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明細書 :肉色の等級決定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-002136 (P2014-002136A)
公開日 平成26年1月9日(2014.1.9)
発明の名称または考案の名称 肉色の等級決定方法
国際特許分類 G01J   3/46        (2006.01)
G01N  33/12        (2006.01)
G01J   3/52        (2006.01)
FI G01J 3/46 Z
G01N 33/12
G01J 3/52
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2013-106952 (P2013-106952)
出願日 平成25年5月21日(2013.5.21)
優先権出願番号 2012115719
優先日 平成24年5月21日(2012.5.21)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】口田 圭吾
出願人 【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人帯広畜産大学
【識別番号】512132608
【氏名又は名称】株式会社十勝清水フードサービス
個別代理人の代理人 【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
審査請求 未請求
テーマコード 2G020
Fターム 2G020AA08
2G020DA02
2G020DA05
2G020DA12
2G020DA34
2G020DA53
要約 【課題】本発明は、主観的な判断によらず、きめ細かい肉色の等級決定や肉色等級決定の自動化が可能な肉色等級決定基準の作成方法及び肉色等級決定方法を提供する。
【解決手段】(1)複数の食肉試料の表面からデジタル画像を抽出し、
(2)抽出したデジタル画像のRGB値から各食肉試料のCIELab値を求め、
(3)各食肉試料について肉色の等級を決定し、
(4)前記複数の食肉試料について求めた前記CIELab値のいずれか2つのファクターと前記等級との関係から、肉色等級決定基準を求める、肉色等級決定基準の作成方法に関する。さらに本発明は、(5)検査対象である食肉試料について(1)及び(2)の工程を行ってCIELab値を求め、(4)で得られた肉色等級決定基準に照らして前記検査対象である食肉試料の肉色の等級を求めることを含む肉色等級決定方法に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
(1)複数の食肉試料の表面からデジタル画像を抽出し、
(2)抽出したデジタル画像のRGB値から各食肉試料のCIELab値を求め、
(3)各食肉試料について肉色の等級を決定し、
(4)前記複数の食肉試料について求めた前記CIELab値のいずれか2つのファクターと前記等級との関係から、肉色等級決定基準を求める、
ことを含む、但し、(1)及び(2)と(3)の先後は任意である、肉色等級決定基準の作成方法。
【請求項2】
(4)における前記CIELab値の2つのファクターとして、L*とa*を用いる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(4)における前記等級のL*及びa*座標中における位置決めは、前記複数の食肉試料におけるL*の最低値及びa*の最低値を前記座標の原点とし、この原点と前記複数の食肉試料におけるL*の平均値及びa*の平均値の座標とを結ぶ直線を求め、この直線から等間隔で、かつそれぞれ所定の等級を表すように複数の垂線を求めることで行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(3)における前記肉色の等級は、検査対象である食肉が牛肉の場合、牛肉色基準(BCS)ナンバーである請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(4)における前記肉色等級決定基準は、各食肉試料が有するL*及びa*とBCSナンバーとから、各食肉試料が有するBCSナンバーをL*及びa*座標中において位置決めすることで求める、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(3)における前記肉色の等級は、検査対象である食肉が牛肉の場合、テキサス・エー・アンド・エム大学畜産学部提供の牛肉品質基準における赤身色についての等級、または豪州食肉家畜生産者事業団提供の冷凍牛肉評価における肉色についての等級である請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(11)検査対象である食肉試料の表面からデジタル画像を抽出し、
(12)抽出したデジタル画像のRGB値から検査対象である食肉試料のCIELab値を求め、
(13)肉色等級決定基準に照らして前記検査対象である食肉試料の肉色の等級を求めることを含み、
但し、前記肉色等級決定基準は、下記(a1)~(a4)(但し、(a1)及び(a2)と(a3)の先後は任意である)で得られた基準である、
肉色等級決定方法。
(a1)複数の食肉試料の表面からデジタル画像を抽出し、
(a2)抽出したデジタル画像のRGB値から各食肉試料のCIELab値を求め、
(a3)各食肉試料について肉色の等級を決定し、
(a4)前記(a1)に記載の複数の食肉試料について(a2)で求めた前記CIELab値のいずれか2つのファクターと前記(a3)で決定した等級との関係から、肉色等級決定基準を求める。
【請求項8】
(a4)における前記CIELab値の2つのファクターとして、L*とa*を用いる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a4)における前記等級のL*及びa*座標中における位置決めは、前記複数の食肉試料におけるL*の最低値及びa*の最低値を前記座標の原点とし、この原点と前記複数の食肉試料におけるL*の平均値及びa*の平均値の座標とを結ぶ直線を求め、この直線から等間隔で、かつそれぞれ所定の等級を表すように複数の垂線を求めることで行う、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(5)における検査対象である食肉試料の肉色の等級は、前記検査対象である食肉試料のL*及びa*と前記いずれかの垂線からの距離から求める請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a3)における前記肉色の等級は、検査対象である食肉が牛肉の場合、牛肉色基準(BCS)ナンバーである請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
(a4)における前記肉色等級決定基準は、各食肉試料が有するL*及びa*とBCSナンバーとから、各食肉試料が有するBCSナンバーをL*及びa*座標中において位置決めすることで求める、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a3)における前記肉色の等級は、検査対象である食肉が牛肉の場合、テキサス・エー・アンド・エム大学畜産学部提供の牛肉品質基準における赤身色についての等級、または豪州食肉家畜生産者事業団提供の冷凍牛肉評価における肉色についての等級である請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉の肉色等級決定基準の作成方法及び肉色の等級決定方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、デジタル画像から求めたCIELab値を用いて、肉色、特に牛肉の肉色の等級決定基準の作成方法及び等級の決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛肉の肉質において、脂肪交雑とともに肉色は重要な要因である。肉色の等級決定は、社団法人日本食肉格付協会の格付員により、食肉処理場内において牛肉色基準(以下、BCS)をもとに行われる。BCSによる等級決定は標準模型を用いて熟練した格付員が経験に基づいて行うものであり、また、BCSナンバーによる等級は、1~7段階の不連続的なものである。このように、BCSナンバーは格付員の主観により付与される等級であり、かつ同一等級(同一のBCSナンバー)の肉であっても肉色に違いがみられることがあった。
【0003】
食肉処理場内において格付員が直接肉色の等級を決定する方法に代わる方法として、デジタルカメラやイメージスキャナで読み取った画像をコンピュータモニタに表示して等級決定(BCSナンバー付与)することも行われている。カラーキャリブレータを用いることで肉色を再現性よくモニタに表示し、この表示に基づいて格付員が高い精度でBCSナンバーを付与することが可能である(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】口田ら、日本畜産学会報,73(4): 521-528
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記読み取り画像を用いた肉色等級決定方法も格付員が行うことに変わりはない。そのため、より詳細な肉色の等級決定はできず、同一等級の肉であっても、肉色に違いがみられるといった問題は未解決のままである。さらに、客観的に肉色等級を決定する方法は、本発明者らが知る限り、存在しない。さらに肉色等級を客観的にかつ自動的に決定する方法も本発明者らが知る限り、存在しない。
【0006】
そこで本発明は、主観的な判断によらず、かつきめ細かい肉色の等級決定が可能な新たな肉色等級決定方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、肉色等級決定の自動化も可能な新たな肉色等級決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成すべく種々検討した結果、撮影された食肉横断面のRGB値からL*a*b*を算出し、L*a*b*と従来からある肉色の等級との相関を求めることに成功し、さらにこの相関から、検査対象である食肉試料のL*a*b*を算出することを介して、客観的に肉色の等級を提供できること、さらに等級を細分化することできめ細かい等級決定が可能になることを見出して本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、肉色等級を客観的に決定する方法を提供できる。その結果、熟練を必要とする肉色等級決定を機械化でき、検査対象である食肉試料の肉色等級決定を自動化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】抽出した横断面(a)、ロース芯(b)の画像を示す。
【図2】据置型撮影装置のリブカメラで撮影されたカラーチャート(図面は白黒)を示す。
【図3】分光測色計から得られたL*a*b*実測値と据置型撮影装置で撮影した画像から得られたRGB値より算出されたL*a*b*推定値との関連を示す。
【図4】リブの筋肉L*および筋肉a*の散布図を示す。
【図5】筋肉L*およびb*の散布図を示す。
【図6】筋肉a*およびb*の散布図を示す。
【図7】リブの筋肉L*および筋肉a*の散布図(図4)をもとに、L*,a*において1 刻みに各数値間にある個体の画像をロース芯より切り出し、貼り付けた図である。
【図8】図7を基に、全データの最小値(整数値)を始点(54.0,15.0)に定め、始点から平均値(63.8,20.1)を通る直線 (y=0.5117x-12.639)、この直線に対する平均値を通る垂線i BCS4、距離が約2.5 となるような間隔で平行線iBCS0~7を示す。
【図9-1】i BCSにより肉色の詳細等級決定により示されたi BCSが2.12から6.55までのサンプルを示す。
【図9-2】i BCSにより肉色の詳細等級決定により示されたi BCSが2.12から6.55までのサンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の肉色等級決定基準の作成方法は、以下の(1)~(4)の工程を含む。
(1)複数の食肉試料の表面からデジタル画像を抽出する。
(2)抽出したデジタル画像のRGB値から各食肉試料のCIELab値を求める。
(3)各食肉試料について肉色の等級を決定する。
(4)前記複数の食肉試料について求めた前記CIELab値のいずれか2つのファクターと前記等級との関係から、肉色等級決定基準を求める。

【0011】
本発明の肉色等級決定方法は、以下の(11)、(12)及び(13)の工程を含む。
(11)検査対象である食肉試料の表面からデジタル画像を抽出し、
(12)抽出したデジタル画像のRGB値から検査対象である食肉試料のCIELab値を求め、
(13)肉色等級決定基準に照らして前記検査対象である食肉試料の肉色の等級を求めることを含み、
但し、前記肉色等級決定基準は、下記(a1)~(a4)(但し、(a1)及び(a2)と(a3)の先後は任意である)で得られた基準である。
(a1)複数の食肉試料の表面からデジタル画像を抽出し、
(a2)抽出したデジタル画像のRGB値から各食肉試料のCIELab値を求め、
(a3)各食肉試料について肉色の等級を決定し、
(a4)前記(a1)に記載の複数の食肉試料について(a2)で求めた前記CIELab値のいずれか2つのファクターと前記(a3)で決定した等級との関係から、肉色等級決定基準を求める。

【0012】
本発明の肉色等級決定基準の作成方法及び肉色等級決定方法は、肉色の等級決定を要する全ての肉を対象とすることができ、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉などを挙げることができる。また、肉色は、筋肉の色であることも脂肪色であることもできる。特に肉色等級決定の需要が多い、牛肉の筋肉の色であることが好ましい。但し、それに限定する意図ではない。

【0013】
<本発明の肉色等級決定基準の作成方法>
工程(1)
複数の食肉試料の表面からデジタル画像を抽出する工程である。工程(1)~(3)は、工程(4)において肉色等級決定基準を求めるための工程である。精度の高い肉色等級決定方法を提供するという観点からは、前記複数の食肉試料の数は多い方が好ましい。例えば、10~200個の間とすることができるが、あくまでも例示であり、10個未満でも200個超でも良い。
食肉試料の表面は、特に制限はない。牛肉の筋肉の場合は、例えば、日本食肉格付協会の肉色格付で用いられている、枝肉左半丸の第6番目と7番目の肋骨間を切開し、そこの面とすることができる。あるいは、牛肉の筋肉試料の表面は、牛肉のロース芯の切断面であることもできる。但し、この部位の表面に限定する意図ではなく、肉色等級決定の目的に応じて適宜決定できる。

【0014】
デジタル画像の撮影は、デジタルカメラやイメージスキャナなどのカラー画像撮影装置を用いて行うことができる。デジタル画像から所定部分を抽出し、RGB値を求めることから、RGB値を求められる条件で撮影されたデジタル画像であればよい。なお、筋肉色の評価の場合、筋肉部分のみを抽出し、脂肪色の場合、脂肪部分のみを抽出し、それぞれ平均RGB値を求める。

【0015】
工程(2)
抽出したデジタル画像のRGB値から各食肉試料のCIELab値を求める工程である。
抽出したデジタル画像から食肉試料の筋肉部分のRed(R)平均、Green(G)平均及びBlue(B)平均値を求める。この方法は、公知であり、例えば、下記の文献に記載の方法に従って実施できる。
(1) 高橋健一郎・堀 武司・波 通隆・本間稔規・小高仁重・口田圭吾, 高精細枝肉横断面撮影装置からの画像を用いたBCSナンバーの推定, 日本畜産学会報, 77(2):237-244, 2006
(2) 口田圭吾・長谷川未央・鈴木三義・三好俊三, 枝肉横断面撮影装置で撮影されたデジタル画像を利用したBCSナンバーの判定, 日本畜産学会報, 72, 9,J321-J328, 2001

【0016】
さらに上記で求めたR平均、G平均、及びB平均をXYZ 表色系に変換する。RGBからXYZへの変換は、数学的に以下の変換式を用いて行うことができる。
【数1】
JP2014002136A_000002t.gif

【0017】
さらにXYZ表色系の値を、さらにL*a*b*表色系に変換する。XYZ表色系からL*a*b*表色系への変換は、数学的に以下の変換式を用いて行うことができる。

【0018】
【数2】
JP2014002136A_000003t.gif

【0019】
工程(3)
各食肉試料について肉色の等級を決定する工程である。
肉色の等級は、牛肉の場合は、例えば、日本食肉格付協会の肉色格付で用いられている牛肉色基準(BCS)ナンバーであることができる。これ以外の等級も適宜用いることはできる。牛肉色基準(BCS)ナンバーは、1~7の7段階からなるものであり、7段階のBCS標準模型に表されている。BCSナンバーの付与(肉色の格付け)は、通常はBCS標準模型に基づいて行われる。BCS標準模型に基づく肉色の等級の決定は、BCS標準模型と等級決定対象である食肉とを目視で対比して、BCS標準模型の中から決定対象である食肉に最も近い牛肉色基準(BCS)ナンバーを選択することで行われる。

【0020】
牛肉色基準(BCS)ナンバー以外には、例えば、アメリカ合衆国の肉色基準またはオーストラリアの肉色基準における等級を用いることもできる。アメリカ合衆国の肉色基準としては、例えば、テキサス・エー・アンド・エム大学畜産学部(Department of Animal Science at Texas A&M University)提供のBeef Quality Grades(牛肉品質基準)(http://meat.tamu.edu/beefgrading.html)を挙げることができる。この中のLean Maturity(赤身熟成度)の項中にLean Color(赤身色)についての等級が記載されている。オーストラリアの肉色基準としては、例えば、豪州食肉家畜生産者事業団(Meat and Livestock Australia, Ltd. (MLA))提供のBeef Chiller Assessment(冷凍牛肉評価)(http://www.australian-meat.com/Foodservice/Proteins/Beef/Beef#Chiller#Assessment/)を挙げることができる。この中にMeat Color(肉色)についての等級が示されている。

【0021】
アメリカ合衆国の肉色基準またはオーストラリアの肉色基準に基づく肉色の等級の決定も、標準となる色等と等級決定対象である食肉とを目視で対比して、標準の中から決定対象である食肉に最も近い基準ナンバーを選択することで行われる。

【0022】
工程(1)におけるデジタル画像の抽出と、工程(3)における肉色の等級決定とは、同一の食肉試料の同一の表面について、それぞれ実施される。
同一の食肉試料について工程(1)を先に行うか、工程(3)を先に行うかは任意であり、工程(1)に続く工程(2)と工程(3)との先後も任意である。

【0023】
工程(4)
工程(2)で求めたCIELab値のいずれか2つのファクターと、工程(3)で決定した等級との関係から、肉色等級決定基準を求める工程である。CIELab値には、L*とa*とb*の3つのファクターがあり、その内の2つのファクターを用いる。どの2つの組合せを用いるかは任意である。また、肉色の等級は、牛肉の場合、BCSナンバーであることができる。実施例で示すように、ホルスタイン種の肉色等級決定においては、L*とa*を用いることが、肉色の等級としてBCSナンバーを用いる場合に、比較的精度良く等級決定がし易かった。ホルスタイン種以外の肉色等級決定においても、L*とa*を用いることができる。

【0024】
工程(4)における肉色等級決定基準を、L*とa*を用いる場合を例に説明する。各食肉試料が有するL*及びa*とBCSナンバーとから、各食肉試料が有するBCSナンバーをL*及びa*座標中において位置決めする。BCSナンバーのL*及びa*座標中における位置決めは、前記複数の食肉試料におけるL*の最低値及びa*の最低値の座標を原点(一方の点)とし、この原点と前記複数の食肉試料におけるL*の平均値及びa*の平均値の座標を他方の点として、両者を結ぶ直線を求める。次いで、この直線から等間隔で、かつそれぞれ所定の等級を表すように複数の垂線を求める。このように、L*及びa*座標中に各BCSナンバー(等級)に対応する領域が示された肉色等級決定基準を求めることができる。

【0025】
そのため、検査対象である食肉試料のL*及びa*が求まれば、この肉色等級決定基準に照らすことで、BCSナンバー(等級)に対応する領域に位置するかが求まり、自動的に、BCSナンバー(等級)を決定することもできる。さらに、上記垂線からの距離を座標中で数値化できることから、BCSナンバー(等級)をより細分化して表示することもできる。例えば、BCSナンバー2と3の中間地点のL*及びa*を有する肉の場合、BCSナンバー2.5と表示することが可能である。このようにして得られた肉色等級決定基準に基づいて、BCSナンバーをより細分化して表示した等級を本願明細書ではiBCSナンバーと呼ぶ。iBCSナンバーとは、画像解析により算出される、例えば、L*及びa*との関連性を利用して測定される牛肉色等級である。L*及びa*以外のCIELab値のいずれか2つのファクターを用いても、同様に肉色等級決定基準を作成することは可能であり、かつiBCSナンバーを決定することも可能である。iBCSナンバーによる等級決定については実施例でより詳細に説明する。

【0026】
<本発明の肉色等級決定方法>
本発明の肉色等級決定方法は、 検査対象である食肉試料について(11)及び(12)の工程を行ってCIELab値を求め、肉色等級決定基準に照らして前記検査対象である食肉試料の肉色の等級を求める方法である。
まずは、検査対象である食肉試料について(11)及び(12)の工程を行ってCIELab値を求める。(11)及び(12)の工程は、食肉試料が検査対象である食肉試料であることを除いては、前記本発明の肉色等級決定基準の作成方法における、(1)及び(2)の工程と同一である。得られたCIELab値を、肉色等級決定基準に照らして肉色の等級を求める。肉色等級決定基準は、前記本発明の肉色等級決定基準の作成方法と同じ、(a1)~(a4)の工程を含む方法で決定された基準である。この肉色等級決定基準は、上述のようにある種の検量線(実際には、検量線ではなく検量面)を提供し、この検量線(面)に照らして、検査対象である食肉試料の肉色の等級を決定することができる。検査対象である食肉試料の肉色の等級は、L*とa*を用いる場合には、検査対象である食肉試料のL*及びa*と、肉色等級決定基準で求めた垂線からの距離から求める。具体的な操作は、実施例で詳細に説明する。

【0027】
肉色等級決定基準に関する情報(例えば、L*とa*と等級との関係)とL*とa*からの等級算出式をコンピュータに入力しておくことで、検査対象である食肉試料のL*とa*とから、自動的に等級を決定することができ、ここでの等級は、上記BCSナンバーをより細分化したiBCSナンバーであることができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、本発明は実施例により制限される意図ではない。
【実施例】
【0029】
据置型撮影装置を用いて牛枝肉右半丸の第6-7 肋骨間横断面およびモモを撮影し、高精細横断面画像を得た。撮影した画像から第6-7 肋骨間横断面、ロース芯およびモモを抽出し(図1)、画像解析ソフトウェア(BeefAnalyzer II ,早坂理工,札幌市)を用いて画像解析形質を算出した。本実施例で調査対象とした画像解析形質は、ロース芯を2値化し、筋肉部分のみより算出した筋肉R 平均、筋肉G 平均および筋肉B 平均である。
【実施例】
【0030】
据置型撮影装置により撮影された画像をBeefAnalyzer IIを用いてロース芯を抽出した。画像解析形質の筋肉R 平均、筋肉G 平均および筋肉B 平均をXYZ表色系に置換し、その値を用いてさらにL*a*b*表色系に変換した。変換式は上記の通りである。
【実施例】
【0031】
上記L*a*b*は画像のRGB から求めた簡易的な値であり、真のL*a*b*からのズレがある可能性がある。そこで実測値との誤差を調べるために、分光測色計CM-1000(KONICA MINOLTA)を用いカラーチャート(ColorChecker Passport, X-rite 社)のL*a*b*の実測値、据置型撮影装置で撮影したカラーチャートの画像(図2:リブカメラ)のRGB 値から求めたL*a*b*の相関を調べた。
【実施例】
【0032】
また、肉色の詳細等級決定のためにL* vs a*、L* vs b*およびa* vs b*の二次元分布と格付から得られたBCSナンバーとの関連性を調査した。次にL*a*b*値を組み合わせ肉眼的判定により近い肉色等級について検討し、連続的な変数であるi BCSを作成した。
【実施例】
【0033】
結果
カラーチャートを用い、分光測色計CM-1000(KONICA MINOLTA)で測定したL*a*b*の実測値と、据置撮影装置で撮影した画像(リブカメラ、モモカメラ)のRGB から求めたL*a*b*の散布図をそれぞれ図3に示した。すべての形質間において決定係数が0.88 以上となり高い関連性が求められた。L*およびb*は点がほぼ直線状にすべてプロットされたが、a*では近似曲線から大きく外れる点があった。この大きく外れていた数値は、黄色、オレンジからのものであった。これはデジタルカメラの特性の問題であると考える。この誤差を小さくすることで、精度を向上させることができる。
【実施例】
【0034】
図4~6にリブの筋肉L*および筋肉a*、筋肉L*および筋肉b*、筋肉a*および筋肉b*の散布図をそれぞれ示した。相関係数はそれぞれ0.35、0.53、0.37となり、相関が強ければどちらかの形質のみを使うことができるが、強い関連性は見られなかった。またBCS ナンバーのばらつきを見るとL*とa*の散布図で大きかった。そこで、以下、筋肉L*と筋肉a*の相関が一番低く、BCSのばらつきが大きかった筋肉L*と筋肉a*の組み合わせにより肉色の等級決定を行うこととした。
【実施例】
【0035】
リブの筋肉L*および筋肉a*の散布図(図4)をもとに、L*,a*において1 刻みに各数値間にある個体の画像をロース芯より切り出し、図7に示した。目視での等級決定により、肉色はL*,a*がともに高くなれば、淡くなる傾向を示していた。作成した図(図7)をもとにX 軸をL*、Y 軸をa*とし、全データの最小値(整数値)を始点(54.0,15.0)に定め、始点から平均値(63.8,20.1)を通る直線を求めた(y=0.5117x-12.639)。この直線に、平均値を通る垂線を引いた。今回用いた材料牛の平均BCS ナンバーは3.9であったため、平均値を通る垂線をi BCS4と定めた。この直線を基準に、距離が約2.5となるような間隔で平行線を引きiBCS0~7までを定め、図8に示した。これにより肉色等級決定基準が定まる。
【実施例】
【0036】
上記肉色等級決定基準に基づいて、肉色をより詳細に等級決定するためのi BCSは、各個体の(L*,a*)点からi BCS0の直線(y=-1.9543x+164.418)までの距離を求め、その値を2.5で割った値として求められる。実際に色の詳細な等級決定法であるi BCSにより肉色の詳細等級決定により示されたi BCS2.12から6.55までのサンプルを図9に示した。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、食肉および畜産分野に有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9-1】
8
【図9-2】
9