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明細書 :記録媒体およびホログラム記録再生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-219078 (P2016-219078A)
公開日 平成28年12月22日(2016.12.22)
発明の名称または考案の名称 記録媒体およびホログラム記録再生装置
国際特許分類 G11B   7/0065      (2006.01)
G11B   7/007       (2006.01)
G11B   7/135       (2012.01)
G11B   7/24035     (2013.01)
G11B   7/24097     (2013.01)
G11B   7/0045      (2006.01)
G03H   1/22        (2006.01)
FI G11B 7/0065
G11B 7/007
G11B 7/135 Z
G11B 7/24 522L
G11B 7/24 571C
G11B 7/0045 D
G03H 1/22
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2015-102691 (P2015-102691)
出願日 平成27年5月20日(2015.5.20)
発明者または考案者 【氏名】山本 学
【氏名】吉田 周平
【氏名】谷口 淳
出願人 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100078754、【弁理士】、【氏名又は名称】大井 正彦
審査請求 未請求
テーマコード 2K008
5D029
5D090
5D789
Fターム 2K008AA04
2K008BB04
2K008CC01
2K008CC03
2K008FF17
5D029JB11
5D029JB45
5D029PA04
5D090BB16
5D090CC14
5D090FF31
5D090GG17
5D090GG21
5D090KK12
5D090LL02
5D789AA01
5D789AA40
5D789EC10
5D789EC26
5D789EC43
5D789JA62
5D789JA66
5D789JA70
5D789KA03
5D789KA09
要約 【課題】データ情報の記録および再生に用いられる光によって再生することのできる、大容量の標識部を有し、標識部において高い信号対雑音比が得られる記録媒体を提供すること、およびデータ情報の記録および再生に用いられる光により、大容量の標識部を有する記録媒体の標識情報を確実に再生することのできるホログラム記録再生装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の記録媒体は、標識部が、多階調の深さ制御によって形成された位相ホログラムによって構成されており、前記ホログラム記録再生装置を構成する、データ情報を記録および再生するために用いられる前記光学機構からの光により、標識情報が再生されるものであることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
記録再生光源および当該記録再生光源からの光を信号光と参照光とに分割する光分離手段を有する光学機構が設けられた、信号光と参照光とを干渉させてデータ情報を記録するホログラム記録再生装置において用いられる、標識情報が記録された標識部が設けられた記録媒体において、
前記標識部は、多階調の深さ制御によって形成された位相ホログラムによって構成されており、前記ホログラム記録再生装置を構成する、データ情報を記録および再生するために用いられる前記光学機構からの光により、標識情報が再生されるものであることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
データ情報を担持した信号光と参照光を干渉させ、得られた干渉縞を、標識情報が記録された標識部が設けられた記録媒体に、データ情報として記録すると共に、データ情報が記録された記録媒体に対し、当該参照光を照射することにより当該データ情報を再生するホログラム記録再生装置において、
標識部が多階調の深さ制御によって形成された多重記録された位相ホログラムによって構成された記録媒体と当該記録媒体に記録された情報の再生画像の結像位置との間に、当該多重記録された位相ホログラムにおける任意の2つのホログラムの間で直交する開口パターンが形成された開口パターン形成部材が設けられており、当該2つのホログラムを、データ情報を記録および再生するために用いられる参照光で選択的に再生するものであることを特徴とするホログラム記録再生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体およびホログラム記録再生装置に関する。更に詳しくは、2次元化されたデジタルビットパターンをホログラムとして多重に記録することにより大容量光メモリを構成する上で必要とされる標識情報が記録された標識部が設けられた記録媒体、および当該記録媒体に記録された標識情報を再生することのできるホログラム記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホログラムを用いてデジタル情報を二次元的に記録再生するホログラム記録再生装置が提案されている。このホログラム記録再生装置においては、デジタル情報を記録する場合には、複数の画素よりなる空間光変調器で変調された、デジタル情報(データ情報)を担持した信号光と、当該信号光とコヒーレントな参照光とを記録媒体内で干渉させることによりホログラムを形成し、そのホログラムを前記デジタル情報として記録する。また、記録媒体に記録されたデジタル情報を再生する場合には、記録に用いた参照光をホログラムに照射することにより、回折光を発生させCCD(撮像素子)上に、ホログラムとして記録されているデジタル情報の画像を形成させる。
【0003】
このようなホログラム記録再生方法において、具体的なホログラム記録法としては、角度多重記録方式、球面参照光シフト多重記録方式およびスペックル参照光多重記録方式などが挙げられる。
【0004】
角度多重記録方式によるホログラム記録法は、記録媒体に対する参照光の照射角度をわずかずつ変更させ、当該記録媒体における或る一領域にホログラムの多重記録を行う。記録媒体の厚みが厚い(具体的には、1mm以上)場合には、ブラッグ回折条件が角度的に厳しくなり、角度が0.1°程度でブラッグ回折角条件が外れて読み出しが不可能となる。この原理を利用して、記録媒体において、同一領域に数百個のホログラムを記録(多重記録)する。この角度多重記録方式においては、多重記録をブック単位で行う。すなわち、或る一領域においてホログラムの多重記録を行った後、光(信号光および参照光)の照射領域を変更し、当該一領域とは重ならない他の一領域において新たなホログラムの多重記録をブック単位で順次に行う。
【0005】
スペックル参照光多重記録方式によるホログラム記録法は、参照光スペックルパターンで変調されている。このスペックルパターンで変調された参照光と信号光とが記録媒体で干渉し、ホログラムが記録される。このため、記録媒体に記録されたホログラムを再生する際には、参照光が記録時と同様のスペックルパターンである場合のみ再生が可能となる。而して、記録媒体をわずかな距離(具体的には、10μm程度)シフトさせると、スペックルパターンの一致(スペックルパターンの相関)が崩れてホログラムの再生が不可能となる。この原理を利用して、ホログラムの多重記録を、記録媒体をシフトさせて行う。すなわち、わずかに記録媒体をシフトさせるだけで新たなホログラムの記録が可能となってシフト多重記録を繰り返すことができる。
【0006】
球面参照光シフト多重記録方式によるホログラム記録法は、参照光を球面波とすること以外は、前記のスペックル参照光多重記録方式と同様に、記録媒体をわずかにシフトさせて多重記録を行う。参照光を球面波とすることにより、スペックルパターンと同様な効果が発揮され、記録媒体をわずかな距離シフトさせるだけでホログラムが再生されず、新たなホログラムを記録することが可能となってシフト多重記録を繰り返すことができる。
【0007】
このような多重記録方式においては、記録媒体、具体的には例えば光反応性モノマーよりなる記録層にホログラムを多重に記録する。このようなホログラムの記録あるいは再生を行う場合には、記録媒体上に、当該記録媒体における場所を特定する位置情報などの標識情報が設定されている必要がある。これらの標識情報は、特に重要な情報であり、絶対的に検出される必要があることから、高い信号対雑音比が求められる。従って、標識用基板に埋め込まれたROM情報が適当である。従来、光ディスクの位置決め技術がホログラムの記録媒体にも適用されている。具体的には、例えば、標識用基板に、光ディスクと同様な案内溝あるいはマーカを埋め込み、記録媒体が感光しない赤色レーザで位置決め、例えばトラッキングやフォーカシング、あるいは位置情報の検出を行わせている。具体的には、位置決め信号あるいは位置決め情報などの標識情報は、光ディスクと同様に、案内溝に追随して赤色レーザが検出し、レンズ等を制御する。この場合には、凹凸の案内溝の上でホログラムを記録再生すると、ホログラムを記録する記録層がこのような案内溝の影響を受けることによって位相情報が大きく乱されることにより、再生像が劣化する。すなわち、良好なホログラムの記録再生が困難となる。
【0008】
そこで、図14に示すように、標識用基板18に形成された案内溝18Aを再生する光として、ホログラムが形成される記録層12を構成する光反応性ポリマーが感光しない赤色レーザ2を用いると共に、記録媒体に波長選択性反射膜19を設置することが行われている。このような記録媒体においては、波長選択性反射膜19によって領域が分断されており、ホログラム記録再生に用いる青色レーザ1は波長選択性反射膜19に反射されるため、良好なホログラム記録再生が行われる。
しかしながら、このような記録媒体を用いる方式においては、記録媒体の構成が複雑で作製技術が難しく、またホログラム記録再生装置において、青色レーザ用光学系と赤色レーザ用光学系を別々に保持する必要があり、光学系が複雑となる欠点がある。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2008-197573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来より採用されていた方法においては、記録再生用として青色レーザ、位置決め用として赤色レーザと、2波長の光を用いることから、記録再生用の光学ヘッド光学系の他に、位置決め用に新たな光学ヘッド光学系を備える必要があった。これはさらなる光学部品の増加、機構系の設置が必要であり、コスト的に大きな負担となる。また,青色レーザおよび赤色レーザをそれぞれコントロールする制御機構も要求される。また、記録媒体に関しては、前述したように、2波長を分離する波長選択性反射膜が必要になるなど記録媒体作製の上でも、製造の難しさ、高コスト化が避けられない。
【0011】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、本発明の目的は、データ情報の記録および再生に用いられる光によって再生することのできる、大容量の標識部を有し、標識部において高い信号対雑音比が得られる記録媒体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、データ情報の記録および再生に用いられる光により、大容量の標識部を有する記録媒体の標識情報を確実に再生することのできるホログラム記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の記録媒体は、記録再生光源および当該記録再生光源からの光を信号光と参照光とに分割する光分離手段を有する光学機構が設けられた、信号光と参照光とを干渉させてデータ情報を記録するホログラム記録再生装置において用いられる、標識情報が記録された標識部が設けられた記録媒体において、
前記標識部は、多階調の深さ制御によって形成された位相ホログラムによって構成されており、前記ホログラム記録再生装置を構成する、データ情報を記録および再生するために用いられる前記光学機構からの光により、標識情報が再生されるものであることを特徴とする。
【0013】
本発明のホログラム記録再生装置は、データ情報を担持した信号光と参照光を干渉させ、得られた干渉縞を、標識情報が記録された標識部が設けられた記録媒体に、データ情報として記録すると共に、データ情報が記録された記録媒体に対し、当該参照光を照射することにより当該データ情報を再生するホログラム記録再生装置において、
標識部が多階調の深さ制御によって形成された多重記録された位相ホログラムによって構成された記録媒体と当該記録媒体に記録された情報の再生画像の結像位置との間に、当該多重記録された位相ホログラムにおける任意の2つのホログラムの間で直交する開口パターンが形成された開口パターン形成部材が設けられており、当該2つのホログラムを、データ情報を記録および再生するために用いられる参照光で選択的に再生するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の記録媒体によれば、位置情報、フォーマット情報およびデータ情報などの標識情報を大容量で記録することができると共に、標識部において高い信号対雑音比を得ることができる。さらに、記録再生光学系を何ら変更することなく、同様の光学系によって標識情報の再生が可能である。また、波長選択性反射膜を設けることが不要であり低コスト化につながる。また、2波長のレーザ光源を使う必要がないため、光学系の低コスト化に貢献できる。
【0015】
本発明のホログラム記録再生装置によれば、標識情報が複数のホログラムよりなるものであっても、記録再生光学系を何ら変更することなく、同様の光学系によって標識情報の再生が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の記録媒体の構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の記録媒体の構成の他の例を示す説明図である。
【図3】本発明の記録媒体における標識部を作製するための位相分布を示す説明図である。
【図4】本発明の記録媒体において、図3に示した位相分布によって作製される標識部に記録された情報を示す説明図である。
【図5】本発明の記録媒体における標識部に係る多諧調の凹凸を示す説明図である。
【図6】本発明の記録媒体における標識部を構成する位置検出マーカの再生像を示す説明図である。
【図7】本発明の記録媒体における標識部を構成する位置検出マーカの間に設置されたデータパターンの再生像を示す説明図である。
【図8】本発明の記録媒体の製造方法を説明するための説明図である。
【図9】本発明のホログラム記録再生装置の構成の一例の要部を示す説明図である。
【図10】本発明のホログラム記録再生装置を用いて再生した再生像の一例を示す図である。
【図11】本発明のホログラム記録再生装置を用いて再生した再生像の他の例を示す図である。
【図12】本発明のホログラム記録再生装置を用いて再生した再生像の更に他の例を示す図である。
【図13】図10~図12に示した再生像を得るために用いた開口を示す説明図である。
【図14】従来の記録媒体の構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。

【0018】
〔本発明の記録媒体〕
本発明の記録媒体は、記録再生光源および当該記録再生光源からの光を信号光と参照光とに分割する光分離手段を有する光学機構が設けられた、信号光と参照光とを干渉させてデータ情報を記録するホログラム記録再生装置において用いられ、例えば記録媒体における場所を特定する位置情報などの標識情報が記録された標識部が設けられたものである。そして、標識部が、多階調の深さ制御によって形成された位相ホログラムによって構成されており、ホログラム記録再生装置を構成する、データ情報を記録および再生するために用いられる光学機構からの光により、標識情報が再生されるものであることを特徴とする。
ここに、本発明において、「多階調の深さ制御によって形成された位相ホログラム」は、多階調の深さ制御によって形成された多重記録された位相ホログラムを包含する概念である。

【0019】
本発明の記録媒体の具体例について、図を用いて説明する。

【0020】
図1は、本発明の記録媒体の構成の一例を示す説明図である。
この記録媒体10は、透過型のものである。
記録媒体10は、光透過層11上に、記録層12と標識用基板13とがこの順に積層されたものである。
この記録媒体10を構成する標識用基板13には、記録層12との界面を構成する表面(図1における上面)に、多階調(具体的には、4~8階調)の深さ制御によって形成された位相ホログラム20よりなる標識部が設けられている。この標識部には、ROM情報が記録されている。

【0021】
この記録媒体10において、記録層12は、光反応性モノマーよりなるものである。この光反応性モノマーは、光が照射されるとポリマーに変換され、その結果、屈折率が異なる領域が形成され、それがホログラムとなるものである。
記録層12の厚みは、記録再生能の観点から、0.3~2.0mmとされ、好ましくは0.5~1.0mmである。
光透過層11は、記録層12を支持するための基層である。この光透過層11としては、光透過性基板を用いることもできる。

【0022】
図2は、本発明の記録媒体の構成の他の例を示す説明図である。
この記録媒体15は、反射型のものである。
記録媒体15は、反射層14が設けられていること以外は、図1に係る記録媒体10と同様の構成を有するものである。また、この記録媒体15において、記録層12、光透過層11および標識用基板13は、基本的に、記録媒体10における記録層12、光透過層11および標識用基板13と同様である。

【0023】
記録媒体15は、光透過層11上に、記録層12と標識用基板13と反射層14とがこの順に積層されたものである。
この記録媒体15を構成する標識用基板13には、記録層12との界面を構成する表面(図2における上面)に、多階調(具体的には、4~8階調)の深さ制御によって形成された位相ホログラム20よりなる標識部が設けられている。この標識部には、ROM情報が記録されている。

【0024】
この記録媒体15において、反射層14は、例えば蒸着膜よりなるものである。この反射層の材質としては、少なくとも再生光を反射することのできるものが用いられる。
ここに、反射型の記録媒体15は、反射層14が、図2に示すように標識用基板13の裏面(図2における下面)に配設されたものであってもよく、また記録層12と標識用基板13との間に配設されてなる構成のものであってもよい。

【0025】
本発明の記録媒体において、標識情報としてのROM情報の記録には、位相ホログラムを記録媒体(標識用基板)に形成する。
ここに、図3に、ROM情報を作製するために計算された位相分布を示す。これは、例として、図4に示す「TUS」の文字を再生できるように記録媒体に埋め込まれる位相の分布であり、この段階ではアナログ的である。

【0026】
このような位相分布を有する位相ホログラムを記録媒体(標識用基板)に作製する場合には、各微細領域に分割し、それぞれの微細領域を多階調の位相量で量子化し、それを多階調の凹凸として標識用基板に形成する。

【0027】
多階調の凹凸は、図5に示すように、凹凸の深さが位相量により異なる。凹凸の深さは、下記の数式(1)または下記の数式(2)によって算出される。ここに、数式(1)は、透過型の記録媒体における凹凸の深さを算出するためのものであり、数式(2)は、反射型の記録媒体における凹凸の深さを算出するためのものである。
なお、図5において、「Λ」はサンプリング間隔を示す。

【0028】
【数1】
JP2016219078A_000003t.gif

【0029】
【数2】
JP2016219078A_000004t.gif

【0030】
上記の数式(1)および上記の数式(2)において、hはレリーフの厚み〔nm〕、nは屈折率、φはホログラムの位相、λは波長〔nm〕である。

【0031】
このような多階調の凹凸は、レーザの波長、標識用基板の屈折率あるいは与えるべき位相量に従って作製される。
そして、このような多階調の凹凸に対して、データ情報の記録および再生に用いる参照光を照射すると、記録層に記録された再生像と同様に、撮像素子(具体的には、例えばCCD)で容易に検出できる。
ここに、図6に、位置検出マーカの再生像を検出した例を示し、図7に、位置検出マーカの間に設置されたデータパターンの再生例を示す。

【0032】
本発明の記録媒体においては、上記のようなROM情報が、記録すべきホログラムの径と同程度の範囲で標識用基板内に埋め込まれる。記録すべきホログラムの径は、例えば0.5mm程度である。

【0033】
本発明の記録媒体において、標識部を構成する位相ホログラム(ROM情報)を形成する方法について、図を用いて説明する。
図8は、標識情報としてROM情報を記録した標識部を、ナノインプリント法によって形成する方法を示すものである。但し、図8はスタンパ用のナノインプリントモールドを作製する方法であり、実際の標識用基板への埋め込みは、このモールドを用いてナノインプリントで行われる。
ナノインプリントモールドの製造方法は、先ず、図8(a)に示すように、プリントモールド材料30Aに対して電子ビーム描画によって多階調の凹凸31を作製する。多階調は電子ビームの露光量を変えることで作製される。次いで、凹凸31を作製したプリントモールド材料30Aをベーキングした後、現像処理することにより、図8(b)に示すようなナノインプリントモールド30が作製される。

【0034】
以上の本発明の記録媒体によれば、位置情報、フォーマット情報およびデータ情報などの標識情報を大容量で記録することができると共に、当該標識情報を構成する位相ホログラムが多階調の深さ制御で作製されたものであることから、高い信号対雑音比を得ることができる。ここに、高い信号対雑音比が得られる理由は、階調が多いほど信号出力が高くなり、信号対雑音比が向上するためである。さらに、記録再生光学系を何ら変更することなく、同様の光学系によって標識情報の再生が可能である。また、波長選択性反射膜を設けることが不要であり低コスト化につながる。また、2波長のレーザ光源を使う必要がないため、光学系の低コスト化に貢献できる。

【0035】
〔本発明のホログラム記録再生装置〕
本発明のホログラム記録再生装置は、記録媒体として、本発明の記録媒体であって、標識部が多重記録された位相ホログラムによって構成されたものが用いられる場合に有効に用いられるものである。すなわち、記録媒体における標識情報の情報量が1個の位相ホログラムでは足りない量である場合に有効に用いられるものである。
この本発明のホログラム記録再生装置は、データ情報を担持した信号光と参照光を干渉させ、得られた干渉縞を、標識情報が記録された標識部が設けられた記録媒体に、データ情報として記録すると共に、データ情報が記録された記録媒体に対し、当該参照光を照射することにより当該データ情報を再生するものである。そして、標識部が多階調の深さ制御によって形成された多重記録された位相ホログラムによって構成された記録媒体と当該記録媒体に記録された情報の再生画像の結像位置との間に、当該多重記録された位相ホログラムにおける任意の2つのホログラムの間で直交する開口パターンが形成された開口パターン形成部材が設けられており、当該2つのホログラムを、データ情報を記録および再生するために用いられる参照光で選択的に再生するものであることを特徴とする。

【0036】
図9は、本発明のホログラム記録再生装置の構成の一例の要部を示す説明図である。
この図9に係るホログラム記録再生装置は、多重記録された位相ホログラム60よりなる標識部を有する記録媒体50における記録および再生に好適に用いられるものである。
図9において、記録媒体50は、基本的に、図1に係る記録媒体と同様の構成を有するものである。また、この記録媒体50において、記録層12、光透過層11および標識用基板13は、基本的に、記録媒体10における記録層12、光透過層11および標識用基板13と同様である。

【0037】
このホログラム記録再生装置には、記録再生光源(図示省略)と、当該記録再生光源からの光を信号光と参照光とに分割する光分離手段(図示省略)と、撮像素子(具体的には、例えばCCD)49とを備えた光学機構と共に、開口パターン形成部材40が設けられている。この開口パターン形成部材40には、多重記録された位相ホログラム60よりなる標識部を構成する複数のホログラムのうちの任意の2つのホログラムの間で直交する開口パターンが形成されている。
また、記録媒体50においては、多重記録された位相ホログラム60によって構成された標識部(ROM型ホログラム)は、再生時に多重化されたそれぞれのホログラムからの再生光が所定の平面上(具体的には、開口パターン形成部材40上)で光路が分離されるように記録パターンを作製している。
この図の例において、開口パターン形成部材40においては、開口41は、或る2つのホログラムの間で直交する開口である。また、同図において、光路L1、光路L2および光路L3は、位相ホログラム60から再生された回折光の光路を示す。

【0038】
以上の本発明のホログラム記録再生装置においては、記録媒体50における位相ホログラム60に対して、光学機構からの光(青色レーザ光)が照射されると、位相ホログラム60からは多重化されたホログラムのすべての再生光が一斉に発生する。しかしながら、それらの再生光は、開口41の平面上、すなわち開口パターン形成部材40上において異なる光路を通過するように設計されているため、開口パターン形成部材40によって取捨選択が可能である。開口パターン形成部材40の開口は、例えば液晶スイッチで構成される。そして、開口パターン形成部材40の開口パターンは、ホログラムからの再生光が通る開口が互いに直交するように設計されている。そのため、選択された再生光が撮像素子(具体的には、例えばCCD)49において検出される。

【0039】
本発明のホログラム記録再生装置によれば、標識情報が複数のホログラムよりなるものであっても、記録再生光学系を何ら変更することなく、同様の光学系によって標識情報の再生が可能である。

【0040】
具体的に、図9の構成を基本構造として有するホログラム記録再生装置を用い、標識部を多重記録された25個のホログラムによって形成した記録媒体に対して、データ情報を記録および再生するために用いられる青色レーザ(具体的には、参照光)を照射し、25個のホログラムを、それぞれ開口パターン形成部材における異なる開口で再生光を選択するシミュレーションを行った。その結果、25個のホログラムのうちの任意のものを選択的に再生できることが確認された。図10~図12に、25多重された位相ホログラムのうちの3個のホログラムの再生像が選択して再生された結果を示す。図10~図12においては、図13(a)に示す開口を選択することによって得られる再生像を図10に示し、図13(b)に示す開口を選択することによって得られる再生像を図11に示し、図13(c)に示す開口を選択することによって得られる再生像を図12に示す。
【符号の説明】
【0041】
10 記録媒体
11 光透過層
12 記録層
13 標識用基板
14 反射層
15 記録媒体
18 標識用基板
18A 案内溝
19 波長選択性反射膜
20 位相ホログラム
30 ナノインプリントモールド
30A プリントモールド材料
31 凹凸
40 開口パターン形成部材
41 開口
49 撮像素子
50 記録媒体
60 位相ホログラム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図5】
2
【図8】
3
【図9】
4
【図13】
5
【図14】
6
【図3】
7
【図4】
8
【図6】
9
【図7】
10
【図10】
11
【図11】
12
【図12】
13