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明細書 :オリゴヌクレオチド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-130232 (P2016-130232A)
公開日 平成28年7月21日(2016.7.21)
発明の名称または考案の名称 オリゴヌクレオチド
国際特許分類 C07F   9/6512      (2006.01)
C07H  21/02        (2006.01)
C07H  21/04        (2006.01)
C07F   9/6561      (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C07F 9/6512 CSP
C07H 21/02 ZNA
C07H 21/04
C07F 9/6561 Z
C12N 15/00 A
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 55
出願番号 特願2015-149522 (P2015-149522)
出願日 平成27年7月29日(2015.7.29)
新規性喪失の例外の表示 申請有り
優先権出願番号 2015003424
優先日 平成27年1月9日(2015.1.9)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】浅沼 浩之
【氏名】樫田 啓
【氏名】村山 恵司
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4C057
4H050
Fターム 4B024AA01
4B024AA11
4B024CA01
4B024CA11
4B024HA11
4B024HA17
4C057AA18
4C057BB02
4C057DD01
4C057MM02
4C057MM04
4C057MM05
4H050AA01
4H050AA02
4H050AC40
4H050WA17
4H050WA23
要約 【課題】標的とするDNA及びRNAを配列特異的に認識し熱安定性又は光機能に優れた、人工核酸を含むオリゴヌクレオチドの提供。
【解決手段】リン酸ジエステル結合で結合しているオリゴヌクレオチドにおいて、前記オリゴヌクレオチドが式(1)で表される骨格を含む人工核酸のみで構成されているオリゴヌクレオチド。
JP2016130232A_000077t.gif
(Bは骨格中のNで結合するピリミドン又はイミダゾピリミドン構造を持つ塩基、XはO又はS)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
リン酸ジエステル結合で結合しているオリゴヌクレオチドにおいて、
前記オリゴヌクレオチドが式(1)で表される骨格を含む人工核酸のみで構成されているオリゴヌクレオチド。
【化1】
JP2016130232A_000055t.gif
(式(1)中、Bは下記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なってもよい。XはO(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化2】
JP2016130232A_000056t.gif

【請求項2】
リン酸ジエステル結合で結合しているオリゴヌクレオチドにおいて、
前記オリゴヌクレオチドは、リボース環又はデオキシリボース環を持つ核酸及び式(1)で表される骨格を含む人工核酸を含み、且つ式(7)又は式(8)で表される結合を含むオリゴヌクレオチド。
【化3】
JP2016130232A_000057t.gif
(式(1)中、Bは下記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なってもよい。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化4】
JP2016130232A_000058t.gif

【化5】
JP2016130232A_000059t.gif
(式(7)及び式(8)中、Bは前記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なっていても良い。XはO(酸素)又はS(硫黄)のいずれかである。RはH(水素)又はOH(水酸基)である。)
【請求項3】
前記式(1)で表される骨格を含む人工核酸がオリゴヌクレオチドの端部に位置する時、端部部分が式(1-a)、(1-b)、(7-1)又は(8-1)で表される請求項1又は2に記載のオリゴヌクレオチド。
【化6】
JP2016130232A_000060t.gif
(式(1-a)、(1-b)、(7-1)及び(8-1)中、Yは下記式(17)又は(18)から選択される1種である。B、R、Xは前記と同様である。)
【化7】
JP2016130232A_000061t.gif

【請求項4】
前記式(2)~(6)で表される塩基に加え、前記Bが下記式(19)~(26)で表される塩基を含む請求項1~3の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【化8】
JP2016130232A_000062t.gif
(上記式(23)~(26)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および下記式(30)~(51)の光機能性分子、あるいは式(30)~(51)の光機能性分子が結合したアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を表す。)
【化9】
JP2016130232A_000063t.gif

【請求項5】
標的とするDNA又はRNAを選択する工程、
前記標的とするDNA又はRNAと二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチドを設計する工程、
設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程、
を含み、
前記設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程が、式(11)で表される化合物を用い、式(1)で表される骨格のみを含むオリゴヌクレオチドを合成する工程であるオリゴヌクレオチドの製造方法。
【化10】
JP2016130232A_000064t.gif
【化11】
JP2016130232A_000065t.gif
(式(1)中、Bは下記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なってもよい。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化12】
JP2016130232A_000066t.gif

【請求項6】
前記設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程が、
前記式(11)で表される化合物及び式(12)で表される化合物、又は式(13)で表される化合物及び式(14)で表される化合物を用い、式(7)又は式(8)で表される結合を含むオリゴヌクレオチドを合成する工程である請求項5に記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【化13】
JP2016130232A_000067t.gif
【化14】
JP2016130232A_000068t.gif
(式(7)及び式(8)中、Bは前記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なっていても良い。XはO(酸素)又はS(硫黄)のいずれかである。RはH(水素)又はOH(水酸基)である。DMTは式(11)と同様である。)
【請求項7】
前記設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程が、該工程の少なくとも最初及び/又は最後に前記式(11)又は式(13)で表される化合物を用いる請求項6に記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【請求項8】
前記式(2)~(6)で表される塩基に加え、前記Bが下記式(19)~(26)で表される塩基を含む請求項5~7の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【化15】
JP2016130232A_000069t.gif
(上記式(23)~(26)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および下記式(30)~(51)の光機能性分子、あるいは式(30)~(51)の光機能性分子が結合したアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を表す。)
【化16】
JP2016130232A_000070t.gif

【請求項9】
リン酸ジエステル結合で結合しているオリゴヌクレオチドにおいて、
前記オリゴヌクレオチドは、リボース環又はデオキシリボース環を持つ核酸及び式(27)で表される骨格を含む化合物を含み、且つ式(28)又は式(29)で表される結合を含むオリゴヌクレオチド。
【化17】
JP2016130232A_000071t.gif
(式(27)中、Zは光機能性分子を表す。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化18】
JP2016130232A_000072t.gif
(式(28)及び式(29)中、Bは下記式(2)~(6)、(19)~(26)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なっていても良い。XはO(酸素)又はS(硫黄)のいずれかである。RはH(水素)又はOH(水酸基)である。)
【化19】
JP2016130232A_000073t.gif

(上記式(23)~(26)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および下記式(30)~(51)の光機能性分子、あるいは式(30)~(51)の光機能性分子が結合したアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を表す。)
【化20】
JP2016130232A_000074t.gif

【請求項10】
前記Zが、上記式(30)~(51)で表される置換基から選択される1種である請求項9に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
前記式(27)で表される骨格を含む化合物がオリゴヌクレオチドの端部に位置する時、端部部分が式(28-1)又は式(29-1)で表される請求項9又は10に記載のオリゴヌクレオチド。
【化21】
JP2016130232A_000075t.gif
(式(28-1)及び式(29-1)中、Yは下記式(17)又は(18)から選択される1種である。B、R、Xは前記と同様である。)
【化22】
JP2016130232A_000076t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチドに関し、特に、DNA及びRNAを配列特異的に認識する人工核酸を含むオリゴヌクレオチド、並びに光機能性分子を挿入したオリゴヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
人工核酸とは、天然核酸に非天然部位を導入又は非天然部位のみで合成した核酸であり、自然界には存在しない、完全に人工的に合成された分子である。そのため、生体内に存在する核酸分解酵素に認識されにくく、分解されにくいという特長をもつ。また、DNAやRNAと同様にA,G,C,Tなどの塩基を導入することが可能であり、Watson-Crick型塩基対を形成させ二重鎖を組ませることができる。更に、設計によってはDNAやRNAとハイブリダイズさせることも可能であり、新たなナノデバイスのモチーフとしての利用やアンチセンス法などへの応用が期待されている。
【0003】
人工核酸としては、以下に示す、acyclic Threoninol Nucleic Acid(aTNA)、Serinol Nucleic Acid(SNA)、Peptide Nucleic Acid(PNA)、Glycol Nucleic Acid(GNA)、Locked Nucleic Acid(LNA)、等が知られている。LNA以外の上記の人工核酸は塩基以外の骨格部分が非環状である。そのため、環状の骨格を持つ化合物と異なり合成が簡単であること、また、天然の核酸と大きく異なる骨格であることから、上記のとおり酵素耐性が高いというメリットがあり、現在盛んに研究が行われている。
【0004】
【化1】
JP2016130232A_000002t.gif

【0005】
上記人工核酸の中で、PNAは主鎖に電荷をもっていないことから、DNAやRNAとの相補性が高く、二重鎖の人工核酸を形成できることが知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、PNAは疎水性が高いため水に溶けにくく、凝集し易いという問題がある。また、PNAは最大16~17の塩基配列が限界で、siRNAには使用が難しい等、用途が限定的であるという問題がある。
【0006】
一方、本発明者らは下記式(a)で表すD-aTNAの合成を行い、D-aTNAは相補的なD-aTNAとは二重鎖を形成するが、DNAやRNAとは二重鎖を形成しないことを明らかにしている(非特許文献2、3参照)。
【0007】
【化2】
JP2016130232A_000003t.gif

【0008】
また、本発明者らは、SNAは設計の自由度が高く様々な塩基を導入できる上、DNAやRNAと二重鎖を形成できることを明らかにしている(非特許文献4参照)。しかしながら、SNAはDNAやRNAと二重鎖を形成するものの、SNA/DNA、及びSNA/RNA二重鎖は熱安定性が不十分であるという問題がある(非特許文献3参照)。
【0009】
なお、非特許文献3に記載されているaTNAの特性に着目し、aTNAをsiRNA(small interfering RNA)に組み込むことも知られている(非特許文献5参照)。しかしながら、非特許文献5に記載されているsiRNAは、3’末端側の相補鎖を形成しない突出した2塩基をaTNAで置換することでsiRNAの核酸分解酵素への耐性を高めたものであり、aTNAがDNA又はRNAと二重鎖を形成するものではない。
【先行技術文献】
【0010】

【非特許文献1】P.E.Nielsen et al.,“Sequence-selective recognition of DNA by strand displacement with a thymine-substituted polyamide”,Science,1991 Dec 6;254(5037):1497-500
【非特許文献2】H.Asanuma et al.,“Unexpectedly Stable Artificial Duplex from Flexible Acyclic Threoninol”,J.AM.CHEM.SOC.,2010,132,14702-14703
【非特許文献3】H.Asanuma et al.,“Highly Stable Duplex Formation by Artificial Nucleic Acids Acyclic Threoninol Nucleic Acid(aTNA) and Serinol Nucleic Acid(SNA) with Acyclic Scaffolds”,Chem.Eur.J.,2013,19,14151-14158
【非特許文献4】H.Kashida et al.,“Control of the Chirality and Helicity of Oligomers of Serinol Nucleic Acid(SNA) by Sequence Design”,Angew.Chem.Int.Ed.2011,50,1285-1288
【非特許文献5】Adele Alagia et al.,“RNA/aTNA Chimeras: RNAi Effects and Nucleases Resistance of Single and Double Stranded RNAs”,Molecules,2014,19,17872-17896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、(i)aTNAの内、D-aTNAはDNA及びRNAと相補鎖を形成しないが、下記式(1)で表される骨格を含む人工核酸(以下、単に「人工核酸」と記載することがある。)が含まれるオリゴヌクレオチド(以下、本発明の人工核酸を「L-aTNAモノマー」、本発明の人工核酸のみを含むオリゴヌクレオチドを「L-aTNA」と記載することがある。)を、標的とするDNA又はRNAに対して二重鎖を形成できるような配列を持つように設計することでDNA及びRNAと安定的な二重鎖を形成できること、(ii)前記(i)で設計したオリゴヌクレオチドとDNA又はRNAの二重鎖は、SNAとDNA又はRNAの二重鎖より熱安定性が優れていること、(iii)下記式(1)で表される人工核酸の2’のNH及び3’のメチル基と同様の立体配置を含む下記式(27)で表される化合物をオリゴヌクレオチド中に導入することで、オリゴヌクレオチドの光機能が向上すること、を新たに見出した。
【0012】
【化3】
JP2016130232A_000004t.gif

【0013】
(式(1)中、Bは下記式(2)~(6)及び(19)~(26)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なってもよい。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【0014】
【化4】
JP2016130232A_000005t.gif

【0015】
(上記式(23)~(26)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および式(30)~(51)の光機能性分子、あるいは式(30)~(51)の光機能性分子が結合したアルキル基、アルケニル基、およびアルキル基を表す。)
【0016】
【化5】
JP2016130232A_000006t.gif

【0017】
(上記式(27)中、Zは光機能性分子を表す。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【0018】
すなわち、本発明の目的は、DNA及びRNAを配列特異的に認識する人工核酸を含むオリゴヌクレオチド、及び光機能に優れたオリゴヌクレオチドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、以下に示す、オリゴヌクレオチドに関する。
【0020】
[1]リン酸ジエステル結合で結合しているオリゴヌクレオチドにおいて、
前記オリゴヌクレオチドが式(1)で表される骨格を含む人工核酸のみで構成されているオリゴヌクレオチド。
【化6】
JP2016130232A_000007t.gif
(式(1)中、Bは下記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なってもよい。XはO(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化7】
JP2016130232A_000008t.gif
[2]リン酸ジエステル結合で結合しているオリゴヌクレオチドにおいて、
前記オリゴヌクレオチドは、リボース環又はデオキシリボース環を持つ核酸及び式(1)で表される骨格を含む人工核酸を含み、且つ式(7)又は式(8)で表される結合を含むオリゴヌクレオチド。
【化8】
JP2016130232A_000009t.gif
(式(1)中、Bは下記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なってもよい。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化9】
JP2016130232A_000010t.gif
【化10】
JP2016130232A_000011t.gif
(式(7)及び式(8)中、Bは前記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なっていても良い。XはO(酸素)又はS(硫黄)のいずれかである。RはH(水素)又はOH(水酸基)である。)
[3]前記式(1)で表される骨格を含む人工核酸がオリゴヌクレオチドの端部に位置する時、端部部分が式(1-a)、(1-b)、(7-1)又は(8-1)で表される上記[1]又は[2]に記載のオリゴヌクレオチド。
【化11】
JP2016130232A_000012t.gif

(式(1-a)、(1-b)、(7-1)及び(8-1)中、Yは下記式(17)又は(18)から選択される1種である。B、R、Xは前記と同様である。)
【化12】
JP2016130232A_000013t.gif
[4]前記式(2)~(6)で表される塩基に加え、前記Bが下記式(19)~(26)で表される塩基を含む上記[1]~[3]の何れか一に記載のオリゴヌクレオチド。
【化13】
JP2016130232A_000014t.gif
(上記式(23)~(26)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および下記式(30)~(51)の光機能性分子、あるいは式(30)~(51)の光機能性分子が結合したアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を表す。)
【化14】
JP2016130232A_000015t.gif
[5]標的とするDNA又はRNAを選択する工程、
前記標的とするDNA又はRNAと二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチドを設計する工程、
設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程、
を含み、
前記設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程が、式(11)で表される化合物を用い、式(1)で表される骨格のみを含むオリゴヌクレオチドを合成する工程であるオリゴヌクレオチドの製造方法。
【化15】
JP2016130232A_000016t.gif
【化16】
JP2016130232A_000017t.gif
(式(1)中、Bは下記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なってもよい。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化17】
JP2016130232A_000018t.gif
[6]前記設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程が、
前記式(11)で表される化合物及び式(12)で表される化合物、又は式(13)で表される化合物及び式(14)で表される化合物を用い、式(7)又は式(8)で表される結合を含むオリゴヌクレオチドを合成する工程である上記[5]に記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【化18】
JP2016130232A_000019t.gif
【化19】
JP2016130232A_000020t.gif

(式(7)及び式(8)中、Bは前記式(2)~(6)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なっていても良い。XはO(酸素)又はS(硫黄)のいずれかである。RはH(水素)又はOH(水酸基)である。DMTは式(11)と同様である。)
[7]前記設計したオリゴヌクレオチドを合成する工程が、該工程の少なくとも最初及び/又は最後に前記式(11)又は式(13)で表される化合物を用いる上記[6]に記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
[8]前記式(2)~(6)で表される塩基に加え、前記Bが下記式(19)~(26)で表される塩基を含む上記[5]~[7]の何れか一に記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【化20】
JP2016130232A_000021t.gif

(上記式(23)~(26)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および下記式(30)~(51)の光機能性分子、あるいは式(30)~(51)の光機能性分子が結合したアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を表す。)
【化21】
JP2016130232A_000022t.gif
[9]リン酸ジエステル結合で結合しているオリゴヌクレオチドにおいて、
前記オリゴヌクレオチドは、リボース環又はデオキシリボース環を持つ核酸及び式(27)で表される骨格を含む化合物を含み、且つ式(28)又は式(29)で表される結合を含むオリゴヌクレオチド。
【化22】
JP2016130232A_000023t.gif
(式(27)中、Zは光機能性分子を表す。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化23】
JP2016130232A_000024t.gif

(式(28)及び式(29)中、Bは下記式(2)~(6)、(19)~(26)から選択される1種の塩基であって、同じであっても異なっていても良い。XはO(酸素)又はS(硫黄)のいずれかである。RはH(水素)又はOH(水酸基)である。)
【化24】
JP2016130232A_000025t.gif
(上記式(23)~(26)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および下記式(30)~(51)の光機能性分子、あるいは式(30)~(51)の光機能性分子が結合したアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を表す。)
【化25】
JP2016130232A_000026t.gif
[10]前記Zが、上記式(30)~(51)で表される置換基から選択される1種である上記[9]に記載のオリゴヌクレオチド。
[11]前記式(27)で表される骨格を含む化合物がオリゴヌクレオチドの端部に位置する時、端部部分が式(28-1)又は式(29-1)で表される上記[9]又は[10]に記載のオリゴヌクレオチド。
【化26】
JP2016130232A_000027t.gif
(式(28-1)及び式(29-1)中、Yは下記式(17)又は(18)から選択される1種である。B、R、Xは前記と同様である。)
【化27】
JP2016130232A_000028t.gif

【発明の効果】
【0021】
本発明の式(1)で表される骨格を含む人工核酸を含むオリゴヌクレオチドは、DNA又はRNAと二重鎖を形成することができる。また、公知の人工核酸であるSNAと比較して、DNA及びRNAとより強い二重鎖を形成することができ、二重鎖を形成した時の熱安定性が向上する。
本発明の式(27)で表される骨格を含む化合物を含むオリゴヌクレオチドについても、二重鎖を形成した時の熱安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のオリゴヌクレオチドの立体構造と、従来の人工核酸を用いたオリゴヌクレオチドの立体構造との違いを説明する図である。
【図2】図2は、実施例1で用いた各種オリゴヌクレオチドの配列及び合成方向を示す図である。
【図3】図3は、実施例1で合成したオリゴヌクレオチドの内、L-aTN8a/DN8c、L-aTN8a/RN8c、L-aTN8a/DN8b、及びL-aTN8a/RN8bの組み合わせの融解曲線を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例2で合成したオリゴヌクレオチドの配列及び合成方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明のオリゴヌクレオチドについて詳しく説明する。

【0024】
本発明のオリゴヌクレオチドは、式(1)で表される骨格を含むことを特徴としており、式(1)で表される骨格のみを含むオリゴヌクレオチドであっても、リボース環又はデオキシリボース環に式(1)で表される骨格が結合しているオリゴヌクレオチドであってもよい。

【0025】
本発明のオリゴヌクレオチドの長さは特に制限は無く、例えば、3mer以上となるように合成すればよい。また、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的とするDNA又はRNAと二重鎖を形成できることから、siRNA、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンス、遺伝子検査薬などの医薬や診断薬等に用いることができる。医薬や診断薬等の用途に本発明のオリゴヌクレオチドを用いる場合は、15~30mer程度の長さとなるように合成すればよく、用途に応じて長さを適宜調整すればよい。

【0026】
メッセンジャーRNAに対するアンチセンス核酸として使用する場合は、L-aTNAモノマーとDNAの両方を含んだオリゴヌクレオチドが好ましい。なお、本発明においては、リボース環又はデオキシリボース環に式(1)で表される骨格が結合しているオリゴヌクレオチドを「iL-aTNA」と記載することがある。例えば5’末端にiL-aTNAを連続的に導入したヘッドマーや3’末端に連続的に導入したテイルマー、あるいは配列中にiL-aTNAとDNAが混在しているミックスマーでも良い。より好ましくは、いわゆるギャップマー構造と言われる、両末端および近傍がiL-aTNA、内部が天然のDNAで構成されているオリゴヌクレオチドである。こうした配列設計によりアンチセンス核酸のヌクレアーゼ耐性を向上させることができ、さらに細胞内のRNase Hによる標的メッセンジャーRNAの切断を促進するので、遺伝子発現を効率的に抑制することが可能となる。オリゴヌクレオチドを構成する各ヌクレオシドをつなぐリン酸ジエステル結合は通常のリン酸ジエステル結合でも良いが、ヌクレアーゼ耐性をさらに向上させるため、リン酸ジエステル結合の一部あるいは全てがチオ化されている方が好ましい。

【0027】
miRNAに対するアンチセンス核酸は、RNase Hの基質である必要がないので、全てL-aTNAモノマーで構成されるオリゴヌクレオチドが好ましい。この場合、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合は、通常のリン酸ジエステル結合でも、一部あるいは全てがチオ化されていても良い。

【0028】
siRNAにL-aTNAモノマーを導入する場合は、たとえばChemBioChem,2014,15,2549-2555に記載されている修飾siRNAに用いられているSNAの代わりにL-aTNAモノマーを用いることができる。

【0029】
以上のような核酸医薬としての応用においては、細胞への取り込みを促進するために、コレステロールやポリエチレングリコール鎖とコンジュゲートしても良い。さらにN-アセチルガラクトサミンといった糖鎖とコンジュゲートすることで、デリバリー性を付与こともできる。

【0030】
遺伝子診断薬として使用する場合は、例えばNat. Biotechnol.,1996,14,303に記載されているモレキュラービーコンを構成するステム・ループの一部、あるいは全てにL-aTNAモノマーを用いることができる。具体的には、モレキュラービーコンの両末端には蛍光色素と消光色素を導入し、標的DNAあるいはRNAを認識するループ部位および/あるいはステム部位の一部あるいは全てにL-aTNAモノマーを用いることができる。天然のDNAあるいはRNAを凌駕する二重鎖形成力を持つL-aTNAモノマーを組み込めば、標的DNAあるいはRNAと強固に二重鎖形成することによる感度上昇が期待できる。またL-aTNAモノマーの導入によるヌクレアーゼ耐性の向上が期待できるので、細胞内のメッセンジャーRNAの蛍光標識にも使用可能である。さらにAngew.Chem.Int.Ed.,2009,48,7044-7047およびAngew.Chem.Int.Ed.,2010,49,5502-5506に記載の、ステム部位に蛍光色素と消光色素の対を導入したインステムモレキュラービーコンを構成するDNAの代わりに、本発明のL-aTNAモノマーを用いることができる。Nat.Biotechnol.記載のモレキュラービーコンと同様に、L-aTNAが標的DNAあるいはRNAと強固に二重鎖形成することによる感度上昇が期待できる。さらにChem.Eur.J.,2012,18,10865-10872に記載されている、複数の消光色素を導入したインステムモレキュラービーコンに、L-aTNAモノマーをDNAの代わりに用いても良い。

【0031】
式(1)中に導入するBの種類は、天然の核酸塩基と相補的水素結合を形成できる化合物であれば、式(2)~(6)又は(19)~(26)以外でも良い。例えば、ウラシルの5位にフルオレセインなどの蛍光色素や様々な官能基を導入したウラシル誘導体を挙げることが出来る。

【0032】
図1は、本発明のオリゴヌクレオチドの立体構造と、従来の人工核酸(SNAとD-aTNA)用いたオリゴヌクレオチドの立体構造との違いを説明する図で、図1中の点線で囲った部分は、構造の違う部分を示している。また、図1中の矢印は、配列方向を示している。図1(c)は本発明のオリゴヌクレオチドを表しており、2’のNHは紙面に対して下側に、3’のメチル基は上側に向いていることが立体構造上の特徴である。一方、図1(a)で表されるSNAは、L-aTNAの3’のメチル基が無い以外はL-aTNAと同じである。

【0033】
本発明の図1(c)のL-aTNAは、L-Threoninolを出発原料とした後述の式(11)のアミダイトモノマーを用い、3’端から1’端方向、すなわち図1(c)で上から下に向って合成した場合に得られる。換言すれば、配列方向と逆の方向に向かって合成する。一方、後述する式(13)のアミダイトモノマーを用いる場合は、式(11)とは配列を逆にして合成すればよい。例えば、「3’-AGCT-1’」を合成する場合、式(11)のアミダイトモノマーを用いる場合は、3’側からA→G→C→Tと合成すればよい。一方、式(13)のアミダイトモノマーを用いる場合は、1’側からT→C→G→Aと合成すればよい。合成後のオリゴヌクレオチドは全く同じである。一方、図1(b)で表されるL-aTNAも、L-Threoninolを出発原料とする同じアミダイトモノマー(式(11))を用いて、3’側から1’側に向って合成する。しかし配列方向は合成方向と逆の向きになるため、図1(b)で表されるL-aTNAの2’のNHの向き及びメチル基の位置が、図1(c)のL-aTNAと異なっている。更に、図1(d)で表されるD-aTNAは、出発原料にD-Threoninolを用いることで、合成したD-aTNAのメチル基の位置が、図1(c)で表されるL-aTNAの位置と異なっている。後述する実施例及び比較例に示す通り、メチル基や立体構造の違いがDNA又はRNAとの二重鎖の形成に大きな影響を与え、図1(a)で表わされるSNAと図1(c)で表わされるL-aTNAのみが、DNA及びRNAと二重鎖を形成することができる。したがって、標的とするDNA又はRNAに対して二重鎖を形成できる立体構造となるように、オリゴヌクレオチドを合成する必要がある。なお、図1には、相補鎖を形成する配列方向の組み合わせを「逆平行」、配列方向が相補鎖を形成する方向とは逆の配列方向の組み合わせを「平行」と記載してある。

【0034】
次に本発明のオリゴヌクレオチドの合成方法について説明する。先ず、オリゴヌクレオチドの合成に用いられるモノマーの合成手順を以下に示す。
【化28】
JP2016130232A_000029t.gif

【0035】
先ず、式(10-1)で表されるL-Threonineを出発原料とし、対応するメチルエステルを、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー誌,1981年,46巻,4799-4800頁に記載の方法で還元してL-Threoninolを合成した後、その1級水酸基を4,4’—メトキシトリチル基(DMT)等の保護基を導入することで、式(10-2)で表される化合物を得る。次に式(10-2)で表される化合物を式(10-3)で表される塩基を含む化合物と反応させ、式(10-4)で表される化合物を得る。なお、式(10-3)で表される化合物に含まれるBase(塩基)を以下に示す。式(10-3)で表される化合物に含まれる塩基は、合成後のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基が上記式(2)~(6)及び(19)~(26)で表される塩基になればよく、合成段階では保護基を含んでいてもよい。保護基は、公知の手法で合成後に除去すればよい。

【0036】
【化29】
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【0037】
上記式(70)~(73)中、R1は式(23)~(26)と同様である。なお、R1のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の具体例としては、未置換の又はハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基等で置換された炭素数1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~4のアルキル基、未置換又はハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基等で置換された炭素原子2~20、好ましくは2~10、より好ましくは2~4のアルケニル基、未置換又はハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基等で置換された炭素原子2~20、好ましくは2~10、より好ましくは2~4のアルキニル基が挙げられる。

【0038】
そして、式(10-4)で表される化合物に、トリエチルアミン及び2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジドを加えることで、式(11)で表される各種塩基が置換した化合物が得られる。

【0039】
次に、上記式(11)で表される化合物を用いて、式(1)で表される骨格を含む人工核酸のみで本発明のオリゴヌクレオチド(L-aTNA)を合成する手順を以下に示す。
【化30】
JP2016130232A_000031t.gif

【0040】
先ず、核酸合成装置を用いた公知の合成手順により、式(11)で表される化合物を(b)に示す方向に合成することでL-aTNAを合成する。このようにして合成した化合物(b)は、化合物(e)と全く同じものである。つまり1’から3’方向に向かって1’-B1-B2-B3-3’という配列の化合物(e)を合成する場合、式(11)のモノマーを使用して、B3,B2,B1の順に合成すれば良い。得られる化合物(b)、すなわち3’-B3-B2-B1-1’は、化合物(e)と全く同じものであり、目的とする式(1)で表される骨格を含む人工核酸のみから構成されたオリゴヌクレオチドが合成できる。

【0041】
次に、式(1)で表される骨格を含む人工核酸とリボース環又はデオキシリボース環を持つ核酸を結合させたオリゴヌクレオチドを、式(11)のモノマーを用いて合成する手順を以下に示す。

【0042】
【化31】
JP2016130232A_000032t.gif

【0043】
上記式(11)で表される化合物と、市販されているデオキシリボース環の3’末端の水酸基がDMT等の保護基で保護された式(12)で表される化合物を用い、核酸合成装置を用いた公知の合成手順により、矢印の方向に合成することで、(f)及び(g)に示すオリゴヌクレオチドを合成する。この状態では、(f)及び(g)中の点線で囲った部分のNH及びメチル基は上記(e)あるいは式(1)と同様の立体構造である。こうすることで、NHとメチル基の立体構造は図1(c)に示す立体構造と同様であることから、天然のリボース環、デオキシリボース環を含むオリゴヌクレオチド中に人工核酸を組み込んでも、二重鎖を形成することができる。なおR’について、DNA用のアミダイトモノマーの場合は、上記のR’の例示の中からHを用いればよい。また、RNA用のアミダイトモノマーの場合は-OH基に保護基が必要となることから、上記のR’の例示の中から、保護基の付いた置換基を用いればよい。以下の式(14)の場合も同様である。

【0044】
上記は、デオキシリボース環の3’側がDMTで保護されたモノマーと式(11)で表される化合物を用いた合成手順を示しているが、通常のDNAあるいはRNA合成に用いられる5’側の水酸基がDMTで保護されたモノマーと、3’側の2級水酸基が保護された式(13)で表される化合物を用いても合成可能である。

【0045】
【化32】
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化合物(15)と化合物(f)、化合物(16)と化合物(g)は同じものである。

【0046】
上記式(1)で表される骨格を含む人工核酸が、オリゴヌクレオチドの端部に位置する時は、端部部分は以下の式(1-a)、(1-b)、(7-1)又は式(8-1)で表すことができる。

【0047】
【化33】
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【0048】
(式(1-a)、(1-b)、(7-1)及び(8-1)中、Yは下記式(17)又は(18)から選択される1種である。B、R、Xは前記と同様である。)
【化34】
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【0049】
上記Yについて、後述する実施例のとおり、人工核酸のみ、或いは、人工核酸及びリボース環又はデオキシリボース環を持つ核酸を用いてオリゴヌクレオチドを化学合成する場合、Yは通常“-H”になる。一方、酵素を用いて2つのオリゴヌクレオチドを繋げる場合、Yが“-PO32-”となる。例えば、式(11)で表されるモノマーを使うと3’端から1’端に向かって合成することになり、1’端に-PO32-を導入する場合は、グレンリサーチ社から販売されているChemical Phosphorylation Reagent II(ケミカル ホスホリレーション リエージェントII)を使用すればよい。また、式(13)で表されるL-aTNAモノマーを使用する場合は、1’端から3’端に向かって合成することになり、上記と同じ試薬を使用し、3’末端に-PO32-を導入すればよい。

【0050】
一方、式(11)で表されるモノマーを使って3’末端にリン酸を導入する場合は、合成の最初にリン酸を導入する必要がある。この場合、あらかじめ末端がリン酸化されている固相担体を使用すればよい。具体的には、グレンリサーチ社から販売されている、3’-Phosphate CPG(3‘-ホスフェートCPG)を使用すればよい。また、式(13)で表されるL-aTNAモノマーを使って1’末端にリン酸を導入する場合にも、3’-Phosphate CPGを使用すればよい。

【0051】
本発明のオリゴヌクレオチドは、標的とするDNA又はRNAと二重鎖を形成できる範囲内であれば、各種変更をしてもよい。例えば、骨格中に色素を導入してもよい。また、LNA、PNA、SNA等の人工核酸、又はメトキシエチル(MOE)化、O-メチル化したDNA/RNAなどの人工核酸を、オリゴヌクレオチド中に含んでいてもよい。更に、ペプチド、ポリエチレングリコール(PEG)、糖鎖、コレステロール、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)などとの複合体としてもよい。

【0052】
また、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的とするDNA又はRNAと完全に相補的な配列である必要は無く、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列のものであってもよい。ストリンジェントな条件下とは、一般的なハイブリダイズ条件をいい、例えば、pHが5から8の間で塩化ナトリウム水溶液の濃度が10-1000mMなど、本発明のオリゴヌクレオチドを標的とする核酸とハイブリダイズしたことを電圧や電流等の変化により検出できる条件である。

【0053】
本発明のオリゴヌクレオチドは、従来のSNAを用いた場合と比較して、二重鎖を形成する際の熱安定性を高めることができる。したがって、組み込む人工核酸の数を調整することで、熱安定性の調整を行うことができる。

【0054】
本発明のオリゴヌクレオチドは、(1)標的とするDNA又はRNAの5’から3’方向に対する配列が、L-aTNAでは1’から3’方向に相補的な配列を持つ場合、及び(2)標的とするDNA又はRNAの5’から3’方向に対する配列が、リボース環又はデオキシリボース環と人工核酸を含むオリゴヌクレオチドでは3’から5’方向に相補的な配列を持つ場合に、本発明のオリゴヌクレオチドは標的とするDNA又はRNAと二重鎖を形成することができる。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、先ず、上記(1)及び(2)となるようにオリゴヌクレオチドの設計を行い、次いで、式(11)で表される化合物のみ、あるいは式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物、または式(13)で表される化合物と式(14)で表される化合物のモノマーを組み合わせて合成を行えばよい。なお、後述する実施例では、二重鎖を形成できる配列の方向を「逆平行」と記載し、二重鎖を形成できない配列の方向、すなわち逆方向の配列を「平行」と記載している。

【0055】
ところで、本発明者らは、(1)非環状リンカーのD-トレオニノールを“足場”に用いて光機能分子を導入した人工ヌクレオチド“トレオニノールヌクレオチド”(Threoninol-Nucleotide:TN)を、核酸配列中に任意の数導入できること、(2)二重鎖の不安定化や配列特異性を損なわずに二重鎖内にTNをインターカレートできること、(3)TNに光機能性分子を組み込むことで、可視光照射(λ>450nm)で平面構造のtrans体に異性化し、紫外光(400nm>λ>300nm)照射で非平面構造のcis体に異性化するので、可視光照射で二重鎖を形成し紫外光照射では解離させることができる、つまり核酸の二重鎖形成と解離を光制御できること、を発表している。(Kamiya, Y.; Asanuma, H. Accounts of Chemical Research, 2014, 47, 1663-1672、及び、Asanuma, H.; Kashida, H.; Kamiya, Y., Chemical Records, 2014, 14, 1055-1069、参照。)

【0056】
後述する実施例のとおり、本発明の式(1)で表される骨格を含む人工核酸を含むオリゴヌクレオチドは、2’のNH及び3’のメチル基の立体配置の違いにより、従来の人工核酸と比較してDNA及びRNAとより強い二重鎖を形成することができ、二重鎖を形成した時の熱安定性が向上する。そのため、上記TNに代え、式(1)の2’のNH及び3’のメチル基の立体配置と同様の下記式(27)で表される化合物を、核酸配列中に下記式(28)又は(29)で表される結合を含むように導入することで、核酸の光制御能をより向上することができる。

【0057】
【化35】
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(式(27)中、Zは光機能性分子を表す。Xは、O(酸素)またはS(硫黄)である。)
【化36】
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(式(28)及び式(29)中、B、X及びRは上記と同様である。)

【0058】
なお、本発明において「光機能性分子」とは、300nmより長波長側に吸収を持つ機能性色素(分子)を意味し、アゾベンゼン、蛍光色素、消光色素等が挙げられる。例えば、Zで表される光機能性分子として、以下の式(30)~(51)で表される置換基が挙げられる。

【0059】
【化37】
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【0060】
式(27)で表される化合物を導入したオリゴヌクレオチドを用いて相補鎖を形成した場合、式(27)で表される化合物は二重鎖を形成せず、DNA又はRNAが形成する二重鎖の間に導入される。オリゴヌクレオチド中への式(27)で表される化合物の導入は、後述する実施例に示すとおり、(i)二重鎖の片方の鎖のみに式(27)で表される化合物を導入(wedge型)、(ii)二重鎖の相対する位置に式(27)で表される化合物を導入(dimer型)、(iii)二重鎖の相対する位置に式(27)で表される化合物を塊で導入(cluster型)、等が挙げられるが、式(27)で表される化合物を導入したオリゴヌクレオチドが二重鎖を形成できれば導入方法は特に制限は無い。なお、上記のとおり、式(27)で表される化合物は二重鎖形成には寄与しないことから、オリゴヌクレオチド中の割合が50%程度までとすることが好ましい。

【0061】
また、式(27)で表される化合物は、オリゴヌクレオチドの端部に導入してもよい。前記式(27)で表される骨格を含む化合物がオリゴヌクレオチドの端部に位置する時、端部部分は式(28-1)又は式(29-1)で表される。なお、式中のY、B、R、Xは、式(7-1)及び(8-1)と同様である。式(27)で表される化合物のオリゴヌクレオチド中への導入は、人工核酸と同様の手順で合成を行えばよい。

【0062】
【化38】
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【0063】
ところで、オリゴヌクレオチド合成の原料として用いられる式(13)で表されるアミダイトモノマー、及び式(27)で表される骨格を含む化合物をオリゴヌクレオチド中に導入するためのアミダイトモノマーは、何れも新規の化合物である。以下の式(60-1)及び(60-2)で表される化合物は、本発明のオリゴヌクレオチドを合成するための原料として有用である。式(60-1)で表される化合物は後述する実施例3、式(60-2)で表される化合物は後述する実施例4の合成方法により合成することができる。

【0064】
【化39】
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【0065】
上記式中、Zは、上記式(30)~(51)、Bは(66)~(73)で表される置換基から選択される1種である。

【0066】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例】
【0067】
<実施例1>
以下に示す手順により、2種類のL-aTNAモノマーのみを含むオリゴヌクレオチドの合成を行った。
[アミダイトモノマーの合成]
先ず、以下に示す手順により、各種塩基を有するアミダイトモノマーを合成した。
【化40】
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【実施例】
【0068】
L-Threoninolに保護基DMTを置換した式1-1で表される化合物は、「アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angewandte chemie international edition)誌、2010年、49巻、5502-5506頁」に記載の方法により合成した。
式1-2(T)で表される化合物は市販品を用いた。また、式1-2(BzA)で表される化合物は、「ジャーナルオブペプチドサイエンス(Journal of Peptide Science)誌、2001年、7巻、402-412頁」に記載の方法で合成した。式1-2(BzC)で表される化合物は、「ヌクレクイックアシッズリサーチ(Nucleic Acids Research)誌、1998年、26巻、2735-2739頁」に記載の方法で合成した。式1-2(iBuG)で表される化合物は、「ジャーナルオブケミカルソサエティパーキントランザクションズ1(Journal of the Chemical Society Perkin Transactions 1)誌、2000年、1巻、19-26頁」に記載の方法で合成した。
【実施例】
【0069】
二口フラスコに式1-1で表される化合物(1.48g、3.6mmol)と式1-2(T)で表される化合物(0.80g、4.3mmol)及びトリエチルアミン(2.8ml)を入れ、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)約30mlに溶解させた。次にトリアジン系縮合剤(DMT-MM;1.60g、5.8mmol)を加え、2時間室温で攪拌し反応させた。反応終了後、クロロホルム70mlを加え、飽和重曹水及び飽和食塩水で分液した。有機層をエバポレーションした後、真空乾燥した。これをシリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:クロロホルム:メタノール=30:1)で精製後、クロロホルム20mlに溶解させ、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1溶液100mLに滴下し再沈殿し、濾過により式1-3(T)で表される化合物(1.85g:3.22mmol、収率87%)を得た。同様の手法で合成を行い、式1-3(BzA)で表される化合物を収率75%、式1-3(BzC)で表される化合物を収率83%、及び式1-3(iBuG)で表される化合物を収率91%で得た。
【実施例】
【0070】
ナスフラスコに式1-3(T)で表される化合物(1.5g、2.6mmol)を入れ、窒素置換した後、脱水ジクロロメタン約20mlに溶解させトリエチルアミン1.9mLを加えた。続いて氷浴上で2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジド(1.2ml、5.4mmol)をゆっくり滴下し、攪拌した。約20分反応させた後、酢酸エチル約60mlを加え、飽和重曹水及び飽和食塩水で分液を行った。有機層をエバポレーションした後、シリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:ヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン=20:90:3)で精製し、式1-4(T)で表される化合物(1.37g:1.77mmol、収率68%)を得た。同様の手法で合成を行い、式1-4(BzA)で表される化合物を収率57%、式1-4(BzC)で表される化合物を収率52%、及び式1-4(iBuG)で表される化合物を収率68%で得た。
【実施例】
【0071】
[L-aTNAモノマーのみを含むオリゴヌクレオチドの合成]
次に、合成した式1-4(T)、式1-4(BzA)、式1-4(BzC)、及び式1-4(iBuG)で表される化合物を用い、「米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)、2010年、132巻、14702-14703頁」に記載の方法により、本発明のオリゴヌクレオチドの合成を行った。図2に、合成した“L-aTN8a”及び“L-aTN8b”の配列及び合成方向を示す。
【実施例】
【0072】
〔L-aTNAモノマーのみを含むオリゴヌクレオチドの二重鎖安定性評価〕
次に、合成した“L-aTN8a”及び“L-aTN8b”と、当該配列に対応する図2に示すDNA(DN8a、DN8b、DN8c、DN8d)及びRNA(RN8a、RN8b、RN8c、RN8d)とで組合せを形成し、当該組合せの融解温度を調べることでL-aTNAの二重鎖安定性評価を行った。なお、上記DNA及びRNAはIntegrated DNA Technologies社から購入し、比較対象であるD-aTNA(D-aTN8a、D-aTN8b)は非特許文献2(Journal of the American Chemical Society誌、2010年、132巻、14702頁-14703頁)、SNA配列(SN8c、SN8d)は非特許文献4(Angew.Chem.Int.Ed誌、2011年、50巻、1285頁-1288頁)に記載さている方法で合成した。
【実施例】
【0073】
[融解温度の測定]
図2に示すオリゴヌクレオチドの中から、L-aTN8aと逆平行であるDN8c、RN8c、及びL-aTN8aと平行方向であるDN8b、RN8bを選択し、L-aTN8a/DN8c、L-aTN8a/RN8c、L-aTN8a/DN8b、及びL-aTN8a/RN8bの組み合わせを形成した。測定試料は、前記組み合わせたオリゴヌクレオチドが2μM、100mM NaCl、10mMリン酸バッファー(pH7.0)となるように調整した。融解温度測定には島津製作所製Tm解析システムを用い、相対吸光度による融解曲線を測定した。
【実施例】
【0074】
図3は、測定した融解曲線を示すグラフである。図3から明らかなように、L-aTN8a/DN8cはシグモイド型の曲線が得られ、融解温度は28.4℃と算出された。従って、L-aTNAは相補配列を持つDNAと逆平行型二重鎖を形成することがわかった。また、同様にL-aTN8a/RN8cの融解温度は41.0℃であり、L-aTNAは相補的なRNAとも逆平行型二重鎖を形成した。一方、L-aTN8a/DN8b及びL-aTN/RN8bの組み合わせは融解温度を示さなかったことから、L-aTNAは相補的DNAやRNAと平行型二重鎖を形成しないことがわかった。
【実施例】
【0075】
更に図3に示す組み合わせに加え、比較のため、下記表1の示すオリゴヌクレオチドの組み合わせについても、上記と同様の手順で融解温度を調べた。なお、表1中、「融解温度」欄の“-”は二重鎖を形成しないことを表す。
【実施例】
【0076】
【表1】
JP2016130232A_000042t.gif

【実施例】
【0077】
上記表1から明らかなように、L-aTN8a/DN8cと同様の配列を持つSNA/DNA二重鎖(SN8d/DN8c)の融解温度は23.5℃で、L-aTN8a/DN8cと比較し約5℃不安定であった。また、SNA/RNA二重鎖(SN8d/RN8c)の融解温度は35.0℃で、L-aTN8a/RN8cより融解温度が6℃低いことが分かった。更にD-aTNAについても同様の測定を行ったところ、D-aTNAはDNA、RNAのいずれとも二重鎖を形成しないことを確認した。以上のことから、L-aTNAは相補的なDNA及びRNAと二重鎖を形成可能であり、その安定性はSNAよりも高いことが明らかとなった。
【実施例】
【0078】
<実施例2>
次に、実施例1と同様の手順で15merのL-aTNAを合成し、二重鎖安定性評価を行った。図4は、合成した“L-aTN15a”、及び対応するDNA、RNA、SNAの配列及び合成方向を示している。また、表2はオリゴヌクレオチドの組み合わせと融解温度を示している。
【実施例】
【0079】
【表2】
JP2016130232A_000043t.gif
【実施例】
【0080】
表2から明らかなように、15merの配列を持つL-aTNAについても相補配列を持つDNA及びRNAとの融解曲線において融解温度が算出された。その結果、L-aTNAはこれらと極めて安定な逆平行型二重鎖を形成し、その融解温度はSNAよりも高いことが明らかとなった。すなわち、L-aTNAは15merの配列であってもDNA、RNAと安定な二重鎖を形成可能であることが分かった。
【実施例】
【0081】
更に、L-aTN8a/DN8cの融解温度が28.4℃であるのに対して、配列を長くしたL-aTN15a/DN15cの融解温度は43.7℃と高くなっていた。同様に、L-aTN8a/RN8cの融解温度が41.0℃であるのに対して、配列を長くしたL-aTN15a/RN15cの融解温度は51.5℃と高くなっていた。これは、L-aTNAが長くなるほど、DNA又はRNAと水素結合する分子数が多くなったためである。したがって、例えば、核酸中に式(1)で表わされる骨格を組み込む際にも、組み込む骨格の数に応じて融解温度の調整をすることができる。
【実施例】
【0082】
[iL-Threoninol-azobenzene導入オリゴヌクレオチドの合成]
<実施例3>
上記実施例1及び2に示すとおり、式(1)で表される骨格を含む人工核酸を含むオリゴヌクレオチドは熱安定性が向上したことから、式(1)の2’のNH及び3’のメチル基の立体配置と同様の骨格に、塩基に代え光機能性分子を導入した化合物を含むオリゴヌクレオチドを合成し、オリゴヌクレオチドの光制御について調べた。なお、式(1)の2’のNH及び3’のメチル基と同様の立体配置となるようにL-Threoninol-azobenzeneをDNA又はRNAに導入したオリゴヌクレオチドには、“i”を付してある。
【実施例】
【0083】
[iL-Threoninol-azobenzene導入オリゴヌクレオチドに対応するアミダイトモノマーの合成]
アミダイトモノマーは、以下のスキームに従い合成した。
【実施例】
【0084】
【化41】
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【実施例】
【0085】
(a)TFA(トリフルオロ酢酸)保護
L-Threoninol methyl ester hydrochloride化合物2-1 13g(76.6mmol)をフラスコに入れ、MeOH 100mlに溶かし、Triethylamine 14mlを加えた。氷浴上でEthyl Trifluoroacetate 12ml(101mmol)を滴下し、30min撹拌した後、室温で1h撹拌した。アセトン100ml+ジエチルエーテル100mlに懸濁させ、氷浴で冷やし、ろ過により固体を除去して減圧濃縮・真空乾燥し、アセトニトリル共沸を行い、化合物2-2(24g、収率quant.)を得た。
【実施例】
【0086】
(b)DMT保護、(c)還元反応
二口フラスコに化合物2-2 24g(76.6mmol)、DMAP 1.85g(15.1mmol)を入れて窒素置換し、dry pyridine 60ml、DIPEA 15mlを加え溶かした。DMT-Cl 25g(73.8mmol)を加えて65℃で終夜撹拌した。その後減圧濃縮し、酢酸エチル200mlを加え、蒸留水、2%クエン酸水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で順次有機層を洗い、減圧濃縮・真空乾燥した。得られた化合物2-3を含む粘性液体をTHF 50mlに溶かした。別の容器にLiCl 3.2g(75.5mmol)をとり、MeOH 10mlに溶かして冷やしてから氷浴上で反応容器に加えた。これを5回繰り返した(計377mmol)。別の容器でNaBH2.2g(58.2mmol)をとり、MeOH 10ml程度で溶かし、室温で反応容器に加えた。反応溶液が高温になった場合は氷浴で適度に冷やした。これを7回繰り返した(計407mmol)。2h反応させた後、飽和重曹水150mlと水150mlを加えて5min撹拌した。クロロホルムで分液抽出し、有機層を回収して硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧濃縮・真空乾燥した。これをシリカゲルクロマトグラフィー(酢エチ/TEA3%→クロロホルム:メタノール=30:1/TEA3%→クロロホルム:メタノール=20:1/TEA3%)で精製した。アセトニトリル及びジエチルエーテルで共沸し、減圧濃縮・真空乾燥し化合物2-4(7.89g:19.4mmol,収率25%)を得た。
【実施例】
【0087】
(d)Azobenzeneとの縮合
フラスコに化合物2-4(1.00g,2.5mmol)、4-フェニルアゾ安息香酸(0.70g,3.1mmol)及びトリエチルアミン(1.5ml)を入れ、DMF約10mlに溶解させた。次にDMT-MM(1.05g,3.8mmol)を加え、1時間室温で攪拌し反応させた。反応終了後、クロロホルム10mlを加え30min撹拌した後、過剰量の酢酸エチルを加え、飽和重曹水及び飽和食塩水で分液抽出した。有機層を減圧濃縮、真空乾燥し、シリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン・酢酸エチル)で精製し、化合物2-5(1.03g:1.7mmol,収率68%)を得た。
【実施例】
【0088】
(e)アミダイト化
二口フラスコに化合物2-5(0.90g,1.5mmol)を入れ、窒素置換した後、脱水ジクロロメタン約10mlに溶解させトリエチルアミン1.2mlを加えた。続いて氷浴上で2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジト(0.7ml,2.2mmol)を滴下し、攪拌した。約20分反応させた後、酢酸エチル約60mlを加え、飽和重曹水及び飽和食塩水で分液を行った。有機層を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン・酢酸エチル トリエチルアミン3%)で精製し、化合物2-6(0.63g:0.77mmol,収率51%)を得た。
【実施例】
【0089】
[iL-Threoninol-azobenzene導入オリゴヌクレオチドの二重鎖安定性評価]
iL-Threoninol-azobenzene(XiLT)導入オリゴヌクレオチドは、ネイチャー・プロトコルズ誌(Nature Protocols)、2007年、第2巻、203-212頁に記載の方法により合成した。次いで、合成したオリゴヌクレオチドの融解温度を測定し、二重鎖安定性を評価した。合成したiL-Threoninol-azobenzene導入オリゴヌクレオチドの配列(X-1A,X-111A,X-3A,X-1B,X-111B,X-3B;X=XiLT)を以下に示す。配列中のXには、式(XiLT)で表わされる化合物が含まれている。
【実施例】
【0090】
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【実施例】
【0091】
【化42】
JP2016130232A_000046t.gif
【実施例】
【0092】
また、比較のため、上記配列中のXの位置に、上記式(XiLT)で表される化合物に代え、下記式(X)で表されるSerinol-azobenzene及び下記式(XDT)で表されるD-Threoninol-azobenzeneを同じ位置に導入した配列も合成した。XDTはネイチャー・プロトコルズ誌(Nature Protocols)、2007年、第2巻、203-212頁に記載されている方法、XsはChemBioChem,2015,16,1298-1301に記載された方法に準じて合成した。
【実施例】
【0093】
【化43】
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【実施例】
【0094】
二重鎖安定性の評価は、実施例1と同様の手順で行った。
【実施例】
【0095】
まず、Xを付加的に導入(wedge型)したDNAで比較した結果を下記表3に示す。X-1A/S0配列の二重鎖の融解温度を測定した結果、従来のXDT導入オリゴヌクレオチドに対し、XiLT導入オリゴヌクレオチドは可視光照射後の融解温度が安定化(50.2℃)し、紫外光照射後の融解温度が低下(39.9℃)した。その結果、従来のXDT導入オリゴヌクレオチドに比べ4℃程度も高い光制御能を示した(-10.3℃)。同様に、111A/S0においても5℃近く光制御能が向上した。また、X導入オリゴヌクレオチドと比べても明らかに高い光制御能を有していることが示された。以上のように、アゾベンゼンをオリゴヌクレオチドに付加的に導入する場合、XiLTはX及びXDTに比べてtrans体で二重鎖をより安定化、cis体でより不安定化させるため、高い光制御能を付与できることが明らかとなった。
【実施例】
【0096】
【表3】
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【実施例】
【0097】
次に、dimer型で導入した場合を比較した結果を下記表4に示す。X-1A/X-1BではXiLTの方がXDTに比べ可視光照射後の融解温度が若干低下(50.8℃)したものの、紫外光照射後の融解温度がそれ以上に低下(38.2℃)し、光制御能としては高い値となった。X-111A/X-111Bでも同様の傾向が見られた。
【実施例】
【0098】
【表4】
JP2016130232A_000049t.gif
【実施例】
【0099】
次に、cluster型で導入した場合を比較した結果を下記表5に示す。dimer型と同様、XiLTの方がXDTに比べ可視光照射後の融解温度が若干低下(54.3℃)したものの、紫外光照射後の融解温度がそれ以上に低下(39.6℃)し、光制御能としては高い値(-14.7℃)となった。従って、アゾベンゼンをdimer型またはcluster型で導入する場合、XiLTはX及びXDTに比べてcis体で二重鎖を不安定化する効果により、高い光制御能を付与できることが示された。
以上のように、アゾベンゼンをオリゴヌクレオチドに導入する場合、XやXDTではなく、XiLTで導入すると最も高い光制御能を示すことが明らかとなった。また、iL-Threoninolは、付加的に色素を導入するのに最も適したリンカーであることが示された。
【実施例】
【0100】
【表5】
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【実施例】
【0101】
<実施例4>
実施例1及び2は、式(11)で表されるアミダイトモノマーのみを用いてオリゴヌクレオチドを合成したが、次に、式(13)で表されるアミダイトモノマーと核酸を用いてオリゴヌクレオチドの合成を行った。
【実施例】
【0102】
[iL-aTNA導入オリゴヌクレオチドに対応するアミダイトモノマーの合成]
各核酸塩基を有するアミダイトモノマーは、以下の手順に従い合成した。
【実施例】
【0103】
【化44】
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【実施例】
【0104】
化合物3-1は実施例3に記載の方法により合成した。また、化合物3-2(BzA),3-2(BzC)及び3-2(iBuG)はそれぞれジャーナルオブペプチドサイエンス(Journal of Peptide Science)誌2001年7巻402-412頁、ヌレクイックアシッズリサーチ(Nucleic Acids Research)誌1998年26巻2735-2739頁及びジャーナルオブケミカルソサエティパーキントランザクションズ1(Journal of the Chemical Society Perkin Transactions 1)誌2000年1巻19-26頁にそれぞれ記載の方法で合成した。フラスコに化合物3-1(1.63g,4.0mmol)と化合物3-2(BzC)(1.31g,4.8mmol)及びトリエチルアミン(2.8ml)を入れ、DMF約30mlに溶解させた。次にDMT-MM(1.60g,5.8mmol)を加え、2時間室温で攪拌し反応させた。反応終了後、クロロホルム30mlを加え30min撹拌した。クロロホルムで希釈し、飽和重曹水及び飽和食塩水で分液した。有機層を減圧濃縮、真空乾燥した。これをシリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:クロロホルム:メタノール=30:1)で精製後、クロロホルム20mlに溶解させ、ジエチルエーテル100mLに滴下し再沈殿し、濾過により化合物3-3(BzC)(1.27g:1.91mmol,収率48%)を得た。同様の手法で化合物3-3(BzA),3-3(T)及び3-3(iBuG)をそれぞれ収率45%、93%及び60%で得た。
【実施例】
【0105】
ナスフラスコに化合物3-3(T)(0.80g,1.2mmol)を入れ、窒素置換した後、脱水ジクロロメタン約10mlに溶解させトリエチルアミン0.82mLを加えた。続いて氷浴上で2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジト(0.50ml,2.4mmol)を滴下し、攪拌した。約20分反応させた後、酢酸エチル約60mlを加え、飽和重曹水及び飽和食塩水で分液を行った。有機層をエバポレーションした後、シリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:ヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン=20:90:3)で精製し、化合物3-4(T)(0.74g:0.91mmol,収率76%)を得た。同様の手法で化合物3-4(BzA),3-4(BzC)及び3-4(iBuG)をそれぞれ収率37%、67%及び72%で得た。
【実施例】
【0106】
iL-aTNAを含むオリゴマヌクレオチドの合成は米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)2010年132巻14702-14703頁記載の方法により行った。
【実施例】
【0107】
[iL-aTNA導入オリゴヌクレオチドの二重鎖安定性の評価]
iL-aTNA導入オリゴヌクレオチドの融解温度を測定し、RNAとの二重鎖安定性を評価した。合成したiL-aTNA導入オリゴヌクレオチドの配列(Lc6473-iL1-1,Lc6473-iL2-2,Lc6473-iL3-3)を以下に示す。また、比較のため、以下に示すSNAを同じ位置に導入した配列(Lc6473-S1-1,Lc6473-S2-2,Lc6473-S3-3)も合成した。
【実施例】
【0108】
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【実施例】
【0109】
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【実施例】
【0110】
[融解温度の測定]
溶融温度の測定は、実施例1と同様の手順で行った。
【実施例】
【0111】
融解温度を測定した結果を下記表6に示す。SNAでは導入数の増加に伴い二重鎖が不安定化していたが、iL-aTNA導入オリゴヌクレオチドの場合、導入に伴う融解温度の減少が抑制された(iL1-1:+0.2℃、iL2-2:+0.2℃、iL3-3:+1.7℃)。これは設計通り、iL-aTNA導入オリゴヌクレオチドの1’のメチル基が適切な剛直性を誘発し、SNAに比べ二重鎖形成時のエントロピーロスが減少したためであると考えられる。以上の結果からオリゴヌクレオチドに人工核酸を導入する場合、iL-aTNAはSNAに比べ二重鎖を不安定化しにくいことが明らかとなった。
【実施例】
【0112】
【表6】
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【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の人工核酸を含むオリゴヌクレオチドは、標的となるDNA又はRNAを配列特異的に認識して二重鎖を形成でき、更に、従来の人工核酸を用いたオリゴヌクレオチドより熱安定性が向上する。したがって、医薬や診断薬等の用途に適用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3