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明細書 :光アイソレータ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-125186 (P2015-125186A)
公開日 平成27年7月6日(2015.7.6)
発明の名称または考案の名称 光アイソレータ
国際特許分類 G02B  27/28        (2006.01)
G02F   1/095       (2006.01)
FI G02B 27/28 A
G02F 1/095
請求項の数または発明の数 16
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2013-267840 (P2013-267840)
出願日 平成25年12月25日(2013.12.25)
発明者または考案者 【氏名】清水 大雅
出願人 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000877、【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
審査請求 未請求
テーマコード 2H199
2K102
Fターム 2H199AA05
2H199AA11
2H199AA41
2K102AA40
2K102BA00
2K102BB01
2K102BC01
2K102BC09
2K102CA00
2K102DA05
2K102DD03
2K102DD08
2K102DD10
2K102EB20
2K102EB29
要約 【課題】光の伝搬損失を考慮して光アイソレータを設計する。
【解決手段】下部クラッド層と、下部クラッド層上に配置された光導波路層と、光導波路層上に配置されたバッファ層と、バッファ層上の一部に配置され、バッファ層との界面においてプラズモン導波路を形成する強磁性金属層とを備え、バッファ層は、進み光の伝搬損失および戻り光の伝搬損失により定まる性能指数が極大値となる膜厚を有する光アイソレータを提供する。また、性能指数は、戻り光の伝搬損失が進み光の伝搬損失より大きいほど高くなり、且つ、進み光および戻り光の伝搬損失の和が小さいほど高くなる光アイソレータを提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
下部クラッド層と、
前記下部クラッド層上に配置された光導波路層と、
前記光導波路層上に配置されたバッファ層と、
前記バッファ層上の一部に配置され、前記バッファ層との界面においてプラズモン導波路を形成する強磁性金属層と
を備え、
前記バッファ層は、進み光の伝搬損失および戻り光の伝搬損失により定まる性能指数が極大値となる膜厚を有する光アイソレータ。
【請求項2】
前記性能指数は、前記戻り光の伝搬損失が前記進み光の伝搬損失より大きいほど高くなり、且つ、前記進み光および前記戻り光の伝搬損失の和が小さいほど高くなる
請求項1に記載の光アイソレータ。
【請求項3】
前記光導波路層は、前記進み光において、前記プラズモン導波路に結合されずに前記光導波路層を伝搬する光の強度に対する、前記プラズモン導波路に結合される光の強度の比が1より小さく、前記戻り光において、前記プラズモン導波路に結合されずに前記光導波路層を伝搬する光の強度に対する、前記プラズモン導波路に結合される光の強度の比が1より大きくなる膜厚を有する請求項1または2に記載の光アイソレータ。
【請求項4】
前記光導波路層の材料はシリコンである請求項1から3のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
【請求項5】
前記バッファ層の材料は、酸化シリコンである請求項1から4のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
【請求項6】
前記光導波路層は、前記進み光を出力するレーザーの活性層と一体に形成される請求項1から5のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
【請求項7】
前記強磁性金属層の材料は、コバルト、鉄およびニッケルのいずれか、または、コバルト、鉄およびニッケルから選択される2種類以上の材料の合金を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
【請求項8】
前記下部クラッド層は、半導体基板である請求項1から7のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
【請求項9】
前記バッファ層の厚みが、0.1μmから50μmである
請求項1から8のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
【請求項10】
前記光導波路層の厚みが、0.01μmから20μmである
請求項1から9のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
【請求項11】
前記強磁性金属層の厚みが、0.001μmから0.2μmである
請求項1から10のいずれか一項に記載の光アイソレータ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザーの戻り光を遮断する光アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザーと一体に形成して、半導体レーザーを安定動作させることを目的として、プラズモン導波路を備えた光アイソレータが用いられてきた。(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 米国特許出願公開第2010/0316327号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の光アイソレータは、光の伝搬損失を考慮して設計されておらず、光アイソレータのバッファ層等の膜厚を最適に設計できない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、下部クラッド層と、下部クラッド層上に配置された光導波路層と、光導波路層上に配置されたバッファ層と、バッファ層上の一部に配置され、バッファ層との界面においてプラズモン導波路を形成する強磁性金属層とを備え、バッファ層、光導波路層、強磁性金属層は、プラズモン導波路における進み光の伝搬損失および戻り光の伝搬損失により定まる性能指数が極大値となる膜厚を有する光アイソレータを提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の光アイソレータ100の一例を示す。
【図2A】プラズモンアイソレータ部70を伝搬する進み光の光強度分布を示す。
【図2B】プラズモンアイソレータ部70を伝搬する戻り光の光強度分布を示す。
【図3】バッファ層30の膜厚に対する光アイソレーションΔαの依存性を示す。
【図4】バッファ層30の膜厚に対する性能指数FOMの依存性を示す。
【図5】光導波路層20を伝搬する光の伝搬角度θを入射角として、バッファ層30、強磁性金属層50へ光が入射するときの伝搬角度θと強度反射率Rとの関係を示す。
【図6】光アイソレータ100の設計の一例を示すフローチャートである。
【図7A】強度反射率Rの入射角度θに対する依存性を示す。
【図7B】進み光と戻り光の強度反射率Rの入射角度θ依存性を示す。
【図8】進み光と戻り光の減衰入射角度θ、θのバッファ層30の膜厚dSiO2依存性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。

【0008】
図1は、本発明の光アイソレータ100の一例を示す。光アイソレータ100は、入力導波路部60、プラズモンアイソレータ部70、および出力導波路部80を備える。入力導波路部60、プラズモンアイソレータ部70、および出力導波路部80は、それぞれ下部クラッド層10、光導波路層20、バッファ層30を備える。プラズモンアイソレータ部70は、さらに、プラズモン導波路40、x軸に平行に磁化された強磁性金属層50を備える。本明細書では、光の伝搬方向をz軸、基板に垂直な方向をy軸、基板に平行で光の伝搬方向と垂直な方向をx軸とする。

【0009】
図1では、光導波路層20を伝搬する前進波(進み光)を矢印で示している。進み光は、レーザー光源等から光導波路層20に入力される。光導波路層20には、後段の導波路や光部品による反射等により、前進波とは逆方向に光導波路層20を伝搬する後退波(戻り光)が入力される場合がある。本例の光アイソレータ100は、プラズモン導波路層40を用いて、レーザー光源等に伝搬する戻り光を低減する。

【0010】
より具体的には、プラズモンアイソレータ部70における進み光については、プラズモン導波路40に結合されずに光導波路層20を伝搬する光の強度が、プラズモン導波路40に結合される光の強度より大きい。また、戻り光については、プラズモン導波路40に結合されずに光導波路層20を伝搬する光の強度が、プラズモン導波路40に結合される光の強度より小さい。強磁性金属層50の界面に形成されるプラズモン導波路40を伝搬する光は徐々に減衰するので、このような伝搬光強度の分布特性を有することで、レーザー光源等に伝搬する戻り光が低減される。

【0011】
また、プラズモン導波路40における進み光の伝搬損失αは、プラズモン導波路40における戻り光の伝搬損失αよりも小さい。伝搬損失αとは、プラズモン導波路40を単位長さ伝搬した場合の、伝搬前後の光強度の比によって与えられる。このような構成により、レーザー光源等に伝搬する戻り光が更に低減される。本例の光アイソレータ100においては、光導波路層20およびバッファ層30の膜厚を調整することで、上記の特性を実現する。

【0012】
下部クラッド層10は、光導波路層20のクラッド層として機能する。本例では、下部クラッド層10は、酸化シリコンSiOで形成され、半導体基板上に形成される。下部クラッド層10の材料は、伝搬する光の波長によって、適宜選択されてよい。また、下部クラッド層10は、半導体基板であってよい。

【0013】
光導波路層20は、下部クラッド層10上に配置される。光導波路層20は、半導体レーザー光源等から光アイソレータ100に入射された光を導波する。光導波路層20は、下部クラッド層10およびバッファ層30よりも屈折率の高い材料で形成され、光導波路層20よりも屈折率の低い材料で形成された下部クラッド層10およびバッファ層30で挟まれることによって光を伝搬する。一例では、光導波路層20の材料はシリコンSiである。光導波路層20の材料は、伝搬する光の波長によって、適宜選択されてよい。例えば、光導波路層20の膜厚は、0.01μmから20μmである。

【0014】
バッファ層30は、光導波路層20上に配置される。バッファ層30は、下部クラッド層10と同一の材料で形成されてよい。例えば、バッファ層30の材料は、酸化シリコンSiOである。下部クラッド層10およびバッファ層30は、光導波路層20の上部と下部にそれぞれ配置されるので、伝搬する光を光導波路層20の内部に閉じ込められる。一例では、バッファ層30の厚みは、0.1μmから50μmである。

【0015】
強磁性金属層50は、バッファ層30上の一部(すなわち、プラズモンアイソレータ部70に対応する領域)に配置される。一例では、強磁性金属層50の材料は、コバルト、鉄、ニッケル等の強磁性材料、または、これらから選択される2種類以上の材料の合金を含む。強磁性金属層50は、予め定められた方向に磁化される。本例の強磁性金属層50はx軸方向に磁化される。これにより、プラズモン導波路40をz軸プラス方向に進む光(進み光)に対するプラズモンアイソレータ部70の実効屈折率neff,co,fと、z軸マイナス方向に進む光(戻り光)に対するプラズモンアイソレータ部70の実効屈折率neff,co,bを異ならせる。例えば、強磁性金属層50の膜厚は、0.001μmから0.2μmである。なお、磁化の向きは、強磁性金属層50の材料等によって、x軸プラス方向とx軸マイナス方向のうち、戻り光の伝搬損失が進み光の伝搬損失を上回るように選択されてよい。

【0016】
プラズモン導波路40は、バッファ層30および強磁性金属層50の界面に形成される。なお、プラズモンとは、自由電子の集団振動のことであり、強磁性金属層50中の自由電子が集団で振動することにより、光の電界と強く結合して金属と誘電体の界面を光が伝搬する状態を指す。

【0017】
光導波路層20を伝搬する光のうち、特定の条件を満たす伝搬光がプラズモン導波路40に結合される。具体的には、光導波路層20を伝搬する光に対するプラズモンアイソレータ部70の実効屈折率neff,siと、プラズモン導波路40を伝搬する光に対する実効屈折率neff,coの実部とが等しい場合に、光導波路層20を伝搬する光がプラズモン導波路40に結合する。なお、光導波路層20においては、進み光および戻り光で屈折率に差異がなく、且つ、伝搬損失αも無視できるほど小さいので、光導波路層20を伝搬する光に対する実効屈折率neff,siは、進み光および戻り光で共通であり、且つ、伝搬損失αに対応する虚部を有さない。

【0018】
光導波路層20を伝搬する光に対する実効屈折率neff,siは、光導波路層20、バッファ層30の膜厚により変化する。このため、光導波路層20を伝搬する光に対する実効屈折率neff,siが、プラズモン導波路40を伝搬する戻り光の実効屈折率neff,co,bの実部とほぼ等しくなるように、光導波路層20とバッファ層30の膜厚を設定することで、光導波路層20を伝搬する戻り光を、プラズモン導波路40に結合することができる。

【0019】
本例の光導波路層20は、光導波路層20を伝搬する戻り光を、プラズモン導波路40に結合させるように最適化された膜厚を有する。上述したように、プラズモン導波路40を伝搬する進み光および戻り光の実効屈折率neff,coは異なる。このため、光導波路層20を伝搬する戻り光がプラズモン導波路40に結合されても、光導波路層20を伝搬する進み光がプラズモン導波路40に結合される度合は、戻り光よりも小さくなる。

【0020】
また、プラズモン導波路40における進み光の伝搬損失αは、プラズモン導波路40における戻り光の伝搬損失αよりも小さい。プラズモン導波路40における伝搬損失αは、プラズモン導波路40における伝搬光に対する実効屈折率neff,coの虚部により定まる。上述したように、プラズモン導波路40における伝搬光に対する実効屈折率neff,coは、進み光と戻り光とで異なる。本例の強磁性金属層50は、戻り光の実効屈折率neff,co,bの虚部が大きくなり、進み光に対する実効屈折率neff,co,fの虚部が小さくなる方向に磁化される。例えば、+x方向の磁化および-x方向の磁化のうち、上記の条件を満たす方向に強磁性金属層50を磁化する。

【0021】
バッファ層30は、進み光の伝搬損失α、および、戻り光の伝搬損失αにより定まる性能指数FOM(Figure of merit)が極大値となる膜厚を有する。本例の性能指数FOMは、プラズモンアイソレータ部70全体において、戻り光の伝搬損失αが、進み光の伝搬損失αより大きいほど高くなり、且つ、進み光および戻り光の伝搬損失αの和が小さいほど高くなる。
一例として、性能指数FOMは下式で定義される。
JP2015125186A_000003t.gif

【0022】
進み光および戻り光の伝搬損失αは、プラズモンアイソレータ部70における下部クラッド層10、光導波路層20、バッファ層30、強磁性金属層50および強磁性金属層50の上部層を一つの光導波路とした場合の、進み光および戻り光のそれぞれに対する実効屈折率neffから算出できる。それぞれの実効屈折率neffは、光の波長、各層の膜厚、各層の複素屈折率、および、強磁性金属層50における磁化の方向から算出することができる。

【0023】
本例の光アイソレータ100によれば、プラズモン導波路40における損失を考慮してバッファ層30の膜厚を最適化することで、性能指数FOMを極大化することができる。また、進み光については、光導波路層20を伝搬する光の強度に対するプラズモン導波路40に結合される光の強度の比が1より小さく、かつ、戻り光については光導波路層20を伝搬する光の強度に対するプラズモン導波路40に結合される光の強度の比が1より大きくなる。また、プラズモン導波路40における進み光の伝搬損失αを、プラズモン導波路40における戻り光の伝搬損失αよりも小さくできる。

【0024】
なお、強磁性金属層50の上部層は、例えば空気等の空間層であってよく、酸化シリコンSiO等の層であってもよい。入力導波路部60および出力導波路部80におけるバッファ層30上にも、空気等の空間層が設けられてよく、酸化シリコンSiO等の層が設けられてもよい。また、図1に示すように、下部クラッド層10のx軸方向における幅は、光導波路層20の幅よりも大きくてよい。下部クラッド層10において、光導波路層20に覆われていない領域上には、空気等の空間層が形成されてよい。

【0025】
光導波路層20は、進み光を出力するレーザーの活性層と一体に形成されてよい。この場合、レーザーが出力した光と光導波路層20を伝搬する光の光軸を、人手で合わせる必要がなくなる。また、光導波路層20は、進み光を出力するレーザーの活性層と一体に形成されずに、光アイソレータ100の外部に進み光を出力する光源を備えてよい。この場合、光アイソレータ100がレーザーと一体に形成されないので、要求される消光比が得られる範囲で、レーザーの波長を自由に選択できる。

【0026】
図2Aは、プラズモンアイソレータ部70を伝搬する進み光の光強度分布の一例を示す。本例のプラズモンアイソレータ部70は、酸化シリコンSiOで形成された下部クラッド層10およびバッファ層30と、シリコンSiで形成された光導波路層20と、コバルトCoで形成された強磁性金属層50を備える。また、光導波路層20およびバッファ層30は、図1において説明した最適化された厚みを有する。図2Aの例では、伝搬光の波長を1.55μm、下部クラッド層10の厚みを無限大、光導波路層20の膜厚を57nm、バッファ層30の厚みを2μm、強磁性金属層50の厚みを100nmとして光強度分布を計算した。本例では、プラズモンアイソレータ部70を一つの導波路として、上記の各層の複素屈折率および厚みから定まる導波路の実効屈折率neffから光強度分布を算出した。

【0027】
図2Aの横軸は、下部クラッド層10および光導波路層20の境界位置を原点としたy軸方向の位置(μm)を示している。図2Aでは、破線により各層の境界位置を示している。また、図2Aの縦軸は、下部クラッド層10および光導波路層20の境界位置における光強度を1とした場合の、光強度の相対値を示している。

【0028】
図2Aに示すように、本例のプラズモンアイソレータ部70においては、光導波路層20における進み光の強度は、プラズモン導波路40における進み光の強度の2倍程度大きい。また、プラズモンアイソレータ部70における進み光の実効屈折率neff,fの実部の大きさは1.54233であり、虚部の大きさは-0.00436813であった。当該虚部に対応する伝搬損失αは、0.153801dB/μmであった。

【0029】
図2Bは、プラズモンアイソレータ部70を伝搬する戻り光の光強度分布の一例を示す。本例のプラズモンアイソレータ部70の構成は、図2Aの例と同一である。図2Bに示すように、本例のプラズモンアイソレータ部70においては、プラズモン導波路40における戻り光の強度は、光導波路層20における戻り光の強度の10倍以上大きい。つまり、膜厚が最適化されたプラズモンアイソレータ部70は、進み光については、光導波路層20を伝搬する光の強度が、プラズモン導波路40に結合される光の強度より大きくなり、戻り光については、光導波路層20を伝搬する光の強度が、プラズモン導波路40に結合される光の強度より小さくなる。

【0030】
また、プラズモンアイソレータ部70における戻り光の実効屈折率neff,bの実部の大きさは1.54049であり、虚部の大きさは-0.0226692であった。当該虚部に対応する伝搬損失αは、0.798175dB/μmであった。つまり、膜厚が最適化されたプラズモンアイソレータ部70は、進み光の伝搬損失αを、戻り光の伝搬損失αよりも小さくできる。

【0031】
本例のプラズモンアイソレータ部70における光アイソレーションΔαは、0.644374dB/μmであった。光アイソレーションΔαは下式で与えられる。
JP2015125186A_000004t.gif なお、λは伝搬光の波長、neff,bは戻り光の実効屈折率、neff,fは進み光の実効屈折率を示す。本例のプラズモンアイソレータ部70における性能指数FOMは、1.35であった。

【0032】
図3は、バッファ層30の膜厚に対する光アイソレーションΔαの依存性を示す。横軸は、バッファ層30の膜厚[μm]を示し、縦軸は、光アイソレータ100の光アイソレーションΔα[dB/μm]を示す。バッファ層30の膜厚は1.0から2.3μmまで変化する。光アイソレーションΔαは、プラズモン導波路40の導波路長における単位長さ当たりの消光比を示す。本例の光アイソレータ100は、光導波路層20が57nm、強磁性金属層50が100nmの膜厚を有する。

【0033】
光アイソレータ100は、バッファ層30の膜厚dSiO2に応じて、光アイソレーションΔαの極大値を有する。領域I、IIIは光アイソレーションΔαの極小値を示しているが、光の伝搬方向または強磁性金属層50の磁化の方向を反転させれば、極大値として扱うことができる。領域IIは、光アイソレーションΔαの極大値を示す。例えば、光アイソレーションΔαの極大値は、光アイソレーションΔαの波形の傾きが0となるときの光アイソレーションΔαを示す。また、極大値は、必ずしも光アイソレーションΔαの波形の傾きが0となるときに限られず、光アイソレーションΔαの絶対値が予め定められた値以上となった場合でよい。例えば、光アイソレーションΔαの絶対値が0.2dB/μm以上となった場合を極大値としてよい。

【0034】
バッファ層30の膜厚dSiO2は、光アイソレーションΔαが極大値を取るように最適化される。つまり、図3で示された光アイソレーションΔαとバッファ層30の膜厚dSiO2との関係が得られた場合、バッファ層30の膜厚dSiO2は、領域I、II、IIIとなるように選択される。これにより、光アイソレータ100は、進み光と戻り光の光強度分布の差を利用して、予め定められた光アイソレーションΔαを達成する。

【0035】
図4は、バッファ層30の膜厚に対する性能指数FOMの依存性を示す。横軸は、バッファ層30の膜厚[μm]を示しており、バッファ層30の膜厚は1.0から2.3μmまで変化する。縦軸は、光アイソレータ100の性能指数FOM[dB/μm]を示す。

【0036】
光アイソレータ100は、バッファ層30の膜厚dSiO2に応じて、光アイソレーションΔαと同様に性能指数FOMが極大値をとる。例えば、性能指数FOMの極大値は、性能指数FOMの波形の傾きが0となるときの性能指数FOMを示す。また、性能指数FOMの極大値は、必ずしも性能指数FOMの波形の傾きが0となるときに限られず、性能指数FOMの絶対値が予め定められた値以上となった場合でもよい。例えば、性能指数FOMの絶対値が0.5以上となった場合を極大値としてよい。

【0037】
バッファ層30は、光アイソレータ100の要求される光アイソレーションΔαおよび性能指数FOMを満たすような膜厚dSiO2を有する。例えば、バッファ層30の膜厚dSiO2は、光アイソレーションΔαおよび性能指数FOMが同時に極大値をとる領域I、II、IIIに設定される。本例において、領域I、II、IIIは、性能指数FOMまたは光アイソレーションΔαの波形の傾き(微分値)がほぼ無限となる2つの膜厚に挟まれた領域である。

【0038】
図5は、光導波路層20を伝搬する光の伝搬角度θを入射角として、バッファ層30、強磁性金属層50へ光が入射するときの伝搬角度θと強度反射率Rとの関係を示す。強度反射率Rは、光導波路層20からバッファ層30に入射する入射光の強度に対する、光導波路層20とバッファ層30との界面で反射する反射光の強度の比を示す。つまり、強度反射率Rが大きい程、入射光がバッファ層30に入射してプラズモン導波路40に結合されにくくなる。また、入射角度θとは、光導波路層20を伝搬する光がバッファ層30に入射する場合に、光導波路層20とバッファ層30との界面に垂直な面と、入射光とがなす角度を指す。例えば入射角度θは、光導波路層20を伝搬される光の波長および光導波路層20の膜厚等により決定される。

【0039】
強度反射率Rが1の場合、入射光は光導波路層20とバッファ層30との界面で全反射する。また、強度反射率Rが1より小さい場合、入射光の一部がバッファ層30に入射する。例えば、領域IVは、強度反射率Rが極小値を取る領域であり、光導波路層20を伝搬する光がプラズモン導波路40で減衰される領域である。領域IVでは、減衰全反射(ATR:Attenuated Total Reflection)カップリングが起こる。ここで、領域IVにおいて、強度反射率Rが極小値を取る場合の入射角度θを減衰入射角度θと定義する。一方、領域Vは、強度反射率Rが1に近い領域であり、光導波路層20を伝搬する光がプラズモン導波路40で減衰されない領域である。

【0040】
入射角度θに対する強度反射率Rの関係は、選択する光導波路層20、バッファ層30、プラズモン導波路40、強磁性金属層50等の材料および膜厚によって変化する。また、入射角度θに対する強度反射率Rの関係は、強磁性体である強磁性金属層50の磁化の向きに応じて、進み光と戻り光とで異なる。例えば、コバルトの強磁性金属層50がx軸方向に磁化されると、光導波路層20を伝搬する進み光と戻り光とで入射角度θに対する強度反射率Rの関係に違いが生じる。つまり、進み光の減衰入射角度θと戻り光の減衰入射角度θとが異なる値となる。

【0041】
光アイソレータ100の構造は、戻り光の入射角度θが減衰入射角度θとなるように設定される。具体的には、進み光の入射角度θが減衰入射角度θとなり、戻り光の入射角度θが減衰入射角度θとなるように光導波路層20の膜厚が設定される。なお、入射角度θは、減衰入射角度θと厳密に一致しなくともよい。但し、減衰入射角度θの近傍において、少なくとも戻り光の強度反射率Rが進み光の強度反射率Rより小さい入射角度θとなるように設定される。つまり、入射角度θが減衰入射角度θの場合、進み光は領域Vに対応して、戻り光は領域IVに対応するように設定される。領域Vにおける進み光は、プラズモン導波路40と結合しないか、もしくは弱く結合するので、伝搬損失αが小さい。一方、領域IVにおける戻り光は、プラズモン導波路40と結合するので伝搬損失αが大きい。よって、戻り光では、光導波路層20における光強度がプラズモン導波路40における光強度より小さく、進み光では、光導波路層20における光強度がプラズモン導波路40における光強度より大きくなる。これにより予め定められた消光比が得られる。

【0042】
以下に、光アイソレータ100の構造を決定するためのパラメータの導出方法を示す。本例では、下部クラッド層10の膜厚を無限長、光導波路層20の膜厚をdSi、バッファ層30(SiO)の膜厚をdSiO2、強磁性金属層50(コバルト)の膜厚をdCoおよび強磁性金属層50上の空気の膜厚を無限長として説明する。

【0043】
伝搬損失αは、単位[dB/mm]で表され、式(1)により導出される。
式(1)
JP2015125186A_000005t.gif ただし、k=λ/2πは真空中の波数、λは波長を示す。

【0044】
JP2015125186A_000006t.gif

【0045】
対角項εは、強磁性金属層50層の複素屈折率Nとε=Nの関係にあり、非対角項εyzは、異方性を表す強磁性体特有のパラメータである。強磁性体以外の場合、非対角項εyzはゼロで、進み光と戻り光の実効屈折率neff,f、eff,bがそれぞれ同じ値となる。

【0046】
式(3)に示す通り、進み光の実効屈折率neff,fは、光の波長λ、下部クラッド層10、バッファ層30の屈折率nSiO2、バッファ層30の膜厚dSiO2、光導波路層20の屈折率nSiと膜厚dSi、強磁性金属層50の複素屈折率N、非対角項εyzおよび膜厚dCoから一意に導出される。
式(3)
eff,f=f1(λ、nSiO2、dSiO2、nSi、dSi、N、εyz、dCo
関数f1は、実効屈折率neffを算出する関数である。
また、式(4)に示す通り、戻り光の実効屈折率neff,bは、εyzの符号を反転することにより求まる。
式(4)
eff,b=f1(λ、nSiO2、dSiO2、nSi、dSi、N、-εyz、dCo

【0047】
次に、プラズモンアイソレータ部70を伝搬する光の光強度分布の導出方法を示す。進み光と戻り光に対する光強度分布I、Iは、式(5)、(6)により導出される。
式(5)
=f2(λ、nSiO2、dSiO2、nSi、Si、N、εyz、dCo、y)
式(6)
=f2(λ、nSiO2、dSiO2、nSi、Si、N、-εyz、dCo、y)
ここで、関数f2は、進み光と戻り光に対する光強度分布I、Iを算出する関数である。

【0048】
以下に、進み光と戻り光の伝搬損失αの導出方法を示す。進み光および戻り光の伝搬損失α、αは式(7)、(8)により導出される。式(7)、(8)を用いることにより、進み光および戻り光の実効屈折率neff,f、eff,bが求まれば、進み光と戻り光の伝搬損失αが導出される。
式(7)
JP2015125186A_000007t.gif 式(8)
JP2015125186A_000008t.gif

【0049】
以下に、光アイソレーションΔαの導出方法を示す。光アイソレーションΔα[dB/mm]は進み光および戻り光の実効屈折率neff,f、neff,bを用いて、式(9)により導出される。
式(9)
JP2015125186A_000009t.gif 光アイソレーションΔαは、バッファ層30(SiO)の膜厚によってはマイナスの値をとる。光アイソレーションΔαがマイナスの値をとった場合、強磁性金属層50の磁化の向きを反転し、進み光と戻り光の伝搬損失αの大小関係を逆転させ、戻り光の伝搬損失が進み光の伝搬損失を上回るように設定する。

【0050】
以下に、光アイソレータ100の性能指数FOMの導出方法を示す。光アイソレータ100の性能は、光アイソレーションΔαの大きさだけでなく、進み光の伝搬損失αが小さいことが重要である。そこで、性能指数FOMは、光アイソレーションΔαの大きさと進み光の伝搬損失αの小ささを評価するために、式(10)のように定義される。
式(10)
JP2015125186A_000010t.gif 性能指数FOMは、戻り光の伝搬損失αが進み光の伝搬損失αより大きいほど高くなり、且つ、進み光および戻り光の伝搬損失の和(α+α)が小さいほど高くなる。性能指数FOMは、進み光の伝搬損失αがゼロの時に最大値2をとる。また、性能指数FOMは、バッファ層30(SiO)の膜厚dSiO2によってはマイナスの値をとる。性能指数FOMがマイナスの値をとった場合、強磁性金属層50の磁化の向きを反転させ、進み光と戻り光の伝搬損失αの大小関係を逆転させ、戻り光の伝搬損失が進み光の伝搬損失を上回るように設定する。

【0051】
式(1)-(10)から性能指数FOMは光の波長λ、下部クラッド層10およびバッファ層30の屈折率nSiO2、バッファ層30の膜厚dSiO2、光導波路層20の屈折率nSi、と膜厚dSi、強磁性金属層50の複素屈折率Nと非対角項εyzおよび膜厚dCoから一意に導出でき、式(11)のように定義される。
式(11)
FOM=f3(λ、nSiO2、dSiO2、nSi、dSi、N、εyz、dCo)ここで、f3は、性能指数FOMを算出する関数である。

【0052】
図6は、光アイソレータ100の設計の一例を示すフローチャートである。光アイソレータ100の構造は、ステップS100~ステップS400により決定される。

【0053】
ステップS100において、光源であるレーザー光の波長λを決定する。レーザー光の波長λは、単一波長でも、一定の幅を有する波長であってもよい。レーザー光の波長λが単一波長の場合、光導波路層20は、レーザーの活性層と一体に形成されてよい。ステップS100で設定されたレーザー光の波長λが一定の幅を有する場合、光アイソレータ100には、設定された波長幅に対応する波長の光が入射される。

【0054】
ステップS200では、戻り光がプラズモン導波路40に結合する減衰入射角度θとなるように入射角度θを決定する。強磁性金属層50の膜厚が決定されると、光導波路層20の膜厚を無限大に設定することにより、戻り光の強度反射率Rがゼロとなるバッファ層30の膜厚dSiO2および減衰入射角度θが決定される。なお、入射角度θは、以下の通り伝搬定数βと一対一の関係にあるので、ステップS200で決定された減衰入射角度θに対応する減衰伝搬定数βが導出される。
JP2015125186A_000011t.gifcoreは、光導波路層20の屈折率を示す。

【0055】
ステップS300では、光導波路層20の膜厚dSiを決定する。ステップS100、200において、光導波路層20を伝搬する光の波長および減衰入射角度θ(減衰伝搬定数β)が決定されているので、光導波路層20の膜厚dSiは一意に決まる。

【0056】
ステップS400では、ステップS300で決定された光導波路層20の膜厚dSiに対してバッファ層30の膜厚dSiO2を変数として、光アイソレーションΔαと性能指数FOMを計算する。性能指数FOMの計算には、式(9)、(10)が用いられる。バッファ層30の膜厚dSiO2は、図3、4に対応する光アイソレーションΔαおよび性能指数FOMのバッファ層30の膜厚dSiO2依存性を考慮して決定される。例えば、光アイソレーションΔαが0.2dB/μm以上、かつ、性能指数FOMの絶対値が0.5から2の間を満たすように、バッファ層30の膜厚dSiO2が決定される。

【0057】
なお、式(1)-(11)で示した通り、光アイソレーションΔαと性能指数FOMは、波長λ、下部クラッド層10とバッファ層30の屈折率nSiO2および膜厚dSiO2、光導波路層20の屈折率nSiおよび膜厚dSi、強磁性金属層50層の複素屈折率Nと非対角項εyzおよび膜厚dCoから一意に決定できる。光アイソレーションΔαが0.2dB/μm以上、かつ、性能指数FOMの絶対値が0.5から2の間を満たすように、バッファ層30の膜厚dSiO2、光導波路層20の膜厚dSi、強磁性金属層50の膜厚dCoを任意に決定してよい。これにより、ステップS100~ステップS400を単純化して、光アイソレータ100の構造を決定できる。

【0058】
光アイソレータ100は、光アイソレーションΔαが大きくても、伝搬損失αが大きい場合は有効ではない。また、光アイソレータ100は、進み光の伝搬損失αがゼロで性能指数FOMが最大値の2であっても、光アイソレーションΔαが小さければ、素子長を短くできないので有効でない。つまり、光アイソレータ100は、光アイソレーションΔαと性能指数FOMとがいずれも好適に設定される。例えば、光アイソレータ100は、光アイソレーションΔαが0.2dB/μm以上、かつ、性能指数FOMの絶対値が0.5から2の間となるように設計される。

【0059】
本例の光アイソレータ100は、任意の強磁性金属層50の膜厚dCoに対して、各層の膜厚が最適に決定される。一方、強磁性金属層50の膜厚dCoを最適化することもできる。即ち、光アイソレータ100は、強磁性金属層50の膜厚dCoを振ることにより、性能指数FOMを最適化される。例えば、強磁性金属層50の膜厚を複数設定して、それぞれの強磁性金属層50の膜厚について、バッファ層30の膜厚dSiO2を最適化して、性能指数FOMを算出する。また、性能指数FOMが最大となるように、強磁性金属層50の膜厚dCoおよびバッファ層30の膜厚dSiO2の組み合わせが決定されてもよい。

【0060】
図7Aは、強度反射率Rの入射角度θに対する依存性を示す。横軸は入射角度θ[deg]を示して、縦軸は強度反射率Rを示す。入射角度θと強度反射率Rの関係は、光導波路層20の膜厚が無限長である場合のシミュレーション結果である。なお、本例のシミュレーションでは、強磁性金属層50上の空気の膜厚を無限長、強磁性金属層50を磁化された100nmのコバルトとして、バッファ層30の膜厚dSiO2は、100nmから1000nmまで100nm間隔で変更される。

【0061】
バッファ層30の膜厚dSiO2が752nmの場合、入射角度θが26.1度になると、強度反射率RがゼロになるATRカップリングが生じる。ATRカップリングが生じると、強磁性金属層50およびバッファ層30の界面にプラズモンが励起する。例えば、バッファ層30の膜厚dSiO2が100nmである場合、入射角度θが0度~80度付近において、強度反射率Rは、0.5前後となる。また、入射角度θが80度以上になると強度反射率Rは増加する。つまり、バッファ層30の膜厚dSiO2が100nmである場合強度反射率Rは0とならずATRカップリングが生じない。

【0062】
一方、バッファ層30の膜厚dSiO2が752nmである場合、入射角度θが26.1度で、強度反射率Rが0となるATRカップリングが生じる。ATRカップリングが生じると、光導波路層20を伝搬する光の全てがプラズモン導波路40に結合されて、強度反射率Rが0となる。このように、バッファ層30の膜厚dSiO2に応じて、ATRカップリングが生じる場合と生じない場合とがある。

【0063】
図7Bは、進み光と戻り光の強度反射率Rの入射角度θ依存性を示す。図7Bは、図7Aにおいて破線で示された領域の拡大図である。図7Aに示した通り、強度反射率Rが0となるバッファ層30の膜厚は、dSiO2=752nmである。強度反射率Rの入射角度θ依存性は、進み光と戻り光とで異なる。本例では、進み光の減衰入射角度θが約26.075度であるのに対して、戻り光の減衰入射角度θは、約26.1度となる。なお、本例のように、進み光と戻り光の強度反射率Rの差がわずかである場合であっても、光導波路層20内を伝搬する距離を調整することにより、光アイソレーションΔαの大きさを調整できる。

【0064】
図8は、減衰入射角度θのバッファ層30の膜厚dSiO2依存性を示す。横軸はバッファ層30の膜厚[μm]を、縦軸は入射角度θ[度]を示す。本例では、シリコンSiで形成された光導波路層20の膜厚が57nmであり、コバルトCoで形成された強磁性金属層50の膜厚が100nmである。なお、プラズモンアイソレータ部70の導波路長は、光アイソレータ100が要求される消光比に応じて設計される。例えば消光比を大きく設計したい場合、プラズモンアイソレータ部70の導波路長を長くする。光導波路層20の膜厚dSiは、バッファ層30の膜厚dSiO2を決定するために任意に設定された値であり、図6のステップS100~ステップS400により決定される。

【0065】
領域VI、VII、VIIIは、プラズモン導波路40と結合する入射角度θが進み光と戻り光とで異なる領域の一例である。強度反射率Rの入射角度θ依存性が進み光と戻り光とで異なるか否かは、バッファ層30の膜厚dSiO2の大きさに応じて決まる。領域VI、VII、VIIIに対応する入射角度θは、進み光に関して減衰入射角度θである場合には、戻り光に対して減衰入射角度θではなく、戻り光に対して減衰入射角度θである場合には、進み光に対して減衰入射角度θではない。なお、領域VI、VII、VIIIは、説明の便宜において指定された領域であり、バッファ層30の膜厚dSiO2の設定される領域がこれに限定されるものではない。例えば、バッファ層30の膜厚dSiO2は、進み光および戻り光の減衰入射角度θの差が極大となる値に設定される。この場合、バッファ層30の膜厚dSiO2は、領域VI、VII、VIIIに限られず、1.5μmから2μmの間に設定されてよい。

【0066】
本実施形態に係るバッファ層30の膜厚dSiO2は、進み光と戻り光の減衰入射角度θの差が極大となる値に設定されるので、進み光では、光導波路層20における伝搬光強度がプラズモン導波路40における伝搬光強度より大きく、かつ、戻り光では光導波路層20における伝搬光強度がプラズモン導波路40における伝搬光強度より小さく、プラズモン導波路40から受ける伝搬光の減衰の度合いが、進み光の方が戻り光より小さい光アイソレータ100を実現できる。

【0067】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0068】
10 下部クラッド層、20 光導波路層、30 バッファ層、40 プラズモン導波路、50 強磁性金属層、60 入力導波路部、70 プラズモンアイソレータ部、80 出力導波路部、100 光アイソレータ
図面
【図2A】
0
【図2B】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図1】
6
【図7A】
7
【図7B】
8
【図8】
9