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明細書 :物理量検出センサモジュールおよび物理量検出システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-145808 (P2015-145808A)
公開日 平成27年8月13日(2015.8.13)
発明の名称または考案の名称 物理量検出センサモジュールおよび物理量検出システム
国際特許分類 G01D  21/00        (2006.01)
H03H   9/145       (2006.01)
G01D   5/48        (2006.01)
FI G01D 21/00 G
H03H 9/145 Z
G01D 5/48 B
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2014-018194 (P2014-018194)
出願日 平成26年2月3日(2014.2.3)
発明者または考案者 【氏名】近藤 淳
【氏名】成島 彰洋
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100136674、【弁理士】、【氏名又は名称】居藤 洋之
審査請求 未請求
テーマコード 2F076
2F077
5J097
Fターム 2F076BA01
2F076BD01
2F076BD05
2F076BD07
2F076BD08
2F076BD10
2F076BD11
2F076BD12
2F076BD13
2F076BD15
2F076BE01
2F076BE02
2F076BE05
2F076BE10
2F076BE18
2F077AA27
2F077HH14
2F077LL08
5J097AA04
5J097AA11
5J097BB05
5J097DD14
5J097KK08
5J097LL01
要約 【課題】物理量を検出するセンサとしての感知幅を広くすることによって用途を拡大することができる物理量検出センサモジュールおよび物理量検出システムを提供する。
【解決手段】物理量検出システム100は、センサモジュール200とホスト装置300とを備えている。センサモジュール200は、表面弾性波を発生させる圧電基板201上に表面弾性波変換IDT210と表面弾性波反射IDT220とを備えている。表面弾性波変換IDT210は、高周波電気信号と表面弾性波とを相互に変換する。表面弾性波反射IDT220は、湿度センサ240に対して並列コンデンサ250が並列接続されており、表面弾性波を湿度センサ240のインピーダンスに応じて反射する。並列コンデンサ250は、表面弾性波反射IDT220に湿度センサ240のみを接続した場合に表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が最小となる静電容量に設定されている。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
圧電効果を示す圧電体で構成されるとともに表面弾性波を伝播可能な圧電基板と、
前記圧電基板上にて互いに対向配置された2つの第1櫛歯状電極を有して高周波電気信号と前記表面弾性波とを相互に変換する表面弾性波変換手段と、
前記圧電基板上に互いに対向配置された2つの第2櫛歯状電極を有して前記表面弾性波変換手段によって励振された前記表面弾性波を反射する表面弾性波反射手段と、
前記表面弾性波反射手段に接続されて検出対象から受ける物理量に応じてインピーダンスが変化するインピーダンス変化型センサと、
前記表面弾性波反射手段に対して直列接続されるとともに前記インピーダンス変化型センサに対して並列接続される並列コンデンサとを備えることを特徴とする物理量検出センサモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載した物理量検出センサモジュールにおいて、
前記インピーダンス変化型センサは、
前記検出対象から受ける物理量に応じて静電容量が変化する可変コンデンサを含み、
前記並列コンデンサは、
前記表面弾性波反射手段に前記インピーダンス変化型センサのみを接続した場合における同表面弾性波反射手段から反射される前記表面弾性波の振幅値が最小となる静電容量に設定されていることを特徴とする物理量検出センサモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載した物理量検出センサモジュールにおいて、
前記インピーダンス変化型センサは、
前記検出対象から受ける物理量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗を含み、
前記並列コンデンサは、
前記表面弾性波反射手段に前記インピーダンス変化型センサのみを接続した場合における同表面弾性波反射手段から反射される前記表面弾性波の振幅値が小さくなる静電容量に設定されていることを特徴とする物理量検出センサモジュール。
【請求項4】
物理量の検出対象に設置される前記請求項1ないし前記請求項3のうちのいずれか1つに記載された物理量検出センサモジュールと、
前記表面弾性波変換手段に付与する前記高周波電気信号を生成する高周波電気信号生成手段と、
前記表面弾性波変換手段にて変換された前記高周波電気信号の振幅値を用いて前記物理量を特定する物理量特定手段とを備えることを特徴とする物理量検出システム。
【請求項5】
請求項4に記載した物理量検出システムにおいて、
前記高周波電気信号生成手段、前記物理量特定手段、および前記高周波電気信号と電波とを相互に変換して無線送受信を行う送受信部をそれぞれ有したホスト装置と、
前記表面弾性波変換手段における第1櫛歯状電極に接続されて電波と前記高周波電気信号とを相互に変換する送受信アンテナとを備えることを特徴とする物理量検出システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)を用いて種々の物理量を検出する物理量検出センサモジュールおよび物理量検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光、音、超音波(振動)、圧力、温度、湿度、ガス、電界または磁界などの各種物理量を表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)を介して検出する物理量検出センサモジュールがある。例えば、下記特許文献1には、表面弾性波と高周波電気信号とを相互に変換する表面弾性波変換IDT(Interdigital Transducer)と、受光量に応じてインピーダンスが変化する受光素子が接続された表面弾性波反射IDTとを圧電基板上で対向配置するとともに、表面弾性波変換IDTと表面弾性波反射IDTとの間で表面弾性波を往復伝播させた際における表面弾性波反射IDTの反射率の変化による表面弾性波の変化に基づいて受光素子が受光した光量を検出する無給電ワイヤレス式フォトセンサ(物理量検出センサモジュール)が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2006-266846号公報
【0004】
しかしながら、本発明者による実験によれば、上記特許文献1に記載したインピーダンス変化型センサの両端子を表面弾性波反射IDTに接続した構成のセンサモジュールにおいては、インピーダンス変化型センサの共振現象によって反射係数S11(dB)が二次曲線的に変化するため振幅値が一意に定まるインピーダンスの幅が狭くセンサモジュールにおけるセンサとしての感知幅が狭いことを知見した。このため、従来のセンサモジュールにおいては、使用の用途が限定されるという問題があった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、物理量を検出するセンサとしての感知幅を広くすることによって用途を拡大することができる物理量検出センサモジュールおよび物理量検出システムを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、圧電効果を示す圧電体で構成されるとともに表面弾性波を伝播可能な圧電基板と、圧電基板上にて互いに対向配置された2つの第1櫛歯状電極を有して高周波電気信号と表面弾性波とを相互に変換する表面弾性波変換手段と、圧電基板上に互いに対向配置された2つの第2櫛歯状電極を有して表面弾性波変換手段によって励振された表面弾性波を反射する表面弾性波反射手段と、表面弾性波反射手段に接続されて検出対象から受ける物理量に応じてインピーダンスが変化するインピーダンス変化型センサと、表面弾性波反射手段に対して直列接続されるとともにインピーダンス変化型センサに対して並列接続される並列コンデンサとを備えることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、物理量検出センサモジュールは、表面弾性波変換手段に対向配置された表面弾性波反射手段に対してインピーダンス変化型センサと並列コンデンサとが互いに並行に接続されている。これにより、本発明者らの実験によれば、物理量検出センサモジュールにおける反射係数S11(dB)の二次曲線的変化が並列コンデンサの静電容量に応じて変化することを知見した。具体的には、本発明者らは、物理量検出センサモジュールにおいてインピーダンス型センサとして静電容量が変化するセンサを用いた場合、反射係数S11(dB)に対するインピーダンス(静電容量)の変化の範囲を拡大できることを確認した。また、本発明者らは、物理量検出センサモジュールにおいてインピーダンス型センサとして抵抗値が変化するセンサを用いた場合、インピーダンス(抵抗)に対する反射波の振幅値のダイナミックレンジが拡大することを確認した。これらの結果、物理量検出センサモジュールは、従来のセンサモジュールに比べてセンサとしての感知幅やダイナミックレンジを広くすることができ、センサとしての用途を拡大することができる。
【0008】
ここで、本発明に係るインピーダンス変化型センサは、物理現象によってインピーダンスが変化する素子を広く採用することができ、例えば、物理量に応じて電荷を蓄える容量(静電容量)が変化する可変キャパシタ、物理量に応じてインダクタンスが変化する可変インダクタ、および物理量に応じて抵抗が変化する可変抵抗のうちの少なくとも1つを含むものである。
【0009】
この場合、物理現象としては、例えば、光電効果(光電子放出効果、光伝導効果、光起電力効果など)、熱現象(ゼーベック効果、焦電効果など)、圧電現象、音(または振動)現象、磁気現象(ホール効果、磁気抵抗効果など)、電子放出効果(熱電子放出効果、電界放出効果など)、超伝導現象(ジョセフソン効果など)、化学現象(吸着現象、イオン移動など)がある。
【0010】
また、光電効果を利用したインピーダンス変化型のセンサや素子としては、例えば、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタ、PSD、太陽電池およびUVトロン(「炎センサ」ともいう)などがある。なお、この場合、「UVトロン」とは、金属の光電効果とガス倍増効果を利用した紫外線センサであり、特に炎から出る微弱な紫外線も検出することができるものである。すなわち、インピーダンス変化型センサとしてUVトロンを用いることにより、無給電ワイヤレス炎検出器や火災報知器を構成することができる。
【0011】
また、熱現象を利用したインピーダンス変化型のセンサや素子としては、例えば、熱伝対、サーモパイル、サーミスタ、量子型赤外線センサ、焦電温度センサおよび焦電形赤外線センサなどがある。また、圧電現象を利用したインピーダンス変化型のセンサや素子としては、例えば、圧電素子(ピエゾ素子)、加圧導電シート(ゴム)、トーションバー、ストレンゲージ(ロードセル)、ダイアフラムおよびマイクロフォン(圧電式)などがある。また、音現象または振動現象を利用したインピーダンス変化型のセンサや素子としては、例えば、マイクロフォン(電磁式)、振動センサおよび衝撃センサなどがある。また、磁気現象を利用したインピーダンス変化型のセンサや素子としては、例えば、ホール素子、MR素子および半導体磁気抵抗素子変位センサなどがある。また、電子放出効果を利用したインピーダンス変化型センサとしては、例えば、電離真空計などがある。また、超伝導現象を利用したインピーダンス変化型のセンサや素子としては、例えば、SQUID(超伝導量子干渉素子)などがある。また、化学現象を利用したインピーダンス変化型のセンサや素子としては、例えば、セラミック湿度センサ、半導体ガスセンサおよび固体電解質形酸素センサなどがある。そして、これらのインピーダンス変化型のセンサや素子は、単独でまたはこれらを適宜組み合わせて用いることができる。これらにより、本発明に係る物理量検出システムは、幅広い種類の物理量を効率的に検出することができる
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記物理量検出センサモジュールにおいて、インピーダンス変化型センサは、検出対象から受ける物理量に応じて静電容量が変化する可変コンデンサを含み、並列コンデンサは、表面弾性波反射手段にインピーダンス変化型センサのみを接続した場合における同表面弾性波反射手段から反射される表面弾性波の振幅値が最小となる静電容量に設定されていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、物理量検出センサモジュールは、並列コンデンサが表面弾性波反射手段から反射される表面弾性の振幅値が最小となる静電容量に設定されているため、最も効果的に反射係数S11(dB)に対するインピーダンス(静電容量)の範囲を拡大して感知幅を拡大することができ、センサとしての用途を拡大することができる。また、物理量検出センサモジュールは、並列コンデンサの静電容量を表面弾性波反射手段から反射される表面弾性波に基づく反射係数S11(dB)を用いて容易に特定することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記物理量検出センサモジュールにおいて、インピーダンス変化型センサは、検出対象から受ける物理量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗を含み、並列コンデンサは、表面弾性波反射手段にインピーダンス変化型センサのみを接続した場合における同表面弾性波反射手段から反射される表面弾性波の振幅値が小さくなる静電容量に設定されていることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、物理量検出センサモジュールは、インピーダンス変化型センサとして抵抗値が変化する可変抵抗で構成される。これによれば、物理量検出センサモジュールは、インピーダンス(抵抗)に対する反射波の振幅値のダイナミックレンジが拡大するため、従来のセンサモジュールに比べてセンサとしての感知幅やダイナミックレンジを広くすることができ、センサとしての用途を拡大することができる。
【0016】
また、本発明は物理量検出センサモジュールの発明として実施できるばかりでなく、物理量検出センサモジュールを備えた物理量検出システムの発明としても実施できるものである。
【0017】
具体的には、物理量検出システムは、物理量の検出対象に設置される請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載された物理量検出センサモジュールと、表面弾性波変換手段に付与する高周波電気信号を生成する高周波電気信号生成手段と、表面弾性波変換手段にて変換された高周波電気信号の振幅値を用いて物理量を特定する物理量特定手段とを備えることにあるこのように構成した本発明に係る物理量検出システムによれば、上記物理量検出センサモジュールと同様の作用効果を期待することができる。
【0018】
また、この場合、物理量検出システムは、高周波電気信号生成手段、物理量特定手段、および高周波電気信号と電波とを相互に変換して無線送受信を行う送受信部をそれぞれ有したホスト装置と、表面弾性波変換手段における第1櫛歯状電極に接続されて電波と高周波電気信号とを相互に変換する送受信アンテナとを備えるとよい。
【0019】
このように構成した本発明に係る物理量検出システムによれば、物理量特定手段および高周波電気信号と電波とを相互に変換して無線送受信を行う送受信部をそれぞれ有したホスト装置、および表面弾性波変換手段における第1櫛歯状電極に接続されて電波と高周波電気信号とを相互に変換する送受信アンテナとを備えて構成されている。これにより、物理量検出システムは、物理量を検出するインピーダンス型センサと、このインピーダンス型センサによる検出結果に基づいて物理量を特定するホスト装置とを互いに物理的に離れた位置に配置してワイヤレス通信によって高周波電気信号の送受信を行うことができるため、ホスト装置から離れた位置での物理量を無給電で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る本発明に係る物理量検出センサモジュールを含む物理量検出システム100の構成の概略を示した模式図である。
【図2】図1に示すセンサモジュールに湿度センサのみを接続した場合と湿度センサに対して並列コンデンサを並列接続した場合における表面弾性波反射IDTから反射される表面弾性波の反射係数S11(dB)と湿度センサのインピーダンス(静電容量)との関係を示したグラフである。
【図3】図1に示すセンサモジュールに可変抵抗のみを接続した場合と可変抵抗に対して並列コンデンサを並列接続した場合における表面弾性波反射IDTから反射される表面弾性波の反射係数S11(dB)と可変抵抗のインピーダンス(抵抗値)との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る物理量検出センサモジュールおよび物理量検出システムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る物理量検出センサモジュール(以下、単に「センサモジュール」という)200を含む物理量検出システム100の構成の概略を示した模式図である。なお、本明細書において参照する図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この物理量検出システム100は、センサモジュール200をホスト装置300から物理的に離れた場所に配置して物理量(本実施形態においては温度)を検出するとともに検出した物理量に対応する電気信号を無線通信を介してホスト装置300に出力する検出装置である。

【0022】
(物理量検出システム100の構成)
物理量検出システム100は、主として、センサモジュール200とホスト装置300とで構成されている。センサモジュール200は、図示しない金属製や樹脂製の筐体内に圧電基板201を備えている。

【0023】
圧電基板201は、圧電効果によって表面弾性波(破線矢印で示す)を発生させるとともに発生させた表面弾性波を伝搬する部品であり、表面弾性波の発生および伝搬が可能な素材で構成されている。より具体的には、圧電基板201は、圧電効果によって表面弾性波を発生させる圧電体(「圧電素子」ともいう)によって構成されている。この場合、圧電体としては、各種結晶体(例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、水晶、ランガサイト)や、圧電効果を示す高分子材料(例えば、PVDF)などを用いることができる。本実施形態においては、圧電基板201は、結晶体で構成されている。なお、表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)とは、弾性体の表面を伝播する縦波および/または横波からなる波である。

【0024】
この圧電基板201は、図示左右方向に延びる平行四辺形状の板状体に形成されている。本実施形態においては、圧電基板201は、約7mm×4mm×1mmの大きさで形成されている。この圧電基板201の大きさや形状は、センサモジュール200の使用場所、使用条件、および励振する表面弾性波の周波数などに応じて適宜決定されるものである。また、圧電基板201の厚さは、励振する表面弾性波の波長の1波長以上の厚さであればよいが、好ましくは同波長の3倍以上の厚さで構成するとよい。

【0025】
圧電基板201における長手方向両端部には、反射防止部202a,202bがそれぞれ設けられている。反射防止部202a,202bは、後述する表面弾性変換IDT210によって励振された表面弾性波および表面弾性波反射IDT220によって反射された表面弾性波の表面弾性波変換IDT210および表面弾性波反射IDT220への反射を防止するための部分であり、表面弾性波の伝搬方向に対して傾斜して形成されている。本実施形態においては、反射防止部202a,202bは、平行四辺形に形成された圧電基板201における長手方向両端部の互いに平行に延びる2つの斜辺によって構成されている。

【0026】
そして、この圧電基板201は、高分子材料(例えば、BCB、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂など)やセラミック材料で構成された図示しない絶縁性基板上に固定されている。なお、圧電基板201は、前記圧電体と、表面弾性波を伝搬可能な基体とを組み合わせて構成することもできる。例えば、圧電基板201は、PZTなどの圧電セラミックスや酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などからなる圧電薄膜をガラス、シリコンまたは樹脂などからなる基板表面の全面または部分的に積層して構成することもできる。

【0027】
一方、圧電基板201の上面には、長手方向両側に互いに対向した状態で表面弾性波変換IDT210および表面弾性波反射IDT220がそれぞれ設けられている。これらのうち、表面弾性波変換IDT210は、後述するアンテナ230から入力する高周波電気信号に対応する表面弾性波を圧電基板201に励振するとともに、表面弾性波反射IDT220によって反射された表面弾性波を受けて同受信した表面弾性波に対応する高周波電気信号を生成してアンテナ230に出力する電極である。すなわち、表面弾性波変換IDT210は、アンテナ230と圧電基板201との間で高周波電気信号と表面弾性波とを相互に変換する電極であり、本発明に係る表面弾性波変換手段に相当する。

【0028】
また、表面弾性波反射IDT220は、前記表面弾性波変換IDT210によって励振された表面弾性波を同表面弾性波変換IDT210に向けて反射するための電極であり、本発明に係る表面弾性波反射手段に相当する。これらの表面弾性波変換IDT210および表面弾性波反射IDT220は、それぞれ2つの櫛歯状電極、具体的には、2つの第1櫛歯状電極211a,211bおよび2つの櫛歯状電極221a,221bがそれぞれ互いに対向配置されたIDT(Interdigital Transducer)によって構成されている。

【0029】
各2つの第1櫛歯状電極211a,211bおよび第2櫛歯状電極221a,221bは、圧電基板201に対して電圧を加えまたは受けることができる電極であり、正極(+)側および負極(—)側の一対の櫛歯状の電極によって構成されている。具体的には、直線状に延びる基部から直交する方向に互いに平行に延びる複数の電極指によって構成された2つの櫛歯状の電極が、互いの電極指間に入り込んだ状態で形成されている。

【0030】
これらの第1櫛歯状電極211a,211bおよび第2櫛歯状電極221a,221bのうち、表面弾性波変換IDT210を構成する第1櫛歯状電極211a,211bは、正極側の電極指と負極側の電極指との間隔P1が、励振する表面弾性波の波長の1/2の整数倍の長さに設定されている。本実施形態においては、第1櫛歯状電極211a,211bにおける各正極側の電極指と各負極側の電極指との間隔Pは、2つの第1櫛歯状電極211a,211bによって励振する表面弾性波の波長の1/2の長さに設定している。また、一対の櫛歯状電極211a,211bを構成する同極の各電極指間の間隔P2も、励振する表面弾性波の波長の整数倍の長さに設定されている。

【0031】
一方、表面弾性波反射IDT220を構成する第2櫛歯状電極221a,221bは、必ずしも、各正極側の電極指と各負極側の電極指との間隔P1や材質などの構成を第1櫛歯状電極211a,211bと同一にする必要はないが、本実施形態においては、第2櫛歯状電極221a,221bは、第1櫛歯状電極211a,211bと同一に構成されている。

【0032】
また、第2櫛歯状電極221a,221b(表面弾性波反射IDT220)は、第1櫛歯状電極211a,211b(表面弾性波変換IDT210)に対して第1櫛歯状電極211a,211bが励振する表面弾性波の図示右側の伝搬方向上に配置される。この場合、第2櫛歯状電極221a,221bと第1櫛歯状電極211a,211bとの距離は、センサモジュール200の仕様(使用条件、励振する表面弾性波の周波数など)に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではない。この場合、例えば、第1櫛歯状電極211a,211bと第2櫛歯状電極221a,221bとは、第1櫛歯状電極211a,211bによって励振される表面弾性波の振幅とは無関係に配置してもよいし、同表面弾性波の振幅が2つの第2櫛歯状電極221a,221bの電極指間に一致するように表面弾性波の波長の整数倍の間隔を介して配置することもできる。

【0033】
これらの各2つずつの第1櫛歯状電極211a,211bおよび第2櫛歯状電極221a,221bは、Al,Au,Cu,Cr,Ti,Ptなどの金属単体、これらの組み合わせ、またはこれらの合金によって構成されており、圧電基板201の長手方向に沿って表面弾性波を励振させる向き、具体的には、櫛歯状の電極指が圧電基板201の長手方向に直交する向きで設けられている。これらの各2つずつの第1櫛歯状電極211a,211bおよび第2櫛歯状電極221a,221bは、スパッタ法、フォトリソグラフィーなどにより圧電基板201の表面にそれぞれ形成される。

【0034】
表面弾性波変換IDT210を構成する2つの第1櫛歯状電極211a,211bは、一方の第1櫛歯状電極211aがアンテナ230に接続されるとともに、他方の第1櫛歯状電極211bが接地されている。アンテナ230は、ホスト装置300から送信される電波(図1において破線屈曲線で示す)を高周波電気信号に変換して表面弾性波変換IDT210に出力するとともに、表面弾性波変換IDT210によって生成された高周波電気信号を電波に変換して送信出力する送受信器である。なお、このアンテナ230と表面弾性波変換IDT210における第1櫛歯状電極211aとの間には、互いのインピーダンスを整合させるための図示しないインピーダンスマッチング回路が設けられている。

【0035】
一方、表面弾性波変換IDT220を構成する2つの櫛歯状電極221a,221bには、湿度センサ240と並列コンデンサ250とがそれぞれ接続されている。湿度センサ240は、外部から受ける湿度変化に対して静電容量が変化するとともにこの容量変化に対応する電気信号を出力する器具であり、本発明に係るインピーダンス変化型センサに相当する。この湿度センサ240は、一方の端子が表面弾性波反射IDT220を構成する第2櫛歯状電極221aに接続されるとともに他方の端子が表面弾性波反射IDT220を構成する第2櫛歯状電極221bに接続されている。

【0036】
並列コンデンサ250は、このセンサモジュール200における湿度の感知幅を拡大させるためのコンデンサであり、湿度センサ240ととともに表面弾性波反射IDT220を構成する第2櫛歯状電極221a,221bにそれぞれ接続されている。すなわち、並列コンデンサ250は、表面弾性波反射IDT220に対して湿度センサ240と並列接続されている。この並列コンデンサ250は、表面弾性波反射IDT220に湿度センサ240のみを接続した場合における表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が最小となる静電容量と同じ静電容量に設定されている。

【0037】
この並列コンデンサ250の静電容量の設定について具体的に説明する。並列コンデンサ250の静電容量を設定する設定者は、表面弾性波反射IDT220に湿度センサ240のみを接続した場合における表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の反射率S11(dB)を湿度センサ240のインピーダンス(静電容量)を変化させながら測定する。この場合、本発明者らの実験によれば、反射率S11(dB)は、例えば、図2に示すように、湿度センサ240などの静電容量が可変のインピーダンス変化型センサの共振現象によって湿度センサ240のインピーダンスに対して二次曲線的に変化する(図において四角形ドット)。

【0038】
そこで、本発明者らは、反射率S11(dB)が最小となる静電容量、すなわち、表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が最小となる静電容量の並行コンデンサ250を静電容量が可変のインピーダンス変化型センサに対して並列接続して同様に反射率S11(dB)を測定した。その結果、本発明者らは、図2に示すように、表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が一意に特定されるインピーダンスの範囲が拡大(約7pFから約30pFまでの範囲が約1pFから20pFまで拡大)することを知見した(図においてダイッヤ形ドット)。

【0039】
したがって、設定者は、反射率S11(dB)が最小となる静電容量、すなわち、表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が最小となる静電容量を並行コンデンサ250の静電容量とする。この場合、実際のセンサモジュール200においては反射率S11(dB)にバラツキが生じるため、反射率S11(dB)が最小となる前後(±30%)の範囲の静電容量が設定される。

【0040】
ホスト装置300は、物理的に離れた場所に設置されるセンサモジュール200に対して表面弾性波変換IDT210に高周波電気信号を供給するための駆動信号(電波)を送信するとともにセンサモジュール200から送信される応答信号(電波)を受信して表面弾性波変換IDT210によって生成された電気信号を解析する計算装置である。このホスト装置300は、主として、変調部310、送受信部320、検波部330、制御部340、入力装置350および表示装置360をそれぞれ備えて構成されている。

【0041】
変調部310は、制御部340から出力される高周波電気信号を変調して駆動信号を生成する電気回路である。また、送受信部320は、変調部310から出力される駆動信号をアンテナ321を介してセンサモジュール200に向けて送信するとともに、センサモジュール200からの応答信号をアンテナ321を介して受信して検波部330に出力する電気回路である。検波部330は、送受信部320を介して入力したセンサモジュール200からの応答信号を検波(復調)して制御部340に出力する電気回路である。

【0042】
制御部340は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ユーザによって予め記憶される物理量検出プログラムを実行することにより、センサモジュール200に対して送受信する高周波電気信号を用いて湿度センサ240によって検出された湿度を計算する。具体的には、制御部340は、高周波電気信号生成部341および物理量特定部342をそれぞれ備えている。これらのうち、高周波電気信号生成部341は、表面弾性波変換IDT210に供給する高周波電気信号を生成して変調部310に出力する。物理量特定部342は、検波部330によって検波された高周波電気信号の振幅値から湿度センサ240が検出した湿度を計算して特定する。

【0043】
また、この制御部340には、ユーザからの指示を入力するための入力装置350および制御部340の作動状態や特定した物理量を表示するための表示装置360がそれぞれ接続されている。なお、このホスト装置300は、内蔵する各種回路を駆動するための電源を備え、または外部電源に接続されるように構成されている。

【0044】
(物理量検出システム100の作動)
次に、上記のように構成した物理量検出システム100の作動について説明する。物理量検出システム100の使用者は、センサモジュール200をホスト装置300から物理的な離れた場所であって湿度測定の対象となる場所に設置する。この場合、センサモジュール200は、電源を持たないとともにホスト装置300からの駆動信号の送信がないため、作動停止状態にある。

【0045】
次いで、使用者は、ホスト装置300の電源をONにするとともにホスト装置300の作動を開始させる。これにより、制御部340は、高周波電気信号生成部341にて生成した高周波電気信号を変調部310および送受信部320を介してセンサモジュール200に対して送信する。すなわち、ホスト装置300は、センサモジュール200に表面弾性波変換IDT210に高周波電気信号を供給してセンサモジュール200からの応答信号を得るための駆動信号を送信する。この場合、ホスト装置300は、駆動信号をバースト出力することにより、センサモジュール200からの応答信号を検波し易くなる。

【0046】
ホスト装置300から送信された駆動信号は、センサモジュール200のアンテナ230によって受信される。アンテナ230は、受信した電波(駆動信号)に対応する高周波電気信号に変換して表面弾性波変換IDT210に出力する。表面弾性波変換IDT210は、アンテナ230から出力された高周波電気信号に対応する表面弾性波を圧電基板210上に励振する。これにより、圧電基板201上に励振された表面弾性波は、表面弾性波変換IDT210の中心として反射防止部202a側および表面弾性波反射IDT220側にそれぞれ伝搬する。これらのうち、反射防止部202a側に伝搬した表面弾性波は、反射防止部202aによって圧電基板201の図示下側の長辺に向って反射する。これにより、表面弾性波変換IDT210から反射防止部202a側に伝搬した表面弾性波が再び表面弾性波変換IDT210に戻ることが防止される。

【0047】
一方、表面弾性波反射IDT220側に向って伝搬した表面弾性波は、一部が表面弾性波反射IDT220によって表面弾性波変換IDT210側に反射されるとともに、他の一部が表面弾性波反射IDT220を通り抜ける。この場合、表面弾性波反射IDT220を通り抜けた表面弾性波は、反射防止部202bによって圧電基板201の図示上側の長辺に向って反射する。これにより、表面弾性波反射IDT220を通り抜けた表面弾性波が再び表面弾性波変換IDT210に戻ることが防止される。

【0048】
また、表面弾性波反射IDT220は、第2櫛歯状電極221a,221bに接続された湿度センサ240および並列コンデンサ250のインピーダンスに応じた反射率によって表面弾性波を反射する。より具体的には、表面弾性波反射IDT220は、受けた表面弾性波に応じた高周波電気信号を生成して湿度センサ240および並列コンデンサ250にそれぞれ出力する。この場合、湿度センサ240は、湿度センサ240が設置された周囲湿度に応じたインピーダンスとなっている。また、並列コンデンサ250は、表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が最小となる一定の静電容量に設定されている。

【0049】
このため、湿度センサ240に接続された表面弾性波反射IDT220のインピーダンスが湿度センサ220のインピーダンス(静電容量)の変化に応じて変化する。すなわち、表面弾性波反射IDT220のインピーダンスは、湿度センサ240の周囲の湿度に応じて変化する。この場合、表面弾性波反射IDT220は、湿度センサ240に対して並列コンデンサ250が並列接続されているため、湿度センサ240および並列コンデンサ250の合成インピーダンス(静電容量)に応じた振幅の表面弾性波を反射する。

【0050】
表面弾性波反射IDT220によって所定の反射率で反射された表面弾性波は、圧電基板201上を表面弾性波変換IDT210に向って伝搬する。表面弾性波変換IDT210は、受信した表面弾性波に対応する高周波電気信号に変換するとともに同高周波電気信号をアンテナ230に出力する。アンテナ230は、表面弾性波変換IDT210から出力された高周波電気信号を電波(応答信号)に変換して送信する。アンテナ230から送信された応答信号は、ホスト装置300におけるアンテナ321を介して送受信部320によって受信される。

【0051】
なお、表面弾性波反射IDT220は、表面弾性波を反射させる際、反射防止部221b側にも表面弾性波を励振させる。この場合、反射防止部221b側に伝搬した表面弾性波は、反射防止部221bによって圧電基板201の図示上側の長辺に向って反射する。これにより、表面弾性波用反射IDT220から反射防止部221b側に伝搬した表面弾性波が再び表面弾性波反射IDT220に戻ることが防止される。

【0052】
送受信部320によって受信されたセンサモジュール200からの電波(応答信号)は、検波部330によって高周波電気信号に復調された後、制御部340の物理量特定部342に出力される。次いで、物理量特定部342は、検波部330から出力された高周波電気信号の振幅値に対して湿度を特定する予め記憶された湿度変換テーブルを用いて湿度センサ240が検出した湿度を計算して特定する。この場合、物理量特定部342は、前記図2に示すように、表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値を一意に特定できるインピーダンスの範囲が拡大しているため、湿度の測定範囲、換言すれば感知幅を従来よりも広くすることができる。すなわち、物理量特定部342が本発明に係る物理量特定手段に相当する。

【0053】
次に、制御部340は、前記特定した物理量である湿度を表示装置360に表示させる。これにより、使用者は、センサモジュール200を設置した場所における湿度を認識することができる。なお、制御部340は、特定した物理量を表示装置360に表示させる以外に、記憶装置内に記憶したり、他の機器に送信したりすることができることは言うまでもない。

【0054】
そして、制御部340は、入力装置135を介して使用者によって湿度測定の停止の指示またはホスト装置300の電源をOFFされるまでの間、再度駆動信号をセンサモジュール200に送信して湿度の測定処理を繰り返し実行する。

【0055】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、物理量検出システム100は、表面弾性波変換IDT210に対向配置された表面弾性波反射IDT220に対してインピーダンス変化型センサと並列コンデンサとが互いに並行に接続されている。これにより、本発明者らの実験によれば、物理量検出センサモジュールにおける反射係数S11(dB)の二次曲線的変化が並列コンデンサの静電容量に応じて変化することを知見した。具体的には、本発明者らは、センサモジュール200においてインピーダンス型センサとして静電容量が変化するセンサを用いた場合、反射係数S11(dB)に対するインピーダンス(静電容量)の変化の範囲を拡大できることを確認した。この結果、物理量検出システム100およびセンサモジュール200は、従来のセンサモジュールに比べてセンサとしての感知幅を広くすることができ、センサとしての用途を拡大することができる。

【0056】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記変形例の説明においては、参照する各図における上記実施形態と同様の構成部分に同じ符号または対応する符号を付すとともに直接関わらない部分については一部の構成を適宜省略して示して、それらの説明も省略する。また、各図において、破線矢印は表面弾性波を示す。

【0057】
例えば、上記実施形態においては、センサモジュール200は、湿度センサ240を備えることにより湿度センサ240の周囲の湿度に応じて表面弾性波反射IDT220における表面弾性波の反射率を変化させるように構成した。すなわち、湿度センサ240が、本発明に係るインピーダンス変化型センサに相当する。しかし、表面弾性波反射IDT220における表面弾性波の反射率を変化させるためのインピーダンス変化型センサは、外部から受ける物理量の変化に応じてインピーダンスが変化するもの、すなわち、静電容量、インダクタンスまたは抵抗が変化する素子であれば、必ずしも湿度センサに限定されるものではない。すなわち、インピーダンス変化型センサは、光、音、超音波(振動)、圧力、温度、湿度、ガス、電界または磁界などの物理量に応じたインピーダンスとなるインピーダンス変換素子を用いることができる。この場合、例えば、温度検出であればサーミスタのほかサーモスタットや熱伝対、圧力検出であればストレンゲージ(ロードセル)や圧電素子(ピエゾ素子)、光検出であればフォトダイオードやフォトレジスタなどを用いることができる。なお、インピーダンス変化型センサは、前記した各種インピーダンス変換素子を単独で、またはこれらを適宜組み合わせて構成することができる。

【0058】
また、インピーダンス変化型センサとして検出対象から受ける物理量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗を用いる場合には、並列コンデンサ250の静電容量を設定する設定者は、表面弾性波反射IDT220に可変抵抗のみを接続した場合における表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の反射率S11(dB)が小さくなる静電容量を抵抗値を変化させながら測定する。

【0059】
この場合、本発明者らの実験によれば、反射率S11(dB)は、例えば、図3に示すように、可変抵抗のインピーダンス(抵抗)に対して曲線的に変化する(図においてアスタリスク形ドット)。そこで、本発明者らは、反射率S11(dB)が減少する静電容量、すなわち、表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が減少する静電容量の並行コンデンサ250を抵抗値が可変のインピーダンス変化型センサに対して並列接続して同様に反射率S11(dB)を測定した。その結果、本発明者らは、図3に示すように、インピーダンス(抵抗)に対する反射波の振幅値のダイナミックレンジが拡大(約5.1dBが約12.3dBに拡大)することを知見した(図において三角形および四角形ドット参照)。

【0060】
したがって、設定者は、反射率S11(dB)が減少する静電容量、すなわち、表面弾性波反射IDT220から反射される表面弾性波の振幅値が減少する静電容量を並行コンデンサ250の静電容量とする。これによれば、センサモジュール200は、インピーダンス(抵抗)に対する反射波の振幅値のダイナミックレンジが拡大するため、従来のセンサモジュールに比べてセンサとしての感知幅やダイナミックレンジを広くすることができ、センサとしての用途を拡大することができる。

【0061】
また、上記実施形態においては、センサモジュール200は、圧電基板201の両端部に反射防止部202a,202bを備えて構成されている。しかし、センサモジュール200は、圧電基板201上における表面弾性波の反射を考慮する必要がない場合、例えば、表面弾性波変換IDT210によって変換された高周波電気信号の中から必要な高周波電気信号を各種演算処理にて抽出可能な場合などには、反射防止部202a,202bを省略することもできる。

【0062】
また、上記実施形態においては、センサモジュール200は、一組の表面弾性波変換IDT210と表面弾性波反射IDT220とを設けた。しかし、センサモジュール200は、複数組の表面弾性波変換IDT210と表面弾性波反射IDT220とを設けることもできる。この場合、各組における表面弾性波の伝搬経路長を互いに異なるものとした所謂タグを用いることにより各組のごとの応答信号を区別するようにするとよい。また、センサモジュール200は、1つの表面弾性波変換IDT210に対して2つ以上の表面弾性波反射IDT220を設けて構成することができるとともに、1つの表面弾性波反射IDT220に対して2つ以上の表面弾性波変換IDT210を設けて構成することもできる。

【0063】
また、上記実施形態においては、物理量検出システム100は、1つのセンサモジュール200に対して駆動信号の無線送信および応答信号の無線受信を行なう構成とした。しかし、物理量検出システム100は、1つのワイヤレス式物理量検出システム100に対して複数のセンサモジュール200に対して駆動信号の無線送信および応答信号の無線受信を行なう構成とすることもできる。

【0064】
また、上記実施形態においては、ホスト装置300は、センサモジュール200に対して電波を送信する機能と受信する機能を共に兼ね備えて構成されている。すなわち、ホスト装置300は、センサモジュール200に対して駆動信号を無線送信するとともに同センサモジュール200からの応答信号を無線受信する。しかし、ホスト装置300は、駆動信号を無線送信する機能と応答信号を無線受信する機能とを別個の装置で構成されていてもよい。

【0065】
また、上記実施形態においては、物理量検出システム100は、センサモジュール20とホスト装置300との間の駆動信号および応答信号の送受信を無線通信で行うように構成した。しかし、物理量検出システム100は、センサモジュール200とホスト装置300とを有線で結ぶことにより、センサモジュール200とホスト装置300との間の駆動信号および応答信号の送受信を有線通信で行うように構成することもできる。また、物理量検出システム100は、センサモジュール200とホスト装置300とを一体的に構成することもできる。
【符号の説明】
【0066】
100…物理量検出システム、
200…物理量検出センサモジュール(センサモジュール)、201…圧電基板、202a,202b…反射防止部、
210…表面弾性波変換IDT、211a,211b…第1櫛歯状電極、
220…表面弾性波反射IDT、221a,221b…第2櫛歯状電極、
230…アンテナ、
240…湿度センサ、
250…並列コンデンサ、
300…ホスト装置、310…変調部、320…送受信部、321…アンテナ、330…検波部、340…制御部、341…高周波電気信号生成部、342…物理量特定部、350…入力装置、360…表示装置。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2