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明細書 :放射性核種を溶媒抽出するための組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-200552 (P2015-200552A)
公開日 平成27年11月12日(2015.11.12)
発明の名称または考案の名称 放射性核種を溶媒抽出するための組成物
国際特許分類 G21F   9/06        (2006.01)
B01D  11/04        (2006.01)
FI G21F 9/06 581H
B01D 11/04 B
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2014-079051 (P2014-079051)
出願日 平成26年4月8日(2014.4.8)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成25年11月27日 日本原子力学会東北支部 第37回研究交流会において公開 平成26年3月3日 中部電力株式会社 原子力に係る公募研究の募集において公開 平成26年3月6日 理工学に関する調査研究成果報告会において公開 平成26年4月4日 金属材料研究所共同利用Webシステム(http://imr-kyodo.imr.tohoku.ac.jp/application/)において公開
発明者または考案者 【氏名】山村 朝雄
【氏名】白崎 謙次
【氏名】永井 満家
【氏名】坂本 清志
出願人 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100127926、【弁理士】、【氏名又は名称】結田 純次
【識別番号】100140132、【弁理士】、【氏名又は名称】竹林 則幸
審査請求 未請求
テーマコード 4D056
Fターム 4D056AB10
4D056AC07
4D056AC15
4D056AC27
要約 【課題】安全かつ環境負荷の小さい、さらに放射性廃棄物の減容化を実現する、水性溶液中の放射性核種を溶媒抽出するための組成物を提供する。
【解決手段】ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルを含む希釈剤、該希釈剤に溶解する抽出剤、および場合により溶解補助剤を含有する溶媒抽出のための組成物である。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルを含む希釈剤、該希釈剤に溶解する抽出剤、および場合により溶解補助剤を含有する、放射性同位元素を含む水性溶液から核分裂生成物、超ウラン元素または放射化物である放射性核種を溶媒抽出するための組成物。
【請求項2】
ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルが飽和化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルが不飽和化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ハイドロフルオロカーボンがC5210である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
抽出剤が、以下
トリブチルリン酸、
n-オクチル(フェニル)-N、N-ジイソブチルカルバモイルメチルホスフィンオキシド、
未置換の芳香族フラグメントを有するクラウンエーテル、
直鎖および/または分岐鎖構造のアルキルおよび/またはヒドロキシアルキル基で置換された芳香族フラグメントを有するクラウンエーテル、
未置換のシクロヘキサンフラグメントを有するクラウンエーテル、
直鎖および/または分岐鎖構造のアルキルおよび/またはヒドロキシアルキル基で置換されたシクロヘキサンフラグメントを有するクラウンエーテル、
置換された-O-CHR-CH2O-のフラグメント(式中、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキルまたはヒドロキシアルキルである。)を有するクラウンエーテル、ならびに
カリックスアレーンクラウンエーテル
からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
抽出剤がジベンゾ-18-クラウン-6、ジベンゾ-21-クラウン-7、ジベンゾ-24-クラウン-8、ジベンゾ-30-クラウン-10、ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、ジシクロヘキサノ-21-クラウン-7、ジシクロヘキサノ-24-クラウン-8、ジ-tert-ブチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、ジ-イソオクチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、ビス-4,4’(5’)[1-ヒドロキシヘプチル]ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、カリックス[4]-ビス-1,2-ベンゾクラウン-6、カリックス[4]アーレーン-ビス[4,(4’),(5’)-tert-オクチルベンゾ-クラウン-6]またはカリックス[4]アーレーン-ビス[4,(4’),(5’)-(2-エチルヘキシル)ベンゾ-クラウン-6]である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
希釈剤がハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルと炭化水素類または塩素化炭化水素類との共沸混合物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
希釈剤がハイドロフルオロカーボンとヘプタンまたはジクロロエチレンとの共沸混合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
放射性核種が放射性ストロンチウムまたは放射性セシウムである、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9に記載の組成物に放射性同位元素を含む水性溶液を接触させ、核分裂生成物、超ウラン元素または放射化物である放射性核種を溶媒抽出させることからなる、放射性核種の分離回収方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性同位元素(RI)を含む水性溶液から放射性核種を溶媒抽出するための組成物であって、抽出剤の希釈剤としてハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルを用いる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済核燃料の再処理および放射性廃棄物処理等における液中からの放射性核種の分離方法として、溶媒抽出法があり(特許文献1)、その1つとしてピューレックス法と呼ばれる溶媒抽出法が知られている。ピューレックス法は、抽出剤としてリン酸トリブチル(TBP)を使用し、希釈剤としてドデカンを使用する、現在一般的に実用化されている溶媒抽出法である。抽出剤として使用されるTBPは分離性能に優れるものの、化学的に不安定で、塩析剤として使用される硝酸との反応により爆発する危険があり、実際過去に事故も起こしている。また、希釈剤であるドデカンは可燃性であることから、TBPとの使用はより危険である。
【0003】
また、ドデカン、1-オクタノール、ケロシン、ヘプタン、クロロホルム等の溶媒抽出系に一般的に使用される希釈剤は、総じて可燃性および/または毒性が高いため、環境への負荷も大きい。
【0004】
さらに、溶媒抽出法において溶媒を効率的に再生、再利用できることが重要であるが、特許文献1に記載の方法で使用されるようなポリフッ素化テロマー系アルコール、1,1,7-トリヒドロデカフルオロ-1-ヘプタノールは沸点が170℃と高いことから、再生、再利用のコストが高くなるという問題もある。
【0005】
これに対して、ゼオライト、不溶性フェロシアン化物等の固体抽出剤を用いた放射性核種の分離方法も知られているが、この方法では、爆発等の危険はないものの、その後の減容化が困難となる固体の放射性廃棄物を生じることから、放射性核種の分離方法として十分な解決法とはなっていない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2008-512675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、放射性同位元素(RI)を含む水性溶液中の放射性核種を溶媒抽出するための組成物であって、安全かつ環境負荷の小さい、さらに放射性廃棄物の減容化を実現する上記組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、抽出剤の希釈剤としてハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルを使用することにより上記目的を達成することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルを含む希釈剤、該希釈剤に溶解する抽出剤、および場合により溶解補助剤を含有する、放射性同位元素を含む水性溶液から核分裂生成物、超ウラン元素または放射化物である放射性核種を溶媒抽出するための組成物。
2.ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルが飽和化合物である、1.に記載の組成物。
3.ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルが不飽和化合物である、1.に記載の組成物。
4.ハイドロフルオロカーボンがC5210である、1.に記載の組成物。
5.抽出剤が、以下
トリブチルリン酸、
n-オクチル(フェニル)-N、N-ジイソブチルカルバモイルメチルホスフィンオキシド、
未置換の芳香族フラグメントを有するクラウンエーテル、
直鎖および/または分岐鎖構造のアルキルおよび/またはヒドロキシアルキル基で置換された芳香族フラグメントを有するクラウンエーテル、
未置換のシクロヘキサンフラグメントを有するクラウンエーテル、
直鎖および/または分岐鎖構造のアルキルおよび/またはヒドロキシアルキル基で置換されたシクロヘキサンフラグメントを有するクラウンエーテル、
置換された-O-CHR-CH2O-のフラグメント(式中、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキルまたはヒドロキシアルキルである。)を有するクラウンエーテル、ならびに
カリックスアレーンクラウンエーテル
からなる群より選択される、1.~4.のいずれかに記載の組成物。
6.抽出剤がジベンゾ-18-クラウン-6、ジベンゾ-21-クラウン-7、ジベンゾ-24-クラウン-8、ジベンゾ-30-クラウン-10、ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、ジシクロヘキサノ-21-クラウン-7、ジシクロヘキサノ-24-クラウン-8、ジ-tert-ブチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、ジ-イソオクチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、ビス-4,4’(5’)[1-ヒドロキシヘプチル]ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、カリックス[4]-ビス-1,2-ベンゾクラウン-6、カリックス[4]アーレーン-ビス[4,(4’),(5’)-tert-オクチルベンゾ-クラウン-6]またはカリックス[4]アーレーン-ビス[4,(4’),(5’)-(2-エチルヘキシル)ベンゾ-クラウン-6]である、5.に記載の組成物。
7.希釈剤がハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルと炭化水素類または塩素化炭化水素類との共沸混合物である、1.~6.のいずれか1項に記載の組成物。
8.希釈剤がハイドロフルオロカーボンとヘプタンまたはジクロロエチレンとの共沸混合物である、7.に記載の組成物。
9.放射性核種が放射性ストロンチウムまたは放射性セシウムである、1.~8.のいずれかに記載の組成物。
10.1.~9.に記載の組成物に放射性同位元素を含む水性溶液を接触させ、核分裂生成物、超ウラン元素または放射化物である放射性核種を溶媒抽出させることからなる、放射性核種の分離回収方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、不燃性かつ低毒性、さらに化学的安定性(放射線耐性)や有機物の溶解性にも優れた放射性核種の溶媒抽出組成物を提供することができ、また、特定の放射性核種を選択的に抽出することができる。
さらに、希釈剤として使用されるハイドロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルは、簡便な蒸留精製プロセスにより再生、再利用が可能であり、放射性物質のみを分離でき、埋蔵すべきガラス固化体とする放射性廃棄物を減容できる。
また、希釈剤として使用されるハイドロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルは、オゾン破壊係数がゼロであることから、地球環境に優しい溶媒抽出組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DCH18C6)によるアルカリ金属、アルカリ土類金属の抽出試験の結果を示すグラフである。
【図2】カリックス[4]-ビス-1,2-ベンゾクラウン-6(Calix[4])によるアルカリ金属、アルカリ土類金属の抽出試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。

【0013】
本発明の組成物において、希釈剤として使用されるハイドロフルオロカーボン(HFC)は、飽和または不飽和であってよい、炭素数3~9、好ましくは4~8の、炭素、フッ素および水素原子のみを含む化合物を意味する。

【0014】
本発明において使用されるハイドロフルオロカーボンの具体例としては、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3,4-へプタフルオロシクロペンタン、1H-パーフルオロヘプタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロブテン等を挙げることができる。
これらのハイドロフルオロカーボンの中では、抽出効率の点、および沸点が30℃~100℃であり、引火点がなく、また毒性が低いという点から、C5210、C455、c-C537、またはC7HF15等が好ましく、特に好ましくはC5210である。

【0015】
本発明の組成物において、希釈剤として使用されるハイドロフルオロエーテル(HFE)は、飽和または不飽和であってよい、炭素数3~9、好ましくは4~8の、炭素、水素、フッ素、酸素原子よりなるエーテル結合を有する化合物を意味する。

【0016】
本発明において使用されるハイドロフルオロエーテルの具体例としては、1,1,1-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、メトキシパーフルオロヘプテン等を挙げることができる。
これらのハイドロフルオロエーテルの中では、抽出効率の点、引火点がなく、また毒性が低いという点からメトキシパーフルオロヘプテンが好ましい。

【0017】
上記のハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明において、希釈剤は、上記のハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルと、炭化水素類、塩素化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類およびこれらの混合物等から選ばれる有機溶剤との混合物でもよい。ここで、炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン等、塩素化炭化水素類としては、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化メチレン(ジクロロメタン)等、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブタンジオール、エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等、ケトン類としてはアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、DAA(ジアセトンアルコール)等、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。好ましくは、炭化水素類、塩素化炭化水素類であり、特に好ましくはヘプタン、例えばn—ヘプタン、ジクロロエチレン、例えばトランス-1,2ジクロロエチレンである。

【0018】
混合する上記有機溶剤の割合は、50質量%を超えない範囲で適宜設定することができるが、3~40質量%の範囲が好ましく、ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルと共沸混合物を形成する割合が特に好ましい。ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルと共沸混合物となる割合は有機溶媒の種類によって異なるが、例えば1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタンとの混合物において、n-ヘプタン7質量%、トランス-1,2ジクロロエチレン38質量%である。

【0019】
これらのハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルは、既知の方法により調製することができるが、通常市販されているものを使用してもよいし、例えば、特表平5-508418号公報に記載の方法等を使用して製造してもよい。

【0020】
本発明において好適に使用される希釈剤としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製バートレル(登録商標)XF、バートレル(登録商標)MCA、バートレル(登録商標)XH、バートレル(登録商標)スープリオンTM、バートレル(登録商標)サイオンTMが挙げられる。

【0021】
本発明の組成物において、抽出剤は、場合により溶解補助剤を用いてハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルである希釈剤に溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、未置換の芳香族フラグメントを有するクラウンエーテル、例えば、ジベンゾ-18-クラウン-6(DB18C6)、ジベンゾ-21-クラウン-7(DB21C7)、ジベンゾ-24-クラウン-8(DB24C8)、ジベンゾ-30-クラウン-10(DB30C10)、直鎖および/または分岐鎖構造のアルキルおよび/またはヒドロキシアルキル基で置換された芳香族フラグメントを有するクラウンエーテル、例えば、ジ-tert-ブチルジベンゾ-18-クラウン-6(DtBuDB18C6)、ジ-イソオクチルジベンゾ-18-クラウン-6(DIODB18C6)、ビス-4,4’(5’)[1-ヒドロキシ-2-エチルヘキシル]ジベンゾ-18-クラウン-6(クラウンXVII)、未置換のシクロヘキサンフラグメントを有するクラウンエーテル、例えば、ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DCH18C6)、ジシクロヘキサノ-21-クラウン-7(DCH21C7)、ジシクロヘキサノ-24-クラウン-8(DCH24C8)、直鎖および/または分岐鎖構造のアルキルおよび/またはヒドロキシアルキル基で置換されたシクロヘキサンフラグメントを有するクラウンエーテル、例えば、ジ-tert-ブチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DtBuDCH18C6)、ジ-イソオクチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DIODCH18C6)、ビス-4,4’(5’)[1-ヒドロキシヘプチル]ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(クラウンXVI)、置換された-O-CHR-CH2O-のフラグメント(式中、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキルまたはヒドロキシアルキルである。)を有するクラウンエーテル、例えば、(R,R)-2,12-ビス(ヒドロキシメチル)-2,12-ジメチル-18-クラウン-6、trans-2,9-ビス(ヒドロキシメチル)-2,9-ジメチル-18-クラウン-6、ならびにカリックスアレーンクラウンエーテル、例えば、カリックス[4]-ビス-1,2-ベンゾクラウン-6(Calix[4])、カリックス[4]アーレーン-ビス[4,(4’),(5’)-tert-オクチルベンゾ-クラウン-6](BOBCalixC6)、カリックス[4]アーレーン-ビス[4,(4’),(5’)-(2-エチルヘキシル)ベンゾ-クラウン-6]である。

【0022】
本発明において、抽出剤はまた、トリブチルリン酸(TBP)、n-オクチル(フェニル)-N、N-ジイソブチルカルバモイルメチルホスフィンオキシド(CMPO)等が挙げられる。

【0023】
本発明の組成物において、抽出剤は、好ましくは、DB18C6、DB21C7、DB24C8、DB30C10、DCH18C6、DCH21C7、DCH24C8、DtBuDCH18C6、DIODCH18C6、クラウンXVI、Calix[4]、BOBCalixC6またはカリックス[4]アーレーン-ビス[4,(4’),(5’)-(2-エチルヘキシル)ベンゾ-クラウン-6]であり、特に好ましくは、DCH18C6、DtBuDCH18C6、Calix[4]である。

【0024】
上記の抽出剤は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

【0025】
本発明の組成物中における抽出剤の濃度は、特に限定されるものではないが、0.005~0.5Mであり、好ましくは0.01~0.1M、特に好ましくは0.02Mである。

【0026】
本発明の組成物において、場合により含まれる溶解補助剤は、希釈剤であるハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルへの抽出剤の溶解を補助するもので、例えば、パーフルオロ-3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-二酸、トリブチルリン酸(TBP)、1,2-ジクロロエタン、n-オクチル(フェニル)-N、N-ジイソブチルカルバモイルメチルホスフィンオキシド(CMPO)、フルオロテトラエチレングリコールであり、好ましくは、パーフルオロ-3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-二酸、TBP、1,2-ジクロロエタン、CMPOであり、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

【0027】
本発明の組成物中における溶解補助剤の濃度は、特に限定されるものではないが、0~1Mであり、好ましくは0.001~0.1M、特に好ましくは0.02Mである。

【0028】
本発明において、放射性同位元素(RI)を含む水性溶液とは、使用済核燃料の再処理、放射性廃棄物処理、デブリ処理、事故等により発生した、核分裂生成物、超ウラン元素または放射化物である放射性核種を含む、水のみを溶媒とする溶液、または主として水を溶媒とする溶液である。本発明において、放射性同位元素(RI)を含む水性溶液としては、例えば、高レベル放射性廃液、低レベル放射性廃液または汚染水が挙げられ、高レベル放射性廃液とは、例えば、使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムとウランを分離した後に残る廃液であり、低レベル放射性廃液とは、例えば、放射化物を含む廃液や、分離により核燃料物質や超ウラン元素が除去された放射性同位元素(RI)を含む廃液であり、汚染水とは、原子力発電所等の事故に伴って放射性核種により汚染された水全般、例えば、核燃料物質や超ウラン元素、核分裂生成物や放射化物を含む淡水もしくは海水である。

【0029】
また、放射性同位元素(RI)を含む水性溶液は、酸性溶液であってよく、中性溶液であってもよい。

【0030】
本発明において、核分裂生成物とは、例えば、質量数が72~161の放射性核種であり、例えば、ストロンチウム90、セシウム137、セリウム144、プロメチウム147、モリブデン99、ジルコニウム95、ルビジウム106、ヨウ素131等である。

【0031】
本発明において、超ウラン元素とは、例えば、キュリウム242~244、アメリシウム241~243、プルトニウム238~241等である。

【0032】
本発明において、放射化物とは、例えば、亜鉛65、ニッケル63、コバルト58、コバルト60、鉄59、マンガン54等である。

【0033】
本発明において溶媒抽出される放射性核種は、特に、放射性ストロンチウムまたは放射性セシウムである。

【0034】
本発明における放射性核種の分離回収方法は、抽出剤、希釈剤、および場合により溶解補助剤を含む組成物を調製し、得られた組成物に放射性同位元素(RI)を含む水性溶液を接触させ、組成物中に核分裂生成物、超ウラン元素または放射化物である放射性核種を抽出することからなり、抽出工程を10回程度行うことにより放射性核種の濃度を抽出前の1/1000程度に低下させる。回収した放射性核種は蒸留により濃縮分離し、逆抽出は行わない。

【0035】
本発明において、抽出剤を選択することにより、放射性核種を選択的に抽出することができる。
例えば、セシウムは、セシウムイオンの大きさである1.7オングストロームに近い空孔サイズを有するクラウンエーテル、具体的には21-クラウン-7、24-クラウン-8の誘導体、例えばジベンゾ-21-クラウン-7(DB21C7)を用いるか、もしくはセシウムイオンを包み込む構造のカリックスアレーンクラウンエーテル、例えばカリックス[4]-ビス-1,2-ベンゾクラウン-6(Calix[4])を用いることにより、選択的に抽出することができる。また、ストロンチウムは、ストロンチウムイオンの大きさである1.2オングストロームに近い空孔サイズを有するクラウンエーテル、具体的には18-クラウン-6の誘導体、例えばジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DCH18C6)、ジ-tert-ブチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DtBuDCH18C6)を用いることにより、選択的に抽出することができる。

【0036】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
本実施例および比較例には、以下の希釈剤を使用した。
●1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン100質量%・・・三井・デュポンフロロケミカル株式会社製バートレル(登録商標)XF
●1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン93質量%とn-ヘプタン7質量%との混合溶剤・・・三井・デュポンフロロケミカル株式会社製バートレル(登録商標)XH
●1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン62質量%とトランス-1,2ジクロロエチレン38質量%との混合溶剤・・・三井・デュポンフロロケミカル株式会社製バートレル(登録商標)MCA
実施例で使用したその他の試薬は、和光純薬工業株式会社から入手した。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
模擬廃液として、水100mL中に、硝酸ストロンチウム212mgを溶解し、0.01Mストロンチウム水溶液を調製した。次に、抽出液としてバートレル(登録商標)MCA 50mLにジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DCH18C6)372mg(0.02M)とパーフルオロ-3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-二酸410mg(0.02M)を溶解して調製した。水溶液2mLと抽出液2mLを分液漏斗に投入し、溶媒抽出を行った。その後、水相のストロンチウム濃度を原子発光分光分析(島津製作所製ICPS-7500を使用)により測定し、分配比を算定した。さらに溶媒抽出を10回繰り返した後、再度水相のストロンチウム濃度を測定した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0039】
(実施例2)
実施例1のDC18C6の代わりに、ジ-tert-ブチルジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DtBuDCH18C6)を用いて実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【実施例】
【0040】
(実施例3)
実施例1(抽出剤:DCH18C6)のバートレル(登録商標)MCAの代わりに、バートレル(登録商標)XHを用いて実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【実施例】
【0041】
(実施例4)
実施例2(抽出剤:DtBuDCH18C6)のバートレル(登録商標)MCAの代わりに、バートレル(登録商標)XHを用いて実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【実施例】
【0042】
(実施例5)
模擬廃液として、水100mL中に、硝酸セシウム195mgを溶解し、0.01Mセシウム水溶液を調製した。次に、抽出液としてバートレル(登録商標)MCA 2mLにカリックス[4]-ビス-1,2-ベンゾ-クラウン-6(Calix[4])37mg(0.02M)およびパーフルオロ-3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-二酸88mg(0.10M)およびオクチルフェニルCMPO 16mg(0.02M)を溶解して調製した。水溶液2mLと抽出液2mLを分液漏斗に投入し、溶媒抽出を行った。その後、水相のセシウム濃度を原子吸光分光分析(analytikjena製contrAA 700を使用)により測定し、分配比を算定した。さらに溶媒抽出を10回繰り返した後、再度水相のセシウム濃度を測定した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0043】
(比較例1)
実施例1の抽出液をバートレル(登録商標)MCA単独とした以外は実施例1と同様の操作をした。結果を表1に示す。
【実施例】
【0044】
(比較例2)
実施例1の抽出液をバートレル(登録商標)XH単独とした以外は実施例1と同様の操作をした。結果を表1に示す。
【表1】
JP2015200552A_000002t.gif
【実施例】
【0045】
(実施例6)
ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6(DCH18C6)によるアルカリ金属、アルカリ土類金属の抽出試験を行った。
バートレル(登録商標)XFおよびトリブチルリン酸(TBP)(体積比7:3)に溶解された20mMのDCH18C6の抽出液2mLと、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する模擬廃液2mLを混合し、25±0.01℃にて1時間震盪、約1分間静置した後、水相のアルカリ金属、アルカリ土類金属濃度をセシウムは原子吸光分析(analytikjena製contrAA 700を使用)、その他は原子発光分光分析(島津製作所製ICPS-7500を使用)により測定し、分配比を算定した。結果を図1に示す。
DCH18C6を抽出剤として使用する場合、ストロンチウムが最も抽出された。
【実施例】
【0046】
模擬廃液
0.01Mアルカリ金属を含む模擬廃液
硝酸ナトリウム 42.5mgを50mlの0.1M硝酸水溶液に溶解した液
硝酸カリウム 50.6mgを50mlの0.1M硝酸水溶液に溶解した液
硝酸セシウム 97.5mgを50mlの0.1M硝酸水溶液に溶解した液
0.01Mアルカリ土類金属を含む模擬廃液
硝酸カルシウム四水和物 118mgを50mlの0.1M硝酸水溶液に溶解した液
硝酸ストロンチウム 106mgを50mlの0.1M硝酸水溶液に溶解した液
【実施例】
【0047】
(実施例7)
カリックス[4]-ビス-1,2-ベンゾクラウン-6(Calix[4])によるアルカリ金属、アルカリ土類金属の抽出試験を行った。
バートレル(登録商標)XFおよび1,2-ジクロロエタン(体積比1:3)に溶解された5mMのCalix[4]の抽出液2mLと、実施例6と同様に調製したアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する模擬廃液2mLを混合し、25±0.01℃にて1時間震盪、約1分間静置した後、水相のアルカリ金属、アルカリ土類金属濃度をセシウムは原子吸光分析(analytikjena製contrAA 700を使用)、その他は原子発光分光分析(島津製作所製ICPS-7500を使用)により測定し、分配比を算定した。結果を図2に示す。
Calix[4]を抽出剤として使用する場合、セシウムが最も抽出された。
図面
【図1】
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【図2】
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