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明細書 :遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカおよびその簡易な製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-074577 (P2015-074577A)
公開日 平成27年4月20日(2015.4.20)
発明の名称または考案の名称 遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカおよびその簡易な製造方法
国際特許分類 C01B  37/00        (2006.01)
FI C01B 37/00
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2013-211200 (P2013-211200)
出願日 平成25年10月8日(2013.10.8)
発明者または考案者 【氏名】魯 保旺
【氏名】川本 克也
出願人 【識別番号】501273886
【氏名又は名称】独立行政法人国立環境研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】100093816、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 邦雄
審査請求 未請求
テーマコード 4G073
Fターム 4G073BA28
4G073BA40
4G073BA44
4G073BA48
4G073BA52
4G073BA53
4G073BA82
4G073BB03
4G073BB07
4G073BB24
4G073BB48
4G073BB58
4G073BC02
4G073BD23
4G073CZ52
4G073CZ55
4G073FA18
4G073FD13
4G073GA01
4G073GA03
4G073GB03
要約 【課題】遷移金属種をケイ酸骨格構造中に大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】アルキルアンモニウム界面活性剤のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド{C16TMABr、CH(CH15N(CHBr}を鋳型として、水に遷移金属種の硝酸塩を溶かして、アンモニウム水溶液を加え形成した錯イオンを塩基として用い、オルトケイ酸テトラメチル{ケイ酸メチル、TMOS、Si(OCH}の加水分解と縮重合反応を行うことにより、遷移金属種がケイ酸骨格構造中に大量に導入される。更に焼成で界面活性剤を除去することにより、遷移金属を導入したメソポーラスシリカが製造される。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
遷移金属種の硝酸塩から調製した塩基錯イオンの作用で得られたメソ構造体において、
前記遷移金属種をケイ酸骨格構造中に大量に導入し、ケイ素(Si)と遷移金属種(M)のモル比(Si/M)の範囲が5-∞であることを特徴とする遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカ。
【請求項2】
前記遷移金属種が、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、カドミウムおよびクロムから選択される1種またはそれ以上である請求項1に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカ。
【請求項3】
前記遷移金属種が、4配位構造としてケイ酸骨格内に存在する請求項1に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカ。
【請求項4】
前記遷移金属種が、4配位構造としてケイ酸骨格外に存在しない請求項1に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカ。
【請求項5】
上記の遷移金属を導入したメソポーラスシリカは、高比表面積、均一なメソ孔と規則性の構造を有することを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカ。
【請求項6】
メタノールと水の混合割合および界面活性剤の最適な濃度で、上記の遷移金属を導入したメソポーラスシリカは、球状であることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカ。
【請求項7】
溶媒中で鋳型剤とする界面活性剤とともに、遷移金属塩基とシリカ源の加水分解に由来するシリカ種を複合化して、焼成で界面活性剤を除去することにより得た遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法において、
前記塩基を、遷移金属種の硝酸塩とアンモニウム水溶液で調製した錯イオンの塩基としたことを特徴とする遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法。
【請求項8】
前記溶媒を50~60重量%範囲のメタノールと水を混合した溶媒としたことを特徴とする請求項7に記載の遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法。
【請求項9】
前記界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド{C16TMABr、CH(CH15N(CHBr}であって、
界面活性剤(C16TMABr)とケイ素(Si)の適切なモル比(C16TMABr/Si)の範囲が0.2~0.48であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法。
【請求項10】
前記メタノールと水の混合割合および界面活性剤の濃度を調整することにより、球状遷移金属を導入したことを特徴とする請求項7~請求項9の何れか1項に記載の遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属を導入したメソポーラスシリカの製造方法に関するものであり、更に詳しくは遷移金属種をケイ酸骨格構造中に幅広い範囲(ケイ素と遷移金属種のモル比:∞~5)に導入した遷移金属含有メソポーラスシリカの製造方法に関するものである。均一なメソ細孔とそれらの高機能性を利用して、次世代のメソ空間材料として、触媒、センサー、電極および吸着剤などの分野に、その実用化が高く期待される遷移金属を導入したメソポーラスシリカの製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来、界面活性剤等が溶液中で自己集合する性質を利用して、シリカ源との反応により、均一なメソ孔を有するメソポーラスシリカを合成することができ、その均一なメソ孔は、有機分子集合体のサイズや集合形態(構造規則性)に規定されることが知られている。メソポーラスシリカは、比較的大きい分子を対象とした吸着分離や選択的合成を可能とする特殊ナノ空間として大いに期待されている。また、様々な触媒、脱臭、吸着機能等を付与する目的で様々な金属種を、骨格構造中に導入するか、又は担持する試みがなされている(非特許文献1,2、特許文献1、2参照)。そして、導入する金属種の化学的性質を考慮して、シリカ骨格中に様々な金属種を導入したメソポーラスシリカの合成が可能となっている。また、後処理により、メソポーラスシリカ表面に金属種を固定化する方法で、金属種をシリカ骨格中に導入することが可能となる。アルミニウムをシリカ骨格中に導入したメソポーラスシリカアルミナの合成が最も代表的であり、そこでは酸性質が発現される。また、チタンをシリカ骨格に導入したメソポーラスシリカの合成も盛んに行われており、オレフィンのエポキシ化反応等に優れた触媒となることが示されている。
ケイ素と酸素は四面体構造(SiO4-を形成することができる。同じように3価のアルミニウムと4価のチタンも酸素と四面体構造(AlO5-と(TiO4-を形成することができるので、ケイ素と類似化学性質を有する。そこで、アルミニウムとチタンはシリカ骨格中に導入することが容易である。しかし、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、カドミウムおよびクロムの遷移金属は酸素と四面体構造を形成することがきわめて難しいので、それらをシリカ骨格中に導入することが非常に困難である。
【0003】
従来、塩基性条件下での溶解性が非常に低い遷移金属種のニッケル、銅、亜鉛、コバルト、カドミウムおよびクロムの硝酸塩、界面活性剤、水とシリカ源の混合溶液に、アルカリ源を添加して水熱合成により遷移金属を導入したメソポーラスシリカを得ることが多い。しかし、アルカリ源を添加した直後に原料の混合溶液は塩基性水溶液になって、遷移金属水酸化物を生成しやすいので、このまま水熱合成を行うと、メソポーラスシリカと大部分の遷移金属に由来する水酸化物が分離した状態で生成してしまい、遷移金属種が骨格構造中に少量にしか導入できない。従来技術では遷移金属(M)種ニッケルとコバルトが5.5重量パーセントしかメソポーラスシリカに導入されず、Si/Mモル比は 16.6に留まっていた(非特許文献3-6)。
また、遷移金属種銅、亜鉛、カドミウムおよびクロムをメソポーラスシリカに導入した例はない。
そこで、遷移金属種ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、カドミウムおよびクロムを大量にメソポーラスシリカ骨格構造中に導入する製造方法の開発は大きな挑戦である。
【0004】
遷移金属種ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、カドミウムおよびクロムの硝酸塩を水に溶かして、アンモニア水溶液を加えて沈殿物を生成する。アンモニア水溶液を過剰に加えることにより、塩基性条件下でも沈殿物が溶かされ、金属とアンモニアの錯イオンを形成する。
その結果、塩基性条件下で溶解性が非常に高い遷移金属種のニッケル、銅、亜鉛、コバルト、カドミウムおよびクロムを得ることが可能になる。
【0005】
ストーバー法は均一な大きさのシリカ粒子の一般的合成法として知られている(非特許文献7)。この方法はシリカ源であるアルコキシシラン(例えばオルトケイ酸テトラエチル)をアンモニア/水/エタノール溶液中で加水分解・縮重合反応を進行させシリカを得るものである。エタノールはアルコキシシランの加水分解速度を抑えることができる。そこで、この方法を利用して、縮重合反応段階で部分もしくは全部を加水分解したケイ素アルコキシドは溶解性の高い遷移金属種との間に結合をつくることが可能になり、遷移金属種が大量にメソポーラスシリカ骨格構造中に導入されることが期待される。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平10-314577号公報
【特許文献2】特開2006-151753号公報
【0007】

【非特許文献1】Microporous And Mesoporous Materials,2005, Vol. 77, 1-45. [Orderedmesoporous materials in catalysis].
【非特許文献2】Chemical Review, 1997, Vol. 97,2373-2419. [From Microporous to Mesoporous MolecularSieve Materials and Their Use in Catalysis].
【非特許文献3】Journal of Physical Chemistry B, 2005, Vol.109, 13237-13246. [Synthesis and Characterization of HighlyOrdered Ni-MCM-41 mesoporous Molecular Sieves].
【非特許文献4】Microporous And Mesoporous Materials,2007, Vol. 99, 49-158. [Synthesis andCharacterization of Ni-MCM-41 Materials with Spherical Morphology and their CatalyticActivity in Toluene Hydrogenation].
【非特許文献5】Journalof Catalysis, 2007, Vol. 249, 370-379. [Methanation of carbon dioxide onNi-incorporated MCM-41 Catalysts: The Influence of Catalyst Pretreatment andStudy of Steady-State reaction].
【非特許文献6】Applied CatalysisA: General, 2009, Vol.358, 110-118. [Carbon Dioxide Reforming of Methane toSynthesis Gas over Ni-MCM-41 Catalysts].
【非特許文献7】Journalof Colloid Interface Science, 1968, Vol. 26, 62-69. [ControlledGrowth of Monodisperse Silica Spheres in the Micron Size Range].
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術に鑑みて、遷移金属を導入したメソポーラスシリカを構築することを目的として鋭意研究を積み重ねた結果、遷移金属硝酸塩とアンモニウム水溶液を混合して配位で形成した塩基錯イオンの作用下、メタノールと水の混合溶媒中に、オルトケイ酸テトラメチルと自己集合能を有する界面活性剤と反応させることにより、遷移金属種をケイ酸骨格構造中に導入したポーラスシリカ構造体の合成方法を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、遷移金属種とシリカとの複合化過程に於いて、遷移金属種同士の縮合反応による遷移金属酸化物の生成を抑制することを可能とすることにより、遷移金属種を骨格構造中に導入し、合成したメソポーラスシリカを焼成することにより界面活性剤を除去し、遷移金属を導入したメソポーラスシリカを製造する方法を提供する。
また、本発明は、遷移金属を導入したメソポーラスシリカ空間材料の、吸湿効果、吸水効果、脱臭効果、断熱効果、防音効果、軽量効果、エネルギー貯蔵効果を利用した応用が可能である。
更に、各種遷移金属種の触媒作用を利用した特殊反応場を提供する材料として利用することが可能な遷移金属含有メソ空間部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明では、遷移金属種の硝酸塩を水に溶解してから、アンモニウム水溶液を添加し、遷移金属種の錯イオンを形成することにより塩基溶液に溶解性が高い遷移金属種が得られる。
【0011】
また、塩基溶液に溶解性が高い遷移金属種の錯体の形成によって、遷移金属酸化物の生成を抑制することができるため、遷移金属種を骨格構造中に導入することができ、遷移金属を導入したメソポーラスシリカが得られる。
【0012】
本発明は、より詳しくは、
(1)
遷移金属種の硝酸塩から調製した塩基錯イオンの作用で得られたメソ構造体において、
前記遷移金属種をケイ酸骨格構造中に大量に導入し、ケイ素(Si)と遷移金属種(M)のモル比(Si/M)の範囲が5-∞であることを特徴とする遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの構成とした。
(2)
前記遷移金属種が、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、カドミウムおよびクロムから選択される1種またはそれ以上である(1)に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカの構成とした。
(3)
前記遷移金属種が、4配位構造としてケイ酸骨格内に存在する(1)に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカの構成とした。
(4)
前記遷移金属種が、4配位構造としてケイ酸骨格外に存在しない(1)に記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカの構成とした。
(5)
上記の遷移金属を導入したメソポーラスシリカは、高比表面積、均一なメソ孔と規則性の構造を有することを特徴とする(1)~(4)の何れかに記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカの構成とした。
(6)
メタノールと水の混合割合および界面活性剤の最適な濃度で、上記の遷移金属を導入したメソポーラスシリカは、球状であることを特徴とする(1)~(4)の何れかに記載の遷移金属を導入したメソポーラスシリカの構成とした。
(7)
溶媒中で鋳型剤とする界面活性剤とともに、遷移金属塩基とシリカ源の加水分解に由来するシリカ種を複合化して、焼成で界面活性剤を除去することにより得た遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法において、
前記塩基を、遷移金属種の硝酸塩とアンモニウム水溶液で調製した錯イオンの塩基としたことを特徴とする遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法の構成とした。
(8)
前記溶媒を50~60重量%範囲のメタノールと水を混合した溶媒としたことを特徴とする(7)に記載の遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法の構成とした。
(9)
前記界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド{C16TMABr、CH(CH15N(CHBr}であって、
界面活性剤(C16TMABr)とケイ素(Si)の適切なモル比(C16TMABr/Si)の範囲が0.2~0.48であることを特徴とする(7)又は(8)に記載の遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法の構成とした。
(10)
前記メタノールと水の混合割合および界面活性剤の濃度を調整することにより、球状遷移金属を導入したことを特徴とする(7)~(9)の何れかに記載の遷移金属を大量に導入したメソポーラスシリカの簡易な製造方法の構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明により塩基溶液に溶解性が高い遷移金属種を調製することが可能になる。
【0014】
遷移金属種とシリカの複合化過程において、遷移金属同士の縮合反応による遷移金属酸化物の生成を抑制することができるため、遷移金属種が骨格構造中に大量に導入されることができ、ケイ素と遷移金属種のモル比は非特許文献3の16.66から5に伸びた遷移金属を導入したメソポーラスシリカが得られる。
【0015】
比表面積700~1100m-1、細孔容積0.5~1.0cm-1、細孔径1.6~2.5nmの範囲の特性を有する遷移金属を導入したメソポーラスシリカを提供することができる
【0016】
均一なメソ孔の存在に基づく、吸湿効果、吸水効果、脱臭効果、断熱効果、防音効果、軽量効果、エネルギー貯蔵効果を利用した応用が可能である。更に、各種遷移金属種の触媒作用を利用した特殊反応場を提供する材料としての利用が可能となる遷移金属を導入したメソ空間材料を提供することができる、という格別な効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1~4で得られた生成物のXRDパターンである。
【図2】実施例1で得られた生成物のUV-VISスペクトルである。
【図3】実施例1と比較例1で得られた生成物のXRDパターンの比較図である。
【図4】実施例1と比較例1で得られた生成物のUV-VISスペクトルの比較図である。
【図5】実施例2で得られた生成物のUV-VISスペクトルである。
【図6】実施例3で得られた生成物のUV-VISスペクトルである。
【図7】実施例4で得られた生成物のUV-VISスペクトルである。
【図8】比較例2で得られた生成物のXRDパターンである。
【図9】比較例2で得られた生成物のUV-VISスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

【0019】
〔1.反応条件〕
一般に反応温度を室温にし、反応時間を24時間とした。

【0020】
〔1.1塩基〕
遷移金属種が、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、カドミウム(Cd)およびクロム(Cr)の硝酸塩を用い、水(HO)を加え、溶けてから28wt%アンモニウム(NH)水溶液を入れ、錯イオンを作成し、塩基とした。

【0021】
〔1.2溶媒〕
メタノール(MeOH)とHOの混合溶液を適当な割合で混合して溶媒とした。

【0022】
〔1.3界面活性剤〕
アルキルアンモニウム界面活性剤のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド{C16TMABr、CH(CH15N(CHBr}を利用した。

【0023】
〔1.4シリカ(Si)源〕
オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)をシリカ源とした。

【0024】
〔2.Ni含有メソポーラスシリカ合成条件の影響〕
MeOHとHO割合、C16TMABr/Si比、Si/Ni比、NH/Ni比は、Ni含有メソポーラスシリカ合成に影響を与える。

【0025】
〔2.1MeOH/(MeOH+HO比〕
MeOH/(MeOH+HO)の比は0.5以下の場合には、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)の加水分解速度は速いため、Ni自身の縮合反応によりNi水酸化物(焼成することにより酸化物になる)を生成するため、MeOH/(MeOH+HO)の比は0.5~0.6にすることが望ましい。

【0026】
〔2.2C16TMABr/Si比〕
界面活性剤C16TMABr濃度が高い場合には、TMOSの加水分解速度は速いため、Ni自身の縮合反応によりNi水酸化物(焼成することにより酸化物になる)を生成するため、界面活性剤とケイ素(Si)の比は0.2~0.48にすることが望ましい。

【0027】
〔2.3Si/Ni比〕
Ni濃度を変化してNi含有メソポーラスシリカの合成を検討した結果、SiとNiの比5~∞までのNi含有メソポーラスシリカが得られること示された。

【0028】
〔2.4NH/Ni比〕
NH水溶液濃度を変化してNi含有メソポーラスシリカの合成を検討した結果、アンモニウムとSiの比0.2から6.0までの条件でNi含有メソポーラスシリカが得られる。
【実施例1】
【0029】
Ni含有メソポーラスシリカ(Si/Ni=5)の合成
1)1.76gNi(NO・6HOを1gHOに溶解してから2.4g28wt%NH水溶液を入れ、溶液を得、錯イオン(ヘキサアンミンNi(II)イオン)とした。
2)攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを400gHOと400gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSを入れ、5分後、上記1)に調整したNi(II)の錯イオンを入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Ni含有メソポーラスシリカ(Si/Ni=5)とした。
【実施例1】
【0030】
次に得られた生成物のXRDパターンを図1に示す。すべての回折ピークがメソポーラス構造に帰属されたことから、Ni含有メソポーラスシリカが得られたことを示唆している。また、NiOに帰属するピークが観測されなかった。このことは、Niがメソポーラスシリカ骨格構造に導入され、または極めて小さいNiO粒子として存在することを示唆している。
上記生成物のUV-VISスペクトルを図2に示す。UV-VISスペクトルにNiOに帰属するバンド(259、381、411、550、718nm付近のバンド)も観測されなかった。これらのことから、Niはすべてメソポーラスシリカ骨格構造に導入されたことが強く示唆され、小さいNiO粒子として存在する可能性が排除された。
【実施例1】
【0031】
[比較例1]
1)本発明法でNi-メソポーラスシリカ(Si/Ni=10)の合成
1.1)0.88gNi(NO・6HOを1gHOに溶解してから1.2g28wt%NH水溶液を入れ、溶液を得、Ni(II)の錯イオンとした。
1.2)攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを400gHOと400gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSを入れ、5分後、上記1)に調整したNi(II)の錯イオンを入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Ni含有メソポーラスシリカ(Si/Ni=10)とした。
2)従来法でNi—メソポーラスシリカ(Si/Ni=10)の合成
攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを400gHOと400gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSと0.88gNi(NO・6HOをそれぞれ入れ、5分後、1.2g28wt%NH水溶液を入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Niを含有または分散したメソポーラスシリカ(Si/Ni=10)とした。
【実施例1】
【0032】
次に本発明法と従来法で得られた生成物のXRDパターンを図3に示す。合成法に関係なく、すべての回折ピークがメソポーラス構造に帰属されたことから、Ni含有メソポーラスシリカが得られたことを示唆している。また、本発明法でNiOに帰属するピーク(図3(a))が観測されなかった。このことから、Niがメソポーラスシリカ骨格構造に導入され、または極めて小さいNiO粒子として存在することを示唆している。しかし、従来法でNiOに帰属するピーク(図3(b))がはっきり観測されたことから、Niはメソポーラスシリカ骨格構造内と構造外の両方に存在することを示唆している。
上記生成物のUV-VISスペクトルを図4に示す。従来法で得られた生成物のUV-VISスペクトル(図4(a))にNiOに帰属するバンド(259、381、411、550、718nm付近のバンド)がはっきり観測されたが、本発明法で得られた生成物のUV-VISスペクトル(図4(b))にNiOに帰属するバンド(259、381、411、550、718nm付近のバンド)が観測されなかった。
これらのことから、本発明法で得られた生成物にNiはすべてメソポーラスシリカ骨格構造に導入されたことを強く示唆するので、小さいNiO粒子として存在する可能性が排除された。他方、従来法で得られた生成物にNiがメソポーラスシリカ骨格構造内・外に存在することが示唆されている。
【実施例2】
【0033】
銅(Cu)含有メソポーラスシリカの製造方法:
1)1.47gCu(NO・3HOを2gHOに溶解してから2.4g28wt%NH水溶液を入れ、透明溶液を得CuのNH錯イオン(テトラアンミン銅(II)イオン)とした。
2)攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを400gHOと400gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSを入れ、5分後、上記1)に調整したCu(II)の錯イオンを入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Cu含有メソポーラスシリカ(Si/Cu=5)とした。
【実施例2】
【0034】
次に得られた生成物のXRDパターンを図1に示す。すべての回折ピークがメソポーラス構造に帰属されたことから、Cu含有メソポーラスシリカが得られたことを示唆している。また、CuOに帰属するピークが観測されなかった。このことは、Cuがメソポーラスシリカ骨格構造に導入され、または極めて小さいCuO粒子として存在することを示唆している。
上記生成物のUV-VISスペクトルを図5に示す。UV-VISスペクトルにCuOに帰属するバンド(330nm付近のブロードバンド)も観測されなかった。これらのことから、Cuはすべてメソポーラスシリカ骨格構造に導入されたことが強く示唆され、小さいCuO粒子として存在する可能性が排除された。
【実施例3】
【0035】
亜鉛(Zn(II))含有メソポーラスシリカの製造方法:
1)1.81gZn(NO・6HOを2g水に溶解してから2.0g28wt%NH水溶液を入れ、溶液を得、Znの錯イオン(テトラアンミンZn(II)イオン)とした。
2)攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを400gHOと400gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSを入れ、5分後、上記1)に調整したZn(II)の錯イオンを入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Zn含有メソポーラスシリカ(Si/Zn=5)とした。
【実施例3】
【0036】
次に得られた生成物のXRDパターンを図1に示す。すべての回折ピークがメソポーラス構造に帰属されたことから、Zn含有メソポーラスシリカが得られたことを示唆している。また、ZnOに帰属するピークが観測されなかった。このことは、Znがメソポーラスシリカ骨格構造に導入され、または極めて小さいZnO粒子として存在することを示唆している。
上記生成物のUV-VISスペクトルを図6に示す。UV-VISスペクトルにZnOに帰属するバンド(369nm付近のバンド)も観測されなかった。これらのことから、Znはすべてメソポーラスシリカ骨格構造に導入されたことが強く示唆され、小さいZnO粒子として存在する可能性が排除された。
【実施例4】
【0037】
コバルト(Co)含有メソポーラスシリカの製造方法:
1)1.77gCo(NO・6HOを1gHOに溶解してから12g28wt%NH水溶液を入れ、透明溶液を得CoのNH錯イオン(ヘキサアンミンCo(II)イオン)とした。
2)攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを480gHOと320gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSを入れ、5分後、上記1)に調整したCo(II)の錯イオンを入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Co含有メソポーラスシリカ(Si/Co=5)とした。
【実施例4】
【0038】
次に得られた生成物のXRDパターンを図1に示す。すべての回折ピークがメソポーラス構造に帰属されたことから、Co含有メソポーラスシリカが得られたことを示唆している。また、Coに帰属するピークが観測されなかった。このことは、Coがメソポーラスシリカ骨格構造に導入され、または極めて小さいCo粒子として存在することを示唆している。
上記生成物のUV-VISスペクトルを図7に示す。UV-VISスペクトルにCoに帰属するバンド(276、499、783nm付近のバンド)も観測されなかった。これらのことから、Coはすべてメソポーラスシリカ骨格構造に導入されたことが強く示唆され、小さいCo粒子として存在する可能性が排除された。
【実施例4】
【0039】
[比較例2]
〔1.コバルト(Co)含有メソポーラスシリカ合成にNH/Co比の影響〕
1.1.1)0.89gCo(NO・6HOを1gHOに溶解してから3g28wt%NH水溶液を入れ、溶液を得、Co(II)の錯イオンとした。この条件下、NHとCoのモル比は約15であった。
1.1.2)攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを480gHOと320gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSを入れ、5分後、上記1)に調整したCo(II)の錯イオンを入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Co含有メソポーラスシリカ(Si/Co=10)とした。
【実施例4】
【0040】
1.2.1)0.89gCo(NO・6HOを1gHOに溶解してから6g28wt%NH水溶液を入れ、溶液を得、Co(II)の錯イオンとした。この条件下、NHとCoのモル比は約30であった。
1.2.2)攪拌下、3.52g界面活性剤C16TMABrを480gHOと320gMeOHの混合溶媒に溶けてから4.62gTMOSを入れ、5分後、上記1)に調整したCo(II)の錯イオンを入れた。攪拌下、24時間処理後、ろ過し、80℃で乾燥した。その後、550℃で10時間焼成し、Co含有メソポーラスシリカ(Si/Co=10)とした。
【実施例4】
【0041】
次に得られた生成物のXRDパターンを図8に示す。NH/Co比に関係なく、すべての回折ピークがメソポーラス構造に帰属されたことから、Co含有メソポーラスシリカが得られたことを示唆している。一方、高NH/Co比の場合(図8(a))には、Coに帰属するピークが観測されなかった。このことは、Coがメソポーラスシリカ骨格構造に導入され、または極めて小さいCo粒子として存在することを示唆している。他方、低NH/Co比の場合(図8(b))には、Coに帰属するピークがはっきり観測された。このことから、Coがメソポーラスシリカ骨格構造内と構造外の両方に存在していることが示唆される。
上記生成物のUV-VISスペクトルを図9に示す。低NH/Co比で得られた生成物のUV-VISスペクトル(図9(a))にCoに帰属するバンド(276、499、783nm付近のバンド)がはっきり観測されたが、高NH/Co比で得られた生成物のUV-VISスペクトル(図9(b))に、Coに帰属するバンド(276、499、783nm付近のバンド)が観測されてなった。
これらのことから、高NH/Co比で得られた生成物にCoはすべてメソポーラスシリカ骨格構造に導入されることが示唆され、小さいCo粒子として存在する可能性が排除された。他方、低NH/Co比で得られた生成物にはCoがメソポーラスシリカ骨格構造内・外に存在することが示唆されている。
また、527、594と635 nm付近に4配位Co種に帰属するバンドがはっきり観測されたが、480nm付近に6配位に帰属するバンドが観測されたが観測されなかった。
【実施例4】
【0042】
各焼成物の窒素吸着測定では、メソポーラス物質に特徴的なIV型の吸着等温線が観察され、均一メソ孔が存在していることが明らかとなった。二次元六方構造のメソポーラス物質の、比表面積、細孔容積、孔径は、それぞれ、約比表面積700~1100m-1、細孔容積約0.5~1.0cm-1、細孔径約1.6~2.5nmの程度であった。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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