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明細書 :注意再獲得支援システム、訓練用画像生成装置及びそのプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-221185 (P2015-221185A)
公開日 平成27年12月10日(2015.12.10)
発明の名称または考案の名称 注意再獲得支援システム、訓練用画像生成装置及びそのプログラム
国際特許分類 A61H   5/00        (2006.01)
A61B   3/02        (2006.01)
FI A61H 5/00 Z
A61B 3/02 Z
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2014-107600 (P2014-107600)
出願日 平成26年5月23日(2014.5.23)
発明者または考案者 【氏名】岩田 浩康
【氏名】後濱 龍太
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査請求 未請求
要約 【課題】半側空間無視の患者に対して効果的なリハビリテーションメニューを提供する。
【解決手段】 本発明の注意再獲得支援システムは、患者がリハビリテーション時に見る訓練用画像Tを生成する訓練用画像生成装置12と、訓練用画像生成装置12で生成された訓練用画像Tを患者に提示する提示装置13とを備えている。訓練用画像生成装置12は、訓練用画像Tの背景となる背景画像Bを生成する背景画像生成手段15と、背景画像Bに重畳される重畳画像Sを生成する重畳画像生成手段16と、背景画像Bの上に重畳画像Sを配置して訓練用画像Tを生成する画像合成手段17とを備えている。重畳画像生成手段16では、訓練用画像T内で背景画像Bの一部を他の部分よりも鮮明に表出させるスリット領域A1を有する重畳画像Sを生成し、訓練用画像T内でスリット領域A1を経時的に変化させる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
半側空間無視患者に対するリハビリテーションを支援するための注意再獲得支援システムにおいて、
患者がリハビリテーション時に見る訓練用画像を生成する訓練用画像生成装置と、当該訓練用画像生成装置で生成された前記訓練用画像を前記患者に提示する提示装置とを備え、
前記訓練用画像生成装置は、前記訓練用画像の背景となる背景画像を生成する背景画像生成手段と、当該背景画像に重畳される重畳画像を生成する重畳画像生成手段と、前記背景画像の上に前記重畳画像を配置して前記訓練用画像を生成する画像合成手段とを備え、
前記重畳画像生成手段では、前記訓練用画像内で前記背景画像の一部を他の部分よりも鮮明に表出させるスリット領域を有する前記重畳画像を生成し、前記訓練用画像内で前記スリット領域を経時的に変化させることにより、当該スリット領域を通じて表出する前記背景画像の部分を経時的に変化させることを特徴とする注意再獲得支援システム。
【請求項2】
前記重畳画像生成手段では、前記訓練用画像内で前記スリット領域が経時的に移動及び/又は拡張するように前記重畳画像を生成することを特徴とする請求項1記載の注意再獲得支援システム。
【請求項3】
前記重畳画像生成手段は、前記スリット領域の形態、数、変化態様を指定するパラメータに応じて、前記スリット領域の具体的態様を設定する態様設定部と、当該態様設定部によって設定された前記スリット領域の具体的態様に基づいて前記重畳画像を生成する画像生成部とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の注意再獲得支援システム。
【請求項4】
前記訓練用画像生成装置は、所定の患者情報が記憶された患者情報データベースを更に備え、
前記重畳画像生成手段では、前記患者情報データベースの患者情報に基づき前記重畳画像が生成されることを特徴とする請求項1又は2記載の注意再獲得支援システム。
【請求項5】
前記患者の視野画像を撮像可能なカメラを更に備え、
前記背景画像生成手段では、前記カメラで撮像された前記視野画像を前記背景画像とし、
前記提示装置では、前記スリット領域によって表出部分が経時的に変化する前記視野画像が前記患者に提示されることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の注意再獲得支援システム。
【請求項6】
半側空間無視患者に対するリハビリテーションを行う際に、患者が見る訓練用画像を生成する訓練用画像生成装置において、
前記訓練用画像の背景となる背景画像を生成する背景画像生成手段と、当該背景画像に重畳される重畳画像を生成する重畳画像生成手段と、前記背景画像の上に前記重畳画像を配置して前記訓練用画像を生成する画像合成手段とを備え、
前記重畳画像生成手段では、前記訓練用画像内で前記背景画像の一部を他の部分よりも鮮明に表出させるスリット領域を有する前記重畳画像を生成し、前記訓練用画像内で前記スリット領域を経時的に変化させることにより、当該スリット領域を通じて表出する前記背景画像の部分を経時的に変化させることを特徴とする訓練用画像生成装置。
【請求項7】
半側空間無視患者に対するリハビリテーションを行う際に、患者が見る訓練用画像を生成する訓練用画像生成装置のコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、
前記訓練用画像の背景となる背景画像を生成する背景画像生成手段と、当該背景画像に重畳される重畳画像を生成する重畳画像生成手段と、前記背景画像の上に前記重畳画像を配置して前記訓練用画像を生成する画像合成手段として前記コンピュータを機能させ、
前記重畳画像生成手段では、前記訓練用画像内で前記背景画像の一部を他の部分よりも鮮明に表出させるスリット領域を有する前記重畳画像を生成し、前記訓練用画像内で前記スリット領域を経時的に変化させることにより、当該スリット領域を通じて表出する前記背景画像の部分を経時的に変化させる処理を行うことを特徴とする訓練用画像生成装置のプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半側空間無視患者に対するリハビリテーションを支援するための注意再獲得支援システム、訓練用画像生成装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳血管障害に起因する障害の一つとして、脳の病巣の反対側に存在する刺激を無視する半側空間無視と呼ばれる症状がある。例えば、右脳損傷による半側空間無視の患者は、自身の視空間のうち左側の空間に存在する対象を無視してしまい、ドアを通り抜けるときにドアの左側にぶつかり、印刷物の左側を読むことができず、食事のときに左側のおかずに気が付かない等の支障が生じる。
【0003】
半側空間無視の発生メカニズムとして、視空間内の注意の配分に異常が生じたことで無視領域が発生する注意障害説が知られている。これによれば、健常者は、視空間内で焦点を当てているものから注意を離す「解放」を行う機能と、当該「解放」によって新たな位置に注意を移す「移動」を行う機能と、新規のターゲットに注意を焦点付ける「固定」を行う機能とを備え、これら機能を1サイクルとして順に繰り返し行う。しかしながら、半側空間無視の患者は、前記注意の「解放」及び「移動」を正常に行えず、これによって、前記サイクルが停滞してしまい、視空間内の片側無視の領域が生じることになる。また、視空間の中で無視されない側(非無視側)の空間(非無視空間)内で、更に片側無視を生じさせることが繰り返し行われ、非無視空間を次第に狭小化させる現象(たまねぎ現象)も発生する。例えば、前述した患者のように、視空間の左側領域が無視空間で、逆の右側領域が自覚可能であっても、当該右側領域を注視すると、当該右側領域における左部分の注意が更に欠落して認識不能となってしまい、次第に患者の注意領域が狭小化する。以上のことから、半側空間無視の患者に対しては、前記注意の「解放」、「移動」、「固定」のサイクルを停滞させずに、且つ、視空間内の注意領域の「拡大」を促進するリハビリテーションが必要になると考えられる。
【0004】
ところで、特許文献1、2には、半側空間無視の患者のリハビリテーションに用いられるシステムや装置が開示されている。特許文献1の訓練システムでは、現実空間映像においてエッジを強調した映像や、現実空間映像における認識空間に無視空間の視覚情報を付加した映像や、現実空間映像における認識空間に矢印からなる注意喚起情報を付加した映像等を訓練用映像として患者に提示可能になっている。また、特許文献2の認知機能訓練装置は、画面内を所定の時間で移動する指標を患者に提示するようになっている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2011-212430号公報
【特許文献2】国際公開WO2005/115299号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1、2のシステムや装置にあっては、半側空間無視の患者に対して、症状の改善に必要となる前述した注意の「解放」、「移動」及び「拡大」の全てを促進することができず、半側空間無視のリハビリテーション用として必ずしも有用でない。すなわち、特許文献1の訓練システムでは、映像にエッジを付加した訓練用映像によって注意の「固定」を行い易くなるが、注意の「解放」及び「移動」を患者に促すことはできない。また、認識空間に無視空間の視覚情報を付加した訓練用映像では、映像の提示領域が静的であるため、前述のたまねぎ現象を抑止することができない。更に、認識空間に注意喚起情報を付加した訓練用映像では、依然として非無視側に映像が提示されているため、当該非無視側にて「固定」されている注意の「解放」を促すことが難しい。また、特許文献2の認知機能訓練装置は、移動する一つの指標に注意の「固定」を持続させるための訓練を行うものであり、注意の「解放」、「移動」及び「拡大」を促進することができない。
【0007】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、半側空間無視の患者に対して効果的なリハビリテーションメニューを提供することができる注意再獲得支援システム、訓練用画像生成装置及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、半側空間無視患者に対するリハビリテーションを行う際に、患者が見る訓練用画像を生成する訓練用画像生成装置について、前記訓練用画像の背景となる背景画像を生成する背景画像生成手段と、当該背景画像に重畳される重畳画像を生成する重畳画像生成手段と、前記背景画像の上に前記重畳画像を配置して前記訓練用画像を生成する画像合成手段とを備え、前記重畳画像生成手段では、前記訓練用画像内で前記背景画像の一部を他の部分よりも鮮明に表出させるスリット領域を有する前記重畳画像を生成し、前記訓練用画像内で前記スリット領域を経時的に変化させることにより、当該スリット領域を通じて表出する前記背景画像の部分を経時的に変化させる、という構成を採用したところが主たる特徴となっている。
【0009】
なお、本明細書及び本特許請求の範囲において、「画像」とは、静止画像及び動画像を総称した概念として用いられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、訓練用画像内のスリット領域が、移動や拡張を行うように変化し、スリット領域を通じて表出する背景画像の画像情報が経時的に変化する。このため、当該訓練用画像を患者が所定時間見たときに、スリット領域の変化によって、訓練用画像内の注意部分が自ずと変化することになる。その結果、訓練用画像内の注意部分の移動により、患者に対し、視空間の一部に注意を「固定」し、次いで、固定した注意を「解放」し、更に、他の部分に注意を「移動」する能力を促進させることが期待できる。加えて、訓練用画像内の注意部分の拡張により、前述した注意の「拡大」能力をも促進することが期待できる。従って、本発明では、半側空間無視患者に対し、注意操作の再獲得を支援する効果的なリハビリテーションメニューを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る注意再獲得支援システムの構成を表すブロック図。
【図2】(A)は背景画像を示す図であり、(B)は重畳画像を示す図であり、(C)は訓練用画像を示す図である。
【図3】(A)から(C)は、スリット領域が画面内を経時的に移動する変化態様を説明するための図である。
【図4】(A)から(C)は、スリット領域が画面内を経時的に拡張する変化態様を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る注意再獲得支援システムの構成を表すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)

【0013】
図1には、第1の実施形態における注意再獲得支援システムの構成を表すブロック図が示されている。この図において、前記注意再獲得支援システム10は、半側空間無視の症状を有する患者に対して、狭小化した注意領域を再獲得させるための訓練(リハビリテーション)を支援するシステムである。この注意再獲得支援システム10は、患者や療法士等の使用者が各種情報をシステム内に入力するための入力装置11と、入力装置11で入力された各種情報に基づいて、リハビリテーション時に患者が見る訓練用画像を生成する訓練用画像生成装置12と、訓練用画像生成装置12で生成された訓練用画像を患者に提示する提示装置13とを備えて構成されている。

【0014】
前記入力装置11は、キーボード、タッチパネル、マウス、データ入力ポート等の公知の入力デバイスにより構成され、前記使用者により、訓練用画像生成のための各種情報が入力され、当該入力された情報は、訓練用画像生成装置12に送信されるようになっている。なお、前記各種情報の入力及び送信が可能である限りにおいて、種々の入力デバイスを採用することが可能である。

【0015】
前記訓練用画像生成装置12は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等からなるコンピュータを含んで構成されており、当該コンピュータを以下の各手段として機能させるためのプログラムがインストールされている。

【0016】
すなわち、訓練用画像生成装置12は、訓練用画像の背景となる背景画像を生成する背景画像生成手段15と、背景画像に重畳される重畳画像を生成する重畳画像生成手段16と、背景画像の上に重畳画像を重畳配置するように合成された訓練用画像を生成する画像合成手段17とを備えている。

【0017】
すなわち、訓練用画像生成装置12では、図2(A)の背景画像Bの上に、同図(B)の重畳画像Sが重ね合わされるように合成され、同図(C)の訓練用画像Tが生成される。ここで、同図(B)に示されるように、重畳画像Sには、画像内における位置や大きさが経時的に変化するスリット領域A1が設けられる。当該スリット領域A1は、重畳画像S内において、訓練用画像Tにおいて背景画像Sの一部を透過させるための間隙として形成される。その一方、重畳画像S内において、間隙として作用するスリット領域A1を除く周辺領域A2は、背景画像Sの透過を不能に隠蔽する画像情報を有する隠蔽領域となっている。なお、周辺領域A2を当該隠蔽領域にせずに、スリット領域A1と周辺領域A2との間で、背景画像Bの透過明瞭度を変え、訓練用画像Tにおいて、スリット領域A1から表出する背景画像Bの一部位が、周辺領域A2から表出する背景画像Bの他部位よりも、視認し易くする重畳画像Sを生成することも可能である。要するに、スリット領域A1としては、訓練用画像T内で背景画像Bの一部を、他の部分よりも鮮明に表出することで視認し易くできる限りにおいて、種々の態様を採ることができる。

【0018】
前記背景画像生成手段15では、予め撮像されて記憶された種々の動画像若しくは静止画像の中から、入力装置11からの入力によって、任意の画像が背景画像Bとして選択される。ここで、背景画像Bとしては、特に限定するものではないが、患者の注意を引き易い対象物が散点的に配置された画像を採用するのが好ましい。

【0019】
前記重畳画像生成手段16は、スリット領域A1の形状等に関する情報が記憶された記憶部19と、入力装置11に入力された情報及び記憶部19から抽出された情報に基づき、スリット領域A1の具体的態様を設定する態様設定部20と、当該態様設定部20によって設定されたスリット領域A1の具体的態様に基づいて、経時的に変化する重畳画像Sを生成する画像生成部21とを備えている。

【0020】
前記記憶部19には、例えば、矩形状、円形状(真円状、楕円状)、星形状等の外形を有するスリット領域A1の外形パターンが記憶されている。なお、記憶部19には、新規に形成されたスリット領域A1の形状を都度記憶することもできる。この場合、訓練用画像生成装置12に、スリット領域A1の新規形状を形成可能な機能を設け、当該機能で形成された新規形状を記憶部19に記憶させても良いし、外部の作成手段で形成された新規形状を入力装置11で入力して、記憶部19に記憶させても良い。

【0021】
前記態様設定部20では、入力装置11により、スリット領域A1の具体的態様を特定するためのパラメータが入力されると、当該パラメータに従ってスリット領域A1の具体的態様が決定される。このパラメータとしては、スリット領域A1の形態(形状、サイズ)、数、変化態様、変化方向、変化速度等の各種情報を例示できる。ここで、スリット領域A1の変化態様としては、図3に示されるように、訓練用画像T内でスリット領域A1が経時的に変位する移動態様と、図4に示されるように、訓練用画像T内でスリット領域A1が経時的に拡張する拡張態様とがある。なお、図3では、同図(A)から(C)の順で、スリット領域A1が画面右から左に移動する変化例が示され、図4では、同図(A)から(C)の順で、スリット領域A1が画面右上から左下に拡張する変化例が示されている。

【0022】
以上の重畳画像生成手段16では、次の手順を経て重畳画像Sが生成される。

【0023】
先ず、使用者により、患者の症状に応じて必要とするスリット領域A1の前記パラメータが入力装置11から入力される。すなわち、ここでは、スリット領域A1の形状(図3の例では矩形、図4の例では楕円形)及び初期サイズと、同時に提示するスリット領域A1の数(図3、図4の例では共に1個)と、スリット領域A1の変化態様(図3の例では移動態様、図4の例では拡張態様)と、スリット領域A1の変化方向(図3の例では画面左方向に移動、図4の例では画面右上からの拡張)と、スリット領域A1の変化速度(図3では移動速度、図4では拡張速度)とが入力される。すると、訓練用画像T内におけるスリット領域A1の経時的な動作態様が決定され、当該決定に基づいて経時的に変化する重畳画像Sが生成される。なお、スリット領域A1の変化方向としては、患者の左側の視空間が非無視側である場合、画面の右側から左側に変化させることが効果的であると考えられる。

【0024】
前記画像合成手段17では、背景画像Bの上に重畳画像Sを重ねる画像処理を行うことで、スリット領域A1を通じて表出する背景画像Bの一部分が経時的に変化する訓練用画像Tが生成される。換言すると、この訓練用画像Tでは、スリット領域A1を除く周辺領域A2は、その下側に位置する背景画像Bの部分を視認困難にするように隠蔽され、当該隠蔽部分も訓練用画像T内で経時的に変化することになる。なお、重畳画像Sは、背景画像Bと同一のサイズにされ、背景画像Bに重畳画像Sを重畳させたときに、重畳画像S内のスリット領域A1の一部が、背景画像Bの外側にはみ出る場合は、当該一部をカットする処理が行われる。

【0025】
前記提示装置13としては、プロジェクター、ディスプレイ等、画像合成手段17からの訓練用画像Tを表示可能とする種々の装置を採用することができる。この提示装置13では、入力装置11からの指令に応じて、患者に対して、所定時間、1又は複数種類の訓練用画像Tを1回若しくは繰り返し提示するようになっている。

【0026】
このような実施形態によれば、患者が訓練用画像Tを見たときに、注意を引く部分が、スリット領域A1内で透過して表出する背景画像Bの一部に絞られ、スリット領域A1の経時的な変化によって、視認可能な背景画像Bの部位が時間と共に変わり、これにより、半側空間無視の患者のリハビリテーションに必要となる注意の「解放」、「移動」、及び「拡大」の機能を促進させることが期待できる。

【0027】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前記第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
(第2の実施形態)

【0028】
図5に示されるように、本実施形態に係る注意再獲得支援システム30は、第1の実施形態の訓練用画像生成装置12に対し、前記使用者により入力装置11から入力された患者の各種情報を記憶する患者情報データベース32を更に備え、前記重畳画像生成手段16の態様設定部20にて、患者情報データベース32に記憶された患者情報をも利用して、訓練用画像Tを生成可能にしたところに特徴を有し、その他は、前記第1の実施形態の構成と実質的に同一となっている。

【0029】
前記患者情報データベース32には、注意再獲得支援システム30による先の訓練において、変化するスリット領域A1内に表出する背景画像Bの中から、見えたものを患者に報告して貰い、その結果が患者情報として記憶され、或いは、別途、患者に対して行った半側空間無視の行動性無視検査(BIT)における試験結果が患者情報として記憶される。

【0030】
本実施形態における態様設定部20では、患者情報データベース32の患者情報をも考慮して、スリット領域A1の具体的態様を設定するように構成されている。すなわち、患者情報データベース32には、前記患者情報として患者の無視症状の程度が記憶されており、態様設定部20では、患者の状態とスリット領域A1の変化内容とを予め対応させて記憶された変化データベース(図示省略)に基づき、患者情報データベース32から抽出された患者の状態に応じて、スリット領域A1の変化内容、すなわち、変化態様、変化方向及び変化速度等が決定されるようになっている。例えば、重症者には、スリット領域A1の移動速度や拡張速度を遅くする一方で、回復しつつある患者には、スリット領域A1の移動速度や拡張速度を早くして、スリット領域A1を複数提示する等、前述したパラメータの組み合わせが患者の症状に合わせて自動的に設定される。

【0031】
本実施形態によれば、スリット領域A1の具体的態様を設定する際に、前記各種パラメータの療法士等による入力の手間を軽減できるとともに、患者の症状に合わせてスリット領域A1を変化させることができ、患者に合った適切なリハビリテーションを簡単な装置操作で患者に行わせることが可能になる。

【0032】
なお、前記第1及び第2の実施形態の変形例として、以下の態様を例示できる。

【0033】
前記提示装置13として、患者の頭部に装着される頭部装着型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)を採用するとともに、当該ヘッドマウントディスプレイに、患者の前方視野画像を撮像可能なカメラを設け、当該カメラで撮像されたリアルタイムの画像を前記背景画像生成手段15で背景画像とすることもできる。この場合、背景画像が患者の視野に相応した実環境画像となるため、日常生活を行いながらのリハビリテーションが可能になり、患者の社会復帰を一層促進させるためのメニューとすることができる。

【0034】
更に、前記注意再獲得システム10,30の前記各構成装置11,12,13の機能を、タブレット型端末、携帯電話端末等の各種の携帯型端末に一体的に保有させることも可能である。この場合、前記携帯型端末に設けられたカメラで撮像されたライブビュー映像などの画像を背景画像Bとし、前述のように生成された訓練用画像Tを前記携帯型端末のディスプレイ(提示装置13)に提示する態様を例示できる。

【0035】
その他、本発明におけるシステム、装置の各手段の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 注意再獲得支援システム
11 訓練用画像生成装置
12 提示装置
15 背景画像生成手段
16 重畳画像生成手段
17 画像合成手段
19 記憶部
20 態様設定部
21 画像生成部
30 注意再獲得支援システム
32 患者情報データベース
B 背景画像
S 重畳画像
T 訓練用画像
A1 スリット領域
図面
【図1】
0
【図5】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4