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明細書 :合わせガラスからガラスを回収する方法及び回収するための処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-172246 (P2016-172246A)
公開日 平成28年9月29日(2016.9.29)
発明の名称または考案の名称 合わせガラスからガラスを回収する方法及び回収するための処理装置
国際特許分類 B09B   5/00        (2006.01)
C03C  27/12        (2006.01)
B29B  17/02        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
FI B09B 5/00 ZABZ
C03C 27/12 Z
B29B 17/02
B09B 3/00 Z
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2015-182488 (P2015-182488)
出願日 平成27年9月16日(2015.9.16)
優先権出願番号 2015052995
優先日 平成27年3月17日(2015.3.17)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】水口 仁
【氏名】高橋 宏雄
【氏名】金子 正彦
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
審査請求 未請求
テーマコード 4D004
4F401
4G061
Fターム 4D004AA07
4D004AA18
4D004BA10
4D004CA02
4D004CA22
4D004CA24
4D004CA32
4D004CB04
4D004CB32
4D004CB41
4D004CC02
4D004CC11
4D004DA02
4D004DA06
4F401AA15
4F401AA16
4F401AA26
4F401AA28
4F401AD01
4F401AD08
4F401BA13
4F401CA70
4F401CA75
4F401CA87
4F401CB02
4F401CB14
4F401DA01
4F401EA17
4F401EA18
4F401EA38
4F401FA01Y
4G061CD18
要約 【課題】合わせガラスのリサイクルにおいて、合わせガラス中のポリマーを完全分解してガラスを低コストで短時間に回収する方法を提供する。
【解決手段】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させ、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去し、解体物からガラスを回収する。合わせガラスを鉛直方向に配置することにより、ポリマー除去後の2枚のガラスを分離して回収しやすくなる。
【選択図】図8
特許請求の範囲 【請求項1】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させる工程と、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱し、前記合わせガラスを相互に接着するポリマーを分解除去する工程と、解体物からガラスを回収する工程と、を備えることを特徴とする合わせガラスからガラスを回収する方法。
【請求項2】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させる工程と、前記合わせガラスが鉛直方向になるように前記合わせガラスを設置する工程と、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱し、前記合わせガラスを相互に接着するポリマーを分解除去する工程と、解体物からガラスを回収する工程と、を備えることを特徴とする合わせガラスからガラスを回収する方法。
【請求項3】
前記合わせガラスの側面を前記酸化物半導体の懸濁液にディップ・コーティングする方法により、前記合わせガラスの側面に酸化物半導体を付着させることを特徴とする請求項1または2に記載の合わせガラスからガラスを回収する方法。
【請求項4】
前記被処理物は前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体に包囲され、前記構造体は酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の合わせガラスからガラスを回収する方法。
【請求項5】
酸素存在下において、前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去する過程は、前記被処理物を一定速度で搬送する連続処理装置に導入し、前記連続処理装置内の前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度領域に滞在する期間において行われ、
前記解体物からガラスを回収する過程は、前記連続処理装置内の分別回収部において、ガラスを回収することにより、分別・回収されることを特徴とする請求項1または請求項3ないし5に記載の合わせガラスからガラスを回収する方法。
【請求項6】
被処理物である合わせガラスのの少なくとも1つの側面に酸化物半導体の分散膜を塗布し、前記被処理物の側面に前記酸化物半導体を接触させた状態で、前記被処理物を一定速度で搬送する搬送装置と、
前記被処理物を、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱する加熱処理部と、
前記加熱処理部内にエアを供給するエアの供給機構と、
前記加熱処理部において前記被処理物中のポリマーを分解除去して得られる解体物から、ガラスを回収する回収部とを備えることを特徴とする合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。
【請求項7】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を接触させた状態で、前記合わせガラスが鉛直方向になるように前記合わせガラスを設置する加熱処理室を有し、
前記加熱処理室において前記被処理物は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱され、
前記加熱処理室は外部からエアを供給するエアの導入口と加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、
前記加熱処理室において前記被処理物中のポリマーを分解除去して得られる解体物から、ガラスを回収することを特徴とする合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。
【請求項8】
前記加熱処理部または前記加熱処理室の排気口には、前記酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記構造体が、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることによって、前記加熱処理部または前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化されることを特徴とする請求項6または7に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。
【請求項9】
前記被処理物は前記半酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体に包囲され、前記構造体は前記加熱処理部または前記加熱処理室内において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱されることを特徴とする請求項6ないし8に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。
【請求項10】
前記加熱処理部または前記加熱処理室はエアの導入口と排気口および被処理物を通過させる入口扉と出口扉を有する処理室であり、前記入口扉から前記被処理物が導入された後に前記入口扉が閉じ、前記入口扉と前記出口扉が閉じ、前記被処理物が停止した状態で前記被処理物中のポリマーが分解除去され、得られた解体物は出口扉から搬出されることを特徴とする請求項6ないし9に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。
【請求項11】
前記加熱処理室内の前記排気口の近くに前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が配置され、前記構造体は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱されることにより排気口へ導かれるガスを浄化することを特徴とする請求項7または8に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。
【請求項12】
1つの側面に前記酸化物半導体の分散膜を塗布した前記合わせガラスが、鉛直方向になるように前記加熱処理室内に複数枚数設置されることを特徴とする請求項7若しくは8または請求項11に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。
【請求項13】
被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料の表面にのみ酸化物半導体を接触させ、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、前記被処理物を設置する加熱処理室を有し、前記加熱処理室は外部からエアを供給するエアの導入口と加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、前記加熱処理室において前記被処理物は、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物中のポリマーが分解され、前記加熱処理室内の前記排気口の近くに前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が配置され、前記構造体は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより排気口へ導かれるガスが浄化され、前記加熱処理室の前記排気口には、前記酸化物半導体を担持した通気性を有する前記構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記構造体が、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることによって、前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化されることを特徴とするプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラスからガラスを回収する方法及び回収するための処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者の一人は有機物、ポリマー、ガス体等の被処理物を分解する方法として、半導体を真性電気伝導領域となる温度に加熱して電子・正孔キャリアーを大量に発生させ、被処理物を加熱処理により発現した強力な酸化力を持つ正孔に接触させ、酸素の存在下において被処理物を完全分解する処理方法(半導体の熱活性法,Thermal Activation of Semi-Conductors,以後TASCと略称する)について提案した(特許文献1、非特許文献1)。TASC法で使用できる半導体は高温、酸素雰囲気で安定な半導体であれば良い。従って、酸化物半導体が好んで用いられる。酸化物半導体の例として、BeO、CaO、CuO、CuO、SrO、BaO、MgO、NiO、CeO、MnO、GeO、PbO、TiO、VO、ZnO、FeO、PdO、AgO、TiO、MoO、PbO、IrO、RuO、Ti、ZrO、Y、Cr、ZrO、WO、MoO、WO、SnO、Co、Sb、Mn、Ta、V、Nb、MnO、Fe、YS、MgFe、NiFe、ZnFe、ZnCo、MgCr、FeCrO、CoCrO、CoCrO、ZnCr、CoAl、NiAl等がある。この中で、酸化クロム(Cr)は高温安定性(融点:約2200℃)に優れ、さらに飲料用のガラス瓶の染色にも使われる安全な材料である。また、酸化鉄(α-Fe:ヘマタイト)は安全で廉価な材料であるので実用性が高い。
【0003】
TASC法において用いられる酸化物半導体は室温においては絶縁体に近い電気抵抗値を示すが、温度上昇に伴い価電子帯から伝導帯へのバンド間遷移(真性伝導)が顕著になり、350-500℃では価電子帯と伝導帯に、それぞれ、大量の正孔(電子の抜けた孔)と電子が生成される。価電子帯に発生した正孔は強力な酸化力を有し、ポリマー等から結合電子を奪い、ポリマー内に不安定なカチオン・ラジカルを形成させる。次に、このラジカルが被分解物であるポリマー内を伝播することによりポリマー全体を不安定化し、ポリマーは自滅するような形でエチレンのような小分子に裁断化(ラジカル開裂)され、空気中の酸素と反応して水と二酸化炭素に完全分解される。つまり、分解過程は正孔の酸化力によるラジカルの形成、ラジカル開裂によるフラグメント化、そして裁断化された分子と酸素との完全燃焼の3つから構成される。本手法はポリマーの厚みが20mm以上でもラジカルの伝播が起こり、被分解物の内部まで分解効果が及ぶのが特徴である。
また、繊維強化プラスチックに同じTASC法を用いて、プラスチックを完全分解し、カーボン・ファイバーやグラス・ファイバー等の強化繊維をほぼ無傷で完全回収する方法を提案した(特許文献2、非特許文献2)。この方法は、強化繊維プラスチック材の強度の源である長繊維を切断することなく、そのままの状態で回収できるので、コスト高のカーボン・ファイバー等のリサイクルには非常に有用である。さらに、強化繊維に限らず、無機物とポリマー等から構成される複合材料から、無機物だけを回収できる普遍性のある方法である。
【0004】
建築物の窓ガラス、自動車のフロントガラス等の安全ガラスに用いられている合わせガラスは、複数枚、多くの場合は2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を配置して形成される。その中間膜としては、ポリビニルブチラール樹脂等の、接着性が高く、しかも紫外線の照射でも黄変しない熱可塑性樹脂が一般的に使用されている。
【0005】
使用期限が過ぎて市場から回収された合わせガラス、及び製造過程で、寸法、外観の不具合等で不要となった合わせガラスは、ガラス板と中間膜を容易に分離することができないために、そのほとんどは地中に埋め立て処理されている。また、合わせガラスを粉砕した後のガラス片が付着した中間膜については、焼却等による廃棄処分が行われることもある。しかし、上記のように、不要となった合わせガラスを地中に埋めると、環境破壊の問題を招来する。また、ガラス片が付着した中間膜を焼却処分すると、未溶融のガラスがガラス粉塵となって大気を汚染するという問題がある。一方、溶融したガラスは燃焼ストーカに堆積して燃焼装置の運転に支障をきたす等の問題がある。
【0006】
そこで、従来より、合わせガラスからガラスを回収する方法が種々提案されている。特開平6-345499号公報には、ガラス軟化温度以下である150~200℃にまず加熱し、その後、合わせガラスの2枚のガラス板の間の中間膜層に、ニクロム線等の加熱線を500℃以上に加熱して押し当て、合わせガラスを移動させて溶融切断し、ガラス板と中間膜とを分離する方法が記載されている。処理速度を上げられないので、大量に処理するには適していない。また、特開2002-79209号公報には合わせガラスを破砕処理後に10Paに減圧して炉内を実質的に無酸素状態にして400℃に加熱し、分離したケイ酸塩ガラスから中間膜成分を真空蒸留装置によって液化・回収する方法が記載されている。真空度によっては中間膜の炭化が生ずるとされ、また分離後に中間膜を完全に回収するには困難が伴う。特開2007-260566号公報には切断・破砕したガラス製品を加熱処理装置によってガラス軟化点以上の温度雰囲気で加熱し、ガラス製品に付着している有機化合物又は高分子化合物を加熱分解した後、ガラス製品がガラス軟化点に達する前にガラス製品を加熱処理装置から取り出す方法が記載されている。切断・破砕機によってまず約5×15cmの短冊状に切断され、次に回転カッタの剪断力により、ガラスは破砕され、約1~2cm角サイズのガラスカレットが中間フィルムに接着された状態の合わせカレットとなるプロセスを踏むとされており、非常に手間のかかる処理方法である。
【0007】
そこで、合わせガラスからポリマー中間膜を除去する方法として、本出願の方法である「半導体の熱活性技術(TASC)」を適用するならば、TASC法はポリマーを水と二酸化炭素に完全分解するクリーンな技術であるので、合わせガラスからガラスを容易にかつ安価に回収するシステムを構築しうる。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特許第4517146号
【特許文献2】特開2013-146649号公報
【特許文献3】特開平6-345499号公報
【特許文献4】特開2002-79209号公報
【特許文献5】特開2007-260566号公報
【0009】

【非特許文献1】T. Shinbara, T. Makino, K. Matsumoto, and J. Mizuguchi: Complete decomposition of polymers by means of thermally generated holes at high temperatures in titanium dioxide and its decomposition mechanism, J. Appl. Phys. 98, 044909 1-5 (2005)
【非特許文献2】水口 仁:半導体の熱活性によるFRPの完全分解とリサイクル技術、加工技術 47巻, 37-47 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、合わせガラスのリサイクルにおいては、ガラス板と中間膜を分離して中間膜を除去することが容易にできないためにガラスを回収することが困難であり、回収の実用化を妨げていた。この問題を解決し、合わせガラス中のポリマーを完全分解してガラスを回収する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、半導体の熱活性技術(TASC)を合わせガラスの解体に適用し、被処理物である合わせガラスの側面、つまり、中間膜が露出している部分に酸化物半導体を接触させ、酸素存在下において、酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で被処理物を加熱することにより、ポリマーを完全分解してガラスを回収する。
【0012】
合わせガラスは、2枚の強化ガラスの間にポリマーシートが挟まれた構造を有する。 本発明者は、このような合わせガラスからポリマーを完全分解して除去し、ガラスを回収するために、鋭意実験を重ね、以下の経緯を経て本発明に至った。
TASC法によるポリマーの分解は、
【0013】
で述べたように、正孔の酸化により生成したラジカルがポリマーから結合電子を奪い、ポリマーを不安定化して小分子に裁断されるプロセスである。その際、ラジカルは20mm以上でも伝播すると述べた。本課題では、ラジカルがどの程度の距離を中間膜の中で伝播できるかが、問題解決の鍵となる。
【0014】
上述した合わせガラスの構造から、仮に、上部または底部のガラス面に酸化物半導体を接触させても、無機物であるガラスには半導体の熱活性効果は働かない。ポリマーを分解するためには合わせガラス片(120×120×5mm)の側面に酸化物半導体を接触させるしかない。そこで、合わせガラスの横方向の4辺に酸化物半導体の分散膜を中間膜に接触させるように塗布し、合わせガラスを水平においてラジカルを横方向に走らせる実験を行った。当初は20mmをはるかに越える距離、例えば60mm以上までラジカルが走破するとは見通せなかった。しかし、実際のTASC処理の結果、驚くべきことに、合わせガラスの中間膜は完全分解され、ガラスが分離回収され、ポリマーに含まれていた無機物も残渣として回収できた。
【0015】
さらに驚くべきことは、合わせガラス4辺のコーティングを3辺、2辺、1辺としても全く同じ結果が得られたことである。つまり、ラジカルは合わせガラスの120mm四方の面内でも十分に伝播していたことが確認された。このことは、ラジカルは中間膜の温度さえ十分であれば、所定の大きさの合わせガラス全体に及ぶことが期待された。そして、長辺の長さが330 mmの合わせガラスの一方の短辺に酸化物半導体をコーティングして水平においてTASC処理したところ、期待通り合わせガラスの中間膜は完全分解され、ガラスが分離回収された。以上の結果と考察から、本発明は完成した。
【0016】
合わせガラスからガラスを回収する方法として、被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させる工程と、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で被処理物を加熱し、合わせガラスを相互に接着するポリマーを分解除去する工程と、解体物からガラスを回収する工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、合わせガラスからガラスを回収する方法として、被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させる工程と、前記合わせガラスが鉛直方向になるように前記合わせガラスを設置する工程と、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱し、前記合わせガラスを相互に接着するポリマーを分解除去する工程と、解体物からガラスを回収する工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る合わせガラスからガラスを回収するための処理装置は、被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体の分散膜を塗布し、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、前記被処理物を一定速度で搬送する搬送装置と、前記被処理物を、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱する加熱処理部と、前記加熱処理部内にエアを供給するエアの供給機構と、前記加熱処理部において前記被処理物中のポリマーを分解除去して得られる解体物から、ガラスを回収する回収部とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、合わせガラスからガラスを回収するための処理装置として、被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体の分散膜を塗布し、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、前記合わせガラスが鉛直方向になるように前記合わせガラスを設置する加熱処理室を有し、前記加熱処理室において前記被処理物は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱され、前記加熱処理部は外部からエアを供給するエアの導入口と加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、前記加熱処理室において前記被処理物中のポリマーを分解除去して得られる解体物から、ガラスを回収することを特徴とする。
【0020】
プラスチックまたはプラスチック複合材料の分解処理装置として、被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料の表面にのみ酸化物半導体を接触させ、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、前記被処理物を設置する加熱処理室を有し、前記加熱処理室は外部からエアを供給するエアの導入口と加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、前記加熱処理室において前記被処理物は、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物中のポリマーが分解され、前記加熱処理室内の前記排気口の近くに前記半酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が配置され、前記構造体は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱されることにより排気口へ導かれるガスが浄化され、前記加熱処理室の前記排気口には、前記酸化物半導体を担持した通気性を有する前記構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記構造体が、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることによって、前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化されることを特徴とする。
本発明において、通気性を有する構造物とは、多孔質状あるいはハニカム状の良好な通気性を有する構造物を意味する。TASC法では裁断化された分子を水と炭酸ガスに完全分解するには十分な酸素が必要であり、被処理ガスを通気性の高い構造体を通して浄化する方法が効果的である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、合わせガラスを半導体の熱活性法(TASC)で処理することにより、ポリマーを完全分解して除去することができるので、解体物からガラスを低コストで短時間に回収することができる。また、ポリマーを完全分解、除去することにより、廃物サイズの縮小という効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】上面ガラス2、下面ガラス3、中間膜4からなる合わせガラス1の断面写真である。
【図2】中間膜4が分解・除去された後の、無垢のハニカム5の上で解体された上面ガラス2及び下面ガラス3を示す写真である。
【図3】合わせガラス処理用電気炉6の断面図である。
【図4】合わせガラス1の少なくとも一つの側面に酸化物半導体10を塗布した例を示す上面図である。
【図5】酸化物半導体10を塗布した合わせガラス1が半導体酸化物坦持ハニカム12に包囲されている状態を示す図である。
【図6】合わせガラスを鉛直方向に配置してTASC処理を行う前(a)と処理後(b)の様子を示す写真である。
【図7】合わせガラス用TASC連続処理装置13の平面図である。
【図8】合わせガラスを縦置き配置で処理するための装置図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
合わせガラス1は図1に示すように、上面ガラス2及び下面ガラス3の2枚の強化ガラスの間にポリマーシートが中間膜4として挟まれた構造をしている。

【0024】
合わせガラス1からガラスを回収するためには、まず合わせガラスから、約120×120×5mmの合わせガラス片を切り出す。この合わせガラス片の側面をCr等の酸化物半導体10と接触させ、電気炉内で、空気中500℃で20-30分間保持し、ポリマー成分を完全分解し、合わせガラス片中のポリマーを完全解体する。合わせガラス1に酸化物半導体を接触させるために、合わせガラス1の側面(図1)に酸化物半導体10の分散膜を塗布する。塗布する方法としては、側面を酸化物半導体の懸濁液にディップ・コーティングする方法または酸化物半導体の分散液を側面にスプレーする方法や、筆などで塗布する方法でもよい。

【0025】
TASC処理により、中間膜(ポリビニルブチラール、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリマー)は完全に分解し、2枚のガラスは分離される。
このようにして、合わせガラス1にTASC処理を施した後の解体物から、容易に上面ガラス2及び下面ガラス3が図2に示すように回収される。

【0026】
合わせガラス1から上面ガラス2及び下面ガラス3を回収する実用的な方法としては、連続処理装置を用いるのが良い。これは一定速度で搬送されるコンベア上に、搬入部、予備加熱部、TASC処理部、冷却部、搬出部、分別回収部を連結して備える。合わせガラス片の側面に酸化物半導体10の分散膜を塗布した状態の被処理物はハニカム上に置かれ、搬送部から搬入され、TASC処理部にてTASC処理が行われ、搬出部から搬出されて、分別回収部でガラスが分別回収される。

【0027】
また、合わせガラス1から上面ガラス2及び下面ガラス3を回収する安価で、簡便な方法としていわゆるバッチ式処理装置を採用することもできる。これは1枚または複数枚の合わせガラスを鉛直方向に配置し、加熱処理室内においてTASC処理を行うものである。
TASC処理は有機物の種類を問わず有効であることを考慮すれば、この処理装置は任意のプラスチックおよびプラスチック複合材料をTASC処理してポリマーを除去し、有価物が残る場合は効率的に回収するための装置として使用することができる。
【実施例】
【0028】
実施例1
トヨタ自動車株式会社の車種クラウンの合わせガラスを用いて実験を行った。まず、約800×1600×5mmの大きさの合わせガラスから、ダイヤモンド・カッターで、120×120×5mmの合わせガラス1の1片を切り出し、TASC処理の解体試料とした。合わせガラス1の上面は厚さ約2mmのガラス板2、下面には厚さ約2mm程度のガラス3があり、ガラス2とガラス3の中間には厚さ0.75mmの透明の中間膜4があった。
【実施例】
【0029】
図4(a)に示すように、合わせガラス片の4つの側面を順次、酸化物半導体10であるCrの懸濁液に漬けてディップ・コーティングした。これを無垢(Crが塗布されていない)のコージライト(2MgO・2Al・5SiO)組成のハニカム5上に載せた。合わせガラス1を載せたハニカム5を図3の電気炉6に入れて、空気導入口8から空気を導入しながらヒーター7に通電して500℃まで昇温し、30分間500℃に制御した。この後温度制御の電源をオフにして冷却した。以上の一連のTASC処理により、合わせガラス片のポリマーは完全に分解され、2枚のガラスが図2に示すように分離して得られた。分解されたポリマーは水と炭酸ガスとなり、空気排気口9から排出される。酸化物半導体10(Cr)と合わせガラス1は側面でのみ接触しているが、酸化物半導体10に発現する酸化力により、側面でポリマーから結合電子を奪い、ポリマー内に不安定なカチオン・ラジカルが形成される。このラジカルが被分解物であるポリマー内を伝播することによりポリマー全体を不安定化し、ポリマーは自滅するような形でエチレンのような小分子に裁断化(ラジカル開裂)され、空気中の酸素と反応して水と二酸化炭素に完全分解される。これがTASC法の特徴である。つまり、側面でラジカルが一度形成されると、面内方向に次々に分解反応が続くので、ポリマーの完全分解が実現する。なお、酸化物半導体が担持されていないハニカムを用いたが、酸化物半導体が担持されているハニカムを用いても良い。また本発明においては合わせガラスの側面からのみポリマーの分解が進むので、合わせガラスを載せる台はハニカムでなくてもよく、必ずしも通気性の高い多孔質材料でなくても良い。
中間膜の分解の際には、アセトアルデヒド類の異臭が発生するが、TASC技術を使ったVOC(volatile organic compound)浄化装置で無臭化される。また、ブチラール樹脂(製造メーカーにより幅があるが、融点は約150-200℃)のTASC処理により、発火することがあるが、図5に示すように電気炉内にCr担持ハニカム12で合わせガラス1を囲むと発火は全く起こらなかった。つまり、発生する可燃ガスはCrを担持した箱を通過する際に、完全に炭酸ガスと水に分解される。
【実施例】
【0030】
実施例2
実施例1で使用した合わせガラスから、同様の合わせガラス1の1片を切り出した。酸化物半導体13として、実施例1で使用したCrの代わりにα-Fe(酸化鉄:ヘマタイト)を用い、実施例1と同様のTASC処理を行った。その結果、実施例1と同様に合わせガラス片のポリマーは完全に分解され、2枚のガラスが分離して得られた。
【実施例】
【0031】
実施例3
実施例3において、合わせガラス1の1片の4つの側面の代わりに、図4(b)に示すように、3辺を順次、酸化物半導体10であるCrの懸濁液に漬けてディップ・コーティングした。これを無垢のハニカム5の上に置き、空気中、500℃で30分TASC処理を行った。その結果、実施例1と同様に合わせガラス片のポリマーは完全に分解され、2枚のガラスが分離して得られた。
【実施例】
【0032】
実施例4
図4(c)に示すように、合わせガラス1の1片の4つの側面の内、相対する2つのエッジを順次、酸化物半導体10であるCrの懸濁液に漬けてディップ・コーティングし、これを無垢のハニカム5の上に置き、空気中、500℃で30分TASC処理を行った。その結果、実施例1と同様に合わせガラス片のポリマーは完全に分解され、2枚のガラスが分離して得られた。
【実施例】
【0033】
実施例5
図4(d)に示すように、合わせガラス5の1片の4つの側面の内、1つのエッジを酸化物半導体13であるCrの懸濁液に漬けてディップ・コーティングし、これを無垢のハニカム5の上に置き、空気中、500℃で30分TASC処理を行った。その結果、実施例3と同様に合わせガラス片のポリマーは完全に分解され、2枚のガラスが分離して得られた。
このように、ポリマーの表面でのみ酸化物半導体と接触させておけば、TASC法の特徴により、120mm離れた端までポリマーの完全分解が自動的に進行することが実証された。
【実施例】
【0034】
実施例6
実施例1で使用した合わせガラスから、同様の合わせガラス1の1片を切り出した。合わせガラス片の4つの側面を順次、酸化物半導体10であるCrの懸濁液に漬けてディップ・コーティングした。これを図6(a)のように、無垢のコージライト組成のハニカム5上に載せ、かつ左右2枚の無垢のコージライト組成のハニカム5に挟まれるように、合わせガラスを鉛直方向に配置した。実施例1と同様の条件で処理を行ったところ、合わせガラス片のポリマーは完全に分解され、2枚のガラスが図6(b)のように分離して得られた。
実施例1ないし5においては、合わせガラスを水平に配置(横置き)して処理を行った。横置きの場合には、ポリマー中間膜が溶融状態になると、上面ガラスの自重で、中間膜が押し潰され、空気(酸素)がガラス面間に入り込むことが困難になる傾向があった。言い換えれば、端面から裁断・ガス化された分子が放出され、端面の近傍で空気中の酸素と反応し、炭酸ガスと水に変化していた。それでも、ポリマーで中間膜はTASC効果により、完全に2枚のガラスに分離することが出来た。合わせガラスを鉛直方向に配置(縦置き)した本実施例では横置きに対して以下の改善点が認められた。
温度が上昇し、さらにTASC処理が始まると、中間膜で貼り合わされていた2枚(あるいは2枚以上のガラス)は自重により、自動的に分離される。
分離されると、2枚のガラス上にあるラジカルが伝播している溶融ポリマー膜は露出する。その結果、TASC効果により、裁断・ガス化された分子は空気中の酸素と速やかに反応して、炭酸ガスと水になる。つまり、処理速度が速くなる。
TASC処理後に分離されたガラスは(横置きの重なったガラスに比べ)取り出し操作が簡単である。
横置きの(積層型の)処理設備に比べ、縦置きの処理設備は簡単である。
【実施例】
【0035】
実施例7
実施例1で使用した合わせガラスから、同様の合わせガラス1の1片を切り出した。酸化物半導体13として、実施例6で使用したCrの代わりにα-Fe(酸化鉄:ヘマタイト)を用い、実施例6と同様に合わせガラスを鉛直方向に配置してTASC処理を行った。その結果、実施例6と同様に合わせガラス片のポリマーは完全に分解され、2枚のガラスが分離して得られた。
【実施例】
【0036】
(処理装置の構成例)
実施例8
合わせガラス1のTASC処理を連続的に行うには図7に示した合わせガラス用TASC連続処理装置13を用いるのが良い。ハニカムの上に、合わせガラス1の1片の側面に酸化物半導体をディップコートした被処理物を載せて、装置入口側の搬入部14に置く。ハニカムの替わりに合わせガラス片を支持する任意形状、材質の台を用いてもよい。ハニカムの上に置かれた合わせガラス1の1片は搬入部14から搬出部18に渡って設置されているコンベヤにより、約100mm/minの搬送速度で連続的に搬送される。予備加熱部15、TASC処理部16、冷却部17には空気が外部から導入される。ハニカムと合わせガラス1の1片は予備加熱部15を通過する間に500℃に加熱される。約1000mmに渡って500℃に制御された加熱処理部であるTASC処理部16を通過するときにTASC処理が行われ、合わせガラス片の中の有機物成分が完全に分解除去される。加熱処理部16から廃棄されるガスはまだ完全には炭酸ガスと水にはなっておらず、低分子化された有機物が含まれる場合もあるため、排気口の外側にTASC法によるVOC浄化装置を配置するのが良い。これは酸化物半導体を担持したハニカムにヒーターを埋め込んだものを複数枚直列に配列した装置であり、ヒーターで500℃に加熱することにより、通過する低分子有機物は完全に炭酸ガスと水に分解され、無害のガスとして大気に放出される。図5に示すように、被処理物である合わせガラス片が酸化物半導体10を担持したハニカム構造体12によって、加熱処理部において包囲されるようにすると、500℃に加熱されたハニカム構造体12を通過する低分子有機物ガスが炭酸ガスと水に分解されるのでさらに良い。ハニカムは他の通気性のある構造体で代替できる。また、加熱処理部16において被処理物がハニカム構造体12によって包囲されるようにするには、被処理物をハニカム構造体12の箱に入れて搬入部に置いても良いし、加熱処理部の中にハニカム構造体12を、被処理物を覆うように組み込んであってもよい。冷却部17を通過する間に冷却が行われる。なお、室温まで冷却される必要はなく、冷却される温度は適宜でよい。冷却部17から出てきたハニカム上の解体物からは有機物がTASC処理により完全に分解除去されており、搬出部20を経て分別回収部19に送られると分別回収部19において、ガラスが分別・回収される。特開2006-206654号公報に記載されているように、中間膜に特定の機能を与える無機物の有価物が含まれ、これを回収したい場合もある。このような場合、TASC処理により有機物のみが分解除去されるので、無機粒子は残存し、分別回収部においてガラスと共に有価物として分別・回収される。
【実施例】
【0037】
連続処理装置において搬入部14から搬出部18に至るすべての経路を一定速度で搬送すると述べたが、搬入部14、搬出部18及び分別回収部19では合わせガラスを載せたハニカムを一定速度で連続的に搬送し、予備加熱部15、TASC処理部16及び冷却部17を一体化したTASC処理室では停止状態でTASC処理を行うシステムでもよい。この場合、TASC処理室には入口・出口の扉を持った電気炉が中央に置かれており、合わせガラスを載せたハニカムの搬入の際には、入口の扉が開き、炉内に被処理物が運ばれ、入口が閉じられる。そして、処理後には出口側の扉が開き、TASC処理されたハニカム上の解体物が搬出される。バッチ方式を踏襲した本システムは搬送制御がやや複雑になるが、メリットは温度管理がし易いこと、必要な酸素を制御できることであり、着実なTASC処理が可能である。
【実施例】
【0038】
実施例9
合わせガラスを縦置き配置して連続処理装置で処理を行おうとすると、装置が大型化してしまうことが避けられない。そのため図8に示したいわゆるバッチ炉方式にて処理を行うのが良い。130mmx130mmに切り出した合わせガラス片の四つの側面にCrをディップ・コーティングし、合わせガラス片を電気炉である加熱処理室6内に縦置き配置した。加熱処理室6は空気導入口8と排気口9を有する。加熱処理室6を500℃に加熱すると、TASC処理により合わせガラスの中間膜である有機物は分解され、生じた高温のガスは上昇するので、排気口9は加熱処理室6の天井内に設けるのが良い。加熱処理室6から廃棄されるガスはまだ完全には炭酸ガスと水にはなっておらず、低分子化された有機物が含まれる場合もあるため、排気口9の外側にTASC法によるVOC浄化装置20を配置するのが良い。酸化物半導体10を担持したハニカム12にヒーターを埋め込んだものを複数枚直列に配列したVOC浄化装置20を通過する低分子有機物は完全に炭酸ガスと水に分解され、無害のガスとして大気に放出される。酸化物半導体10を担持したハニカム構造体12を、加熱処理室内で天井の排気口9付近に配置すると、500℃に加熱されたハニカム構造体12を通過する低分子有機物ガスが炭酸ガスと水に分解されるのでさらに良い。このような装置によりTASC処理を行うと、合わせガラスの中間膜は完全に分解除去され、電気炉内の解体物から分離した2枚のガラスを容易に回収することができる。電気炉内に複数枚、たとえば5枚程度の合わせガラスを縦置きで並べて配置することはスペース的に十分可能であり、こうすることにより一枚当たりの処理速度を上げることができる。図8のバッチ処理方式は連続処理炉に比べて小型、安価、低消費電力との特徴を有する。そのため、合わせガラスを横置き配置した場合でも少量処理なら優位性がある。
【実施例】
【0039】
実施例10
図8に示したバッチ炉方式は合わせガラスに限らず、プラスチックおよびプラスチック複合材料なら広範囲の材料に適用して、その中に含まれるポリマーを完全分解して除去することができる。残渣物に有価物が含まれる場合は効率的に回収できる。まず被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料の表面にのみ酸化物半導体10を接触させた状態で、被処理物を加熱処理室6内に設置する。プラスチック複合材料には、繊維強化プラスチック、ボンド磁石、太陽電池パネル、合わせガラスなどが含まれる。プラスチックまたはプラスチック複合材料の表面にのみ酸化物半導体10を接触させる方法としては、酸化物半導体10を担持したハニカム12に被処理物を載せる方法、酸化物半導体10の懸濁液に被処理物をディップ・コーティングする方法、酸化物半導体10を含む溶液を被処理物にスプレーする方法、酸化物半導体10を含む溶液を被処理物にはけで塗る方法などがある。加熱処理室6にはエアの導入口8を通して外部からエアが供給され、加熱処理により発生するガスは排気口9から排出される。加熱処理室6において被処理物は、被処理物と接触している酸化物半導体10が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されると、TASC処理により被処理物中のポリマーは分解され低分子のガス状態となって排出口9へ向かう。加熱処理室内6の排気口9の近くには酸化物半導体10を坦持したハニカム12が配置されているので、TASC効果によりハニカムを通過するガスが浄化される。さらに加熱処理室の排気口には、酸化物半導体10を担持したハニカム12を備えたVOC浄化装置20が連結されており、TASC効果により、加熱処理室6から排出されVOC浄化装置20を通過するガスは水と二酸化炭素に分解され、大気には無害のガスだけが放出される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、半導体の熱活性(TASC)法を用いて合わせガラスからガラスを低コストで短時間に回収することができるので、今後大量の処理需要の発生が見込まれる太陽光発電システムの廃棄物に対して、従来実現されていなかったリサイクルを実用的な事業として成立させえて、産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0041】
1 合わせガラス
2 上面ガラス
3 下面ガラス
4 中間膜
5 無垢のハニカム
6 電気炉
7 ヒーター
8 空気導入口
9 排気口
10 酸化物半導体
11 台
12 酸化物半導体坦持ハニカム
13 合わせガラス用TASC連続処理装置
14 搬入部
15 予備加熱部
16 TASC処理部
17 冷却部
18 搬出部
19 分別回収部
20 VOC浄化装置
図面
【図3】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図8】
5
【図1】
6
【図2】
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