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明細書 :センシング基板及びそれを用いたリガンドの測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-184269 (P2015-184269A)
公開日 平成27年10月22日(2015.10.22)
発明の名称または考案の名称 センシング基板及びそれを用いたリガンドの測定方法
国際特許分類 G01N  33/576       (2006.01)
G01N  33/543       (2006.01)
G01N  33/566       (2006.01)
FI G01N 33/576 B
G01N 33/543 595
G01N 33/566 ZNA
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2014-064090 (P2014-064090)
出願日 平成26年3月26日(2014.3.26)
発明者または考案者 【氏名】黒田 俊一
【氏名】飯嶋 益巳
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
要約 【課題】本発明は基板上にセレプターを整列化させ、斯かるレセプターに対して結合するリガンドを高感度に測定する事又は斯かるレセプターに結合するリガンドを高効率にスクリーニングすることを目的とする。
【解決手段】基板、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子、及びFc融合レセプターを備えるセンシング基板であって、基板が、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆され、更にFc融合レセプターが、HBsAgタンパク質が有するZZタグを介して、ウイルス用粒子と結合してなるセンシング基板の提供。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
基板、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子、及びFc融合レセプターを備えるセンシング基板であって、
基板が、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆され、更に
Fc融合レセプターが、HBsAgタンパク質が有するZZタグを介して、ウイルス用粒子と結合してなる、
センシング基板。
【請求項2】
ZZタグを有するHBsAgタンパク質が、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる請求項1に記載のセンシング基板。
【請求項3】
FcがヒトIgG由来である請求項1又は2に記載のセンシング基板。
【請求項4】
レセプターが、VEGFレセプター、レクチンレセプター、プロラクチンレセプター、及びTNFαレセプターからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~3の何れか1項に記載のセンシング基板。
【請求項5】
ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子が、ウイルス様粒子1モルにおけるZZタグを有するHBsAgタンパク質の含有量が100~150モルであるウイルス様粒子である、請求項1~4の何れか1項に記載のセンシング基板。
【請求項6】
基板1cm当たり0.1~0.5ピコモルのウイルス様粒子で被覆されてなる、請求項1~5の何れか1項に記載のセンシング基板。
【請求項7】
表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、エリプソメトリー法、蛍光偏光測定法、免疫電界効果トランジスター、レーザー比濁法、表面増強ラマン分光法、弾性表面波、及び共鳴超音波プロファイリングからなる群より選択される何れかの方法用である、請求項1~6の何れか1項に記載のセンシング基板。
【請求項8】
ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子で被覆されてなる基板に、Fc融合レセプターを添加する工程を含む、センシング基板の製造方法。
【請求項9】
以下の工程を含むレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法;
(1)請求項1~6の何れか1項に記載のセンシング基板に、該レセプターに対するリガンド候補物質を添加する工程、
(2)工程1によって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法からなる群より選択される何れかの方法に供する工程。
【請求項10】
以下の工程を含むリガンドスクリーニング方法;
(A)請求項1~6の何れか1項に記載のセンシング基板に、該レセプターのリガンド候補物質を添加する工程、
(B)工程Aによって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、エリプソメトリー法、蛍光偏光測定法、免疫電界効果トランジスター、レーザー比濁法、表面増強ラマン分光法、弾性表面波、及び共鳴超音波プロファイリングからなる群より選択される何れかの方法に供する工程。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はセンシング基板及びそれを用いたリガンドの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微量物質の検出方法として、目的とする物質を直接もしくは基板上に固層化した抗体/抗原などを介して捕捉し、補足した目的物質の検出を、抗原抗体反応などを利用して蛍光や発色、発光などにより行う上記免疫学的方法、あるいは物質との結合を直接感知する表面プラズモン共鳴法(SPR)、水晶発振子マイクロバランス法(QCM)、二面偏波式干渉法(DPI)、エリプソメトリー法、蛍光偏光測定法、免疫電界効果トランジスター、レーザー比濁法、表面増強ラマン分光法、弾性表面波、共鳴超音波プロファイリング等の原理に基づいたセンシング方法がある。
【0003】
例えばSPR法に基づく方法は、金属(誘導体)界面に局在しながら界面に沿って伝搬する電磁波である表面プラズモンを利用し、物質が結合したときの金属表面での電荷密度波の変化を測定することで物質の結合力や量を測定する方法である。また、QCMは水晶発振子に設置した電極上に吸着した質量に比例して基本振動数が減少することを利用し、ピコグラムレベルで物質の結合量や結合と解離の速度が測定できる方法である
このようなセンシング方法では、目的とする物質を捕捉・認識可能な抗体やFc融合タンパク質を基板上に整列化して結合させる手法が提唱されている(特許文献1~4)。そして、これらの文献には、ウイルス様粒子として様々な自己組織化能を有するタンパク質を用いる技術、Fcを認識するペプチドのアミノ酸配列等が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2010-096677号公報
【特許文献2】特開2008-191143号公報
【特許文献3】特開2007-127626号公報
【特許文献4】特開2007-121276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、自己組織化能を有するタンパク質を含むウイルス様粒子をセンシング基板に適用し、抗体を整列化する技術が開発されているが、斯かるセンシング基板上にレセプターを整列化し、リガンドを定量又はリガンドスクリーニングを行う方法については何ら実証されていない。
【0006】
また、センシング基板上でのリガンドーレセプターの結合反応に基づいた、リガンドの検出感度や、特定のレセプターに対するリガンド候補物質のスクリーニングがどの程度の精度で行うことができるかといった具体的な検討もなされていない。
【0007】
このような背景技術に鑑みて、本発明は基板上にセレプターを整列化させ、斯かるレセプターに対して結合するリガンドを高感度に測定する事又は斯かるレセプターに結合するリガンドを高効率にスクリーニングすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の自己組織化能を有するタンパク質とFcに対して結合能を有するペプチドを組み合わせて作製したウイルス様粒子によって基板を被覆し、更にFc融合レセプターを適用することによって作製したセンシング基板のその基板上において、レセプターを整列化させ得ることを見出した。この様にして得られた基板、ウイルス様粒子及びFc融合レセプターを備えるセンシング基板を用いる事によって、本来、レセプターを単独で用いた場合には得られなかった程度の高い感度又は広いダイナミックレンジをもってリガンドの測定ができることをも見出した。
【0009】
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す態様を広く包含するものである。
【0010】
項1 基板、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子、及びFc融合レセプターを備えるセンシング基板であって、基板がZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆され、更にFc融合レセプターが、HBsAgタンパク質が有するZZタグを介してウイルス様粒子と結合してなる、センシング基板。
【0011】
項2 ZZタグを有するHBsAgタンパク質が、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる上記項1に記載のセンシング基板。
【0012】
項3 FcがヒトIgG由来である上記項1又は項2に記載のセンシング基板。
【0013】
項4 レセプターが、VEGFレセプター、レクチンレセプター、プロラクチンレセプター、及びTNFαレセプターからなる群より選択される少なくとも1つである、上記項1~項3の何れか1項に記載のセンシング基板。
【0014】
項5 ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子が、ウイルス様粒子1モルにおけるZZタグを有するHBsAgタンパク質の含有量が100~150モルであるウイルス様粒子である、上記項1~項4の何れか1項に記載のセンシング基板。
【0015】
項6 基板1cm当たり0.1~0.5ピコモルのウイルス様粒子で被覆されてなる、上記項1~項5の何れか1項に記載のセンシング基板。
【0016】
項7 表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法、蛍光偏光測定法、免疫電界効果トランジスター、レーザー比濁法、表面増強ラマン分光法、弾性表面波、共鳴超音波プロファイリングからなる群より選択される何れかの方法用である、上記項1~項6の何れか1項に記載のセンシング基板。
【0017】
項8 ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆されてなる基板に、Fc融合レセプターを添加する工程を含む、センシング基板の製造方法。
【0018】
項9 ZZタグを有するHBsAgタンパク質が、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる上記項8に記載の製造方法。
【0019】
項10 FcがヒトIgG由来である上記項8又は9に記載の製造方法。
【0020】
項11 レセプターが、VEGFレセプター、レクチンレセプター、プロラクチンレセプター、及びTNFαレセプターからなる群より選択される少なくとも1つである、上記項8~項10の何れか1項に記載の製造方法。
【0021】
項12 ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子が、ウイルス様粒子1モルにおけるZZタグを有するHBsAgタンパク質の含有量が100~150モルであるウイルス様粒子である、上記項8~項11の何れか1項に記載の製造方法。
【0022】
項13 ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆されてなる基板が、基板1cm当たり0.1~0.5ピコモルのウイルス様粒子で被覆されてなる、上記項8~項12の何れか1項に記載の製造方法。
【0023】
項14 以下の工程を含むレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法;
(1)上記項1~6の何れか1項に記載のセンシング基板に、該レセプターに対するリガンド候補物質を添加する工程、
(2)工程1によって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法からなる群より選択される何れかの方法に供する工程。
【0024】
項15 以下の工程を含むリガンドスクリーニング方法;
(A)上記項1~6の何れか1項に記載のセンシング基板に、該レセプターのリガンド候補物質を添加する工程、
(B)工程Aによって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法からなる群より選択される何れかの方法に供する工程。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るセンシング基板上には、レセプターを整列化させることができる。そして斯かるレセプターに対して結合し得るリガンドを高感度で又は広い範囲の濃度で検出することができる。
【0026】
本発明に係るレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法によると、創薬、診断、研究分野におけるレセプターに対する標的分子の評価に有用であり、さらにウェットな環境下で測定し得る。
【0027】
本発明に係るリガンドスクリーニング方法によると、高感度にレセプターアゴニスト、アンタゴニスト等のスクリーニングが達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るセンシング基板の一態様を示す模式図。
【図2】実験例1のプロラクチンレセプターに対してプロラクチンを作用させた際のQCMデータを示す図
【図3】各種リガンドのレセプターへの結合量を検討した実験結果を示す図。(A)は、実験例1のプロラクチンレセプターに対してプロラクチンを作用させた際の結合量の変化を示すグラフ。(B)は、実験例2のVEGFレセプターに対してVEGFを作用させた際の結合量の変化を示すグラフ。(C)は、実験例3のレプチンレセプターに対してレプチンを作用させた際の結合量の変化を示すグラフ。(D)は、実験例4のTNFαレセプターに対してTNFαを作用させた際の結合量の変化を示すグラフ。(A)~(D)の全てにおいて、グラフの縦軸は各種リガンドの結合量(ng/cm)を示し、グラフの横軸は各種リガンドの使用濃度(μg/mL)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明について詳細に説明する。なお、本発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。

【0030】
例えば、Sambrook and Russell,“Molecular Cloning A LABORATORY MANUAL”,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,2001;Ausubel,F.M.et al.“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley&Sons,New York,2012;Molecular Biology of the Cell 5E:Reference Edition Bruce Alberts、Alexander Johnson、Julian Lewis、Martin Raff;Basic and Clinical Pharmacology 12/E(LANGE Basic Science)by Bertram Katzung,Susan Masters and Anthony Trevor(Dec 13,2011)等の文献を参照すればよい。

【0031】
<センシング基板>
本発明に係るセンシング基板は、基板、ZZタグを有するHBsAgタンパク質、及びFc融合レセプターを備える。

【0032】
上記基板はZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆されており、更に上記Fc融合レセプターはHBsAgタンパク質が有するZZタグを介してウイルス様粒子と結合している。

【0033】
図1に本発明に係るセンシング基板の1つの態様の模式図を示す。模式図に示されるセンシング基板1は、基板2、ウイルス様粒子5、及びFc融合レセプター6を備える。基板1は、ウイルス様粒子5によって被覆されている。またウイルス様粒子5は、ZZタグ3を有するHBsAgタンパク質4を含む。更にFc融合レセプター6は、ウイルス様粒子5に含まれるHBsAgタンパク質4が有するZZタグ3を介してウイルス様粒子5に結合している。また、Fc融合レセプター6は、ウイルス様粒子5を介して基板2に結合していることになる。

【0034】
本発明に係るセンシング基板にて用いる用語「被覆される」とは、例えば図1に示す模式図のように、基板全体が覆われる必要はなく、少なくとも基板1の一方の面がウイルス様粒子5によって部分的に覆われてもよい。

【0035】
本発明に係るセンシング基板は、主として基板の片面に測定対象物質を滴下して用いるものであり、斯かる滴下面さえウイルス様粒子5によって覆われていればよい。

【0036】
ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子による基板の被覆量は、特に限定はされないが、通常は基板1cm当たり0.1~0.5ピコモル程度とすればよい。より好ましくは0.2~0.4ピコモル程度である。

【0037】
本発明に係るセンシング基板において、Fc融合レセプターは基板上において整列化されていることが好ましい。整列化とは、例えば図1に示す本発明に係るセンシング基板の模式図では、Fc融合レセプター6の配向性が分子レベルで一様となっている状態を意味する。

【0038】
特にレセプター8のレセプターに対するリガンド又はリガンド候補物質との結合部位が基板2から遠い方向に存在し、且つFc融合レセプター6が、ウイルス様粒子5を介して基板2に結合している状態が好ましい整列化である。

【0039】
このような整列化の状態は、公知の方法によって確認することができる。例えば、Iijima et al. Biomaterials 32(2010) 1455-1464に記載されたAFMによる観察、Iijima et al.Scientific Reports 2(2012)790に記載された高速AFMによる観察に等よって確認することができる。

【0040】
ウイルス様粒子の形状は、特に限定はされないが、例えば球状、楕円球状、ラグビーボール状、略球状、フィラメント状等が挙げられる。また、これらの形状において、その内部は中空であっても液体で満たされていてもよく、カプシドのようにタンパク質で埋まっていても良い。

【0041】
本発明に係るセンシング基板に備えられるウイルス様粒子は、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含む。HBsAgタンパク質がZZタグを有するとは、HBsAgタンパク質の末端領域にZZタグが付加された態様を示す。

【0042】
HBsAgタンパク質とは、自己組織化能を有し、これと脂質二重膜を構成要素とすることで、上述のようなウイルス様粒子を形成する。

【0043】
HBsAgタンパク質とは、B型肝炎ウイルスの表面抗原タンパク質であり、特に限定はされないが、例えば配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。

【0044】
ZZタグとは、後述するようなFcに特異的に結合する機能を有するポリペプチドである。具体的には、黄色ブドウ球菌等由来のプロテインAが有するE、D、A、B、及びCドメインの配列の一部を含むZドメインがタンデムに配置されたドメインである。

【0045】
ZZタグのアミノ酸配列は特に限定はされないが、例えば、配列番号3に示すアミノ酸配列が挙げられる。

【0046】
HBsAgタンパク質に対して付加されるZZタグの位置は、特に限定はされないが、HBsAgタンパク質が自己組織化することによって形成されたウイルス様粒子の外側の領域にあたる位置であればよい。例えばHBsAgタンパク質が上述のような配列番号2に示すアミノ酸配列からなる場合、そのN末端側の領域にあたる位置にZZタグが付加されていればよい。

【0047】
このようなZZタグを有するHBsAgタンパク質は、例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるものが挙げられる。

【0048】
上述の具体的なアミノ酸配列は、HBsAgタンパク質であれば自己組織化能を、ZZタグであればFcドメインに対する結合能を、そしてZZタグを有するHBsAgタンパク質であれば自己組織化能に加えてFcドメインに対する結合能を減衰させない範囲に限って、変異導入されたアミノ酸配列であってもよい。具体的な変異導入数は、共に特に限定はされないが、通常は変異導入前のアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する変異体となるような変異導入数とすればよい。

【0049】
なお、ここでいう変異導入とは、置換、欠失、挿入等を包含する。具体的な変異導入については、公知の方法を採用することができ、特に限定はされないが、例えば置換であれば保存的な置換技術を採用すればよい。用語「保存的な置換技術」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されることを意味する。

【0050】
例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換技術にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ-分枝側鎖を有するアミノ酸残基、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換にあたる。
なお、用語「同一性」とは、2以上の対比可能なアミノ酸配列の、お互いに対する同一のアミノ酸配列の程度をいう。従って、ある2つのアミノ酸配列の同一性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。アミノ酸配列又同一性のレベルは、例えば、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメータを用いて決定される。これらの解析方法の具体的な手法は公知であり、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のウエブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照すればよい。

【0051】
ウイルス様粒子中のZZタグを有するHBsAgタンパク質の量は、特に限定はされないが、ウイルス様粒子1モルに対して通常は100~150モル程度のZZタグを有するHBsAgタンパク質を含んでいればよい。

【0052】
上述のようなZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子は、公知の方法を用いて作製することができる。具体的には、特許文献1~3に記載の方法を適宜改変して作成すればよい。

【0053】
本発明に係るセンシング基板に備えられるFc融合レセプターとは、Fcが融合したレセプターである。Fc融合レセプターにおけるFcの融合位置は、レセプターのC末側の領域であってもN末側の領域であってもよいが、レセプターの他の生理活性分子との相互作用に寄与しないと考えられる領域にFcが融合していることが好ましい。Fcの由来は特に限定はされないが、例えばヒトIgGに由来するFcであることが好ましい。

【0054】
ヒトIgGにはIgG、IgG、IgG、IgG等のサブクラスが存在し、本発明においては特に限定はされないが、中でもIgGが好ましい。

【0055】
レセプターとは細胞膜又は細胞内小器官の膜に存在し、生体内において、サイトカイン、成長因子、表面抗原、レクチン、ホルモン、酵素、神経伝達物質、シグナル伝達関連物質、セカンドメッセンジャー、局所仲介物質、接触型シグナル分子等といった生理活性分子と特異的に結合し、斯かる結合によって細胞内にシグナル伝達が惹起されて細胞内にて生理的な変化をもたらすタンパク質分子、又は上記生理活性分子と結合し、細胞内小器官内で生理現象を惹起し得るタンパク質分子であれば特に限定はされない。

【0056】
このようなレセプターとして、例えば七回膜貫通型レセプター、Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)、セリン・スレオニンキナーゼ型レセプター、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)、代謝型レセプター、グアニル酸シクラーゼレセプター、イオンチャネル型レセプター、核内レセプター小胞体膜レセプター、細胞表面レセプター、細胞内レセプター(核内レセプター)、ステロイドホルモンレセプター、甲状腺ホルモンレセプター、酵素共役型レセプター、嗅覚レセプター、プロテアーゼ活性化型レセプター(PAR-1、PAR-2、PAR-3、PAR-4等)、チロシンキナーゼ会合型レセプター、チロシンフォスファターゼレセプターが挙げられる。

【0057】
より具体的には、TGFβレセプター(TGFR)、アクチビンレセプター(ACVR1、ACVR2等)、骨形成因子レセプター上皮成長因子レセプター(EGFR;HER1、HER2、HER3、HER4等)、血小板由来増殖因子レセプター(PDGFR)、神経成長因子レセプター(NGFR;TrkA、TrkB、TrkC等)、インスリンレセプター、インスリン様増殖因子レセプター(IGFR)、幹細胞因子レセプター、顆粒コロニー刺激因子レセプター(G-CSFR)エリスロポエチンレセプター(EPOR)、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)、肝細胞増殖因子レセプター(HGFR)、Fas、各種CDタンパク質、インターフェロンレセプター(IFNR)、各種インターロイキンレセプター、ニコチン性アセチルコリンレセプター、グリシンレセプター、グルタミン酸レセプター、グアニル酸シクラーゼレセプター、血管内皮細胞増殖因子レセプター(VEGFレセプター)、レクチンレセプター、プロラクチンレセプター、腫瘍壊死因子レセプター(TNFR1、TNFR2等)、GABAレセプター、アンジオテンシンレセプター(AT1、AT2等)、アセチルコリンレセプター、アデノシンレセプター、アドレナリンレセプター、ドーパミンレセプター(D、D、D、D、D等)、グルカゴンレセプター、ヒスタミンレセプター(H1、H2、H3、H4等)、オピオイドレセプター(OP1、OP2、OP3、OP4等)、セクレチンレセプター、セロトニンレセプター(5-HT、5-HT、5-HT、5-HT、5-HT、5-HT、5-HT等)、ソマトスタチンレセプター(SST1、SST、SST、SST、SST等)、甲状腺ホルモンレセプター(TRα、TRβ等)、レチノイドレセプター(RARα、RARβ、RARγ等)、ペルオキシソーム増殖剤応答性レセプター(PPARα、PPARδ、PPARγ等)、レチノイドXレセプター(RXRα、RXRβ、RXRγ等)、エストロゲンレセプター(ERα、ERβ)、鉱質コルチコイドレセプター、プロゲステロンレセプター、アンドロゲンレセプター、Gタンパク質共役型光レセプター(ロドプシン)、ネトリンレセプター、コルチゾールレセプター、エステラジオールレセプター、テストステロンレセプター、ノッチレセプター、チロキシンレセプター、メラノコルチンレセプター(MC1、MC2、MC3、MC4、MC5等)、バソプレシンレセプター(V1a、V1b、V2等)、トロンビンレセプター、タキキニンレセプター(NK1、NK2、NK3等)、サブスタンスPレセプター、一過性受容器電位(TRP)レセプター、ブラジキニンレセプター、プロスタノイドレセプター、ATPレセプター、カンナビノイドレセプター、サイトカインレセプター、血小板膜糖タンパク質受容体(GPIb、GPIIb/IIIa等)、Toll様レセプター、イノシトール3リン酸(IP)レセプター、リアノジンレセプター、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンレセプター、オレキシンレセプター、サイトカインレセプター、エンドセリンレセプター、ニューロペプチドYレセプター、血管作動性腸ペプチドレセプター(VIP)、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチドレセプター(PACAP)等が挙げられる。

【0058】
中でも、VEGFレセプター、レクチンレセプター、プロラクチンレセプター、TNFαレセプター等が好ましい。

【0059】
Fc融合レセプターは、例えば市場から入手することもできるが、組み換え遺伝子を宿主に導入することによって生化学的に作製して入手することも可能である。

【0060】
本発明に係るセンシング基板は、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、エリプソメトリー法、蛍光偏光測定法、免疫電界効果トランジスター、レーザー比濁法、表面増強ラマン分光法、弾性表面波、共鳴超音波プロファイリング等の用途に好適に用いられる。

【0061】
このような用途に好適に用いられる範囲において、本発明に係るセンシング基板に備えられる基板の材質は特に限定はされないが、例えば、金属、プラスチック、有機・無機高分子材料等が挙げられる。

【0062】
より具体的には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、PVDF、セルロース、シリコン、マイカー、ポリメチルペンテン(PMP又はTPX(登録商標))、ポリスチレン(PSt)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ABS樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアクリルアミド、ポリイミド等の樹脂、それらの高分子化合物を含む共重合体又は複合体;石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダガラス、ホウ酸ガラス、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス類及びその複合体;金、白金、アルミナ、クロム、亜鉛、鉛、鉄、ステンレススチール、タンタル、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン等の金属及びその複合体や酸化物;セラミックス及びその複合体、天然ゴムやラテックスゴム等の複合体;アガロース、デキストラン、セルロース、キチン、キトサン等多糖類の複合体等が挙げられる。

【0063】
また、基板の表面の全体又は片面が上述の材料のうちの1種又は数種を組み合わせてコーティングされていてもよい。例えば、ガラス基板を金属で被覆した組み合わせや樹脂基板の表面を金属でコーティングした基板等が挙げられる。

【0064】
また、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等親水性ポリマーで表面をコーティング、グラフト等の処理に供して疎水化しても、ラジカル化されていてもよい。

【0065】
本発明に係るセンシング基板上にはレセプターを整列化させて結合させることができる。これに基づいて、レセプターに対するリガンド候補物質の結合量を高感度又は広いダイナミックレンジで測定することができる。また、レセプターに対して結合するリガンド候補物質のスクリーニングを高感度に達成することができる。

【0066】
<センシング基板の製造方法>
本発明に係るセンシング基板の製造方法は、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆されてなる基板に、Fc融合レセプターを添加する工程を含む。

【0067】
基板、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子、及びFc融合レセプターは、上記の本発明に係る<センシング基板>で詳述した通りとすることができる。

【0068】
基板のウイルス様粒子による被覆量は、上記の本発明に係る<センシング基板>で詳述した被覆量と同様とすることができる。

【0069】
基板へのFc融合レセプターの添加量は、上記の本発明に係る<センシング基板>で詳述したウイルス様粒子の被覆量から、斯かるウイルス様粒子に含まれるHBsAgタンパク質が有するZZタグのモル数を算出し、当該モル数以上の量となるように適宜調整すればよい。

【0070】
なお、上述の配列番号3に示すアミノ酸配列からなるZZタグを採用した場合、ZZタグ1モルあたり2モルのFcが結合することを考慮すればよい。

【0071】
本発明に係るセンシング基板の製造方法において、ZZタグを有するHBsAgタンパク質を含むウイルス様粒子によって被覆されてなる基板に、Fc融合レセプターを添加する前に、前記基板に対して予めブロッキング処理に供してもよい。

【0072】
具体的には、スキムミルク、BSA、FBS等のブロッキング剤を用いた公知の方法によってブロッキング処理を行えばよい。

【0073】
更に、本発明に係るセンシング基板の製造方法によると、得られたセンシング基板上にレセプターを整列化させることができる。整列化とは、上述の本発明に係る<センシング基板>にて詳述した通りとすることができる。

【0074】
<レセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法>
本発明に係るレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法は、以下の工程1及び工程2を含む。

【0075】
(1)上述の本発明に係るセンシング基板に、レセプターに対するリガンド候補物質を添加する工程1。

【0076】
(2)工程1によって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法からなる群より選択される何れかの方法に供する工程2。

【0077】
工程1について
本発明に係るレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法における工程1は、上述の本発明に係るセンシング基板に、該レセプターに対して結合するリガンドを添加する工程である。

【0078】
工程1におけるセンシング基板とは、上述の本発明に係る<センシング基板>と同様とすることができる。工程1におけるレセプターは、上述の本発明に係る<センシング基板>と同様にすることができる。

【0079】
レセプターに対するリガンド候補物質とは特に限定はされないが、レセプターに対して特異的に結合するかどうかは問わず、結合する可能性ある生理活性物質であれば限定はされない。この様なリガンド候補物質はレセプターに対するリガンドに限らず、アゴニスト、アンタゴニスト等もリガンド候補物質に包含される。

【0080】
例えば、D1~D5等のドーパミンレセプターは、ドーパミンをリガンドするものであるが、オランザピン等の生理活性物質もドーパミンレセプターに結合する。すなわち、ドーパミンレセプターのリガンド候補物質は、ドーパミンに限定はされずオランザピン等といった生理活性物質も包含される。

【0081】
レセプターに対するリガンド候補物質の添加量は、特に限定はされず、適宜調整すればよい。添加する際の環境も特に限定はされないが、続く工程2における各種方法に応じて適宜選択すればよい。

【0082】
工程2について
本発明に係るレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法における工程2は、工程1によって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法からなる群より選択される何れかの方法に供する工程である。

【0083】
本発明に係るレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法において、具体的に結合定数を算出する方法は特に限定はされないが、例えば、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、エリプソメトリー法等を用いて従来用いられている方法、これらの方法に基づく機器に付属されたプログラムを用いた方法にて算出してもよいし、これらの機器によって得られたデータを公知の方法を用いて適宜解析して算出すればよい。

【0084】
<レセプターに対するリガンドスクリーニング方法>
本発明に係るレセプターに対するリガンドスクリーニング方法は、以下の工程A及び工程Bを含む。

【0085】
(A)上述の本発明に係るセンシング基板に、レセプターのリガンド候補物質を添加する工程。

【0086】
(B)工程Aによって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法からなる群より選択される何れかの方法に供する工程。

【0087】
工程Aについて
本発明に係るレセプターに対するリガンドスクリーニング方法における工程Aは、上述の本発明に係るセンシング基板に、該レセプターのリガンド候補物質を添加する工程である。

【0088】
工程Aにおけるセンシング基板とは、上記の本発明に係る<センシング基板>と同様とすることができる。工程Aにおけるレセプターは、上述の本発明に係る<センシング基板>と同様にすることができる。

【0089】
リガンド候補物質は、特に限定されることはなく、例えば、上述の<本発明に係るレセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法>にて詳述したリガンド候補物質とすればよい。このようなリガンド候補物質は、例えばコンビナトリアルケミストリー技術等に基づいて作成されたリガンドライブラリーに含まれるものを適宜用いればよく、市場からこのようなリガンドライブラリーを入手して用いてもよい。

【0090】
レセプターのリガンド候補物質の添加量は、特に限定はされず、適宜調整すればよい。添加する際の環境も特に限定はされないが、続く工程2における各種方法に応じて適宜選択すればよい。

【0091】
工程Bについて
本発明に係るリガンドスクリーニング方法における工程2は、工程Bによって得られたリガンド候補物質添加センシング基板を、表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、及びエリプソメトリー法からなる群より選択される何れかの方法に供する工程である。

【0092】
表面プラズモン共鳴法、水晶発振子マイクロバランス法、二面偏波式干渉法、エリプソメトリー法等を用いて、リガンドライブラリー中にレセプターに結合するリガンドが存在するかどうかを確認する方法は、例えば、上述した本発明に係る<レセプターに対するリガンド候補物質の結合定数を測定する方法>等に基づいて、一定の数値以上の結合定数を有するリガンド候補物質を選択し、これをレセプターに対して結合するリガンドであると決定すればよい。
【実施例】
【0093】
以下に示す実験例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明が以下に示す実験例に限定されないのは言うまでもない。
【実施例】
【0094】
実験例1
測定機器として、水晶発振子マイクロバランス法を原理とするTwin-Q(アズワン社)を用いた。装置の設定は-1Hz=30pg=0.6ng/cmであり、検出限界は-3.3Hz以下=100pg以下=~2ng/cm以下とした。また、センシング基板として、AT-cut 27-MHz(アズワン社;金電極の直径2.5mm:面積約4.9mm)を用いた。
【実施例】
【0095】
反応層のバッファーとしてPBSを用い、25℃にて測定を行った。また、撹拌筒の回転数を600rpmに設定した。
【実施例】
【0096】
〔比較例1〕
装置に設置したセンシング基板に1μgのヒトIgG由来Fc融合プロラクチン(Prolactin Receptor/Fc Chimera human 132kDa(dimer);Sigma社:#P9121-50UG)を滴下した(図1Aの(I)のイベント)。
【実施例】
【0097】
測定周波数の変動が安定した後に、5%ブロックエース(DSファーマバイオメディカル社)を20μL滴下した(1mgに相当;図2Aの(II)のイベント)。
【実施例】
【0098】
そして、測定周波数の変動が安定した後に、各種濃度に調製したヒト由来プロラクチン(Prolactin human 24kDa(monomer);Sigma社:#L4021-50UG)を滴下し、周波数の変動が±3Hz以内で1分間安定した際に結合量を判定した(図2Aの(III)のイベント)。
【実施例】
【0099】
〔比較例2〕
装置に設置したセンシング基板に3μgのプロテインA(42kDa;Protein A:Sigma社:#P3838—1MG)を滴下した(図2(B)の(I)のイベント)。
【実施例】
【0100】
測定周波数の変動が安定した後にPBSでセンシング基板を洗浄し、次いで1mgに相当する20μLの5%ブロックエースを滴下した(図2(B)の(II)のイベント)。
【実施例】
【0101】
そして測定周波数の変動が安定した後に、1μgのヒトIgG由来Fc融合プロラクチンを滴下した(図2(B)の(III)のイベント)。
【実施例】
【0102】
次いで、測定周波数の変動が安定した後に、各種濃度に調製したヒト由来プロラクチンを滴下し、周波数の変動が±3Hz以内で1分間安定した際に結合量を判定した(図2(B)の(IV)のイベント)。
【実施例】
【0103】
〔実施例1〕
装置に設置したセンシング基板に3μgのZZ-BNCを滴下した(図2(C)の(I)のイベント)。
【実施例】
【0104】
ZZ-BNCは、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるZZタグを有するHBsAgタンパク質(48kDa)を含むウイルス様粒子であって、ウイルス様粒子1モル当たり120モルのHBsAgタンパク質を含むものである。この様なウイルス様粒子は、特許文献1~3等に記載の方法を用いて作製した。
【実施例】
【0105】
測定周波数の変動が安定した後にPBSでセンシング基板を洗浄し、次いで1mgに相当する20μLの5%ブロックエースを滴下した(図1(C)の(II)のイベント)。
【実施例】
【0106】
そして測定周波数の変動が安定した後に、1μgのヒトIgG由来Fc融合プロラクチンを滴下した(図2(C)の(III)のイベント)。
【実施例】
【0107】
次いで、測定周波数の変動が安定した後に、各種濃度に調製したヒト由来プロラクチンを滴下し、周波数の変動が±3Hz以内で1分間安定した際に結合量を判定した(図2(C)の(IV)のイベント)。
【実施例】
【0108】
結果を図3(A)に示す。なお、グラフの縦軸はセンシング基板上に結合したプロラクチンの量(ng/cm)を示し、横軸はセンシング基板に滴下したプロラクチンの濃度(μg/ml)を示す。また、グラフの丸印(●)は〔実施例1〕の結果、四角印(■)は〔比較例1〕の結果、そして三角印(▲)は〔比較例2〕の結果を示す。
【実施例】
【0109】
実験例2
上記実施例1におけるヒトIgG由来Fc融合プロラクチンに代えて、ヒトIgG由来Fc融合VEGFレセプター(VEGF Receptor-2(Flk-1,KDR)/Fc Chimera human 320kDa(dimer);Sigma社:#V6758-50UG)を用い、ヒト由来プロラクチンに代えて、ヒト由来VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor human 38.2kDa(dimer);Sigma社:#V7259-10UG)を用いて、上述の〔比較例1〕、〔比較例2〕、及び〔実施例1〕と同様の実験を行った。
【実施例】
【0110】
結果を図3(B)に示す。なお、グラフの縦軸はセンシング基板上に結合したVEGFの量(ng/cm)を示し、横軸はセンシング基板に滴下したVEGFの濃度(μg/ml)を示す。また、グラフの丸印(●)は〔実施例1〕の結果、四角印(■)は〔比較例1〕の結果、そして三角印(▲)は〔比較例2〕の結果を示す。
【実施例】
【0111】
実験例3
上記実施例1におけるヒトIgG由来Fc融合プロラクチンに代えて、ヒトIgG由来Fc融合レプチンレセプター(Leptin Receptor/Fc Chimera human 121kDa(monomer);Sigma社:#L4787-1UG)を用い、ヒト由来プロラクチンに代えて、ヒト由来レプチン(Leptin Human 16kDa(monomer);Sigma社:#L4146-1MG)を用いて、上述の〔比較例1〕、〔比較例2〕、及び〔実施例1〕と同様の実験を行った。
【実施例】
【0112】
結果を図3(C)に示す。なお、グラフの縦軸はセンシング基板上に結合したレプチンの量(ng/cm)を示し、横軸はセンシング基板に滴下したレプチンの濃度(μg/ml)を示す。また、グラフの丸印(●)は〔実施例1〕の結果、四角印(■)は〔比較例1〕の結果、そして三角印(▲)は〔比較例2〕の結果を示す。
【実施例】
【0113】
実験例4
上記実施例1におけるヒトIgG由来Fc融合プロラクチンに代えて、ヒトIgG由来Fc融合TNFαレセプター(Tumor Necrosis Factor Soluble Receptor II(TNFsRII)/Fc Chimera human 140kDa(dimer);Sigma社:#T7189-50UG)を用い、ヒト由来プロラクチンに代えて、ヒト由来TNFα(Tumor Necrosis Factor-α human 51kDa(homotrimer);Sigma社:H8916-10UG)を用いて、上述の〔比較例1〕、〔比較例2〕、及び〔実施例1〕と同様の実験を行った。
【実施例】
【0114】
結果を図3(D)に示す。なお、グラフの縦軸はセンシング基板上に結合したTNFαの量(ng/cm)を示し、横軸はセンシング基板に滴下したTNFαの濃度(μg/ml)を示す。また、グラフの丸印(●)は〔実施例1〕の結果、四角印(■)は〔比較例1〕の結果、そして三角印(▲)は〔比較例2〕の結果を示す。
【実施例】
【0115】
考察
以下に、上記実験例1~4の結果をまとめた表1~4を示す。各種リガンドの結合量は、添加量の増大に対して検出量が一定となるその数値に基づいて算出し、検出限界値は、図3の(A)~(D)に示すグラフの点線で示される使用したQCM装置のThreshold値(2ng/cm)を基に算出した。
【実施例】
【0116】
【表1】
JP2015184269A_000002t.gif
【実施例】
【0117】
表1に示す結果から、実施例1は比較例1及び2よりも、それぞれ0.8倍及び4.2倍の量のプロラクチンレセプターを基板上に結合させることができ、プロラクチンレセプターのリガンドであるプロラクチンの結合量は、比較例1及び2よりもそれぞれ3.9倍及び4.5倍にも達することが明らかとなった。したがって、実施例1の方法は比較例1及び2の方法よりも著量のプロラクチンを測定することができることが明らかとなった。
【実施例】
【0118】
また、実施例1は、レセプターの結合量が比較例1よりも少ないにもかかわらず、リガンドであるプロラクチンの結合量が多いことが明らかとなった。このことから、実施例1の方法において、プロラクチンレセプターが、そのプロラクチンとの結合部位が立体障害を起こすことなく、プロラクチンと結合しやすい状態で基板上に整列化されていることが示唆される。
【実施例】
【0119】
そして、実施例1は、比較例2よりも4.6倍もの優れた検出限界値を示すこと明らかである。よって、実施例1の方法によると、試料中のプロラクチン量が著量であっても、ごく少量であってもプロラクチンを検出できるといった優れた効果を発揮することが示された。
【実施例】
【0120】
【表2】
JP2015184269A_000003t.gif
【実施例】
【0121】
表2に示す結果から、実施例1は比較例1及び2よりも、それぞれ0.5倍及び42.3倍の量のVEGFレセプターを基板上に結合させることができ、VEGFレセプターのリガンドであるVEGFの結合量は、比較例1及び2よりもそれぞれ4.1倍及び17.9倍にも達することが明らかとなった。したがって、実施例1の方法は比較例1及び2の方法よりも著量のVEGFを測定することができることが明らかとなった。
【実施例】
【0122】
また、実施例1は、レセプターの結合量が比較例1よりも少ないにもかかわらず、リガンドであるVEGFの結合量が多いことが明らかとなった。このことから、実施例1の方法において、VEGFレセプターが、そのVEGFとの結合部位が立体障害を起こすことなく、VEGFと結合しやすい状態で基板上に整列化されていることが示唆される。
【実施例】
【0123】
そして、実施例1は、比較例1及び2よりもそれぞれ35倍及び172倍もの優れた検出限界値を示すこと明らかである。よって、実施例1の方法によると、試料中のVEGF量が著量であっても、ごく少量であってもVEGFを検出できるといった優れた効果を発揮することが示された。
【実施例】
【0124】
【表3】
JP2015184269A_000004t.gif
【実施例】
【0125】
表3に示す結果から、実施例1は比較例1及び2よりも、それぞれ0.3倍及び1.8倍の量のレプチンレセプターを基板上に結合させることができ、レプチンレセプターのリガンドであるレプチンの結合量は、比較例1及び2よりもそれぞれ2.5倍及び1.7倍であることが明らかとなった。したがって、実施例1の方法は比較例1及び2の方法よりも著量のレプチンを測定することができることが明らかとなった。
【実施例】
【0126】
また、実施例1は、レセプターの結合量が比較例1よりも少ないにもかかわらず、リガンドであるレプチンの結合量が多いことが明らかとなった。このことから、実施例1の方法において、レプチンレセプターが、そのレプチンとの結合部位が立体障害を起こすことなく、レプチンと結合しやすい状態で基板上に整列化されていることが示唆される。
【実施例】
【0127】
そして、実施例1は、比較例1及び2よりもそれぞれ30.8倍及び28.0倍もの優れた検出限界値を示すこと明らかである。よって、実施例1の方法によると、試料中のレプチン量が著量であっても、ごく少量であってもレプチンを検出できるといった優れた効果を発揮することが示された。
【実施例】
【0128】
【表4】
JP2015184269A_000005t.gif
【実施例】
【0129】
表3に示す結果から、実施例1は比較例1及び2よりも、それぞれ0.5倍及び5.4倍の量のTNFαレセプターを基板上に結合させることができ、TNFαレセプターのリガンドであるTNFαの結合量は、比較例1及び2よりもそれぞれ2.8倍及び3.0倍であることが明らかとなった。したがって、実施例1の方法は比較例1及び2の方法よりも著量のTNFαを測定することができることが明らかとなった。
【実施例】
【0130】
また、実施例1は、レセプターの結合量が比較例1よりも少ないにもかかわらず、リガンドであるTNFαの結合量が多いことが明らかとなった。このことから、実施例1の方法において、TNFαレセプターが、そのTNFαとの結合部位が立体障害を起こすことなく、TNFαと結合しやすい状態で基板上に整列化されていることが示唆される。
【実施例】
【0131】
そして、実施例1は、比較例1及び2よりもそれぞれ2.7倍及び1.2倍もの優れた検出限界値を示すこと明らかである。よって、実施例1の方法によると、試料中のTNFα量が著量であっても、ごく少量であってもTNFαを検出できるといった優れた効果を発揮することが示された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2