TOP > 国内特許検索 > 高分子原料及び重合体 > 明細書

明細書 :高分子原料及び重合体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6022475号 (P6022475)
登録日 平成28年10月14日(2016.10.14)
発行日 平成28年11月9日(2016.11.9)
発明の名称または考案の名称 高分子原料及び重合体
国際特許分類 C08G  73/10        (2006.01)
C08G  69/08        (2006.01)
C08G  18/32        (2006.01)
C07C 229/46        (2006.01)
FI C08G 73/10
C08G 69/08
C08G 18/32 034
C07C 229/46
請求項の数または発明の数 14
全頁数 25
出願番号 特願2013-544266 (P2013-544266)
出願日 平成24年11月13日(2012.11.13)
国際出願番号 PCT/JP2012/079354
国際公開番号 WO2013/073519
国際公開日 平成25年5月23日(2013.5.23)
優先権出願番号 2011252006
優先日 平成23年11月17日(2011.11.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年10月16日(2015.10.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】金子 達雄
【氏名】宮里 朗夫
【氏名】立山 誠治
【氏名】スヴァンナサラ プルエトチッカ
【氏名】岡 佑季
個別代理人の代理人 【識別番号】100105809、【弁理士】、【氏名又は名称】木森 有平
審査官 【審査官】上前 明梨
参考文献・文献 特開2003-160540(JP,A)
特開平02-028208(JP,A)
調査した分野 C08G 73/00-73/26
C07C 229/46
C08G 18/00-18/87
C08G 69/00-69/50
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式1で表される構造を有することを特徴とする高分子原料。
【化1】
JP0006022475B2_000025t.gif
(式中、Xは、-OR、-SR、-NHRのいずれかである。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。)
【請求項2】
一般式2で表される構造を有することを特徴とする重合体
【化2】
JP0006022475B2_000026t.gif
(式中、Xは、-OR、-SR、-NHRのいずれかである。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Yは、イミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかである。Zは有機鎖である。nは正の整数である。)
【請求項3】
一般式3で表される構造を有することを特徴とする重合体
【化3】
JP0006022475B2_000027t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Yは、イミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかである。Zは有機鎖である。nは正の整数である。)
【請求項4】
一般式4で表される構造を有するポリアミドであることを特徴とする請求項2または3に記載の重合体
【化4】
JP0006022475B2_000028t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。nは正の整数である。mは正の整数である。)
【請求項5】
一般式5で表される構造を有するポリアミドであることを特徴とする請求項2または3に記載の重合体
【化5】
JP0006022475B2_000029t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【請求項6】
一般式6で表される構造を有するポリアミド酸であることを特徴とする請求項2または3に記載の重合体
【化6】
JP0006022475B2_000030t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【請求項7】
一般式7で表される構造を有するポリイミドであることを特徴とする請求項2または3に記載の重合体
【化7】
JP0006022475B2_000031t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【請求項8】
一般式8で表される構造を有するポリ尿素であることを特徴とする請求項2または3に記載の重合体
【化8】
JP0006022475B2_000032t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。nは正の整数である。mは正の整数である。)
【請求項9】
一般式9で表される構造を有するポリ尿素であることを特徴とする請求項2または3に記載の重合体
【化9】
JP0006022475B2_000033t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【請求項10】
一般式10で表される構造を有するポリイミドであることを特徴とする請求項2または3に記載の重合体
【化10】
JP0006022475B2_000034t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。nは正の整数である。)
【請求項11】
バイオマスを原材料としていることを特徴とする請求項2から10のいずれか一項記載の重合体
【請求項12】
一般式1で表される構造を有することを特徴とする高分子原料の製造方法であって、4-アミノ桂皮酸または4-アミノ桂皮酸誘導体のアミノ基を塩酸塩とするステップと、前記塩酸塩に紫外線を照射して二量化反応により二量化体とするステップと、前記二量化体の有するカルボキシル基を、触媒作用によってエステル化、チオエステル化又はアミド化するステップと、を有することを特徴とする高分子原料の製造方法。
【化1】
JP0006022475B2_000035t.gif

【請求項13】
請求項2から10のいずれか一項記載の重合体の製造方法であって、一般式1に記載の高分子原料の有するアミノ基を反応させて、イミド結合、アミド結合、尿素結合から選ばれるいずれかの結合を形成して前記重合体とすることを特徴とする重合体の製造方法。
【化1】
JP0006022475B2_000036t.gif

【請求項14】
請求項2から10のいずれか一項記載の重合体のリサイクル方法であって、前記重合体に、紫外線を照射する方法、酸を作用させ加水分解する方法から選択される少なくとも1つの方法により、4-アミノ桂皮酸あるいはその二量体または4-アミノ桂皮酸誘導体あるいはその二量体としてリサイクルすることを特徴とする重合体のリサイクル方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、天然由来の高分子原料と、当該高分子原料からなる高分子材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドやポリアミド等の高分子材料は、電気工学の分野や電子工学の分野あるいは宇宙工学の分野等において、高性能工業製品として使用されている高性能プラスチックであり、そのニーズは極めて大きい。例えば自動車のボディー、内装品、電装品には、ポリイミド樹脂やポリアミド樹脂が、少なからず使用されている。
【0003】
従前、ポリイミド樹脂やポリアミド樹脂は、ほとんど全てが石油原料から合成されており、石油資源からしか得られていない。したがって、石油資源の枯渇等の問題に対応していないのが実情であり、また、石油原料から合成されるこれら高分子材料の需要拡大は、低炭素化とは相反する方向となる。
【0004】
一方、天然由来の原料を用いた高分子材料としてのバイオプラスチックは、バイオ燃料等とは異なり、二酸化炭素の長期固定化が期待される物質系であり、その実用化は前記低炭素化に大いに寄与するものと考えられるが、コストが嵩むことが大きな課題となっている。これとは別の観点によれば、コストの嵩む生体分子を用いる場合であっても、スーパーエンプラのような付加価値の高い材料であれば、コスト対効果の点でも満足し得るものとなり、社会的に広く波及できる潜在性を持つことになる。
【0005】
このような状況から、近年、天然由来の高分子原料を用いたポリアミド樹脂の製造方法が検討されている。また、天然由来の高分子原料と同じか近い化合物を利用した工業材料が文献公知となっている。
【0006】
特許文献1には、微生物のリジン代謝経路上の化合物から派生するジアミンとジカルボン酸を用いたポリアミド樹脂の製造方法が開示されている。特許文献1には、ポリアミド樹脂において、曲げ弾性率3~5GPa、ガラス転移温度TG120~180℃が実現した、との記載がある。
特許文献2には、四員環化合物を有する光学部材の記載がある。
【0007】
非特許文献1には、アミノ基で置換された芳香族アルコール化合物の記載がある。
非特許文献2には、アミノ桂皮酸の二量体からなる高分子原料の記載がある。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2006-137820号公報
【特許文献2】特開2003-160540号公報
【0009】

【非特許文献1】Fritz M. Kreuzaler und Christoph Peterh, TechnischeHochschule Aachen; April 2009Y; “Rekombinante Biosynthese amino-substituierterPhenylpropanoidein E.coli ”
【非特許文献2】I. TAENAESESCU und F. HODOSAN, REVUE DE CHIMIE; Tome I,1956Y, No 2; “DIE PHOTODIMER1SATION DER NITROZIMTSAEUREN UND DER NITROCHALKONE”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、高性能のポリイミドやポリアミドを生物資源材料から合成しようとすると、多くの困難を伴う。ポリイミドやポリアミドの原料となる芳香族ジアミンの毒性があまりにも高いため、生物からは作れないからである。
【0011】
また、生物資源材料を原料として用いたバイオプラスチックでは、石油原料から合成されたポリイミド樹脂やポリアミド樹脂と比較した場合、必ずしも満足のいく耐熱性能が得られていないのが実情である。例えば、従来のバイオプラスチックでは、耐熱温度は最高でも305℃程度に過ぎない。従来のバイオプラスチックは、生分解性プラスチックとして開発された経緯から、それほど性能の追求がなされておらず、分解が可能なように耐熱性能の低いポリエステル系プラスチックを用いていたことが、その理由として挙げられる。
【0012】
本発明は、かかる従来の実情に鑑みて提案されたものであり、石油原料から合成されたポリイミドやポリアミドに代替し得る性能を有するバイオポリマーを合成し得る、生体由来の高分子原料を提供することを目的とし、さらには、前記高分子原料を利用して、石油原料から合成されたポリイミドやポリアミドに代替し得る性能を有する、天然由来の高分子材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の高分子原料は、4-アミノ桂皮酸の二量体または4-アミノ桂皮酸誘導体の二量体からなり、カルボキシル基がアルキル鎖で保護されていることで重合可能であり、一般式1(化1)で表される構造を有することを特徴とする。
【0014】
【化1】
JP0006022475B2_000002t.gif
(式中、Xは、-OR、-SR、-NHRのいずれかである。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。)
【0015】
本発明の高分子原料は、一般式1(化1)で示されるとおり、4-アミノ桂皮酸の二量体または4-アミノ桂皮酸誘導体の二量体を基本構造としており、4員環の両端にフェニル基を介してアミノ基を有している。すなわち、本発明の高分子原料は、ポリイミドやポリアミドの原料となる芳香族ジアミンと同等の構造を有している。
【0016】
本発明の高分子原料は、一般式1(化1)で示されるとおり、4-アミノ桂皮酸の二量体または4-アミノ桂皮酸誘導体の二量体に由来するカルボキシル基を2つ有しているが、これらカルボキシル基が、当該高分子原料が有するアミノ基と反応することがないように、何らかの保護基により保護されていなければならない。前記保護基を形成するための保護剤としては、カルボキシル基を保護し得るものであれば公知のものが使用できる。例えば、エステル化、チオエステル化、アミド化等により保護すればよい。したがって、例えば、一般式1(化1)において、式中のXとして、-OR、-SR、-NHRが挙げられる。ここで、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。
【0017】
本発明の高分子原料は、ポリイミドやポリアミド等の高分子材料の合成に際して、天然由来の原料モノマーとして使用することができ、それによって高性能の高分子材料を提供することが可能となり、特に耐熱性の極めて高い高分子材料を提供することが可能となる。
【0018】
本発明の高分子材料は、前記高分子原料が重合されてなる高分子材料であって、主鎖にイミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかを有し、一般式2(化2)で表される構造を有することを特徴とする。
【0019】
【化2】
JP0006022475B2_000003t.gif
(式中、Xは、-OR、-SR、-NHRのいずれかである。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Yは、イミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかである。Zは有機鎖である。nは正の整数である。)
【0020】
本発明の高分子材料は、4-アミノ桂皮酸の二量体または4-アミノ桂皮酸誘導体の二量体からなり、カルボキシル基がアルキル鎖で保護されている高分子原料が重合されてなる高分子材料であって、主鎖にイミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかであり、一般式3(化3)で表される構造を有することを特徴とする。
【0021】
【化3】
JP0006022475B2_000004t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Yは、イミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかである。Zは有機鎖である。nは正の整数である。)
【0022】
本発明の高分子材料は、より具体的には、一般式4(化4)乃至一般式10(化10)のいずれかで表される構造を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の高分子材料は、一般式4(化4)で表される構造を有するポリアミドであることを特徴とする。
【0024】
【化4】
JP0006022475B2_000005t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。nは正の整数である。mは正の整数である。)
【0025】
本発明の高分子材料は、一般式5(化5)で表される構造を有するポリアミドであることを特徴とする。
【0026】
【化5】
JP0006022475B2_000006t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【0027】
本発明の高分子材料は、一般式6(化6)で表される構造を有するポリアミド酸を前駆物質としていることを特徴とする。
【0028】
【化6】
JP0006022475B2_000007t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【0029】
本発明の高分子材料は、一般式7(化7)で表される構造を有するポリイミドであることを特徴。
【0030】
【化7】
JP0006022475B2_000008t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【0031】
本発明の高分子材料は、一般式8(化8)で表される構造を有するポリ尿素であることを特徴とする。
【0032】
【化8】
JP0006022475B2_000009t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。nは正の整数である。mは正の整数である。)
【0033】
本発明の高分子材料は、一般式9(化9)で表される構造を有するポリ尿素であることを特徴とする。
【0034】
【化9】
JP0006022475B2_000010t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。Aは、芳香環または脂環を表す。nは正の整数である。)
【0035】
本発明の高分子材料は、一般式10(化10)で表される構造を有するポリイミドであることを特徴とする。
【0036】
【化10】
JP0006022475B2_000011t.gif
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、オキシアルキレン基のいずれかである。nは正の整数である。)
【0037】
本発明の高分子材料は、バイオマスを原材料としていることを特徴とする。
【0038】
本発明の高分子原料の製造方法は、カルボキシル基がアルキル鎖で保護されていることで重合可能な高分子原料を合成する高分子原料の製造方法であって、4-アミノ桂皮酸または4-アミノ桂皮酸誘導体を、そのアミノ基を塩酸塩とするステップと、紫外線を照射して二量化反応するステップと、触媒作用によってエステル化させるか、チオエステル化させるか、又は、アミド化させるステップとを有することを特徴とする。
【0039】
本発明の高分子材料の製造方法は、前記高分子原料の製造方法によって得られた高分子原料を、そのアミノ基を反応させて、イミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかを形成して高分子材料とすることを特徴とする。
【0040】
本発明の高分子材料のリサイクル方法は、前記高分子材料の製造方法によって得られた高分子材料を、紫外線を照射するか、紫外線を照射してから酸を用いて加水分解するか、酸を用いて加水分解するか、酸を用いて加水分解してから紫外線を照射するか、いずれかによって高分子原料に戻すことを特徴とする。
【0041】
本発明の高分子原料は、天然分子である4-アミノ桂皮酸の二量体または4-アミノ桂皮酸誘導体を光二量化反応により合成しており、前記高分子原料を例えば天然分子由来コモノマーであるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物と反応させることで、ポリイミドやポリアミド等の高分子材料(バイオプラスチック)が得られる。本発明の高分子材料(バイオプラスチック)は、耐熱温度が300℃を越え、石油原料から合成される既知のポリイミドやポリアミドと遜色のない耐熱性能を示す。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、自動車電装品、電気電子分野、ヒータ等の発熱部品用途等に利用することが可能な高性能プラスチックを、天然分子に由来する原料から合成することが可能である。したがって、石油原料から合成される既知のポリイミドやポリアミドと代替を行うことができ、プラスチック内部へのカーボンストックによる低炭素化を実現することが可能である。さらに、本発明の高分子材料は、環境適応型プラスチック補強材としての応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る、4,4’-ジアミノトルキシル酸ジメチル(DATXA-DM)のNMRスペクトルである。
【図2】本発明に係る、N,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)のNMRスペクトルである。
【図3】本発明に係る、ポリアミド酸(PAA-1)のNMRスペクトルである。
【図4】本発明に係る、ポリアミド酸(PAA-1)及びポリイミド(PI-1)のFT-IRスペクトルである。
【図5】本発明に係る、ポリアミド酸(PAA-1)及びポリイミド(PI-1)のTGA曲線である。
【図6】本発明に係る、ポリアミド酸(PAA-2)のNMRスペクトルである。
【図7】本発明に係る、ポリアミド酸(PAA-2)及びポリイミド(PI-2)のFT-IRスペクトルである。
【図8】本発明に係る、ポリアミド酸(PAA-2)及びポリイミド(PI-2)のTGA曲線である。
【図9】本発明に係る、脂肪族ポリアミドのNMRスペクトルである。
【図10】本発明に係る、脂肪族ポリアミドのTGA曲線である。
【図11】本発明に係る、芳香族ポリアミドのNMRスペクトルである。
【図12】本発明に係る、芳香族ポリアミドのTGA曲線である。
【図13】本発明に係る、N,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を用いたポリアミドのTGA曲線である。
【図14】本発明に係る、脂肪族ポリ尿素のNMRスペクトルである。
【図15】本発明に係る、脂肪族ポリ尿素のTGA曲線である。
【図16】本発明に係る、芳香族ポリ尿素のTGA曲線である。
【図17】本発明に係る、芳香族ポリアミドの引張り強度試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を適用した高分子原料及び高分子材料の製造方法について、詳細に説明する。ここでは、カルボキシル基をエステル化により保護する場合を例に、その合成経路を次の反応式(化11)に示す。

【0045】
【化11】
JP0006022475B2_000012t.gif

【0046】
前記反応式(化11)に示す反応方法においては、先ず、4-アミノ桂皮酸に塩酸を作用させて、4-アミノ桂皮酸のアミノ基をハイドロクロライド化する。次いで、紫外線を照射して二量化反応する。さらに、(CHSiClを触媒としてROHを作用させ、前記カルボキシル基をエステル化する。ここで、エステル化の際に、ROHの代わりにRSHを用いれば、チオエステル化される。また、ROHの代わりにアミンを反応させれば、アミド化される。最後にアルカリを作用させてHClを離脱させ、2,4-ビス(4-アミノフェニル)-1,3-シクロブタンジアルキルエステルを得る。前記アルカリは、例えば水酸化ナトリウムである。

【0047】
そして、前記高分子原料の製造方法によって得られた高分子原料を、そのアミノ基を反応させて、イミド結合、アミド結合、尿素結合、アミド結合及びイミド結合のいずれかを形成して高分子材料とする。本発明の高分子材料は、より具体的には、一般式4(化4)乃至一般式10(化10)のいずれかで表される構造を有する。特に、前記高分子原料と天然分子由来コモノマーであるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA:フマル酸の二量体二無水物)とを反応させることで合成され、一般式10(化10)で表されるポリイミドは、高い耐熱性(耐熱温度300℃以上)を示すとともに、バイオプラスチックとして低炭素化に貢献し得る高分子材料である。

【0048】
本発明に係る高分子材料であり、一般式10(化10)で表されるポリイミドの製造方法について、詳細に説明する。本発明のポリイミドの合成経路を次の反応式(化12)に示す。

【0049】
【化12】
JP0006022475B2_000013t.gif

【0050】
前記反応式(化12)に示す反応方法においては、先ず、本発明の高分子原料(2,4-ビス(4-アミノフェニル)-1,3-シクロブタンジカルボン酸ジアルキルエステル)と酸二無水物(シクロブタンテトラカルボン酸二無水物:CBDA)とを反応させ、ポリアミド酸を合成する。

【0051】
前記反応は、例えば沸点が100℃以上の高沸点溶媒中で行うことが好ましい。この場合、溶媒としては非プロトン性のアミド系溶媒を用いることが好ましく、例えばN-メチル-2-ピロリジノン(NMP)やN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等が好適である。

【0052】
前記反応に際しては、室温から沸点まで徐々に温度を上げ、その後、所定時間に亘って前記反応を行えばよい。反応時間は、任意に設定することができる。また、前記反応に際して、原料の濃度は任意に設定することが可能である。前記反応に際して、原料の濃度は、0.6M以上とすることが好ましい。

【0053】
前記ポリアミド酸を合成した後、例えば250℃に加熱するか又は250℃以上に加熱し脱水することにより、一般式10(化10)で表されるポリイミドが得られる。前記ポリアミド酸は高い透明性を有し、広範な波長域において、透過率がほとんど100%である。そのため、前記ポリアミド酸から得られるポリイミドの透明性も高くなる。

【0054】
前記反応において、酸二無水物(シクロブタンテトラカルボン酸二無水物:CBDA)の代わりにジイソシアネート、エポキシ化合物、両端に不飽和結合を有するアリール化合物、ジカルボン酸等を用いることにより、ポリ尿素、ポリアミド、その他種々の高分子材料を合成することが可能である。また、前記反応をポリアミド酸の状態で終了させることも可能である。さらに、酸二無水物の代わりに、トリメリット酸無水物のようなカルボキシル基と酸無水物とを1分子内に有する高分子原料を用いれば、ポリアミドイミドを合成することも可能である。

【0055】
前述のとおり、本発明の高分子原料を用いることで、耐熱温度が350℃以上の高分子材料(バイオポリマー)を実現することが可能である。ここで、前記耐熱温度とは、10%分解温度を指す。本発明によって得られるバイオポリマーは、自動車や電気電子分野、ヒータ等の発熱部品用途等に利用することが可能であり、石油原料から合成されるポリイミドが使用される部品からの代替を行うことが可能である。また、本発明の高分子原料を用いて合成される高分子材料は、天然分子を原料とするバイオポリマーであり、低炭素化を進める上で極めて有用であるといえる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0057】
4,4’-ジアミノトルキシル酸ジメチルの合成
本発明に係る4,4’-ジアミノトルキシル酸ジメチルの合成経路を、次の反応式(化13)に示す。
【実施例】
【0058】
【化13】
JP0006022475B2_000014t.gif
【実施例】
【0059】
反応式(化13)に示す合成によって、本発明に係る4,4’-ジアミノトルキシル酸ジメチル(DATXA-DM)が得られる。先ず、ナスフラスコに4-アミノ桂皮酸(4-ACA)(16.3g,0.10mol)、アセトン(350ml)を加え溶解後、12規定HCl(10ml,0.12mol)をゆっくりと滴下した。生じた4-アミノ桂皮酸塩酸塩(4-ACA-HCl)を吸引濾過により得た後、デシケーター内で乾燥させ、4-ACA-HCl(1.0g,5.0mmol)をフラスコに入れ、ヘキサン20mlを加え、UV照射(λ=250~450nm)を25時間行い、4,4’-ジアミノトルキシル酸塩酸塩(DATXA-HCl)を得た。
【実施例】
【0060】
同様の方法を繰り返し、得られたDATXA-HCl(7.68g,0.019mol)、メタノール(31.2ml,0.77mol)、トリメチルクロロシラン(9.8ml,0.077mol)を窒素置換したフラスコに入れ、42時間反応させ、エステル化を行った。この生成物(3.32g,7.77mmol)をフラスコに入れ、蒸留水50mlを加え溶解させた後、1規定NaOH(16.2ml)を加え、中和した。その後、酢酸エチル(280ml)を加え、中和後の生成物を溶解させ、分液ロートを用いて抽出を行い、黄色粉末状の4,4’-ジアミノトルキシル酸ジメチル(DATXA-DM)を得た。
【実施例】
【0061】
得られた4,4’-ジアミノトルキシル酸ジメチル(DATXA-DM)のNMRスペクトルを図1に示す。NMR(Nuclear Magnetic Resonance
Spectroscopy)における各ピークの帰属は下記のとおりである。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.27(s, 6H, -COOCH3), 3.72(dd, 2H, J = 7.4, 10.2 Hz,
-CH-COOCH3), 4.11(dd,
2H, 7.4 Hz, 10.1 Hz, -CH-C6H4), 5.00(s, 4H, -NH2-C6H4), 6.51 (d, 4H, 8.4 Hz, NH2-C-CH-), 6.95(d,
4H, 8.4 Hz, NH2-C-CH-CH-)
【実施例】
【0062】
N,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)の合成
本発明に係るN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)の合成経路を、次の反応式(化14)に示す。
【実施例】
【0063】
【化14】
JP0006022475B2_000015t.gif
【実施例】
【0064】
反応式(化14)に示す合成によって、本発明に係るN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)が得られる。先ず、フラスコに4-アミノ桂皮酸(4-ACA)(10.0g,61.3mmol)、メタノール(180ml)を加え、無水酢酸(20ml,212mmol)を加え、室温で1日間撹拌した。生成物を濾過、メタノールで洗浄し、乾燥させた(10.3g,81.7%)。得られた4-アセトアミノ桂皮酸(1.00g,4.87mmol)、ヘキサン(50ml)をフラスコに加え、UV照射(λ=250~450nm)を行った。濾過、乾燥を行い、N,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を得た(0.93g, 93.0%)。
【実施例】
【0065】
得られたN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)のNMRスペクトルを図2に示す。NMRにおける各ピークの帰属は下記のとおりである。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 2.03(s, 6H, -NHCOCH3),
3.73(dd, 2H, J = 7.4, 10.2 Hz, -CH-COOH,), 4.20(dd, 2H, J = 7.4, 10.2 Hz,
-CH-C6H4-), 7.25(d, 4H, J = 8.5 Hz, CH3CONH-C-CH-CH-) 7.50 (d, 4H,
J = 8.5 Hz, CH3CONH-C-CH-), 9.89(s, 2H, CH3CONH-), 12.04(s, 2H, -COOH,
1H)
【実施例】
【0066】
ポリイミドの合成例
本発明に係るポリアミド酸(PAA)の合成経路を、次の反応式(化15)に示す。
【実施例】
【0067】
【化15】
JP0006022475B2_000016t.gif
【実施例】
【0068】
反応式(化15)に示す合成によって、本発明に係るポリアミド酸(PAA)が得られる。先ず、2,4-ビス(4-アミノフェニル)-1,3-シクロブタンジカルボン酸ジアルキルエステル(DATXA-DM)(0.20g,[0.5647mmol])を10mLの試験管中でN-メチル-2-ピロリジノン(NMP)([0.5647mL],[1M])に溶かし、窒素雰囲気中において機械式攪拌機で撹拌した。
【実施例】
【0069】
次に、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)(0.11g,[0.5647mmol])を加えたところうす黄色の溶液となった。反応液を室温で激しく24時間撹拌した結果、粘性のある溶液が得られた。その溶液をNMP(N-methylpyrrolidone)で希釈して水に滴下したところ繊維状の固体が析出した。それらの固体を濾過回収し水で徹底的に洗浄後、デシケーター中で真空乾燥した。この固体を再度NMPに溶解して得られた黄色い溶液をシリコンウェハーの上にキャストしてフィルムを得た。得られたフィルムをFT-IR(Fourier
transform infrared spectroscopy)およびNMR(Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy)により構造解析した結果、目的のポリアミド酸(PAA-1)であることが判明した。収率は85重量%であった。
【実施例】
【0070】
ポリイミドフィルム(PI-1)は上記のポリアミド酸フィルム(PAA-1)を100℃,150℃,200℃,250℃の温度に、オーブン中で段階的に加熱することで得た(各温度で1時間)。イミド化の確認はFT-IRにより行った。
【実施例】
【0071】
得られたポリアミド酸(PAA-1)のNMRを図3に示す。また、ポリアミド酸(PAA-1)とポリイミド(PI-1)のFT-IRを図4に示す。さらに、得られたポリアミド酸(PAA-1)とポリイミド(PI-1)をTGA(thermogravimetric
analysis)にて分析したTGA曲線を図5に示す。このTGA曲線から、ポリイミド(PI-1)の耐熱温度(10%分解温度)は392℃であった。
【実施例】
【0072】
CBDAの代わりにピロメリット酸を用い、同様の方法で重合を行った。用いたNMPは(0.9412mL,[0.6M])であり、再沈殿の時には水では無くメタノールを用いた。収率は80重量%であった。得られたフィルムをFT-IRおよびNMRにより構造解析した結果、目的のポリアミド酸(PAA-2)であることが判明した。
【実施例】
【0073】
得られたポリアミド酸(PAA-2)のNMRを図6に示す。また、ポリアミド酸(PAA-2)とポリイミド(PI-2)のFT-IRを図7に示す。さらに、得られたポリアミド酸(PAA-2)とポリイミド(PI-2)のTGA曲線を図8に示す。このTGA曲線から、ポリイミド(PI-2)の耐熱温度(10%分解温度)は406℃であった。
【実施例】
【0074】
また、各ポリアミド酸の分子量測定をGPC(Gel permeation Chromatography)により行った(サンプル濃度:0.5mg mL-1、 溶媒:ジメチルホルムアミド、外部標準:プルラン)。結果を、次の表1に示す。表1において、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、PDIは多分散度である。PDIは、MwをMnで割った値となる。
【実施例】
【0075】
【表1】
JP0006022475B2_000017t.gif
【実施例】
【0076】
脂肪族ポリアミドの合成例
本発明に係る脂肪族ポリアミドの合成経路を、次の反応式(化16)に示す。
【実施例】
【0077】
【化16】
JP0006022475B2_000018t.gif
【実施例】
【0078】
反応式(化16)に示す合成によって、本発明に係る脂肪族ポリアミドが得られる。先ず、窒素置換したフラスコに4,4’-ジアミノトルキシル酸ジメチル(300.9mg,0.85mmol)、脱水DMAc(0.85ml)、脱水ピリジン(0.17ml)、スベロイルクロリド(0.16ml,0.86mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応物にNMP(2.5ml)を加えて均一にした後、メタノール60ml中に滴下して再沈殿を行い、白色繊維状のポリマーを得た。得られたポリマーを少量のDMF(Dimethylformamide)に溶解させ、シリコンウェハー上に滴下後、加熱し、フィルムを作製した。
【実施例】
【0079】
得られた脂肪族ポリアミドフィルムの分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量=7.25×103、重量平均分子量=7.99×103、分散度=1.10(プルラン換算)であった。NMRスペクトルは図9に示すとおりである。各ピークの帰属は下記のとおりである。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.33(4H, -NHCH2CH2CH2-),
1.59(4H, -NHCH2 CH2CH2-), 2.29(4H, -NHCH2CH2CH2-), 3.26(6H, -COOCH3), 3.88(2H,
CH-COOCH3), 4.27(2H, CH-C6H4-),
7.21-7.54(8H,arom), 9.84(2H, -C6H4-NH-CO-)
【実施例】
【0080】
得られた脂肪族ポリアミドフィルムのTGA曲線を図10に示す。測定範囲は50℃~750℃、昇温速度は10℃/minであり、脂肪族ポリアミドフィルムの耐熱温度(10%重量減少温度)は360℃であった。
【実施例】
【0081】
芳香族ポリアミドの合成例
本発明に係る芳香族ポリアミドの合成経路を、次の反応式(化17)に示す。
【実施例】
【0082】
【化17】
JP0006022475B2_000019t.gif
【実施例】
【0083】
反応式(化17)に示す合成によって、本発明に係る芳香族ポリアミドが得られる。先ず、イソフタル酸ジクロリド(60mg,0.3mmol)、DATXA-DM(100mg,0.3mmol)の窒素置換した試験管に、脱水ピリジン及び脱水DMAc(0.3ml)を加え、室温で12時間撹拌した。反応物にDMAc(2ml)を加えて均一溶液にした後にメタノール(40ml)に滴下してポリマーの再沈殿を行った。沈殿した白色の固体を回収し、5時間真空乾燥させ、白色のポリマーを得た(120mg、収率82%)。白色ポリマーを少量のDMFに溶解させ、シリコンウェハー上に滴下し、ホットプレート上で乾燥させフィルムを作成した。
【実施例】
【0084】
得られた芳香族ポリアミドフィルムの分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量=8.0×104、重量平均分子量=8.9×104、分散度=1.26(プルラン換算)であった。NMRスペクトルは図11に示すとおりである。各ピークの帰属は下記のとおりである。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.25 (6H, -COOCH3), 3.96-4.00 (2H, -CHCOOH-),
4.34-4.39 (2H, -CHC6H4-), 7.34-8.54 (12H, arom.), 10.42 (2H, -C6H4-NH-CO-)
【実施例】
【0085】
得られた芳香族ポリアミドフィルムのTGA曲線を図12に示す。測定範囲は50℃~650℃、昇温速度は10℃/minであり、芳香族ポリアミドフィルムの耐熱温度(10%重量減少温度)は366℃であった。
【実施例】
【0086】
N,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を用いたポリアミドの合成例
本発明に係るN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を用いたポリアミドの合成経路を、次の反応式(化18)に示す。
【実施例】
【0087】
【化18】
JP0006022475B2_000020t.gif
【実施例】
【0088】
反応式(化18)に示す合成によって、本発明に係るN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を用いたポリアミドが得られる。先ず、窒素置換したフラスコにDATXA-DM(86.3mg,0.24mmol)、DNAc-DATXA(99.5mg,0.24mmol)、脱水NMP(0.24ml)を加える。さらに亜リン酸トリフェニル(70μl,0.27mmol)、ピリジン(120μl,1.49mmol)を滴下し、100℃で1時間撹拌。反応物にNMP(2ml)を加えて均一溶液にした後にメタノール(60ml)に滴下してポリマーの再沈殿を行った。沈殿した繊維状物質を回収し200℃、1時間乾燥させ、白色繊維状のポリマーを得た(150.1mg、収率89.6%)。繊維状ポリマーを少量のDMFに溶解させ、シリコンウェハー上に滴下し、120℃で1時間乾燥させフィルムを作成した。
【実施例】
【0089】
得られたポリアミドフィルムの分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量=1.02×104、重量平均分子量=2.10×104、分散度=2.06(プルラン換算)であった。NMRスペクトルにおける各ピークの帰属は下記のとおりである。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.95 (6H, NHCOCH3), 3.13 (6H, COOCH3), 3.79-4.36 (8H,
cyclobutane), 7.00-7.49 (16H, arom.), 9.71-9.93 (4H, NH)
【実施例】
【0090】
得られたポリアミドフィルムのTGA曲線を図13に示す。測定範囲は50℃~750℃、昇温速度は10℃/minであり、ポリアミドフィルムの耐熱温度(10%重量減少温度)は367℃であった。
【実施例】
【0091】
脂肪族ポリ尿素の合成例
本発明に係る脂肪族ポリ尿素の合成経路を、次の反応式(化19)に示す。
【実施例】
【0092】
【化19】
JP0006022475B2_000021t.gif
【実施例】
【0093】
反応式(化19)に示す合成によって、本発明に係る脂肪族ポリ尿素が得られる。先ず、窒素置換したフラスコにDATXA-DM(100.8mg,0.28mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネート(47.5mg,0.28mmol)、脱水NMP(0.28ml)を加え、室温で12時間撹拌し、その後100℃で1時間撹拌した。反応物にNMP(1ml)を加えて均一溶液にした後にメタノール(40ml)に滴下してポリマーの再沈殿を行った。沈殿した繊維状物質を回収し200℃、1時間乾燥させ、白色繊維状のポリマーを得た(126.3mg、収率85.2%)。繊維状ポリマーを少量のDMFに溶解させ、シリコンウェハー上に滴下し、120℃で1時間乾燥させフィルムを作成した。
【実施例】
【0094】
得られた脂肪族ポリ尿素フィルムの分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量=1.39×104、重量平均分子量=3.37×104、分散度=2.42(プルラン換算)であった。NMRスペクトルは図14に示すとおりである。各ピークの帰属は下記のとおりである。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.29 (4H, -NHCH2CH2CH2-), 1.42 (4H, -NHCH2CH2CH2-),
3.06 (4H, -NHCH2CH2CH2-), 3.25(6H, -COOCH3), 3.83 (2H, CH-COOCH3), 4.21 (2H,
CH-C6H4-), 6.09 (2H, CONH-C6H12-), 7.14-7.31 (8H, arom.), 8.35 (2H,
-C6H4-NH-CO-)
【実施例】
【0095】
得られた脂肪族ポリ尿素フィルムのTGA曲線を図15に示す。測定範囲は50℃~750℃、昇温速度は10℃/minであり、ポリアミドフィルムの耐熱温度(10%重量減少温度)は285℃であった。
【実施例】
【0096】
芳香族ポリ尿素の合成例
本発明に係る芳香族ポリ尿素の合成経路を、次の反応式(化20)に示す。
【実施例】
【0097】
【化20】
JP0006022475B2_000022t.gif
【実施例】
【0098】
反応式(化20)に示す合成によって、本発明に係る芳香族ポリ尿素が得られる。先ず、窒素置換したフラスコにDATXA-DM(101.0mg,0.28mmol)、m-キシリレンジイソシアネート(47.5mg,0.28mmol)、脱水NMP(0.28ml)を加え、室温で12時間撹拌し、その後100℃で1時間撹拌した。反応物にNMP(1ml)を加えて均一溶液にした後にメタノール(40ml)に滴下してポリマーの再沈殿を行った。沈殿した固体を回収し200℃、1時間乾燥させ、白色粉末のポリマーを得た(140.0mg、収率94.0%)。ポリマーを少量のDMFに溶解させ、シリコンウェハー上に滴下し、120℃で1時間乾燥させフィルムを作成した。
【実施例】
【0099】
得られた芳香族ポリ尿素フィルムの分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量=1.13×104、重量平均分子量=3.05×104、分散度=2.69(プルラン換算)であった。NMRスペクトルにおける各ピークの帰属は下記のとおりである。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.25 (6H, COOCH3), 3.84 (2H, CH-COOCH3), 4.22 (2H,
CH-C6H4), 4.28 (4H, NH-CH2-), 6.58 (2H, CONHCH2), 7.08-7.43 (12H, arom.), 8.52
(2H, C6H4NHCO)
【実施例】
【0100】
得られた芳香族ポリ尿素フィルムのTGA曲線を図16に示す。測定範囲は50℃~750℃、昇温速度は10℃/minであり、ポリアミドフィルムの耐熱温度(10%重量減少温度)は294℃であった。
【実施例】
【0101】
特性比較
以下、本発明の実施例であるN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を用いたポリアミドについて、各種試験測定を行った。そして、既知の高分子材料の各種試験測定結果との比較を行った。結果を、次の表2に示す。表1において、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、PDIは多分散度である。PDIは、MwをMnで割った値となる。そして、本発明の実施例である前記ポリアミドの引張り試験の試験結果を図17に示す。
【実施例】
【0102】
【表2】
JP0006022475B2_000023t.gif
【実施例】
【0103】
表2に示す既知の高分子材料のうち、Kapton(登録商標)は、石油由来のポリイミドである。Polyamide 11は、天然由来のポリアミドである。Collagen、elastin、keratin、titin、Araneus
viscid silkは、生体由来のタンパク質であり、ポリアミドの一種である。
【実施例】
【0104】
表2に示すとおり、本発明の実施例であるN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を用いたポリアミドは、耐熱温度(10%分解温度)Td10が367℃、ガラス転移温度Tgが273℃であり、従来品に比べて、非常に高い耐熱性を示している。そして、ヤング率Eintが11.6GPa、破断応力σが407MPaであり、従来品に比べて、非常に高い強度を示している。
【実施例】
【0105】
リサイクル性
本発明の実施例であるN,N’-ジアセチル(4,4’-ジアミノトルキシル酸)(DNAc-DATXA)を用いたポリアミドについて、高分子原料に戻す分解経路を、次の反応式(化21)に示す。
【実施例】
【0106】
【化21】
JP0006022475B2_000024t.gif
【実施例】
【0107】
反応式(化21)に示す分解経路によって、本発明に係る前記ポリアミドを、高分子原料に戻すことができる。すなわち、PathAでは、紫外線(波長254nm)を照射して4ACA-dimerとし、その後、塩酸(HCl)を用いて加水分解して4-アミノ桂皮酸(4ACA)に戻して高分子原料としてリサイクルする。PathBでは、塩酸(HCl)を用いて加水分解してDATXA-HClとし、その後、紫外線(波長254nm)を照射することで4-アミノ桂皮酸(4ACA)に戻して高分子原料としてリサイクルする。また、PathBにて、塩酸(HCl)を用いて加水分解してDATXA-HClとしたものを、高分子原料としてリサイクルしてもよい。さらに、PathAにて、紫外線(波長254nm)を照射して4ACA-dimerとしたものを、高分子原料としてリサイクルすることも可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16