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明細書 :飛行体および飛行体の制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6229184号 (P6229184)
公開番号 特開2016-060468 (P2016-060468A)
登録日 平成29年10月27日(2017.10.27)
発行日 平成29年11月15日(2017.11.15)
公開日 平成28年4月25日(2016.4.25)
発明の名称または考案の名称 飛行体および飛行体の制御方法
国際特許分類 B64C  27/08        (2006.01)
B64C  39/02        (2006.01)
B64C  13/20        (2006.01)
FI B64C 27/08
B64C 39/02
B64C 13/20 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 19
出願番号 特願2014-192767 (P2014-192767)
出願日 平成26年9月22日(2014.9.22)
審査請求日 平成29年7月27日(2017.7.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591141784
【氏名又は名称】学校法人大阪産業大学
発明者または考案者 【氏名】今村 彰隆
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100098305、【弁理士】、【氏名又は名称】福島 祥人
【識別番号】100187931、【弁理士】、【氏名又は名称】澤村 英幸
審査官 【審査官】前原 義明
参考文献・文献 米国特許出願公開第2013/0105635(US,A1)
特開2013-193510(JP,A)
特開2016-88121(JP,A)
調査した分野 B64C 39/02
B64C 13/20
B64D 47/08
B64D 45/02
特許請求の範囲 【請求項1】
本体部と、
前記本体部を飛行させるための第1、第2、第3および第4の推進力をそれぞれ発生する第1、第2、第3および第4の推進器と、
前記第1、第2、第3および第4の推進力の方向を変更可能なように前記第1、第2、第3および第4の推進器を前記本体部に支持する可変支持機構と、
前記可変支持機構を制御する制御手段とを備え、
基準面上に互いに交差する第1および第2の軸が定義され、
前記第1および第3の推進器は、前記第1の軸上で前記第1および第2の軸の交差部を挟んで互いに反対側に配置され、
前記第2および第4の推進器は、前記第2の軸上で前記交差部を挟んで互いに反対側に配置され、
前記可変支持機構は、前記第1および第3の推進器を前記第1の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持するとともに、前記第2および第4の推進器を前記第2の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持し、
前記制御手段は、前記基準面が水平となる状態で前記本体部を前記交差部から前記第1および第2の推進器の間に向かう第1の方向に前進飛行させる際に、前記第1および第2の推進力の方向が前記第1の方向に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方を向き、前記第3および第4の推進力の方向が前記第1の方向に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、前記可変支持機構を制御する、飛行体。
【請求項2】
前記交差部を通って前記第1および第2の軸に直交する第3の軸が定義され、
前記第1、第2、第3および第4の推進器は、この順で前記交差部を取り囲むように配置され、
前記制御手段は、前記基準面が水平となる状態で本体部を前記第3の軸の周りで一方向に回転飛行させる際に、前記第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くとともに、前記基準面上の前記第1、第2、第3および第4の推進力の成分が前記一方向を向くように、前記可変支持機構を制御する、請求項1記載の飛行体。
【請求項3】
飛行体の制御方法であって、
前記飛行体は、
前記本体部を飛行させるための第1、第2、第3および第4の推進力をそれぞれ発生する第1、第2、第3および第4の推進器と、
前記第1、第2、第3および第4の推進力の方向を変更可能なように前記第1、第2、第3および第4の推進器を前記本体部に支持する可変支持機構とを備え、
基準面上に互いに交差する第1および第2の軸が定義され、
前記第1および第3の推進器は、前記第1の軸上で前記第1および第2の軸の交差部を挟んで互いに反対側に配置され、
前記第2および第4の推進器は、前記第2の軸上で前記交差部を挟んで互いに反対側に配置され、
前記可変支持機構は、前記第1および第3の推進器を前記第1の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持するとともに、前記第2および第4の推進器を前記第2の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持し、
前記制御方法は、
前記基準面が水平となる状態で前記本体部を前記交差部から前記第1および第2の推進器の間に向かう第1の方向に前進飛行させる際に、前記第1および第2の推進力の方向が前記第1の方向に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方を向き、前記第3および第4の推進力の方向が前記第1の方向に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、前記可変支持機構を制御するステップを備える、飛行体の制御方法。
【請求項4】
前記交差部を通って前記第1および第2の軸に直交する第3の軸が定義され、
前記第1、第2、第3および第4の推進器は、この順で前記交差部を取り囲むように配置され、
前記制御方法は、
前記基準面が水平となる状態で本体部を前記第3の軸の周りで一方向に回転飛行させる際に、前記第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くとともに、前記基準面上の前記第1、第2、第3および第4の推進力の成分が前記一方向を向くように、前記可変支持機構を制御するステップをさらに備える、請求項3記載の飛行体の制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体および飛行体の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遠隔操作可能な飛行体は、農薬の散布、地形観察および災害の監視等種々の分野で利用されている。このような飛行体によれば、人が進入することが困難な領域での作業を容易に行うことが可能になる。
【0003】
特許文献1には、飛行体として小型無人機が記載されている。特許文献1の小型無人機においては、4方向から本体部(機体)を取り囲むように、本体部の周りに4つの駆動部が配置される。4つの駆動部の各々は、モータおよびロータ(回転翼)を含む。モータによりロータが回転すると、駆動部に上向きの推進力が発生する。4つの駆動部において発生される上向きの推進力の合計が、小型無人機に作用する重力を超えることにより小型無人機が空中に浮き上がる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2013-129301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
4つのロータを有する従来の飛行体が空中に浮いて停止している状態(ホバリング状態)で、4つのロータの回転速度は等しくなるように調整される。また、4つのロータの回転速度は、4つのロータにより発生される上向きの推進力の合計が飛行体に作用する重力と等しくなるように調整される。
【0006】
ホバリング状態の飛行体が水平方向に前進飛行する場合には、最初に4つのロータの回転速度がそれぞれ調整されることにより飛行体の姿勢が調整される。例えば、4つのロータのうち隣り合う2つのロータ(以下、第1および第2のロータと呼ぶ。)の回転速度が、他の2つのロータ(以下、第3および第4のロータと呼ぶ。)の回転速度よりも低くなるように調整される。
【0007】
この場合、第1および第2のロータにより発生される推進力が、第3および第4のロータにより発生される推進力よりも小さくなる。それにより、飛行体においては、第1および第2のロータの位置が第3および第4のロータの位置よりも低くなる。つまり、飛行体が水平面に対して傾斜する。
【0008】
この状態で、第1~第4のロータの回転速度が再び等しくなるように調整される。この場合、第1~第4のロータが水平面に対して傾斜しているので、第1~第4のロータにより発生される推進力は斜め上方に向かう。このとき、第1~第4のロータの回転速度は、第1~第4のロータにより発生される推進力の鉛直方向に向かう成分の合計が飛行体に作用する重力と等しくなるように調整される。それにより、飛行体が一定の高さの位置に保持される。この状態で、第1~第4のロータにより発生される推進力の前方に向かう成分により飛行体が水平方向に前進飛行する。
【0009】
その後、飛行体の前進飛行が停止され、ホバリング状態に戻る場合には、第1および第2のロータの回転速度が第3および第4のロータの回転速度よりも高くなるように一時的に調整される。
【0010】
この場合、第1および第2のロータにより発生される推進力が、第3および第4のロータにより発生される推進力よりも大きくなる。それにより、飛行体においては、第1および第2のロータの位置が第3および第4のロータの位置と同じ高さに戻される。
【0011】
その後、第1~第4のロータの回転速度が等しくなるように調整される。また、第1~第4のロータの回転速度が、第1~第4のロータにより発生される推進力の鉛直方向の成分の合計が飛行体に作用する重力と等しくなるように調整される。それにより、飛行体の姿勢がホバリング状態の姿勢に戻される。
【0012】
このように、4つのロータを有する飛行体をホバリング状態から水平方向に前進飛行させる場合には、飛行体の姿勢を調整するために4つのロータの回転速度を個別にかつ頻繁に調整する必要がある。このような制御は煩雑であり、正確な調整が難しい。
【0013】
また、使用者は、上記の飛行体を遠隔操作する場合、飛行体の位置だけでなく飛行体の姿勢を考慮する必要がある。そのため、飛行体を所望の位置へ正確に移動させるためには、遠隔操作に熟練を要する。
【0014】
本発明の目的は、所望の位置へ正確かつ容易に移動させることが可能な飛行体および飛行体の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)第1の発明に係る飛行体は、本体部と、本体部を飛行させるための第1、第2、第3および第4の推進力をそれぞれ発生する第1、第2、第3および第4の推進器と、第1、第2、第3および第4の推進力の方向を変更可能なように第1、第2、第3および第4の推進器を本体部に支持する可変支持機構と、可変支持機構を制御する制御手段とを備え、基準面上に互いに交差する第1および第2の軸が定義され、第1および第3の推進器は、第1の軸上で第1および第2の軸の交差部を挟んで互いに反対側に配置され、第2および第4の推進器は、第2の軸上で交差部を挟んで互いに反対側に配置され、可変支持機構は、第1および第3の推進器を第1の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持するとともに、第2および第4の推進器を第2の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持し、制御手段は、基準面が水平となる状態で本体部を交差部から第1および第2の推進器の間に向かう第1の方向に前進飛行させる際に、第1および第2の推進力の方向が第1の方向に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方を向き、第3および第4の推進力の方向が第1の方向に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、可変支持機構を制御するものである。
【0016】
その飛行体においては、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の鉛直方向に向かう成分が鉛直方向に向かう推進力として本体部に作用する。それにより、本体部を空中に浮き上がらせることができる。
【0017】
第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め前方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の前方に向かう水平成分が前方に向かう推進力として本体部に作用する。また、第1および第2の推進力の方向が第1の方向に関して斜め内方を向くことにより、第1および第2の推進力の第1の方向に直交する水平成分が互いに相殺される。また、第3および第4の推進力の方向が第1の方向に関して斜め外方を向くことにより、第3および第4の推進力の第1の方向に直交する水平成分が互いに相殺される。それにより、空中に浮き上がった本体部を前進飛行させることができる。
【0018】
可変支持機構の構成によれば、第1の推進器を第1の軸の周りで回転させるとともに第2の推進器を第2の軸の周りで回転させることにより、第1および第2の推進力の方向を、第1の方向に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方に容易に向けることができる。また、第3の推進器を第1の軸の周りで回転させるとともに第4の推進器を第2の軸の周りで回転させることにより、第3および第4の推進力の方向を、第1の方向に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方に容易に向けることができる。それにより、簡単な制御で基準面を水平状態に保ちつつ飛行体を前進飛行させることができる。したがって、飛行体を所望の位置へ正確かつ容易に移動させることが可能になる。
【0019】
(2)交差部を通って第1および第2の軸に直交する第3の軸が定義され、第1、第2、第3および第4の推進器は、この順で交差部を取り囲むように配置され、制御手段は、基準面が水平となる状態で本体部を第3の軸の周りで一方向に回転飛行させる際に、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くとともに、基準面上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が一方向を向くように、可変支持機構を制御してもよい。
【0020】
この場合、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の鉛直方向に向かう成分が鉛直方向に向かう推進力として本体部に作用する。また、基準面上の第1、第2、第3および第4の推進力の水平成分が、第3の軸の周りで一方向に向かう推進力として本体部に作用する。それにより、空中に浮き上がった本体部を第3の軸の周りで一方向に回転飛行させることができる。
【0021】
上記の構成によれば、第1および第3の推進器を第1の軸の周りでそれぞれ回転させるとともに第2および第4の推進器を第2の軸の周りでそれぞれ回転させることができる。それにより、第1、第2、第3および第4の推進力の方向を斜め上方に容易に向けるとともに、基準面上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分を一方向に容易に向けることができる。したがって、簡単な制御で基準面を水平状態に保ちつつ本体部の向きを迅速に変更することが可能になる。
【0022】
(3)第2の発明に係る制御方法は、飛行体の制御方法であって、飛行体は、本体部を飛行させるための第1、第2、第3および第4の推進力をそれぞれ発生する第1、第2、第3および第4の推進器と、第1、第2、第3および第4の推進力の方向を変更可能なように第1、第2、第3および第4の推進器を本体部に支持する可変支持機構とを備え、基準面上に互いに交差する第1および第2の軸が定義され、第1および第3の推進器は、第1の軸上で第1および第2の軸の交差部を挟んで互いに反対側に配置され、第2および第4の推進器は、第2の軸上で交差部を挟んで互いに反対側に配置され、可変支持機構は、第1および第3の推進器を第1の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持するとともに、第2および第4の推進器を第2の軸の周りでそれぞれ回転可能に支持し、制御方法は、基準面が水平となる状態で本体部を交差部から第1および第2の推進器の間に向かう第1の方向に前進飛行させる際に、第1および第2の推進力の方向が第1の方向に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方を向き、第3および第4の推進力の方向が第1の方向に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、可変支持機構を制御するステップを備えるものである。
【0023】
その飛行体においては、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の鉛直方向に向かう成分が鉛直方向に向かう推進力として本体部に作用する。それにより、本体部を空中に浮き上がらせることができる。
【0024】
第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め前方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の前方に向かう水平成分が前方に向かう推進力として本体部に作用する。また、第1および第2の推進力の方向が第1の方向に関して斜め内方を向くことにより、第1および第2の推進力の第1の方向に直交する水平成分が互いに相殺される。また、第3および第4の推進力の方向が第1の方向に関して斜め外方を向くことにより、第3および第4の推進力の第1の方向に直交する水平成分が互いに相殺される。それにより、空中に浮き上がった本体部を前進飛行させることができる。
【0025】
可変支持機構の構成によれば、第1の推進器を第1の軸の周りで回転させるとともに第2の推進器を第2の軸の周りで回転させることにより、第1および第2の推進力の方向を、第1の方向に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方に容易に向けることができる。また、第3の推進器を第1の軸の周りで回転させるとともに第4の推進器を第2の軸の周りで回転させることにより、第3および第4の推進力の方向を、第1の方向に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方に容易に向けることができる。それにより、上記の制御方法によれば、簡単な制御で基準面を水平状態に保ちつつ飛行体を前進飛行させることができる。したがって、飛行体を所望の位置へ正確かつ容易に移動させることが可能になる。
【0026】
(4)交差部を通って第1および第2の軸に直交する第3の軸が定義され、第1、第2、第3および第4の推進器は、この順で交差部を取り囲むように配置され、制御方法は、基準面が水平となる状態で本体部を第3の軸の周りで一方向に回転飛行させる際に、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くとともに、基準面上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が一方向を向くように、可変支持機構を制御するステップをさらに備えてもよい。
【0027】
この場合、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の鉛直方向に向かう成分が鉛直方向に向かう推進力として本体部に作用する。また、基準面上の第1、第2、第3および第4の推進力の水平成分が、第3の軸の周りで一方向に向かう推進力として本体部に作用する。それにより、空中に浮き上がった本体部を第3の軸の周りで一方向に回転飛行させることができる。
【0028】
可変支持機構の構成によれば、第1および第3の推進器を第1の軸の周りでそれぞれ回転させるとともに第2および第4の推進器を第2の軸の周りでそれぞれ回転させることができる。それにより、第1、第2、第3および第4の推進力の方向を斜め上方に容易に向けるとともに、基準面上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分を一方向に容易に向けることができる。したがって、上記の制御方法によれば、簡単な制御で基準面を水平状態に保ちつつ本体部の向きを迅速に変更することができる。
【0029】
(5)制御手段は、基準面が水平となる状態で本体部を飛行させる際に、第1、第2、第3および第4の推進力が等しくなるように第1、第2、第3および第4の推進器をそれぞれ制御可能に構成されてもよい。
【0030】
この場合、基準面を水平状態に保ちつつ本体部を飛行させる際に、第1、第2、第3および第4の推進器を共通に制御することが可能になる。したがって、第1、第2、第3および第4の推進器の制御が容易になる。
【0031】
(6)第1、第2、第3および第4の推進器の各々は、ロータと、ロータを駆動する駆動装置とを含んでもよい。
【0032】
この場合、単純な構成で本体部を飛行させることが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、飛行体を所望の位置へ正確かつ容易に移動させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係る飛行体の平面図である。
【図2】図1の飛行体の一方側面図である。
【図3】図2の第1の可動支持機構の動作を説明するための側面図である。
【図4】第1の飛行制御により図1の本体部が空中に浮いている状態を示す平面図および一方側面図である。
【図5】第2の飛行制御により図1の本体部が第1の方向に前進飛行している状態を示す平面図および一方側面図である。
【図6】第3の飛行制御により図1の本体部が第3の軸の周りで一方向に回転飛行している状態を示す平面図および一方側面図である。
【図7】図1の飛行体を備える飛行体システムの制御系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(1)飛行体の構成
図1は本発明の一実施の形態に係る飛行体の平面図であり、図2は図1の飛行体の一方側面図である。図1および図2に示すように、飛行体100は、本体部10、第1の支持軸20A、第2の支持軸20B、第3の支持軸20Cおよび第4の支持軸20Dを含む。また、飛行体100は、第1の可動支持機構30A、第2の可動支持機構30B、第3の可動支持機構30C、第4の可動支持機構30D、第1の推進器40A、第2の推進器40B、第3の推進器40Cおよび第4の推進器40Dを含む。

【0036】
第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dは同一平面(以下、基準面と呼ぶ。)rs上に位置する。基準面rs上で互いに直交する2つの軸をそれぞれ第1の軸xaおよび第2の軸yaと定義する。また、第1の軸xaと第2の軸yaとの交差部Oで、第1および第2の軸xa,yaに直交する軸を第3の軸zaと定義する。本体部10は交差部O上に位置する。

【0037】
本体部10から第1の軸xaに沿って一方向に延びるように第1の支持軸20Aが設けられ、本体部10から第1の軸xaに沿って逆方向に延びるように第3の支持軸20Cが設けられる。本体部10から第2の軸yaに沿って一方向に延びるように第2の支持軸20Bが設けられ、本体部10から第2の軸yaに沿って逆方向に延びるように第4の支持軸20Dが設けられる。第1、第2、第3および第4の支持軸20A,20B,20C,20Dは同じ構成を有する。

【0038】
第1、第2、第3および第4の支持軸20A,20B,20C,20Dに、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dがそれぞれ取り付けられる。第1、第2、第3および第4の支持軸20A,20B,20C,20Dと、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dとを含む構成が、本発明の可変支持機構に相当する。

【0039】
第1の支持軸20Aおよび第1の可動支持機構30Aにより、第1の推進器40Aが本体部10に支持される。第2の支持軸20Bおよび第2の可動支持機構30Bにより、第2の推進器40Bが本体部10に支持される。第3の支持軸20Cおよび第3の可動支持機構30Cにより、第3の推進器40Cが本体部10に支持される。第4の支持軸20Dおよび第4の可動支持機構30Dにより、第4の推進器40Dが本体部10に支持される。

【0040】
この状態で、第1および第3の推進器40A,40Cは、第1の軸xa上で交差部Oを挟んで互いに反対側に配置される。第2および第4の推進器40B,40Dは、第2の軸ya上で交差部Oを挟んで互いに反対側に配置される。

【0041】
第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの各々は、ロータ(回転翼)41および推進モータ42を含み、後述する制御部110(図7)により制御される。推進モータ42は、本発明の駆動装置に相当する。

【0042】
推進モータ42が作動してロータ41が回転することにより、本体部10を飛行させるための推進力が発生する。発生する推進力の方向は、推進モータ42の回転軸に沿って推進モータ42からロータ41に向く。以下の説明では、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dにより発生される推進力をそれぞれ第1、第2、第3および第4の推進力と呼ぶ。

【0043】
第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dは基本的に同じ構成を有する。可動支持機構30A,30B,30C,30Dのうち、代表して可動支持機構30Aの構成および動作を説明する。

【0044】
図2に示すように、第1の可動支持機構30Aは、モータ固定部31、傾斜モータ32、第1のリンク部材33、第2のリンク部材34、ピン部材35および2つの連結部材39を含む。

【0045】
図1に示すように、第1の可動支持機構30Aのモータ固定部31は、第1の支持軸20Aの先端に取り付けられる。モータ固定部31には、第1の軸xaに沿うようにかつ本体部10とは逆方向に向かって突出するようにピン部材35が取り付けられる。

【0046】
第2のリンク部材34は台座部34bを含む。台座部34bは、推進モータ42を載置可能な長板形状を有する。台座部34bの一端はU字型に形成されている。台座部34bの他端には、両側方に突出するようにリンク部34aが設けられている。台座部34bの他端中央部がピン部材35に接続される。この状態で、第2のリンク部材34は、ピン部材35によりピン部材35の軸心周りで回転可能に支持される。

【0047】
図2に示すように、モータ固定部31においては、ピン部材35よりも下方の位置に傾斜モータ32が固定される。傾斜モータ32の回転軸32sは、第1の軸xaに平行となるように配置される。第1のリンク部材33は、帯形状を有する。第1のリンク部材33の中央部が傾斜モータ32の回転軸32sに固定される。

【0048】
第2のリンク部材34の一方のリンク部34aと第1のリンク部材33の一端部とが、ヒンジを用いて棒状の連結部材39により連結される。また、第2のリンク部材34の他方のリンク部34aと第1のリンク部材33の他端部とが、ヒンジを用いて棒状の連結部材39により連結される。

【0049】
第2のリンク部材34の台座部34bに推進モータ42が載置される。この状態で、推進モータ42は、その回転軸が台座部34bに対して直交するように固定される。

【0050】
図3は、図2の第1の可動支持機構30Aの動作を説明するための側面図である。傾斜モータ32は、例えばサーボモータであり、後述する制御部110(図7)により制御される。傾斜モータ32が制御されることにより、傾斜モータ32の回転軸32sが一方向または逆方向に予め定められた角度α分回転する。角度αは、例えば0°よりも大きく90°よりも小さく設定され、0°よりも大きく45°以下に設定されることが好ましい。

【0051】
傾斜モータ32の回転軸32sが一方向に回転する場合には、第1のリンク部材33とともに第2のリンク部材34が一方向に回転する。それにより、図3(a)に太い矢印で示すように、第1の推進器40Aが第1の軸xa(図1)の周りで一方向に回転する。この場合、推進モータ42の回転軸AAが、傾斜モータ32の回転前の状態から一方向に角度α分傾斜する。

【0052】
一方、傾斜モータ32の回転軸32sが逆方向に回転する場合には、第1のリンク部材33とともに第2のリンク部材34が逆方向に回転する。それにより、図3(b)に太い矢印で示すように、第1の推進器40Aが第1の軸xa(図1)の周りで逆方向に回転する。この場合、推進モータ42の回転軸AAが、傾斜モータ32の回転前の状態から逆方向に角度α分傾斜する。

【0053】
これらの結果、傾斜モータ32を作動させることにより、第1の推進力の方向を所望の方向へ容易に向けることができる。

【0054】
(2)飛行体の飛行制御
(2-1)第1の飛行制御
第1の飛行制御は、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を空中に浮かせて停止させる(ホバリング)際に行われる。図4は、第1の飛行制御により図1の本体部10が空中に浮いている状態を示す平面図および一方側面図である。図4(a)に飛行体100の平面図が示される。図4(b)に図4(a)の点PPの位置から見た飛行体100の側面図が示される。図4(b)では、第1および第4の可動支持機構30A,30Dが簡略化して図示される。

【0055】
第1の飛行制御においては、第1、第2、第3および第4の推進力が等しくなるように、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dが制御される。具体的には、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dのロータ41の回転速度が等しくなるように各推進モータ42が制御される。

【0056】
また、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が上方に向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御される。図4(b)に、第1、第2、第3および第4の推進力がそれぞれ太い実線の矢印A,B,C,Dで示される。

【0057】
この場合、互いに等しい第1、第2、第3および第4の推進力が上方に向かう推進力として本体部10に作用する。ここで、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dのロータ41の回転速度は、第1、第2、第3および第4の推進力の合計が飛行体100に作用する重力と等しくなるように調整される。それにより、第1の飛行制御によれば、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を空中に浮かせて停止させることができる。

【0058】
なお、第1の飛行制御では、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dのロータ41の回転速度を調整することにより、本体部10を空中で上昇または下降させることができる。例えば、第1、第2、第3および第4の推進力の合計が飛行体100に作用する重力よりも大きくなるように回転速度を調整することにより、本体部10を上昇させることができる。また、第1、第2、第3および第4の推進力の合計が飛行体100に作用する重力よりも小さくなるように回転速度を調整することにより、本体部10を下降させることができる。

【0059】
(2-2)第2の飛行制御
以下の説明では、図1の交差部Oから第1および第2の推進器40A,40Bの間に向かう方向を第1の方向と呼び、図1の交差部Oから第2および第3の推進器40B,40Cの間に向かう方向を第2の方向と呼ぶ。また、交差部Oから第3および第4の推進器40C,40Dの間に向かう方向を第3の方向と呼び、交差部Oから第4および第1の推進器40D,40Aの間に向かう方向を第4の方向と呼ぶ。第2の飛行制御は、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第1、第2、第3および第4の方向のうちのいずれかの方向に前進飛行させる際に行われる。

【0060】
基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第1の方向に前進飛行させる場合の例を説明する。図5は、第2の飛行制御により図1の本体部10が第1の方向に前進飛行している状態を示す平面図および一方側面図である。図5(a)に飛行体100の平面図が示され、図5(b)に図5(a)の点PPの位置から見た飛行体100の側面図が示される。図5(b)では、第1および第4の可動支持機構30A,30Dが簡略化して図示される。また、図5(a),(b)では、第1、第2、第3および第4の方向が実線の矢印D1,D2,D3,D4で示される。

【0061】
本例の第2の飛行制御においては、第1の飛行制御と同様に、第1、第2、第3および第4の推進力が等しくなるように、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dが制御される。

【0062】
また、第1および第2の推進力の方向が第1の方向D1に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、第1および第2の可動支持機構30A,30Bが制御される。さらに、第3および第4の推進力の方向が第1の方向D1に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、第3および第4の可動支持機構30C,30Dが制御される。図5(a),(b)に、第1、第2、第3および第4の推進力が太い実線の矢印A,B,C,Dで示される。

【0063】
この場合、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分が上方に向かう推進力として本体部10に作用する。図5(b)に、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分が太い二点鎖線の矢印Az,Bz,Cz,Dzで示される。ここで、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dのロータ41の回転速度は、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分の合計が飛行体100に作用する重力と等しくなるように調整される。それにより、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を一定の高さで空中に浮かせることができる。

【0064】
また、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め前方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の前方に向かう水平成分が前方に向かう推進力として本体部10に作用する。図5(a),(b)に、第1、第2、第3および第4の推進力の前方に向かう水平成分が太い点線の矢印Ax,Bx,Cx,Dxで示される。

【0065】
さらに、第1および第2の推進力の方向が第1の方向D1に関して斜め内方を向くことにより、第1および第2の推進力の第1の方向D1に直交する水平成分が互いに相殺される。図5(a)に第1および第2の推進力の第1の方向D1に直交する水平成分が太い点線の矢印Ay,Byで示される。また、第3および第4の推進力の方向が第1の方向D1に関して斜め外方を向くことにより、第3および第4の推進力の第1の方向D1に直交する水平成分が互いに相殺される。図5(b)に第3および第4の推進力の第1の方向D1に直交する水平成分が太い点線の矢印Cy,Dyで示される。これらより、図5(a),(b)に白抜きの点線の矢印で示すように、空中に浮き上がった本体部10を前進飛行させることが可能になる。

【0066】
飛行体100においては、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dの傾斜モータ32の回転軸32s(図2)を回転させることにより、第1、第2、第3および第4の推進力の方向をそれぞれ所望の方向へ容易に向けることができる。したがって、第2の飛行制御によれば、簡単な制御で基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第1の方向D1に正確かつ容易に前進飛行させることが可能になる。

【0067】
上記の例の他、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第2の方向D2に前進飛行させる場合には、第2および第3の推進力の方向が第2の方向D2に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、第2および第3の可動支持機構30B,30Cが制御される。また、第4および第1の推進力の方向が第2の方向D2に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、第4および第1の可動支持機構30D,30Aが制御される。第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの制御は、本体部10を第1の方向D1に前進飛行させる場合と基本的に同じである。

【0068】
基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第3の方向D3あるいは第4の方向D4に前進飛行させる場合の制御も、本体部10を第1の方向D1に前進飛行させる場合と基本的に同じである。

【0069】
(2-3)第3の飛行制御
第3の飛行制御は、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第3の軸zaの周りで一方向または逆方向に回転飛行させる際に行われる。基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第3の軸zaの周りで一方向に回転飛行させる場合の例を説明する。図6は、第3の飛行制御により図1の本体部10が第3の軸zaの周りで一方向に回転飛行している状態を示す平面図および一方側面図である。図6(a)に飛行体100の平面図が示され、図6(b)に図6(a)の点PPの位置から見た飛行体100の側面図が示される。図6(b)では、第1および第4の可動支持機構30A,30Dが簡略化して図示される。また、図6(a)では、本体部10が回転飛行する一方向が一点鎖線の矢印D11で示される。

【0070】
第3の飛行制御においては、第1の飛行制御と同様に、第1、第2、第3および第4の推進力が等しくなるように、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dが制御される。

【0071】
また、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くとともに、基準面rs上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が一方向D11を向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御される。図6(a),(b)に、第1、第2、第3および第4の推進力が太い実線の矢印A,B,C,Dで示される。

【0072】
この場合、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くことにより、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分が上方に向かう推進力として本体部10に作用する。図6(b)に、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分が太い二点鎖線の矢印Az,Bz,Cz,Dzで示される。ここで、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dのロータ41の回転速度は、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分の合計が飛行体100に作用する重力と等しくなるように調整される。それにより、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を一定の高さで空中に浮かせることができる。

【0073】
また、基準面rs上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が一方向D11を向くことにより、基準面rs上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が、第3の軸zaの周りで一方向D11に向かう推進力として本体部10に作用する。図6(a),(b)に、基準面rs上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が太い点線の矢印As,Bs,Cs,Dsで示される。それにより、図6(a)に白抜きの点線の矢印で示すように、空中に浮き上がった本体部10を第3の軸zaの周りで一方向D11に回転飛行させることが可能になる。

【0074】
上記のように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dの傾斜モータ32の回転軸32s(図2)を回転させることにより、第1、第2、第3および第4の推進力の方向をそれぞれ所望の方向へ容易に向けることができる。したがって、第3の飛行制御によれば、簡単な制御で基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10の向きを一方向D11に迅速に変更させることが可能になる。

【0075】
上記の例の他、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第3の軸zaの周りで逆方向に回転飛行させる場合には、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御される。また、基準面rs上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が一方向D11とは逆方向を向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御される。第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの制御は、本体部10を第3の軸zaの周りで一方向に回転飛行させる場合と基本的に同じである。

【0076】
(2-4)第4の飛行制御
第4の飛行制御は、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第1の軸xaの方向または第2の軸yaの方向に沿って前進飛行させる際に行われる。基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第1の軸xaに沿って前進飛行させる場合の例を説明する。

【0077】
第4の飛行制御においては、第1の飛行制御と同様に、第1、第2、第3および第4の推進力が等しくなるように、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dが制御される。

【0078】
また、第1および第3の推進力の方向が上方を向くように、第1および第3の可動支持機構30A,30Cが制御される。さらに、第2および第4の推進力の方向が斜め上方かつ斜め前方を向くように、第2および第4の可動支持機構30B,30Dが制御される。

【0079】
この場合、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分が上方に向かう推進力として本体部10に作用する。ここで、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dのロータ41の回転速度は、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分の合計が飛行体100に作用する重力と等しくなるように調整される。それにより、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を一定の高さで空中に浮かせることができる。

【0080】
また、第2および第4の推進力の前方に向かう水平成分が前方に向かう推進力として本体部10に作用する。それにより、空中に浮き上がった本体部10を第1の軸xaに沿って前進飛行させることが可能になる。

【0081】
基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第2の軸yaに沿って前進飛行させる場合には、第2および第4の推進力の方向が上方を向くように、第2および第4の可動支持機構30B,30Dが制御される。また、第1および第3の推進力の方向が斜め上方かつ斜め前方を向くように、第1および第3の可動支持機構30A,30Cが制御される。第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの制御は、本体部10を第1の軸xaに沿って前進飛行させる場合と基本的に同じである。

【0082】
(3)飛行体システム
図7は、図1の飛行体100を備える飛行体システムの制御系を示すブロック図である。図7では、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの推進モータ42を、それぞれ推進モータ42A,42B,42C,42Dと表記する。また、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dの傾斜モータ32を、それぞれ傾斜モータ32A,32B,32C,32Dと表記する。

【0083】
図7に示すように、飛行体システム1は、飛行体100および遠隔操作装置200を含む。遠隔操作装置200は、アンテナ201、操作部210および送信部220を含む。操作部210は、飛行体100の前進飛行および回転飛行を指令するために使用者により操作可能に構成される。送信部220は、例えば無線送信機である。送信部220は、使用者による操作部210の操作に基づいて生成される指令信号をアンテナ201を介して飛行体100に送信する。

【0084】
飛行体100は、本体部10、推進モータ42A,42B,42C,42Dおよび傾斜モータ32A,32B,32C,32Dを含む。本体部10は、アンテナ101、制御部110、受信部120、ジャイロセンサgs1,gs2,gs3、加速度センサas1,as2,as3を含む。制御部110は、本発明の制御手段に相当する。

【0085】
受信部120は、例えば無線受信機である。受信部120は、遠隔操作装置200から送信される指令信号をアンテナ101を介して受信する。受信部120により受信された指令信号は、制御部110に与えられる。

【0086】
ジャイロセンサgs1,gs2,gs3は、互いに直交する3つの軸の周りで発生する本体部10の角速度をそれぞれ検出する。検出された角速度は、制御部110に与えられる。加速度センサas1,as2,as3は、互いに直交する3つの軸に沿う方向で発生する本体部10の加速度をそれぞれ検出する。検出された加速度は、制御部110に与えられる。

【0087】
制御部110は、CPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータからなる。制御部110は、遠隔操作装置200から与えられる指令信号、ジャイロセンサgs1,gs2,gs3から与えられる角速度および加速度センサas1,as2,as3から与えられる加速度に基づいて、推進モータ42A,42B,42C,42Dおよび傾斜モータ32A,32B,32C,32Dをそれぞれ制御する。

【0088】
例えば、制御部110は、本体部10をホバリングさせるべき指令信号を受けた場合に、第1の飛行制御を行う。また、制御部110は、本体部10を図5(a)の第1、第2、第3または第4の方向D1,D2,D3,D4のいずれかの方向に前進飛行させるべき指令信号を受けた場合に、進行方向に応じた第2の飛行制御を行う。

【0089】
また、制御部110は、本体部10の向きを図6(a)の一方向D11またはその逆方向に回転飛行させるべき指令信号を受けた場合に、回転方向に応じた第3の飛行制御を行う。また、制御部110は、本体部10を図1の第1の軸xaの方向または第2の軸yaの方向に沿って前進飛行させるべき指令信号を受けた場合に、進行方向に応じた第4の飛行制御を行う。

【0090】
さらに、制御部110は、ジャイロセンサgs1,gs2,gs3から与えられる角速度および加速度センサas1,as2,as3から与えられる加速度に基づいて、基準面rsが水平に保たれるようにかつ本体部10の高さが一定に保たれるように推進モータ42A,42B,42C,42Dおよび傾斜モータ32A,32B,32C,32Dをそれぞれ制御する。

【0091】
(4)効果
(4-1)第2の飛行制御によれば、第1および第2の推進力の方向が第1の方向D1に関して斜め内方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、第1および第2の可動支持機構30A,30Bが制御される。また、第3および第4の推進力の方向が第1の方向D1に関して斜め外方かつ斜め上方かつ斜め前方を向くように、第3および第4の可動支持機構30C,30Dが制御される。

【0092】
この場合、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を空中に浮き上がらせることができる。また、空中に浮き上がった本体部10を前進飛行させることが可能になる。

【0093】
第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dにおいては、傾斜モータ32の回転軸32sを回転させることにより、第1、第2、第3および第4の推進力の方向をそれぞれ所望の方向へ容易に向けることができる。したがって、第2の飛行制御によれば、簡単な制御で基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を第1の方向D1に正確かつ容易に前進飛行させることが可能になる。

【0094】
(4-2)第3の飛行制御によれば、第1、第2、第3および第4の推進力の方向が斜め上方を向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御される。また、基準面rs上の第1、第2、第3および第4の推進力の成分が一方向D11を向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御される。

【0095】
この場合、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を空中に浮き上がらせることができる。また、空中に浮き上がった本体部10を第3の軸zaの周りで一方向D11に回転飛行させることが可能になる。

【0096】
上記のように、第1、第2、第3および第4の推進力の方向をそれぞれ所望の方向へ容易に向けることができる。したがって、簡単な制御で基準面を水平状態に保ちつつ本体部10の向きを迅速に変更することが可能になる。

【0097】
(4-3)第1、第2、第3および第4の飛行制御においては、第1、第2、第3および第4の推進力が等しくなるように第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dが制御される。それにより、簡単な制御で基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を飛行させることができる。

【0098】
(4-4)第2および第4の飛行制御によれば、本体部10の向きおよび姿勢を一定に保ちつつ、本体部10を図1の交差部Oから互いに異なる8つの方向に迅速に前進飛行させることができる。

【0099】
(5)他の実施の形態
(5-1)第3の飛行制御においては、上記の制御方法に代えて、第2および第4の推進力の方向が上方を向くようにかつ第1および第3の推進力の方向が斜め上方を向くとともに基準面rs上の第1および第3の推進力の成分が図6の一方向D11(または逆方向)を向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御されてもよい。

【0100】
この場合、第1、第2、第3および第4の推進力の上方に向かう鉛直成分が上方に向かう推進力として本体部10に作用する。また、基準面rs上の第1および第3の推進力の成分が、第3の軸zaの周りで一方向D11(または逆方向)に向かう推進力として本体部10に作用する。それにより、空中に浮き上がった本体部10を第3の軸zaの周りで一方向D11(または逆方向)に回転飛行させることが可能になる。

【0101】
または、第3の飛行制御においては、第1および第3の推進力の方向が上方を向くようにかつ第2および第4の推進力の方向が斜め上方を向くとともに基準面rs上の第2および第4の推進力の成分が一方向D11(または逆方向)を向くように、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが制御されてもよい。この場合においても、上記の例と同様に、空中に浮き上がった本体部10を第3の軸zaの周りで一方向D11(または逆方向)に回転飛行させることが可能になる。

【0102】
(5-2)本体部10には、種々の電気機器等が設けられてもよい。例えば本体部10にカメラ等の撮像装置が設けられてもよい。この場合、基準面rsを水平状態に保ちつつ本体部10を飛行させることができるので、撮像装置の姿勢を一定に保持するためのジンバル等が不要となる。

【0103】
(5-3)上記の実施の形態では、第1、第2、第3および第4の推進力の方向を変更するための構成として、第1、第2、第3および第4の可動支持機構30A,30B,30C,30Dが用いられるが、第1、第2、第3および第4の推進力の方向を変更するための構成は上記の例に限られない。

【0104】
例えば、リンク機構等を利用することにより、第1、第2、第3および第4の推進力のうち2以上の推進力の方向を同時に変更可能な可動支持機構を用いてもよい。この場合、飛行体100の部品点数を低減することができる。また、飛行体100の小型化および軽量化が実現される。

【0105】
(5-4)上記の実施の形態では、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの各々が主としてロータ41および推進モータ42により構成される。第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの各々は、上記の例に限らず、ロータおよびロータを駆動するエンジンにより構成されてもよい。また、第1、第2、第3および第4の推進器40A,40B,40C,40Dの各々は、ロケットエンジンで構成されてもよい。

【0106】
(5-5)上記の実施の形態に係る飛行体100は人が搭乗不可能な無人飛行体である。飛行体100の本体部10は、上記の例に限らず、人が搭乗可能に構成されてもよい。また、本体部10に図7の操作部210が設けられてもよい。この場合、本体部10に搭乗する使用者は、操作部210を操作することにより飛行体100を操縦することができる。

【0107】
(5-6)飛行体100には飛行経路を記憶する記憶部が設けられてもよい。この場合、図7の制御部110は、記憶された飛行経路に従って飛行するように推進モータ42A,42B,42C,42Dおよび傾斜モータ32A,32B,32C,32Dをそれぞれ制御してもよい。それにより、使用者の操作によらず、飛行体100を飛行させることができる。

【0108】
(5-7)図7の飛行体システム1においては、制御部110が飛行体100の本体部10に設けられるが、制御部110は図7の遠隔操作装置200に設けられてもよい。この場合、制御部110を飛行体100に設ける必要がないので、飛行体100の部品点数を低減するとともに飛行体100の小型化および軽量化が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、無人飛行体、有人飛行体、宇宙船または潜水艦等の移動体に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 飛行体システム
10 本体部
20A 第1の支持軸
20B 第2の支持軸
20C 第3の支持軸
20D 第4の支持軸
30A 第1の可動支持機構
30B 第2の可動支持機構
30C 第3の可動支持機構
30D 第4の可動支持機構
31 モータ固定部
32,32A,32B,32C,32D 傾斜モータ
32s 回転軸
33 第1のリンク部材
34 第2のリンク部材
34a リンク部
34b 台座部
35 ピン部材
39 連結部材
40A 第1の推進器
40B 第2の推進器
40C 第3の推進器
40D 第4の推進器
41 ロータ
42,42A,42B,42C,42D 推進モータ
100 飛行体
101,201 アンテナ
110 制御部
120 受信部
200 遠隔操作装置
210 操作部
220 送信部
AA 回転軸
as1,as2,as3 加速度センサ
D1 第1の方向
D2 第2の方向
D3 第3の方向
D4 第4の方向
D11 一方向
gs1,gs2,gs3 ジャイロセンサ
O 交差部
PP 点
rs 基準面
xa 第1の軸
ya 第2の軸
za 第3の軸
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6