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明細書 :塗料成分及びそれを含む塗料組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-151437 (P2015-151437A)
公開日 平成27年8月24日(2015.8.24)
発明の名称または考案の名称 塗料成分及びそれを含む塗料組成物
国際特許分類 C09D 133/26        (2006.01)
C09D 133/08        (2006.01)
C09D 133/10        (2006.01)
C09D 127/12        (2006.01)
FI C09D 133/26
C09D 133/08
C09D 133/10
C09D 127/12
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2014-025240 (P2014-025240)
出願日 平成26年2月13日(2014.2.13)
発明者または考案者 【氏名】本多 尚
【氏名】門倉 萌衣子
出願人 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001656、【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4J038
Fターム 4J038CD101
4J038CG141
4J038CG171
4J038CH031
4J038CH251
4J038NA16
4J038PB05
4J038PB07
要約 【課題】人為的なエネルギー供給を必要とすることなく、建物内等の温度上昇を抑制することができる手段を提供すること。
【解決手段】塗料成分は、(1)ビニル基を含むモノマーであって、このモノマーを重合して得られるポリマーが下限臨界共溶温度を有する温度応答性付与モノマーと、(2)ビニル基を含むモノマーであって、このモノマーを重合して得られるポリマーが塗料成分である塗料成分モノマーを共重合した共重合体であって、下限臨界共溶温度を有する共重合体から成る。また、この塗料成分を含む塗料組成物も提供される。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
(1)ビニル基を含むモノマーであって、該モノマーを重合して得られるポリマーが下限臨界共溶温度を有する温度応答性付与モノマーと、
(2)ビニル基を含むモノマーであって、該モノマーを重合して得られるポリマーが塗料成分である塗料成分モノマー
を共重合した共重合体であって、下限臨界共溶温度を有する共重合体から成る塗料成分。
【請求項2】
前記温度応答性付与モノマーが、下記一般式[I]:
【化1】
JP2015151437A_000005t.gif
(式[I]中、Rは水素又はメチル基、R及びRは、互いに独立して水素、アルキル基又はアルキルアミノ基であるが、両者が同時に水素になることはない)
で表される請求項1記載の塗料成分。
【請求項3】
前記R及びRが、アルキル基又はアルキルアミノ基である場合、アルキル部分の炭素数がそれぞれ2~6である請求項2記載の塗料成分。
【請求項4】
前記Rが水素、Rがイソプロピル基、Rが水素である請求項3記載の塗料成分。
【請求項5】
前記塗料成分モノマーが、(メタ)アクリレート含有モノマー及びフッ素化アルケンから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1~4のいずれか1項に記載の塗料成分。
【請求項6】
前記塗料成分モノマーが、(メタ)アクリレートである請求項5記載の塗料成分。
【請求項7】
前記塗料成分モノマーが、アクリル酸ブチルである請求項6記載の塗料成分。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の塗料成分を含む塗料組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁等に塗布される塗料組成物及びそれに含まれる塗料成分に関する。
【背景技術】
【0002】
近年話題となっている環境問題に、ヒートアイランド現象がある。ヒートアイランド現象とは、都市中心部の気温が郊外よりも高くなるものである。地球温暖化により、世界全体の平均気温はここ100年で0.7℃上昇しているが、東京など日本の大都市では、100年で約2.2~3.0℃上昇しており、地球温暖化に加えたヒートアイランド現象の影響が示唆されている。ヒートアイランド現象の原因としては、建物や工場、自動車などの排熱などの人工排熱の増加、密集した建物による風通しの阻害や天空率の低下などの都市形態の高密度化、そして、緑地の減少とアスファルトやコンクリート面などの拡大による地表面被覆の人工化が挙げられる。
【0003】
このようなヒートアイランド現象の対策として、屋上緑化や壁面緑化がある。これには、表面温度の上昇を抑え気温上昇を抑制することで、室内への熱の侵入を低減し空調エネルギー消費を削減する働きがある。また、打ち水を行うプロジェクトも盛んに行われている。これは、日時を決めて残り湯などの二次利用水を一斉にまくことで、気化熱により気温を下げるものである。そして近年では、この2つの発想を組み合わせた建築物への気化熱冷却システムの導入が検討されている。屋上や壁面に給水、気化させることで、建築物自体の表面温度を下げるものである。しかし、これには給水のため電気エネルギーを消費することになる。
【0004】
一方、下限臨界共溶温度(Lower Critical Solution Temperature, LCST)を持つ温度応答性高分子が知られている(非特許文献1~3)。この高分子は、水溶液中で、LCST以下の温度では、親水性を示し、水に可溶である。しかし、LCST以上になると、疎水性を示し、水に不溶となる。この現象は、コイル・グロビュール転移によるとされている。つまり、温度応答性高分子を水中に入れた時、温度がLCSTより低いと高分子内のアミド基と水分子が強い相互
作用を示し、引き伸ばされたランダムコイル状となる。一方、温度をLCST 以上にすると、水との相互作用が弱くなり脱水和が起こる。脱水和した高分子鎖は凝集しグロビュール状になる。このような高分子の相転移現象を、コイル・グロビュール転移という。この性質を示す高分子として、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(以下P(NIPAAm)と略す)がよく知られている。この高分子は、ドラッグデリバリー(非特許文献4)や砂漠の緑化(非特許文献5)などに研究開発されている。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】E. I. Tiktopulo, V. E. Bychkova, J. Ricka, O. B. ptitsyn, Macromolecules, 27, 2879, (1994).
【非特許文献2】Yasushi Maeda, Tomomi Higuchi, and Isao Ikeda, Langmuir, 16, 7503-7509, (2000).
【非特許文献3】Yasushi Maeda, Hiroki Yamamoto, and Isao Ikeda, Macromolecules, 36, 5055-5057, (2003).
【非特許文献4】Yong Qiu, Kinam Park, Advanced Drug Delivery Reviews, 64, 49-60, (2012).
【非特許文献5】"温度応答性高分子を用いた砂漠の緑化大作戦" 阿保芙美奈,松丸晃久,千葉大学大学院 工学研究科共生応用化学専攻,http://nikkei-techno.jp/pdf/3rd/toray1.pdf(参照 2014-01-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、人為的なエネルギー供給を必要とすることなく、建物内等の温度上昇を抑制することができる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、建物の外壁に塗布する塗料に、温度上昇抑制機能を持たせることにより建物内の温度上昇を抑制することが可能ではないかと考えた。そして、重合すると塗料成分であるポリマーを構成するモノマーと、重合するとLCSTを持つポリマーを構成するモノマーとを共重合させることにより、LCSTを持つ共重合体を得ることができ、かつ、この共重合体は塗料成分として利用可能であり、この共重合塗料成分を含む塗料を塗布すると、LCSTより低い温度下で水分がこの共重合体塗料成分に吸収され、LCST温度以上では吸収された水分が液状の水粒子となり、これが太陽熱により気化されることにより温度上昇を抑制できることを見出し本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)ビニル基を含むモノマーであって、該モノマーを重合して得られるポリマーが下限臨界共溶温度を有する温度応答性付与モノマーと、
(2)ビニル基を含むモノマーであって、該モノマーを重合して得られるポリマーが塗料成分である塗料成分モノマー
を共重合した共重合体であって、下限臨界共溶温度を有する共重合体から成る塗料成分を提供する。また、本発明は、上記塗料成分を含む塗料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、建物の外壁に塗布することにより、人為的なエネルギーを必要とすることなく、建物内の温度上昇を抑制することができる、新規な塗料組成物及びそれに含まれる塗料成分が初めて提供された。本発明の塗料成分は、LCSTを持つので、LCSTよりも低い温度下では空気中の水分を吸収し、LCST以上の温度下では、共重合体の構造が変化して、吸収されていた水分が液状の水粒子となり、これが太陽熱により気化されることにより温度上昇が抑制される。したがって、本発明の塗料組成物を建物の外壁に塗布することにより、人為的なエネルギー供給を必要とすることなく、暑い時期の建物内の温度上昇を抑制することができ、建物内を快適化でき、ひいてはエアコンの使用による消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】下記参考例で行った、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)による温度上昇抑制効果の試験結果を示す図である。
【図2】下記実施例で合成した、本発明の塗料成分になる共重合体のNMR解析の結果を示す図である。
【図3】下記実施例で合成した、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)のDSC解析の結果を示す図である。
【図4】下記実施例で合成した、アクリル酸ブチル:ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)共重合体(共重合比率5:95)のDSC解析の結果を示す図である。
【図5】下記実施例で合成した、アクリル酸ブチル:ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)共重合体(共重合比率7:93)のDSC解析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の通り、本発明の塗料成分は、(1)ビニル基を含むモノマーであって、該モノマーを重合して得られるポリマーがLCSTを有する温度応答性付与モノマーと、
(2)ビニル基を含むモノマーであって、該モノマーを重合して得られるポリマーが塗料成分である塗料成分モノマー
を共重合した共重合体であって、LCSTを有する共重合体から成る。

【0012】
上記温度応答性付与モノマーとしては、下記一般式[I]で示されるアクリルアミド誘導体が好ましい。

【0013】
【化1】
JP2015151437A_000003t.gif

【0014】
(式[I]中、Rは水素又はメチル基、R及びRは、互いに独立して水素、アルキル基又はアルキルアミノ基であるが、両者が同時に水素になることはない)

【0015】
上記一般式[I]中のR及びRが、アルキル基又はアルキルアミノ基である場合、アルキル部分の炭素数がそれぞれ2~6であることが好ましい。Rが水素、Rがイソプロピル基、Rが水素であるもの、すなわち、下記実施例で用いたN-イソプロピルアクリルアミド(NIPPAm)が特に好ましい。

【0016】
上記温度応答性付与モノマーは、単一種類のモノマーであってもよいし、複数種類のモノマーを組み合わせて用いることもできる。

【0017】
上記塗料成分モノマーとしては、ビニル基を含み、そのポリマーが、塗料成分として用いられているものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリレート含有モノマーやフルオロエチレンのようなフッ素化アルケン(炭素数は、好ましくは2~4)を挙げることができる。(メタ)アクリレート含有モノマーとしては、アクリル酸ブチルのような(メタ)アクリレート;2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレートやノナフルオロヘキシル(メタ)アクリレート等のフッ素化(メタ)アクリレート;ジメチルポリシロキサンメタクリレートのようなシリコーン系(メタ)アクリレート;各種ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン系モノマー;各種エポキシ(メタ)アクリレートのようなエポキシ系モノマーを挙げることができる。

【0018】
上記塗料成分モノマーは、単一種類のモノマーであってもよいし、複数種類のモノマーを組み合わせて用いることもできる。

【0019】
本発明の塗料成分になる共重合体は、LCSTを有する。LCSTは、好ましくは0℃以上50℃以下、さらに好ましくは、20℃以上40℃以下、さらに好ましくは30℃以上35℃以下である。外国では、大陸の内陸部の乾燥地帯等で、1日の気温差が50℃以上となる場所もあるため、LCSTの範囲は、かなり広い範囲に亘って塗料成分は有用性を有する。なお、共重合体のLCSTは、共重合体の分子全体がコイル・グロビュール転移を起こしてLCSTを持つ場合はもちろん、共重合体の一部の領域(主として温度応答性付与モノマー由来の領域)が部分的にコイル・グロビュール転移を起こしてLCSTを示す場合も包含される。共重合体がLCSTを有するか否かは、下記実施例に具体的に記載するように、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry, DSC)において、ピークが出現するか否かにより判定可能である(ピークが出現すればLCSTを持つ)。なお、LCSTは、上記した各モノマーの配合比率を変えたり、温度応答性付与モノマーの構造、例えば、上記一般式[I]中のR及びRを変えることにより調節可能である。

【0020】
共重合体を構成する温度応答性付与モノマーと塗料成分モノマーとの比率は、共重合体がLCSTを有し、かつ、建物外壁等に塗布した場合に雨で容易に流出しない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、温度応答性付与モノマー:塗料成分モノマーの比率が、モル比で97:3~91:9程度、さらに好ましくは95:5~93:7程度である。共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよく、温度応答性付与モノマー:塗料成分モノマーの比率が上記した範囲内にあれば、これらのいずれであっても共重合体はLCSTを有する。また、共重合体の分子量は、LCSTが生じれば特に限定されないが、通常、重量平均分子量で1000~50000程度、好ましくは20000~30000程度である。

【0021】
共重合体を構成する温度応答性付与モノマー及び塗料成分モノマーは、いずれもビニル基を含むので、常法により、容易に付加重合させることができる。すなわち、温度応答性付与モノマーと塗料成分モノマーを、溶媒中、アゾイソブチロニトリル(AIBN)等の常用されているラジカル重合開始剤の存在下で加熱混合することにより、共重合させることができ、具体的な方法の1例が下記実施例に記載されている。反応温度や反応時間は、適宜設定することができ、通常、50℃~70℃で10時間~40時間程度であるがこれに限定されるものではない。また、溶媒は、各モノマー及び重合開始剤を溶解できるものであれば特に限定されず、たとえば、ラジカル重合で常用されているtert-ブチルアルコール等の脂肪族アルコール、酢酸エチル等の脂肪族エステル、アセトン等のケトン類、トルエン等の芳香族等を用いることができるがこれらに限定されるものではない。

【0022】
本発明は、上記した共重合体を塗料成分として含む塗料組成物をも提供する。上記した塗料成分モノマーは、従来の塗料組成物に含まれている塗料成分を構成するモノマーでよいので、本発明の共重合体塗料成分は、このモノマーにより構成されるポリマーから成る従来の塗料成分の少なくとも一部の代替として、又はこれに追加して用いることができ、塗料組成物中の共重合体塗料成分以外の溶剤や成分は、従来の塗料組成物と同じでよい。従来の塗料組成物では、溶剤として脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、水系溶剤等が用いられており、本発明においても、これらを用いることができる。また、本発明の塗料組成物は、従来の塗料組成物と同様、周知の着色顔料、体質顔料、導電性顔料、有機溶剤、シランカップリング剤、硬化触媒、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、造膜助剤などの塗料用添加剤などを含有することができる。

【0023】
本発明の塗料組成物を建物の外壁に塗布しておくと、LCSTよりも低い温度で空気中の水分が塗料成分に吸収され、LCST以上の温度で、吸収された水分が液状の水となって気化することにより、建物内部の温度上昇抑制効果が発揮される。しかも、この温度上昇抑制効果は、空気中の水分と、太陽熱のみによって達成され、人為的な操作やエネルギー消費は全く不要である。したがって、本発明は、暑い時期に、電力の消費を少なくして快適化を達成することができ、社会に大きく貢献するものと期待される。なお、塗布の対象は建物の外壁に限らず、屋内の壁、鉄道車両などの内外壁、自動車・バスなどの内外壁、その他、温度上昇抑制が望まれる種々のものに適用することが可能であり、それによって、鉄道車両や、自動車、バスなどの内部の温度上昇を抑制することができる。

【0024】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
参考例1 温度応答性高分子の塗布による温度上昇抑制効果
(1)透明なガラスびん(外直径40mm、内直径35mm、長さ120mmの円筒)の外面に市販の塗料(サラルーフ(商品名)、アクリルエマルション樹脂水性塗料)を塗布、乾燥したもの、(2)透明なガラスびんの外面にサラルーフ(商品名)を塗布し、乾燥後、その上にポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(P(NIPPAm))を塗布、乾燥したもの、(3)透明なガラスびんの内面を二重の白紙で被覆したもののそれぞれを、うつぶせにして板上に起き、これを日当たりの良い屋上に置き、各びんの内部にセンサー部が配置された温度計により、連続的に温度を測定した。
【実施例】
【0026】
結果を図1に示す。図1に示されるように、日照時には、上記(1)~(3)のうち、びんの最表面にP(NIPPAm)を塗布、乾燥したものがびん内の温度が最も低く、P(NIPPAm)を塗布することによる温度上昇抑制効果が確認された。
【実施例】
【0027】
実施例1
1.共重合体の合成
200mL三口丸底フラスコにNIPAAm、アクリル酸ブチル(BA)、tert-ブチルアルコール56.5 mL、AIBN 0.136gを入れ窒素置換を行った。NIPAAmとBA は下記表1に示す割合で配合した。表1に示すように、ポリBA(PBA)、P(NIPAAm)も合成した。なお、BAの比重は0.0900g/mLである。撹拌しながら20時間、60℃で反応させた。
【実施例】
【0028】
【表1】
JP2015151437A_000004t.gif
【実施例】
【0029】
生成物を偏光顕微鏡観察した結果、高分子の生成が確認された。また、生成物についてNMR解析を行った。NMR解析は、重合後の生成物をジエチルエーテルに加え、沈殿濾過した濾過物の溶液(溶媒:CDCl3)を1H NMR(測定周波数:600.13MHz)にかけることにより行った。
【実施例】
【0030】
結果を図2に示す。0.9ppm付近と1.4 ppm付近のピークはBAとPBAにしか見られないピークであり、全ての重合物にこのピークが見られた。また、モノマーでは4.1ppm付近に見られるピークはポリマーになると4.0ppm付近にシフトした。今回の合成物は4.0ppm付近にピークが見られた。よって、共重合が成功していることが確認された。
【実施例】
【0031】
2.共重合体のDSC
1で合成した共重合体、及び比較のため、1で合成したP(NIPAAm)につき、市販の装置を用いてDSC測定を行った。
【実施例】
【0032】
図3にP(NIPAAm)についての結果、図4にBA:NIPPAm=5:95の共重合体についての結果、図5にBA:NIPPAm=7:93の共重合体についての結果を示す。図3に示されるように、上記参考例1で温度上昇抑制効果が確認されたP(NIPAAm)では、305Kからブロードなピークが観察され、305KのLCSTを有することが確認された。各共重合体についても、296~297K辺りから同様なピークが観察され、LCSTを有することが確認された。したがって、これらの共重合体も、P(NIPAAm)と同様に温度上昇抑制効果を発揮すると考えられる。
【実施例】
【0033】
実施例2 共重合体の流出試験
実施例1で合成した共重合体(BA:NIPPAm=7:93)(共重合反応後の反応液)を、ブラシでコンクリート壁に10cm×10cmの面積で塗布した。塗布した領域を、約25mLの水(温度22℃)で3回洗浄した(25mL x 3回)。
【実施例】
【0034】
その結果、共重合体の流出は観察されなかった。洗浄水の温度はLCSTよりも低かったが、共重合体の流出は観察されなかった。
【実施例】
【0035】
比較例1 P(NIPAAm)の流出試験
実施例1で合成したP(NIPAAm)(重合反応後の反応液)を、実施例2と同様にコンクリート壁に塗布し、水で洗浄した。その結果、塗布したP(NIPAAm)の一部が流れ落ちることが観察された。
【実施例】
【0036】
実施例2及び比較例1の結果から、共重合体では、BA由来の領域が壁によく結合し、塗料成分として使用可能であるのに対し、P(NIPAAm)のみでは水により流れ落ちてしまい、塗料成分として使用できないことがわかる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4