルキル基である2級アミノ基や、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等のようにRがアリール基である2級アミノ基等が挙げられる。また、Rにおけるアルキル基やアリール基の水素原子が、更にアセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert-ブトキシカルボニル基等で置換されていてもよい。3級アミノ基は、-NR(R及びRはアルキル基及びアリール基からなる群から選択される少なくとも1種である)で示されるジ置換アミノ基であり、Rとしては、Rと同様のものを用いることができ、R及びRは互いに同じでも異なっていてもよい。3級アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等のようにR及びRがアルキル基またはアリール基からなる群から選択される3級アミノ基等が挙げられる。

【0049】
Dに用いられるアミド基は、-C(=O)NR10(R及びR10は水素原子、アルキル基及びアリール基からなる群から選択される少なくとも1種である)で示されるアミド基が挙げられる。R及びR10は互いに同じでも異なっていてもよい。R及びR10におけるアルキル基、アリール基としては、上記Dに用いられるアルコキシ基の説明のところで例示された置換基を同様に用いることができる。

【0050】
Dに用いられる水酸基及びその塩、並びにカルボキシル基及びその塩の塩としては、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウム、カルシウム及びバリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩が好適に使用される。中でも、カリウム又はナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩がより好適に使用される。

【0051】
Dに用いられるメソゲン基としては、剛直で配向性の高い置換基であって、芳香族炭化水素基及び脂環式炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種を2つ以上含む2価の置換基であることが好ましい。メソゲン基の具体例としては、ビフェニル、ジフェニルエーテル、スチルベン、ジフェニルアセチレン、ベンゾフェノン、フェニルベンゾエート、フェニルベンズアミド、1,2-ジフェニルプロペン、N-ベンジリデンベンゼンアミン、1,2-ジベンジリデンヒドラジン、アゾベンゼン、2-ナフトエート、フェニル-2-ナフトエート、ナフタレン、フルオレン、フェナントレン等の構造を含む2価の置換基が挙げられる。Dがメソゲン基を含む場合、デバイス作製の際の基板との相互作用が良好となる観点から、メソゲン基の末端がシアノ基、ニトロ基、メルカプト基であることが好ましい。

【0052】
Dに用いられる糖鎖としては、各種糖がグリコシド結合でつながったものだけでなく、アルドン酸やウロン酸に代表される糖が酸化されて得られる糖酸や、これらアルドン酸やウロン酸などの糖酸が脱水縮合して得られる糖酸ラクトン等が挙げられる。糖鎖の具体例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロースなどの単糖類;スクロース、マルトース、イソマルトース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、パラチノースなどの二糖類;ラフィノース、ラクトスクロース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、スタキオースなどのオリゴ糖;エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール;グルコン酸、ガラクトン酸、マンノン酸などのアルドン酸;グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸などのウロン酸;グルコノラクトン、ガラクトノラクトン、マンノノラクトン、グルクロノラクトン、ガラクツロノラクトン、マンヌロノラクトンなどの糖酸ラクトン等が挙げられる。

【0053】
Dに用いられるポリエーテル鎖としては、下記式(5)で示されるものが好適に用いられる。

【0054】
【化14】
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[式中、R11は炭素素1~20の2価の脂肪族炭化水素基であり、R12は炭素素1~20の1価の脂肪族炭化水素基であり、nは1~20の整数である。]

【0055】
上記式(5)で示されるポリエーテル鎖において、R11は炭素素1~20の2価の脂肪族炭化水素基である。R11としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1~20のアルキレン基が好ましく用いられる。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、エイコシレン基等が挙げられる。中でも、Rとしては、エチレン基、プロピレン基からなる群から選択される少なくとも1種が好適に使用される。

【0056】
また、上記式(5)で示されるポリエーテル鎖において、R12は炭素素1~20の1価の脂肪族炭化水素基である。R12としては、炭素数1~20のアルキル基が好ましく用いられる。このようなアルキル基としては、上記Dに用いられるアルコキシ基の説明のところで例示された置換基を同様に用いることができる。中でも、R12としては、メチル基、エチル基からなる群から選択される1種が好適に使用される。

【0057】
Dの好適な具体例としては以下に示されるものが挙げられる。

【0058】
【化15】
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[式中、R13は炭素数1~20のアルキル基であり、R14は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は金属原子であり、R15は糖鎖又はポリエチレングリコール鎖であり、R16は炭素数1~20のアルキル基であり、mは1~6の整数であり、nは1~20の整数である。]

【0059】
上記式中において、R13及びR16は炭素数1~20のアルキル基であり、上記Dに用いられるアルコキシ基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。中でも、R13としては、メチル基、エチル基、ドデシル基、テトラデシル基からなる群から選択される少なくとも1種が好適に使用され、R16としては、メチル基、エチル基からなる群から選択される1種が好適に使用される。

【0060】
また、上記式中において、R14は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は金属原子である。炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。中でも、R14としてはメチル基又はエチル基が好適に使用され、メチル基がより好適に使用される。また、上記R14における金属原子としては、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウム、カルシウム及びバリウムからなる群から選択される少なくとも1種が好適に使用される。中でも、カリウム又はナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種がより好適に使用される。

【0061】
また、上記式中において、R15は糖鎖又はポリエチレングリコール鎖である。R15における糖鎖としては、上述で例示された糖鎖と同様のものが挙げられる。中でも、グルコノラクトン等に代表される糖酸ラクトンが好適に使用される。

【0062】
本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料は、上位説明したカーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層されてなるコア層を有し、該コア層の外側に更にシリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層が形成されてなるものである。

【0063】
本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料におけるシェル層について以下説明する。

【0064】
本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料におけるシェル層は、無機化合物からなる層から形成され、該無機化合物が、ケイ素のアルコキシド及び金属のアルコキシドを用いたゾルゲル反応により得られたシリカと金属酸化物との複合体であることを特徴とする。すなわち、ゾルゲル反応を行うことにより、前記コア層の外側にシリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層が形成されてなる本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料が得られる。ここで、シリカと金属酸化物との複合体とは、Si-O-X(X:金属原子)結合が形成されてなる無機化合物のことをいう。このようなシェル層が形成されることにより、光触媒として使用した際の量子収率が大幅に向上されることが本発明者らによって確認された。

【0065】
本発明で使用されるケイ素のアルコキシドとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトライソアミロキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ-n-ヘキソシキシラン、テトラ-n-オクトキシシラン等が挙げられる。中でも、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素のアルコキシドが好適に用いられる。

【0066】
本発明で使用される金属のアルコキシドとしては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、鉄、スズ、鉛、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、インジウム、バナジウム、タンタル、タングステン、ランタン、ネオジム、ニッケル、セリウム、ベリリウム、ビスマス、モリブデン、イッテルビウム、サマリウム、ユーロピウム、プラセオジウム等の金属のアルコキシドが挙げられ、中でも、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属のアルコキシドが好適に用いられる。

【0067】
チタンのアルコキシドの具体例としては、トリメトキシチタン、トリエトキシチタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ-n-プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。中でも、テトラエトキシチタン及びテトラ-n-ブトキシチタンからなる群から選択される少なくとも1種のチタンのアルコキシドが好適に用いられる。

【0068】
ジルコニウムのアルコキシドの具体例としては、トリメトキシジルコニウム、トリエトキシジルコニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ-n-プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ-n-ブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム等が挙げられる。中でも、テトラメトキシジルコニウム及びテトラエトキシジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種のジルコニウムのアルコキシドが好適に用いられる。

【0069】
また、アルミニウムのアルコキシドの具体例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ-n-プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ-n-ブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、テトラメトキシアルミニウム、テトラエトキシアルミニウム、テトラ-n-プロポキシアルミニウム、テトライソプロポキシアルミニウム、テトラ-n-ブトキシアルミニウム、テトライソブトキシアルミニウム等が挙げられる。中でも、トリメトキシアルミニウム及びトリイソプロポキシアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルミニウムのアルコキシドが好適に用いられる。

【0070】
本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料の製造方法としては、好適には以下の工程を有するものである。すなわち、(a)フラーレンとデンドリマーとを反応させてフラロデンドロンを得る工程、(b)前記フラロデンドロンとカーボンナノチューブとを混合することにより、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層されたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層を形成する工程、(c)前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体に対して、ケイ素のアルコキシドを添加した後に金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させることにより、シリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層を形成する工程、を有することを特徴とする。

【0071】
上記(a)工程は、フラーレンとデンドリマーとを反応させてフラロデンドロンを得る工程である。フラーレンとデンドリマーとを反応させる方法としては特に限定されず、Diels-Alder反応、Prato反応、Bingel反応等が好適に採用される。

【0072】
Diels-Alder反応によりフラロデンドロンを得る方法としては、特開2004-323357号公報に記載されているように、例えば、フラーレンとデンドリマーとをジクロロベンゼン等の溶媒を用いて、25~60℃の範囲で1時間~10日反応させることにより得る方法が好適に採用される。このようなDiels-Alder反応に用いられるデンドリマーとしては、アントラセンに代表されるアセン類を骨格に有するコアユニット(アセン誘導体)を有するデンドリマー、上記式(3a)又は(3b)で示されるo-キノジメタンを骨格に有するコアユニット(o-キノジメタン誘導体)を有するデンドリマーが好ましい。

【0073】
Prato反応によりフラロデンドロンを得る方法としては、例えば、CHNHCHCOH等のα-アミノ酸とアルデヒドとを用いてアゾメチンイリド誘導体を反応系中に発生させて、トルエン等の溶媒を用いてフラーレンに付加させる反応により得る方法が好適に採用される。このようなPrato反応に用いられるデンドリマーとしては、上記式(4)で示されるアゾメチンイリド誘導体をコアユニットとして有するデンドリマーが好ましい。

【0074】
Bingel反応によりフラロデンドロンを得る方法としては、例えば、トルエン等の溶媒を用いて、CBrを共存させてマロン酸エステルをDBU(ジアザビシクロウンデセン)によりエノラート化し、次いでフラーレンに付加させることによりシクロプロパンが形成される反応により得る方法が好適に採用される。このようなBingel反応に用いられるデンドリマーとしては、上記式(2)で示されるマロン酸エステル誘導体をコアユニットとして有するデンドリマーが好ましい。

【0075】
上記(b)工程は、前記フラロデンドロンとカーボンナノチューブとを混合することにより、カーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で積層されたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層を形成する工程である。カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層を形成する方法としては、特に限定されない。例えば、カーボンナノチューブと0.1~10mMに調製したフラロデンドロン水溶液とを混合することにより得る方法が好適に採用される。このとき、カーボンナノチューブとフラロデンドロン水溶液との混合液に対して超音波処理することが好ましい。超音波処理することにより、凝集したカーボンナノチューブを1本のカーボンナノチューブに分散させてカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層の形成が容易となる利点を有する。超音波処理としては、10~45℃で5分~12時間行うことが好ましい。上記(b)工程において、前記混合液に対して遠心分離させることが好ましい。遠心分離させることにより、未反応のカーボンナノチューブを除去できる利点を有する。遠心分離としては、1000~10000Gで5分~5時間行うことが好ましい。また、上記(b)工程において、未反応のフラロデンドロンを除去する観点から、透析を行うことが好ましい。透析としては、イオン交換水等を用いて1時間~7日行うことが好ましい。カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層の一例を以下に示す。

【0076】
【化16】
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【0077】
上記(c)工程は、前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体に対して、ケイ素のアルコキシドを添加した後に金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させることにより、シリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層を形成する工程である。本発明者らは、ゾルゲル反応させる際に、ケイ素のアルコキシドのみを用いた場合には、調製時間が長くなるとともに、本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料と比較して光触媒としての機能が高くなかったことを確認している。また、ゾルゲル反応させる際に、金属のアルコキシドのみを用いた場合には、得られる複合材料が凝集してしまうことを確認している。更に、ゾルゲル反応させる際に、ケイ素のアルコキシドと金属のアルコキシドを同時に添加すると、得られる複合材料が凝集してしまうことを確認している。したがって、上記(c)工程のように、ケイ素のアルコキシドを添加した後に金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させる方法を採用する意義が大きい。

【0078】
本発明者らは、ケイ素のアルコキシドを用いた場合と比べて、金属のアルコキシドによるゾルゲル反応の反応性が速いため、ケイ素のアルコキシドを添加して一定時間反応させた後に金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させることにより、シリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層が形成された本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料が得られると推察している。上記(c)工程において、ケイ素のアルコキシドを添加した後に5分~48時間経過してから金属のアルコキシドを添加してゾルゲル反応させることが好ましい。ケイ素のアルコキシドを添加してからの経過時間が5分未満の場合、シェル層の形成が不十分になるおそれがあり、前記経過時間は10分以上であることがより好ましい。一方、ケイ素のアルコキシドを添加してからの経過時間が48時間を超える場合、シェル層が厚くなりすぎる、あるいは、凝集するおそれがあり、前記経過時間は24時間以下であることがより好ましく、10時間以下であることが更に好ましい。

【0079】
上記(c)工程において、ケイ素のアルコキシドを添加する前に、予め前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体に対して酸性水溶液を加えて撹拌しておくことが好ましい。用いられる酸性水溶液としては、塩酸水溶液、酢酸水溶液等が挙げられる。撹拌時間としては、5分~10時間であることが好ましい。

【0080】
上記(c)工程において、ケイ素のアルコキシドを添加して反応させる際の反応温度としては特に限定されず、30℃以下であることが好ましい。反応温度が30℃を超える場合、凝集する、あるいは、形成されるシェル層の厚みが大きくなるため、光触媒としての機能が低下するおそれがあり、25℃以下であることがより好ましく、15℃以下であることが更に好ましい。一方、反応温度は、通常0℃以上である。

【0081】
上記(c)工程において、金属のアルコキシドを添加して反応させる際の反応時間としては特に限定されず、5分~24時間であることが好ましい。反応時間が5分未満の場合、シリカと金属酸化物との複合体を形成することが困難となるおそれがあり、10分以上であることがより好ましい。一方、反応時間が24時間を超える場合、得られる複合材料が凝集してしまうおそれがあり、前記経過時間は10時間以下であることがより好ましい。

【0082】
上記(c)工程において、金属のアルコキシドを添加して反応させる際の反応温度としては特に限定されず、30℃以下であることが好ましい。反応温度が30℃を超える場合、形成されるシェル層の厚みが大きくなるため、光触媒としての機能が低下するおそれがあり、25℃以下であることがより好ましく、15℃以下であることが更に好ましい。一方、反応温度は、通常0℃以上である。

【0083】
上記(c)工程におけるケイ素のアルコキシドの使用量としては特に限定されないが、前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体1mgに対して、0.05~5mmolのケイ素のアルコキシドを使用することが好ましい。ケイ素のアルコキシドの使用量が0.05mmol未満の場合、シェル層の形成が不十分になるおそれがあり、0.1mmol以上であることがより好ましい。一方、ケイ素のアルコキシドの使用量が5mmolを超える場合、シェル層が厚くなりすぎる、あるいは、凝集するおそれがあり、3mmol以下であることがより好ましい。

【0084】
また、上記(c)工程における金属のアルコキシドの使用量としては特に限定されないが、前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体1mgに対して、1×10-4~0.1mmolの金属のアルコキシドを使用することが好ましい。金属のアルコキシドの使用量が1×10-4mmol未満の場合、シェル層の形成が不十分になるおそれがあり、0.001mmol以上であることがより好ましく、0.005mmol以上であることが更に好ましい。一方、金属のアルコキシドの使用量が0.1mmolを超える場合、形成されるシェル層の厚みが大きくなるため、光触媒としての機能が低下するおそれがあり、0.05mmol以下であることがより好ましい。

【0085】
上記(c)工程において、用いられるケイ素のアルコキシドと金属のアルコキシドのモル比(金属のアルコキシド/ケイ素のアルコキシド)としては特に限定されないが、1/500~1/2であることが好ましい。このようなモル比とすることにより、シリカと金属酸化物との複合体である無機化合物からなるシェル層が形成され、繊維状構造のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料が形成される利点を有する。前記モル比は、1/300~1/10であることがより好ましい。

【0086】
このようにして得られる本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料は、太陽電池材料等に代表される有機半導体材料や光触媒として好適に用いられる。本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を用いる際の形態としては特に限定されず、本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を含む分散液であってもよいし、膜状に成形してもよい。ここで、後述する実施例からも分かるように、本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料を用いて光水素発生量の測定を行うと、光水素発生量が7.4μmol/hであり、量子収率が53%であったことが確認された。したがって、本発明のコアシェル型カーボンナノチューブ複合材料は、光水素発生剤として好適に使用され、特に燃料電池用の光水素発生剤として好適に使用される。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。実施例中、赤外線吸収スペクトル(IR)は(Thermo Nicolet IR Affinity-1)を用いた。紫外可視近赤外吸収スペクトル(UV-VIS)は(SHIMADZU UV-3150 UV-VIS-NIR SPECTROPHOTOMETER)を使用した。また、2.5世代デンドリマー(G2.5-(COMe))、2.5世代フラロデンドロンC60(G2.5-(COMe))は、特開2004-323357号公報に記載された方法に従って合成した。
【実施例】
【0088】
実施例1
[2.5世代フラロデンドロンC60(G2.5-(COK))の合成]
【実施例】
【0089】
【化17】
JP0006225399B2_000018t.gif
【実施例】
【0090】
アルミで遮光した遠心沈澱管に、2.5世代フラロデンドロンC60(G2.5-(COMe))(64mg、0.03mmol)のTHF(10ml)溶液を加え、水酸化カリウムのメタノール溶液(0.1g/ml、0.23mmol)をメスピペットで滴下した。室温で4時間攪拌し反応の進行をTLC(eluent:クロロホルム/メタノール=10/1)で確認後、エバポレーターを用いて50℃以下で溶媒を留去した。残渣を少量のメタノールに溶かした後、過剰のTHFを加えると固体が析出した。4000rpmで10分間遠心分離した後、上積みを取り除き沈殿物を得た。沈澱物を真空乾燥し、黒色固体の2.5世代フラロデンドロンC60(G2.5-(COK))(62mg、0.24mmol、収率90%)を得た。2.5世代フラロデンドロン(C60(G2.5-(COK))のIRスペクトルを図1に示す。IRスペクトルにより、1647cm-1、1560cm-1にカルボン酸アニオンに由来する逆対称伸縮振動が確認された。
【実施例】
【0091】
[カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体分散液の調製]
ねじ口試験管に単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)1mgと1.0mMに調製した2.5世代フラロデンドロンC60(G2.5-(COK))水溶液10mLとを加えてサンプルを調整し、4時間超音波照射した。その後、30分間3000Gで遠心分離したところ、上澄み液として黒色のカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体分散液を得た。
【実施例】
【0092】
[カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体の透析]
続いて、上記得られたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体分散液を透析チューブ(Spectrum Laboratories Inc.社製)に加え、チューブの端をクリップで止めた。それを、イオン交換水300mLの入ったビーカーに加え撹拌した。3時間ごとにイオン交換水を入れ替え3日間透析を行い、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体を得た。カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体の調製についてのフローチャートを図2に示す。透析の終了については、吸収スペクトルで258nmの吸収の減少が見られなくなった事で判断した。得られた吸収スペクトルを図3に示す。カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体の模式図を図4に、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体のAFM写真とTEM写真を図5に、カーボンナノチューブのSEM写真とカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体のSEM写真を図6に示す。
【実施例】
【0093】
[コアシェル型カーボンナノチューブ複合材料の調製]
25mLのナスフラスコに、上記得られたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体(5mL)、塩酸水溶液(1M、25μL)を加えて0.3℃で1時間撹拌した。オルトけい酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)(1.9M in EtOH、58μL)を加えてナスフラスコに添加して30分間、0.3℃で撹拌した。続いてオルトチタン酸テトラブチル(テトラ-n-ブトキシチタン)(0.2M in EtOH、20μL)をナスフラスコに添加して更に30分間、0.3℃で撹拌することで、コアシェル型カーボンナノチューブ複合材料であるカーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドを得た。カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドの調製についてのフローチャートを図7に示す。得られたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッド溶液の吸収スペクトルを図8に示す。800-1350nmにS11遷移に由来する半導体性領域でSWCNTsに特有の吸収が観測できたことから、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドが安定に分散していることが分かった。カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドのSEM写真を図9に示す。図9のSEM写真から直径約30nmの繊維状構造が確認され、無機化合物からなるシェル層が形成されることで分岐した繊維状のものは観察されなかった。一方、図6のカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体のSEM写真では、分岐した網目構造を有するものが観察されるとともに、シェル層が形成されていないため前記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体同士が絡み合っていたことが確認された。また、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドのIRスペクトルにより、Si-O-Ti結合に由来するピークが確認された。これらのことから、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドは、内側からカーボンナノチューブ、フラーレン及びデンドリマーがこの順番で三層積層されたカーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体からなるコア層が形成され、更に前記コア層の外側にSiO-TiO複合体である無機化合物からなるシェル層が形成された四層の同軸ケーブル構造であることが分かる。カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドの模式図を図10に示す。また、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドのIRスペクトルを図11に示す。
【実施例】
【0094】
実施例2
[カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドを用いた光水素発生量の測定]
100mL三角フラスコに下記式で示されるメチルビオロゲン(MV2+)(92.4mg、2.4mM)、下記式で示されるベンジルジヒドロニコチンアミド(BNAH)(38.6mg、1.2mM)、及びイオン交換水20mLを加えた。BNAHは水への溶解性が低いため、Arバブリングをしながら固体の粒が細かくなるまで超音波照射したものを用いた。次いで、光触媒セルに、前記調製した三角フラスコの溶液、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッド溶液(5mL)、Tris-HCl buffer(3.5mL、pH7.5、5mM)、PVA-Pt(15mL、740μM)、及びイオン交換水(106.5mL)を加えて光触媒測定装置に取り付けた。装置内を真空脱気した後、Arガスを循環系内に封入した。光水素発生量は、キセノンランプ(300W)にUVカットフィルターを装着し、420±5nm以上の光を照射して発生した水素の量を1時間ごとにガスクロマトグラフィーで測定することにより求めた。また、量子収率は、450±5nmの単色光のみを照射し、上記同様に発生した水素の量を1時間ごとにガスクロマトグラフィーで測定することにより求めた。光水素発生量を示すグラフを図12に示す。測定結果としては、光水素発生量が7.4μmol/hであり、量子収率が53%であった。
【実施例】
【0095】
【化18】
JP0006225399B2_000019t.gif
【実施例】
【0096】
本発明者らは、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体を用いて同様に光水素発生量を測定したところ、光水素発生量が5.3μmol/hであり、量子収率が28%であったことを確認している。また、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiOナノハイブリッドを調製して同様に光水素発生量を測定したところ、光水素発生量が5.7μmol/hであり、量子収率が31%であったことを確認している。これらの結果と比較すると、本発明のカーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドを用いることで、光水素発生量と量子収率がともに向上しており、特に量子収率は1.5倍以上向上していたことが分かる。また、本発明者らは、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体を出発化合物として上記カーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiOナノハイブリッドを調製した場合、調製時間に48時間を要したことを確認している。これに対して、カーボンナノチューブ/フラロデンドロン複合体を出発化合物として本発明のカーボンナノチューブ/フラロデンドロン/SiO-TiOナノハイブリッドを調製する時間は2時間であり、光触媒としての機能向上だけでなく反応時間も大幅に短縮することが可能となった。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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