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明細書 :トイレ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-014225 (P2016-014225A)
公開日 平成28年1月28日(2016.1.28)
発明の名称または考案の名称 トイレ
国際特許分類 E03D   5/014       (2006.01)
FI E03D 5/014
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2014-135356 (P2014-135356)
出願日 平成26年6月30日(2014.6.30)
発明者または考案者 【氏名】牛島 健
【氏名】伊藤 竜生
【氏名】吉泉 聡
【氏名】宮崎 毅
【氏名】山本 尚樹
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001841、【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2D039
Fターム 2D039AA02
2D039AB04
2D039AC02
2D039AC10
2D039AD06
2D039CB02
2D039FA07
要約 【課題】排泄後に便器や人体を洗浄する習慣が存在する環境下で使用される場合であっても、便器から排出された尿の取り扱いが容易である。
【解決手段】便器10内に固液分離ユニット40が設けられている。固液分離ユニット40は尿や洗浄水などの液体と便を分離する。便はコンポスト槽20に落下する。尿や洗浄水は排液管31を介して連結部30aに向かう。開閉弁61が閉状態にあるときは連結部30aに達した液体が排液管32を介して排液槽71に流入する。開閉弁61が開状態にあるときは連結部30aに達した液体が排液管33を介して排液槽72に流入する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の排出部に固体を、第2及び第3の排出部に液体を、それぞれ分離して排出するトイレであって、
上方に開口した排泄用の開口が設けられた便器と、
前記開口の下方に配置され、前記開口を通じて落下してきた固体を受け取る受け状態と、受け取った固体を前記第1の排出部へと送り出す送り状態とを選択的に取る落下物受け部と、
前記受け状態と前記送り状態の間で前記落下物受け部の状態を切り替える第1の切り替え手段と、
前記落下物受け部が前記受け状態にあるときに前記落下物受け部に落下してきた液体が前記落下物受け部を通って流入する流入口を有し、当該流入口から延びた1つの流路が前記第2の排出部と前記第3の排出部に向けて2つの分岐流路に分岐した液体の流路と、
前記2つの分岐流路の一方を通じて前記第2の排出部へと液体を流通させると共に前記第3の排出部には液体を流通させない状態と、前記2つの分岐流路の他方を通じて前記第3の排出部へと液体を流通させると共に前記第2の排出部には液体を流通させない状態との間で、前記液体の流路の状態を切り替える第2の切り替え手段とを備えていることを特徴とするトイレ。
【請求項2】
ユーザーが前記開口に排泄可能な位置に着いたことを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記第1及び第2の切り替え手段の少なくともいずれかにおける切り替え動作を制御する切り替え制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ。
【請求項3】
ユーザーが操作可能な操作部と、
ユーザーによる前記操作部の操作に基づいて前記第1及び第2の切り替え手段の少なくともいずれかにおける切り替え動作を制御する切り替え制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ。
【請求項4】
前記第1の排出部が前記落下物受け部の下方に配置されており、
前記落下物受け部が、前記開口を通じて落下してきた物体を受ける表面を有しており、
前記第1の切り替え手段が、前記表面が前記開口からの物体の落下位置に配置された位置と前記表面上に支持された物体を下方に落下させる位置との間で前記落下物受け部を変位させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトイレ。
【請求項5】
前記第1の切り替え手段が、前記落下物受け部を水平方向に平行移動させることを特徴とする請求項4に記載のトイレ。
【請求項6】
前記流入口から延びた前記1つの流路が、上方から前記2つの分岐流路への分岐点へと向かっており、
前記2つの分岐流路の前記一方が、前記2つの分岐流路の分岐点から上方に向かっており、
前記2つの分岐流路の前記他方が、前記2つの分岐流路の分岐点から下方に向かっており、
前記第2の切り替え手段が、前記2つの分岐流路の前記他方における下方に延びた部分を開閉する開閉弁を有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のトイレ。
【請求項7】
前記第1の排出部が、内部に貯留した固体を撹拌する撹拌手段を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のトイレ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ、特に、便と尿を分離するトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便と尿を分離するトイレがある。その一例である特許文献1では、便を便槽に、尿を尿液肥化タンクにそれぞれ分離して排出するように構成された便器が設けられている。便は便槽内で微生物によって分解処理される。また、尿は液肥として用いられる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-87761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、便器からの排出物として、尿と便を分離することのみが想定されている。しかしながら、便器から排出されるべき物体はこれに限らない。例えば、排泄後に洗浄水を用いて便器内や人体を洗浄する習慣はさまざまな文化に見られる。このような態様でトイレが使用される場合、便器からは尿や便以外に洗浄水が排出されることになる。上記従来技術がこのような使用態様のトイレに適用されたとすると、洗浄水は尿と共に尿液肥化タンクへと排出されることになる。よって、尿液肥化タンク内には、洗浄水と尿が混合した液体が貯留される。この場合、タンク内の液体がすぐに増量してしまうので、液体をタンクから運び出す手間が過大になるおそれがある。このように、特許文献1のような従来技術では、便器からの排出物として便や尿のみが想定されているため、特定の使用環境下では、便器から排出される尿の取り扱いが困難になるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、排泄後に便器や人体を洗浄する習慣が存在する環境下で使用される場合であっても、便器から排出された尿の取り扱いが容易であるトイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトイレは、第1の排出部に固体を、第2及び第3の排出部に液体を、それぞれ分離して排出するトイレであって、上方に開口した排泄用の開口が設けられた便器と、前記開口の下方に配置され、前記開口を通じて落下してきた固体を受け取る受け状態と、受け取った固体を前記第1の排出部へと送り出す送り状態とを選択的に取る落下物受け部と、前記受け状態と前記送り状態の間で前記落下物受け部の状態を切り替える第1の切り替え手段と、前記落下物受け部が前記受け状態にあるときに前記落下物受け部に落下してきた液体が前記落下物受け部を通って流入する流入口を有し、当該流入口から延びた1つの流路が前記第2の排出部と前記第3の排出部に向けて2つの分岐流路に分岐した液体の流路と、前記2つの分岐流路の一方を通じて前記第2の排出部へと液体を流通させると共に前記第3の排出部には液体を流通させない状態と、前記2つの分岐流路の他方を通じて前記第3の排出部へと液体を流通させると共に前記第2の排出部には液体を流通させない状態との間で、前記液体の流路の状態を切り替える第2の切り替え手段とを備えている。
【0007】
本発明のトイレによると、まず、落下物受け部及び第1の切り替え手段が液体と固体を下記の通りに分離する。液体が落下してきた場合には、その液体は、落下物受け部を通って流入口へと流入する。固体が落下してきた場合には、落下物受け部はその固体を一旦受け取る。落下物受け部が受け取った固体は、第1の切り替え手段が落下物受け部の状態を切り替えることで第1の排出部へと送り出される。このように、液体も固体も共通に落下物受け部が適切な方向へと送り出す。
【0008】
次に、落下物受け部が液体の流路へと案内した液体を、第2の切り替え手段が液体の流路の状態を切り替えることで、2つの排出部へと区別して排出する。したがって、尿と洗浄水を区別して2つの排出部に排出させることができる。よって、排出部内で尿が増量する速さが遅くなる。このため、便器から排出される尿の取り扱いが容易になる。
【0009】
また、本発明においては、ユーザーが前記開口に排泄可能な位置に着いたことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記第1及び第2の切り替え手段の少なくともいずれかにおける切り替え動作を制御する切り替え制御手段とをさらに備えていることが好ましい。これによると、ユーザーが排泄可能な位置に着いたことをきっかけとして、落下物受け部及び液体の流路の少なくともいずれかの状態を適切な状態に自動的に設定することができる。
【0010】
また、本発明においては、ユーザーが操作可能な操作部と、ユーザーによる前記操作部の操作に基づいて前記第1及び第2の切り替え手段の少なくともいずれかにおける切り替え動作を制御する切り替え制御手段とをさらに備えている。これによると、ユーザーの操作をきっかけとして、落下物受け部及び液体の流路の少なくともいずれかの状態を適切な状態に設定することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記第1の排出部が前記落下物受け部の下方に配置されており、前記落下物受け部が、前記開口を通じて落下してきた物体を受ける表面を有しており、前記第1の切り替え手段が、前記表面が前記開口からの物体の落下位置に配置された位置と前記表面上に支持された物体を下方に落下させる位置との間で前記落下物受け部を変位させることが好ましい。これによると、液体と固体を分離する落下物受け部が簡易な構成で実現する。
【0012】
また、本発明においては、前記第1の切り替え手段が、前記落下物受け部を水平方向に平行移動させることが好ましい。これによると、液体と固体を分離する落下物受け部がさらに簡易な構成で実現する。
【0013】
また、本発明においては、前記流入口から延びた前記1つの流路が、上方から前記2つの分岐流路への分岐点へと向かっており、前記2つの分岐流路の前記一方が、前記2つの分岐流路の分岐点から上方に向かっており、前記2つの分岐流路の前記他方が、前記2つの分岐流路の分岐点から下方に向かっており、前記第2の切り替え手段が、前記2つの分岐流路の前記他方における下方に延びた部分を開閉する開閉弁を有していることが好ましい。これによると、開閉弁を閉じているときには、分岐点となる流路部分に液体を貯め、水封することができる。この部分に液体を貯めると、便器に向かって液体の流路を介して下流から上流へと臭気が逆流するのを抑制できる。
【0014】
また、本発明においては、前記第1の排出部が、内部に貯留した固体を撹拌する撹拌手段を備えていることが好ましい。これにより、第1の排出部内で糞便等を微生物に分解させる作用が促進する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るトイレユニットの全体構成を示す概略構成図である。
【図2】図1のトイレユニットに含まれる便器の斜視図である。
【図3】図3(a)は、図2の便器内に設けられる固液分離ユニットの背面図である。一部の構成が破線で示されると共に、一部の内部構成が実線で示されている。また、ラックの構成は一部簡略化されている。図3(b)は、図3(a)のB-B線断面図である。
【図4】図2の便器内に設けられるコンポスト槽の内部構成を示す一部断面を含む側面図である。コンポスト槽を構成する蓋部が本体から分離された状態で図示されている。
【図5】ユーザーがトイレユニットを使用する際のコントローラによる一連の制御を示すフロー図である。
【図6】固液分離ユニットの変形例における下方から見た斜視図である。図6(a)はシャッターが閉じられた状態に、図6(b)はシャッターが開かれた状態にそれぞれ対応する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための一形態であるトイレユニット1について、図面を参照しつつ説明する。

【0017】
トイレユニット1は、図1に示すように、便器10、コンポスト槽20、排液槽71及び72、排液管31~33、固液分離ユニット40並びにコントローラ50(切り替え制御手段)を有している。コントローラ50はトイレユニット1の各部を制御する。コントローラ50は、トイレユニット1の制御用に設計された電子回路等によって構成されてもよい。また、コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、I/O(Input/Output)インタフェース等のハードウェアと、トイレユニット1の各部を制御するようにこれらのハードウェアを機能させる、メモリ等に格納されたソフトウェアとによって構成されてもよい。コントローラ50は、便器10の内外のいずれに設けられてもよい。

【0018】
便器10は、図1及び図2に示すように直方体の概略形状を有する筐体11を有している。筐体11の前壁11aは取り外し可能である。これは、後述の通り、内部に配置されたコンポスト槽20の出入りのためである。筐体11の側壁には貫通孔11bが形成されている。この貫通孔11bには、後述の通り、排液管31aの一端部が設置される。また、筐体11の側壁にはレバー13(操作部)が設置されている。レバー13は、ユーザーによって図1の矢印Gの方向に操作可能である。なお、レバー13は、操作後に自ら元の位置(図1の位置)に戻るように構成されている。レバー13には、レバー13が操作されたことを検出する操作検出センサー62が設置されている。操作検出センサー62における検出結果はコントローラ50に出力される。

【0019】
筐体11の上面には便座12が設置されている。ユーザーは、便器10を使用する際、便座12の上面に腰を下ろす。以下、前後左右の4方向は、便座12の上面に腰を下ろしたユーザーから見た方向とする。便座12の裏面には感圧センサー63(検出手段)が設置されている。感圧センサー63は、便座12上にユーザーが腰を下ろしたか否かを検出する。感圧センサー63における検出結果はコントローラ50に出力される。便座12は、前後方向に長い楕円のリング状の形状を有している。筐体11の天井壁及び便座12には、これらを上下方向に貫通する貫通孔15が形成されている。貫通孔15は便座12の上面に、排泄用の開口10aとして開口している。

【0020】
筐体11内において、開口10aの下方にはボウル14が設けられている。ボウル14は上方に向かって大きく開口していると共に、下方に向かって先が細くなりつつ、最下端において下方に向かって開口している。便座12に腰を下ろしたユーザーが排泄すると、排泄物は貫通孔15からボウル14に落下し、ボウル14の表面に案内されつつ、ボウル14の下端の開口からさらに下方へと落下する。

【0021】
ボウル14の下方には固液分離ユニット40が設けられている。固液分離ユニット40は、図3に示すように、シャッターケース41、シャッター42(落下物受け部)、ピニオン43、ラック44、モータユニット46等を有している。シャッターケース41は直方体の扁平な概略形状を有している。シャッターケース41の内部には空間が形成されている。シャッター42はこの空間に配置されている。シャッター42は、平面視において長方形の平板状の部材である。シャッター42の上面はシャッターケース41の天井面に対してわずかに傾斜している。具体的には、シャッター42の上面は、左方の部分ほど下方に配置されている。

【0022】
シャッター42の下面には2本のピニオン43が固定されている。2本のピニオン43は、シャッター42の前後方向の両端に配置されている。シャッターケース41において、ピニオン43と対向した領域の一部には貫通孔41aが形成されている。貫通孔41aは、2本のピニオン43のそれぞれに関して設けられている。また、シャッターケース41の左右両端のいずれに形成された貫通孔41aも左右方向に関して同じ位置に形成されている。

【0023】
シャッターケース41の下面にはモータユニット46が固定されている。モータユニット46はシャフト45を回転可能に支持している。モータユニット46内には、シャフト45を順方向及び逆方向に回転させる電動モータが設置されている。シャフト45の前後方向に関する両端にはラック44がそれぞれ固定されている。各ラック44は、貫通孔41aを介してシャッターケース41の下面に固定されたピニオン43と噛み合っている。電動モータがシャフト45を回転させることで、ラック44及びピニオン43を介してシャッター42が左右方向に沿って水平に平行移動する。これにより、シャッター42は、図3(a)及び図3(b)中、実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間で移動する。電動モータの動作はコントローラ50によって制御される。シャッター42が実線の位置に配置されていることを検出するセンサーとシャッター42が二点鎖線の位置に配置されていることを検出するセンサーとがシャッターケース41に設けられていてもよい。この場合、コントローラ50は、これらのセンサーの検出結果に基づいて、シャッター42が実線の位置から二点鎖線の位置までの範囲を超えないように電動モータを制御してもよい。なお、ピニオン43、ラック44及びモータユニット46が本発明における第1の切り替え手段に対応する。

【0024】
シャッターケース41の上面及び下面には開口部41b及び41cが形成されている。開口部41b及び41cは、ボウル14の最下端の開口と水平方向に同じ位置に配置されている。

【0025】
シャッターケース41内の左端部には段差部41dが形成されている。段差部41dの上面は、図3(b)に示すように、上下方向に関してシャッター42が配置された位置に配置されている。段差部41dが形成された位置には、シャッターケース41内のその他の空間と比べて上下に狭い空間である排液部47が形成されている。排液部47は、後述の通り、液体が通る空間である。排液部47には排液管31aが接続されている。排液管31aは、シャッターケース41外へと延びている。

【0026】
シャッター42は、開口部41bと開口部41cの間に位置したときに(図3(a)及び図3(b)中、実線の位置)、開口部41bから開口部41cまでを上下方向に結ぶ通路を遮断する。シャッター42がこの位置にあるときにボウル14から排泄物等が落下してくると、落下物は開口部41bを介してシャッター42の上面に落下する。落下物が固体状(便)である場合には、落下物はシャッター42の上面に受け止められる。以下、シャッター42がこのように固体状の落下物を受け止めることができる位置にある状態を「受け状態」と呼称する。落下物は、シャッター42が受け状態にある間、シャッター42に支持される。シャッター42が図中の二点鎖線の位置に移動すると、シャッター42上の落下物はシャッター42の上面から開口部41cを介して下方に落下する。以下、シャッター42がこのように落下物をさらに下方に落下させることができる位置にある状態を「送り状態」と呼称する。

【0027】
また、シャッター42が受け状態にあるときには、シャッターケース41内におけるシャッター42より上方に形成される空間と排液部47とが図3(b)に示す開口47aを通じて連通する。ボウル14からの落下物が液体状(尿等)である場合には、その液体状の落下物はシャッター42の上面に落下すると共に、シャッター42を通過して開口47aから排液部47に流入する。このとき、液体は、シャッター42の傾斜した上面に案内されて開口47aへと向かう。排液部47へと排出された液体は、排液管31aを通じて固液分離ユニット40外へと排出される。

【0028】
排液管31aは、図1に示すように、筐体11の側壁に形成された貫通孔11bを介して筐体11外の排液管31bと連結されている。以下、排液管31a及び31bの全体を排液管31と呼称する。排液管31は、連結部30aにおいてさらに排液管32及び33と連結されている。排液管32は排液槽71に、排液管33は排液槽72にそれぞれ接続されている。排液管33の途中には、排液管33内の流路を開放した開状態と排液管33内の流路を封鎖した閉状態とを選択的に取る開閉弁61(第2の切り替え手段)が設けられている。開閉弁61における開閉状態の切り替え動作はコントローラ50によって制御される。

【0029】
排液管31は、連結部30aに向かって下方へと湾曲している。排液管32は、連結部30aから上方に向かって湾曲している。排液管33は、連結部30aから下方に向かって延びている。排液管31~33がこのように構成されていることにより、開閉弁61が閉状態にあるとき、連結部30a内に液体を貯めることができる。例えば、図1の破線Lは、連結部30aの内部に液体を貯めたときの液面を示す。これにより、連結部30aが水封されるので、排液管32又は33の下流から連結部30aを介して排液管31へと臭気が逆流するのが抑制される。また、同様の経路に沿って昆虫などが侵入するのが抑制される。

【0030】
固液分離ユニット40及び排液管31~33は、便器10から外部へと液体を排出する排液系統30を構成している。排液系統30内には、固液分離ユニット40内の開口47a(図3(b)参照)から排液槽71及び72まで液体を流通させる排液流路が形成されている。この排液流路は、排液部47と、排液管31内に形成された流路と、当該流路から連結部30a内を分岐点として分岐した、排液管32及び33内に形成された2本の分岐流路とを含んでいる。なお、排液管31内の流路が本発明における流入口から延びた1つの流路に対応し、排液管32内の流路が本発明における分岐流路の一方に対応し、排液管33内の流路が本発明における分岐流路の他方に対応する。

【0031】
固液分離ユニット40の下方には、図1に示すように、コンポスト槽20が設置されている。コンポスト槽20は、図4に示すように、本体21、蓋部22、撹拌シャフト23(撹拌手段)、電動モータ27等を有している。蓋部22は正方形の平面形状を有している。蓋部22には開口部22aが形成されている。開口部22aは、固液分離ユニット40の開口部41cと水平方向に同じ位置に配置されている。開口部41cからの落下物(便)は、開口部22aを通じて本体21内へと収容される。

【0032】
本体21は上方に開口した箱型の概略形状を有しており、正方形の平面形状を有している。本体21の上端部は上方から蓋部22によって覆われる。なお、本体21及び蓋部22は、本体21に対する蓋部22の設置位置を、上下方向に沿った軸を中心に90°の角度ずつ回転させることができるように構成されている。本体21の下半分は、軸Aを中心とした円筒状に湾曲している。本体21の底部にはキャスター29が設置されている。

【0033】
本体21内には撹拌シャフト23が設置されている。撹拌シャフト23は、本体21の筐体を前後方向に貫通している。撹拌シャフト23の両端部は、軸Aを中心とした回転方向に回転するように、支持部25及び26に支持されている。撹拌シャフト23には、中心軸Aを中心とする周方向に沿って突出する撹拌アーム24が固定されている。

【0034】
撹拌シャフト23の後端にはスプロケット23aが固定されている。スプロケット23aの周囲には駆動チェーン28が巻き掛けられている。駆動チェーン28は、電動モータ27の駆動軸に固定されたスプロケット27aにも巻き掛けられている。電動モータ27は、モータ本体が本体21内に固定されており、駆動軸が本体21の側壁を貫通して本体21の後方へと突出している。電動モータ27は、駆動チェーン28並びにスプロケット23a及び27aを介して撹拌シャフト23を回転させる。電動モータ27には、便器10に設けられた電力供給部51から電力が供給される。コントローラ50は、電力供給部51から電動モータ27への電力供給を制御する。

【0035】
撹拌シャフト23が回転すると、本体21内に収容された便が撹拌アーム24によって撹拌される。なお、本体21内にはあらかじめおが屑などが収容され、このおが屑が便と共に撹拌される。撹拌によって微生物による便の分解が促進される。上記の通り、本体21の下半分は円筒状に湾曲している。これは、仮に本体21の下半分に角部が形成されているとすると、撹拌アーム24によって便が撹拌される際に角部の隅にある便が撹拌されにくいためである。本体21の下半分が円筒状に湾曲していることにより、本体21内の便の全体が撹拌アーム24によって撹拌されやすくなる。

【0036】
上記の通り、便器10の筐体11の前壁11aは取り外しが可能である。前壁11aを取り外すことによってコンポスト槽20を便器10内から出し入れできる。これにより、コンポスト槽20内から便の分解物を取り除き、コンポスト槽20内を空にして再度、便器10内に設置することができる。本実施形態では、電動モータ27等の撹拌シャフト23を駆動する手段がコンポスト槽20に設置されている。したがって、電動モータ27と電力供給部51との電気的接続を解除することのみで、コンポスト槽20を便器10から分離可能な状態にすることができる。なお、便器10が筐体11の左右側壁のいずれかも取り外し可能であってもよい。この場合、平面視においてコンポスト槽20の向きを90°変更してコンポスト槽20を便器10内の側壁から出し入れしてもよい。上記の通り、平面視において本体21に対する蓋部22の設置位置を90°ずつ変更できるように構成されている。このため、コンポスト槽20の向きを変更して便器10内に収容する場合には、これに応じて本体21に対する蓋部22の設置位置も変更することにより、蓋部22の開口部22aと固液分離ユニット40の開口部41cの位置を合わせることができる。

【0037】
以下、ユーザーがトイレユニット1を使用する際のコントローラ50による一連の制御について図5を参照しつつ説明する。まず、ユーザーがトイレユニット1を使用する前に、コントローラ50は、開閉弁61を閉状態にしておく(ステップS1)と共に、シャッター42を受け状態にしておく(ステップS2)。次に、コントローラ50は、感圧センサー63からの検出結果に基づき、ユーザーが便座12に腰を下ろした(着座した)か否かを判定する(ステップS3)。ユーザーが便座12に腰を下ろしていないと判定すると(S3、No)、コントローラ50はステップS3を実行し続ける。ユーザーが便座12に腰を下ろしたと判定すると(S3、Yes)、コントローラ50は、開閉弁61を開状態に切り替える(ステップS4)。このように、本実施形態では、感圧センサー63における検出によって、ユーザーが便座12に腰を下ろすと自動的に開閉弁61が適切な状態に切り換えられる。

【0038】
ステップS4後の状態においてユーザーが排泄すると、便はシャッター42に受け止められる。一方、尿は、シャッター42に一旦受けられた後、シャッター42によって開口47aへと案内され、排液部47、排液管31を通じて連結部30aに向かう。そして、開閉弁61が開状態にあることにより、連結部30aから排液管33を通って下方に流れ、排液槽72に収容される。

【0039】
次に、コントローラ50は、操作検出センサー62からの検出結果に基づき、ユーザーがレバー13を操作したか否かを判定する(ステップS5)。ユーザーがレバー13を操作していないと判定すると(S5、No)、コントローラ50はステップS5を実行し続ける。なお、レバー13が一定期間操作されない場合にステップS6の処理に移るようにコントローラ50が構成されていてもよい。ユーザーがレバー13を操作したと判定すると(S5、Yes)、コントローラ50は、開閉弁61を閉状態に切り替える(ステップS6)と共に、シャッター42を一旦、送り状態にする(ステップS7)。これによって、シャッター42上の便がコンポスト槽20内へと落下する。このように、本実施形態では、操作検出センサー62における検出によって、ユーザーがレバー13を操作したのをトリガーとして、開閉弁61及びシャッター42が適切な状態に切り換えられる。その後、コントローラ50はシャッター42を受け状態に戻す(ステップS8)。

【0040】
ステップS6~S8後の状態において、ユーザーが洗浄水を用いて局部や便器10内を洗浄した場合、その洗浄水は、シャッター42に一旦受けられた後、シャッター42によって開口47aへと案内され、排液部47、排液管31を通じて連結部30aに向かう。そして、開閉弁61が閉状態にあることにより、洗浄水は連結部30aから排液管32に向かい、排液管32を通過して排液槽71に収容される。

【0041】
そして、コントローラ50はステップS3からの処理を実行する。

【0042】
以上説明した本実施形態によると、まず、固液分離ユニット40が、固体である便と液体である尿や洗浄水とを分離する。便はコンポスト槽20に収容され、尿や洗浄水は排液系統30へと排出される。また、開閉弁61の切り替えによって尿と洗浄水が排液槽72と排液槽71に分離して排出される。このため、排液槽72には尿のみが収容されるので、排液槽72内を尿が満たすまでの期間が長くなる。したがって、本実施形態のトイレユニット1によると、便器10から排出される尿の取り扱いが容易になる。

【0043】
また、開閉弁61は、ユーザーが着座してからレバー13を操作するまでの期間(S3、Yes→S5、Yes)にのみ、開状態を取る。このため、この期間に限って排液槽72への排液の経路が形成される。そして、それ以外の期間には、開閉弁61は閉状態を取り、排液槽71への排液の経路が形成される。したがって、ユーザーが適切な順序でトイレユニット1を使用する場合に、尿と洗浄水が確実に排液槽72と排液槽71に分離される。また、シャッター42が送り状態になるのはユーザーがレバー13を操作した直後のわずかな期間(S5、Yes→S7)のみである。そして、それ以外の期間にはシャッター42が受け状態になっている。したがって、ユーザーが適切な順序でトイレユニット1を使用する場合に、コンポスト槽20への尿や洗浄水の流入が確実に防がれる。

【0044】
また、以下のようにユーザーが適切にトイレユニット1を使用しない場合にも、コンポスト槽20への液体の流入が回避される。例えば、ユーザーが誤ってレバー13を操作したとしても、シャッター42が送り状態になるのはその直後のわずかな期間のみである。このため、コンポスト槽20に液体が流入するおそれが小さい。ユーザーが排泄後、レバー13を操作せずに洗浄水を使用したとしても、洗浄水が尿の排出用の排液槽72には流入するが、コンポスト槽20には流入しない。また、ユーザーが着座せずに立ったまま便器10に尿を排泄したとしても、その尿が洗浄水の排出用の排液槽71には流入するが、コンポスト槽20には流入しない。したがって、コンポスト槽20に液体が流入することでコンポスト槽20内の微生物による分解活動に支障を及ぼすことが抑制される。

【0045】
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。

【0046】
例えば、上述の実施形態は、便器10のような腰掛け式の便器に本発明を適用した例である。しかし、日本の和式便器のようにユーザーが便器上にしゃがみ込んで排泄する方式のトイレに本発明が適用されてもよい。この場合、便器が足元に配置されると共に、排液槽や排液系統が便器に対して適切な位置に配置されればよい。

【0047】
また、上述の実施形態では、シャッター42の上面がシャッターケース41の天井面に対して傾斜していることにより、固液分離ユニット40内に流入した液体がシャッター42の上面に開口47aへと案内されて排液系統30に流入する。しかし、シャッター42の上面がシャッターケース41の天井面と平行に形成されていてもよい。この場合には、固液分離ユニット40全体を水平な状態からわずかに傾斜させることで、シャッター42の上面が適切に液体を開口47aへと案内するように、固液分離ユニット40を設置してもよい。

【0048】
また、上述の実施形態においては、図5のステップS5においてレバー13を操作したか否かを判定し、その結果に基づいてステップS6~S8において開閉弁61及びシャッター42の状態を切り替えている。しかし、適宜設置されたセンサーの検出結果に基づいて開閉弁61及びシャッター42の状態を切り替えてもよい。例えば、洗浄水を用いる場合にはトイレに備え付けのホースから水を流出させることがある。この場合、備え付けの位置からホースが移動したかを検出するようにセンサーを設置しておき、センサーの検出結果に基づいて備え付けの位置からホースが移動したと判定した場合に、排泄が完了したものとみなして開閉弁61及びシャッター42の状態を切り替えてもよい。

【0049】
また、上述の実施形態においては、ユーザーが着座したか否かを感圧センサー63によって検出している。しかし、感圧センサー63の代わりにスイッチ等を用いてユーザーの着座を検出してもよい。例えば、便座12の裏面にプッシュ式のボタンを設けておき、ユーザーが便座12に着座した際にその重みでボタンが押されることで、ユーザーの着座が検出されてもよい。

【0050】
また、上述の実施形態は、排液槽71に洗浄水が、排液槽72に尿が排出されるように構成されている。逆に、排液槽71に尿が、排液槽72に洗浄水が排出されるように構成されていてもよい。

【0051】
また、上述の実施形態においては、洗浄水を排出する先として排液槽71が設けられている。しかし、洗浄水がこのような槽に貯留されるのではなく、例えば下水系に直接排出されるなど、トイレユニット1外に直接排出されてもよい。

【0052】
また、上述の実施形態においては、排液管33において下方に延びた部分の途中に開閉弁61が設けられている。しかし、開閉弁61を排液管33に設ける代わりに、連結部30aに三方弁を設けてもよい。この場合、三方弁は、排液管31から排液管32には液体を流通させられるが排液管31から排液管33には液体を流通させられない状態と、排液管31から排液管33には液体を流通させられるが排液管31から排液管32には液体を流通させられない状態とを選択的に取ればよい。また、かかる三方弁は本発明における第2の切り替え手段に対応する。

【0053】
また、上述の実施形態においては、連結部30a及び開閉弁61が便器10外に配置されている。しかし、連結部30a及び開閉弁61が便器10内に配置され、排液管31aが便器10内で連結部30aに直接接続されてもよい。この場合には、連結部30aから分岐した2本の排液管がさらに便器10外へと延びるように設置されると共に、そのうちの1本の排液管に開閉弁61が設置されればよい。

【0054】
また、上述の実施形態においては、本発明における落下物受け部としてシャッター42が採用されている。しかし、落下物受け部としてその他の部材が設けられてもよい。例えば、固体を受け止めると共に液体を通過させる網目を有する部材が設けられていてもよい。この場合、落下物受け部の下方には落下物受け部を通過した液体を排出する排液系統を設けると共に、落下物受け部に受け止められた便をコンポスト槽へと移送する移送機構が設けられればよい。

【0055】
また、上述の固液分離ユニット40の代わりに、図6に示す固液分離ユニット140が用いられてもよい。固液分離ユニット140は、シャッターケース141と、シャッターケース141内に左右方向にスライド可能に支持されたシャッター142b及び142cと、シャッター142b及び142cを左右方向に開閉するように駆動する駆動機構150とを有している。シャッターケース141には、排泄物の通過孔となる開口部141aが形成されている。また、シャッターケース141には、それぞれ左右方向に沿ったスリット141b及び141cが形成されている。シャッター142b及び142cの下面には、下方に向かって突出するピン168及び169が固定されている。ピン168及び169は、スリット141b及び141cを介してシャッターケース141外へと突出している。

【0056】
駆動機構150は、支持軸166によって回転可能にシャッターケース141に支持された円盤151と、円盤151に接続されたアーム152~155とを有している。アーム152は、円盤151における支持軸166から少しずれた位置に、支持軸167によって回転可能に接続されている。アーム154及び155は、支持軸161及び162によって回転可能にシャッターケース141に支持されている。アーム152~155同士は、支持軸163~165によって互いに回転可能に接続されている。アーム154及び155の前端部には、それぞれの長さ方向に沿ったスリット154a及び155aが形成されている。スリット154a及び155aにはピン168及び169が上下方向に貫通している。円盤151が支持軸166を中心に回転すると、アーム152~155がこれに連動する。これによって、ピン168及び169が左右方向に沿って互いに離隔したり接近したりする。そして、ピン168及び169に連動して、シャッター142b及び142cが左右方向に開閉する。これにより、シャッター142b及び142cが、貫通孔142aを遮蔽した図6(a)の状態と、貫通孔142aを開放した図6(b)の状態とを選択的に取ることができる。

【0057】
固液分離ユニット140は、シャッター142b及び142cを左右方向に開閉する構成を有している。このため、一枚のシャッター42を移動させる固液分離ユニット40と比べて、排泄物が通過する経路の左右にバランスよくシャッター142b及び142cが配置される。また、円盤151を回転させることでシャッター142b及び142cを開閉できる。このため、円盤151の回転角度を検出するセンサーを1つ設置すれば、シャッター142b及び142cの移動範囲を制御することができる。

【0058】
また、上述の実施形態においては、排液管31aと排液管31bが筐体11の側面において接続されている。しかし、排液管31aと排液管31bが筐体11の底面において接続されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のトイレは、屎尿を分別し、洗浄水を含ませず、それらを回収できることから、コンポストトイレに最適である。コンポストトイレに用いた場合にその反応槽内の水分管理が容易になり、良質な肥料およびコンポストを得るための維持管理がしやすくなる。そして、本発明のトイレをコンポストトイレとして普及させることで、循環型社会の実現、および途上国における貧困緩和と衛生環境改善を同時に解決するための方法を提供できる。
【符号の説明】
【0060】
31~33 排液管
142b,143c シャッター
1 トイレユニット
10 便器
10a 排泄用の開口
13 レバー
20 コンポスト槽
23 撹拌シャフト
24 撹拌アーム
40 固液分離ユニット
42 シャッター
47 排液部
47a 開口
50 コントローラ
61 開閉弁
62 操作検出センサー
63 感圧センサー
71 排液槽
72 排液槽
140 固液分離ユニット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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