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明細書 :塩分濃度測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-040602 (P2017-040602A)
公開日 平成29年2月23日(2017.2.23)
発明の名称または考案の名称 塩分濃度測定装置
国際特許分類 G01N  27/72        (2006.01)
FI G01N 27/72
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2015-163540 (P2015-163540)
出願日 平成27年8月21日(2015.8.21)
発明者または考案者 【氏名】曽根原 誠
【氏名】佐藤 敏郎
【氏名】ゲェン バン トアイ
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
審査請求 未請求
テーマコード 2G053
Fターム 2G053AB01
2G053AB27
2G053BA05
2G053BB11
2G053BC02
2G053BC14
2G053CA03
2G053CB13
2G053CB26
要約 【課題】本発明は、純水から淡水、食塩水に至る塩分を含む水について、非接触で高感度に塩分濃度を測定できる塩分濃度測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る塩分濃度測定装置は、(イ)検出コイル15が、励磁コイル17の巻回の軸方向に対して対称に配置され互いに逆方向に巻回された一対の第1コイル部11と第2コイル部12からなり、(ロ)第1コイル部11の内周側に第1の容器13が配置され、第2コイル部12の内周側に液体試料16を収容する第2の容器14が配置され、(ハ)第1の容器13と第2の容器14は、材料が同じでかつ断面形状が同じであり、(ニ)測定部90が、励磁コイル17から発生する高周波磁界の信号電圧と検出コイル15に生ずる誘起電圧との間の位相差に基づいて液体試料16の塩分濃度を測定することを特徴とする。
【選択図】図5
特許請求の範囲 【請求項1】
液体試料を収容する容器、励磁コイルおよび検出コイルを有する検出部と、前記励磁コイルに電流を印加し高周波磁界を発生させる高周波発生部と、前記高周波磁界により前記検出コイルに生ずる誘起電圧に基づいて前記液体試料中の塩分の濃度を測定する測定部とを備える塩分濃度測定装置であって、
前記検出コイルは、前記励磁コイルの巻回の軸方向に対して対称に配置され互いに逆方向に巻回された一対の第1コイル部と第2コイル部からなり、
前記第1コイル部の内周側に第1の容器が配置され、
前記第2コイル部の内周側に前記液体試料を収容する第2の容器が配置され、
前記第1の容器の材料は、前記第2の容器と同じであり、かつ
前記第1の容器の前記第1コイル部の巻回の軸方向に垂直な断面の形状が、前記第2の容器の前記第2コイル部の巻回の軸方向に垂直な断面の形状と同じであり、
前記測定部は、前記高周波磁界の信号電圧と前記検出コイルに生ずる誘起電圧との間の位相差に基づいて前記塩分の濃度を測定する
ことを特徴とする塩分濃度測定装置。
【請求項2】
前記第2の容器が絶縁体材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の塩分濃度測定装置。
【請求項3】
前記検出コイルが、前記励磁コイルの内周側中央に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の塩分濃度測定装置。
【請求項4】
前記高周波磁界の周波数を1MHzから100MHzの範囲で可変できることを特徴とする請求項2または3に記載の塩分濃度測定装置。
【請求項5】
前記第2の容器の端が開放されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の塩分濃度測定装置。
【請求項6】
前記第1コイル部もしくは前記第2コイル部の一方に、または前記第1コイル部および前記第2コイル部の両方に、タップを設け、前記第1コイル部と前記第2コイル部の巻き数と断面積の積の比を可変できることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の塩分濃度測定装置。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中の塩分の濃度を測定する装置に関する。さらに詳しくは、純水から淡水、食塩水などの塩分を含む水において、非接触で電気伝導率σを検出して水の中の塩分の濃度を高感度に測定できる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な目的で塩分濃度測定が行われている。例えば、海水から脱塩処理して飲用水とする海水淡水化プロセスでは、3.5%の塩分濃度の海水を0.05%以下の塩分濃度の淡水とするため、脱塩処理後に塩分濃度を測定することが行われている。
【0003】
このような塩分濃度測定を行うための一つの原理として、電気伝導率測定法がある。塩分濃度と電気伝度率は、大まかに比例関係にあり、電気伝導率測定法はこの関係を利用して塩分濃度を求めるものである。例えば、塩分濃度が0.05%のときは、電気伝導率σは0.1S/mである。
【0004】
液体の電気伝導率σの測定方法に種々の方法がある。例えば、特許文献1には、一対の電極間に高周波交流電圧を印加し、この電極間に配置された液体試料の抵抗値が液体試料に含まれる塩分の量に応じて変化することを利用して、塩分濃度を測定する塩分濃度測定回路が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている塩分濃度測定回路は、測定部を液体中に入れるため、電極と試料との相互間の接触抵抗によって測定値が影響を受けやすいという問題があり、またメンテナンスや安全性の問題もある。
【0006】
また、特許文献2には、管の周りに巻回された励起コイルと共振コイルを有する装置において、共振コイルの共振特性を検出することにより、管を通る流体流中の塩分の濃度を測定できることが開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載されている方法は、淡水のような僅かな塩分を含む水に対して感度が十分でないという問題がある。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2002-5862号公報
【特許文献2】特表2013-539864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、純水から淡水、食塩水に至る塩分を含む水について、非接触で高感度に塩分濃度を測定できる塩分濃度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明の塩分濃度測定装置は、液体試料を収容する容器、励磁コイルおよび検出コイルを有する検出部と、前記励磁コイルに電流を印加し高周波磁界を発生させる高周波発生部と、前記高周波磁界により前記検出コイルに生ずる誘起電圧に基づいて前記液体試料中の塩分の濃度を測定する測定部とを備える塩分濃度測定装置であって、(イ)前記検出コイルは、前記励磁コイルの巻回の軸方向に対して対称に配置され互いに逆方向に巻回された一対の第1コイル部と第2コイル部からなり、(ロ)前記第1コイル部の内周側に第1の容器が配置され、前記第2コイル部の内周側に前記液体試料を収容する第2の容器が配置され、(ハ)前記第1の容器の材料は、前記第2の容器と同じであり、かつ前記第1の容器の前記第1コイル部の巻回の軸方向に垂直な断面の形状が、前記第2の容器の前記第2コイル部の巻回の軸方向に垂直な断面の形状と同じであり、(ニ)前記測定部は、前記高周波磁界の信号電圧と前記検出コイルに生ずる誘起電圧との間の位相差に基づいて前記塩分の濃度を測定することを特徴とする。
【0011】
第2の発明の塩分濃度測定装置は、第1の発明に係る塩分濃度測定装置において、前記第2の容器が絶縁体材料で構成されることを特徴とする。
【0012】
第3の発明の塩分濃度測定装置は、第2の発明に係る塩分濃度測定装置において、前記検出コイルが、前記励磁コイルの内周側中央に配置されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明の塩分濃度測定装置は、第2または第3の発明に係る塩分濃度測定装置において、前記高周波磁界の周波数を1MHzから100MHzの範囲で可変できることを特徴とする。
【0014】
第5の発明の塩分濃度測定装置は、第2から第4のいずれか一つの発明に係る塩分濃度測定装置において、前記第2の容器の端が開放されていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明の塩分濃度測定装置は、第2から第5のいずれか一つの発明に係る塩分濃度測定装置において、前記第1コイル部もしくは前記第2コイル部の一方に、または前記第1コイル部および前記第2コイル部の両方に、タップを設け、前記第1コイル部と前記第2コイル部の巻き数の比または断面積の比を可変できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、8字型検出コイルの第1コイル部と第2コイル部は、励磁コイルの巻回の軸方向に対して対称に配置され互いに逆方向に巻回され、第1コイル部と第2コイル部の内周側にそれぞれに同じ材料で同じ断面形状の第1の容器と第2の容器が配置されている。よって、液体試料がなければ、高周波磁界により第1コイル部と第2コイル部のそれぞれを周回する誘導電流は、向きが逆であり、第1コイル部と第2コイル部に生じる誘起電圧は互いにキャンセルされる。そして、次に、第2コイル部の内周側に塩分を含む液体試料を第2の容器に入れると、液体試料は電解質であるため、液体試料の内部には誘導電流が生じ、この誘導電流が作る磁界によって8字型検出コイルに液体試料に起因する誘起電圧が生じる。
【0017】
これにより、第1の発明では、高周波磁界の信号電圧と8字型検出コイルに生じる誘起電圧との位相差をエンハンスして検出でき、塩分濃度に応じた液体試料の電気伝導率を測定することができる。その結果、僅かな電気伝導率σの変化に対応する微量の塩分濃度の変化を非接触で高感度に検出することが可能となる。さらに、電気伝導率σが0.1S/mを下回る液体試料でもその塩分濃度を判別することが可能となる。
【0018】
第2の発明によれば、8字型検出コイルの内周側に配置する第1の容器と第2の容器が絶縁体材料で構成されるので、高周波磁界が印加されても第1の容器と第2の容器の内部の誘導電流は小さく測定に対する容器の影響はほとんど生じないという効果がある。
【0019】
第3の発明によれば、検出コイルが励磁コイルの内周側中央に配置されるので、検出コイルおよび液体試料に励磁コイルからの磁界を一様に印加することができ、液体試料の電気伝導率σを精度よく測定できる。
【0020】
第4の発明によれば、高周波磁界の周波数を1MHzから100MHzの範囲で可変できるので、測定対象物の塩分濃度に応じて測定レンジを変えることができ、幅広い範囲の電気伝導率σを有する液体試料を測定することができる。
【0021】
第5発明によれば、端が開放された管を第1の容器と第2の容器として用いるため、液体試料を管の中に流通させれば、液体試料の塩分濃度をリアルタイムで測定することができる。
【0022】
第6発明によれば、8字検出コイルの第1コイル部と第2コイル部の電気的特性が同じであっても、タップを設けて接続を切り替えることができるので、測定対象物の塩分濃度に応じて測定レンジを変え、幅広い範囲の電気伝導率σを有する液体試料を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】8字型検出コイルと外部磁界との関係を示す図である。
【図2】誘導電流密度ieによって生じる磁界Hを説明する図である。
【図3】Aをパラメータとする、外部磁界に対する8字型検出コイルの誘起電圧の位相差θ8と液体試料の電気伝導率σの関係を示す図である。
【図4】周波数fをパラメータとする、外部磁界に対する8字型検出コイルの誘起電圧の位相差θ8と液体試料の電気伝導率σの関係を示す図である。
【図5】第1の実施の形態に係る塩分濃度測定装置を示す模式図である。
【図6】第1の実施の形態において励磁コイルをヘルムホルツコイルとした場合の模式図である。
【図7】第1の実施の形態において一巻毎に8字の平面形状に巻回し形成した検出コイルの模式図である。
【図8】各試料における検出コイルの位相差θ8の測定結果と電気伝導率σとの関係を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る塩分濃度測定装置の検出部の模式図である。
【図10】第3の実施の形態に係る塩分濃度測定装置において検出コイルの巻き数比を変えてAを調整する方法を説明する図である。
【図11】第3の実施の形態に係る塩分濃度測定装置において検出コイルの断面積比を変えてAを調整する方法を説明する図である。
【図12】第4の実施の形態に係る塩分濃度測定装置の検出部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
≪1.各実施の形態に共通の基本的概念≫
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。

【0025】
測定対象物は、塩分を含んだ各種の液体であり、特に限定されないが、例えば、純水、淡水、かん水、海水、食塩水、医療用生理食塩水、食品、農業用水、工業用水、地下水などを挙げることができる。

【0026】
各実施の形態に係る塩分濃度測定装置は、主に8字型検出コイルと励磁コイルと位相検出回路から構成される。その特徴は、8字型検出コイルを形成する同じ形状の2つのコイル部のうち、一方のコイル部の内周側に液体試料を置き、もう一方のコイル部の内周側には液体試料を置かず空気とすることであり、そして8字型検出コイルに生ずる誘起電圧の交流波形と励磁コイルに通電する電流の波形との位相差を検出して塩分濃度を測定することである。

【0027】
この手法により、励磁コイルより発生する外部磁界に対する8字型検出コイルの誘起電圧の位相差がエンハンスされ、僅かな電気伝導率σの変化に対するセンサとして有効である。さらに、電気伝導率σが0.1S/mを下回る液体でも判別できる高感度の塩分濃度測定装置が構成可能となる。

【0028】
≪2.測定原理≫
以下、本発明者が見出した、本発明の実施形態に係る電気伝導率σの測定原理について説明する。

【0029】
<基本的な測定原理>
図1は、互いに逆方向に巻回された円筒状の第1コイル1と第2コイル2からなる8字型検出コイルと励磁コイルより発生する外部磁界Hおよび第2の容器4内に電気導電率σの液体からなる媒質を入れた際に生じる誘導電流により発生する磁界Hの関係である。第1の容器3内は空である。また、外部磁界Hは、極座標系においてz方向成分のみで、かつ一様に分布しており、次式で表される正弦波交番磁界とする。

【0030】
【数1】
JP2017040602A_000003t.gif

【0031】
ここでHzmは外部磁界の振幅値、jは虚数、ωは角周波数、tは時間である。

【0032】
このとき、第1コイル1の両端電圧eは、ファラデー-マクスウェルの式((2)式)より、(3)式で表される。

【0033】
【数2】
JP2017040602A_000004t.gif
(μは真空中の透磁率、4π×10-7H/m)

【0034】
【数3】
JP2017040602A_000005t.gif
(Nはコイルの巻き数、Sはコイルの断面積)

【0035】
さらに、第2コイル2の両端電圧eは、次のように求められる。すなわち、第2の容器4内は食塩水の様な電気導電率σをもち、誘電率εを有する媒質とすると、(2)式とアンペール-マクスウェルの式((4)式)より、(5)式が得られ、媒質内に流れる誘導電流密度ieは(6)式で表される。

【0036】
【数4】
JP2017040602A_000006t.gif
(Dは電束密度)

【0037】
【数5】
JP2017040602A_000007t.gif

【0038】
【数6】
JP2017040602A_000008t.gif

【0039】
(6)式右辺の括弧内をKとおき、面Sに対する面積分をすると次式になる。

【0040】
【数7】
JP2017040602A_000009t.gif

【0041】
(7)式の左辺をストークスの定理を用いると次式になる。

【0042】
【数8】
JP2017040602A_000010t.gif
一方、(7)式の右辺は次式になる。

【0043】
【数9】
JP2017040602A_000011t.gif

【0044】
(8)式および(9)式のそれぞれ右辺同士が等しいので、次式が得られる。

【0045】
【数10】
JP2017040602A_000012t.gif

【0046】
したがって、誘導電流密度iによって生じる磁界Hを図2のように考え、容器の内側の半径をRとするならば、次式で表される。

【0047】
【数11】
JP2017040602A_000013t.gif

【0048】
第2コイル2内の磁界Hは外部磁界Hと(11)式で得られたHの合成であるため、(12)式になり、第2コイル2の両端電圧eは(13)式になる。

【0049】
【数12】
JP2017040602A_000014t.gif

【0050】
【数13】
JP2017040602A_000015t.gif
(Nはコイルの巻き数、Sはコイルの断面積)

【0051】
そうすると、8字型検出コイルは、第1コイル1と第2コイル2が逆極性で接続されたものであり、8字型検出コイルの両端電圧eは次式になる。

【0052】
【数14】
JP2017040602A_000016t.gif

【0053】
ここでコイルの巻き数と面積の積の比N/NをAとおき、両辺をNで割ると、(14)式は、次式になる。

【0054】
【数15】
JP2017040602A_000017t.gif

【0055】
また、Hに対するeの位相差θは(17)式になる。

【0056】
【数16】
JP2017040602A_000018t.gif

【0057】
【数17】
JP2017040602A_000019t.gif

【0058】
さらに、第1コイル1と第2コイル2の巻き数と断面積の積が等しくA=1であるならば、(17)式は次式になり、容器の内側の半径Rに依存しなくなる。

【0059】
【数18】
JP2017040602A_000020t.gif

【0060】
したがって、一般に(17)式を用いて、また特にA=1の場合は(18)式を用いて、外部磁界Hに対する電圧eの位相差θの値から電気伝度率σの値を求めることができる。

【0061】
<8字型検出コイルによる位相差検出の感度増大>
次に、8字型検出コイルにより位相差を検出する場合と、8字型ではなく単一の検出コイルを用いて位相差を検出する場合を比較し、8字型検出コイルによる場合、位相差検出の感度が増大することを説明する。

【0062】
例えば、ω=2πf=2π×10rad/s(f=1MHz)、ε=εε=(36π×10-1×80F/m、R=6.5mm、σ=0.1S/mであるとき、8字型検出コイルによる場合、位相差θの値は、(18)式から、θ≒2.54°となる。

【0063】
一方、単一の検出コイルの場合は、位相差θは、(17)式から次のように導かれる。

【0064】
【数19】
JP2017040602A_000021t.gif

【0065】
容器が空の場合の位相差は90°であるから、容器内の食塩水の有無にかかわらず位相差θは90°でほぼ一定となり、感度は非常に低いことが分かる。

【0066】
したがって、単一の検出コイルを用いて位相差を検出し電気伝導率σを求める場合に比べ、8字型検出コイルにより位相差を検出した場合の方が、高い感度で位相差を検出できることが分かる。

【0067】
<Aをパラメータとした場合の位相差θ8と電気伝導率σの関係>
図3は、(17)式から求めた、Aをパラメータとする、外部磁界に対する8字型検出コイルの誘起電圧の位相差θ8と液体試料の電気伝導率σの関係を示す図である。ω=2πf=2π×10rad/s(f=1MHz)、ε=εε=(36π×10-1×80F/mとした。f=1MHzにおいて、純水、淡水、食塩水の比誘電率εは約80で一定である。

【0068】
図3から、Aが1に近づき大きくなるにしたがい、小さい電気伝導率σに対して、位相差θ8は高い感度を示す。例えば、0.05%の塩分濃度の淡水の電気伝導率σは0.1S/mに相当し、塩分濃度0.05%以下の淡水の測定に対しては、Aが0.9999以上であることが好適であることが分かる。A=1のときは、電気伝導度σは1mS/m~0.1S/mの範囲で測定が可能である。

【0069】
また、大きい電気伝導率σに対して、例えば、100S/m~1kS/mの電気伝導率σの測定に対しては、A を0.99にすることが好適であることが分かる。

【0070】
このように、測定対象物の電気伝導率σに応じてAを1から0.99の範囲で調整し設計すれば、1mS/mから1kS/mの広い範囲で電気伝導率σを測定することが可能となる。

【0071】
<周波数fをパラメータとした場合の位相差θ8と電気伝導率σの関係>
図4は、(17)式から求めた、周波数fをパラメータとする、外部磁界に対する8字型検出コイルの誘起電圧の位相差θ8と液体試料の電気伝導率σの関係を示す図である。A=1、容器の内半径R=6.5mm、ε=εε=(36π×10-1×80F/mとした。周波数fの範囲は、1MHz~100MHzの範囲が望ましい。周波数fが1MHz~100MHzでは、純水、淡水、食塩水において比誘電率εは約80で一定であり、設計が容易となる利点がある。

【0072】
図4から、周波数fが高くなるにしたがい、位相差θ8が大きく変化する電気伝導率σの領域が電気伝導率σの大きい方へ移動し、周波数fを変えることによって、高感度に電気伝導率σを測定できる領域を可変できることが分かる。このように、測定対象物の電気伝導率σの範囲に応じて、周波数fを変えることで、高感度に電気伝導率σを測定することが可能となる。

【0073】
<容器の内側の半径Rをパラメータとした場合の位相差θ8と電気伝導率σの関係>
(17)式には、容器の内側の半径Rを変数として含まれているので、周波数fの場合と同様に、半径Rを変えることで位相差θ8が大きく変化する電気伝導率σの領域を移動させることができる。そこで、測定対象物である液体試料の電気伝導率σの測定範囲に応じて、第2の容器の内側の半径Rを設計し、高感度に電気伝導率σを測定することが可能である。

【0074】
≪3.各実施の形態の具体的な内容≫
次に、上記説明した測定原理に基づいて、塩分濃度を測定するための塩分濃度測定装置の各実施の形態の具体的内容について説明する。

【0075】
≪第1の実施の形態≫
<構成>
本発明の第1の実施の形態に係る塩分濃度測定装置は、図5に示すように、検出部10、高周波発生部80および測定部90から構成される。以下、各部について説明する。

【0076】
(検出部)
検出部10は、励磁コイル17、検出コイル15と液体試料16が収納される第2の容器14と空の第1の容器13から構成される。

【0077】
(検出部-励磁コイル)
励磁コイル17は、検出コイル15及び液体試料16に一様な磁界を印加できれば、その構造は任意であるが、例えば、図5に示すように、導線を一定の直径の円筒状に巻回して形成されるソレノイドコイルとすることができる。励磁コイル17には、高周波発生部80のパワーアンプ81から出力された電流を流すことで、励磁コイル17の内部には、その軸方向に沿った高周波磁界が形成される。

【0078】
また、励磁コイル17を、図6に示すようなヘルムホルツコイル17aとすることもできる。この場合は、2つのコイルの間の空間が生じ、この2つのコイルの間から試料を容易に交換することができ、交換作業が簡便となるという利点がある。

【0079】
(検出部-検出コイル)
検出コイル15は、互いに逆方向に巻回されて直列に接続された一対の第1コイル部11と第2コイル部12から成り、8字型の形状を成す。例えば、図5においては、第1コイル部11は、時計回りの方向に巻回され、第2コイル部12は、反時計回りの方向に巻回されている。

【0080】
第1コイル部11と第2コイル部12は、互いに同じ断面形状であればその構造は任意であり、その断面形状は、四角形等の多角形、楕円形、円形等の何れであってもよい。例えば、図5では、第1コイル部11と第2コイル部12は、導線を一定の直径の円筒状に巻回され、その断面は円形となっている。

【0081】
第1コイル部11を構成する導線の径および材質、ならびに第1コイル部の内径、外径および長さ11Lのそれぞれは、第2コイル部12を構成する導線の径、および材質、ならびに第2コイル部12の内径、外径および長さ12Lのそれぞれと等しくなっている。第1コイル部11の巻き数と第2コイル部12の巻き数は、それぞれ所定の値に設定されている。

【0082】
第1コイル部11と第2コイル部12は、励磁コイル17により生じる高周波磁界が、第1コイル部11と第2コイル部12に一様にかつ同じ強度で印加されば、励磁コイル17との位置関係は任意である。しかし、第1コイル部11と第2コイル部12は、例えば、図5に示すように、励磁コイル17の内周側中央に配置され、第1コイル部11の巻回の軸方向と、第2コイル部12の巻回の軸方向と、励磁コイル17の巻回の軸方向とは略並行になるように、励磁コイル17の巻回の軸方向に直交する方向で励磁コイル17の軸方向に対して同じ位置に隣接配置されていることが好ましい。さらに、第1コイル部11の長さ11Lと第2コイル部12の長さ12Lは、励磁コイル17の長さ17Lより小さいことが好ましい。

【0083】
また検出コイル15の他の例として、図7に示すように、一巻毎に8字の平面形状に巻回し第1コイル部11aと第2コイル部12aを形成した8字型コイルとすることもできる。

【0084】
(検出部-液体試料を収容する容器)
第1コイル部11の内周側に第1の容器13が配置され、第2コイル部12の内周側に第2の容器14が配置されている。

【0085】
図5では、第1コイル部11および第2コイル部12から第1の容器13および第2の容器14を容易に取り外しできるようにするため、第1の容器13および第2の容器14の外径は、第1コイル部11および第2コイル部12の内径より小さくしている。しかし、第1コイル部11および第2コイル部12を第1の容器13および第2の容器14に直接巻回し、第1の容器13および第2の容器14の外径を第1コイル部11および第2コイル部12の内径と同じとしてもよい。

【0086】
第2の容器14には、測定対象物である塩分を含む液体試料16が中に充填され収容されている。第2の容器14は、測定対象物の液体試料16を一定の形状にするためのものである。すなわち、第2コイル部の巻回の軸方向に垂直な液体試料16の断面の形状を定め、かつ第2の容器14の内部の液体試料16の密度が一様になるように設けられている。第2の容器14の形状は、特に限定されるものではないが、円柱状または多角柱状であることが一般的であって、後述の電気伝導率σの算出が容易であることから、図5に示すように、円柱状であることが好ましい。

【0087】
また、検出コイル15において第2の容器14の及ぼす影響をキャンセルし小さくするため、中身が空の第1の容器13が第1コイル部11の内周側に配置されている。第1の容器13は、第2の容器14と同じ材料から構成され、かつ第1の容器13の第1コイル部の巻回の軸方向に垂直な断面の形状は、第2の容器の第2コイル部の巻回の軸方向に垂直な断面の形状と同じとなっている。すなわち、第1の容器13と第2の容器14の断面の各寸法が同じであり、例えば円筒状の容器の場合は、円筒の外径、内径および厚みが同じである。

【0088】
第1の容器13と第2の容器14の断面方向の厚みは、任意であるが、薄ければ容器の塩分濃度測定に及ぼす影響を小さくでき、薄くすることが好ましい。したがって、第1の容器13と第2の容器14を薄い膜でそれぞれ形成してもよい。

【0089】
第1の容器13と第2の容器14は、容器自身の電気的性質が塩分濃度の測定値に与える影響を小さくするため、絶縁体材料で構成される。すなわち、第1の容器13と第2の容器14は、電気伝導率σが10-4S/m以下の絶縁体材料で構成され、さらに電気伝導率σが10-6S/m以下の絶縁体材料で構成されることが好ましい。

【0090】
そして、さらに、第1の容器13と第2の容器14について、容器自身の電気的・磁気的性質の影響を小さくするため、第1の容器13と第2の容器14は、比透磁率μrが1以上3以下の非磁性の材料で、かつ比誘電率εrが1以上80以下の材料で構成されることが好ましい。

【0091】
第1の容器13と第2の容器14は、例えば、石英、ガラス、アルミナ、プラスチック、エポキシ樹脂などの材料から適宜選択して用いることができる。

【0092】
(高周波発生部)
高周波発生部80は、パワーアンプ81にファンクションジェネレータ82が接続されて構成されている。パワーアンプ81は、直列共振を取らせるために励磁コイル17に直列にコンデンサCを入れ、励磁コイル17に高周波の正弦波交流電流を印加する。その周波数fは、ファンクションジェネレータ82によって制御されている。

【0093】
図4の結果から、周波数fを変えることで、高感度に電気伝導率σを測定できるレンジを変えることができる。したがって、測定対象物の液体試料の塩分濃度、すなわち電気伝導率σに応じて、高い測定感度が得られるよう周波数fを調整することが可能である。

【0094】
(測定部)
測定部90は、位相検出器91と塩分濃度換算器92で構成される。位相検出器91は、バッハァとバンドパスフィルタ(BPF)を介して検出コイル15に接続されている。さらに位相検出器91は、バッハァを介してパワーアンプ81に接続した終端抵抗Rに接続されている。位相検出器91は、高周波磁界の信号電圧と検出コイル15に生ずる誘起電圧との間の位相差を検出する。次に、塩分濃度換算器92において、予め作成された位相差と液体試料の電気伝導率σの検量線より液体試料の塩分濃度を換算する。

【0095】
<実験結果>
次に、第1の実施の形態に係る塩分濃度測定装置を用いて行われた本発明者による実験の結果について説明する。

【0096】
表1は、実験で用いた励磁コイルと8字型検出コイルの諸元である。励磁コイルと検出コイルは、アクリル樹脂からなり、端部に蓋をした底のある円筒状のパイプに巻回して作製した。パイプは、液体試料を収容する容器として兼用した。パイプ容器の外径、すなわち検出コイルの片側のコイル部の内径は、16mmであり、パイプ容器の内径、すなわち収容された液体試料の直径は、13mmである。

【0097】
【表1】
JP2017040602A_000022t.gif

【0098】
励磁コイルには、パワーアンプ電源から振幅0.5A、周波数1MHzの交流電流を印加した。コンデンサCには350pFのバリアブルコンデンサを、終端抵抗Rには2Ωの抵抗を用い、終端抵抗Rの両端電圧と検出コイルの誘起電圧を位相検出器に入力し、出力電圧V0を測定した。位相検出器にはアナログ・デバイセズ社製の位相検出器AD8302、バッハァにはテキサス・インスツルメンツ社製の高速オペアンプTHS4001IDを使用し、バンドパスフィルタ(BPF)はチップインダクタとチップコンデンサで構成した。

【0099】
塩分を含む水の試料として、塩分濃度が異なる8種類の試料を使用し、試料の電気伝導率σを、商用の電気伝導率計(HORIBA:B771)を用いて予め測定しておいた。塩分濃度と測定した電気伝導率σとの関係は、表2に示すとおりである。

【0100】
【表2】
JP2017040602A_000023t.gif

【0101】
図8は、各試料における、位相検出器の出力電圧V0、8字型検出コイルの位相差θ8の測定結果と電気伝導率σとの関係を示す図である。位相差θ8が90°より大きい値を示しているが、これは、位相検出器の回路の構成上、正負が逆になっているためである。

【0102】
図8から分かるように、試料の電気伝導率σが小さくなるにしたがい、位相差θ8が減少し、0.1S/m以下では急激に変化している。また図8から、塩分濃度は、電気伝導率σにほぼ比例して増大しているのが分かる。

【0103】
したがって、この位相差θ8すなわち出力電圧V0と電気伝導率σの関係および塩分濃度と電気伝導率σの関係を予めデータとして塩分濃度換算器に保持しておき、実際の測定対象物の液体試料を測定して位相差θ8から取得された電気伝導率σと比較することで、測定対象の液体試料の塩分濃度を特定することが可能になる。

【0104】
<効果>
以上のように、8字型検出コイルの片側の容器は空にし、もう片側の容器に測定対象物の液体試料を収容して、8字型検出コイルに生ずる出力電圧の交流波形と励磁コイルに通電する電流の波形との位相差θ8を検出することにより、電気伝導率が0.1S/m以下、すなわち塩分濃度が0.05%以下のわずかな塩分を測定することが可能となる。

【0105】
≪第2の実施の形態≫
<構成>
第1の実施の形態に係る塩分濃度測定装置では、図5に示すように、第1の容器と第2の容器は、一端が開放されていない底があるものであったが、これを、端が開放されて底がないものとしてもよい。

【0106】
すなわち、本発明の第2の実施の形態では、図9に示すように、第1の容器と第2の容器を底のない管とする。この場合、第1の管23と第2の管24は、材質・断面形状は同じである。測定対象の液体試料26は、第1の管23の中を流通するようになっている。第2の管24の中は空となっている。

【0107】
高周波発生部、検出部の励磁コイルおよび検出コイルならびに測定部などの構成は、図5に示した塩分濃度測定装置の構成と同様であるので、説明を省略する。

【0108】
<効果>
容器は、穴の空いた管となっているので、液体試料を管の中を流通させることが可能となる。この構成は、水処理プロセス等、例えば、海水から脱塩処理して飲用水とする海水淡水化プロセスにおいて、液体試料を連続的に測定する際には好適である。

【0109】
すなわち、海水淡水化システムにおいて、海水を淡水化するための水処理フィルタを通過した後の淡水が検出コイル25の第2コイル部22内の第2の管24の中を通過するように、第2の実施の形態に係る塩分測定装置を配置する。そして、第2の管24内の淡水の塩分濃度を連続的に測定することによって、淡水化処理後の淡水の塩分濃度をリアルタイムに計測することが可能となる。

【0110】
≪第3の実施の形態≫
<構成>
図3の結果から、測定対象物の液体試料の電気伝導率σに応じてAを設計し、測定範囲を変えて、高感度に電気伝導率σを測定することが可能となる。

【0111】
そこで、本発明の第3の実施の形態においては、Aを調整する手段を検出コイルに設ける。以下、その手段、構成について説明する。検出コイル以外の高周波発生部、励磁コイルおよび測定部などの構成は、図5に示した塩分濃度測定装置の構成と同様であるので、説明を省略する。

【0112】
(コイルの巻き数比を可変)
Aを調整する手段として、検出コイルの第1コイル部あるいは第2コイル部または両方のコイル部にタップを設け、タップを切り替えることにより、第1コイル部と第2コイル部のコイルの巻き数比を変える方法がある。

【0113】
図10は、第1コイルまたは第2コイル部において、最終巻きのコイルを実線、それ以外のコイルを点線で模式的に示したものである。

【0114】
図10では、第1コイルまたは第2コイル部のコイルの終端38に、タップ39を直列に4個設けた構造となっているが、タップ39の数は、この例の数に限定されない。多段に切り替え可能とするためタップは多数設けることが好ましい。また、第1コイル部と第2コイル部のコイル巻き数を初期値として同じ値とし、その後、Aの値を1に限りなく近い値、例えば、0.9999などの値に調整したいような場合は、その調整が容易な点から、図10のように、第1コイル部または第2コイル部のコイルの終端の部分にタップを設けることが好ましい。

【0115】
(コイルの断面積比を可変)
Aを調整する他の手段として、検出コイルの第1コイル部あるいは第2コイル部または両方のコイル部にタップを設け、タップを切り替えることにより、第1コイル部と第2コイル部のコイルの断面積比を変える方法がある。

【0116】
図11は、第1コイルまたは第2コイル部において、最終巻きのコイルを実線、それ以外のコイルを点線で模式的に示したものである。

【0117】
図11では、第1コイル部または第2コイル部のコイルの終端38aに、タップ39aを3個設け、コイルに対して内側のタップに接続した場合は、コイルの断面積は小さくなり、外側のタップに接続した場合は、コイルの断面積は大きくなるようになっている。したがって、どのタップに接続するかで、コイルの断面積は変わり、そして第1コイルと第2コイル部のコイルの断面積比が変化し、その結果、Aの値を変えることができる。

【0118】
なお、図11の例ではタップ39aの数は3個であるが、タップの数はこの例に限定されない。多段に切り替え可能とするためタップは多数設けることが好ましい。

【0119】
また、コイルの巻き数比とコイルの断面積比を別々ではなく一緒に変える場合、タップ39aまでのコイルの終端部分において、図10の例のようにコイル線に複数のタップも設けて、コイルの断面積比を変えると同時に巻き数比も変えることができる。

【0120】
<効果>
第3の実施の形態に係る塩分濃度測定装置では、液体試料と異なる塩分濃度を有する他の液体試料に変えても、検出コイルを交換することなくそのまま装着したままで、Aを調整することにより、他の液体試料の塩分濃度を測定することができる利点がある。

【0121】
≪第4の実施の形態≫
<構成>
第2の実施の形態に係る塩分濃度測定装置では、図9に示すように、液体試料と検出コイルはそれぞれ1つであったが、これらを複数備えてもよい。

【0122】
すなわち、本発明の第4の実施の形態に係る塩分濃度測定装置では、検出部は、例えば、図12に示すように、励磁コイル47の内周側に、(イ)液体1からなる第1の液体試料46、液体1が流通する第2の管44、および第1コイル部41と第2コイル部42からなる第1の検出コイル45を備え、それに加え、(ロ)液体2からなる第2の液体試料56、液体2が流通する第3の管54、および第3コイル部51と第4コイル部52からなる第2の検出コイル55を備える。

【0123】
第1コイル部41と第2コイル部42のコイルの巻き数および断面積は、第3コイル部51と第4コイル部52のコイルの巻き数および断面積と異なっていてもよい。また、第2の管44と第3の管54の材料および断面形状も異なっていてもよい。

【0124】
また、図12に示すように、第1コイル部41と第3コイル部51の内周側に共通の第1の管43を配置し、第2の管44と第3の管54の材料および断面形状を同じとしてもよい。

【0125】
さらに、第1の検出コイル45と第2の検出コイル55は、励磁コイル47により生じる高周波磁界が、一様にかつ同じ強度で印加されるよう、励磁コイル47の内周側中央に配置されている。そして、第1の検出コイル45の上端から第2の検出コイル55の下端までの距離48Lは、励磁コイル47の長さ47Lより小さいことが好ましい。

【0126】
なお、図12においては、励磁コイル47はソレノイドコイルであり、第1の検出コイル45の外側に巻回される励磁コイル47の上部と第2の検出コイル55の外側に巻回される励磁コイル47の下部との間に形成されている励磁コイル47の部分は省略されている。

【0127】
また、図12に示す例では、励磁コイル47は、ソレノイドコイルであるが、第1の検出コイル45と第2の検出コイル55に一様な高周波磁界を印加できれば、その構造は任意である。励磁コイル47は、例えば、図6に示すようなヘルムホルツコイルであってもよい。励磁コイル47が、ヘルムホルツコイルの場合は、2つのコイルの間から、第2の管44および第3の管54を曲げて取り出すことができる。

【0128】
さらに、第1の検出コイル45と第2の検出コイル55は、特に図示しないが、図5に示すような測定部に接続されている。この場合、第1の検出コイル45と第2の検出コイル55にそれぞれ異なる測定部が接続されていてもよいし、また第1の検出コイル45と第2の検出コイル55に1つの測定部が共通して接続されていてもよい。

【0129】
第1の検出コイル45と第2の検出コイル55に1つの測定部が共通して接続する場合は、切替え手段によって、第1の検出コイル45と第2の検出コイル55の接続を切り替え、液体1または液体2の塩分濃度を測定できる。

【0130】
その他、高周波発生部などの構成は、図5に示した塩分濃度測定装置の構成と同様であるので、説明を省略する。

【0131】
<効果>
第4の実施の形態に係る塩分濃度測定装置では、1つの励磁コイルの内周側に複数の液体試料と検出コイルを備えるため、1台の塩分濃度測定装置で、複数の液体試料の塩分濃度を測定できる。例えば、海水淡水化システムにおいて、海水を淡水化するための水処理フィルタが多段に設けられているような場合、各段を通過する淡水の塩分濃度を1台の塩分濃度測定装置で測定することができ、低コストで効率よく淡水の塩分濃度を評価することが可能となる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明に係る塩分濃度測定装置は、僅かな電気伝導率σの変化に対するセンサとして有効であり、電気伝導率σが0.1S/mを下回る液体でも判別できる非接触で高感度の塩分濃度測定装置が構成可能とする。
【0133】
さらに、交流の周波数や8字型検出コイルの巻き数比や断面積比を変えることによって塩分濃度の測定範囲を変更することができ、1mS/mから1kS/mまでの幅広い電気伝導率σを有する液体でも測定できる塩分濃度測定装置が構成可能とする。
【0134】
よって、本発明に係る塩分濃度測定装置は、主に飲料水としての海水淡水化プラントでの製造プロセス、主に工業用水としての超純水製造装置における水質検査、食品の製造現場、医療用途、水質環境モニタリング等の分野で利用が可能である。
【符号の説明】
【0135】
1 第1コイル
2 第2コイル
3 第1の容器
4 第2の容器
10 検出部
11 第1コイル部
11L 第1コイル部の長さ
11a 第1コイル部
12 第2コイル部
12L 第2コイル部の長さ
12a 第2コイル部
13 第1の容器
14 第2の容器
15 検出コイル
15a 検出コイル
16 液体試料
17 励磁コイル
17L 励磁コイルの長さ
17a ヘルムホルツコイルの励磁コイル
21 第1コイル部
22 第2コイル部
23 第1の管
24 第2の管
25 検出コイル
26 液体試料
27 励磁コイル
38 第1コイルまたは第2コイル部のコイルの終端
38a 第1コイルまたは第2コイル部のコイルの終端
39 タップ
39a タップ
41 第1コイル部
42 第2コイル部
43 第1の管
44 第2の管
45 第1の検出コイル
46 第1の液体試料
47 励磁コイル
47L 励磁コイルの長さ
48L 第1の検出コイルの上端から第2の検出コイルの下端までの距離
51 第3コイル部
52 第4コイル部
54 第3の管
55 第2の検出コイル
56 第2の液体試料
80 高周波発生部
81 パワーアンプ
82 ファンクションジェネレータ
90 測定部
91 位相検出器
92 塩分濃度換算器

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11