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明細書 :金属微粒子形成過程を利用したカテコールアミン類の検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-190886 (P2015-190886A)
公開日 平成27年11月2日(2015.11.2)
発明の名称または考案の名称 金属微粒子形成過程を利用したカテコールアミン類の検出方法
国際特許分類 G01N  21/78        (2006.01)
FI G01N 21/78 Z
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 76
出願番号 特願2014-069023 (P2014-069023)
出願日 平成26年3月28日(2014.3.28)
発明者または考案者 【氏名】新森 英之
【氏名】藤巻 慶弘
出願人 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001139、【氏名又は名称】SK特許業務法人
【識別番号】100130328、【弁理士】、【氏名又は名称】奥野 彰彦
【識別番号】100130672、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 寛之
審査請求 未請求
テーマコード 2G054
Fターム 2G054AA02
2G054AA07
2G054AB05
2G054BB10
2G054CA21
2G054CD01
2G054CE01
2G054EA04
2G054EB02
2G054EB03
2G054GA03
2G054GB01
2G054JA06
要約 【課題】カテコールアミン類を簡易的に検出する技術を提供する。
【解決手段】サンプル溶液中に含まれる検出対象化合物を検出する方法であって、前記サンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合して混合液を調製する工程と、前記混合液中に金属微粒子を形成させる工程と、前記混合液を光学的に分析する工程と、を有し、前記化合物は、下記一般式で表される、検出方法。
JP2015190886A_000020t.gif
(ただし、R1は、水酸基であり、R2は、炭素数1、2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルキル基、炭素数2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルケニル基、水酸基又は水素を表し、前記アルキル基又前記アルケニル基は、1又は複数の置換基を有してもよく、前記置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びNH-CH3からなる群より選択される基である。)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
サンプル溶液中に含まれる検出対象化合物を検出する方法であって、
前記サンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合して混合液を調製する工程と、
前記混合液中に金属微粒子を形成させる工程と、
前記混合液を光学的に分析する工程と、を有し、
前記化合物は、下記一般式Iで表される、検出方法。
【化1】
JP2015190886A_000019t.gif
(ただし、R1は、水酸基であり、
R2は、炭素数1、2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルキル基、炭素数2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルケニル基、水酸基又は水素を表し、
前記アルキル基又前記アルケニル基は、1又は複数の置換基を有してもよく、
前記置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びNH-CH3からなる群より選択される基である)
【請求項2】
前記金属微粒子は、混合液中で沈殿しない、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記金属微粒子の平均粒子径は、10から170nmである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属微粒子形成剤と前記化合物とのモル比は、1:0.01~1である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記化合物は、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ドーパミン、DOPAC、L-DOPA及びアドレナリンからなる群より選択される1又は複数の化合物を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記金属粒子形成剤は、金化合物又は銀化合物である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記金化合物は、塩化金酸であり、
前記銀化合物は、硝酸銀である、請求項6に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属微粒子形成過程を利用したカテコールアミン類の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内においてカテコールアミン類(カテコールとアミンとを有する化学種)は神経伝達物質やホルモンとして重要な役割を果たしている。カテコールアミンの検出は生体内における役割を解明するだけでなく、血中や尿中に存在するカテコールアミンを検出することにより褐色細胞種、神経芽細胞腫、心不全、狭心症、心筋梗塞といった疾患の診断やストレスの度合いを調べる指標として用いることが出来る。
【0003】
カテコールアミンの分析法としては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と蛍光ラベル化法あるいは電気化学法を組み合わせた分析法が一般的である。カテコールアミンは、電気化学活性が高いため電気化学的に測定することができる。特許文献1には、この性質を利用して電気化学的にカテコールアミンを検出するセンサーが開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-163440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。第一に、高価な機器や煩雑な操作が必要なため簡易的な検出方法として用いるには不向きであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、カテコールアミン類を簡易的に検出する技術を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、カテコールアミンを含有する溶液に塩化金酸を添加すると、金微粒子が形成されることを発見した。更に詳しく調べたところ、カテコール類(カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール及びピロガロール)のような少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する骨格の化合物と塩化金酸が反応すると、400nm-600nm付近に明確な吸収帯が生じることを発見した。更に、塩化金酸の代わりに硝酸銀を用いると、銀微粒子の生成により同様に400nm-600nm付近に明確な吸収帯が生じることを発見した。この吸収帯は、Auイオン又はAgイオンの還元により金又は銀微粒子が形成されたことに由来すると考えられる。このような色彩変化は目視でも容易に確認できた。以上の知見に基づいて、簡易的なカテコール類及びカテコールアミン類の検出法を開発した。
【0008】
本発明によれば、
サンプル溶液中に含まれる検出対象化合物を検出する方法であって、
前記サンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合して混合液を調製する工程と、
前記混合液中に金属微粒子を形成させる工程と、
前記混合液を光学的に分析する工程と、を有し、
前記化合物は、下記一般式Iで表される、検出方法が提供される。
【化1】
JP2015190886A_000002t.gif
(ただし、R1は、水酸基であり、
R2は、炭素数1、2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルキル基、炭素数2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルケニル基、水酸基又は水素を表し、
前記アルキル基又前記アルケニル基は、1又は複数の置換基を有してもよく、
前記置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びNH-CH3からなる群より選択される基である)
【0009】
この構成によれば、サンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合するだけで、容易にカテコール類及びカテコールアミン類を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】1μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図1B】5μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図1C】10μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図1D】25μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図1E】50μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図1F】75μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図1G】100μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図2A】1-100μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の5分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図2B】1-100μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図2C】1-100μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の180分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図2D】波長580nmにおける1-100μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液の吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図3A】1μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図3B】5μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図3C】10μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図3D】25μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図3E】50μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図3F】75μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図3G】100μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図4A】1μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図4B】5μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図4C】10μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図4D】25μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図4E】50μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図4F】75μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図4G】100μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図5A】1-100μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の5分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図5B】1-100μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図5C】1-100μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の180分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図5D】波長558nmにおける1-100μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図6A】1μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図6B】5μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図6C】10μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図6D】25μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図6E】50μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図6F】75μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図6G】100μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図7A】1-100μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の5分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図7B】1-100μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図7C】1-100μMドーパミンと98μM塩化金酸との混合の180分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図7D】波長561nmにおける1-100μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図8A】1-100μMのカテコール、フェネチルアミン、チラミン又はドーパミンと50μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の5分後に測定した吸光度をプロットしたグラフである。
【図8B】1-100μMのカテコール、フェネチルアミン、チラミン又はドーパミンと50μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度をプロットしたグラフである。
【図8C】1-100μMのカテコール、フェネチルアミン、チラミン又はドーパミンと50μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の60分後に測定した吸光度をプロットしたグラフである。
【図8D】1-100μMのカテコール、フェネチルアミン、チラミン又はドーパミンと50μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の120分後に測定した吸光度をプロットしたグラフである。
【図8E】1-100μMのカテコール、フェネチルアミン、チラミン又はドーパミンと50μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の180分後に測定した吸光度をプロットしたグラフである。
【図9A】98μM塩化金酸水溶液の吸光度をプロットしたグラフである。
【図9B】1-100μMカテコールと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9C】1-100μMレゾルシノールと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9D】1-100μMヒドロキノンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9E】1-100μMピロガロールと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9F】1-100μMフェネチルアミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9G】1-100μMチラミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9H】1-100μMドーパミンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9I】1-100μMアドレナリンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9J】1-100μM L-DOPAと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9K】1-100μM DOPACと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図9L】1-100μMチロシンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図10A】図9Aから9Lに示される50μMのスペクトルを重ねたグラフである。
【図10B】塩化金酸のみの吸光度(図9A)を引いた各サンプルのピーク吸光度をプロットしたグラフである。
【図11A】pH4のサンプル(アドレナリン、L-DOPA、DOPAC、ドーパミン及びチロシン)溶液の吸光度をプロットしたグラフである。
【図11B】pH7.2のサンプル(アドレナリン、L-DOPA、DOPAC、ドーパミン及びチロシン)溶液の吸光度をプロットしたグラフである。
【図11C】pH9.5のサンプル(アドレナリン、L-DOPA、DOPAC、ドーパミン及びチロシン)溶液の吸光度をプロットしたグラフである。
【図12A】50μMドーパミンと98μM硝酸銀を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図12B】50μM L-DOPAと98μM硝酸銀を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図12C】50μM DOPACと98μM硝酸銀を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図12D】50μMアドレナリンと98μM硝酸銀を含む混合溶液における吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図13A】1-100μM L-DOPAと98μM硝酸銀を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図13B】1-100μMドーパミンと98μM硝酸銀を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図13C】1-100μMアドレナリンと98μM硝酸銀を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図13D】1-100μM DOPACと98μM硝酸銀を含む混合溶液の調製の30分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図13E】図13Aから13Dに示される混合溶液の調製から30分後のスペクトルを重ねたグラフである。
【図14A】ヒト血清アルブミン存在下における20μMアドレナリンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図14B】ヒト血清アルブミン存在下における30μMアドレナリンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図14C】ヒト血清アルブミン存在下における40μMアドレナリンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図14D】ヒト血清アルブミン存在下における50μMアドレナリンと98μM塩化金酸を含む混合溶液の吸光度を測定時間毎に重ねたグラフである。
【図14E】図14Aから14Dに示される混合溶液の調製から10分後のスペクトルを重ねたグラフである。
【図14F】図14Eにおけるピークの吸光度をプロットしたグラフである。
【図15A】50μMアドレナリンと5-50μMのDOPACとを含む98μM塩化金酸含有混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図15B】図15Aのグラフから50μMアドレナリンのスペクトルを差し引いたグラフである。
【図15C】50μM DOPACと5-50μMアドレナリンとを含む98μM塩化金酸含有混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図15D】図15Cのグラフから50μM DOPACのスペクトルを差し引いたグラフである。
【図15E】50μMピロガロールと5-50μMのDOPACとを含む98μM塩化金酸含有混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図15F】図15Aのグラフから50μMピロガロールのスペクトルを差し引いたグラフである。
【図15G】50μM DOPACと5-50μMピロガロールとを含む98μM塩化金酸含有混合溶液の調製の10分後に測定した吸光度を濃度毎に重ねたグラフである。
【図15H】図15Gのグラフから50μM DOPACのスペクトルを差し引いたグラフである
【図15I】50μMチロシンと50μM L-DOPAを含む98μM塩化金酸含有混合溶液、50μMチロシン水溶液及び50μM L-DOPA水溶液の98μM塩化金酸含有混合溶液の吸光度をプロットしたグラフである。
【図16A】図16Aは、走査型電子顕微鏡により撮影した、アドレナリンと塩化金酸との反応により生じた金微粒子を示す。
【図16B】図16Bは、図16Aに示す金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図16C】図16Cは、動的光散乱法により測定した金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図17A】図17Aは、走査型電子顕微鏡により撮影した、アドレナリンと硝酸銀との反応により生じた銀微粒子を示す。
【図17B】図17Bは、図17Aに示す銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図17C】図17Cは、動的光散乱法により測定した銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図18A】図18Aは、走査型電子顕微鏡により撮影した、L-DOPAと塩化金酸との反応により生じた金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図18B】図18Bは、動的光散乱法により測定した金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図18C】図18Cは、走査型電子顕微鏡により撮影した、L-DOPAと硝酸銀との反応により生じた銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図18D】図18Dは、動的光散乱法により測定した銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図19A】図19Aは、走査型電子顕微鏡により撮影した、DOPACと塩化金酸との反応により生じた金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図19B】図19Bは、動的光散乱法により測定した金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図19C】図19Cは、走査型電子顕微鏡により撮影した、DOPACと硝酸銀との反応により生じた銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図19D】図19Dは、動的光散乱法により測定した銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図20A】図20Aは、走査型電子顕微鏡により撮影した、ドーパミンと塩化金酸との反応により生じた金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図20B】図20Bは、動的光散乱法により測定した金微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図20C】図20Cは、走査型電子顕微鏡により撮影した、ドーパミンと硝酸銀との反応により生じた銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図20D】図20Dは、動的光散乱法により測定した銀微粒子の粒径分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳しく説明する。
本実施形態の検出方法は、サンプル溶液中に含まれる検出対象化合物を検出する方法である。また、本実施形態の検出方法は、そのサンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合して混合液を調製する工程と、その混合液中に金属微粒子を形成させる工程と、その混合液を光学的に分析する工程と、を有する。そして、その化合物は、下記一般式Iで表される。
【化2】
JP2015190886A_000003t.gif
(ただし、R1は、水酸基であり、
R2は、炭素数1、2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルキル基、炭素数2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルケニル基、水酸基又は水素を表し、
前記アルキル基又前記アルケニル基は、1又は複数の置換基を有してもよく、
前記置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びNH-CH3からなる群より選択される基である)

【0012】
本実施形態の検出方法によれば、サンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合するだけで、容易にカテコール類及びカテコールアミン類を検出することができる。

【0013】
以下、本実施形態の検出方法について、項目毎に詳しく説明する。
1. サンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合して混合液を調製する工程
本実施形態の検出方法は、サンプル溶液と金属粒子形成剤とを混合して混合液を調製する工程を有する。サンプル溶液は、生体試料であってもよく、カテコール類及び/又はカテコールアミン類が含まれている又は含まれている可能性がある溶液であってもよい。後述する実施例で示すように、サンプル溶液は、溶液中のカテコール類及び/又はカテコールアミン類の安定性及び反応性を保つために、中性付近のpHを有するのが好ましい。中性付近のpHとは、例えば、pH6.0、6.5、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.5及び8.0からなる群から選択される任意の2点間の範囲内であってもよい。サンプル溶液は、pH変動を抑制するために、バッファー作用を有するのが好ましい。例えば、カテコール類及び/若しくはカテコールアミン類又はそれを含むサンプル溶液をリン酸バッファー等の緩衝液に加えることで、バッファー作用を有するサンプル溶液とすることができる。

【0014】
本実施形態において、上記生体試料は、血液、髄液、尿などを好適に用いることができる。この生体試料は、生体から採取されたサンプルをそのまま用いても良いが、サンプル中に含まれる固形物をフィルターろ過したり、サンプル中のタンパク質を沈殿除去させたりしてから用いても良い。必要に応じて、生体試料は、希釈してもよい。

【0015】
本実施形態において、上記混合は、転倒混和であってもよい。転倒混和は、手軽に実施できるため好適である。転倒混和は、手動であっても容易に混合させることができ、大量のサンプルを機械等で処理する場合であっても複雑な工程を要求されない。転倒混和の回数は、一般的には、1、2又は3回であるが、サンプルの量及び性質によっては、それ上回る回数であってもよい。
本実施形態において、上記混合は、転倒混和以外にも、振動混和や撹拌混和であってもよい。振動混和は、サンプル数が多い場合に均一に混和ができ、撹拌混和は、サンプル量が多い場合に素早く混和ができ好適である。

【0016】
2. 混合液中に金属微粒子を形成させる工程
本実施形態の検出方法は、混合液中に金属微粒子を形成させる工程を有する。金属粒子形成剤は、カテコール類及び/又はカテコールアミン類と反応すると金属微粒子を形成するが、金属微粒子は、時間とともに増加するため金属微粒子が充分に生じるまで待つことが好ましい。後述する実施例に示すように、混合後の待ち時間は、好ましくは5から180分、より好ましくは5から60分、更に好ましくは5から30分であり、測定する化合物によって適宜調節することが好ましい。金属微粒子を形成させる工程中の温度は、室温であってもよい。室温での操作であれば、特別な恒温装置及び恒温室を用意する必要がないため好適である。後述する実施例にて示すように、室温は、25℃であってもよく、25℃±1、2、3、4、5℃であってもよい。

【0017】
本実施形態の検出方法を用いて、カテコール類/又はカテコールアミン類の検量線を作成する場合又はその検量線を用いてサンプル溶液中のカテコール類又はカテコールアミン類の濃度を測定する場合は、待ち時間を統一するのが好ましい。更には、待ち時間中は、混合液を静置させるのが好ましい。静置は、振動混和よりも各サンプル溶液中の金属微粒子量のバラツキを抑えることができるためである。

【0018】
本実施形態において、上記金属微粒子は、混合液中で沈殿しないことが好ましい。混合液中で金属粒子が沈殿すると、混合液中の透過率が著しく低下するため、混合液を光学的に分析するのが困難になる。混合液中で金属粒子が沈殿する場合は、混合液中の金属粒子形成剤の濃度が低くなるように金属粒子形成剤の添加量を調節すればよい。

【0019】
本実施形態において、上記金属微粒子の平均粒子径は、10から170nmであることが好ましい。混合液中で生じる金属粒子の平均粒子径が好ましくは10から170nm、より好ましくは15から165nm、更に好ましくは20から160nmの範囲内であれば、金属粒子が沈殿しない。別途明示しない限り本明細書において、「平均粒子径」は、動的光散乱(DLS)法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。ここで、金属粒子が沈殿しないとは、サンプル溶液中に固形物が生じる状態、即ち、サンプル溶液中に固形物が生じていても、この固形物が容器の底に沈んでいない状態を含む概念である。好ましくは、金属粒子は、特別な沈殿操作(例:遠心分離)を実施しない限り、後述する混合液を光学的に分析する工程が終了するまで沈殿しない。金属粒子が沈殿しているかどうかは、目視又は分光光度計を用いた散乱光の強度の測定(特にベースラインの上昇)よって簡便に確認できる。

【0020】
本実施形態において、上記金属粒子形成剤と上記化合物とのモル比は、1:0.01~1であることが好ましい。混合液中で生じる金属粒子は、上記モル比が、好ましくは1:0.01~1、より好ましくは1:0.01~0.7、更に好ましくは1:0.01~0.5の範囲内であれば、金属微粒子が沈殿しない。

【0021】
本実施形態において、上記金属粒子形成剤は、金化合物又は銀化合物である。金化合物を金属粒子形成剤として使用する場合は、形成される金属微粒子は、金微粒子である。銀化合物を金属粒子形成剤として使用する場合は、形成される金属微粒子は、銀微粒子である。本実施形態において、上記金化合物は、塩化金酸であってもよく、上記銀化合物は、硝酸銀であってもよい。後述する実施例で示すように、これらの金属粒子形成剤については、本実施形態の検出方法で用いた場合に、検出対象化合物を簡便に精度よく検出することが可能であることが実証されているからである。本実施形態において、塩化金酸により生じる金微粒子の平均粒子径は、好ましくは10から60nm、より好ましくは15から55nm、更に好ましくは20から50nmである。本実施形態において、硝酸銀により生じる銀微粒子の平均粒子径は、好ましくは60から170nm、より好ましくは65から165nm、更に好ましくは70から160nmである。

【0022】
3. 混合液を光学的に分析する工程
本実施形態の検出方法は、混合液を光学的に分析する工程を有する。混合液は、例えば、分光光度計、分光測色計や色彩色差計を用いて光学的に分析することができる。後述する実施例に示すように、分光光度計は、検出対象化合物を簡便に精度よく検出することが可能であること実証されているため好適である。分光光度計は、測定可能な波長の範囲が広いこと(例えば、300nmから1000nm)が好ましい。後述する実施例で示すように、測定するサンプルによっては、300nmから700nmまで測定可能な分光光度計であってもよい。また、後述する実施例に示すように、分光光度計を用いて検出されるピークの吸光度は、カテコール類又はカテコールアミン類の濃度と直線的な比例関係にあるため、カテコール類又はカテコールアミン類の濃度を測定するための検量線を作成することも可能である。

【0023】
4. 検出対象化合物
本実施形態において,検出対象化合物は、下記一般式Iの化合物である。
【化3】
JP2015190886A_000004t.gif
(ただし、R1は、水酸基であり、
R2は、炭素数1、2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルキル基、炭素数2若しくは3の直鎖又は枝分かれ鎖アルケニル基、水酸基又は水素を表し、
前記アルキル基又前記アルケニル基は、1又は複数の置換基を有してもよく、
前記置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びNH-CH3からなる群より選択される基である)。

【0024】
本実施形態において、上記検出対象化合物は、カテコール類及び/又はカテコールアミン類であってもよい。後述する実施例で示すように、カテコール類は、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール及びピロガロールが含まれる。カテコールアミン類は、アドレナリン、ノルアドレナリン及びドーパミン並びにそれらの類縁体(例えば、3,4-ジヒドロキシフェニル酪酸(DOPAC)及びL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA))が含まれる。

【0025】
本実施形態において、上記化合物は、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ドーパミン、DOPAC、L-DOPA及びアドレナリンからなる群より選択される1又は複数の化合物を含んでもよい。後述する実施例で示すように、これらの化合物については、本実施形態の検出方法で簡便に精度よく検出することが可能であることが実証されているからである。

【0026】
別の実施形態において、カテコール類又はカテコールアミン類の濃度を測定する方法が提供される。この方法は、濃度が既知であり且つ互いに濃度が異なるカテコール類又はカテコールアミン類含有溶液を少なくとも2つ用意する工程と、本実施形態の検出方法を用いて上記溶液の光学的検出値を測定する工程と、上記光学的検出値を用いて検量線を作成する工程と、本実施形態の検出方法を用いて、測定したいサンプルの光学的検出値を測定する工程と、上記検量線を用いて上記サンプルの検出値からカテコール類又はカテコールアミン類の濃度を算出する工程を含む。

【0027】
カテコール類又はカテコールアミン類の検出に分光光度計を用いる場合、上記光学的検出値は、吸光度である。吸光度は、カテコール類又はカテコールアミン類が存在する場合に生じる波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度である。

【0028】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。

【0029】
例えば、上記実施の形態では検出方法としたが、濃度測定方法としてもよい。このようにすれば、未知のサンプルから濃度を測定することが可能になるという利点が得られる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例及び図面によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。グラフと濃度、時間及び化合物との対応関係を明確にするために番号を図中に付しているが、複数のグラフが重なっている場合は、番号を適宜省略している。
【実施例】
【0031】
<実施例1> 実験に用いたサンプルの調製
本実験で使用するサンプル溶液は、以下の通り調製した。本実験は、別途指示がない限り、実施例1にて調製したサンプル溶液を使用した。サンプル溶液の調製は、室温(25℃)で行った。
塩化金酸水溶液の調製
塩化金酸25.3mg(61.4μmol)(ナカライテスク)を量り取り、蒸留水12.3mlにて溶解した。塩化金酸の終濃度は、5mMであった。
【実施例】
【0032】
カテコール類及びカテコールアミン類の調製
1. 100μMカテコール水溶液の調製
10mlメスフラスコに11mgのカテコール(0.1mmol)(キシダ化学)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMカテコール水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMカテコール水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH 7.2)により10mlに調製した(100μMカテコール水溶液)。
【実施例】
【0033】
2. 100μMレゾルシノール水溶液の調製
10mlメスフラスコに11mgのレゾルシノール(0.1mmol)(Wako)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMレゾルシノール水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMレゾルシノール水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μMレゾルシノール水溶液)。
【実施例】
【0034】
3. 100μMヒドロキノン水溶液の調製
10mlメスフラスコに11mgのヒドロキノン(0.1mmol)(Sigma-Aldrich)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMヒドロキノン水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMヒドロキノン水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH 7.2)により10mlに調製した(100μMヒドロキノン水溶液)。
【実施例】
【0035】
4. 100μMピロガロール水溶液の調製
10mlメスフラスコに13mgのピロガロール(0.1mmol)(関東化学)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMピロガロール水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMピロガロール水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μMピロガロール水溶液)。
【実施例】
【0036】
5. 100μMフェネチルアミン塩酸塩水溶液の調製
10mlメスフラスコに16mgのフェネチルアミン塩酸塩(0.1mmol)(Wako)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH 7.2)にて10mlに調製した(10mMフェネチルアミン塩酸塩水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMフェネチルアミン塩酸塩水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μM)。
【実施例】
【0037】
6. 100μMチラミン塩酸塩水溶液の調製
10mlメスフラスコに17mgのチラミン塩酸塩(0.1mmol)(Aldrich)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMチラミン塩酸塩水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMチラミン塩酸塩水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μMチラミン塩酸塩水溶液)。
【実施例】
【0038】
7. 100μMドーパミン塩酸塩水溶液の調製
10mlメスフラスコに19mgのドーパミン塩酸塩(0.1mmol)(Wako)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMドーパミン塩酸塩水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMドーパミン塩酸塩水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μMドーパミン塩酸塩水溶液)。
【実施例】
【0039】
8. 100μMアドレナリン水溶液の調製
10mlメスフラスコに18mgのアドレナリン(0.1mmol)(Wako)を量り取り、500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMアドレナリン水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMアドレナリン水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μMアドレナリン水溶液)。
【実施例】
【0040】
9. 100μM L-DOPA水溶液の調製
10mlメスフラスコに20mgのL-DOPA(0.1mmol)(ナカライテスク)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mM L-DOPA)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mM L-DOPA水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μM L-DOPA水溶液)。
【実施例】
【0041】
10. 100μM DOPAC水溶液の調製
10mlメスフラスコに17mgのDOPAC(0.1mmol)(Wako)を量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mM DOPAC)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mM DOPAC水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μM DOPAC)。
【実施例】
【0042】
11. 100μM L-チロシン水溶液の調製
10mlメスフラスコに18mgのチロシン(0.1mmol)(キシダ化学)を量り取り、500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mM L-チロシン水溶液)。10mlメスフラスコにメスピペットにて10mMチロシン水溶液100μlを量り取り、10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(100μM L-チロシン水溶液)。
【実施例】
【0043】
<実施例2> サンプルと塩化金酸との混合液における吸光度の経時及び濃度変化
各サンプル(カテコール、フェネチルアミン、チラミン及びドーパミン)と塩化金酸との混合液における吸光度の経時及び濃度変化を観察した。実施例1にて調製したサンプル水溶液は、10mMリン酸バッファー(pH7.2)を用いて、表1に記載の濃度になるように希釈した。実施例2において、7種類の濃度(100μM、75μM、50μM、25μM、10μM、5μM及び1μM)のサンプルを調製した(表1)。上記希釈の2分後に、5mM塩化金酸水溶液60μlをサンプル溶液に加えた(塩化金酸の終濃度は、98μM)。塩化金酸の添加後、サンプルを5分間静置させた。塩化金酸の添加の5分、30分、60分、120分及び180分後に、SIMADZU UV-1800を用いて、各濃度のサンプルの吸光度を測定した(300又は340から1000nm)。サンプルの調製及び吸光度の測定は、室温にて行った。
【実施例】
【0044】
【表1】
JP2015190886A_000005t.gif
【実施例】
【0045】
1. カテコール
カテコールの実験結果を、図1Aから1Gに示す。図1A-1Dのグラフにおいて、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に増加した。図1E-1Gのグラフにおいて、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に増加する一方で、吸光度が0.3から0.35に達したピークは、時間が経過してもほぼ一定であった。
【実施例】
【0046】
図2A-2Cは、上記データを用いて、同じ測定時間における各濃度の吸光度をプロットした図である。図2Dは、図2A-2Cに示す各ピークの吸光度(580nm)をプロットした図である。測定時間が5min及び30minの場合、各ピークの吸光度は、濃度に比例して直線的に増加することが明らかとなった。
【実施例】
【0047】
2. フェネチルアミン
フェネチルアミンの実験結果を、図3Aから3Gに示す。これらの図から、フェネチルアミンは、いずれの測定時間及び濃度であっても、波長400nmから600nm付近における吸光度のピークを示さないことが明らかとなった。
【実施例】
【0048】
3. チラミン
チラミンの実験結果を、図4Aから4Gに示す。図4Aから4Gのグラフにおいて、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に増加した。チラミンのピークの吸光度は、カテコールにおけるピークの吸光度(図1A-1G)よりも低いことが明らかとなった。
【実施例】
【0049】
図5A-5Cは、上記データを用いて、同じ測定時間における各濃度の吸光度をプロットした図である。図5Dは、図5A-5Cに示す各ピークの吸光度(558nm)をプロットした図である。測定時間が5minの場合、ピークの吸光度は、直線的に増加する。これは、チラミンの吸光度の小ささに起因して吸光度のバラツキが小さかったため、ピークの吸光度が直線的に増加しているものと考えられる。
【実施例】
【0050】
4. ドーパミン
ドーパミンの結果を、図6Aから6Gに示す。図6Aから6Dのグラフにおいて、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に増加した。図6E及び6Fのグラフにおいて、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間が経過してもほぼ一定であった。図6Gのグラフにおいて、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に減少した。
【実施例】
【0051】
図7A-7Cは、上記データを用いて、同じ測定時間における各濃度の吸光度をプロットした図である。図7Dは、図7A-7Cに示す各ピークの吸光度(561nm)をプロットした図である。ドーパミンは、その濃度が増加するにつれて、ピークの吸光度が変化しなくなり(図6E及び6F)、更に濃度が増加するとピークの吸光度が低下した(図6G)。これらのデータから、ピークの吸光度は、一定の濃度範囲においては、濃度に比例して直線的に増加することが示唆された。
【実施例】
【0052】
以上の結果から、カテコール類及びカテコールアミン類は、塩化金酸を用いることで光学的に検出することができることが明らかとなった。また、ピークの吸光度は、濃度に比例して直線的に増加した。従って、本方法によれば、カテコール類及びカテコールアミン類の濃度を算出するための検量線を作成することができる。
【実施例】
【0053】
<実施例3> 測定時間の検討
各サンプル(カテコール、フェネチルアミン、チラミン及びドーパミン)と塩化金酸との混合液において、混合液の吸光度がサンプル濃度と比例関係となる濃度範囲を検討した。各サンプルの終濃度は、実施例2と同じであり、塩化金酸水溶液の終濃度は、50μMとなるように調製した。吸光度測定は、塩化金酸の添加の5分、30分、60分、120分及び180分後に行い、各測定値をプロットした(図8Aから図8E)。これらの結果から、塩化金酸の添加から5-30分間で、濃度に依存して直線的に吸光度が増加することが示された。以後の実験は、これらの結果に基づいて、特別な指示がない限り塩化金酸の添加の10分後に吸光度を測定した。
【実施例】
【0054】
<実施例4> 金微粒子形成過程を利用したカテコール類及びカテコールアミン類の検出
サンプルを11種類に増やして実験を行った(カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フェネチルアミン、チラミン、ドーパミン、アドレナリン、L-DOPA、DOPAC及びチロシン)。実施例1にて調製したサンプル水溶液は、10mMリン酸バッファー(pH7.2)を用いて、表1に記載の濃度になるように希釈した。実施例2と同様に、7種類の濃度のサンプル(100μM、75μM、50μM、25μM、10μM、5μM及び1μM)を調製した(表1)。希釈後に、60μlの5mM塩化金酸水溶液をサンプル溶液に加え(塩化金酸の終濃度は、98μM)、3回転倒混和を行った。実施例3に基づいて、塩化金酸の添加後、サンプルを10分間静置させ、そして、SIMADZU UV-1800を用いて、各濃度のサンプルの吸光度を測定した(340から1000nm)。サンプルの調製及び吸光度の測定は、室温にて行った。
【実施例】
【0055】
対照実験として、10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて希釈した5mM塩化金酸を用いた。メスピペットを用いて10mMリン酸バッファー(pH7.2)を3ml量り取り、60μlの5mM塩化金酸を上記リン酸バッファーに加え(塩化金酸の終濃度は、98μM)、3回転倒混和した。転倒混和後、10分間静置して吸光度を測定した。その実験結果を図9Aに示す。再現性を確認するため同様の実験を3回行った(2及び3回目の実験データは不図示)。この結果から、塩化金酸のみの水溶液は、実施例2に示すような、波長400nmから600nm付近における吸光度のピークは示さないことが明らかとなった。
【実施例】
【0056】
カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フェネチルアミン、チラミン、ドーパミン、アドレナリン、L-DOPA、DOPAC及びチロシンの実験結果は、それぞれ、図9Bから9Lに示している。カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ドーパミン、アドレナリン、L-DOPA及びDOPACは、波長400nmから600nm付近における吸光度にピークを示した。チラミンは、波長400nmから600nm付近における吸光度に僅かなピークを示した(図9G)。図10Aは、サンプル濃度が50μMのスペクトルを重ねたグラフである。図10Bは、塩化金酸のみの吸光度(図9A)を引いた各サンプルのピーク吸光度をプロットしたグラフを示している。グラフ中の近似直線は、濃度が50μMを超えるサンプルにおける吸光度を除いて作成されている。図10Bに示す近似直線の式とR2を表2に示す。
【実施例】
【0057】
【表2】
JP2015190886A_000006t.gif
【実施例】
【0058】
これらの結果から、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ドーパミン、アドレナリン、L-DOPA及びDOPACの吸光度は、少なくとも1μMから50μMのサンプル濃度範囲において、サンプル濃度と比例する。従って、検量線を作成する場合は、化合物の種類によって、化合物の濃度を適宜調節する必要があることが明らかとなった。また、図10Aによれば、ピークの波長を読み取ることでサンプル溶液中に含まれるカテコール類又はカテコールアミン類を推定できることが示唆される。従って、カテコール類又はカテコールアミン類のピーク波長を予め測定しておくことで、未知のサンプル中に含まれるカテコール類又はカテコールアミン類の種類を定性分析できることが示唆される。
【実施例】
【0059】
<実施例5> pHによる影響の評価
各サンプルのpHを以下の通りに調製し、カテコールアミン類の検出に対する影響を調べた。
【実施例】
【0060】
1. アドレナリン
pH4:18mgのドレナリン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mM酢酸バッファー(pH4)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM酢酸バッファー(pH4)により10mlに調製した。アドレナリンの終濃度は、50μMである。
pH7.2:18mgのドレナリン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した。アドレナリンの終濃度は、50μMである。
pH9.5:18mgのドレナリン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mM炭酸バッファー(pH9.5)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM炭酸バッファー(pH9.5)により10mlに調製した。アドレナリンの終濃度は、50μMである。
【実施例】
【0061】
2. ドーパミン塩酸塩
pH4:19mgのドーパミン塩酸塩(0.1mmol)を10mM酢酸バッファー(pH4)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM酢酸バッファー(pH4)により10mlに調製した。ドーパミンの終濃度は、50Μmである。
pH 7.2:19mgのドーパミン塩酸塩(0.1mmol)を10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した。ドーパミンの終濃度は、50Μmである。
pH9.5:19mgのドーパミン塩酸塩(0.1mmol)を10mM炭酸バッファー(pH9.5)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM炭酸バッファー(pH9.5)により10mlに調製した。ドーパミンの終濃度は、50Μmである。
【実施例】
【0062】
3. L-DOPA
pH4:20mgのL-DOPA(0.1mmol)を10mM酢酸バッファー(pH4)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM酢酸バッファー(pH4)により10mlに調製した。L-DOPAの終濃度は、50μMである。
pH7.2:20mgのL-DOPA(0.1mmol)を10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した。L-DOPAの終濃度は、50μMである。
pH9.5:20mgのL-DOPA(0.1mmol)を10mM炭酸バッファー(pH9.5)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM炭酸バッファー(pH9.5)により10mlに調製した。L-DOPAの終濃度は、50μMである。
【実施例】
【0063】
4. DOPAC
pH4:17mgのDOPAC(0.1mmol)を10mM酢酸バッファー(pH4)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM酢酸バッファー(pH4)により10mlに調製した。L-DOPAの終濃度は、50μMである。
pH7.2:17mgのDOPAC(0.1mmol)を10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した。L-DOPAの終濃度は、50μMである。
pH9.5:17mgのDOPAC(0.1mmol)を10mM炭酸バッファー(pH9.5)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM炭酸バッファー(pH9.5)により10mlに調製した。L-DOPAの終濃度は、50μMである。
【実施例】
【0064】
5. チロシン
pH4:18mgのチロシン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mM酢酸バッファー(pH4)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM酢酸バッファー(pH4)により10mlに調製した。チロシンの終濃度は、50μMである。
pH7.2:18mgのチロシン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した。チロシンの終濃度は、50μMである。
pH9.5:18mgのチロシン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mM炭酸バッファー(pH9.5)にて10mlに調製した。上記調製溶液50μlを10mM炭酸バッファー(pH9.5)により10mlに調製した。チロシンの終濃度は、50μMである。
【実施例】
【0065】
5mM塩化金酸水溶液60μlを3mlの調製したサンプルに加え、3回転倒混和した。転倒混和後、10分間静置し、SIMADZU UV-1800を用いて、各濃度のサンプルの吸光度を測定した(340から1000nm)。サンプルの調製及び吸光度の測定は、室温にて行った。
【実施例】
【0066】
結果を図11Aから11Cに示す。中性付近(pH7.2)のグラフ(図11B)と比較すると、酸性付近(pH4)のグラフ(図11A)においては、ピークがシフトするサンプルが存在した(例えば、DOPAやドーパミン)。アルカリ性付近(pH9.5)のグラフ(図11C)は、pH4のグラフと比較すると、各サンプルのピークが僅かに低下した。
【実施例】
【0067】
以上の結果から、サンプルのpHが酸性又はアルカリ性の場合は、ピークのシフトが生じたり、ピークの低下が生じたりすることが明らかとなった。従って、サンプルのpHは、中性付近が好ましい。また、検量線を作成する場合は、検量線の作成に使用する溶液のpHと濃度を測定するサンプルのpHは、同じにするのが好ましい。
【実施例】
【0068】
<実施例6> 銀微粒子形成過程を利用したカテコールアミン類の検出
塩化金酸の代わりに硝酸銀を用いてカテコールアミン類の検出が可能か否かを調べた。各サンプル及び硝酸銀水溶液は、以下の通りに調製した。
【実施例】
【0069】
硝酸銀水溶液の調製
硝酸銀18.6mg(0.11mmol)(Wako)を量り取り、蒸留水22mlにて溶解した。硝酸銀の終濃度は、5mMであった。
【実施例】
【0070】
1. ドーパミン
19mgのドーパミン(0.1mmol)を10mMリン酸バッファー(pH7.2)により調製して10mlとした(10mMのドーパミン水溶液)。10mMドーパミン溶液1mlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により調製し10mlとした。ドーパミンの終濃度は、1mMである
【実施例】
【0071】
2. L-DOPA
20mgのL-DOPA(0.1mmol)を10mMリン酸バッファー(pH7.2)により調製し10mlとした(10mMのL-DOPA水溶液)。10mM L-DOPA溶液1mlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により調製し10mlとした。L-DOPAの終濃度は、1mMである。
【実施例】
【0072】
3. DOPAC
17mgのDOPAC(0.1mmol)を10mMリン酸バッファー(pH7.2)により調製し10mlとした(10mMのDOPAC水溶液)。10mM DOPAC溶液1mlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により調製し10mlとした。DOPACの終濃度は、1mMである。
【実施例】
【0073】
4. アドレナリン
18mgのアドレナリン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸水溶液にて溶解した後に10mlメスフラスコを用いて10mMリン酸バッファー(pH7.2)により10mlに調製した(10mMのアドレナリン水溶液)。10mMアドレナリン溶液1mlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)により調製し10mlとした。アドレナリンの終濃度は、1mMである。
【実施例】
【0074】
1mMサンプル50μlと10mMリン酸バッファー(pH7.2)950μlとを混合し、次に5mM硝酸銀水溶液20μlを加え、3回転倒混和した。各サンプルの吸光度を経時的に測定した結果を図12Aから12Dに示す。全てのサンプルにおいて、波長400nmから600nm付近における吸光度にピークが存在した。また、ドーパミン(図12A)とL-DOPA(図12B)は、時間の経過と共にピークの吸光度が低下することが明らかとなった。
【実施例】
【0075】
次に、各サンプルと硝酸銀との混合液における吸光度の変化を濃度毎に調べた。上述の結果に基づいて、吸光度の測定時間は、硝酸銀の添加から30分として。調製したサンプル水溶液は、10mMリン酸バッファー(pH7.2)を用いて、表3に記載の濃度(100μM、75μM、50μM、25μM、10μM、5μM及び1μM)になるように希釈した。上記希釈の2分後に、5mM硝酸銀水溶液20μlをサンプル溶液に加えた(硝酸銀の終濃度は、98μM)。硝酸銀の添加後、サンプルを静置して30分後に、SIMADZU UV-1800を用いて、各濃度のサンプルの吸光度を測定した(300から1000nm)。サンプルの調製及び吸光度の測定は、室温にて行った。
【実施例】
【0076】
【表3】
JP2015190886A_000007t.gif
【実施例】
【0077】
図13Aは、L-DOPAの結果を示している。L-DOPAにおいて、1μMから25μMの濃度は、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に増加した。しかしながら、濃度が50μM以上になると、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に低下した。ドーパミン、アドレナリン及びDOPAC(それぞれ、図13Bから13D)において、波長400nmから600nm付近におけるピークの吸光度は、時間の経過と共に増加した。図13Eは、各サンプルのピーク吸光度をプロットしたグラフを示している。グラフ中の近似曲線は、濃度が25μMを超えるサンプルにおける吸光度を除いて作成されている。図13Eに示す近似直線の式とR2を表4に示す。
【実施例】
【0078】
【表4】
JP2015190886A_000008t.gif
【実施例】
【0079】
これらの結果から、L-DOPA、ドーパミン、アドレナリン及びDOPACの吸光度は、少なくとも1μMから25μMのサンプル濃度範囲において、サンプル濃度と比例する。従って、塩化金酸と同様に、硝酸銀を用いても、カテコール類及びカテコールアミン類の濃度を算出するための検量線を作成することができる。
【実施例】
【0080】
<実施例7> ヒト血清アルブミン存在下におけるアドレナリン検出
生体試料のように他の夾雑物が存在するサンプルにおいて、アドレナリンが検出可能か否かを調べた。
【実施例】
【0081】
4mlメスフラスコを用いて、40mgのヒト血清アルブミン(HSA)を10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて4mlに調製した。HSAの終濃度は、10mg/mlである。18mgのアドレナリン(0.1mmol)を500μlの1N塩酸にて溶解した後に10mlメスフラスコを用いて10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した(10mMアドレナリン水溶液)。10mlメスフラスコを用いて、10mMアドレナリン水溶液1mlを10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて10mlに調製した。アドレナリンの終濃度は、1mMである。アドレナリンとHSAとの割合及び5mM塩化金酸の添加量は、以下の表5に示している。
【実施例】
【0082】
【表5】
JP2015190886A_000009t.gif
【実施例】
【0083】
図14Aから図14Dは、HSA存在下における種々の濃度のアドレナリン(20μM、30μM、40μM及び50μM)の吸光度を経時的に測定した結果を示す。何れの濃度であっても、波長400nmから600nm付近に吸光度のピークが存在する一方で、時間の経過と共にピークが低下することが明らかとなった。図14Eは、塩化金酸添加の10分後の吸光度をプロットしたグラフを示している。図14Eにおけるピークの吸光度をプロットしたグラフが図14Fである。HSA非存在下のアドレナリンは、HSAを含まない10mMリン酸バッファー(pH7.2)にて調製した。HSA非存在下のアドレナリンは、波長510nmでの吸光度を図14Fにプロットしている。
【実施例】
【0084】
図14Fの結果から、アドレナリンは、HSA存在下であっても濃度に依存して吸光度が直線的に増加することが明らかとなった。
【実施例】
【0085】
<実施例8> 混合条件下における検出
複数種のカテコールアミンが混在しているサンプルを用いて更に実験を行った。
1. アドレナリン及びDOPAC(アドレナリンの濃度一定)
実施例1にて調製した100μMアドレナリン水溶液と100μM DOPAC水溶液を、表6に従って混合し、濃度が5、10、25及び50μMのDOPACを調製した。50μMアドレナリン(DOPACを含まず)及び50μM DOPAC(アドレナリンを含まず)もそれぞれ調製した。調製後、5mM塩化金酸水溶液を加え、素早く3回転倒混和した。転倒混和後、10分間静置して吸光度を測定した。再現性を確認するために同様の実験を3回行った。
【実施例】
【0086】
【表6】
JP2015190886A_000010t.gif
【実施例】
【0087】
図15Aは、アドレナリンとDOPACの混合溶液での吸光度を示している。アドレナリン単独のピークは、DOPAC単独のピークとは異なる位置に存在する一方で、アドレナリンとDOPACの混合溶液では、単一のピークを示した。
【実施例】
【0088】
次に、図15Aに表示されているグラフから50μMアドレナリンのスペクトルを差し引いた(図15B)。50μMアドレナリンのスペクトルを差し引く前は、波長500nm付近に吸光度のピークが存在していた(図15A)が、50μMアドレナリンのスペクトルを差し引いた後は、吸光度のピークが波長600nm付近にシフトした。DOPACにおけるピークの吸光度は、600nm付近であるため(図9K及び図15Aを参照)、このピークシフトの結果は、DOPACの特徴を反映している。従って、アドレナリンとDOPACとを混合しても各ピークは独立しており、混合溶液でのスペクトルは、合成スペクトルとして得られることが明らかとなった。
【実施例】
【0089】
2. アドレナリン及びDOPAC(DOPACの濃度一定)
実施例1にて調製した100μMアドレナリン水溶液と100μM DOPAC水溶液を、表7に従って混合し、濃度が5、10、25及び50μMのアドレナリンを調製した。50μMアドレナリン(DOPACを含まず)及び50μM DOPAC(アドレナリンを含まず)もそれぞれ調製した。調製後、5mM塩化金酸水溶液を加え、素早く3回転倒混和した。転倒混和後、10分間静置して吸光度を測定した。再現性を確認するために同様の実験を3回行った。
【実施例】
【0090】
【表7】
JP2015190886A_000011t.gif
【実施例】
【0091】
図15A及び15Bと同様に、アドレナリンとDOPACの混合溶液では、単一のピークを示した(図15C)。更に、図15Cに表示されているグラフから50μM DOPACのスペクトルを差し引くと、アドレナリン単独の場合に示される位置に吸光度のピークがシフトした(図15D)。これは、図15Bの結果から推測できる結果であった。以上の結果から、アドレナリンとDOPACの混合溶液のスペクトルは、アドレナリン単独のスペクトルとDOPAC単独のスペクトルとの合成スペクトルであることが明らかとなった。
【実施例】
【0092】
3. ピロガロール及びDOPAC(ピロガロールの濃度一定又はDOPACの濃度一定)
アドレナリンの代わりに、ピロガロールを用いて実験をした。実施例1にて調製した100μMピロガロール水溶液と100μM DOPAC水溶液を、表8及び表9に従って混合し、濃度が5、10、25及び50μMのピロガロールとDOPACを調製した。50μMピロガロール(DOPACを含まず)及び50μM DOPAC(ピロガロールを含まず)もそれぞれ調製した。調製後、5mM塩化金酸水溶液を加え、素早く3回転倒混和した。転倒混和後、10分間静置して吸光度を測定した。再現性を確認するために同様の実験を3回行った。
【実施例】
【0093】
【表8】
JP2015190886A_000012t.gif
【実施例】
【0094】
【表9】
JP2015190886A_000013t.gif
【実施例】
【0095】
図15Aから15Dと同様に、ピロガロールとDOPACの混合溶液でも、単一のピークを示した(図15E及び15G)。更に、図15E及び15Gに表示されているグラフから、それぞれ50μMピロガロール及び50μM DOPACのスペクトルを差し引くと、ピロガロール単独及びDOPAC単独の場合に示される位置に吸光度のピークがシフトした(図15F及び15H)。
【実施例】
【0096】
これらの結果から、複数種のカテコールアミンを含有する混合溶液のスペクトルは、それぞれのカテコールアミンのスペクトルとの合成スペクトルであることが明らかとなった。従って、複数種のカテコールアミンが含有する溶液であってもカテコールアミンを検出することができる。更に、本方法によれば、生体試料(又はその希釈溶液)を経時的に測定することで、生体内でのカテコールアミン量の変化を経時的に追跡することができる。
【実施例】
【0097】
4. チロシン及びL-DOPA
チロシンは、図9Lに示す通り、塩化金酸と反応しなかった。塩化金酸と反応性を示さない化合物とカテコールアミンとの混合溶液においても、カテコールアミンが検出されるか否かを実験した。
【実施例】
【0098】
実施例1にて調製した100μMチロシン水溶液と100μM L-DOPA水溶液を、表10に従って混合し、50μMチロシンと50μM L-DOPAを含有する混合溶液、50μMチロシン(L-DOPAを含まず)及び50μM L-DOPA(チロシンを含まず)を調製した。調製後、5mM塩化金酸水溶液を加え、素早く3回転倒混和した。転倒混和後、10分間静置して吸光度を測定した。再現性を確認するために同様の実験を3回行った。
【実施例】
【0099】
【表10】
JP2015190886A_000014t.gif
【実施例】
【0100】
結果を図15Iに示す。この結果から、塩化金酸と反応性を示さないチロシンは、塩化金酸と反応性を示すL-DOPA(図9J)と混在していても、塩化金酸に対するL-DOPAの反応に影響を及ぼさないことが明らかとなった。
【実施例】
【0101】
<実施例9> 金属微粒子の粒径分布
本実験では、アドレナリン、ドーパミン、L-DOPA及びDOPACを用いて、それらと金属粒子形成剤との反応によって生じる金属微粒子の粒径分布を測定した。本実験においては、金属粒子形成剤として塩化金酸と硝酸銀を使用した。実施例6にて調製した各1mMのサンプル溶液と金属粒子形成剤を、表11及び12に従って混合液を調製した。調製後、5mM塩化金酸水溶液又は5mM硝酸銀水溶液を加え、素早く3回転倒混和した。転倒混和後、混合液を10分間(塩化金酸)又は30分間(硝酸銀)静置させた。
【実施例】
【0102】
【表11】
JP2015190886A_000015t.gif
【実施例】
【0103】
【表12】
JP2015190886A_000016t.gif
【実施例】
【0104】
走査型電子顕微鏡(SEM)及び動的光散乱法(DLS法)による粒径の測定
金微粒子サンプル
所定の時間でサンプルを静置させた後、サンプルを1000 x gで30分間遠心分離して、その後、サンプルの上清を取り除いた。サンプル沈殿物に1mlの蒸留水を加えて、30分間の超音波処理によりサンプル沈殿物を蒸留水中に分散させた。蒸留水中に分散させたサンプルを1000 x gで30分間遠心分離して、その後、サンプルの上清を取り除いた。再び、サンプル沈殿物に1mlの蒸留水を加えて、30分間の超音波処理によりサンプル沈殿物を蒸留水中に分散させた。
【実施例】
【0105】
銀微粒子サンプル(アドレナリン、L-DOPA及びDOPAC)
所定の時間でサンプルを静置させた後、サンプルを6000 x gで30分間遠心分離して、その後、サンプルの上清を取り除いた。サンプル沈殿物に1mlの蒸留水を加えて、30分間の超音波処理によりサンプル沈殿物を蒸留水中に分散させた。蒸留水中に分散させたサンプルを12000 x gで15分間遠心分離して、その後、サンプルの上清を取り除いた。再び、サンプル沈殿物に1mlの蒸留水を加えて、30分間の超音波処理によりサンプル沈殿物を蒸留水中に分散させた。
【実施例】
【0106】
銀微粒子サンプル(ドーパミン)
所定の時間でサンプルを静置させた後、サンプルを12000 x gで15分間遠心分離して、その後、サンプルの上清を取り除いた。サンプル沈殿物に1mlの蒸留水を加えて、30分間の超音波処理によりサンプル沈殿物を蒸留水中に分散させた。蒸留水中に分散させたサンプルを12000 x gで15分間遠心分離して、その後、サンプルの上清を取り除いた。再び、サンプル沈殿物に1mlの蒸留水を加えて、30分間の超音波処理によりサンプル沈殿物を蒸留水中に分散させた。
【実施例】
【0107】
SEM用サンプルの調製及び撮影
真鍮製のSEM試料台にカーボンテープを貼り付け、その上にアルミ箔を貼り付けた。2μlの各蒸留水溶解サンプルをアルミ箔上に滴下した。SEM試料台に滴下されたSEM用サンプルを10ml容量のガラス瓶の中に保管して、2日間自然乾燥させた。各乾燥したサンプルを走査型電子顕微鏡(JSM-6500F, JEOL Ltd.)にセットして、倍率50,000倍にて撮影した。
【実施例】
【0108】
DLS法による粒径の測定用サンプルの調製及び測定
表11及び12に従って調製したサンプル1020μlを光学セルに入れ、粒度分布測定装置(Nano Particle Analyzer SZ-100, HORIBA Scientific)を用いて25度で3回測定し(データ取込み時間120秒)、それらの平均値より粒径を算出した。
【実施例】
【0109】
アドレナリン
図16Aに示す通り、アドレナリンと塩化金酸とを反応させると、金が還元され微粒子が生じることが明らかとなった。更に、これらの金微粒子の粒径分布を測定すると、粒子径は、23.2±4.3nm(平均値±標準偏差, n = 202)であった(図16B)。更に、同じサンプルを用いて、DLS法により粒径分布を測定すると、粒子径は、24.9±3.3nm(平均値±標準偏差)であった(図16C)。
【実施例】
【0110】
図17Aは、アドレナリンと硝酸銀との反応により生じた銀微粒子を表すSEM画像である。更に、これらの金微粒子の粒径分布を測定すると、粒子径は、76.6±27nm(平均値±標準偏差, n = 202)であった(図17B)。更に、同じサンプルを用いて、DLS法により粒径分布を測定すると、粒子径は、138±16.8nm(平均値±標準偏差)であった(図17C)。
【実施例】
【0111】
L-DOPA、DOPAC及びドーパミン
同様に、L-DOPA、DOPAC及びドーパミンに関して、SEM及びDLS法によって金及び銀微粒子を測定した(それぞれ、図18A-D、図19A-D及び図20A-D)。結果を表13(金微粒子)と表14(銀微粒子)に示している。
【実施例】
【0112】
【表13】
JP2015190886A_000017t.gif
【実施例】
【0113】
【表14】
JP2015190886A_000018t.gif
【実施例】
【0114】
これの結果から、金属微粒子には、特定の粒子径の範囲内において、溶液中に分散されていることがあきらかとなった。
【実施例】
【0115】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図1C】
2
【図1D】
3
【図1E】
4
【図1F】
5
【図1G】
6
【図2A】
7
【図2B】
8
【図2C】
9
【図2D】
10
【図3A】
11
【図3B】
12
【図3C】
13
【図3D】
14
【図3E】
15
【図3F】
16
【図3G】
17
【図4A】
18
【図4B】
19
【図4C】
20
【図4D】
21
【図4E】
22
【図4F】
23
【図4G】
24
【図5A】
25
【図5B】
26
【図5C】
27
【図5D】
28
【図6A】
29
【図6B】
30
【図6C】
31
【図6D】
32
【図6E】
33
【図6F】
34
【図6G】
35
【図7A】
36
【図7B】
37
【図7C】
38
【図7D】
39
【図8A】
40
【図8B】
41
【図8C】
42
【図8D】
43
【図8E】
44
【図9A】
45
【図9B】
46
【図9C】
47
【図9D】
48
【図9E】
49
【図9F】
50
【図9G】
51
【図9H】
52
【図9I】
53
【図9J】
54
【図9K】
55
【図9L】
56
【図10A】
57
【図10B】
58
【図11A】
59
【図11B】
60
【図11C】
61
【図12A】
62
【図12B】
63
【図12C】
64
【図12D】
65
【図13A】
66
【図13B】
67
【図13C】
68
【図13D】
69
【図13E】
70
【図14A】
71
【図14B】
72
【図14C】
73
【図14D】
74
【図14E】
75
【図14F】
76
【図15A】
77
【図15B】
78
【図15C】
79
【図15D】
80
【図15E】
81
【図15F】
82
【図15G】
83
【図15H】
84
【図15I】
85
【図16A】
86
【図16B】
87
【図16C】
88
【図17A】
89
【図17B】
90
【図17C】
91
【図18A】
92
【図18B】
93
【図18C】
94
【図18D】
95
【図19A】
96
【図19B】
97
【図19C】
98
【図19D】
99
【図20A】
100
【図20B】
101
【図20C】
102
【図20D】
103