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明細書 :金属部材の接合方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6132316号 (P6132316)
登録日 平成29年4月28日(2017.4.28)
発行日 平成29年5月24日(2017.5.24)
発明の名称または考案の名称 金属部材の接合方法
国際特許分類 B23K  20/00        (2006.01)
H01L  21/603       (2006.01)
FI B23K 20/00 310H
B23K 20/00 340
H01L 21/603
請求項の数または発明の数 4
全頁数 18
出願番号 特願2014-519966 (P2014-519966)
出願日 平成25年5月31日(2013.5.31)
国際出願番号 PCT/JP2013/065200
国際公開番号 WO2013/183560
国際公開日 平成25年12月12日(2013.12.12)
優先権出願番号 2012128266
優先日 平成24年6月5日(2012.6.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年5月19日(2016.5.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】小山 真司
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査官 【審査官】奥隅 隆
参考文献・文献 特開2000-005885(JP,A)
特開2006-095534(JP,A)
特開2006-239745(JP,A)
特開2006-334652(JP,A)
特開2008-006445(JP,A)
国際公開第2009/133919(WO,A1)
特開2010-000532(JP,A)
特開2011-200930(JP,A)
調査した分野 B23K 20/00
H01L 21/603
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の金属部材を接合する方法であって、
アルミニウムからなる第1の金属部材の表面を、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露する工程と、
その後、前記第1の金属部材の表面を、有機酸溶液中で煮沸する、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露する工程と、
その後、前記第1の金属部材の表面に、第2の金属部材の表面を突き合わせて、加熱及び加圧して、前記第1の金属部材と前記第2の金属部材を接合する工程とを有する
金属部材の接合方法。
【請求項2】
前記第2の金属部材は、前記第1の金属部材と同じ材料からなり、
前記第2の金属部材も、前記第1の金属部材と同様に、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露する工程を行ってから、表面を、有機酸溶液中で煮沸する、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露する工程を行って、その後、前記第1の金属部材と接合する工程を行う
請求項1に記載の金属部材の接合方法。
【請求項3】
前記第2の金属部材は、前記第1の金属部材とは異なる材料からなる、請求項1に記載の金属部材の接合方法。
【請求項4】
前記有機酸が、ギ酸、クエン酸、ステアリン酸から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の金属部材の接合方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムからなる金属部材を含む複数の金属部材を接合する、金属部材の接合方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
現在、アルミニウム同士、或いは、アルミニウムと鋼材は、580~620℃に加熱されて、ろう付けにより接合されている。
【0003】
ろう付けによる接合では、接合自体は極めて強固になるが、接合阻害因子である酸化物皮膜を除去する必要がある。
そのため、酸化物皮膜除去用に、ハロゲンを含むフラックスが用いられ、そのフラックスの残渣による接合後の腐食や、フラックスの気化による未接合部(ボイド)の形成等の接合欠陥が発生していた。
また、酸化皮膜を機械的に破壊するために、接合圧力を増加させなくてはならないため、接合時の変形量が増加してしまう問題点もあった。
【0004】
これらの問題点に対して、低温で接合する方法として、固相接合法が知られている。
固相接合法は、母材を溶融することなく、固相状態で顕著な変形を加えずに、加熱及び加圧して接合する方法である。熱による部材へのダメージを減少させ、溶融させないことによるぬれ広がりの抑制や、精密組立接合が可能である、といった特徴を有している。
【0005】
また、例えば、銅の接合面を有機酸から成る酸化膜除去液で処理してから、固相接合を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2006-334652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アルミニウム等においては、表面を有機酸で処理しただけで固相接合を行うと、十分な接合強度が得られなかった。
【0008】
上述した問題の解決のために、本発明においては、低温で、かつ、固相状態で金属同士を接合する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の金属部材の接合方法は、複数の金属部材を接合する方法であって、アルミニウムからなる第1の金属部材の表面を、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露する工程と、その後、第1の金属部材の表面を、有機酸溶液中で煮沸する、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露する工程と、その後、第1の金属部材の表面に、第2の金属部材の表面を突き合わせて、加熱及び加圧して、第1の金属部材と第2の金属部材を接合する工程とを有するものである。
【0010】
本発明の金属部材の接合方法において、第2の金属部材は、第1の金属部材と同じ材料からなり、第2の金属部材も、第1の金属部材と同様に、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露する工程を行ってから、表面を、有機酸溶液中で煮沸する、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露する工程を行って、その後、第1の金属部材と接合する工程を行うことも可能である。
本発明の金属部材の接合方法において、第2の金属部材は、第1の金属部材とは異なる材料からなる構成とすることも可能である。
本発明の金属部材の接合方法において、有機酸が、ギ酸、クエン酸、ステアリン酸から選ばれる1種以上である構成とすることも可能である。
【0011】
上述の本発明の金属部材の接合方法によれば、アルミニウムからなる第1の金属部材の表面を、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露することにより、アルミニウムの表面に形成された酸化物皮膜を有効に除去、或いは、水酸化物に置換することができる。
その後、第1の金属部材の表面を、有機酸溶液中で煮沸する、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露することにより、酸化物皮膜から置換された水酸化物が有機酸塩に置換される。
その後、第1の金属部材の表面に、第2の金属部材の表面を突き合わせて、加熱及び加圧して、第1の金属部材と第2の金属部材を接合することにより、酸化物皮膜が除去、或いは、有機酸塩に置換された状態で、加熱及び加圧するので、有機酸塩は熱分解反応を生じて分解されることから、第1の金属部材の原子面が露出し、接合強度を増大させることが可能になる。
そして、高い接合強度が得られるので、従来よりも低い温度で、十分に高い接合強度を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
上述の本発明によれば、従来よりも低い接合温度で、十分な接合強度を得ることが可能になる。
これにより、接合温度を低くして、接合装置の構成を簡略化することや、加熱に必要なエネルギーを低減し、接合時の変形量を低減することが、可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態の金属の接合方法の手順のフローチャートである。
【図2】実験1で使用した純アルミニウムの試料の斜視図である。
【図3】実験1で使用した引張試験用の試験片の側面図である。
【図4】実験1(アルミニウム/アルミニウム接合)の引張試験の結果を示す図である。
【図5】A~C アルカリ処理も有機酸処理も行っていない試料の接合界面のSEM写真である。
【図6】A~C アルカリ処理も有機酸処理も行っていない試料の接合界面のSEM写真である。
【図7】図6の白色を呈した介在物のEDX分析結果である。
【図8】A~C アルカリ処理の後に有機酸処理を行った試料の接合界面のSEM写真である。
【図9】アルカリ処理の後に有機酸処理を行った試料表面のFT-IR分析の結果である。
【図10】実験2で使用したアルミニウム合金及びステンレス鋼(SUS)の試料の斜視図である。
【図11】実験2における引張試験のやり方を示す図である。
【図12】実験2(アルミニウム合金/SUS接合)の引張試験の結果を示す図である。
【図13】実験2(アルミニウム合金/SUS接合)の引張試験の結果を示す図である。
【図14】実験3で使用した純アルミニウム及び純銅の試料の斜視図である。
【図15】実験3(アルミニウム/銅接合)の引張試験の結果を示す図である。
【図16】実験3の各試料の引張試験後の各破面のSEM写真及びアルミニウム側の破面における銅の分布を示す写真である。
【図17】実験3の試料の接合界面近傍における、SEM写真、並びに、アルミニウム及び銅の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.実施の形態
3.実施例

【0015】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の概要について説明する。
本発明の金属部材の接合方法は、同一の材料からなる、或いは、異種の材料からなる、複数の金属部材を接合する方法である。
そして、本発明では、アルミニウムから成る第1の金属部材の表面を、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露する工程と、その後、第1の金属部材の表面を、有機酸溶液中で煮沸する、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露する工程と、その後、第1の金属部材の表面に、第2の金属部材の表面を突き合わせて、加熱及び加圧して、第1の金属部材と第2の金属部材を接合する工程とを有する。

【0016】
本発明において、アルミニウムから成る第1の金属部材の材料としては、例えば、アルミニウム純金属又はアルミニウム合金を使用することができる。この場合、アルカリ水溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露することによって、アルミニウムの表面の酸化物皮膜を除去することができる。
本発明において、第2の金属部材には、各種の金属材料からなる金属部材を使用することが可能である。例えば、銅やステンレス鋼(SUS)等を、第2の金属部材に使用することが可能である。

【0017】
また、接合する第1の金属部材及び第2の金属部材は、同じ材料であっても、異種の材料であっても良い。
第1の金属部材及び第2の金属部材を同じ材料とする場合には、第2の金属部材に対しても、第1の金属部材と同様に表面の処理(アルカリ処理+有機酸処理)を行うことが望ましい。
第2の金属部材を第1の金属部材と異なる材料とする場合でも、第2の金属部材に対して、第1の金属部材と同様の表面の処理(アルカリ処理+有機酸処理)を行っても良い。

【0018】
本発明において、アルカリ溶液やアルカリを含む蒸気には、各種のアルカリを使用することが可能である。
例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムを使用することができる。そして、これらのアルカリの水溶液や、アルカリを含む水蒸気を使用することができる。
金属部材の表面を、アルカリ水溶液に浸漬する場合には、より好ましくは、アルカリ水溶液を煮沸する。アルカリ水溶液を煮沸することにより、金属部材の表面の酸化皮膜の除去を効率良く行うことができる。

【0019】
本発明において、有機酸としては、各種の有機酸を使用することができる。
例えば、ギ酸、クエン酸、ステアリン酸から選ばれる1種以上を使用することができる。

【0020】
本発明では、アルミニウムから成る第1の金属部材の表面を、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露することにより、金属部材の表面に形成された、表面汚染層を含む酸化物皮膜が除去或いは水酸化物に置換されると共に、アルミニウムが水酸化アルミニウムに置換される。
表面汚染層は接合性阻害因子となるため、表面汚染層が存在していると接合強度を低下させる。また、水酸化物は、加熱及び加圧して金属部材を接合する工程において、熱分解反応を生じて、金属原子の原子面が露出する。
従って、表面汚染層を有効に除去或いは水酸化物に置換することにより、接合強度を増大させることができる。
このようにして高い接合強度を得ることができるため、従来よりも低い温度で高い接合強度を得ることが可能になる。

【0021】
また、水酸化アルミニウムは、加熱及び加圧して金属部材を接合する工程において、熱分解反応を生じて、アルミニウムの原子面が露出するので、第2の金属部材(アルミニウム又は他の金属)と金属素材同士の金属的接触領域を増加させて、高い接合強度を得ることができる。

【0022】
さらに、本発明では、第1の金属部材の表面を、アルカリ溶液中に浸漬する、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露した後に、さらに、有機酸溶液中で煮沸する、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露することにより、水酸化アルミニウムがアルミニウムの有機酸塩に置換される。有機酸としてギ酸を使用した場合には、ギ酸アルミニウムに置換される。
従って、表面汚染層を有機酸塩に置換することにより、接合強度を増大させることができる。
このようにして高い接合強度を得ることができるため、従来よりも低い温度で高い接合強度を得ることが可能になる。
また、アルカリを用いた処理のみの場合と比較して、より低い温度から高い接合強度を得ることが可能になる。

【0023】
また、ギ酸アルミニウム等、アルミニウムの有機酸塩は、水酸化アルミニウムと同様に、加熱及び加圧して金属部材を接合する工程において、熱分解反応を生じて、アルミニウムの原子面が露出するので、第2の金属部材(アルミニウム又は他の金属)と金属素材同士の金属的接触領域を増加させて、高い接合強度を得ることができる。

【0024】
上述したように、本発明によれば、従来よりも低い温度で、十分に高い接合強度が得られるので、低温で固相状態での接合が可能になる。
そして、温度と同様の観点から、接合の際の圧力を低くしても、十分に高い接合強度を得ることが可能になる。
これにより、低圧力で固相状態での接合が可能になり、接合の際の変形量を低減することができるので、接合の位置精度を向上することができる。接合の位置精度が向上することにより、高い位置精度を保つことが可能になり、溶接では困難であった複雑な形状の金属部材の接合も可能になる。
また、低温かつ低圧力で接合が可能になるため、接合装置の構成を簡略化することや、加熱に必要なエネルギーを低減して、エネルギー効率を向上することができる。例えば、消費電力や加熱用の燃料、接合に要する時間等を低減することが可能になる。

【0025】
<2.実施の形態>
本発明の実施の形態の金属の接合方法の手順のフローチャートを、図1に示す。
図1に示すように、まず、ステップS11において、接合させる金属部材(アルミニウムから成る第1の金属部材)の表面を、アルカリ溶液中に浸漬、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露する。
これにより、金属部材の表面に形成された、表面汚染層(例えば、酸化物皮膜等の化学吸着層)を、有効に除去、或いは、水酸化物に置換することができる。

【0026】
アルミニウムから成る金属部材(第1の金属部材)としては、アルミニウム、アルミニウム合金を使用することができる。
アルカリ溶液やアルカリを含む蒸気には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムや、各種のアルカリを使用することが可能である。溶液の溶媒としては、水を使用することができる。また、その他各種の極性溶媒を使用することも可能である。

【0027】
なお、ステップS11の工程の後に、次のステップに進む前に、金属部材(第1の金属部材)の表面を、洗浄する工程や、乾燥する工程を行っても良い。

【0028】
次に、ステップS12において、金属部材(第1の金属部材)の表面を、有機酸溶液中で煮沸、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露する。
これにより、表面汚染層から置換された水酸化物が、さらに有機酸塩に置換される。

【0029】
有機酸としては、ギ酸、クエン酸、ステアリン酸や、その他の有機酸を使用することができる。溶媒としては、水や各種の極性溶媒を使用することが可能である。

【0030】
なお、ステップS12の工程の後に、次のステップに進む前に、金属部材(第1の金属部材)の表面を、洗浄する工程や、乾燥する工程を行っても良い。

【0031】
次に、ステップS13において、2つの金属部材(第1の金属部材及び第2の金属部材)の表面を突き合わせて、加熱及び加圧して接合する。
これにより、表面汚染層が除去、或いは、有機酸塩に置換された状態で、加熱及び加圧するので、有機酸塩は熱分解反応を生じて分解されることから、第1の金属部材の金属原子の原子面が露出し、接合強度を増大させることができる。高い接合強度が得られるので、従来よりも低い温度及び低い変形量で高い接合強度を得ることが可能になる。
即ち、ステップS11及びステップS12の工程を行わない、従来の接合方法と比較して、接合の際の加熱の温度及び加圧力を低くすることが可能になる。

【0032】
第2の金属部材には、第1の金属部材と同じ材料も、第1の金属部材と異なる材料も、使用することが可能である。
第2の金属部材を第1の金属部材と同じ材料とする場合には、第2の金属部材に対しても、ステップS11及びステップS12の各工程を行うことが望ましい。
第2の金属部材を第1の金属部材と異なる材料とする場合でも、第2の金属部材に対して、ステップS11及びステップS12の各工程と同様の処理を行っても良い。

【0033】
本実施の形態において、第1の金属部材として使用する、アルミニウムやアルミニウム合金では、表面汚染層として、酸化物皮膜(酸化アルミニウム)が形成されやすい。
ステップS11の工程では、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを含有する、水溶液や水蒸気を使用することにより、表面汚染層である酸化物皮膜(酸化アルミニウム)が除去或いは水酸化物に置換されると共に、アルミニウムが水酸化アルミニウムに置換される。
水溶液に浸漬する場合には、より好ましくは、水溶液を煮沸する。水溶液を煮沸することにより、酸化物皮膜の除去を効率良く行うことができる。
また、その後、必要に応じて、アルコール等で洗浄する工程や、金属部材の表面を乾燥する工程を行っても良い。

【0034】
ステップS12の工程では、有機酸として、例えば、ギ酸、クエン酸、ステアリン酸を使用することができる。
これらの有機酸を使用することにより、表面汚染層から置換された水酸化アルミニウムが、有機酸塩である、有機酸アルミニウム(ギ酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム)に置換される。
また、その後、必要に応じて、アルコール等で洗浄する工程や、金属部材の表面を乾燥する工程を行っても良い。

【0035】
ステップS13の工程では、第1の金属部材に接合する相手の第2の金属部材として、同種の材料(アルミニウムやアルミニウム合金)の他、異種の材料、例えば、銅やステンレス鋼(SUS)等も使用することが可能である。
ステップS13の工程では、酸化物皮膜が置換された有機酸アルミニウムが熱分解するので、アルミニウムの原子面が露出することから、第2の金属部材との接合強度を増大させることができる。これにより、従来よりも低い温度で高い接合強度を得ることが可能になる。
そして、温度と同様の観点から、接合の際の圧力を低くしても、十分に高い接合強度を得ることが可能になる。これにより、低い圧力での接合が可能になり、接合の際の変形量を軽減して、高い位置精度を保つことが可能になる。
また、低温かつ低圧力で接合が可能になるため、エネルギー効率を向上することができる。

【0036】
なお、アルミニウムやアルミニウム合金を使用した第1の金属部材に対して、ステップS11を省略して、ステップS12及びステップS13のみを行うと、十分な接合強度の向上効果が得られない。
これは、アルミニウムの酸化物皮膜が、有機酸だけでは、置換されない、或いは、置換されにくいためと考えられる。
酸化物皮膜をいったん水酸化アルミニウムに置換しておくと、容易に有機酸アルミニウムに置換することができる。

【0037】
上述の本実施の形態によれば、接合させる金属部材(アルミニウムから成る第1の金属部材)の表面を、アルカリ溶液中に浸漬、或いは、アルカリを含む蒸気に曝露することにより、金属部材の表面に形成された、表面汚染層(例えば、酸化物皮膜等の化学吸着層)を、有効に除去、或いは、水酸化物に置換することができる。
そして、金属部材(アルミニウムから成る第1の金属部材)の表面を、有機酸溶液中で煮沸、或いは、有機酸を含む蒸気に曝露することにより、表面汚染層から置換された水酸化物を、有機酸塩に置換することができる。
さらに、2つの金属部材(第1の金属部材及び第2の金属部材)の表面を突き合わせて、加熱及び加圧して接合することにより、表面汚染層が除去、或いは、有機酸塩に置換された状態で、加熱及び加圧するので、有機酸塩は熱分解反応を生じて分解されることから、第1の金属部材の金属原子の原子面が露出し、接合強度を増大させることができる。
これにより、高い接合強度が得られるので、低い温度で高い接合強度を得ることが可能になり、アルカリによる処理工程及び有機酸による処理工程を行わない従来の場合と比較して、接合の際の加熱の温度を低くすることが可能になる。即ち、低温で固相状態での接合が可能になる。
そして、接合の際の圧力を低くしても十分に高い接合強度を得ることが可能になり、低圧力で固相状態での接合が可能になることから、接合の際の変形量を低減することができるので、接合の位置精度を向上することができる。接合の位置精度が向上することにより、高い位置精度を保つことが可能になり、溶接では困難であった複雑な形状の金属部材の接合も可能になる。
また、低温かつ低圧力で接合が可能になるため、エネルギー効率を向上することができる。例えば、消費電力や加熱用の燃料、接合に要する時間等を低減することが可能になる。

【0038】
<3.実施例>
次に、実際に、本発明によって金属部材の接合を行い、特性を調べた。

【0039】
(実験1)アルミニウム/アルミニウム接合
接合する2つの金属部材として、図2に斜視図を示すように、直径が20mmで高さが15mmの円柱状の純アルミニウムを2個用意した。
そして、2個の純アルミニウムの接合面を、エメリー紙で800番まで機械研磨仕上げを行った。
使用した純アルミニウムの化学組成は、下記の表1の通りである。

【0040】
【表1】
JP0006132316B2_000002t.gif

【0041】
(アルカリ処理のみ)
2個の純アルミニウムを、水酸化ナトリウム水溶液中で30秒間煮沸した後に、メタノールにより10秒間洗浄した。
その後、真空炉中で、接合時間を30分に設定して、加熱及び加圧することにより、2個の純アルミニウムを接合した。
そして、設定する接合圧力を3MPaと6MPaと変え、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0042】
(アルカリ処理及び有機酸処理)
2個の純アルミニウムを、水酸化ナトリウム水溶液中で30秒間煮沸した後に、メタノールにより10秒間洗浄した。
さらに、ギ酸中で、純アルミニウムの接合面を60秒間煮沸した後、蒸留水により10秒間洗浄した。
その後、真空炉中で、接合時間を30分に設定して、加熱及び加圧することにより、2個の純アルミニウムを接合した。
そして、設定する接合圧力を6MPaとして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0043】
(処理なし)
比較対照として、アルカリ処理も有機酸処理も行わない試料を作製した。
2個の純アルミニウムを、そのまま(研磨を行った状態のまま)、真空炉中で、接合時間を30分に設定して、加熱及び加圧することによって接合した。
そして、設定する接合圧力を3MPaと6MPaと変え、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0044】
(有機酸処理のみ)
また、比較対照として、有機酸処理のみを行った試料を作製した。
ギ酸中で、2個の純アルミニウムのそれぞれの接合面を60秒間煮沸した後、蒸留水により10秒間洗浄した。
その後、真空炉中で、接合時間を30分に設定して、加熱及び加圧することにより、2個の純アルミニウムを接合した。
そして、設定する接合圧力を6MPaとして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0045】
(引張試験)
さらに、2個の純アルミニウムの接合により得られた継手に対して、加工を行って、図3に側面図を示すように、接合面付近の径が細くなるように加工された試験片を作製した。
この試験片に対して、径が細くなった部分に、引張試験用の治具を引っ掛けて、引張試験を行った。
引張試験機は、INSTRON社製5567を使用した。
なお、接合時の変形が非常に大きかった試料や、正しく接合できなかった試料は、測定不能であるため、引張試験の対象から除外した。
各試料の引張試験の結果をまとめて、図4に示す。

【0046】
処理なしの場合には、接合圧力3MPaでは590℃まで、接合圧力6MPaでは540℃まで、接合温度を上げることが可能であり、接合温度を高くすると引張強さも増大した。しかし、さらに接合温度を高くすると、接合時の変形が大きくなり、所定の試験片を作製することができなかった。そして、引張強さがアルミニウムの0.2%耐力(30MPa)に達しなかった。

【0047】
水酸化ナトリウム水溶液で処理を行った場合には、6MPaの接合圧力において、処理なしの場合よりも100℃以上低い温度で接合することが可能となった。アルミニウムの0.2%耐力(30MPa)の引張強さに達する接続強度を得るための接合温度は、接合圧力3MPaでは555℃程度、接合圧力6MPaでは450℃程度であった。
そして、接合温度と接合時の変形量は相関があるため、処理なしの場合の40%以上から10%程度にまで変形を抑制することができる。

【0048】
また、水酸化ナトリウム水溶液による処理に続き、ギ酸で処理を行った場合には、水酸化ナトリウム水溶液による改質処理のみの場合に比べて、より低温から高い強度の接続強度が得られる。図4から、接合圧力6MPaでは、20~30℃程度低い温度で同程度の接続強度が得られることがわかる。

【0049】
なお、ギ酸で処理を行っただけで接合を行った場合には、接合強度が弱く、図3に示した試験片を作製している途中で接合部が破断した。そのため、図4では、引張強さを0としている。即ち、440~480℃の範囲で接合することはできたが、十分な接合強度が得られなかった。

【0050】
ここで、アルカリ処理も有機酸処理も行っていない試料(処理なし)において、接合工程後の接合界面近傍の組織をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察を行った。
接合圧力3MPa・接合温度590℃としたときの接合界面のSEM写真を図5A~図5Cに示し、接合圧力6MPa・接合温度540℃としたときの接合界面のSEM写真を図6A~図6Cに示す。図5及び図6において、図Aは中心部の写真を示し、図Bは中心部と端部との中間部の写真を示し、図Cは端部の写真を示す。

【0051】
図5A~図5Cに示すように、接合圧力3MPa・接合温度590℃としたときには、接合界面近傍には観察位置に関わらず、白色を呈した介在物が認められた。
図6A~図6Cに示すように、接合圧力6MPa・接合温度540℃としたときにも、同様に、接合界面近傍に白色を呈した介在物が認められた。

【0052】
さらに、図6の白色を呈した介在物について、EDXにより定性分析を行った。このEDX分析結果を、図7に示す。
図7より、AlとOが強く検出されている。このことから、接合界面近傍に認められた白色を呈する介在物は、アルミニウムの酸化物であることが示唆された。そして、この白色を呈する介在物が接合面に介在していたため、アルミニウムの自己拡散が阻害され、接合強さが低かったものと考えられる。

【0053】
次に、アルカリ処理後に有機酸処理を行った試料(複合改質処理)において、接合工程後の接合界面近傍の組織をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察を行った。
接合圧力6MPa・接合温度440℃としたときの接合界面のSEM写真を図8A~図8Cに示す。図8Aは中心部の写真を示し、図8Bは中心部と端部との中間部の写真を示し、図8Cは端部の写真を示す。

【0054】
図8A~図8Cに示すように、接合圧力6MPa・接合温度440℃としたときには、接合線が不連続になり、一部の領域でアルミニウム同士が密着化している。
ここで、処理なしの試料と比較すると、接合界面近傍で認められた白色を呈した介在物は、複合改質処理を行った試料では認められなかった。これは、アルカリ処理により、アルミニウムの接合表面に形成されていた加工層及び酸化皮膜を含む加工層が改質・除去されたためと考えられる。これにより、接合温度の上昇によってアルミニウムが塑性変形するに従い、アルミニウム同士の密着化した領域が増加したため、図4の結果において接合圧力に関わらず接合温度の上昇に伴い接合強度が上昇したと推測される。

【0055】
次に、実験1と同じ条件でアルカリ処理及び有機酸処理を行った試料について、アルミニウムの表面をFT-IRで分析を行った。また、比較対照として、研磨直後の改質処理を行っていない試料についても、同様に分析を行った。
FT-IRの分析結果を、図9に示す。

【0056】
図9に示すように、複合改質処理を行った試料では、1740cm-1,1640cm-1、1400cm-1にピークを生じている。
このうち、1740cm-1及び1400cm-1近傍は、それぞれ、カルボキシ基、エーテル結合のピークであることが知られている。また、1640cm-1近傍は、炭酸水素塩のピークであることが知られている。よって、水酸化ナトリウムとギ酸を用いて複合改質処理を行った場合には、改質を行わない場合と比較して、これらのピークが増加している傾向が認められたことから、アルミニウムの表面に、アルミニウムのギ酸塩が生成されることが示唆された。これは、Al(OH)を、熱した90%以上のギ酸に溶解すると、塩基性塩Al(OH)(HCOO)・HOが得られるとされていることからも、裏づけられている。

【0057】
ここで、アルミニウムのギ酸塩であるギ酸アルミニウムは、100℃近傍の温度域で脱水反応を生じ、HOを放出するとされ、引き続いて300℃近傍の温度域においてAlに熱分解するとされている。
従って、本実験の条件では、接合温度を300℃以上に設定しているので、まず100℃近傍の温度域で脱水反応が生じて、アルミニウムの素地表面が一部露出し、さらに300℃近傍の温度域でギ酸アルミニウムがAlに熱分解することによって、さらなるアルミニウムの素地表面の露出が生じていたものと考えられる。
これらの反応により、アルミニウムの接合表面上に存在する酸化皮膜の占める割合の減少、即ち、酸化皮膜の破壊が生じて、接合初期においてアルミニウム原子の自己拡散が進行したものと推測される。
その結果、より低温から接合強さが上昇し、改質処理を施さない場合と比較して、低い温度で十分な強度が得られたと考えられる。

【0058】
以上の結果から、アルミニウム同士の接合において、アルミニウムに対して、アルカリ処理及び有機酸処理の複合改質処理を行うことにより、接合強度を向上し、処理を施さない場合に比較して、より低温及び低変形量で接合が可能になることがわかる。

【0059】
(実験2)アルミニウム合金/SUS接合
接合する2つの金属部材として、図10に斜視図を示すように、直径が22mmで高さが20mmの円柱状のハイシリコンアルミニウム合金と、直径が10mmで高さが15mmの円柱状のSUS304ステンレス鋼を用意した。
使用したSUS304ステンレス鋼の化学組成を表2に示し、使用したハイシリコンアルミニウム合金の化学組成を表3に示す。

【0060】
【表2】
JP0006132316B2_000003t.gif

【0061】
【表3】
JP0006132316B2_000004t.gif

【0062】
(アルカリ処理のみ)
アルミニウム合金の接合面を、水酸化ナトリウム水溶液中で20秒間煮沸した後に、アセトン中で超音波洗浄した。
その後、真空炉中で、接合時間を15分、接合圧力を6MPaに設定して、加熱及び加圧することにより、アルミニウム合金とSUS304ステンレス鋼を接合した。
そして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0063】
(アルカリ処理及び有機酸処理)
アルミニウム合金の接合面を、水酸化ナトリウム水溶液中で20秒間煮沸した後に、アセトン中で超音波洗浄した。
続いて、アルミニウム合金の接合面を、ギ酸中で3分間煮沸した。
その後、真空炉中で、接合時間を15分、接合圧力を6MPaに設定して、加熱及び加圧することにより、アルミニウム合金とSUS304ステンレス鋼を接合した。
そして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0064】
(処理なし)
比較対照として、アルカリ処理も有機酸処理も行わない試料を作製した。
真空炉中で、接合時間を15分、接合圧力を6MPaに設定して、加熱及び加圧することにより、アルミニウム合金とSUS304ステンレス鋼を接合した。
そして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0065】
(引張試験)
さらに、アルミニウム合金とSUS304ステンレス鋼の接合により得られた継手を使用して、実験1のような接合面付近の径が細くなるようにする加工は行わず、継手をそのまま試験片とした。
この試験片に対して、図11に示すように、径が太いアルミニウム合金側の端面に、引張試験用の治具を引っ掛けて、SUS304ステンレス鋼の外側を治具で挟んで、図中矢印で示す方向に応力をかけて、引張試験を行った。
引張試験機は、INSTRON社製5567を使用した。
各試料の引張試験の結果を、図12に示す。

【0066】
また、上述した処理なし及びアルカリ処理+有機酸処理の条件で、接合圧力を12MPaに設定して、他の条件は同様にして、継手を作製して、この継手を試験片として使用して引張試験を行った。
この接合圧力を12MPaに設定した各試料の引張試験の結果を、図13に示す。

【0067】
図12及び図13からわかるように、接合圧力6MPaの場合には510℃で、接合圧力12MPaの場合には480℃で、アルミニウムの0.2%耐力(30MPa)を十分に超える引張強さに達する接続強度が得られ、処理を施さない場合に比較して、より低温、低変形量で接合が可能となる。
なお、図12より、ギ酸による表面改質を施さず、水酸化ナトリウムのみの処理では、その効果は減少することがわかる。

【0068】
以上の結果から、アルミニウム合金とステンレス鋼(SUS)の接合においても、アルミニウム合金に対して、アルカリ処理及び有機酸処理の複合改質処理を行うことにより、接合強度を向上し、処理を施さない場合に比較して、より低温及び低変形量で接合が可能になることがわかる。

【0069】
(実験3)純アルミニウム/純銅接合
接合する2つの金属部材として、図14に斜視図を示すように、直径が20mmで高さが15mmの円柱状の純アルミニウムと、直径が10mmで高さが15mmの円柱状の純銅を用意した。
使用した純アルミニウム及び純銅の純度は、いずれも99.9%である。

【0070】
(アルカリ処理のみ)
純アルミニウムの接合面を、水酸化ナトリウム水溶液中で20秒間煮沸した後に、メタノールにより10秒間洗浄した。
その後、真空炉中で、接合時間を15分、接合圧力を12MPaに設定して、加熱及び加圧することにより、純アルミニウム及び純銅を接合した。
そして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0071】
(アルカリ処理及び有機酸処理)
純アルミニウムの接合面を、水酸化ナトリウム水溶液中で20秒間煮沸した後に、メタノールにより10秒間洗浄した。
続いて、純アルミニウムの接合面を、ギ酸中で60秒間煮沸した。
その後、真空炉中で、接合時間を15分、接合圧力を12MPaに設定して、加熱及び加圧することにより、純アルミニウム及び純銅を接合した。
そして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0072】
(処理なし)
比較対照として、アルカリ処理も有機酸処理も行わない試料を作製した。
真空炉中で、接合時間を15分、接合圧力を12MPaに設定して、加熱及び加圧することにより、純アルミニウム及び純銅を接合した。
そして、接合温度を変えて、それぞれ金属部材の接合を行って、継手を作製した。

【0073】
(引張試験)
さらに、純アルミニウムと純銅の接合により得られた継手を使用して、実験1のような接合面付近の径が細くなるようにする加工は行わず、実験2と同様に、継手をそのまま試験片とした。
この試験片に対して、図11に示した実験2と同様に、径が太い純アルミニウム側の端面に、引張試験用の治具を引っ掛けて、純銅の外側を治具で挟んで、図中矢印で示す方向に応力をかけて、引張試験を行った。
引張試験機は、INSTRON社製5567を使用した。
各試料の引張試験の結果を、図15に示す。

【0074】
図15からわかるように、接合温度773K(500℃)でアルミニウムの0.2%耐力に匹敵する継手強度が得られ、処理を施さない場合に比較して、より低温、低変形量で接合が可能となる。
なお、図15より、ギ酸による表面改質を施さず、水酸化ナトリウムのみの処理では、その効果は減少することがわかる。

【0075】
以上の結果から、純アルミニウムと純銅の接合においても、純アルミニウムに対して、アルカリ処理及び有機酸処理の複合改質処理を行うことにより、接合強度を向上し、処理を施さない場合に比較して、より低温及び低変形量で接合が可能になることがわかる。

【0076】
ここで、各試料について、接合温度773K(500℃)としたときの、引張試験後の銅側の破面及びアルミニウム側の破面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察を行った。また、EDX(エネルギー分散型X線分析)により、アルミニウム側の破面の面分析を行った。
各破面のSEM写真及びアルミニウム側の破面における銅の分布を、図16に示す。
図16に示すように、アルカリ処理や複合改質処理(アルカリ処理及び有機酸処理)を行うことより、処理を施さない場合と比較して、破面に互いの金属がより顕著に付着するようになり、純アルミニウム側の破面から検出される銅元素の割合も増加する。

【0077】
また、各試料について、接合温度773K(500℃)としたときの、接合工程後の接合界面近傍の組織をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察を行った。また、EDX(エネルギー分散型X線分析)により、接合界面近傍の線分析を行った。
接合界面近傍のSEM写真、アルミニウム及び銅の分布を、図17に示す。
図17に示すように、アルカリ処理や複合改質処理(アルカリ処理及び有機酸処理)を行うことより、処理を施さない場合と比較して、層状の組織が均一に形成されるようになる。これは、アルカリ処理や複合改質処理(アルカリ処理及び有機酸処理)を行うことにより、純アルミニウムと純銅の原子面が密着化して、金属間の反応が均一に進んだと推測される。

【0078】
本発明は、上述の実施の形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。

【0079】
以上の通り、本発明に係る金属部材の接合方法は、低温及び低変形量で金属部材を接合することを可能にするものであり、産業上の利用可能性を有している。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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