TOP > 国内特許検索 > ポリマー > 明細書

明細書 :ポリマー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-221893 (P2015-221893A)
公開日 平成27年12月10日(2015.12.10)
発明の名称または考案の名称 ポリマー
国際特許分類 C08G  61/02        (2006.01)
C08G  73/02        (2006.01)
FI C08G 61/02
C08G 73/02
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2015-092765 (P2015-092765)
出願日 平成27年4月30日(2015.4.30)
優先権出願番号 2014093933
優先日 平成26年4月30日(2014.4.30)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】生越 友樹
【氏名】阿久津 知宏
【氏名】山岸 忠明
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080159、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 望稔
【識別番号】100090217、【弁理士】、【氏名又は名称】三和 晴子
【識別番号】100152984、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 秀明
審査請求 未請求
テーマコード 4J032
4J043
Fターム 4J032CA03
4J032CA04
4J032CB04
4J032CB12
4J032CC01
4J032CD02
4J032CE03
4J043PA04
4J043QB44
4J043SA06
4J043SB01
4J043TA09
4J043TB01
4J043UA122
4J043UA161
4J043UB011
4J043VA011
4J043VA012
4J043VA041
4J043VA042
4J043WA01
4J043XA14
4J043XB12
要約 【課題】溶液中での安定性に優れ、ホスト分子として機能し得る、環状構造を有するポリマーを提供する。
【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー。
JP2015221893A_000017t.gif
(式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子または有機基を表す。mは、4~20の整数を表す。*は、結合位置を表す。)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー。
【化1】
JP2015221893A_000016t.gif

(式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子または有機基を表す。mは、4~20の整数を表す。*は、結合位置を表す。)
【請求項2】
式(2)で表される繰り返し単位をさらに含み、
前記式(1)で表される繰り返し単位と、前記式(2)で表される繰り返し単位とを交互に有する構造を有する、請求項1に記載のポリマー。
式(2) *-L-*
(式(2)中、Lは、2価の連結基を表す。*は、結合位置を表す。)
【請求項3】
およびRがアルコキシ基であり、RおよびRが水素原子である、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記mの数が異なる2種以上の繰り返し単位を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーに係り、特に、ポリマー主鎖の一部を含んで形成される環状構造を有するポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所定のゲスト分子を取り込むことができるホスト分子が新しい材料の一つとして注目されている。このようなホスト分子を用いて、いわゆる超分子ポリマーを製造する技術がいくつか提案されている。なお、超分子ポリマーは、重合反応による共有結合を必要とせず、溶液などの媒体中で化合物が自発的に秩序だった集合状態を形成することにより得られる。
例えば、非特許文献1においては、ホスト分子としてピラーアレーンを用いて、ピラーアレーンに疎水性基を導入することにより、疎水性基がピラーアレーン内部に取り込まれてC-H・π相互作用を形成し、自発的に超分子ポリマーを形成することが記されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 1397-1401.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非特許文献1に記載される超分子ポリマーは、非特許文献1中のFig1に示すように、使用されるピラーアレーンの濃度によってその分子量が大きく変化してしまい、溶液中での安定性に劣り、工業的な観点を考慮すれば取り扱い性に劣る。
また、非特許文献1に記載の超分子ポリマーではすでにピラーアレーン内部にゲスト分子が内包されているため、新たなゲスト分子を取り込むことができず、ホスト分子としての応用が制限される。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、溶液中での安定性に優れ、ホスト分子として機能し得る、環状構造を有するポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
【0007】
(1) 後述する式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー。
(2) 後述する式(2)で表される繰り返し単位をさらに含み、
式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位とを交互に有する構造を有する、(1)に記載のポリマー。
(3) RおよびRがアルコキシ基であり、RおよびRが水素原子である、(1)または(2)に記載のポリマー。
(4) mの数が異なる2種以上の繰り返し単位を含む、(1)~(3)のいずれかに記載のポリマー。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、溶液中での安定性に優れ、ホスト分子として機能し得る、環状構造を有するポリマーを提供することができる。
なお、このポリマーは、環状構造中の空間を自由にオングストロームかレベルらナノレベルで設計・製造でき、ホスト分子として機能する新規な構造材料に該当する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】式(1)で表される繰り返し単位を複数有するポリマーの概念図である。
【図2】mの値が異なる2種の式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーの概念図である。
【図3】実施例1で得られたポリマー、および、ポリマー形成の際に使用されたモノマーのGPCチャートである。
【図4】実施例1で得られたポリマー、および、ポリマー形成の際に使用されたモノマーのH NMRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のポリマーの好適態様について詳述する。
本発明のポリマーの特徴点の一つとしては、環状構造(ピラーアレーン骨格)中のベンゼン環をポリマー中の繰り返し単位の一部として含む点が挙げられる。該態様であれば、ピラーアレーン骨格を含む繰り返し単位が共有結合を介してポリマー中に導入されるため、非特許文献1で記される超分子ポリマーとは異なり、溶液中での分子量の変化などは生じない。また、ピラーアレーン内部が空いているため、各種化合物を取り込むホスト分子としての機能を有する。さらに、本発明のポリマーでは、ピラーアレーンの大きさを適宜制御することができる(言い換えれば、式(1)中のmの値を変えることができる)ため、環状構造中の空間をオングストロームレベルからナノレベルで自由に設計することが可能となり、ゲスト分子の大きさに合わせた構造設計が可能となる。
なお、図1に、後述する式(1)で表される繰り返し単位を複数有するポリマーの概念図を示す。図1に示すように、本発明のポリマーは、式(1)で表される繰り返し単位中の環状構造の一部がポリマーの主鎖の一部を構成する。図1においては、隣接する環状構造が対向するように記載されているが、この態様には限定されず、環状構造は主鎖を軸に回転可能である。なお、環状構造に含まれる官能基(式(1)中のR~R)の種類や主鎖構造を適宜選択することにより、ポリマー中の隣接する環状構造が対向するように配置(固定)させることもできる。例えば、式(1)中のR~Rの少なくとも一つのヒドロキシ基(好ましくは、RおよびRがヒドロキシ基)である場合、隣接する環状構造間で水素結合が生じやすく、隣接する環状構造が対向するように位置しやすい。図1のような、チューブ状の構造が形成されると、ガス成分の吸着能などがより向上しやすい。
また、ピラーアレーンとは、ベンゼン環構造やキノイド構造などの六員環構造を2,5位にてメチレン鎖で連結し、環状構造を形成している化合物である。つまり、所定の繰り返し単位が連結した環状化合物である。ピラーアレーンに関しては、Journal of the American Chemical Society 2008,130,5022において初めて報告され、例えば、Accounts of Chemical Research 2014,47,2631、Accounts of Chemical Research 2012,45,1294などの文献にて種々の構造が報告されている。

【0011】
<ポリマーの構造>
本発明のポリマーは、式(1)で表される繰り返し単位を有する。

【0012】
【化1】
JP2015221893A_000002t.gif

【0013】
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子または有機基を表す。有機基(1価の有機基)の種類は特に制限されず、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH)2)、ホスファト基(-OPO(OH)2)、スルファト基(-OSO3H)、その他の公知の有機基が挙げられる。なお、上記有機基は、さらに上述した有機基で置換されていてもよい。
なかでも、ポリマーの合成がしやすい点から、RおよびRはアルコキシ基またはヒドロキシ基であることが好ましい。アルコキシ基中の炭素原子の数(炭素数)は特に制限されないが、ポリマーの合成がしやすい点から、1~20が好ましく、1~12がより好ましい。
また、RおよびRは、ポリマーの合成がしやすい点から、水素原子であることが好ましい。
また、RおよびRは、ポリマーの合成がしやすい点から、水素原子であることが好ましい。

【0014】
mは、4~20の整数を表す。なかでも、ポリマーの合成がしやすく、ホスト分子としての機能がより優れる点から、4~20が好ましく、4~15がより好ましい。
なお、上述したように、mの値を変えることにより、環状構造の内部の大きさを変えることができる。例えば、mが4の場合、式(1)中の環状構造の内部の大きさは4.5Å程度となり、mが5の場合、式(1)中の環状構造の内部の大きさは5.5Å程度となる。
*は、結合位置を表す。上述したように、式(1)で表される繰り返し単位は、*の部分で共有結合を介してポリマー中に導入される。つまり、以下のように、RおよびRを含むベンゼン環部分が主鎖部分に含まれるように、ポリマー中に導入される。

【0015】
【化2】
JP2015221893A_000003t.gif

【0016】
本発明のポリマーには、2種以上の式(1)で表される繰り返し単位が含まれていてもよい。例えば、mが異なる2種以上の式(1)で表される繰り返し単位が含まれていてもよい。より具体的には、式(1)中のmが5である繰り返し単位Xと、式(1)中のmが10である繰り返し単位Yとが含まれていてもよい。図2に、繰り返し単位Xと、繰り返し単位Yとを含むポリマーの概念図を示す。図2中、小さい環状構造は繰り返し単位X由来のものであり、大きい環状構造は繰り返し単位Y由来のものである。
図2においては、繰り返し単位Xと、繰り返し単位Yとが交互に配置される態様を示したが、この態様には限定されず、2種以上の式(1)で表される繰り返し単位が含まれる場合、式(1)で表される繰り返し単位の配置はランダムであってもよいし、ブロック状(例えば、繰り返し単位Xからなるブロック部と、繰り返し単位Yからなるブロック部とが連結した構造)であってもよい。
ポリマー中における上記式(1)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。

【0017】
ポリマーの好適態様の一つとして、式(2)で表される繰り返し単位をさらに含み、上記式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位とを交互に有する構造(交互に配置された構造)を有するポリマーが挙げられる。式(2)で表される繰り返し単位(-(L)-)が含まれることにより、ポリマーの合成がより容易となり、環状構造間の距離を適宜制御することが可能となる。
式(2) *-L-*
Lは、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族基、-O-、-CH=N-、-S-、-SO2-、-N(R)-(R:アルキル基)、-CO-、-NH-、-COO-、または、これらの組み合わせが挙げられる。*は、結合位置を表す。2価の連結基の結合方向は特に制限されず、例えば、後述する式(X)中のLが-COO-である場合、L中のベンゼン環側に結合している位置を*1とすると、*1-COO-でも、-COO-*1でもよい。
なお、上記式(1)で表される繰り返し単位と、上記式(2)で表される繰り返し単位とを交互に有する構造を有するポリマーとは、言い換えれば、以下の式(X)で表される繰り返し単位を複数連結して有するポリマーとして表される。*は、結合位置を表す。

【0018】
【化3】
JP2015221893A_000004t.gif

【0019】
2価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基)としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基や、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などのアルケニレン基や、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基などのアルキニレン基が挙げられる。
2価の芳香族基としては、2価の芳香族炭化水素基(アリーレン基)、および、2価の芳香族複素環基(ヘテロアリーレン基)が挙げられる。
アリーレン基中の炭素数は特に制限されないが、ポリマーの合成がしやすい点で、6~30が好ましく、6~20がより好ましい。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、フルオレンジイル基、クリセンジイル基、トリフェニレンジイル基、ベンゾアントラセンジイル基、ベンゾフェナントレンジイル基などが挙げられる。
ヘテロアリーレン基中の炭素数は特に制限されないが、ポリマーの合成がしやすい点で、1~20が好ましく、2~12がより好ましい。
ヘテロアリーレン基としては、例えば、ピリジレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、アクリジンジイル基、フェナントリジンジイル基、ピラジンジイル基、キノキサリンジイル基、ピリミジンジイル基、トリアジンジイル基、イミダゾールジイル基、ピラゾールジイル基、オキサジアゾールジイル基、トリアゾールジイル基、フリレン基、チエニレン基、ベンゾチエニレン基、チエノチエニレン基、ピロールジイル基、インドールジイル基、カルバゾールジイル基などが挙げられる。
なお、Lが2価の芳香族基、アルケニレン基、または、アルキニレン基である場合、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位とを交互に有する構造は共役系を示す。

【0020】
Lで表される連結基で述べた各基の組み合わせは特に制限されないが、例えば、Lの好適態様の一つとしては、式(3)で表される連結基(-L-L-L-)が挙げられる。
式(3) *-L-L-L-*
は、それぞれ独立に、-NH-CH-、-CH=N-、-NHCO-、-COO-、または、-O-などが挙げられる。Lは、2価の脂肪族炭化水素基、または、2価の芳香族基などが挙げられる。なお、上記L中の各基の結合方向は限定されず、例えば、Lの一つが-CH=N-である場合、Lとの結合は-CH=N-Lであってもよいし、-N=CH-Lであってもよい。また、Lの一つが-NH-CH-である場合、Lとの結合は-NH-CH-Lであってもよいし、-CH-NH-Lであってもよい。
上記各基の組み合わせとしては、例えば、-NH-CH-2価の芳香族基-CH-NH-、-NH-CH-2価の脂肪族炭化水素基-CH-NH-、-N=CH-2価の芳香族基-CH=N-、-N=CH-2価の脂肪族炭化水素基-CH=N-、-NHCO-2価の芳香族基-CONH-、-NHCO-2価の脂肪族炭化水素基-CONH-、-NHCOO-2価の芳香族基-OOCNH-、-NHCOO-2価の脂肪族炭化水素基-OOCNH-、-O-2価の脂肪族炭化水素基-O-、-O-2価の芳香族基-O-などが挙げられる。

【0021】
ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、ポリマーの取り扱い性(成膜性など)がより優れる点で、1000~1000000が好ましく、1000~100000がより好ましく、2000~100000がさらに好ましい。

【0022】
<ポリマーの製造方法>
ポリマーの製造方法は特に制限されず、公知の方法を組み合わせて合成することができる。以下、一例としてイミン結合を使用する態様について詳述する。
まず、J. Org. Chem. 2012, 77, 11146に記載の方法に従って、式(A)で表される化合物から式(B)で表される化合物を得る。

【0023】
【化4】
JP2015221893A_000005t.gif

【0024】
次に、得られた式(B)で表される化合物にヒドロキシルアミン塩酸塩を反応させ、式(C)で表される化合物を得る。

【0025】
【化5】
JP2015221893A_000006t.gif

【0026】
さらに、式(C)で表される化合物に還元処理を施して、式(D)で表される化合物を得る。

【0027】
【化6】
JP2015221893A_000007t.gif

【0028】
上記式(D)で表される化合物には、2つのアミノ基が含まれており、他の化合物と反応可能である。例えば、この式(D)で表される化合物とテレフタルアルデヒドとを反応させることにより、イミド結合が形成され、両者が交互に連なったポリマーが得られる。つまり、式(D)で表される化合物由来の繰り返し単位を含むポリマーが得られる。
上記では、式(D)で表される化合物にテレフタルアルデヒドを反応させたが、反応させる化合物は2官能性の化合物であれば特に制限されない。また、上記ではイミド結合を導入する方法を示したが、その他の結合(例えば、アミド結合、ウレタン結合、など)を導入する方法を実施してもよい。
さらに、上記ではアミノ基を2つ有する化合物をモノマーとして使用したが、公知の方法を採用して他の反応性基(例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、など)をアミノ基の代わりに導入することもできる。
また、反応方式に関しても、上記では重縮合反応について述べたが、それ以外であってもよく、例えば、炭素-炭素結合生成反応(クロスカップリング反応)を用いてもよい。クロスカップリング反応としては、例えば、鈴木-宮浦クロスカップリング反応、園頭カップリング反応、スティルカップリング反応、溝呂木-ヘック反応などが挙げられる。

【0029】
<ポリマーの用途>
上述したポリマーは、ピラーアレーン骨格由来の環状構造を有するため、種々の用途に使用することができる。例えば、環状構造を利用したホスト材料や、焼成してカーボンナノチューブを得るための前駆体が挙げられる。
なお、ホスト材料としては、例えば、各種ガス成分(例えば、二酸化炭素、n—ブタンなど)などのガス分離材料(ガス吸着材料)として使用することが可能である。例えば、式(1)中のR~Rの官能基の種類や、mの値などを変更することにより、所定のガス成分を選択的に吸着し得るホスト材料を製造することができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。
なお、以下の溶離液の記載において、「ヘキサン:酢酸エチル=A:B~C:D」は、操作の際に、「ヘキサン:酢酸エチル=A:B」の溶離液を「ヘキサン:酢酸エチル=C:D」の溶離液へ変化させたことを意味する。
【実施例】
【0031】
<実施例1>
(モノマーの合成)
J. Org. Chem. 2012, 77, 11146に記載の方法に従って、式(A)で表される化合物から式(B)で表される化合物を得た。
【実施例】
【0032】
【化7】
JP2015221893A_000008t.gif
【実施例】
【0033】
次に、式(B)で表される化合物(211mg,0.25mmol)をエタノール(50mL)中に溶解させ、そこにヒドロキシルアミン塩酸塩(70mg,1mmol)を加えて、80℃で48時間反応を行った。反応終了後、水と酢酸エチルを用いた分液処理を行い、有機相を回収して、エバポレーターにより溶媒を除去して、固体を得た。次に、カラムクロマトグラフィー(溶離液としては、ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1を使用)を用いて、得られた固体から式(C)で表される化合物を回収した(51mg,収率24%)。
【実施例】
【0034】
【化8】
JP2015221893A_000009t.gif
【実施例】
【0035】
次に、式(C)で表される化合物(25mg,0.06mmol)、ラネーNi(500mg)、および、N・HO(0.1mL)をエタノール(5mL)に加えて、25℃にて1時間反応を行った。反応終了後、エバポレーターにて溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(溶離液としては、ヘキサン:酢酸エチル=1:1~18:82を使用)を用いて、得られた固体から式(D)で表される化合物(2HNPillar[5]arene)を回収した(8.3mg,収率17%)。
【実施例】
【0036】
【化9】
JP2015221893A_000010t.gif
【実施例】
【0037】
(ポリマーの合成)
2HNPillar[5]arene(8.3mg,0.01mmol)とテレフタルアルデヒド(1.3mg,0.01mmol)を脱水トルエン(20ml)中に溶解させ、130℃(トルエン還流温度)で12時間反応を行った。エバポレーターによりトルエンを除去したのち、得られた固体をメタノールジクロロメタン混合溶媒に溶解させた。次に、反応溶液に過剰量のNaNHを加え、室温で12時間反応を行った。反応終了後、水を加えた後、分液処理により有機相を抽出した。有機相をエバポレーターにより濃縮したのちに、再沈殿(ヘキサン:エーテル=1:1)を行うことで、ポリマー(Poly(pillar[5]arene))を得た(3mg)。
ポリマー(Poly(pillar[5]arene))には、ピラーアレーン骨格に由来する環状構造が含まれるため、各種成分のホスト材料として機能することができる。
【実施例】
【0038】
【化10】
JP2015221893A_000011t.gif
【実施例】
【0039】
得られたポリマーを用いてGPC測定を行った結果を図3に示す。得られたポリマーの重量平均分子量は6000であった。図3に示すように、得られたポリマーは、モノマーである2HNPillar[5]areneおよびテレフタルアルデヒドよりもより高分子量側にピークが観測される。
なお、GPC測定の条件は以下の通りであった。
装置:島津製作所製LC-20AD
カラム:東ソー社製 TSK-GEL G3000H
カラム温度:25℃
流速:1.0mL/min
溶離液:テトラヒドロフラン
検量線:ポリスチレン
また、得られたポリマー、および、使用したモノマーのH NMRチャートを図4に示す。
【実施例】
【0040】
(溶液安定性評価)
上記で得られたポリマーをCDClに所定量溶解させ、得られたサンプルをH NMR測定を実施することにより、溶液中でのチャートの変化の有無を確認した。得られたチャートでは、各ピークの変化は見られず、ポリマーが各種濃度において安定に存在していることが確認された。
なお、上記で用意したサンプルとしては、ポリマーの含有量が0.5mmol/Lのサンプル1と、ポリマーの含有量が1.0mmol/Lのサンプル2が挙げられる。なお、上記mmolは、ポリマー中の繰り返し単位換算である。
【実施例】
【0041】
<実施例2>
(モノマーの合成)
J. Org. Chem. 2012, 77, 11146-11152に記載の方法に従って、式(E)で表される化合物を合成した。
【実施例】
【0042】
【化11】
JP2015221893A_000012t.gif
【実施例】
【0043】
次に、以下のように、式(E)で表される化合物(834mg)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.500mL)、および、ピリジン(480mg)をジクロロメタン(10mL)に加えて、25℃にて12時間反応を行い、式(F)で表される化合物を得た(収率82%)。
【実施例】
【0044】
【化12】
JP2015221893A_000013t.gif
【実施例】
【0045】
次に、以下のように、式(F)で表される化合物(110mg)、4,4’-ビフェニルジボロン酸(24mg)、Pd(PPh(12mg)、および、NaCO(64mg)を1,4-ジオキサン(mL)および水(5mL)に加えて、110℃にて3日間反応を行い、ポリマーX(重量平均分子量:3000)を得た(収率26%)。なお、ポリマーXはいわゆる共役系ポリマーに該当する。
【実施例】
【0046】
【化13】
JP2015221893A_000014t.gif
【実施例】
【0047】
次に、以下のように、ポリマーX(85mg)、および、BBr(1.4ml)をジクロロメタン(10mL)に加えて、25℃にて5日間反応を行い、ポリマーYを得た(収率71%)。
なお、以下のように、エトキシ基からヒドロキシ基への脱保護が進行していることは、H NMRより確認された。
【実施例】
【0048】
【化14】
JP2015221893A_000015t.gif
【実施例】
【0049】
なお、全自動ガス吸着測定装置(BELSORP-MAX)(日本ベル(株)製)を用いて、二酸化炭素、n-ブタン、および、窒素に対する、ポリマーXおよびポリマーYのガス吸着性能について検討を行ったところ、ポリマーXにおいてはn-ブタンの選択的な吸着が、ポリマーYにおいては二酸化炭素の選択的な吸着が確認された。
また、ポリマーXと式(A)で表される化合物(モノマーに該当)とを用いて、ヘキサンの捕捉能について検討を行ったところ、式(A)で表される化合物ではヘキサンが略捕捉できないのに対して、ポリマーXでは十分な補足が確認された。
この結果より、ポリマーがガス成分のホスト材料として機能し、環状構造中の官能基の構造を変えることにより、ポリマーのガス吸着性能を制御できることが確認された。また、このようなガス吸着(ガス捕捉)能は、図1および図2に示すように、隣接する環状構造が対向するように配置されている、言い換えれば、チューブ状の構造が形成されているためと考えられる。
特に、ポリマーYにおいては、隣接する環状構造中のヒドロキシ基間で水素結合が形成され、隣接する環状構造が対向するように配置されやすいと推測される。
【実施例】
【0050】
また、上記で得られたポリマーXおよびYを用いて、上記(溶液安定性評価)を実施したところ、実施例1と同様に、各ピークの変化は見られず、ポリマーが各種濃度において安定に存在していることが確認された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3