TOP > 国内特許検索 > 図形情報処理装置、図形情報処理方法、及び図形情報処理プログラム > 明細書

明細書 :図形情報処理装置、図形情報処理方法、及び図形情報処理プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6108485号 (P6108485)
登録日 平成29年3月17日(2017.3.17)
発行日 平成29年4月5日(2017.4.5)
発明の名称または考案の名称 図形情報処理装置、図形情報処理方法、及び図形情報処理プログラム
国際特許分類 G06T  17/30        (2006.01)
G06F  17/50        (2006.01)
FI G06T 17/30
G06F 17/50 622D
請求項の数または発明の数 14
全頁数 17
出願番号 特願2014-519889 (P2014-519889)
出願日 平成25年5月9日(2013.5.9)
国際出願番号 PCT/JP2013/063061
国際公開番号 WO2013/183396
国際公開日 平成25年12月12日(2013.12.12)
優先権出願番号 2012131139
優先日 平成24年6月8日(2012.6.8)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年4月28日(2016.4.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】三浦 憲二郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100108257、【弁理士】、【氏名又は名称】近藤 伊知良
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100144440、【弁理士】、【氏名又は名称】保坂 一之
審査官 【審査官】岡本 俊威
参考文献・文献 国際公開第2009/148157(WO,A1)
萩原徹,原田利宣,対数美的曲面の創成アルゴリズムとVRを用いた曲面創成システムの開発,情報処理学会研究報告2009-CG-134,日本,社団法人情報処理学会,2009年 2月 9日,第2009巻第12号,p13-16
調査した分野 G06T 17/00-19/20
G06F 17/50
特許請求の範囲 【請求項1】
有限の境界線を有する曲面のuv座標系のパラメータと、該曲面の制御点に関するデータとを含む入力データを受け付ける受付部と、
前記曲面上の一点での第1の曲率及び第2の曲率を用いて定義される拡張パラメータを用いた目的関数を記憶部から読み出し、前記uv座標系のパラメータを該目的関数に適用することで、該目的関数が最小値を取る前記制御点の位置を算出する算出部と、
前記算出部により算出された制御点の位置に基づいて前記曲面を整形する整形部と、
前記整形部により整形された曲面を示す図形情報を出力する出力部と
を備える図形情報処理装置。
【請求項2】
前記目的関数が前記拡張パラメータと前記曲面の第1基本量とを用いて定義される、
請求項1に記載の図形情報処理装置。
【請求項3】
前記拡張パラメータをΩとした場合に前記目的関数が下記式で表され、
【数1】
JP0006108485B2_000044t.gif
ここで、Iは、曲面の第1基本量で表される行列であり、Ωは、前記uv座標系におけるu方向の前記拡張パラメータの微分値を2乗した値であり、Ωは、前記uv座標系におけるv方向の前記拡張パラメータの微分値を2乗した値であり、Wは重みである、
請求項2に記載の図形情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の曲率が最大曲率であり、前記第2の曲率が最小曲率である、
請求項3に記載の図形情報処理装置。
【請求項5】
前記拡張パラメータが、前記最大曲率をkmaxとし、前記最小曲率をkminとし、α及びβを任意の数として、Ω=kmax-αmin-βで示される、
請求項4に記載の図形情報処理装置。
【請求項6】
前記拡張パラメータが、前記最大曲率をkmaxとし、前記最小曲率をkminとし、α及びβを任意の数として、Ω=(kmax-α+kmin-β)/2で示される、
請求項4に記載の図形情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の曲率が前記uv座標系におけるu方向の曲率であり、前記第2の曲率が該uv座標系におけるv方向の曲率である、
請求項3に記載の図形情報処理装置。
【請求項8】
前記拡張パラメータが、前記u方向の曲率の微分値をkとし、前記v方向の曲率の微分値をkとし、α及びβを任意の数として、Ω=k-α-βで示される、
請求項7に記載の図形情報処理装置。
【請求項9】
前記拡張パラメータが、前記u方向の曲率の微分値をkとし、前記v方向の曲率の微分値をkとし、α及びβを任意の数として、Ω=(k-α+k-β)/2で示される、
請求項7に記載の図形情報処理装置。
【請求項10】
前記拡張パラメータが、前記u方向の曲率の微分値をkとし、前記v方向の曲率の微分値をkとし、α及びβを任意の数として、Ω=k-α+k-βで示される、
請求項7に記載の図形情報処理装置。
【請求項11】
前記制御点に関するデータが曲面式であり、
前記算出部が前記曲面式により決まる前記制御点の位置を算出し、
前記整形部が、前記算出部により算出された制御点の位置を前記曲面式に適用することで前記曲面を整形する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の図形情報処理装置。
【請求項12】
前記受付部が、前記制御点の位置の変更に対する拘束条件を更に受け付け、
前記算出部が、前記拘束条件を満たす範囲内で、前記目的関数が最小値を取る前記制御点の位置を算出する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の図形情報処理装置。
【請求項13】
図形情報処理装置により実行される図形情報処理方法であって、
有限の境界線を有する曲面のuv座標系のパラメータと、該曲面の制御点に関するデータとを含む入力データを受け付ける受付ステップと、
前記曲面上の一点での第1の曲率及び第2の曲率を用いて定義される拡張パラメータを用いた目的関数を記憶部から読み出し、前記uv座標系のパラメータを該目的関数に適用することで、該目的関数が最小値を取る前記制御点の位置を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにおいて算出された制御点の位置に基づいて前記曲面を整形する整形ステップと、
前記整形ステップにおいて整形された曲面を示す図形情報を出力する出力ステップと
を含む図形情報処理方法。
【請求項14】
有限の境界線を有する曲面のuv座標系のパラメータと、該曲面の制御点に関するデータとを含む入力データを受け付ける受付部と、
前記曲面上の一点での第1の曲率及び第2の曲率を用いて定義される拡張パラメータを用いた目的関数を記憶部から読み出し、前記uv座標系のパラメータを該目的関数に適用することで、該目的関数が最小値を取る前記制御点の位置を算出する算出部と、
前記算出部により算出された制御点の位置に基づいて前記曲面を整形する整形部と、
前記整形部により整形された曲面を示す図形情報を出力する出力部と
をコンピュータに実行させる図形情報処理プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、曲面を生成若しくは修正する図形情報処理装置、図形情報処理方法、及び図形情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の設計、作画、グラフィック・デザイン、フォント作成、あるいは手書き文字の入力などにおいて、自由曲線および自由曲面は基本的なデザイン要素である。そのうち曲線については、デザインに好適な曲線(人が美しいと感じる曲線、あるいは対数型美的曲線とも言う)を生成するための図形情報処理装置が下記特許文献1に記載されている。この図形情報処理装置は、まず、線図形を複数のセグメントに分割し、続いて、各セグメントの曲率半径または曲率のべき乗が該セグメントの曲線長の一次関数で表されるように各セグメントにおける曲線を整形する。そして、この装置は、セグメントの一端点での曲率と該一端点に接続している他のセグメントの一端点での曲率との差が所定の閾値以下になるように、複数のセグメントを整形する。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2009/148157号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、曲面については、上記特許文献に記載の手法を単純に拡張することで、デザインに好適な曲面を生成することが考えられる。しかし、この単純な拡張では、理想的なパラメータを設定したり、二つの主曲率に対して適切な目的関数を設定したりする必要があるので、複雑な曲面のデザインにその手法を適用することが非常に困難か又は不可能である。そこで、様々な曲面をデザインに好適な態様に整形できるような図形処理の手法が要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態に係る図形情報処理装置は、有限の境界線を有する曲面のuv座標系のパラメータと、該曲面の制御点に関するデータとを含む入力データを受け付ける受付部と、曲面上の一点での第1の曲率及び第2の曲率を用いて定義される拡張パラメータを用いた目的関数を記憶部から読み出し、uv座標系のパラメータを該目的関数に適用することで、該目的関数が最小値を取る制御点の位置を算出する算出部と、算出部により算出された制御点の位置に基づいて曲面を整形する整形部と、整形部により整形された曲面を示す図形情報を出力する出力部とを備える。
【0006】
本発明の一形態に係る図形情報処理方法は、図形情報処理装置により実行される図形情報処理方法であって、有限の境界線を有する曲面のuv座標系のパラメータと、該曲面の制御点に関するデータとを含む入力データを受け付ける受付ステップと、曲面上の一点での第1の曲率及び第2の曲率を用いて定義される拡張パラメータを用いた目的関数を記憶部から読み出し、uv座標系のパラメータを該目的関数に適用することで、該目的関数が最小値を取る制御点の位置を算出する算出ステップと、算出ステップにおいて算出された制御点の位置に基づいて曲面を整形する整形ステップと、整形ステップにおいて整形された曲面を示す図形情報を出力する出力ステップとを含む。
【0007】
本発明の一形態に係る図形情報処理プログラムは、有限の境界線を有する曲面のuv座標系のパラメータと、該曲面の制御点に関するデータとを含む入力データを受け付ける受付部と、曲面上の一点での第1の曲率及び第2の曲率を用いて定義される拡張パラメータを用いた目的関数を記憶部から読み出し、uv座標系のパラメータを該目的関数に適用することで、該目的関数が最小値を取る制御点の位置を算出する算出部と、算出部により算出された制御点の位置に基づいて曲面を整形する整形部と、整形部により整形された曲面を示す図形情報を出力する出力部とをコンピュータに実行させる。
【0008】
このような形態によれば、曲面上の一点での二種類の曲率を用いて定義される拡張パラメータに着目して、当該拡張パラメータを用いた目的関数が用いられる。そして、この目的関数が最小値を取るような曲面の制御点の位置が算出され、その制御点の位置に基づいて曲面が整形される。このように、拡張パラメータに基づいて曲面の制御点を調整することで、様々な曲面をデザインに好適な態様に整形することが可能になる。
【0009】
別の形態に係る図形情報処理装置では、目的関数が拡張パラメータと曲面の第1基本量とを用いて定義されてもよい。
【0010】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、拡張パラメータをΩとした場合に目的関数が下記式(41)で表され、ここで、当該式(41)において、Iは、曲面の第1基本量で表される行列であり、Ωは、uv座標系におけるu方向の拡張パラメータの微分値を2乗した値であり、Ωは、uv座標系におけるv方向の拡張パラメータの微分値を2乗した値であり、Wは重みであってもよい。
【0011】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、第1の曲率が最大曲率であり、第2の曲率が最小曲率であってもよい。
【0012】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、拡張パラメータが、最大曲率をkmaxとし、最小曲率をkminとし、α及びβを任意の数として、Ω=kmax-αmin-βで示されてもよい。
【0013】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、拡張パラメータが、最大曲率をkmaxとし、最小曲率をkminとし、α及びβを任意の数として、Ω=(kmax-α+kmin-β)/2で示されてもよい。
【0014】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、第1の曲率がuv座標系におけるu方向の曲率であり、第2の曲率が該uv座標系におけるv方向の曲率であってもよい。
【0015】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、拡張パラメータが、u方向の曲率の微分値をkとし、v方向の曲率の微分値をkとし、α及びβを任意の数として、Ω=k-α-βで示されてもよい。
【0016】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、拡張パラメータが、u方向の曲率の微分値をkとし、v方向の曲率の微分値をkとし、α及びβを任意の数として、Ω=(k-α+k-β)/2で示されてもよい。
【0017】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、拡張パラメータが、u方向の曲率の微分値をkとし、v方向の曲率の微分値をkとし、α及びβを任意の数として、Ω=k-α+k-βで示されてもよい。
【0018】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、制御点に関するデータが曲面式であり、算出部が曲面式により決まる制御点の位置を算出し、整形部が、算出部により算出された制御点の位置を曲面式に適用することで曲面を整形してもよい。
【0019】
さらに別の形態に係る図形情報処理装置では、受付部が、制御点の位置の変更に対する拘束条件を更に受け付け、算出部が、拘束条件を満たす範囲内で、目的関数が最小値を取る制御点の位置を算出してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、様々な曲面をデザインに好適な態様に整形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】変分原理を説明するための図である。
【図2】実施形態に係るCADシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】実施形態に係るCADシステムの機能構成を示すブロック図である。
【図4】uv座標系の定義の一例を示す図である。
【図5】制御点の設定の一例を示す図である。
【図6】図3に示すCADシステムの動作を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る図形情報処理プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

【0023】
本実施形態では、本発明に係る図形情報処理装置をCAD(Computer Aided Design)システム10に適用する。CADシステム10は、平面上に表現された三次元モデルの図形を規定するデータを受け付け、そのデータで表現される図形を整形して出力するコンピュータシステムである。より具体的には、CADシステム10はモデル図形に含まれる曲面を整形することで、デザインに好適な曲面(対数型美的曲面)を生成する。

【0024】
CADシステム10の構成を具体的に説明する前に、そのCADシステム10により生成される美的曲面の理論を説明する。この理論は、変分原理に基づく対数型美的曲面の定式化である。

【0025】
理解を容易にするために、まず曲線について説明する。平面曲線である対数型美的曲線は、曲率対数分布グラフの傾きαが0でない場合に次式(1)を満足する。
【数1】
JP0006108485B2_000002t.gif
ここで、ρは曲率半径、sは曲線長、c及びdは定数である。α=0であれば次式(2)が得られる。
【数2】
JP0006108485B2_000003t.gif
ここで、c及びcは定数である。また、その曲率対数分布グラフは直線となる。したがって、次式(3)で示される関係が得られる。
【数3】
JP0006108485B2_000004t.gif

【0026】
この式(3)は、座標系(logρ,log(ρds/dρ))の2点を結ぶ最短経路として対数型美的曲線が定義されることを意味している。変分原理によれば、2点間の最短経路は直線であることが示される。

【0027】
変分計算では、ある積分量を最小又は最大にする問題(停留積分)を扱う。例えば次式(4)を設定する。
【数4】
JP0006108485B2_000005t.gif
ここで、yはxの関数であり、yはyのxに関する導関数である。yは未知である。積分量Jが停留値を取るための条件式は下記偏微分方程式(5)となる。
【数5】
JP0006108485B2_000006t.gif
この式(5)はオイラー方程式と呼ばれ、dy/dx≠0であれば次式(6)と等価である。
【数6】
JP0006108485B2_000007t.gif

【0028】
もし、f=f(y,y)のように変数xが明示的に現われない問題では、上記式(6)は次式(7)で示され、したがって、次式(8)の関係が得られる。
【数7】
JP0006108485B2_000008t.gif
【数8】
JP0006108485B2_000009t.gif

【0029】
オイラー方程式の最も簡単な応用は、xy平面上の2点間の最短距離を決める問題である。距離の微小要素は次式(9)で定義されるので、距離Jは次式(10)で示される。
【数9】
JP0006108485B2_000010t.gif
【数10】
JP0006108485B2_000011t.gif

【0030】
この式(10)と式(4)とを比較すると次式(11)が得られる。
【数11】
JP0006108485B2_000012t.gif

【0031】
この式(11)を式(8)に代入すると次式(12)が得られる。ここで、Cは定数である。
【数12】
JP0006108485B2_000013t.gif

【0032】
したがって、定数aが存在して次式(13)が成立し、さらに次式(14)が得られる。
【数13】
JP0006108485B2_000014t.gif
【数14】
JP0006108485B2_000015t.gif
ここで、bも定数である。これら二つの定数a,bは、2点(x,y)及び(x,y)を通るように決定される。

【0033】
式(1)においてρα=σと定義すると次式(15)が得られる。
【数15】
JP0006108485B2_000016t.gif
この式(15)は、図1に示すように、横軸をsとし縦軸をσ=ραとする2次元空間で2点(s1,σ1)及び(s2,σ2)を直線で(すなわち最短距離で)結ぶと対数型美的曲線が得られることを示している。この場合には、次式(16)が最小化される。
【数16】
JP0006108485B2_000017t.gif
ここで、σ=(dσ/ds)である。

【0034】
α=1ならば、その曲線は対数(等角)らせんである。この場合には次式(17)が成立する。この式(17)は、横軸をsとし縦軸をρとする2次元空間で2点(s,ρ)及び(s,ρ)を最短で結ぶ曲線が対数らせんであることを意味する。
【数17】
JP0006108485B2_000018t.gif

【0035】
一方、α=-1ならば、その曲線はクロソイド曲線である。この場合には次式(18)が成立する。ここで、κ=1/ρは曲率である。この式(18)は、横軸をsとし縦軸をκとする2次元空間で2点(s,κ)及び(s,κ)を最短で結ぶ曲線がクロソイド曲線であることを意味する。
【数18】
JP0006108485B2_000019t.gif

【0036】
曲線が、曲線長sではなく一般的なパラメータtで与えられるとすると、次式(19)が成り立つ。
【数19】
JP0006108485B2_000020t.gif

【0037】
したがって、式(16)は次式(20)となる。
【数20】
JP0006108485B2_000021t.gif

【0038】
したがって、次式(21)が成立する。
【数21】
JP0006108485B2_000022t.gif

【0039】
式(16)に対する式(5)を求めると、次式(22),(23)より、当該式(5)は次式(24)となる。
【数22】
JP0006108485B2_000023t.gif
【数23】
JP0006108485B2_000024t.gif
【数24】
JP0006108485B2_000025t.gif

【0040】
したがって、次式(25)が得られる。
【数25】
JP0006108485B2_000026t.gif

【0041】
対数型美的曲線では、ραはsの1次式で与えられるので次式(26)が成立し、したがって、次式(27)が得られる。
【数26】
JP0006108485B2_000027t.gif
【数27】
JP0006108485B2_000028t.gif
この式(27)は式(25)と一致する。

【0042】
ρ=1/κ、ρ=-κ/κ、ρss=-(κssκ+2κ)/κであるから、式(25)は曲率κを用いて次式(28)で表すこともできる。
【数28】
JP0006108485B2_000029t.gif

【0043】
式(25)の解を求める。この式はsを独立変数とする非線形2階常微分方程式であるが、sを陽に含まないので、この式を、ρを独立変数としsを従属変数とする式に置き換える。ρ=1/sρ,ρss=-sρρ/sρであるから、式(25)は次式(29)となる。
【数29】
JP0006108485B2_000030t.gif
ここでt=sρとすると、次式(30)が得られる。
【数30】
JP0006108485B2_000031t.gif

【0044】
この式(30)はアーベルの常微分方程式(y'(x)=f(x)+g(x)y(x)+h(x)y(x)2+k(x)y(x)3)であることに留意する必要がある。したがって、次式(31)が得られる。
【数31】
JP0006108485B2_000032t.gif

【0045】
この式(31)においてα≠0であれば次式(32)が得られ、α=0であれば次式(33)が得られる。
【数32】
JP0006108485B2_000033t.gif
【数33】
JP0006108485B2_000034t.gif
これら二つの式(32),(33)は共に、対数型美的曲線に一致する。

【0046】
以上説明した変分原理の考え方を曲面に拡張する。曲線長sに曲面の面積Aを対応させ、曲率κにガウス曲率Κを対応させる。曲面上の一点での最大曲率及び最小曲率をそれぞれkmax,kminとすると、ρ=κ-αであり、Κ=kmaxminであるから、拡張パラメータΩをΩ=kmax-αmin-βと定義する。

【0047】
次式(34)をs=s(t)で再パラメータ化すると、次式(35)が得られる。
【数34】
JP0006108485B2_000035t.gif
【数35】
JP0006108485B2_000036t.gif

【0048】
したがって、次式(36)が得られる。
【数36】
JP0006108485B2_000037t.gif

【0049】
ここでλc(t)を
【数37】
JP0006108485B2_000038t.gif
と定義すると、次式(37)が得られる。
【数38】
JP0006108485B2_000039t.gif

【0050】
この式(37)を曲面に拡張して次式(38)を定義する。
【数39】
JP0006108485B2_000040t.gif
ここで、Iは曲面の第1基本量E,F,Gで表される行列であり、次式(39)で定義され、局所的な曲面の面積の2乗に対応する。
【数40】
JP0006108485B2_000041t.gif
第1基本量E,F,Gは、曲面式をS=S(u,v)とすると以下のように定義される。なお、SはSのuに関する導関数であり、SはSのvに関する導関数であり、“・”は内積を表す。
E=S・S
F=S・S
G=S・S

【0051】
したがって、曲率を線形化する対数型美的曲線に対応する曲面の目的関数は次式(40)で示される。すなわち、この式(40)を最小化する曲面が対数型美的曲面である。ここで、Ωは、uv座標系におけるu方向の拡張パラメータΩの微分値を2乗した値であり、Ωは、uv座標系におけるv方向の拡張パラメータΩの微分値を2乗した値である。
【数41】
JP0006108485B2_000042t.gif

【0052】
この目的関数は、スカラー定数である重みWを用いて次式(41)で定義されてもよい。この重みWはデザインパラメータとして設計者により任意に設定されてよい。W=1であれば式(41)は式(40)と一致する。
【数42】
JP0006108485B2_000043t.gif

【0053】
次に、CADシステム10の構成を説明する。CADシステム10のハードウェア構成を図2に示す。この図に示すように、CADシステム10は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行するCPU101と、ROM及びRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部103と、ネットワークカードなどで構成される通信制御部104と、キーボードやマウスなどの入力装置105と、ディスプレイなどの出力装置106とを備えている。

【0054】
後述するCADシステム10の各機能的構成要素は、CPU101又は主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104や入力装置105、出力装置106などを動作させ、主記憶部102又は補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶部102又は補助記憶部103内に格納される。なお、図2ではCADシステム10が1台のコンピュータで構成されているように示しているが、CADシステム10の機能を複数台のコンピュータに分散させてもよい。

【0055】
図3に示すように、CADシステム10は、機能的構成要素として受付部11、算出部12、整形部13、及び出力部14を備えている。

【0056】
受付部11は、対数型美的曲面の生成に必要な入力データを受け付ける機能要素である。入力データは、曲面の有限の境界線を示す点列データと、曲面のuv座標系における一組のパラメータu,vと、内挿に用いる曲面式と、曲面の形状を調整するための上記パラメータα,βと、式(41)における重みWと、制御点の位置の変更に対する拘束条件とを含む。

【0057】
曲面の境界線の形状は限定されない。例えば、受付部11は四つの曲線から成る境界線を受け付けてもよく、この場合には各曲線が上記特許文献1で示される美的曲線であってもよい。あるいは、受付部11は四つの直線から成る境界線、曲線及び直線の双方を含む境界線、円形の境界線、若しくは自由曲線から成る境界線を受け付けてもよい。

【0058】
uv座標系は、境界線が4曲線から成り立っているのであれば、例えば図4に示すように定義される。パラメータu,vはそれぞれ正規化されて0から1の間の値を取る。

【0059】
曲面式は、生成しようとする曲面を規定する制御点の個数(自由度)を決めるために入力される関数であり、制御点に関するデータに相当する。この曲面式も限定されない。例えば、ユーザは、比較的単純な曲面を生成したいのであれば双3次ベジエ曲面を示す曲面式を指定すればよいし、より複雑な曲面を生成したいのであればm×n次NURBS(Non-Uniform Rational B-Spline(非一様有利Bスプライン))曲面を指定すればよい。受付部11は指定された曲面式を示すデータを受け付ける。

【0060】
パラメータα及びβは曲面の形状を調整するためのパラメータであり、それぞれ-∞から+∞の範囲で任意に設定可能である。

【0061】
拘束条件の種類は限定されない。例えば、受付部11は、整形後の曲面が境界線を通過するという条件、境界線における接平面の指定、隣接する曲面との間で曲率が連続するという条件(曲率の連続性)などを拘束条件として受け付ける。

【0062】
受付部11はこれらのデータを受け付けて算出部12に出力する。なお、受付部11はユーザがスタイラスペン、キーボード、又はマウスにより直接入力したデータを受けてもよいし、ユーザ指示に基づいて所定の記憶部(例えば、補助記憶部103や外部の記憶装置など)から読み出したデータを受け付けてもよい。

【0063】
算出部12は、式(41)で示される目的関数が最小値を取る制御点の位置を算出する機能要素である。算出部12は受付部11から取得した入力データを用いてこの計算を実行する。この算出部12は、上述した理論が組み込まれたプログラムがCPU101上で実行されることで実現される。以下では、上記理論にそのまま従って目的関数を用いる第1の手法と、処理時間を削減するために拡張パラメータΩの変形を用いる第2~第5の手法とについて説明する。

【0064】
[第1の手法]
まず、算出部12は曲面式から制御点の個数を特定する。図5の例では、算出部12は16個の制御点(P00,P01,…,P33)を特定している。続いて、算出部12は曲面式で定義される曲面上の一点での最大曲率kmax及び最小曲率kminを算出し、これらの曲率とパラメータα,βとから、拡張パラメータΩ=kmax-αmin-βを算出する。したがって、この拡張パラメータは曲面上の一点での最大曲率及び最小曲率で定義される。さらに、算出部12は曲面の第1基本量E,F,Gを求めることで、式(39)で示される行列Iを得る。

【0065】
続いて、算出部12は式(41)で示される目的関数を所定の記憶部(例えば、補助記憶部103や外部の記憶装置など)から読み出す。なお、目的関数はプログラム内に記述されていてもよい。そして、算出部12は、パラメータu,vをその目的関数に適用(代入)することで、拘束条件下において当該目的関数が最小値を取る1以上の制御点の位置を算出する。例えば、隣接する曲面との間の曲率の連続性を示す拘束条件が入力された場合には、算出部12は、当該隣接曲面を示す図形情報を上記記憶部から読み出す。そして、算出部12は隣接曲面との境界線における2曲面の曲率の差が一致するか又は所定の閾値以下である範囲内で、目的関数を最小化する1以上の制御点の位置を求める。

【0066】
算出部12はこのような手順で求めた各制御点の位置を算出結果として整形部13に出力する。また、算出部12は入力データも整形部13に出力する。

【0067】
[第2の手法]
ガウス曲率Κの代わりに平均曲率H=(kmax+kmin)/2を用いることを考えて、式(41)における拡張パラメータをΩ=(kmax-α+kmin-β)/2で置き換えてもよい。この場合には、算出部12はこの変形例に係る目的関数(式(41))が最小値を取る1以上の制御点の位置を算出する。

【0068】
[第3の手法]
式(41)における拡張パラメータをΩ=k-α-βで置き換えてもよい。ここで、kはuv座標系におけるu方向の曲率の微分値であり、kはuv座標系におけるv方向の曲率の微分値である。算出部12はこの変形例に係る目的関数(式(41))が最小値を取る1以上の制御点の位置を算出する。

【0069】
[第4の手法]
上記第2及び第3の手法を応用して、式(41)における拡張パラメータをΩ=(k-α+k-β)/2で置き換えてもよい。この場合には、算出部12はこの変形例に係る目的関数(式(41))が最小値を取る1以上の制御点の位置を算出する。

【0070】
[第5の手法]
二次元モデルの場合と同じ目的関数を得るために、式(41)における拡張パラメータをΩ=k-α+k-βで置き換えてもよい。これは、上記第4の手法において分母を1にしたことを意味する。例えば、平面曲線をそれに直交する方向に掃引した場合には、kmin=(kmin=(kmin=0、且つ(kmax=0であるので、分母を1とする必要がある。

【0071】
このように、上記第1~第5の手法で互いに異なる点は、拡張パラメータの定義のみである。

【0072】
整形部13は、算出部12により算出された制御点の位置に基づいて曲面を整形する機能要素である。整形部13は、算出部12により算出された制御点の位置を、入力データの一部である曲面式に適用(代入)することで対数型美的曲面を生成する。これにより、入力データで指定された曲面が対数型美的曲面に整形される。整形部13は、整形後の曲面を示す点列データを図形情報として出力部14に出力する。

【0073】
出力部14は、整形部13から入力された図形情報をモニタやプリンタなどに出力する機能要素である。これにより、CADシステム10のユーザはデザインに好適な曲面(対数型美的曲面)を視認できる。

【0074】
次に、図6を用いて、CADシステム10の処理を説明するとともに本実施形態に係る図形情報処理方法について説明する。

【0075】
まず、受付部11が必要な入力データを受け付ける(ステップS11、受付ステップ)。具体的には、受付部11は曲面の境界線のデータと、パラメータu,vと、曲面式と、パラメータα,βと、制御点の拘束条件とを受け付ける。続いて、算出部12が、式(41)で示される目的関数が最小値を取る制御点の位置を算出する(ステップS12、算出ステップ)。具体的には、算出部12はパラメータu,vを目的関数に適用(代入)することで、拘束条件下において当該目的関数が最小値を取る制御点の位置を算出する。続いて、整形部13が算出された制御点の位置に基づいて曲面を整形する(ステップS13、整形ステップ)。そして、出力部14が整形された曲面(対数型美的曲面)を出力する(ステップS14、出力ステップ)。

【0076】
次に、図7を用いて、コンピュータをCADシステム10として機能させるための図形情報処理プログラムP1を説明する。

【0077】
図形情報処理プログラムP1は、メインモジュールP10、受付モジュールP11、算出モジュールP12、整形モジュールP13、及び出力モジュールP14を備えている。

【0078】
メインモジュールP10は、上述した一連の図形情報処理を統括的に制御する部分である。受付モジュールP11、算出モジュールP12、整形モジュールP13、及び出力モジュールP14を実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記の受付部11、算出部12、整形部13、及び出力部14の機能と同様である。

【0079】
図形情報処理プログラムP1は、例えば、CD-ROMやDVD-ROM、半導体メモリ等の有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供される。また、図形情報処理プログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。

【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、曲面上の一点での二種類の曲率を用いて定義される拡張パラメータΩに着目して、当該拡張パラメータを用いた目的関数(式(41))が用いられる。そして、この目的関数が最小値を取るような曲面の制御点の位置が算出され、その制御点の位置に基づいて曲面が整形される。このように、拡張パラメータに基づいて曲面の制御点を調整することで、様々な曲面をデザインに好適な態様に整形することが可能になる。CADシステム1は様々な物品のデザインやグラフィック・デザインにおいて利用でき、設計者はこのシステム1を用いることで、見る者が美しいと感じる曲面を簡単に得ることができる。

【0081】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。

【0082】
上記実施形態では、受付部11は入力データの一部として拘束条件を受け付けたが、この拘束条件は省略可能である。
【符号の説明】
【0083】
10…CADシステム(図形情報処理装置)、11…受付部、12…算出部、13…整形部、14…出力部、P1…図形情報処理プログラム、P10…メインモジュール、P11…受付モジュール、P12…算出モジュール、P13…整形モジュール、P14…出力モジュール。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6