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明細書 :輝度分布センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-163868 (P2015-163868A)
公開日 平成27年9月10日(2015.9.10)
発明の名称または考案の名称 輝度分布センサ
国際特許分類 G01J   1/42        (2006.01)
G08B  21/04        (2006.01)
G01J   1/04        (2006.01)
G01V   8/12        (2006.01)
FI G01J 1/42 K
G08B 21/04
G01J 1/04 A
G01V 9/04 G
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2015-012695 (P2015-012695)
出願日 平成27年1月26日(2015.1.26)
優先権出願番号 2014015741
優先日 平成26年1月30日(2014.1.30)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】中島 翔太
【氏名】田中 幹也
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001601、【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2G065
2G105
5C086
Fターム 2G065AA02
2G065AA11
2G065AB02
2G065AB04
2G065BA01
2G065BA33
2G065BB06
2G065BB07
2G065BB23
2G065BB25
2G065BB46
2G065BC33
2G065BC35
2G065BD01
2G065BD03
2G065DA20
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105EE02
2G105EE05
2G105GG01
2G105HH01
2G105KK01
2G105KK03
2G105KK06
5C086AA22
5C086BA01
5C086CA11
5C086CB15
要約 【課題】小さい設置コストで、かつ、特別なタグや携帯端末を用いることなく、対象者又は対象物の有無や動作状態の監視ができ、また、三次元的な広がりのある空間における輝度分布を監視できるにもかかわらず、プライバシーの保護が必要な場所に設置できる輝度分布センサを提供する。
【解決手段】監視対象空間3に対向する位置に配置されるラインセンサ1と、その監視対象空間側に所定距離をおいて配置されるスリット2と、前記ラインセンサの有する複数の受光素子からの光強度信号に基づいて、前記監視対象空間における対象者等の有無又は位置を判別する判別手段を備え、前記スリットは、前記ラインセンサの長手方向に延びる直線4を含み前記監視対象空間側に延びる延長平面5に対して所定角度で交差していることを特徴とする輝度分布センサ。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
監視対象空間における対象者又は対象物の有無、位置又は動作状態を監視するための輝度分布センサであって、
前記監視対象空間に対向する位置に設置されるラインセンサと、
該ラインセンサの前記監視対象空間側に所定距離をおいて設置されるスリットと、
前記ラインセンサの長手方向に配置されている複数の受光素子からの光強度信号に基づいて、前記監視対象空間における対象者若しくは対象物の有無又は前記監視対象空間の前記長手方向に沿う方向における前記対象者若しくは対象物の位置を判別する判別手段を備え、
前記スリットは、前記ラインセンサの長手方向に延びる直線を含み前記監視対象空間側に延びる延長平面に対して所定角度で交差している
ことを特徴とする輝度分布センサ。
【請求項2】
前記判別手段は、前記複数の受光素子における時系列の光強度を前記光強度信号に基づいて記憶する記憶手段を備え、該記憶手段が記憶した時系列の光強度に基づいて、前記対象者又は対象物の動作状態を判別することを特徴とする
請求項1に記載の輝度分布センサ。
【請求項3】
前記スリットは、前記延長平面に対して直交していることを特徴とする
請求項1又は2に記載の輝度分布センサ。
【請求項4】
前記スリットと前記ラインセンサを所定の位置関係を保って支持する支持部材を備えていることを特徴とする
請求項1ないし3のいずれかに記載の輝度分布センサ。
【請求項5】
前記スリットの前面又は背面を覆う棒状のレンズ若しくはカバー体を着脱可能に保持するマウント部材を備えていることを特徴とする
請求項1ないし4のいずれかに記載の輝度分布センサ。
【請求項6】
前記スリットの近傍に該スリットと平行に棒状のレンズを設置するとともに、前記スリットの前面又は背面を覆うスリット遮蔽体若しくはカバー体及び前記棒状のレンズの前面又は背面を覆うレンズ遮蔽体若しくはカバー体を、それぞれ着脱可能に保持するマウント部材を備えていることを特徴とする
請求項1ないし4のいずれかに記載の輝度分布センサ。
【請求項7】
前記棒状のレンズ若しくはカバー体は、可視光のみ又は赤外光のみを透過可能であることを特徴とする
請求項5又は6に記載の輝度分布センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、二次元画像を用いずに監視対象空間内における対象者又は対象物の有無、位置又は動作状態を把握することができる輝度分布センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視対象空間内における対象者又は対象物の有無、位置又は動作状態を把握するには、通常のカメラを用いた二次元画像が使用されているが、プライバシー保護の面から居宅などでの使用が制限されている。
一方、二次元画像を一次元画像に変換する方法も考えられるが、二次元画像を得る時点や得た後で二次元画像情報の流用や盗用が起き、画像を取得する場所によってはプライバシーを侵害するおそれがあった。
【0003】
そこで、複数の焦電センサを天井に配置して、対象者の動きを検知する提案がある。
また、特許文献1(特許第5115991号公報)には、対象者の体表面に電磁波を発するタグを取り付け、タグリーダーとのセットで、動きの状態を感知する提案や、対象者の行動空間にセンサ付きタグを設置して情報収集する提案が記載されている。
さらに、特許文献2(特開2012-48335号公報)には、対象者に携帯端末を所持させ、携帯端末12から発報される情報に基づいて対象者を監視する提案が記載されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第5115991号公報
【特許文献2】特開2012-48335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の焦電センサを天井に配置して、対象者の動きを検知する提案のものは、装置の取り付けに大掛かりな改修が必要であり、設置コストが大きかった。
また、特許文献1に記載されている提案のものは、対象者にタグを取り付ける煩わしさや、ペースメーカーへの悪影響の恐れがあった。
さらに、特許文献2に記載されている提案のものは、対象者が携帯端末を所持していないと監視することができなかった
この発明は、従来の各種提案における問題点を解消するため、小さい設置コストで、かつ、特別なタグや携帯端末を用いることなく、対象者又は対象物の有無、位置又は動作状態の監視ができる輝度分布センサを提供すること、及び三次元的な広がりのある空間における輝度分布を監視できるにもかかわらず、プライバシーの保護が必要な場所に設置できる輝度分布センサを提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
なお、本発明者らは、この発明に先立ち、監視対象空間内における対象物の有無、位置又は動作状態を把握することを目的として、ロッドレンズの焦点距離上にラインセンサを配置することによって輝度分布を取得する研究を実施した。
この手法は、一定の範囲に監視対象が存在する場合には精度良く対象物の有無、位置又は動作状態を把握できるという長所がある反面、ロッドレンズの焦点距離とサイズによって検知範囲や距離が限定されるため、応用範囲が限られるという問題のあることが分かっている。
この発明はロッドレンズとラインセンサを用いた輝度分布センサの問題点を解消するとともに、その長所を生かすことのできる輝度分布センサを提供すること、さらには特定範囲の波長による監視を可能とすることも目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、監視対象空間における対象者又は対象物の有無、位置又は動作状態を監視するための輝度分布センサであって、前記監視対象空間に対向する位置に設置されるラインセンサと、該ラインセンサの前記監視対象空間側に所定距離をおいて設置されるスリットと、前記ラインセンサの長手方向に配置されている複数の受光素子からの光強度信号に基づいて、前記監視対象空間における対象者若しくは対象物の有無又は前記監視対象空間の前記長手方向に沿う方向における前記対象者若しくは対象物の位置を判別する判別手段を備え、前記スリットは、前記ラインセンサの長手方向に延びる直線を含み前記監視対象空間側に延びる延長平面に対して所定角度で交差していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の輝度分布センサにおいて、前記複数の受光素子における時系列の光強度を前記光強度信号に基づいて記憶し、記憶した時系列の光強度に基づいて、前記対象者又は対象物の動作状態を判別することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の輝度分布センサにおいて、前記スリットは、前記延長平面に対して直交していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の輝度分布センサにおいて、前記スリットと前記ラインセンサを所定の位置関係を保って支持する支持部材を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の輝度分布センサにおいて、前記スリットの前面又は背面を覆う棒状のレンズ若しくはカバー体を着脱可能に保持するマウント部材を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の輝度分布センサにおいて、前記スリットの近傍に該スリットと平行に棒状のレンズを設置するとともに、前記スリットの前面又は背面を覆うスリット遮蔽体若しくはカバー体及び前記棒状のレンズの前面又は背面を覆うレンズ遮蔽体若しくはカバー体を、それぞれ着脱可能に保持するマウント部材を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に記載の輝度分布センサにおいて、前記棒状のレンズ若しくはカバー体は、可視光のみ又は赤外光のみを透過可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の輝度分布センサによれば、監視対象空間に対向する位置に設置されるラインセンサと、ラインセンサの監視対象空間側に所定距離をおいて設置されるスリットと、ラインセンサの長手方向に配置されている複数の受光素子からの光強度信号に基づいて、対象者又は対象物(以下単に「対象」という。)の有無又は位置を判別する判別手段を備えるだけで、監視対象空間における対象の有無や位置を判別できるので、小さい設置コストで、かつ、特別なタグや携帯端末を用いることなく、対象の有無や位置を監視することができる。
また、三次元的な広がりのある空間における対象の有無や位置を監視することができるにもかかわらず、得られる情報は一次元的な輝度分布情報のみなので、プライバシーの保護が必要な場所にも設置することができる。
さらに、スリットを用いているため、検知距離が限定されないという長所がある。検知範囲についても、ラインセンサを交換することなく、スリットの長さやラインセンサとスリットとの距離を変更するだけで対応可能である。
【0015】
請求項2に係る発明の輝度分布センサによれば、請求項1に係る発明の効果に加え、記憶した時系列の光強度に基づいて、対象の動作状態を判別することができるので、小さい設置コストで、かつ、特別なタグや携帯端末を用いることなく、対象の動作状態を監視することができる。
【0016】
請求項3に係る発明の輝度分布センサによれば、請求項1又は2に係る発明の効果に加え、スリットが、ラインセンサの長手方向に延びる直線を含み監視対象空間側に延びる延長平面に対して直交しているので、監視対象空間内の輝度分布が均一な場合、出力される輝度分布情報がラインセンサの長手方向において対称となる。
そのため、対象の位置を判別するに際して演算処理が容易であり、対象がラインセンサの長手方向のどの位置にあっても正確に判定することができる。
【0017】
請求項4に係る発明の輝度分布センサによれば、請求項1ないし3のいずれかに係る発明の効果に加え、スリットとラインセンサを所定の位置関係を保って支持する支持部材を備えているので、スリットとラインセンサの位置関係を容易に適正位置に保持できる。
この効果は、請求項5に係る発明においては、スリットの前面又は背面を覆う棒状のレンズを保持しない場合と保持する場合に合わせて、それぞれスリットとラインセンサの位置関係を調整できるようにし、請求項6に係る発明においては、スリットの前面又は背面を覆うスリット遮蔽体を保持する場合と棒状のレンズの前面又は背面を覆うレンズ遮蔽体を保持する場合に合わせて、それぞれスリットとラインセンサの位置関係を調整できるようにする調整部材をさらに備えることによって、スリットを用いる場合と棒状のレンズを用いる場合のいずれにも容易に対応可能となるため特に顕著となる。
【0018】
請求項5に係る発明の輝度分布センサによれば、請求項1ないし4のいずれかに係る発明の効果に加え、スリットの前面又は背面を覆う棒状のレンズ若しくはカバー体を着脱可能に保持するマウント部材を備えているので、監視目的や環境に合わせて、スリットを用いる態様、カバー体とスリットを用いる態様、棒状のレンズを用いる態様、及びカバー体と棒状のレンズを用いる態様のいずれかを選択し、的確に対象の有無、位置又は動作状態を監視することができる。
【0019】
請求項6に係る発明の輝度分布センサによれば、請求項1ないし4のいずれかに係る発明の効果に加え、スリットの近傍に該スリットと平行に棒状のレンズを設置するとともに、スリットの前面又は背面を覆うスリット遮蔽体若しくはカバー体及び棒状のレンズの前面又は背面を覆うレンズ遮蔽体若しくはカバー体を、それぞれ着脱可能に保持するマウント部材を備えているので、監視目的や環境に合わせて、スリットを用いる態様、カバー体とスリットを用いる態様、棒状のレンズを用いる態様、及びカバー体と棒状のレンズを用いる態様のいずれかを選択し、的確に対象の有無、位置又は動作状態を監視することができる。
【0020】
請求項7に係る発明の輝度分布センサによれば、請求項5又は6に係る発明の効果に加え、棒状のレンズ若しくはカバー体は、可視光のみ又は赤外光のみを透過可能であるので、監視目的や環境に合わせて、可視領域における光強度信号又は赤外領域における光強度信号に基づき、対象の有無、位置又は動作状態を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係るラインセンサ1とスリット2と監視対象空間3からラインセンサ1に入射する光の関係を示す図。
【図2】実施例1に係るラインセンサ1とスリット2と監視対象空間3の水平断面図。
【図3】対象が監視対象空間3内に存在していない場合において、実施例1に係るラインセンサ1の各受光素子によって検知される光強度を示すグラフ。
【図4】対象が監視対象空間3の右側に位置している場合において、実施例1に係るラインセンサ1の各受光素子によって検知される光強度を示すグラフ。
【図5】対象が監視対象空間3の中央に位置している場合において、実施例1に係るラインセンサ1の各受光素子によって検知される光強度を示すグラフ。
【図6】対象が監視対象空間3の左側に位置している場合において、実施例1に係るラインセンサ1の各受光素子によって検知される光強度を示すグラフ。
【図7】輝度分布センサの全体構成を示す図。
【図8】実施例2のスリット2にロッドレンズ12を保持させた状態の斜視図。
【図9】実施例2のスリット2にロッドレンズ12を保持させた状態の断面図。
【図10】スリット2とロッドレンズ17を併設した実施例3において、スリット2にスリット遮蔽体16を保持させた状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例1~3によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、実施例1に係る輝度分布センサのラインセンサ1とスリット2と監視対象空間3からラインセンサ1に入射する光の関係を示す図である。
ラインセンサ1は、長さ28.5mmで長手方向に2068個の受光素子が並んでおり、ほぼ水平に設置される。
スリット2は、幅40mm、高さ25mm、厚さ1mmの平板の中央に側辺と平行に長さ11mm、幅1mmの細長い孔を開けて形成されており、ラインセンサ1の長手方向に延びる直線4を含み監視対象空間3に向かって水平に延びる延長平面5と垂直に交差している。すなわち、スリット2は鉛直方向に配置されている。
また、延長平面5とスリット2はスリット2の中央で交差している。
【実施例1】
【0024】
そして、図1に示すように監視対象空間3の背面が平面の壁6であると仮定した場合、ラインセンサ1で輝度を計測できる監視対象空間3は、ラインセンサ1の左端とスリット2の下端を通る直線が壁6と交差する点R1、ラインセンサ1の右端とスリット2の下端を通る直線が壁6と交差する点L1、ラインセンサ1の左端とスリット2の上端を通る直線が壁6と交差する点R3、ラインセンサ1の右端とスリット2の上端を通る直線が壁6と交差する点L3、スリット2の下端及びスリット2の上端の6点で囲まれる空間となる。
【実施例1】
【0025】
監視対象空間3の壁6の幅X及び高さYは、図2に示すようにラインセンサ1の長さをx、スリット2の長さをy、ラインセンサ1とスリット2の距離をd、スリット2と壁6の距離をDとし、スリット2の幅sを無視した場合、次の式で表される。
X=x×D/d
Y=y×D/d
【実施例1】
【0026】
なお、検知できる幅Xはスリット2の幅s及び平板の厚さtにも関係し、検知できる角度をθ(deg)とすると、θ及びXは次の式で求められる。
θ=arctan{d/(x/2+s/2)}
ただし、下限はarctan(t/s)
X=2×D×tan(90°-θ)
ここで、実施例1においては、d=15.47mm、t=1mm、x=28.5mmであるので、これらの値を上記の式に代入するとともにs=0とすると、θ=47°となる。
そして、arctan(1/s)が47°となるsは0.92mmと計算されるので、sが0.92mm以上あれば、検知角度θが下限にかかることはない。そのため、実施例1においてはスリット幅を1mmとしてある。
【実施例1】
【0027】
監視対象空間3に対象が無い場合に、ラインセンサ1の左端にある受光素子S1に入射する光強度は、図1に示すように、R1からR2を通ってR3に至る線上の壁で反射される光の強度の和となり、ラインセンサ1の中央にある受光素子S2に入射する光強度は、同じく図1のC1からC2を通ってC3に至る線上の壁で反射される光の強度の和となり、ラインセンサ1の右端にある受光素子S3に入射する光強度は、同じく図1のL1からL2を通ってL3に至る線上の壁で反射される光の強度の和となる。
【実施例1】
【0028】
図3は、監視対象空間3に対象が無い場合において、各受光素子で発生する電荷量に対応するADU値のグラフである。横軸は受光素子が左側から何番目かを示し、縦軸の単位はADUである。
受光素子で発生する電荷量は入射する光の強度によって変化するので、図3は各受光素子によって検知される光強度を示すグラフということができる。
【実施例1】
【0029】
図4は、監視対象空間3の右側に対象が存在している場合における図3と同様のグラフである。
通常、対象は壁より反射率が低いので、図1から分かるように、監視対象空間3の右側に対象が存在している場合、その対象の存在している位置に対応するラインセンサ1の左側にある受光素子によって検知される光強度が下がることとなる。
そのため、グラフの左側の一部において点線で示す図3のグラフよりADU値が下がっている。
【実施例1】
【0030】
図5は、監視対象空間3の中央に対象が存在している場合における図3と同様のグラフである。
この場合、グラフの中央において点線で示す図3のグラフよりADU値が下がっている。
【実施例1】
【0031】
図6は、監視対象空間3の左側に対象が存在している場合における図3と同様のグラフである。
この場合、グラフの右側の一部において点線で示す図3のグラフよりADU値が下がっている。
【実施例1】
【0032】
図4~6においては、対象が監視対象空間3の左右方向のどこに存在しているかによって、その位置に対応した部分のADU値が下がっているが、対象が光を発している場合や、反射率の高いものである場合には、図3のグラフよりADU値が上がる場合もある。
しかし、いずれにしても対象が存在している場合には、図3のグラフに対して何らかの変動が生じるので、図3のグラフにおけるADU値(基準値)と実測されたADU値との差分を検証すれば、対象が監視対象空間3の左右方向のどこに存在しているかを判別することができる。
また、本実施例1では監視対象空間3の鉛直方向における光強度の和を各受光素子で検出するので、立っていた対象が倒れたりして横になった場合、左右方向の限定された位置のADU値が非常に低い状態から、左右方向の対象が倒れている位置のADU値が少し低い状態に変化することになる。そして、このようなADU値の変化を把握することによって、対象が立った状態から横になった状態に変化したことを判別することもできる。
【実施例1】
【0033】
図7は、輝度分布センサの全体構成を示す図である。
輝度分布センサは、監視対象空間3からの光を絞り込むスリット2と、スリット2を通過した光の強度を検出するラインセンサ1と、ラインセンサ1の各受光素子における受光量に応じた光強度信号を受けて、監視対象空間3内における対象の有無、位置及び動作状態を判別し、その報知を行うための映像情報を送信する判別手段7を備えている。
【実施例1】
【0034】
判別手段7は、受信した光強度信号を受光素子毎の時系列データとして記憶する記憶手段9と、一時点における光強度信号に基づいて対象の有無及び位置を判別するとともに、時系列の光強度信号に基づいて対象の動作状態を判別し、それらの判別結果に基づく報知情報を作成するCPU8と、CPU8からの報知情報に基づいて画像情報を表示手段11に送信する表示制御手段10を有している。
【実施例1】
【0035】
表示手段11は、表示制御手段10からの画像情報を受信して、対象の有無、位置及び動作状態についての情報を表示するものであって、輝度分布センサとともに設けても良いし、輝度分布センサから離れた位置に設けても良い。
表示装置11には、対象の有無、位置及び動作状態を表示するが、その表示態様としては、(1)文字や記号による表示、(2)監視対象空間3を示すエリア表示を行うとともに、そのエリア表示内に対象の有無や位置に応じた画像の表示を行うビジュアル表示、(3)光強度信号をグラフ化した表示等がある。
そして、これらの表示態様の中から利用者のニーズに合わせて1つ又は複数の表示を適宜選択して表示させれば良い。
【実施例1】
【0036】
また、判別手段7は記憶手段9を有しているので、判別装置7に対する指示入力手段を追加することにより、過去の指定した時間における対象の有無、位置及び動作状態についての情報を表示手段11に表示させることもできる。
さらに、指定した時間から所定時間ずつ前又は後の時間における対象の有無及び位置を、連続的に表示させることによって、対象の動作状態を追跡することができる。
そうした場合、所定時間を長くとれば、長時間にわたる対象の動作状態の追跡を短時間で行うことができ、逆に所定時間を短くとれば、特に注視したい時間における対象の動作状態の詳細な追跡を行うことができる。
【実施例2】
【0037】
図8は実施例2に係る輝度分布センサのスリット2にロッドレンズ12を保持させた状態の斜視図、図9は同じくスリット2にロッドレンズ12を保持させた状態の断面図であり、実施例1とはスリット2周辺の構成のみが異なり、他の構成は同じである。
【実施例2】
【0038】
実施例2に係る輝度分布センサはスリット2の背面側にマウント部材13を備えており、このマウント部材13によってロッドレンズ12や可視光のみ又は赤外光のみを透過可能なカバー体(図示せず)を着脱可能に保持することができる。
図8及び図9は、スリット板14に設けてあるレンズ通過部15の上方からロッドレンズ12を差し込んで、スリット2とマウント部材13との間に保持した状態を示している。
そして、ロッドレンズ12は、この状態からレンズ通過部15の上方へ引き抜くことによりスリット板14から外すことができるようになっている。
カバー体については図示しないが、ロッドレンズ12と同等の長さを有する長方形の板であり、スリット板14の上方から差し込むことによりスリット2とマウント部材13との間に保持でき、上方へ引き抜くことによりスリット板14から外すことができるようになっている。
【実施例2】
【0039】
実施例2においては、スリット2とマウント部材13との間に(1)何も保持しない状態、(2)カバー体を保持した状態、(3)ロッドレンズ12を保持した状態、(4)ロッドレンズ及びカバー体を保持した状態に変更可能である。
そのため、監視目的や環境に合わせて上記(1)~(4)からいずれかの状態を選択し、的確に対象の有無、位置又は動作状態を監視することができる。
なお、上記(4)の状態にするためには、ロッドレンズをスリット2とカバー体との間に挟まれた状態とする必要があるので、ロッドレンズ12より小径のものを用いる。
【実施例2】
【0040】
ここで、上記(1)、(2)の状態は広い監視対象空間において対象を監視する場合に適しており、上記(3)、(4)の状態は限られた監視対象空間において対象を精度良く監視する場合に適している。
また、(2)、(4)の状態については、カバー体が可視光のみを透過可能であれば監視対象空間が明るい場合に適しており、カバー体が赤外光のみを透過可能であれば監視対象空間が暗く、監視する対象が赤外線を発する場合に適している。
【実施例2】
【0041】
上記(1)~(4)いずれかの状態におけるADU値のグラフは、監視対象空間3に対象が無い場合、監視対象空間3の右側に対象が存在している場合、監視対象空間3の中央に対象が存在している場合、及び監視対象空間3の左側に対象が存在している場合において、それぞれ図3~6のグラフと同様の傾向のものとなる。
ただし、上記(3)、(4)の状態におけるADU値のグラフは、実施例1や上記(1)又は(2)の状態のようにスリット2を用いる場合に比べて、ロッドレンズ12によって多くの光を集めることができるため、同じ監視対象空間であればより大きなADU値が得られ、輝度分布の分解能が高まる。その結果、誤検知が減少して多くの状態判別が可能になる。
【実施例2】
【0042】
そして、図7に示す輝度分布センサの全体構成については、上記(1)又は(2)の状態においては実施例1と全く同じ、上記(3)、(4)の状態においては監視対象空間3からの光を絞り込むスリット2がロッドレンズ12に変わるだけで他は全く同じとなる。
【実施例3】
【0043】
図10は実施例3に係る輝度分布センサのスリット2にスリット遮蔽体16を保持させた状態の断面図であり、スリット2の右側近傍にロッドレンズ17を固定的に設置する部分が併設されている。
そして、実施例3のスリット2及びマウント部材13の構成は実施例2とほぼ同様、その他の構成は実施例1とほぼ同じである。
【実施例3】
【0044】
実施例3に係る輝度分布センサは、スリット2の背面側にマウント部材13を備えており、このマウント部材13によってスリット遮蔽体16や可視光のみ又は赤外光のみを透過可能なカバー体(図示せず)を着脱可能に保持することができる。
また、スリット2の右側近傍には、ロッドレンズ17がスリット2と平行に固定的に設置されており、その背面側にはレンズ遮蔽体(図示せず)や可視光のみ又は赤外光のみを透過可能なカバー体(図示せず)を着脱可能に保持するためのマウント部材18が設けてある。
そして、スリット2とマウント部材13との間にはロッドレンズを保持させる必要がないため、実施例2とは異なりロッドレンズを上方へ引き抜くためのレンズ通過部15は設けられていない。
図10は、スリット板14の上方からスリット遮蔽体16を差し込んで、スリット2とマウント部材13との間に保持し、ロッドレンズ17の背面側には何も保持していない状態を示している。
カバー体については図示しないが、スリット遮蔽体16と同じ形状のスリット2と同等の長さを有する長方形の板であり、スリット遮蔽体16と同様に、スリット板14の上方から差し込むことによりスリット2とマウント部材13との間に保持でき、上方へ引き抜くことによりスリット板14から外すことができるようになっている。
【実施例3】
【0045】
実施例3においては、(1)スリット2とマウント部材13との間に何も保持せず、ロッドレンズ17の背面側にレンズ遮蔽体を保持した状態、(2)スリット2とマウント部材13との間にカバー体を保持し、ロッドレンズ17とマウント部材18との間にレンズ遮蔽体を保持した状態、(3)スリット2とマウント部材13との間にスリット遮蔽体16を保持し、ロッドレンズ17の背面側に何も保持しない状態、(4)スリット2とマウント部材13との間にスリット遮蔽体16を保持し、ロッドレンズ17とマウント部材18との間にカバー体を保持した状態に変更可能である。
そのため、実施例2と同様に監視目的や環境に合わせて上記(1)~(4)からいずれかの状態を選択し、的確に対象の有無、位置又は動作状態を監視することができる。
なお、実施例3の上記(1)~(4)の各状態が適している監視目的や環境は、実施例2の(1)~(4)の各状態と同様であり、図7に示す輝度分布センサの全体構成についても、実施例2のロッドレンズ12がロッドレンズ17に変わるだけである。
【実施例3】
【0046】
実施例1~3の輝度分布センサに関する変形例を列記する。
(1)実施例1~3においては、ラインセンサ1を水平方向に、スリット2(実施例3においてはスリット2及びロッドレンズ17)を鉛直方向に配置しているが、逆にラインセンサ1を鉛直方向に、スリット2を水平方向に配置しても良い。
そうした場合、対象が上下方向のどこに存在しているかを判別することができる。
例えば、輝度分布センサを階段に向かって設置すれば、対象が階段を昇り降りしている状況や、階段から落下した状況等を判別することができる。
また、輝度分布センサを2つ用いて、一方の輝度分布センサはラインセンサ1を水平方向に、他方の輝度分布センサはラインセンサ1を鉛直方向に配置すれば、対象が左右方向及び上下方向のどこに存在しているかを判別することができる。
したがって、監視対象空間3における斜め方向の動きを分析することもできる。
(2)実施例1、2においては、ラインセンサ1を水平方向に、スリット2を鉛直方向に配置しているが、ラインセンサ1を十字状、T字状又はL字状とし、スリット2を同様に十字状、T字状又はL字状としても良い。
そうした場合、水平方向のラインセンサによって検知される光強度を用いて対象が左右方向のどこに存在しているかを判別し、鉛直方向のラインセンサによって検知される光強度を用いて対象が上下方向のどこに存在しているかを判別することができる。
(3)実施例1~3においては、ラインセンサ1を水平方向に、スリット2(実施例3においてはスリット2及びロッドレンズ17)を鉛直方向に配置しているが、スリット2(実施例3においてはスリット2及びロッドレンズ17)のみ又は輝度分布センサ全体を、スリット2の平板面に垂直な軸の回りに回転させた状態となるように配置しても良い。
そうした場合、監視対象空間3を斜めに横切るラインに沿った光強度の和が、ラインセンサ1の各受光素子に入射するので、対象が上下方向に移動しても左右方向に移動しても、ラインセンサ1によって検知される光強度が変化することとなる。
したがって、上記(1)で述べたように2つの輝度分布センサを用いたり、上記(2)で述べたように十字状、T字状又はL字状のラインセンサを用いたりすることなく、対象の左右方向及び上下方向の動きを判別することができる。
(4)実施例1~3の判別手段7は、受信した光強度信号を受光素子毎の時系列データとして記憶する記憶手段9を備え、時系列の光強度信号に基づいて対象の動作状態を判別できるようになっているが、現時点の対象の有無や位置のみを検知するだけで良ければ、記憶手段9や動作状態の判別機能は不要である。
また、判別手段7に記憶手段9や動作状態の判別機能を設けなくても、判別手段7から対象の有無や位置についての情報又は各受光素子の光強度信号を所定周期で別の解析装置に送信し、それらの情報を受信した解析装置で、時系列に情報を蓄積し解析して対象の動作状態を判別することも可能である。
(5)実施例1~3においては、対象の有無、位置及び動作状態を表示手段11で報知しているが、表示手段11に代えて又は追加してスピーカーを設けても良い。
そうした場合、画像による報知に代えて又は追加して、音による報知を行うことができる。
(6)実施例1~3においては、ラインセンサ1及びスリット2を独立に配置しているが、両者を所定の位置関係が保たれるように支持する支持部材を設けても良い。
そうした場合、その支持部材を適宜の位置に配置することで、ラインセンサ1及びスリット2を容易に適正な位置関係に置くことができる。
特に、実施例2、3においては、スリット2を用いる場合とロッドレンズ12、17を用いる場合とで、ラインセンサ1とスリット板14との適正な位置関係が変化するので、それぞれの場合に応じてラインセンサ1とスリット板14を適正な位置関係に調整できるようにする調整部材を設けるとより良い。
(7)実施例2、3においては、断面が円形のロッドレンズ12、17を用いているが、棒状のレンズであれば楕円形やかまぼこ状等どのような断面形状のレンズでも良い。
また、異なる断面形状や材質、さらには透過可能な光の波長を限定できるフィルター機能を有するレンズに交換できるようにしても良い。
(8)実施例2、3においては、マウント部材13、18をスリット2の背面側に設けているが、前面側に設けても良い。
(9)実施例2、3においては、マウント部材13、18を固定的なものとしたが、弾力性のある部材や、スリット板14に対して開閉又は着脱可能な部材としても良い。
そうした場合、ロッドレンズ12、カバー体、スリット遮蔽体16及びレンズ遮蔽体を上方から差し込んだり引き抜いたりすることなく、マウント部材を開くか外した状態でロッドレンズ12等をセットした後、マウント部材を閉じるか取り付けることでロッドレンズ12等を保持することができる。
(10)実施例2、3においては、可視光のみ又は赤外光のみを透過可能なカバー体を用いたが、カバー体は単にレンズ面を保護するカバーガラスとしても良く、さらに限定的な波長のみを透過する光学フィルターとして特定の色や温度の対象を監視できるようにしても良い。
(11)実施例3においては、ロッドレンズ17を固定的に設置したが、実施例2と同様にスリット板14の上方にレンズ通過部を設けて、ロッドレンズ17を着脱可能に保持するようにしても良い。
また、実施例2においては、ロッドレンズ12をスリット2とマウント部材13との間に保持したが、上記実施例3の変形例と同様の構造によって、ロッドレンズ12を着脱可能に保持するようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 ラインセンサ 2 スリット 3 監視対象空間
4 ラインセンサ1の長手方向に延びる直線
5 監視対象空間3に向かって水平に延びる延長平面
6 壁 7 判別手段 8 CPU
9 記憶手段 10 表示制御手段 11 表示手段
12 ロッドレンズ 13 マウント部材
14 スリット板 15 レンズ通過部
16 スリット遮蔽体 17 ロッドレンズ
18 マウント部材
d ラインセンサ1とスリット2の距離 D スリット2と壁6の距離
s スリット2の幅 x ラインセンサ1の長さ X 壁6の幅
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
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