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明細書 :金属の硬化処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-027183 (P2016-027183A)
公開日 平成28年2月18日(2016.2.18)
発明の名称または考案の名称 金属の硬化処理方法
国際特許分類 C23C   8/58        (2006.01)
C23C   8/26        (2006.01)
C23C   8/70        (2006.01)
C23C   8/34        (2006.01)
FI C23C 8/58
C23C 8/26
C23C 8/70
C23C 8/34
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2014-161140 (P2014-161140)
出願日 平成26年8月7日(2014.8.7)
優先権出願番号 2014134017
優先日 平成26年6月30日(2014.6.30)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】小山 真司
出願人 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4K028
Fターム 4K028AA02
4K028AC07
要約 【課題】さびにくく、高品質であり、容易に金属表面を硬化処理することができる、硬化処理方法を提供する。
【解決手段】金属部材を、ホウ砂及びアルミニウムを溶融した溶融浴に浸漬する工程と、金属部材を溶融浴から取り出し、冷却する工程と、その後、金属部材に対して、窒素雰囲気中で熱処理する工程を有して、硬化処理を行う。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
金属部材を、ホウ砂及びアルミニウムを溶融した溶融浴に浸漬する工程と、
前記金属部材を前記溶融浴から取り出し、冷却する工程と、
その後、前記金属部材に対して、窒素雰囲気中で熱処理する工程を有する
金属の硬化処理方法。
【請求項2】
前記窒素雰囲気中で熱処理する工程の温度を、900~1000℃の範囲内とする請求項1に記載の金属の硬化処理方法。
【請求項3】
冷却した前記金属部材を水中で煮沸処理した後に、前記熱処理する工程を行う、請求項1又は請求項2に記載の金属の硬化処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の表面の硬度を向上させる硬化処理方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来、機械部品や金型等の耐食性や耐摩耗性を要求される金属部材に対して、表面を改質して、耐食性、耐摩耗性、硬度を向上することが行われていた。
従来の表面改質方法としては、例えば、コーティングやプラズマ窒化処理等が挙げられる。
【0003】
コーティングの処理方法としては、PVD(物理的気相成長)法による蒸着被覆が一般的である。
PVD法で形成されたコーティング膜は、耐摩耗性や耐食性に優れていることから、工具や耐エロージョン部品のハードコーティングに用いられている。
しかし、コーティング膜は、硬質で靭性が低いこと等が問題となり、しばしば基材から剥離するという問題点を有する。
【0004】
プラズマ窒化処理は、窒素ガスを含む雰囲気中でグロー放電を発生させてイオン化した窒素を陰極とし、加工材料中に浸透させて窒化する熱処理方法である。
プラズマ窒化処理は、処理時間に長時間を必要とする。また、排気ガス中に多量のアンモニアが含まれるため、このアンモニアの処理が必要になる。これらのことから、プラズマ窒化処理を採用した場合、表面硬化処理の費用が高額になる。
また、プラズマ窒化処理専用の鋼種(SACM645)でなければ、所望の硬化層深さが得られない、という短所を有する。
【0005】
一方、ホウ砂中へアルミニウム(Al)を添加した溶融浴に金属部材を浸漬することにより、金属部材の表面をホウ化処理する、溶融塩浸漬法は、安価で簡便な表面改質方法である(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2011-202260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コーティング、プラズマ窒化処理、溶融塩浸漬法で表面硬化させた金属部材は、主として塩水を含む環境下では、錆が発生するという問題点を有する。
【0008】
上述した問題の解決のために、本発明においては、さびにくく、高品質である硬化層が得られ、かつ容易に金属表面を硬化処理することができる、硬化処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の金属の硬化処理方法は、金属部材を、ホウ砂及びアルミニウムを溶融した溶融浴に浸漬する工程と、金属部材を溶融浴から取り出し、冷却する工程と、その後、金属部材に対して、窒素雰囲気中で熱処理する工程を有する。
【発明の効果】
【0010】
上述の本発明の金属の硬化処理方法によれば、溶融浴内に金属部材を浸漬するだけで、金属部材にホウ素を拡散浸透させて、非常に高い硬度を金属部材に賦与することができる。
また、窒素雰囲気中で熱処理を行うだけで、金属部材に窒素を拡散浸透させて、さびにくい耐食性や耐摩耗性を賦与することができる。
従って、本発明の金属の硬化処理方法により、金属の表面にさびにくく、高品質である硬化層が得られ、容易に金属表面を硬化処理することができる。
そして、本発明の金属の硬化処理方法によれば、溶融浴は非常に安価な物質(四ホウ酸ナトリウム粉末とアルミニウム粉末)で構成されており、また、簡易な設備によりホウ化処理及び窒化処理を行うことができるので、低コストで硬化処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の硬化処理方法の一実施の形態のフローチャートである。
【図2】実施例で使用した金属部材の試料の平面図である。
【図3】A~D 実施例における試料の処理を示す工程図である。
【図4】各試料の表面X線回折の測定結果である。
【図5】各試料の表面硬さ試験及び摩耗試験の結果である。
【図6】A~J 塩水噴霧試験後の試料の表面の写真と拡大したSEM写真である。
【図7】キャス試験後の試料の表面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の金属の硬化処理方法は、金属部材を、ホウ砂及びアルミニウムを溶融した溶融浴に浸漬する工程と、金属部材を溶融浴から取り出し、冷却する工程と、その後、金属部材に対して、窒素雰囲気中で熱処理する工程を有する。
窒素雰囲気中で熱処理する工程の温度は、900~1000℃の範囲内とすることが好ましい。
また、本発明の硬化処理方法において、冷却した金属部材を水中で煮沸処理した後に、窒素雰囲気中で熱処理することも可能である。

【0013】
本発明の金属の硬化処理方法において、金属部材を溶融浴に浸漬する工程と、冷却する工程は、特許文献1と同様に行うことができる。
即ち、まず、ホウ砂粉末とアルミニウム粉末を、例えば電気炉等の炉内に投入して加熱して、溶融浴を作製する。次に、炉内の溶融浴を所定の温度に保持して、金属部材を溶融浴内に投入して浸漬する。これにより、溶融ホウ砂内のホウ素が金属部材の表面に拡散浸透し、硬化層が形成される。この硬化層の厚さは、溶融浴への浸漬時間によって調整することができ、所望の深さの硬化層が得られるまで溶融浴内で加熱保持する。
次に、溶融浴から金属部材を取り出して、冷却する。これにより金属部材を冷却することによって表面に残存する溶融物を除去して、清浄化することができる。冷却は、特許文献1のように水中で急冷させる方法や、室温等で自然冷却させる方法が可能である。
なお、冷却した金属部材を、さらに水中で煮沸処理することにより、冷却後も金属部材の表面に固体状のホウ砂が残存していた場合でも、金属部材とホウ砂の線膨張係数の差によって剥離を生じて、ホウ砂を除去することができる。

【0014】
本発明の金属の硬化処理方法では、ホウ化処理した金属部材を冷却した後に、さらに、金属部材に対して、窒素雰囲気中で熱処理する。
これにより、金属部材の内部にホウ素に続いて窒素を拡散浸透させて硬化させることができ、耐剥離性及びさびにくい耐食性を有する硬化層を形成することが可能になる。

【0015】
本発明の金属の硬化処理方法は、各種の金属部材に適用することが可能である。例えば、炭素鋼や各種のステンレス綱に適用することが可能である。

【0016】
また、従来の表面硬化法(例えば、プラズマ窒化法)では、窒化鋼を除くステンレス鋼の表面硬化処理に長時間を必要とし、かつ深い硬化層は得られない。
これに対して、本発明の硬化処理方法によれば、短時間で深い耐食性を有した硬化層を得ることができる。

【0017】
また、他の表面硬化法(例えば、塩浴軟窒化)では、使用液体の危険性及び有害性から、取り扱いに難点があるが、本発明で用いる溶融浴は安全安価であり、溶融浴を大きくするのみで、量産品にも対応できる。

【0018】
ここで、本発明の硬化処理方法の一実施の形態のフローチャートを、図1に示す。

【0019】
まず、ステップS1において、ホウ砂及びアルミニウム粉末を炉内に投入して加熱し、溶融浴を作製する。
例えば、電気炉等の炉を使用して、この炉内にホウ砂及びアルミニウム粉末を投入し、加熱を行う。このときの加熱温度は、少なくともホウ砂及びアルミニウム粉末が溶融する温度であればよく、例えば850℃以上とする。

【0020】
次に、ステップS2において、金属部材を溶融浴に浸漬する。
炉内の溶融浴を上述した温度に保った状態において、硬化処理を施したい金属部材を溶融浴内に投入し、浸漬する。これにより、溶融ホウ砂内のホウ素が、金属部材の表面に拡散浸透し、硬化層が形成される。

【0021】
次に、ステップS3において、所望の硬化層深さが得られるまで加熱保持する。
溶融浴への金属部材の浸漬時間の長さによって、硬化層の深さを調節することができる。

【0022】
次に、ステップS4において、金属部材を水中に投入して、冷却する。
所望の硬化層深さが得られる時間が経過した後に、金属部材を溶融浴から出して、水中に投入して冷却する。
この冷却により、金属部材の表面に残留する溶融物を除去し、清浄化することができる。
なお、ステップS4の水中で冷却する代わりに、室温等で自然冷却させても良い。

【0023】
次に、ステップS5において、水中で金属部材を煮沸処理する。
これにより、冷却後に固体状のホウ砂が金属部材表面に残存していても、煮沸処理によって除去することができる。

【0024】
次に、ステップS6において、水中から金属部材を取り出し、窒素ガス雰囲気中で熱処理する。この熱処理の温度は、900~1000℃の範囲内とすることが好ましい。
これにより、金属部材が窒化処理され、耐摩耗性やさびにくい耐食性が賦与される。

【0025】
なお、ステップS5の煮沸処理を省略して、ステップS4の後に水中から金属部材を取り出して、ステップS6の窒化処理を行ってもよい。

【0026】
また、金属部材を冷却した後で、ステップS6の窒化処理の前に、いわゆる加熱拡散処理を行うことも可能である。
加熱拡散処理は、熱処理することによりホウ素を拡散させて、金属部材の表面に形成されたホウ素と金属との化合物層を消滅させる。この加熱拡散処理は、化合物層が脆い場合に有効である。

【0027】
本実施の形態によれば、アルミニウム粉末を含む四ホウ酸ナトリウム溶融浴内に金属部材を浸漬するだけで、金属部材表面をホウ化して、硬度を向上させることができる。また、窒素ガス雰囲気中で熱処理するだけで、金属部材表面を窒化して、耐摩耗性や耐食性を向上させることができる。
このため、イオン注入法や蒸着法やプラズマ窒化法のように特殊な設備も必要としないので、設備コストを低減し、生産ラインを簡易に構成することが可能になる。また、生産ラインを簡易に構成することにより、ランニングコストも低減することができる。

【0028】
さらに、本実施の形態によれば、アルミニウム粉末とホウ砂の溶融に電気炉を用いることができるため、煙やCOの排出が無く、CVD法のように材料源として危険なガスも必要としない。
このため、安全且つ安価に硬化層を形成することができる。
【実施例】
【0029】
実際に、金属部材の試料に対してホウ化処理及び窒化処理を行って、特性を調べた。
【実施例】
【0030】
<実験1>
(試料作製)
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)を加工して、図2に平面図を示す金属部材の試料を、作製した。
図2に示す試料1は、縦70mm、幅20mm、厚さ5mmの板状である。そして、試料1の上端から5mmの所の中心部に、吊り下げ用の円形の孔2が形成されている。孔2の直径φは、3.1mmである。
そして、試料1の表面を、エメリー紙(#4000)により研磨した。その後、試料1の表面を、メチルアルコールにより超音波洗浄して、脱脂を行った。
【実施例】
【0031】
(ホウ化処理)
四ホウ酸ナトリウム(Na)270gと、アルミニウム(Al)30gを混合し、混合物を図3Aに示す炉11内で加熱して、溶融浴12を作製した。溶融浴12中のAlの濃度は、10(体積%)であった。
そして、図3Bに示すように、回転棒13に金属部材の試料1を2枚吊り下げて、溶融浴12に金属部材の試料1を浸漬した。そして、処理温度950℃、処理時間2時間、回転速度20rpmで、回転棒13の回りに回転させながら、ホウ化処理を行った。
【実施例】
【0032】
(冷却処理、煮沸処理)
次に、金属部材の試料1を溶融浴12から取り出して、図3Cに示すように、水14中で急冷させた。
その後、試料1を他の容器に移し替えて、図3Dに示すように、水15の中で試料1の煮沸処理を行った。煮沸処理の時間は、30分間とした。
【実施例】
【0033】
(窒化処理)
次に、試料1を水15から取り出して、乾燥させた。
続いて、炉内に試料1を入れて、窒素ガス中において、試料を所定温度で3時間熱処理して窒化処理を行った。この窒化処理は、窒素ガスを流量3リットル/分で流しながら行った。
処理温度は、750℃、950℃、1150℃の3種類として、それぞれの温度で窒化処理を行った。
【実施例】
【0034】
また、比較対照として、ホウ化処理のみを行った試料と、ホウ化処理後にプラズマ窒化処理を行った試料を、それぞれ作製した。
プラズマ窒化処理の条件は、処理温度500℃、処理時間8.5時間、水素と窒素の混合雰囲気で混合比をH:N=4:3とした。
【実施例】
【0035】
作製した試料の評価試験として、表面X線回折、表面硬さ試験、摩耗試験、塩水噴霧試験を行った。それぞれの試験の方法は、下記の通りとした。
【実施例】
【0036】
(表面X線回折)
X線回折装置を使用して、各試料の表面X線回折分析を行った。
【実施例】
【0037】
(表面硬さ試験)
ビッカース硬さ試験機を使用して、各試料の表面硬さを測定した。
測定条件は、荷重0.98N、保持時間10秒とした。
【実施例】
【0038】
(摩耗試験)
いわゆる、Ball-on-disk type摩耗試験を採用して、各試料に対して摩耗試験を行った。
摩耗試験の条件は、摩耗の相手材をZrOとして、荷重0.5kgf、接線速度100mm/s、摺動距離17.3kmとした。
摩耗試験後に、摩耗深さの測定を行った。
なお、表面硬さ試験及び摩耗試験は、ホウ化処理も窒化処理も行っていない未処理の金属部材の試料についても測定を行った。
【実施例】
【0039】
(塩水噴霧試験)
塩水噴霧試験は、腐食液に5%塩化ナトリウム水溶液を用いて、腐食液の温度35℃として、試料に腐食液を1.0~2.0mL/hで噴霧した。1サイクルを4時間の噴霧と4時間の休止として、21サイクル実施した。
【実施例】
【0040】
(評価結果)
表面X線回折分析の結果を、図4に示す。
図4より、ホウ化処理のみの場合と、750℃の窒素ガス中での処理の場合は、ホウ化物のみが観察された。
950℃の窒素ガス中での処理の場合と、1150℃の窒素ガス中での処理の場合は、ホウ化物と窒化物とが観察された。
ホウ化処理後にプラズマ窒化処理を行った場合は、窒化ホウ素のみが観察された。
【実施例】
【0041】
表面硬さ試験及び摩耗試験の結果を、図5に示す。
図5より、表面硬さは、ホウ化処理のみ施した場合が最も高く、次いでホウ化処理後に窒素ガス中で750℃又は950℃に加熱、もしくはプラズマ窒化を施した場合となった。また、窒素ガス中で1150℃に加熱した場合は、未処理の場合に比べて高い硬度を有しているものの、ホウ化処理のみ施した場合と比べて硬度が低下していた。
また、ホウ化処理後に窒素ガス中で1150℃に加熱した場合は、著しく摩耗が進行することが分かった。
【実施例】
【0042】
塩水噴霧試験の結果を、図6A~図6Jに示す。
図6A及び図6Bは、ホウ化処理のみの試料の結果を示す。図6C及び図6Dは、750℃窒素ガス中で窒化処理した試料の結果を示す。図6E及び図6Fは、950℃窒素ガス中で窒化処理した試料の結果を示す。図6G及び図6Hは、1150℃窒素ガス中で窒化処理した試料の結果を示す。図6I及び図6Jは、ホウ化処理後にプラズマ窒化処理を行った試料の結果を示す。それぞれ左の図は試料のCCDカメラによる実態写真を示し、右の図は走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大観察写真を示す。
【実施例】
【0043】
図6A~図6Bより、ホウ化処理のみ施した場合は、処理表面の全面で発錆している様子が認められ、より高倍率で観察しても微細な腐食生成物が全面に生成されていた。
図6C~図6Dより、ホウ化処理後に窒素ガス中で750℃に加熱した場合は、ホウ化処理のみ施した場合と同様に全面で発錆しており、高倍率で観察した結果、一部に孔食と考えられる腐食形態が観察された。
一方、図6E~図6Fより、ホウ化処理後に窒素ガス中で950℃に加熱した場合は、処理表面がわずかに光沢を失ったものの、高倍率で観察した結果を含め、ほとんど腐食されていなかった。
図6G~図6Hより、さらに窒素ガス中での加熱温度を1150℃に上昇させると、約50%の領域に発錆した領域が認められ、発錆領域には全面腐食が進行した様子が観察された。
また、図6I~図6Jより、ホウ化処理後にプラズマ窒化を施した場合は、ホウ化処理のみ施した場合やホウ化処理後に窒素ガス中で750℃に加熱した場合と同様に、全面で発錆している様子が観察された。
【実施例】
【0044】
<実験2>
実験1の結果を踏まえて、さらに、窒素ガス雰囲気での熱処理の好適な温度の範囲を調べた。
【実施例】
【0045】
(試料作製)
実験1と同様にして、図2に平面図を示した、金属部材の試料1を作製した。
【実施例】
【0046】
(ホウ化処理)
実験1と同様に、溶融浴12を作製して、図3Bに示したように、溶融浴12に金属部材の試料1を浸漬した。そして、処理温度950℃、処理時間2時間、回転速度20rpmで、回転棒13の回りに回転させながら、ホウ化処理を行った。
【実施例】
【0047】
(冷却処理、煮沸処理)
実験1と同様に、金属部材の試料1に対して、冷却処理及び煮沸処理を行った。
その後、試料1を水から取り出して、乾燥させた。
【実施例】
【0048】
(窒化処理)
次に、乾燥させた試料1を炉内に入れて、窒素ガス中において、試料を所定温度で3時間熱処理して窒化処理を行った。この窒化処理は、窒素ガスを流量3リットル/分で流しながら行った。
処理温度は、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃の6種類として、それぞれの温度で窒化処理を行った。
【実施例】
【0049】
(キャス試験)
作製した試料の評価試験として、キャス試験を行った。
キャス試験は、スガ試験機(株)製 キャス試験機CAP-90を使用して、JIS H8502に準拠して実施した。
キャス試験を2時間実施した後に試料を水洗する操作を、3回繰り返した。即ち、キャス試験2時間→水洗→キャス試験2時間(合計4時間)→水洗→キャス試験2時間(合計6時間)→水洗、という操作を行った。
【実施例】
【0050】
(評価結果)
塩水噴霧試験の結果を、図7に示す。
図7は、キャス試験後の試料のCCDカメラによる実態写真を示し、同一の試料の各水洗後に撮影したものである。
図7中、○印は実用可能、△印は適用できる範囲に制限がある、×印は実用に耐えない、をそれぞれ意味している。
【実施例】
【0051】
図7より、900~1000℃の範囲では、6時間まで良好な結果が得られている。
一方、800℃と850℃では実用に耐えず、1050℃ではキャス試験4時間程度までしか良好な状態を保てなかった。
従って、窒化処理の温度を900~1000℃とすることが好ましいことがわかった。
【実施例】
【0052】
以上の結果から、化学的安定性を得るには、ホウ化処理後に窒素ガス中で加熱して窒化処理を行うことが好ましいことが示唆された。
【実施例】
【0053】
本発明は、上述の実施の形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0054】
1 試料、11 炉、12 溶融浴、13 回転棒、14,15 水
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6