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明細書 :組立構造体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6005711号 (P6005711)
公開番号 特開2015-226748 (P2015-226748A)
登録日 平成28年9月16日(2016.9.16)
発行日 平成28年10月12日(2016.10.12)
公開日 平成27年12月17日(2015.12.17)
発明の名称または考案の名称 組立構造体
国際特許分類 A63H  33/08        (2006.01)
A63H  33/06        (2006.01)
FI A63H 33/08 A
A63H 33/06 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 15
出願番号 特願2014-248504 (P2014-248504)
出願日 平成26年12月9日(2014.12.9)
優先権出願番号 2014096461
優先日 平成26年5月8日(2014.5.8)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年4月8日(2016.4.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】松浦 昭洋
【氏名】近藤 悠馬
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100101269、【弁理士】、【氏名又は名称】飯塚 道夫
審査官 【審査官】櫻井 茂樹
参考文献・文献 特開昭50-030644(JP,A)
実公昭46-014182(JP,Y1)
実公昭44-028525(JP,Y1)
実開昭49-132097(JP,U)
仏国特許発明第2144994(FR,A5)
実開昭56-158299(JP,U)
調査した分野 A63H33/06-33/08
A63F 9/08
特許請求の範囲 【請求項1】
回転し得るように嵌合可能な円筒形状であって、外周面が相互に同一の径とされる2つの円筒部と、
内径面の半径が前記2つの円筒部の半径と同一とされ且つ前記2つの円筒部の高さより幅が狭く中心角が90度の円弧状に形成されて、2つの円筒部の外周面に沿うように滑らに接続されつつ2つの円筒部を相互に連結する連結部と、
を含む組立構造体。
【請求項2】
前記円筒部の何れかの一端側を細径とした嵌合雄部が、前記円筒部に形成され、他の組立構造体の前記円筒部の内周面に該嵌合雄部を嵌合可能とする請求項1に記載の組立構造体。
【請求項3】
前記連結部が一対の連結部とされ、これら一対の連結部により前記2つの円筒部をそれぞれ相互に連結し、
前記2つの円筒部間の距離と一対の連結部の内径面間の最短距離とを同一とした請求項1に記載の組立構造体。
【請求項4】
前記円筒部の一端側に複数の凸状部を形成し、該複数の凸状部を繋ぐ外接円を前記円筒部の他端側の内周面と同一とし、
前記円筒部の内周面に複数の凸状部を挿入して、他の組立構造体の前記円筒部の内周面に前記円筒部の一端側の複数の凸状部を嵌合可能とする請求項1又は請求項3に記載の組立構造体。
【請求項5】
前記円筒部が連結部により3つ以上連結される請求項1又は請求項2に記載の組立構造体。
【請求項6】
回転し得るように嵌合可能な円筒形状であって、外周面が相互に同一の径とされる3つの円筒部と、
内径面の半径が前記3つの円筒部の半径と同一とされ且つ前記3つの円筒部の高さより幅が狭く中心角が120度の円弧状に形成されて、3つの円筒部の内の2つの外周面に沿うように滑らに接続されつつ2つの円筒部を相互に連結する連結部と、
を含む組立構造体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、接合のための単なる結合要素や可変要素等の組立要素を用いずに、可変的な接合を可能とするだけでなく相互の結合パターンを複数とし得る組立構造体に関し、特に、円形状部材を連結、積み重ね等により組み合わせ、人の自由な発想に基づいて動的に変化しうる多様な形態の立体構造物の作成を可能とする組立玩具用基本構造体に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
様々な形状の組立構造体を相互に接続して任意の形態を作り出すことが可能な組立玩具は、思考力、情緒等を育む玩具として子供のみならず大人にも広く親しまれている。例えば、直方体を基本形状とする組立構造体としては、凸凹部を嵌合させて直方体状の各組立要素を相互に固定する構造のレゴブロック(登録商標)がよく知られる。但し、その基本特許は1988年に失効しており、類似形状の組立構造体として、「メガブロック」、「ダイヤブロック」、「ナノブロック」、「COKO bricks」等も現在知られている。
【0003】
他方、直方体を基本形状としない組立構造体に関しては、準正多面体形状のジョイントパーツとロッドから成る「Zomeツール」が知られており、この「Zomeツール」によれば、ジョイントパーツにロッドを差し込むことで、フレーム状の多様な三次元物体を作ることができる。この他、直方体を基本形状としない組立構造体には、正三角形および正方形状の基本パーツと五種類のジョイントパーツを基本構造体とする組立玩具として「LaQ」が知られており、パーツの種類の多さとそれらの形状の特徴から、この「LaQ」は球面等曲面も作り易いものであった。
【0004】
また、円形状を利用した組立構造体としては、円形の歯車形状の「ロンディ」が知られており、この「ロンディ」は歯車部分を直交させて差し込むことで、組立構造体同士の連結がされる構造とされている。
【0005】
この一方、このような組立構造体を用いた組立玩具の先行技術文献としては、凸凹部を有する直方体状のブロック等を相互に結合させて固定することが下記特許文献1に開示されている。また、下記特許文献2、3には、複数の孔が設けられた組立構造体をピンやナット等の結合組立要素で接続するものが開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2003-508138
【特許文献2】特開2004-65401
【特許文献3】特開2005-58432
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の組立玩具のうちの上記レゴブロックは、直方体状の組立要素の凸凹部を他の組立要素に嵌合させて固定する構造であるため、動物の骨格を模したような有機的な形態を作成することが困難である他、組み立てて特定の形態の構造体を作った後に、この構造体を回転させるような、可変的な構造を有する形態を作成することが困難であった。
【0008】
これに対して、この可変的な構造を有する形態を作成する手段として、ピンやナット等の結合要素やヒンジ部等の特殊な可変機構を有する可変要素等の組立要素を用いることが考えられる。しかし、組立要素の種類が増えるにしたがい、保管の煩わしさが増したり、幼児にとって扱いづらいものになったりする。また、シンプルな組立要素の組合せにより多様な形態を作り出すという組立玩具特有の創造性も失われていくこととなる。
【0009】
さらに、これらの組立玩具の組立手段としては様々なものがあるが、各組立玩具の結合手段は一種類に限られている。例えば、特許文献2に記載の組立構造体の結合手段は、組立要素の穴に結合組立要素を挿入し固定する方法のみである。このため、組立要素の結合パターンが画一的となり、多数の幾何学的な形状を作れず、数学的思考と空間認識能力の向上の手助けとはなり難い。とりわけ、近年、組立玩具が図形学習や図形の応用方法探求のための教具として教育の現場にも取り入れられていることを鑑みると、1つの結合手段に限られない組立玩具に対する要望は高いといえる。
【0010】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、接合のための単なる結合要素や可変要素等の組立要素を用いずに、可変的な接合を可能とするだけでなく相互の結合パターンを複数とし得る組立構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決した請求項1記載の発明は、回転し得るように嵌合可能な円筒形状であって、外周面が相互に同一の径とされる2つの円筒部と、
内径面の半径が前記2つの円筒部の半径と同一とされ且つ前記2つの円筒部の高さより幅が狭く中心角が90度の円弧状に形成されて、2つの円筒部の外周面に沿うように滑らに接続されつつ2つの円筒部を相互に連結する連結部と、
を含む組立構造体である。
【0012】
このような組立構造体によれば、外周面が相互に同一の径とされる2つの円筒部間が、円弧状に形成される連結部により相互に連結されている。また、これら2つの円筒部が、回転し得るように嵌合可能な円筒形状に形成されていることで、本請求項の組立構造体と同一構造とされる他の組立構造体の円筒部とこれら円筒形状に形成された円筒部との間が回転し得るように、嵌合可能となる。さらに、連結部の内径面の半径が2つの円筒部の半径と同一とされると共に、2つの円筒部の高さより幅が狭い円弧状にこの連結部が形成されている。このことから、他の組立構造体の連結部とこの連結部との間を交差させる形で重ね合わせることにより、他の組立構造体の円筒部とこの組立構造体の連結部との間が相互に接合される。
【0013】
従って、本請求項の組立構造体によれば、接合のための単なる結合要素や可変要素等の組立要素を用いずに、可変的な接合を可能とするだけでなく相互の結合パターンを2通りとできる。このため、有機的な形態や可変的な構造を有する形態を簡易に作成可能となると共に、多数の幾何学的な形状をも容易に作成可能となる。
【0014】
以上より、本請求項の組立構造体を複数組み合わせて組立玩具とできる。これに伴って遊具として娯楽目的で使用されるだけでなく、子供の思考力、図形・空間認識能力、情緒等を育む知育玩具、教具としての意義をも有している。また、本請求項の組立構造体は、2つの円筒部と連結部とからなることから、形状の単純さや美しさを持ち、多様な形状を作り出す基本素材として利用できるため、子供の成長を支援する新しい形状の知育玩具、教具としても利用可能になる。
【0015】
さらに、「ナノブロック」や「レゴブロック」等は大人の使用者も多いことが知られるが、本請求項の組立構造体も、組立により多様な形状の作成が可能となると共に、関節部となる円筒部間の嵌合が回転可能となるのに伴って関節部の運動が可能なため、大人が創造性を発揮する玩具やモデル製作の部材としても利用できる。
【0016】
請求項2の発明は、前記円筒部の何れかの一端側を細径とした嵌合雄部が、前記円筒部に形成されて、他の組立構造体の前記円筒部の内周面に該嵌合雄部を嵌合可能とする請求項1に記載の組立構造体である。
つまり、本請求項によれば、細径とした嵌合雄部が同一形状の他の組立構造体の円筒部の内周面に嵌合されることで、円筒部同士が回転可能に嵌合されつつ、組立構造体同士が連結されることになる。
【0017】
請求項3の発明は、前記連結部が一対の連結部とされ、これら一対の連結部により前記2つの円筒部をそれぞれ相互に連結し、
前記2つの円筒部間の距離と一対の連結部の内径面間の最短距離とを同一とした請求項1に記載の組立構造体である。
つまり、本請求項によれば、一対の連結部とされた連結部の内径面間の最短距離が、2つの円筒部間の距離と同一とされることで、相互に異なる組立構造体同士がより確実に円筒部と連結部との間の相互の接合によって、連結される。
【0018】
請求項4の発明は、前記円筒部の一端側に複数の凸状部を形成し、該複数の凸状部を繋ぐ外接円を前記円筒部の他端側の内周面と同一とし、
前記円筒部の内周面に複数の凸状部を挿入して、他の組立構造体の前記円筒部の内周面に前記円筒部の一端側の複数の凸状部を嵌合可能とする請求項1又は請求項3に記載の組立構造体である。
つまり、本請求項によれば、複数の凸状部を円筒部の一端側に形成したことで、円筒部の内周面に複数の凸状部を挿入してこれら複数の凸状部を嵌合させることが可能となる。これに伴い、円筒部同士がより容易に回転可能に嵌合されて、組立構造体同士が連結されることになる。
【0019】
請求項5の発明は、前記円筒部が連結部により3つ以上連結される請求項1又は請求項2に記載の組立構造体である。
つまり、本請求項によれば、円筒部が3つ以上とされても、連結部によりこれら円筒部が連結されることで、一体的な構造の組立構造体となる。この場合でも、請求項1と同様に接合のための単なる結合要素や可変要素等の組立要素を用いずに、有機的な形態や可変的な構造を有する形態を簡易に作成可能となると共に、多数の幾何学的な形状をも容易に作成可能となるようになる。
請求項6の発明は、回転し得るように嵌合可能な円筒形状であって、外周面が相互に同一の径とされる3つの円筒部と、
内径面の半径が前記3つの円筒部の半径と同一とされ且つ前記3つの円筒部の高さより幅が狭く中心角が120度の円弧状に形成されて、3つの円筒部の内の2つの外周面に沿うように滑らに接続されつつ2つの円筒部を相互に連結する連結部と、
を含む組立構造体である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の組立構造体によれば、接合のための単なる結合要素や可変要素等の組立要素を用いずに、可変的な接合を可能とするだけでなく相互の結合パターンを複数にできるという優れた効果を有する。
これに合わせて、各組立構造体同士の円筒部を嵌合して相互に繋いで形態を作っていくため、有機的な形態が作りやすい。また、組立後も結合部を回転させることができるため、補助的な結合組立要素を用いることなく、変形を許す動的な物体を作成することができる。さらに、連結部の部分同士を結合することができるため、より多様な組み合わせを模索して多様な形態の作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る雌型円筒部を有した組立構造体の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る雌型円筒部を有した組立構造体を説明する図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は2C-2C矢視線図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る雄型円筒部を有した組立構造体の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る雄型円筒部を有した組立構造体を説明する図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は4C-4C矢視線図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を2つ用いて円筒部同士を嵌合させた組立状態を表す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を2つ用いて連結部同士を重ね合わせた組立状態を表す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を外接させて積み重ねた組立状態を表す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を4つ用いて円筒部同士を嵌合させた組立状態を表す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を4つ用いて円筒部同士を嵌合させた組立状態を表す平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を複数用いて生物のうちの人を模した形態を表す斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を複数用いて生物のうちの犬を模した形態を表す写真である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を複数用いて生物のうちのきりんを模した形態を表す写真である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る組立構造体を複数用いて生物のうちのうさぎを模した形態を表す写真である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る雌型円筒部を有した組立構造体の下側から見た斜視図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る雌型円筒部を有した組立構造体の上側から見た斜視図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る雌型円筒部を有した組立構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る組立構造体の第1の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態の組立構造体10の1つのタイプは、図1及び図2に示すようにそれぞれ内外周面が相互に同一の径とされる円筒形状の2つの雌型円筒部11、12を有した構造とされている。これら2つの雌型円筒部11、12を一対の連結部15、16がそれぞれ相互に連結することで、この組立構造体10は図2(A)に示す上面視において略瓢箪型になっている。この際、各連結部15、16の両端は、雌型円筒部11、12の下部寄りに対して2つの雌型円筒部11、12の外周面に沿うように滑らに接続されている。

【0023】
これら一対の連結部15、16は、その内径面15A、16Aの半径rcが2つの雌型円筒部11、12の半径rと同一とされると共に2つの雌型円筒部11、12の高さdの半分程度の幅寸法dcを有する円弧状にそれぞれ形成されている。また、各連結部15、16の内径面15A、16Aを形成する円弧が中心角θを90°とした扇形ともされている。そして、これら一対の連結部15、16は湾曲した凸側が互いに対向するように形成されているものの、一対の連結部15、16の内径面15A、16A間の最短距離MSは、2つの円筒部間の距離Sと同一とされている。

【0024】
本実施形態の組立構造体10の円筒部には、図1及び図2に示す上記雌型円筒部11、12の他に、図3及び図4に示す雄型円筒部13、14が他のタイプとして存在する。これら雌型円筒部11、12は、相互に同軸状の内外周面がそれぞれストレートに形成されている。これに対して、雄型円筒部13、14は、相互に同軸状の内外周面がその中程で細く形成されている。すなわち、雄型円筒部13、14の一端側である上側には、細径とされた嵌合雄部13B、14Bが形成されており、この嵌合雄部13B、14Bの外径は、雌型円筒部11、12の内径及びこの雄型円筒部13、14の下側寄りの基本径部13A、14Aの内径と同一とされている。

【0025】
このため、他の組立構造体10の雌型円筒部11、12及び雄型円筒部13、14の内周面に、この嵌合雄部13B、14Bが嵌合可能となる。この際、嵌合雄部13B、14B及びこれらの内周面はそれぞれ円形に形成されているので、結合後も嵌合部分を軸として回転し得るように嵌合可能とされ、これに伴って各組立構造体10を相対的に回転できる。

【0026】
上記性質を利用すれば、相互に同一形状に形成された複数の組立構造体10を図5及び図6に示すように積み重ねていくことができる。
例えば、図5に示すように、2つの組立構造体10の雄型円筒部13、14と雌型円筒部11、12とを各1つずつ嵌合させて直線状に繋ぐことができる。ただし点線で示すように、角度をつけて繋ぐことも可能となる。尚、雄型円筒部13、14同士の嵌合であっても同様に繋ぐことができる。このように2つの組立構造体10同士の接触部分が円形状であるため、接続後も接触部分で組立構造体10を回転させることができる。

【0027】
また、図示しないものの、複数の組立構造体10の2つの円筒部をそれぞれ相互に連結して、組立構造体10を順次積み重ねる形で組み合わせることにより、複数の組立構造体10を結合することもできる。

【0028】
他方、図2及び図4に示すように、一対の連結部15、16の内径面15A、16A間の最短距離MSが2つの雌型円筒部11、12間の距離Sと同一とされ、連結部15、16の周辺は、雌型円筒部11、12の一部をも含め、中心角θが90度の4つの円弧から成るのに伴い、90度の回転対称性を持っている。

【0029】
従って、図6に示すように、2つの組立構造体10を90度の角度だけ相互に回転して、連結部15、16同士を重ね合わせつつ上方の組立構造体10を下降することで、点線のように配置できる。このことで、一方の組立構造体10の雌型円筒部11、12及び連結部15、16と、他方の組立構造体10の連結部16、15及び雌型円筒部12、11とが、それぞれ計4組で接合する形にできる。そして、組立構造体10同士を図6に示す実線の組立構造体10と点線の組立構造体10の組み合わせのように結合することで、4つの円が正方形状に配置された図形ともなる。尚、この際の組み合わせとしては、雄型円筒部13、14を有した組立構造体10と雌型円筒部11、12を有した組立構造体10の組み合わせとしても良い。

【0030】
次に、本実施形態の組立構造体10の具体的な寸法の例を以下に説明する。
まず、図1及び図2に示す2つの雌型円筒部11、12を有した組立構造体10について説明する。
2つの雌型円筒部11、12の高さをd、外周面の半径をr、厚みをtとそれぞれする。また、2つの連結部15、16の幅をdc、内径面15A、16Aの半径rc、厚みをtcとそれぞれする。
雌型円筒部11、12と連結部15、16の寸法は以下のような関係となる。
d=2dc
r=rc
t=tc

【0031】
さらに、図3及び図4に示す2つの雄型円筒部13、14を有した組立構造体10について説明する。
2つの雄型円筒部13、14は、基本径部13A、14Aから嵌合雄部13B、14Bが突出した構造とされ、基本径部13A、14Aの上端に嵌合雄部13B、14Bと繋がる中間部13C、14Cを有する点が雌型円筒部11、12と異なる。この雄型円筒部13、14の基本径部13A、14Aの高さをd1、中間部13C、14Cの高さをd2、嵌合雄部13B、14Bの高さをd3、基本径部13A、14Aの外周面の半径をr1、嵌合雄部13B、14Bの外周面の半径をr3、基本径部13A、14Aの厚みをt1、中間部13C、14Cの厚みをt2、嵌合雄部13B、14Bの厚みをt3とそれぞれする。
雄型円筒部13、14の寸法および、雄型円筒部13、14と雌型円筒部11、12との寸法の関係は、以下のようになる。
1-d2=d3
1=r
3=r-t
1=t3=t
2=2t1

【0032】
下記は、雌型円筒部11、12、雄型円筒部13、14、連結部15、16及び組立構造体10自体がそれぞれ有する寸法の一例である。但し、寸法の単位はmmである。
雌型円筒部11、12について
高さd=10、外周面の半径r=10、厚みt=1
雄型円筒部13、14について
基本径部13A、14Aの高さd1=5、外周面半径r1=10、厚みt1=1
中間部13C、14Cの高さd2=1、厚みt2=2
嵌合雄部13B、14Bの高さd3=4、外周面半径r3=9、厚みt3=1
連結部15、16について
幅dc=5、半径rc=10、厚みtc=1
各組立構造体10自体について
横最長部の長さL=48.2(=20+20√2)

【0033】
次に、本実施形態の組立構造体10の作用を説明する。
上記のような組立構造体10によれば、外周面が相互に同一の径とされる2つの雌型円筒部11、12間或いは2つの雄型円筒部13、14間が、円弧状に形成される一対の連結部15、16により相互に連結されている。さらに、一端側を細径とした嵌合雄部13B、14Bのいずれかと、他の組立構造体10のストレートな円筒に形成された雌型円筒部11、12のいずれかを嵌合させることで、これらが相互に回転可能に嵌合される。また、この嵌合雄部13B、14Bのいずれかと、他の組立構造体10の雄型円筒部13、14のいずれかを嵌合させることで、同じくこれらが相互に回転可能に嵌合される。
このため、回転し得るように嵌合可能な円筒形状に円筒部11、12、13、14が形成されていることで、組立構造体10の円筒部11、12、13、14同士間が回転可能に嵌合されつつ、組立構造体10同士が連結されることになる。

【0034】
他方、一対の連結部15、16の内径面15A、16Aの半径rcが2つの雌型円筒部11、12の半径rと同一とされると共に、2つの雌型円筒部11、12の高さdより幅dcが狭い円弧状にこれら連結部15、16が形成されている。さらに、2つの雌型円筒部11、12間の距離Sと一対の連結部15、16の内径面15A、16A間の最短距離MSとが同一とされている。このことから、図6に示すように他の組立構造体10の連結部15、16とこの連結部15、16との間を交差させる形で重ね合わせることにより、相互に異なる組立構造体10同士が円筒部と連結部15、16との間の相互の接合によって、連結される。

【0035】
従って、本実施形態の組立構造体10によれば、接合のための単なる結合要素や可変要素等の組立要素を用いずに、可変的な接合を可能とするだけでなく相互の結合パターンを2通とできる。このため、有機的な形態や可変的な構造を有する形態を簡易に作成可能となると共に、多数の幾何学的な形状をも容易に作成可能となる。

【0036】
次に、本実施の形態の組立構造体10による組立例を説明する。
まず、図7に示すように、複数の組立構造体10を外接させて積み重ねていくことができる。この際、安定性の観点から雌型円筒部11、12を有した組立構造体10を用いたが、雄型円筒部13、14を有したものを用いても良い。また、図8及び図9のように、雌型円筒部11、12を有した組立構造体10と雄型円筒部13、14を有した組立構造体10とを四つ順次連結し、最後に両端の円筒部同士を嵌合させて一致させると、図9に示すように、正方形状に配置された四つの円に加え、中央に元々なかった同一径の円孔Qが現れる図形となる。

【0037】
この円孔Qは、それぞれの組立構造体10の連結部15、16の円弧から形成されるため、円筒部11、12、13、14と同一径を持ち、新たな組立構造体10の円筒部を嵌め込んで固定することが可能である。これらのことから、組立構造体10が実体を持った物体として実現されると、それを複数連結して行くことで多様な形状を作成できることを示唆している。さらに、本実施の形態の組立構造体10により生物を模した形態の作成例のうちの「人」を模した組立玩具100の組立例を図10に示す。この「人」を模した組立玩具100の組立例は、脚部及び腕部を構成する組立構造体10をそれぞれ回転させることで、直立体勢のみならず様々な体勢を取ることが可能である。また、図11に示す写真は、生物のうちの「犬」を模した組立玩具の形態を表し、図12に示す写真は、生物のうちの「きりん」を模した組立玩具の形態を表し、図13に示す写真は、生物のうちの「うさぎ」を模した組立玩具の形態を表す。これら図11から図13の写真に示す組立玩具の組立例においても、脚部等を構成する組立構造体をそれぞれ回転させることで、様々な体勢を取ることが可能である。

【0038】
次に、本発明に係る組立構造体の第2の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態の組立構造体20の基本的な構成は、第1の実施形態の組立構造体10と同一である。但し、本実施形態では、雄型円筒部13、14の替わりに、図14及び図15に示すように円筒部の下方開口部を下面壁23A、24Aにより閉鎖し、その下面壁23A、24A上に略円柱状の凸状部25を複数(本実施形態では3つ)形成した構造の雄型円筒部23、24とする。そして、本実施形態では、連結部15、16が一体的なものとされているが、第1の実施形態のように一対の連結部としても良い。

【0039】
これら複数の凸状部25の配置としては、これら複数の凸状部25を繋ぐ外接円の径をこの雄型円筒部23、24の他端側及び雌型円筒部11、12の内周面の径と同一とする。また、下面壁23A、24Aの背面側からは、複数の凸状部25の内接円の直径と同一の直径を有する円柱26が、雄型円筒部23、24の内周面と同心円上に立設されている。尚、この円柱26は図示のように中空な構造とされているが、必ずしも中空にする必要はなく、内部を埋めた構造としても良い。

【0040】
従って、本実施形態の組立構造体20によれば、他の組立構造体20の雄型円筒部23、24の他端側や第1の実施形態の雌型円筒部11、12の内周面にこれら複数の凸状部25を挿入して、他の組立構造体10、20の円筒部11、12、23、24の内周面に、これら複数の凸状部25を嵌合することができる。これに伴い、複数の凸状部25及び円柱26により、雄型円筒部23、24同士が回転可能に嵌合されて、組立構造体20同士或いは組立構造体10と組立構造体20が連結されることになる。

【0041】
下記は、雄型円筒部23、24、凸状部25、円柱26及び組立構造体20自体がそれぞれ有する寸法の一例である。但し、寸法の単位はmmである。
雄型円筒部23、24について
直径E=20、厚みT=0.6、高さB=5、高さC=5
凸状部25について
高さA=5、直径D=6.3
円柱26について
直径F=6.3、厚みG=0.4
組立構造体20自体について
横最長部の長さL=48.2(=20+20√2)

【0042】
次に、本発明に係る組立構造体の第3の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態の組立構造体30の基本的な構成は、第1の実施形態の組立構造体10と同一である。但し、本実施形態では、図16に示すように3つの雌型円筒部31、32、33を正三角形状になるように並べ、各雌型円筒部31、32、33を円弧状に形成した各1本の連結部34、35、36によってそれぞれ連結した構造となっている。そして、円筒部は、第1の実施形態と同様に、雌型円筒部31、32、33だけでなく、図示しないものの雄型円筒部も有していてこれらの組合せが可能となっている。

【0043】
第1の実施形態では、連結部15、16が90度の中心角を有した円弧に形成されていたが、本実施形態は3つの雌型円筒部31、32、33を有するのに伴って120°の回転対称性を持つため、連結部34、35、36が120度の中心角θを有した円弧に形成されている。但し、内径面34A、35A、36Aは、その半径が雌型円筒部31、32、33の外周面の半径と同一とされる円弧状に形成されている。

【0044】
本実施形態は、雌型円筒部31、32、33及び連結部34、35、36が120°の回転対称性を持つため、同一の組立構造体30を120°に回転すれば雌型円筒部31、32、33を連結部34、35、36に重ね合わせて結合することができる。これにより、雌型円筒部31、32、33の各中心点を結ぶと、正六角形状となる形態を作成することができる。

【0045】
以上のように、本発明の組立構造体には2つの円筒部を用いたものだけでなく、3つの円筒部を三つ又状に配置して円弧状の連結部で繋いだタイプのバリエーションもある。このため、本発明の組立構造体を複数組み合わせ連結することで、幾何学的形状、有機的形状を含む多様な形態の作成が可能である。これらの特徴より本発明の組立構造体は、図形学習や図形の応用方法探究のための教具や、人の自由な発想に基づく形態作成のための玩具として、効果的に使用できる。

【0046】
他方、上記した組立構造体のサイズは一例で有り、本発明の組立構造体は手に取って使用するため、幼児、小児、十代、大人等の使用対象の相違により、組立構造体の厚みや円筒部の半径のサイズを相異させて各使用対象に合わせたサイズを決定することが考えられる。さらに、組立構造体の材質としてはABS樹脂やPLA樹脂が考えられるが、強度、耐久性、製造のコスト等様々な観点から、他の最適な素材を用いても良い。

【0047】
また、上記第1の実施形態では、雌型円筒部11、12のみ或いは雄型円筒部13、14のみからなる組立構造体10について述べているが、本発明の組立構造体はこれに制限されるものではなく、雌型円筒部と雄型円筒部とを1つの組立構造体に組合せた形で構成してもよい。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、組立玩具の他にさまざまな理工学あるいは産業分野に適用可能となる。
【符号の説明】
【0049】
10 組立構造体
11、12 雌型円筒部
15、16 連結部
15A、16A 内径面
13、14 雄型円筒部
20 組立構造体
23、24 雄型円筒部
25 凸状部
30 組立構造体
31、32、33 雌型円筒部
34、35、36 連結部
34A、35A、36A 内径面
S 距離
MS 最短距離
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図14】
10
【図15】
11
【図16】
12
【図11】
13
【図12】
14
【図13】
15