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明細書 :触覚センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-040555 (P2017-040555A)
公開日 平成29年2月23日(2017.2.23)
発明の名称または考案の名称 触覚センサ
国際特許分類 G01L   5/16        (2006.01)
FI G01L 5/16
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-162365 (P2015-162365)
出願日 平成27年8月20日(2015.8.20)
発明者または考案者 【氏名】渡邊 哲陽
【氏名】米山 猛
【氏名】香川 博之
【氏名】岩井 貴宣
【氏名】小山 稔生
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100154966、【弁理士】、【氏名又は名称】海野 徹
審査請求 未請求
テーマコード 2F051
Fターム 2F051AA21
2F051AB03
2F051DA03
要約 【課題】被接触物の特性を測定でき、使い捨て可能で且つ被接触物への過度の負荷を防止できる触覚センサを提供する。
【解決手段】ヘッド部12、ヘッド部12からのびる棒状部材13、被接触物に接触した後のヘッド部12及び棒状部材13を一定範囲内で変位可能に保持する保持部11、ヘッド部、棒状部材及び保持部からなる本体部10を一体的に被接触物側に移動させる移動手段、被接触物を弾性変形させている間の棒状部材の端部の面積と、弾性変形させる前の棒状部材の端部の面積との差分を計測する差分計測手段、移動手段による本体部の移動を規制するストッパー40、移動が規制された規制タイミングを検出する規制タイミング検出手段を備える。外力-差分テーブルを参照することで、規制タイミングの時点での前記差分に基いてその時点でヘッド部から被接触物に対して作用している3軸方向の外力を算出する。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
弾性体の被接触物に接触して当該被接触物を弾性変形させるヘッド部と、
前記ヘッド部からのびる棒状部材と、
被接触物に接触した後のヘッド部及び棒状部材を互いに直交するX,Y及びZ軸の3軸方向に一定範囲内で変位可能に保持する保持部と、
前記ヘッド部、棒状部材及び保持部からなる本体部を一体的に被接触物側に移動させる移動手段と、
被接触物を弾性変形させている間の棒状部材の端部の面積Aと、弾性変形させる前の棒状部材の端部の面積A0との差分(A - A0)を計測する差分計測手段と、
移動手段による本体部の移動を規制するストッパーと、
前記ストッパーにより本体部の移動が規制された規制タイミングtを検出する規制タイミング検出手段とを少なくとも備えており、
前記ヘッド部に作用する外力Fと前記差分(A - A0)との関係を表した外力-差分テーブルを参照することで、前記規制タイミングtの時点での差分(A - A0)に基いてその時点でヘッド部から被接触物に対して作用している3軸方向の外力Ftを算出することを特徴とする触覚センサ。

【請求項2】
前記移動手段が、前記本体部を被接触物側に一定距離ずつ移動させていくものであり、
前記規制タイミング検出手段が、前記一定距離の移動量に対する差分(A - A0)の変化割合を計測し、当該変化割合が小さくなったタイミングを、前記ストッパーにより本体部の移動が規制された規制タイミングtとして検出することを特徴とする請求項1に記載の触覚センサ。

【請求項3】
前記規制タイミング検出手段が、
前記ヘッド部の後方から前方に向かって光を照射する光照射手段と、
前記照射光が被接触物に当たって反射した反射光の光強度を検出するセンサとを備えており、
前記反射光の光強度が変化しなくなったタイミングを、前記ストッパーによりヘッド部の移動が規制された規制タイミングtとして検出することを特徴とする請求項1に記載の触覚センサ。

【請求項4】
更に、ヘッド部及び棒状部材の変位長さLと前記差分(A - A0)との関係を表した変位長さ-差分テーブルを参照することで、前記規制タイミングtの時点での差分(A - A0)に基いてその時点での前記ヘッド部による前記被接触物への押し込み長さLtを算出し、
被接触物の剛性( Ft / Lt )を算出することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の触覚センサ。

【請求項5】
前記ヘッド部に作用する外力Fと前記差分(A - A0)との関係を表した外力-差分テーブルを参照することで、前記規制タイミングtの時点での差分(A - A0)に基いてその時点でヘッド部から被接触物に対して作用しているz軸方向の外力Ftを算出すると共に、前記規制タイミングtから一定時間Tが経過した時点での差分(A - A0)に基いてその時点でヘッド部から被接触物に対して作用しているz軸方向の外力FTを算出し、これら外力Ft,FT及び時間Tに基いて前記被接触物の粘弾性を測定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の触覚センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は触覚センサに関し、特に被接触物の特性を測定でき、使い捨て可能で且つ被接触物への過度の負荷を防止できる触覚センサに関する。
【背景技術】
【0002】
被接触物に触れた際の力の大きさ等を測定する触覚センサの開発が進められている。
例えば特許文献1の光学式触覚センサは、半球状の弾性体の表面に格子状の模様を描いておき、弾性体が被接触物に接触した際の格子模様の変化の度合いをカメラで撮影し、接触時の力の大きさを測定する仕組みになっている。
また、特許文献2の光学式触覚センサは、弾性体内に複数の着色層を積み重ねておき、当該弾性体が被接触物に接触した際の各着色層の変化の度合いをカメラで撮影し、接触時の力の大きさを測定する仕組みになっている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特許第4621827号公報
【特許文献2】国際公開WO02/18893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来技術では、被接触物が弾性体(例えば人間の内蔵等の体内組織)の場合に、当該被接触物の剛性や粘弾性を測定することができないという問題がある。
例えば医療現場において、腫瘍組織と正常組織の区別は医師の触診によって判断されるのが一般的であるが、内視鏡手術等では医師による触診が困難なため、その代替手段としての触覚センサの開発が望まれている。
また、触覚センサを体内に挿入する場合には、衛生上の観点から使い捨て可能であり、また、体内組織への過度の負荷を防止するべく小型で電気的手段を極力排除し、更にXYZの3軸方向の力を一度で測定できる触覚センサが望まれている。
【0005】
本発明は、このような問題を考慮し、被接触物の特性を測定でき、使い捨て可能で且つ被接触物への過度の負荷を防止できる触覚センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の触覚センサは、弾性体の被接触物に接触して当該被接触物を弾性変形させるヘッド部と、
前記ヘッド部からのびる棒状部材と、被接触物に接触した後のヘッド部及び棒状部材を互いに直交するX,Y及びZ軸の3軸方向に一定範囲内で変位可能に保持する保持部と、前記ヘッド部、棒状部材及び保持部からなる本体部を一体的に被接触物側に移動させる移動手段と、被接触物を弾性変形させている間の棒状部材の端部の面積Aと、弾性変形させる前の棒状部材の端部の面積A0との差分(A - A0)を計測する差分計測手段と、移動手段による本体部の移動を規制するストッパーと、前記ストッパーにより本体部の移動が規制された規制タイミングtを検出する規制タイミング検出手段とを少なくとも備えており、前記ヘッド部に作用する外力Fと前記差分(A - A0)との関係を表した外力-差分テーブルを参照することで、前記規制タイミングtの時点での差分(A - A0)に基いてその時点でヘッド部から被接触物に対して作用している3軸方向の外力Ftを算出することを特徴とする。
【0007】
また、前記移動手段が、前記本体部を被接触物側に一定距離ずつ移動させていくものであり、前記規制タイミング検出手段が、前記一定距離の移動量に対する差分(A - A0)の変化割合を計測し、当該変化割合が小さくなったタイミングを、前記ストッパーにより本体部の移動が規制された規制タイミングtとして検出することを特徴とする。
また、前記規制タイミング検出手段が、前記ヘッド部の後方から前方に向かって光を照射する光照射手段と、前記照射光が被接触物に当たって反射した反射光の光強度を検出するセンサとを備えており、前記反射光の光強度が変化しなくなったタイミングを、前記ストッパーによりヘッド部の移動が規制された規制タイミングtとして検出することを特徴とする。
【0008】
また、更に、ヘッド部及び棒状部材の変位長さLと前記差分(A - A0)との関係を表した変位長さ-差分テーブルを参照することで、前記規制タイミングtの時点での差分(A - A0)に基いてその時点での前記ヘッド部による前記被接触物への押し込み長さLtを算出し、被接触物の剛性( Ft / Lt )を算出することを特徴とする。
また、前記ヘッド部に作用する外力Fと前記差分(A - A0)との関係を表した外力-差分テーブルを参照することで、前記規制タイミングtの時点での差分(A - A0)に基いてその時点でヘッド部から被接触物に対して作用しているz軸方向の外力Ftを算出すると共に、前記規制タイミングtから一定時間Tが経過した時点での差分(A - A0)に基いてその時点でヘッド部から被接触物に対して作用しているz軸方向の外力FTを算出し、これら外力Ft,FT及び時間Tに基いて前記被接触物の粘弾性を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本体部を構成するヘッド部、棒状部材及び保持部を、シリコーン等の人体に対して安全な樹脂を用いて、3次元プリンターや射出成形等により安価且つ容易に製造できるという利点がある。また、本体部を安価に製造できるため、使い捨て可能で、衛生面からも好ましい。
また、本発明では、ストッパーにより本体部の移動が物理的に規制されたタイミングを規制タイミングtとして検出して被接触物に作用する外力の大きさを測定する。つまり、電気的手段を極力排し、物理的手段に基いて外力を測定するので、人体に対して安全性が高く、また、液中等の特殊な環境下でも使用することができる。
また、被接触物に作用するX,Y,Zの3軸方向の外力を一度に測定できるので被接触物に過度な負荷がかかることを防止できる。
また、被接触物に作用する外力だけでなく、被接触物の剛性や粘弾性といった被接触物の特性も測定できる。これにより、被接触物が人間の体内組織であり、医師の触診が困難な場合でも、本発明の触覚センサで測定した剛性や粘弾性に基き、例えば腫瘍組織と正常組織の区別など、触診と同レベルの診断を行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】触覚センサの構成を示すブロック図
【図2】本体部の構造を示す斜視図(a)、縦断面図(b)及び分解斜視図(c)
【図3】本体部と移動手段の構造を示す概略図
【図4】本体部が変位する前の状態を示す図(a1)と棒状部材13の端部13aの撮影画像(a2)、本体部の変位後の状態を示す図(b1)と端部13aの撮影画像(b2)
【図5】本体部が移動してから移動が規制されるまでの状態を示す図(a)~(d)
【図6】外力-差分テーブルT1を示すグラフ
【図7】変位長さ-差分テーブルT2を示すグラフ
【図8】粘弾性モデルを示す図
【図9】応力緩和のグラフ
【図10】第2の実施の形態の触覚センサの構成を示すブロック図
【図11】本体部が移動してから移動が規制されるまでの状態を示す図(a)~(d)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の触覚センサ1の第1の実施の形態について説明する。
図1~図3に示すように、触覚センサ1は、本体部10、移動手段20、差分計測手段30、ストッパー40及び規制タイミング検出手段50を少なくとも備えており、制御手段51がこれらの駆動を制御することで、被接触物100に対して作用している3軸方向の外力Ft、被接触物100の剛性及び粘弾性を算出することができる。
被接触物100は原則として弾性体であり、例えば人間の内蔵等の体内組織が挙げられるが、これに限定されるものではなく、非弾性体(固体)であっても上記外力Ftを算出することができる。

【0012】
本体部10は保持部11、ヘッド部12及び棒状部材13から構成されている。
保持部11は、ヘッド部12及び棒状部材13をX,Y,Z軸の3軸方向に一定範囲内で変位可能に保持するための部材である。本実施の形態の保持部11は、正方形の天板11a、天板11aの四隅から下方にのびる脚11b、正方形の底板11c、底板11cの四隅から上方にのびる柱11dから構成されている。天板11aと脚11bはシリコーンで一体成形された弾性部材であり、底板11cと柱11dは樹脂で一体成形された固形部材である。脚11bの内部にはその下面から上方にのびる嵌合穴(図示略)が形成されており、当該嵌合穴に柱11dを嵌め込むことで外形がほぼ立方体状の保持部11が形成される。
ヘッド部12は弾性体の被接触物100に接触することで、当該ヘッド部12自身が保持部11に保持された状態で変位しながら、当該被接触物100を弾性変形させる部材である。本実施の形態のヘッド部12は樹脂製の半球状の固形部材であり、その下面に凸部12aを有する。保持部11の天板11aの上面中央に凹部11eが形成されており、ヘッド部12の凸部12aを凹部11eに嵌め込むことでヘッド部12が保持部11に保持されることになる。
棒状部材13はヘッド部12から下方にのびる部材である。棒状部材13は必ずしもヘッド部12に直接接合されている必要はなく、ヘッド部12と一体に移動できる構造であればよい。本実施の形態の棒状部材13は、天板11aの下面中央から下方に垂れ下がるように天板11aと一体成形されている。図2(b)に示すように、ヘッド部12と棒状部材13の間に凹部11eの底が介在しており、ヘッド部12と棒状部材13とが一体に移動するようになっている。また、底板11cの中央部には開口11fが設けられており、被接触物100に接触した状態のヘッド部12が下方に変位した際に、棒状部材13の下端部が当該開口11fを通って下方に露出する仕組みになっている。図3に示すように、本体部10にはブラケット11gを介してカメラ31のレンズ部31aが取り付けられており、カメラ31と本体部10はその距離を一定に保った状態で一体に移動する。レンズ部はファイバースコープ33の先端に取り付けられており、ファイバースコープ33の後端はカメラ31本体に接続している。

【0013】
差分計測手段30は、被接触物100を弾性変形させている間の棒状部材13の端部13aの面積Aと、弾性変形させる前の棒状部材13の端部13aの面積A0との差分(A - A0)を計測するために設けられる。本実施の形態の差分計測手段30は、端部13aを撮影するカメラ31と、撮影画像に基いて端部13aの面積A,A0とその差分(A - A0)を算出する画像処理部32とから構成される。

【0014】
移動手段20は本体部10を被接触物100側に移動させるために設けられる。移動手段20としては周知の技術を使用することができ、本実施の形態では図3に示すように、カメラ31を載せたステージ21にラック22を接合し、ラック22を回転型モータ23の軸に取り付けたピニオンギア24に噛み合わせることで、回転型モータ23の回転運動をラック22の前後方向の運動に変換する方式を採用している。回転型モータ23の駆動は制御部で制御されており、ステージ21上のカメラ31と、カメラ31に繋がれたファイバースコープ33、レンズ部31a及び本体部10を一定距離ずつ被接触物100側に移動させる仕組みになっている。移動手段20の他の例としてはリニアアクチュエータやエアシリンダが挙げられる。
図4(a1)及び(a2)に示すように、カメラ31はヘッド部12が被接触物100に接触する前、すなわちヘッド部12が変位する前の状態の棒状部材13の端部13aを撮影し、画像処理部32は撮影画像から端部13aの面積A0を算出しておく。算出した面積A0は記憶部52に記憶される。
次に、図4(b1)、(b2)及び図5に示すように、移動手段20が本体部10を被接触物100側に移動させてヘッド部12を被接触物100に接触させると、被接触物100はヘッド部12から外力を受けて弾性変形し、同時にヘッド部12は被接触物100から反力を受けて下方に変位する。カメラ31は変位した状態の棒状部材13の端部13aを撮影し、画像処理部32は撮影画像から端部13aの面積Aを算出しておく。算出した面積Aと差分(A - A0)は記憶部52に記憶される。棒状部材13の端部13aの面積は、棒状部材13がカメラ31に近づくほど、すなわちヘッド部12の下方への変位量が多いほど大きくなる。

【0015】
ストッパー40は移動手段20による本体部10の移動を規制するために設けられる。「移動を規制する」とは、被接触物100を弾性変形させながら被接触物100側に移動する本体部10の移動距離を制限し、移動を停止させることを指す。本実施の形態では本体部10の天板11aがストッパー40としての機能も兼ね備えている。具体的には、図5(a)に示すように本体部10が被接触物100側に移動していき、図5(b)に示すようにヘッド部12が被接触物100に接触した後は、図5(c)に示すようにヘッド部12は下方に変位しながら更に被接触物100側に移動していく。そして、最終的には図5(d)に示すように被接触物100が天板11aに接触した時点でこれ以上被接触物100側に移動できなくなる。この状態では、上述したように棒状部材13の下端部が底板11cの開口11fを通って下方に露出している。
ストッパー40として保持部11の天板11aを利用する以外にも、例えば天板11aに突起を設けておき、被接触物100が突起に接触することで本体部10の移動を規制する仕組みにしてもよい。

【0016】
規制タイミング検出手段50は、ストッパー40により本体部10の移動が規制された時点である規制タイミングtを検出するために設けられる。
本実施の形態の規制タイミング検出手段50は、記憶部52に記憶されている差分(A - A0)を読み込みながら、本体部10の一定距離の移動量に対する当該差分(A - A0)の変化割合を計測し、記憶していく。そして、当該変化割合が小さくなったタイミングを、ストッパー40により本体部10の移動が規制された規制タイミングtとみなして検出する。当該変化割合が小さくなったタイミングは、ストッパー40により本体部10の移動が規制されることでヘッド部12及び棒状部材13の下方への変位がゼロ或いは極めて小さい量であったため、棒状部材13の端部13aの面積Aの変化がゼロ或いは極めて小さい量になったことを意味する。検出された規制タイミングtは記憶部52に記憶される。

【0017】
記憶部52には、予めヘッド部12に作用する外力Fと差分(A - A0)との関係を表した外力-差分テーブルT1(図6参照)が格納されている。
外力算出手段60は、記憶部52に記憶された規制タイミングtと、その時点での差分(A - A0)に基いて、外力-差分テーブルT1を参照しながら、規制タイミングtが出された時点でヘッド部12から被接触物100に対して作用している外力FtのZ軸方向成分F(t,z)を算出する。算出された外力Ftは記憶部52に記憶される。
なお、本実施の形態では3軸方向のうちZ軸方向(上下方向)の外力Ftを算出する場合について説明したが、カメラ31が撮影した棒状部材13の端部13aのX-Y平面内での位置も画像処理部32が計測することで外力FtのX-Y平面内での作用方向を算出することができ、また、外力FtのX軸方向成分F(t,x)及びY軸方向成分F(t,y)を算出することができる。

【0018】
記憶部52には更に、ヘッド部12及び棒状部材13の変位長さLと差分(A - A0)との関係を表した変位長さ-差分テーブルT2(図7参照)が格納されている。
剛性算出手段70は、記憶部52に記憶された規制タイミングtと、その時点での差分(A - A0)に基いて、変位長さ-差分テーブルT2を参照しながら、規制タイミングtが出された時点でのヘッド部12による被接触物100への押し込み長さLtを算出する。そして、剛性算出手段70は押し込み長さLtと、外力算出手段が算出したz軸方向の外力Ftとに基いて、被接触物100の剛性( Ft / Lt )を算出する。算出された剛性( Ft / Lt )は記憶部52に格納される。

【0019】
粘弾性算出手段80は被接触物100の粘弾性を測定するために設けられる。
まず制御部の指示により外力算出手段60が、規制タイミングtの時点での差分(A - A0)に基いてその時点でヘッド部12から被接触物100に対して作用しているz軸方向の外力Ftを算出し、更に、規制タイミングtから一定時間Tが経過した時点での差分(A - A0)に基いて、その時点でヘッド部12から被接触物100に対して作用しているz軸方向の外力FTを算出する。これら外力Ft及びFTは記憶部52に格納される。
粘弾性算出手段80は、これら外力Ft,FT及び時間Tに基いて被接触物100の粘弾性を測定する。
具体的には、弾性体である被接触物100を図8に示すような2つのバネと1つのダンパーから成る3要素の粘弾性モデルとして捉え、当該モデルと、被接触物100に作用する外力の時間変化を表す応力緩和のグラフ(図9参照)を利用する。この場合、次の式1に基いて、被接触物100の粘弾性パラメータk1,k2及びc2を求めることができる。
【数1】
JP2017040555A_000003t.gif

【0020】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の触覚センサの第2の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図10及び図11に示すように、本実施の形態の触覚センサ2は、規制タイミング検出手段90が光照射部91と受光センサ92を備える点に特徴を有する。

【0021】
図11(a)に示すように、光照射部91はヘッド部12の下方に配置され、上方に向かって光(矢印の破線で示す)を照射する。本実施の形態の光照射部91はヘッド部12と一体に移動するようになっている。
受光センサ92は、光照射部91の照射光が被接触物100に当たって反射した反射光の光強度を検出するために設けられる。「光強度」とは受光センサ92の感光面に入射する光の照度(単位面積当たりの入射光束)を指す。

【0022】
本実施の形態の受光センサ92はヘッド部12と一体に移動するようになっている。図11(b)に示すように、本体部10が被接触物100側に移動している間、受光センサ92は被接触物100からの反射光の光強度を検出し続ける。図11(c)に示すように、本体部10が被接触物100に近づくにつれて、光強度は増加していくが、図11(d)に示すように、ストッパー40によりヘッド部12(本体部10)の移動が規制されると、被接触物100と受光センサ92との距離が変化しなくなるので、反射光の光強度も変化しなくなる。受光センサ92は反射光の光強度が変化しなくなったタイミングを、ストッパー40によりヘッド部12の移動が規制された規制タイミングtとして検出し、検出された規制タイミングtは記憶部52に記憶される。規制タイミングtが検出されたあとの外力、剛性及び粘弾性の算出方法は上記第1の実施の形態と同様になるため説明を省略する。
なお、反射光の光強度が急激に増したタイミングをストッパー40によりヘッド部12の移動が規制された規制タイミングtとして受光センサ92が検出することにしてもよい。また、外乱光を防止して反射光の光強度の変化を明確にするため、本体部10を遮蔽する機構を取り付けてもよい。
上記各実施の形態で示した触覚センサの構成は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜改変可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、被接触物の特性を測定でき、使い捨て可能で且つ被接触物への過度の負荷を防止できる触覚センサに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0024】
1 触覚センサ
10 本体部
11 保持部
11a 天板
11b 脚
11c 底板
11d 柱
11e 凹部
11f 開口
11g ブラケット
12 ヘッド部
12a 凸部
13 棒状部材
13a 端部
20 移動手段
21 ステージ
22 ラック
23 回転型モータ
24 ピニオンギア
30 差分計測手段
31 カメラ
31a レンズ部
32 画像処理部
33 ファイバースコープ
40 ストッパー
50 規制タイミング検出手段
51 制御手段
52 記憶部
100 被接触物
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10