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明細書 :発電装置及び方法並びに電子機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-154681 (P2015-154681A)
公開日 平成27年8月24日(2015.8.24)
発明の名称または考案の名称 発電装置及び方法並びに電子機器
国際特許分類 H02K  35/02        (2006.01)
FI H02K 35/02
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2014-029024 (P2014-029024)
出願日 平成26年2月18日(2014.2.18)
発明者または考案者 【氏名】山浦 真一
【氏名】中嶋 宇史
【氏名】佐々木 敏夫
【氏名】関口 哲志
出願人 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100151367、【弁理士】、【氏名又は名称】柴 大介
【識別番号】100184262、【弁理士】、【氏名又は名称】森田 義則
審査請求 未請求
要約 【課題】適用範囲が広く電力を出来るだけ効率的に回収可能な発電装置及び方法とそれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】発電装置1が、螺旋状のばね10と、螺旋状のばね10に外部から圧力が加えられて発生する変動磁場を電気に変換するための導体20としての巻線コイル21とを備える。外部からの圧力が磁石30を介在して螺旋状のばね10に加えられ、巻線コイル21に対して磁石30が変位し、巻線コイル30が、磁石30の変位により生じる変動磁場と螺旋状のばねの変形により生じる変動磁場の何れも電気に変換する。この変換された電気が負荷40に供給され、電子機器として機能する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
螺旋状のばねと、
前記螺旋状のばねに外部から圧力が加えられて発生する変動磁場を電気に変換するための導体と、
を備える、発電装置。
【請求項2】
前記導体は、コイル状に巻かれた巻線コイルである、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記巻線コイルは、前記螺旋状のばねの内周、外周の少なくとも何れかで同軸上に設けられている、請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
さらに、前記螺旋状のばねが着磁するように磁石が設けられている、請求項3に記載の発電装置。
【請求項5】
前記巻線コイルが、前記螺旋状のばねに絶縁して巻き付けられて設けられている、請求項2に記載の発電装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の発電装置と、前記発電装置から電力の供給を受けて作動する電子部品と、を備える、電子機器。
【請求項7】
螺旋状のばねに対して外部から圧力を加えることにより変動磁場を発生させ、導体がその発生した変動磁場を電気に変換して出力する、発電方法。
【請求項8】
前記導体としてコイル状に巻かれた巻線コイルを用いる、請求項7に記載の発電方法。
【請求項9】
外部からの圧力が磁石を介在して前記螺旋状のばねに加えられ、前記巻線コイルに対して前記磁石が変位し、
前記巻線コイルが、前記磁石の変位により生じる変動磁場と前記螺旋状のばねの変形により生じる変動磁場の何れも電気に変換する、請求項8に記載の発電方法。
【請求項10】
前記螺旋状のばねに加えられる外部からの圧力が振動圧である、請求項7乃至9の何れかに記載の発電方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの圧力により電力を発生させる発電装置及び方法とその発電装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力で作動する小型の電子機器が急速に発達している。このような電子機器の電源として、振動から電力を取り出す振動発電に関する技術が注目されている。振動発電は、振動の回収方式によって、逆磁歪方式(例えば、特許文献1)、エレクトレット方式、圧電方式、電磁誘導方式(例えば、特許文献2)などがある。
【0003】
特許文献1に開示されている振動発電装置では、磁歪材料で構成された磁歪棒を軸方向又は垂直な方向に応力を加えて振動させることによって変動する磁場を発生させている。特許文献2に開示されている振動発生装置では、棒状永久磁石の磁場中を、非磁性体からなるコイル導体が相対運動することによって電力を取り出している。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】WO2011/158473号公報
【特許文献2】特開2012-034475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に開示されているような磁歪棒や棒状永久磁石等の棒状体の振動では、ランダムな方向に振動する振動源の振動を回収することが難しいことがあり、棒状体の機械的強度によって適用される応力が制限される。
【0006】
そこで、本発明では、適用範囲が広く電力を出来るだけ効率的に回収可能な発電装置及び方法とそれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では次のような技術的手段を採用する。
[1]螺旋状のばねと、
前記螺旋状のばねに外部から圧力が加えられて発生する変動磁場を電気に変換するための導体と、
を備える、発電装置。
[2]前記導体は、コイル状に巻かれた巻線コイルである。
[3]前記巻線コイルは、前記螺旋状のばねの内周、外周の少なくとも何れかで同軸上に設けられている。
[4]さらに、前記螺旋状のばねを着磁するように磁石が設けられている。
[5]前記巻線コイルが、前記螺旋状のばねに絶縁して巻き付けられて設けられている。
[6]前記発電装置と、前記発電装置から電力の供給を受けて作動する電子部品と、を備える、電子機器。
[7]螺旋状のばねに対して外部から圧力を加えることにより変動磁場を発生させ、導体がその発生した変動磁場を電気に変換して出力する、発電方法。
[8]前記導体としてコイル状に巻かれた巻線コイルを用いる。
[9]外部からの圧力が磁石を介在して前記螺旋状のばねに加えられ、前記巻線コイルに対して前記磁石が変位し、
前記巻線コイルが、前記磁石の変位により生じる変動磁場と前記螺旋状のばねの変形により生じる変動磁場の何れも電気に変換する。
[10]前記螺旋状のばねに加えられる外部からの圧力が振動圧である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の振動発電で使用されている磁場発生の手段、手法に比べて、必ずしも周期的ではないランダムな振動に対しても、振動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収することができ、応力が加わることによる変形に対しても疲労破壊し難い発電装置及び発電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各実施形態に共通する基本的なコンセプトとして第1実施形態に係る発電方法を説明するための図である。
【図2】第1実施形態の応用形態としての第2実施形態に係る発電方法を説明するための図である。
【図3】第1及び第2実施形態の応用形態としての第3実施形態に係る発電方法を説明するための図である。
【図4】第1実施形態の変形例としての第4実施形態を説明するための図である。
【図5】第4実施形態の変形例としての第5実施形態を説明するための図である。
【図6】第2実施形態の変形例としての第6実施形態を説明するための図である。
【図7】その他の実施形態として巻線コイルの配設の形態を説明するための図である。
【図8】図7とは異なる、巻線コイルの配設の形態を説明するための図である。
【図9】その他の実施形態として螺旋状のばねが異なる形状を有する実施形態を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電子機器のブロック構成図である。
【図11】実施例1の結果に関し、(a)乃至(e)は螺旋ばねの変形量が20mm,21mm,28mm,30mm,33mmとしたときの、巻線コイルからの出力結果を示す図である。
【図12】実施例1の結果に関し、螺旋状のばねの変形量に対する発電電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本発明の範囲は実施形態に限定されることなく、適宜変更することができる。特に、図面に記載した各部材の形状、寸法、位置関係などについては概念的な事項を示すに過ぎず、その適用場面に応じて変更することができる。各図において、同一の又は対応する部材、ユニットには同一の符号を付している。

【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の各実施形態に共通する基本的なコンセプトとして第1実施形態に係る発電方法を説明するための図である。

【0012】
本発明の第1実施形態に係る発電方法は、例えば図1に示す発電装置1により実現され、発電装置1は、外部からの圧力、特に振動圧により変動磁場を発生させる螺旋状のばね10と、螺旋状のばね10により発生した変動磁場を電気に変換するための導体20とを備える。導体20は、図1においてはコイル状に巻かれた巻線コイル21で示している。導体20をコイル状に巻いていることにより、外部からの圧力が螺旋状のばね10に加わることで生じる変動磁場をできるだけ効率的に電気に変換する。

【0013】
ここで、螺旋状のばね10は、変動磁場を発生させるので、「磁場発生手段」と呼んでもよく、導体20は、変動磁場を電気に変換するので、「変換手段」と呼んでもよい。図1では、螺旋状のばね10や巻線コイル21は断面で模式的に示されている。その他の図においても同様である。

【0014】
特に、螺旋状のばね10と巻線コイル21とが同軸上に配置されており、螺旋状のばね10の外側に周回りに巻線コイル21が設けられている。外部からの圧力が螺旋状のばね10に加わることで、螺旋状のばね10の外側に大きな変動磁場が生じる場合に好適である。

【0015】
螺旋状のばね10は、例えば磁性材料で形成されている。螺旋状のばね10に外部から圧力が加わることにより、ばねに応力が生じてばねを構成する素材の透磁率が変化し、その結果、螺旋状のばね10及びその周りの空間の磁束密度が時間的に変化する。すなわち、螺旋状のばね10及びその周りの空間に変動磁場が生じる。導体20がこの変動磁場を電気エネルギーとして取り出す。

【0016】
本発明の第1実施形態では、螺旋状のばね10が外部からの圧力、特に振動圧を受けて変動磁場を発生させるようにしている。螺旋状という形状はコンパクト性に優れ、外部からの圧力を効率良く吸収する特性を有する。発電装置1が使用される環境に応じて、弾性係数、周波数は任意に設定される。応力の範囲についても適用性に富む。また、螺旋状のばね10は制振性を兼ね備える。一パルスの圧力でも連続的な圧力である振動圧でも、またパルス幅、周期、大きさの少なくとも何れかが不連続であるような圧力でも、その力学的なエネルギーを磁気的なエネルギーに効率良く変換させることができる。

【0017】
ここで、「ばね」には、スプリングコイルと呼ばれる螺旋状のばね以外に、板状のばねもあるが、螺旋状であれば、螺旋の軸方向だけでなく、軸に直交する面に平行な方向にも振動することが比較的容易である。

【0018】
また、特許文献1のように、棒状体を上下に振動したり左右に振動したりすることもあるが、これらの場合でも棒状体の振動の向きに制限が加わり、振動を効率的に吸収することができない。さらに、カンチレバーのような一端部を固定して振動を吸収させる手法もあるが、棒状体の場合と同様、カンチレバーに加わる圧力の向きに制限が加わり、圧力を効率的に吸収することができない。また、軸方向に振動しコンパクト性に優れる螺旋状のばね10と比較して、カンチレバー型の振動受け体では圧力が加わる自由端と固定端とは離隔しており、コンパクト性が優れない。

【0019】
また、外部からの圧力が螺旋状のばね10に加わるように構成しているので、外部からの圧力を効率良く吸収するだけでなく、さらに応力集中がなく、外部からの圧力に対して疲労破壊し難い。

【0020】
ここで、巻線コイル21は螺旋部21aとリード部21bで構成され、螺旋部21aの長さが螺旋状のばね10の自由高さよりも短い場合を図1に示している。しかしながら、螺旋部21aは、その長さが螺旋状のばね10の自由高さと等しく、かつ螺旋状のばね10と対応する位置に配置されてもよい。螺旋部21aは螺旋状のばね10よりも長くてもよい。リード部21bの両端には小電力で作動する負荷40が接続され、発電装置1で発電された電力を受けて負荷40が作動する。また、螺旋状のばね10の一端は自由端であり、他端は固定端となっているが、螺旋状のばねの両端何れも自由端としてもよい。

【0021】
発電装置1は、図1において一点鎖線で示すように筒状のホルダー51に巻線コイル21を巻き付け、ホルダー51内に螺旋状のばね10を配置し、その両側にステージ52,52の対を設けることにより構成してもよい。発電装置1のこの構成により、外部の圧力を効率的に螺旋状のばね10に加えることができ、装置の製造し易さやコンパクト化を図ることができる。

【0022】
(第2実施形態)
図2は、第1実施形態の応用形態としての第2実施形態に係る発電方法を説明するための図である。図2に示す発電装置1は、図1に示すそれとは次の点で異なっている。螺旋状のばね10の各端の少なくとも何れかに磁石30として永久磁石が設けられている。磁石30により、螺旋状のばね10が着磁される。着磁方向は、例えば巻線コイル21の軸方向に沿っていてもよいし、沿わないようにしてもよい。着磁方向が巻線コイル21の軸方向に沿う場合であっても、磁石30同士が反発するように同極を向けて、螺旋状のばね10の一端及び他端に、磁石30が配置されてもよい。この場合、磁石30による力により螺旋状のばね10が引っ張られる。逆に、磁石30同士が引力を及ぼすように異極を向けて、螺旋状のばね10の一端及び他端に、磁石30が配置されてもよい。磁石30による力により螺旋状のばね10が圧縮される。

【0023】
第2実施形態では、磁石30が、螺旋状のばね10の一端、螺旋状のばね10の他端の少なくとも何れか一方又は双方に設けられているので、螺旋状のばね10に外部から圧力が加わると、変動磁場の方向が制御されてその結果、巻線コイル21に誘導電流が流れて電気に変換することができる。つまり、第2実施形態では、上端、下端の何れか一方または双方に設置した磁石と螺旋状のばね10の逆磁歪効果とにより、第1実施形態と比較して、大きな電力を発電することができる。

【0024】
(第3実施形態)
図3は、第1及び第2実施形態の応用形態としての第3実施形態に係る発電方法を説明するための図である。第3実施形態に係る発電装置1では、巻線コイル21の螺旋部21aの高さを少なくとも螺旋状のばね10の一端(図では上端)と同一の位置とするかまたはそれよりも高くする。これにより、螺旋状のばね10の上端に設けた磁石30が外部の圧力により変位するに伴い、巻線コイル21に磁石30の変位による変動磁場が加わり、誘導電流が流れる。また、螺旋状のばね10の他端(図では下端)にも磁石30を設けるとより効率的に電気に変換することができる。その結果、第3実施形態は、第2実施形態よりも外部の圧力によって加えられたエネルギーを、効率良く電気エネルギーに変換することができる。

【0025】
(第4実施形態)
図4は、第1実施形態の変形例としての第4実施形態を説明するための図である。第4実施形態に係る発電装置1は、第1実施形態に係る発電装置1と次の点で異なっている。第4実施形態では、巻線コイル21が螺旋状のばね10の内側に周回りで同軸上に配置されている。外部からの圧力が螺旋状のばね10に加わることにより変動磁場が生じる。変動磁場が螺旋状のばね10の内側に比較的強く生じる場合には、図1乃至図3に示すように螺旋状のばね10の外側に巻線コイル21を設ける場合よりも、螺旋状のばね10の内側に巻線コイル21を設ける方が、効率的に電気に変換することができる。

【0026】
第4実施形態では、外部からの圧力が螺旋状のばね10に加わっても巻線コイル21が変形しないように、巻線コイル21が螺旋状のばね10の上端と下端との間の中間部に設けられる。

【0027】
(第5実施形態)
図5は、第4実施形態の変形例としての第5実施形態を説明するための図である。第5実施形態に係る発電装置1は、第4実施形態に係る発電装置1と次の点で異なっている。第5実施形態では、螺旋状のばね10の両端には磁石30としての永久磁石が配置されている。磁石30により螺旋状のばね10が着磁され、螺旋状のばね10が外部からの圧力を受けて変動磁場を効率良く発生させることができる。磁石30が螺旋ばねの両端に配置されているため、その磁石30によりバイアスが加わり大きな変動磁場を生じさせるとも考えられる。また、巻線コイル21は螺旋状のばね10の内側に同軸上に配置されている点は第4実施形態と共通しているところ、螺旋状のばね10の各端間の距離が巻線コイル21のコイルの高さと略同一となっている。そのため、螺旋状のばね10が外部からの圧力により圧縮されると、同時に巻線コイル21が変動磁場中で変形して変位する。従って、巻線コイル21は、螺旋状のばね10が外部からの圧力を受けることで生じる変動磁場を電気に変換すると共に、巻線コイル21が磁場中で変位することにより誘導起電力が生じる。

【0028】
第5実施形態では、螺旋状のばね10の各端に磁石30が配置されているが、磁石30がなくても、螺旋状のばね10が外部圧力を受けて変動磁場を発生し、その変動磁場中で巻線コイル21が変形するので、巻線コイル21には誘導起電力が生じる。

【0029】
(第6実施形態)
図6は、第2実施形態の変形例としての第6実施形態を説明するための図である。第6実施形態に係る発電装置1は、巻線コイル21が螺旋状のばね10の外側に同軸上に設けられているだけでなく、巻線コイル22が螺旋状のばね10の内側で螺旋状のばね10の軸と交差、好ましくは直交するように設けられている。第1実施形態乃至第5実施形態では巻線コイルは一つであったが、第6実施形態のように複数の巻線コイルを設け、巻線コイル21,22の軸が互いに交差、好ましくは直交するように設けられてもよい。複数の巻線コイル21,22の各軸が交差するように、複数の巻線コイル21,22を螺旋状のばね10の内側や外側に設ける。すると、螺旋状のばね10に外部から加わる圧力が、螺旋状のばね10の軸方向に沿っていない場合、例えば、横揺れの圧力や振動圧である場合であっても、変動磁場の各軸の成分に対応して電気に変換することができる。よって、任意の方向の振動を受けることにより一層効率的に発電することができる。特に、螺旋状のばね10として所謂ねじりばねが用いられるとよい。

【0030】
また、巻線コイル21,22の何れか一方又は双方の軸に対応するように、磁石31,32の対をそれぞれ設けるようにして、変動磁場が生じる方向を制御するようにしてもよい。

【0031】
(導体としての巻線コイルの配置に関するその他の実施形態)
第1乃至第6実施形態では特に発電方法に注目して、螺旋状のばね10に外部からの圧力が加わることで変動磁場を生じさせ、この変動磁場を導体20としての巻線コイル21により電気に変換する手法、さらに、導体20が磁場中を変形して変位することにより導体20に誘導起電力が生じる重畳的な手法、磁石30としての永久磁石や電磁石が巻線コイル21へ出し入れされることにより生じる変動磁場をも導体20としてのコイル導体で電気に変換する手法を説明している。

【0032】
コイル導体としては図1乃至図5以外に示すような形態以外に各種考えられる。図7及び図8はその他の実施形態として巻線コイルの配設の形態を説明するための図である。図7に示す形態では、巻線コイル21として絶縁被覆した導体を用い、螺旋状のばね10に直接巻き付けて設けられている。螺旋状のばね10に外部からの圧力が加わると、螺旋状のばね10がその内側、外側の一方が圧縮され他方が引っ張られて、変動磁場を生じるわけであるが、変動磁場は螺旋状のばね10に近い方がその変動磁場が大きく変動することが想定されるので、出来るだけ近い領域に、変動磁場を電気に変換する導体としての巻線コイル21を配置するためである。

【0033】
また、図6に示す巻線コイルの配設の形態を次のように改良してもよい。図6では、巻線コイル22は、螺旋状のばね10の中空内に完全に納められているが、巻線コイル22の一つの巻きを螺旋状のばね10の軸方向にはみ出すように設けてもよい。すなわち、巻線コイル22は、螺旋状のばね10の軸と交差する方向に軸が向き、螺旋状のばね10の上下の一方から、螺旋状のばね10の中空部を通って螺旋状のばね10の上下の他方を経由し、螺旋状のばね10の上下の他方の外側で折り返し、螺旋状のばね10の中空部を通って螺旋状のばね10の上下の一方に至る一巻を、繰り返すことにより設けられる。螺旋状のばね10に外部からの圧力が加わった際に生じる変動磁場の変化量が、巻線コイル22を設けた領域で大きい場合に有効である。

【0034】
図8に示す形態では、巻線コイル21の軸が、螺旋状のばね10の軸に対してねじれた位置で交差する位置に偏在している。螺旋状のばね10による変動磁場がこの偏在した領域で大きく変化する場合は、この配置手法が効率良く電気に変換できる。この形態では、螺旋状のばね10として所謂ねじりばねが用いられる場合に好適である。

【0035】
巻線コイル21に限らず、螺旋状のばね10に外部からの圧力が加わることで出来るだけ変動磁場が大きく変化する領域に、導体20や巻線コイルを配設するとよい。すると、振動エネルギーが電気エネルギーに出来るだけ効率良く変換できるからである。

【0036】
(螺旋状のばねの形状に関するその他の実施形態)
第1乃至第6実施形態では、螺旋状のばね10は、所定のピッチで螺旋状に巻かれた両端を備えており、各端に対して外部からの圧力が直接加わる形状を有している。外部からの圧力が直線状に螺旋状のばね10に加わる場合にはこのような形状が好ましいが、外部からの圧力としては回転しながら加わる場合も想定される。そこで、外部からの圧力の加わり方に応じて螺旋状のばね10の形状を選定することができる。

【0037】
図9は、その他の実施形態として螺旋状のばねが異なる形状を有する実施形態を示す図である。螺旋状のばね10が、螺旋状の本体部10aと、その本体部10aの一端から直線状に延びる延出部10bと、本体部10aの他端から直線状に延びる延出部10cとを備え、延出部10bと延出部10cとが異なった方向に延びている。延出部10bと延出部10cとの間で回転トルクが生じるような圧力や振動が加わっていると、螺旋状のばね10の本体部10aに引っ張り又は圧縮の応力が加わるため透磁率が変化し、螺旋状のばね及びその周囲に変動磁場が生じる。よって、この変動磁場が巻線コイル21により電気に変換される。巻線コイル21の配設形態は、図7に示すような形態を示しているが、その他の実施形態の場合であってもよい。

【0038】
(螺旋状のばねの材質)
次に、前述した螺旋状のばね10について具体的に説明する。螺旋状のばね10は、磁性材料、好ましくは強磁性材料で形成されていることが好ましい。もっとも、強磁性材料が磁化されていれば、強磁性体が逆磁歪効果を全く有さないか、或いは、逆磁歪効果を有してもその効果が小さい場合にも適用することができる。

【0039】
磁歪効果を全く有さない強磁性材料としては、例えば、Fe15Ni85合金のようなFeNi合金が挙げられる。磁歪効果の小さい、例えば、強磁性体の寸法変化率λが50ppm未満、さらには20ppm未満、さらには10ppm未満程度の強磁性体としては、例えば、純Fe(λ=6ppm)が挙げられる。

【0040】
ここで、螺旋状のばね10を磁歪材料で構成する場合、磁歪材料に加わる磁場による磁歪材料の寸法変化率λ≡Δl/l(ここでlは磁歪材料の寸法変化する前の磁歪材料の長さである)が大きいほど好ましい。Δl/lは、Feで6ppm、Fe-Co合金で100ppm、鉄ガリウム合金で300ppm、ターフェノールDで2000ppm程度の値である。

【0041】
強磁性材料が逆磁歪効果を有する場合は、強磁性材料を磁化させなくても、螺旋状のばねを振動させるだけで、逆磁歪効果により変動磁場が発生する。逆磁歪効果が大きいと、変動磁場も大きく変化するので、変換される電力量が増大する。強磁性体の寸法変化率λ(ppm)は、例えば50以上であることが好ましく、強磁性体の寸法変化率λは、100ppm以上であることがより好ましく、1000ppm以上であることが更に好ましい。

【0042】
磁歪材料の弾性定数(ヤング率)は、磁歪材料に加わる磁場による磁歪材料の寸法変化率に影響する要素であり、Feで200GPa、Fe-Co合金で180GPa、鉄-ガリウム合金で70GPa、鉄-コバルト-バナジウム合金で200GPa、ターフェノールDで30GPa程度である。

【0043】
強磁性材料としては、磁化され易く磁歪効果を有することから、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ネオジウム、サマリウム、テルビウム及びディスプロシウムのうち少なくとも一種類の金属を含むことが好ましい。

【0044】
特に、強磁性材料としては、例えばFe、Coの何れか一方又は双方を含む合金であることが好ましく、特に、FeとCoの合金であることが更に好ましい。

【0045】
(用いられる振動)
螺旋状のばねに加わる振動は、周期的な振動でも、突発的で非周期的な振動でもよい。周期的な振動としては、例えば、各種の機械類が動作中に発生する振動が挙げられる。
他方、非周期的な振動としては、例えば、人や動物が地面や床面を歩くときに発生する振動が挙げられる。

【0046】
螺旋状のばね10に加わる振動方向が一意に決定される場合には、その方向が螺旋状のばね10の軸方向となるように配置すればよい。一方、自然界に存在するような不規則な振動に対しては振動方向に沿って螺旋状のばねの軸を配置することが難しいので、例えば図6を参照して説明したように、複数の巻線コイル21、22を備えた発電装置1を採用するとよい。風の通過に伴う不規則な空気の振動、水の流れに伴う水の振動、湖や海の表面に発生する波などの各種の振動に対し本発明の各実施形態が適用される。

【0047】
また、振動としては、直線的に往復運動するタイプと、回転運動するタイプとがある。直線運動のタイプでは、図1乃至図8に示すような上下プレート52を介在して螺旋状のばねに振動が伝達される。一方、回転運動するタイプでは、図9に示すような本体部10a及び延出部10b,10cを備えた螺旋状のばね10に伝達される。

【0048】
螺旋状のばね10のうち、軸のまわりにねじりモーメントを受けて、主に、中心軸方向(長手方向)に垂直に変形するように使用される、所謂「ねじりばね」や「トーションばね」と呼ばれる螺旋状のばねは、同じ重量で保存できるエネルギーが大きいため、軽量に設計することができるという観点から好ましい。

【0049】
(電子機器)
本発明の各実施形態に係る発電装置を用いた電子機器について説明する。図10は、本発明の実施形態に係る電子機器のブロック構成図である。電子機器5は、発電装置1と、発電装置1における導体20、好ましくは巻線コイル21のリード部21bから出力された電力により作動する負荷としてのユニット6とを備える。各ユニット6は、発電装置1により小さな電力で瞬間的に動作する電子部品である。電子部品としては、例えば橋、トンネルなどの各種の土木建築物などの人工物に設置され、自然界からの振動又は人工的な振動の入力を受け、或る所定の振動を超えると、外部に無線でその状態を送信する機能を有する。これにより、電子機器5に有線や無線による電力供給をすることなく、作動させることもできる。なお、一台の発電装置1では電流、電圧が不足する場合には、発電装置1を直列、並列などに接続して複数台用いればよい。

【0050】
以上本発明の各種実施形態について説明したが、第1実施形態で説明した基本的なコンセプトを備えていれば、螺旋状のばね10の素材の太さ、螺旋状のばね10の直径、長さについて、また導体20の太さや長さ、また巻線コイル21で用いる素線の太さ、巻線コイル21の直径、長さについては、必要とする出力の大きさに応じて適宜設定することができる。その際、巻線コイル21に接続される負荷40とのインピーダンスマッチングをとることが好ましい。
【実施例1】
【0051】
鋼鉄線ばね(Fe60C)を素材として、ばね直径10mmφ、ばね長さ60mm、ばね線の太さ1mmとして螺旋状のばね10を作製した。図3に示すように各螺旋状のばね10の外側に、太さ0.2mmのエナメル線を直径14mmφとして巻線高さ140mmまで巻いて巻線コイル21を設けた。その際、螺旋状のばね10と巻線コイル21とが同軸上になりかつ、螺旋状のばね10と巻線コイル21とは高さ方向の下端が同じになるようにした。巻線コイル21の抵抗は約80Ωであった。磁石30として10mmφ×2mmtのネオジウム磁石を用いて、図3に示すように、上下に磁石30を配置した。螺旋状のばね10の上方から直動速度600mm/sで往復運動した。実施例1では、螺旋状のばね10の上端に設けた磁石30の移動量ΔLを10mm~33mmまで変化させた。この移動量ΔLだけ螺旋状のばね10が変形していることになる。螺旋状のばね10が移動量ΔLだけ変形するように強制的に振動させ、巻線コイル21からの出力を測定した。その際、負荷抵抗として1MΩとした。
【実施例1】
【0052】
図11は、実施例1の結果に関し、(a)乃至(e)は螺旋ばねの変形量が20mm,21mm,28mm,30mm,33mmとしたときの、巻線コイル21からの出力結果を示す図である。横軸は時間(s)であり、縦軸は発電電圧(V)である。磁石30の移動、すなわち螺旋状のばね10の変形に合わせて時間的に発生電圧が変化している。
【実施例1】
【0053】
図12は、実施例1の結果に関し、螺旋状のばね10の変形量に対する発電電圧を示す図である。横軸は螺旋ばね10の変形量(mm)であり、縦軸は発生電圧Vp-p(V)である。図から、螺旋状のばね10の変形量を大きくしていくと発生電圧Vp-pが大きくなることが分かる。螺旋状のばね10の変形量を大きくしていくと、ばねの一巻同士が軸方向で接触している割合が大きくなり、変動磁場が大きく生じるためと考えられる。
【実施例2】
【0054】
ピアノ線ばね(SWP-B)、鋼鉄線ばね(Fe60C)、Fe49Co49、Fe30Co70の各素材として、ばね直径10mmφ、ばね長さ20mm、ばね線の太さ1mmとして螺旋状のばね10を作製した。そして、図3に示すように各螺旋状のばね10の外側に、太さ0.2mmのエナメル線を直径14mmφとして巻線高さ140mmまで巻いて巻線コイル21を設けた。その際、螺旋状のばね10と巻線コイル21とが同軸上になりかつ、螺旋状のばね10と巻線コイル21とは高さ方向の下端が同じになるようにした。巻線コイル21の抵抗は約80Ωであった。磁石30として10mmφ×2mmtのネオジウム磁石を用いて、図3に示すように、上下に磁石30を配置した場合と、上下何れかだけに磁石30を配置した場合と、磁石無の場合とで、それぞれ上方から直動速度600mm/sで往復運動した。巻線コイルからの出力が最大となるまで螺旋状のばね10を変形させた。移動量は±10mm程度であった。
【実施例2】
【0055】
【表1】
JP2015154681A_000003t.gif
【実施例2】
【0056】
表1は、実施例2の結果を示す表である。表1から、螺旋状のばね10の素材として何れを用いても、磁石を上下に配置することにより、発電効率が大きくなることが分かる。これは、磁石を配置することにより、螺旋状のばねが着磁され、螺旋状のばねが外部からの振動圧を受けて変動磁場を効率良く発生したためと考えられる。
【実施例2】
【0057】
なお、実施例2では、螺旋状のばね10が巻線コイル21よりも短い。そこで、螺旋状のばね10を設置しないで、巻線コイル21に対して上側の磁石30を往復させたときの巻線コイル21からの発生電圧Vp-pを測定したところ、0.097(V)であった。この値は、表1における「発電量(Vpp)磁石上のみ」の結果と比べて一桁以上小さい。
【符号の説明】
【0058】
1:発電装置
5:電子部品
6:ユニット
10:螺旋状のばね
10a:本体部
10b,10c:延出部
20:導体
21,22:巻線コイル
21a:螺旋部
21b:リード部
30,31,32:磁石(永久磁石)
40:負荷
51:ホルダー
52:ステージ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11