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明細書 :車椅子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-099789 (P2017-099789A)
公開日 平成29年6月8日(2017.6.8)
発明の名称または考案の名称 車椅子
国際特許分類 A61G   5/02        (2006.01)
A61G   1/02        (2006.01)
A61G   3/02        (2006.01)
FI A61G 5/02 511
A61G 1/02 502
A61G 3/00 502
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2015-237310 (P2015-237310)
出願日 平成27年12月4日(2015.12.4)
発明者または考案者 【氏名】大津山 澄明
【氏名】浅田 晴香
出願人 【識別番号】591141784
【氏名又は名称】学校法人大阪産業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098305、【弁理士】、【氏名又は名称】福島 祥人
【識別番号】100108523、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 雅博
【識別番号】100187931、【弁理士】、【氏名又は名称】澤村 英幸
審査請求 未請求
要約 【課題】上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を容易かつ円滑に通過することが可能でかつ大型化が抑制されるとともに軽量化が図れる車椅子を提供する。
【解決手段】本体フレーム20に座席10が支持される。2つの前輪31,32が、座席10の左右の位置で本体フレーム20に回転可能に支持される。本体フレーム20の後部に揺動フォーク43が設けられる。後輪40が、揺動フォーク43に回転可能に支持される。揺動フォーク43には、後輪40の前方および後方に延びるように補助輪支持フレーム44が設けられる。前後方向において、前輪31,32と後輪40との間に位置するように、中間補助輪50が固定フォーク50aを介して補助輪支持フレーム44に回転可能に取り付けられる。中間補助輪50は、前輪31,32および後輪40が平坦面に接地しているときにその平坦面から離間する。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
車椅子であって、
座席と、
前記座席を支持する本体フレームと、
前記座席の左右に位置するとともに前記本体フレームに回転可能に支持される第1および第2の車輪と、
左右に揺動可能に前記本体フレームの前部または後部に設けられる揺動部材と、
前記揺動部材に回転可能に支持される第3の車輪と、
前後方向において前記第1および第2の車輪と前記第3の車輪との間の位置で前記本体フレームまたは前記揺動部材に回転可能に支持される第4の車輪とを備え、
前記第3の車輪の直径は、前記第1および第2の車輪の直径よりも小さく、
前記第4の車輪は、前記第1、第2および第3の車輪が平坦面に接地しているときに前記平坦面から離間する、車椅子。
【請求項2】
前記第4の車輪は、前記第1の車輪の外周円の下側と前記第4の車輪の外周円の下側とに接する共通接線および前記第2の車輪の外周円の下側と前記第4の車輪の外周円の下側とに接する共通接線が前記第3の車輪の中心軸よりも下方を通るように配置される、請求項1記載の車椅子。
【請求項3】
前記揺動部材は、前記本体フレームの後部に設けられ、
前記第3の車輪は、前記第1および第2の車輪よりも後方に位置する、請求項1または2記載の車椅子。
【請求項4】
前記第3の車輪に関して前記第4の車輪と反対側で前記本体フレームまたは前記揺動部材に回転可能に支持される第5の車輪をさらに備え、
前記第5の車輪は、前記第1、第2および第3の車輪が平坦面に接地しているときに前記平坦面から離間し、前記第1の車輪の外周円の下側と前記第5の車輪の外周円の下側とに接する共通接線および前記第2の車輪の外周円の下側と前記第5の車輪の外周円の下側とに接する共通接線が前記第3の車輪の中心軸よりも下方を通るように配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の車椅子。
【請求項5】
前記第4の車輪の直径は、前記第1、第2および第3の車輪の直径よりも小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の車椅子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段差を容易に乗り越すことが可能な種々の車椅子が提案されている。例えば、特許文献1には、15cm程度の段差を乗り越えやすくするために、車椅子の前輪として大径の車輪を用いることが記載されている。特許文献1の車椅子においては、後輪として小径の車輪を含むエアーキャスターが設けられる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】実用新案登録第3102833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車椅子の使用者の生活環境においては、段差に限らず隙間も障害となる。例えば、車椅子の使用者が鉄道を利用する場合、その車椅子を駅のホームと鉄道車両内部との間で移動させる必要がある。ホームの床面と鉄道車両内部の床面との間には隙間が存在する。また、ホームの床面の高さと鉄道車両内部の床面の高さとは、一致していない場合が多い。
【0005】
そこで、ホームの床面と鉄道車両内部の床面との間に橋渡し板を配置することにより、ホームと鉄道車両内部との間で車椅子を円滑に移動させることが可能になる。ホームと鉄道車両内部との間で車椅子を移動させるごとに橋渡し板の設置作業を行うと、鉄道車両の運行に乱れが生じる可能性がある。また、車椅子の使用者によっては、橋渡し板の配置作業を避けるために、鉄道の利用を遠慮する人もいる。
【0006】
したがって、ホームと鉄道車両内部との間では、橋渡し板を用いることなく車椅子を移動させることが求められる。そこで、橋渡し板を用いることなくホームと鉄道車両内部との間で特許文献1の車椅子を移動させる場合を想定する。この場合、鉄道車両内部の床面およびホームの床面のうち高い方の床面から低い方の床面に下るように上記の車椅子を移動させる際には、比較的容易に車椅子が移動する。
【0007】
一方、低い方の床面から高い方の床面に上るように上記の車椅子を移動させる際には、最初に大径の前輪が隙間を通過して高い方の床面上に乗り上げる。しかしながら、車椅子がさらに前進した場合に、小径の後輪が隙間に嵌る可能性がある。小径の後輪が隙間に嵌った状態から車椅子を高い方の床面上に乗り上げさせるためには、多大な労力を要する。そこで、後輪として前輪と同じ大径の車輪を用いることが考えられる。この場合、車椅子が著しく大型化するとともに車椅子の重量も増加する。
【0008】
本発明の目的は、上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を容易かつ円滑に通過することが可能でかつ大型化が抑制されるとともに軽量化を図ることができる車椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る車椅子は、座席と、座席を支持する本体フレームと、座席の左右に位置するとともに本体フレームに回転可能に支持される第1および第2の車輪と、左右に揺動可能に本体フレームの前部または後部に設けられる揺動部材と、揺動部材に回転可能に支持される第3の車輪と、前後方向において第1および第2の車輪と第3の車輪との間の位置で本体フレームまたは揺動部材に回転可能に支持される第4の車輪とを備え、第3の車輪の直径は、第1および第2の車輪の直径よりも小さく、第4の車輪は、第1、第2および第3の車輪が平坦面に接地しているときに平坦面から離間する。
【0010】
本発明に係る車椅子が平坦面上にあるときには、第1、第2および第3の車輪が接地し、第4の車輪は平坦面から浮いている。この車椅子が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過する際には、大きな第1および第2の車輪が下段面から隙間を通過して上段面に乗り上げる。このとき、小さな第3の車輪は下段面上にあり、第4の車輪は隙間上または下段面の上方にある。第1および第2の車輪がさらに前進すると、第4の車輪が上段面上に支持され、第3の車輪が隙間に位置する。このとき、第1の車輪、第2の車輪および第4の車輪により車椅子が上段面上に支持される。それにより、第3の車輪が隙間に嵌ることが防止される。したがって、第1および第2の車輪がさらに前進することにより、第3の車輪が隙間から上段面に容易かつ円滑に乗り上げることができる。
【0011】
このような構成によれば、上記のような隙間を有する上りの段差を通過するために、第3の車輪の直径を隙間の寸法よりも大きくする必要がない。したがって、車椅子の大型化が抑制されるとともに車椅子の軽量化を図ることができる。
【0012】
(2)第4の車輪は、第1の車輪の外周円の下側と第4の車輪の外周円の下側とに接する共通接線および第2の車輪の外周円の下側と第4の車輪の外周円の下側とに接する共通接線が第3の車輪の中心軸よりも下方を通るように配置されてもよい。
【0013】
上記のように、本発明に係る車椅子が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過する際には、大きな第1および第2の車輪が下段面から隙間を通過して上段面に乗り上げた後、第4の車輪が上段面上に支持され、第3の車輪が隙間に位置する。このとき、第1の車輪と第4の車輪との共通接線および第2の車輪と第4の車輪との共通接線が第3の車輪の中心軸よりも下方を通るため、第3の車輪の中心軸は上段面よりも高い位置にある。したがって、第1および第2の車輪がさらに前進することにより、第3の車輪が隙間から上段面により容易かつより円滑に乗り上げることができる。
【0014】
(3)揺動部材は、本体フレームの後部に設けられ、第3の車輪は、第1および第2の車輪よりも後方に位置してもよい。
【0015】
この場合、車椅子の使用者は、前方に向かって車椅子を移動させながら上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を容易かつ円滑に通過することができる。
【0016】
(4)車椅子は、第3の車輪に関して第4の車輪と反対側で本体フレームまたは揺動部材に回転可能に支持される第5の車輪をさらに備え、第5の車輪は、第1、第2および第3の車輪が平坦面に接地しているときに平坦面から離間し、第1の車輪の外周円の下側と第5の車輪の外周円の下側とに接する共通接線および第2の車輪の外周円の下側と第5の車輪の外周円の下側とに接する共通接線が第3の車輪の中心軸よりも下方を通るように配置されてもよい。
【0017】
この場合、車椅子が平坦面上にあるときには、第1、第2および第3の車輪が接地し、第4および第5の車輪は平坦面から浮いている。この車椅子が下りでかつ下段面と上段面との間に隙間を有する段差を通過する際には、大きな第1および第2の車輪が上段面から隙間を通過して下段面に移動する。このとき、小さな第3の車輪は上段面上にあり、第5の車輪は上段面の上方にある。
【0018】
第1および第2の車輪がさらに前進すると、第5の車輪が上段面上に支持され、第3の車輪が隙間に位置する。このとき、第1の車輪と第5の車輪との共通接線および第2の車輪と第5の車輪との共通接線が第3の車輪の中心軸よりも下方を通るため、第3の車輪の中心軸は下段面よりも高い位置にある。したがって、第1および第2の車輪がさらに前進することにより、第3の車輪が隙間から下段面上により円滑に移動することができる。
【0019】
(5)第4の車輪の直径は、第1、第2および第3の車輪の直径よりも小さくてもよい。
【0020】
この場合、第4の車輪による車椅子の大型化が抑制されるとともに車椅子の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を容易かつ円滑に通過することが可能でかつ大型化が抑制されるとともに軽量化を図ることができる車椅子が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態に係る車椅子の外観斜視図である。
【図2】図1の車椅子の一方側面図である。
【図3】図1の車椅子の平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る車椅子の各部の寸法の好ましい設定例を示す側面図である。
【図5】図4の車椅子が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。
【図6】図4の車椅子が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。
【図7】図4の車椅子が下りでかつ下段面と上段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。
【図8】図4の車椅子が下りでかつ下段面と上段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る車椅子の外観斜視図である。
【図10】図9の車椅子の一方側面図である。
【図11】図9の車椅子の平面図である。
【図12】図9の車椅子が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。
【図13】図9の車椅子が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。
【図14】他の実施の形態に係る車椅子の第1の例を示す模式図である。
【図15】他の実施の形態に係る車椅子の第2の例を示す模式図である。
【図16】他の実施の形態に係る車椅子の第3の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る車椅子について図面を参照しつつ説明する。

【0024】
[1]第1の実施の形態
(1)車椅子の基本構成
図1は第1の実施の形態に係る車椅子の外観斜視図であり、図2は図1の車椅子1の一方側面図であり、図3は図1の車椅子1の平面図である。図1~図3および後述する図4においては、車椅子1の左右方向X、前後方向Yおよび上下方向Zが矢印で示される。以下の説明では、左右方向Xにおいて矢印が向かう方向を左方と呼び、その逆の方向を右方と呼ぶ。また、前後方向Yにおいて矢印が向かう方向を前方と呼び、その逆の方向を後方と呼ぶ。さらに、上下方向Zにおいて矢印が向かう方向を上方と呼び、その逆の方向を下方と呼ぶ。

【0025】
図1に示すように、車椅子1は、主として座席10、本体フレーム20、2つの前輪31,32、後輪40、中間補助輪50および後方補助輪60を含む。本体フレーム20は、互いに連結された左側部フレーム部21および右側部フレーム部22を含む。左側部フレーム部21および右側部フレーム部22は、左右方向Xに並ぶとともに互いに対向するように配置される。左側部フレーム部21と右側部フレーム部22との間で、座席10が本体フレーム20に支持される。左側部フレーム部21の前部に前輪31が回転可能に支持され、右側部フレーム部22の前部に前輪32が回転可能に支持される。

【0026】
座席10よりも後方の位置で、左側部フレーム部21の後部と右側部フレーム部22の後部とをつなぐように、左右方向Xに延びる連結フレーム23が設けられる。また、連結フレーム23の略中央部から下方に延びるように支持柱24が設けられる。さらに、支持柱24の下端部に支持プレート41が設けられる。支持プレート41は、座席10の着座面に略平行な状態で支持柱24により支持される。

【0027】
支持プレート41の下面には、回転板42が取り付けられる。回転板42の下面には、その回転板42に直交する軸ccの周りで回転可能、すなわち左右方向Xに揺動可能に揺動フォーク43が取り付けられる。揺動フォーク43の下端部に後輪40が回転可能に支持される。この状態で、後輪40は前輪31,32の後方に位置する。回転板42、揺動フォーク43および後輪40は、キャスターとして機能する。

【0028】
揺動フォーク43には、後輪40の前方および後方に延びるように補助輪支持フレーム44が取り付けられる。補助輪支持フレーム44の前端部に固定フォーク50aが取り付けられる。固定フォーク50aの下端部に中間補助輪50が回転可能に支持される。補助輪支持フレーム44の後端部に固定フォーク60aが取り付けられる。固定フォーク60aの下端部に後方補助輪60が回転可能に支持される。この状態で、中間補助輪50および後方補助輪60は、後輪40と同じ方向を向くように固定フォーク50a,60aにより補助輪支持フレーム44にそれぞれ固定される。

【0029】
後輪40の直径は、前輪31,32の直径に比べて小さい。また、中間補助輪50および後方補助輪60の直径は、前輪31,32および後輪40の直径に比べて小さい。なお、中間補助輪50および後方補助輪60の直径は互いに異なってもよい。

【0030】
図2に示すように、車椅子1が平坦面FS上にある状態で、前輪31,32および後輪40が平坦面FSに接地する。このとき、前輪31,32の各々の回転中心軸RA1は左右方向Xに平行な共通の直線上にある。中間補助輪50は前後方向Yにおける前輪31,32と後輪40との間の位置で平坦面FSから離間する。また、後方補助輪60は後輪40に関して中間補助輪50と反対側の位置で平坦面FSから離間する。

【0031】
ここで、中間補助輪50は、前輪31の外周円の下側と中間補助輪50の外周円の下側とに接する共通接線L1が、例えば後輪40の外周円に交差するように配置される。また、中間補助輪50は、前輪32の外周円の下側と中間補助輪50の外周円の下側とに接する共通接線L2が、例えば後輪40の外周円に交差するように配置される。

【0032】
また、後方補助輪60は、前輪31の外周円の下側と後方補助輪60の外周円の下側とに接する共通接線L3が、例えば後輪40の外周円に交差するように配置される。また、後方補助輪60は、前輪32の外周円の下側と後方補助輪60の外周円の下側とに接する共通接線L4が、例えば後輪40の外周円に交差するように配置される。

【0033】
上記の構成を有する車椅子1においては、前輪31,32にそれぞれ図示しないハンドリムが設けられている。座席10に着座する使用者は、前輪31,32のハンドリムをそれぞれ操作する。それにより、前輪31,32が駆動輪として機能する。

【0034】
使用者は、前輪31,32を前方に同じ速度で回転させることにより車椅子1を前進させることができ、前輪31,32を後方に同じ速度で回転させることにより車椅子1を後進させることができる。また、使用者は、前輪31の回転速度または回転方向と前輪32の回転速度または回転方向とを互いに異ならせることにより、図3に太い一点鎖線の矢印で示すように、後輪40の向きを変更することができる。それにより、車椅子1の旋回または回転が可能になる。

【0035】
(2)車椅子の各部の寸法の好ましい設定例
図4は、第1の実施の形態に係る車椅子1の各部の寸法の好ましい設定例を示す側面図である。図4では、図2の例と同様に、車椅子1が平坦面FS上にある状態が示される。この状態で、前輪31,32および後輪40は平坦面FSに接地し、中間補助輪50および後方補助輪60は平坦面FSから離間する。

【0036】
図4に示すように、中間補助輪50は、前輪31の外周円の下側と中間補助輪50の外周円の下側とに接する共通接線L1が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るように配置されることが好ましい。また、中間補助輪50は、前輪32の外周円の下側と中間補助輪50の外周円の下側とに接する共通接線L2が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るように配置されることが好ましい。

【0037】
さらに、後方補助輪60は、前輪31の外周円の下側と後方補助輪60の外周円の下側とに接する共通接線L3が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るように配置されることが好ましい。また、後方補助輪60は、前輪32の外周円の下側と後方補助輪60の外周円の下側とに接する共通接線L4が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るように配置されることが好ましい。

【0038】
本例の車椅子1においては、前輪31,32の直径は約610mmに設定され、後輪40の直径は約251mmに設定され、中間補助輪50および後方補助輪60の直径は約65mmに設定される。なお、車椅子1の前輪31,32、後輪40、中間補助輪50および後方補助輪60の直径の大きさは、本例の値に限定されない。

【0039】
また、前輪31,32の回転中心軸RA1から後輪40の回転中心軸RA2までの前後方向Yの寸法d1は、約620mmに設定される。中間補助輪50の回転中心軸RA3から後輪40の回転中心軸RA2までの前後方向Yの寸法d2は約200mmに設定される。後輪40の回転中心軸RA2から後方補助輪60の回転中心軸RA4までの前後方向Yの寸法d3は約200mmに設定される。さらに、平坦面FSから中間補助輪50の下端部までの上下方向Zの寸法d4は約70mm~約80mmに設定される。また、平坦面FSから後方補助輪60の下端部までの上下方向Zの寸法d5は約70mm~約80mmに設定される。なお、寸法d4,d5は互いに等しくなるように設定されてもよい。また、車椅子1の上記の寸法d1,d2,d3,d4,d5の大きさは、本例の値に限定されない。

【0040】
(3)上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差の通過
図5および図6は、図4の車椅子1が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。図5(a)~(d)および図6(a)~(c)では、上りの段差を通過するときの車椅子1の側面図が時系列で示される。本例では、上段面HSおよび下段面LSはともに平坦面であり、上段面HSと下段面LSとの間の隙間G1の間隔g1は220mmであり、上段面HSと下段面LSとの間の高さの差分g2は80mmである。

【0041】
図5(a)に示すように、初期状態では、車椅子1が下段面LS上にあり、前輪31,32および後輪40が下段面LSに接地し、中間補助輪50および後方補助輪60は下段面LSから浮いている。

【0042】
その後、車椅子1が前進することにより前輪31,32が隙間G1に到達する。このとき、前輪31,32の直径が隙間G1の間隔g1よりも十分に大きいことにより、図5(b)に示すように、前輪31,32はほとんど隙間G1に嵌らない。そのため、前輪31,32は、図5(c)に示すように、下段面LSから隙間G1を通過して比較的容易に上段面HS上に乗り上げる。このとき、後輪40は下段面LS上にあり、中間補助輪50および後方補助輪60は下段面LSの上方にある。

【0043】
前輪31,32がさらに前進すると、図5(d)に示すように、中間補助輪50が隙間G1を通過して上段面HS上に移動する。それにより、中間補助輪50が上段面HS上に支持され、後輪40が隙間G1に位置する。この状態で、車椅子1は、前輪31,32および中間補助輪50により上段面HS上に支持される。それにより、後輪40が隙間G1に嵌ることが防止される。

【0044】
特に、本例では前輪31と中間補助輪50との共通接線L1(図4参照)および前輪32と中間補助輪50との共通接線L2(図4参照)が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るため、後輪40の回転中心軸RA2は上段面HSよりも高い位置にある。そのため、前輪31,32がさらに前進することにより、図6(a)に示すように、後輪40が上段面HSに接地し、隙間G1から上段面HSにより容易かつより円滑に乗り上げることができる。

【0045】
後輪40が上段面HSに乗り上げることにより、車椅子1が、前輪31,32および後輪40により上段面HS上に支持される。それにより、図6(b)に示すように、中間補助輪50が上段面HSから離間する。

【0046】
前輪31,32がさらに前進することにより、車椅子1の全体が上段面HSの上方に位置する。それにより、図6(c)に示すように、車椅子1の下段面LSから上段面HSへの移動が完了する。

【0047】
(4)下りでかつ下段面と上段面との間に隙間を有する段差の通過
図7および図8は、図4の車椅子1が下りでかつ下段面と上段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。図7(a)~(d)および図8(a)~(c)では、下りの段差を通過するときの車椅子1の側面図が時系列で示される。本例では、上段面HSおよび下段面LSはともに平坦面であり、上段面HSと下段面LSとの間の隙間G2の間隔g3は220mmであり、上段面HSと下段面LSとの間の高さの差分g4は80mmである。

【0048】
図7(a)に示すように、初期状態では、車椅子1が上段面HS上にあり、前輪31,32および後輪40が上段面HSに接地し、中間補助輪50および後方補助輪60は上段面HSから浮いている。

【0049】
その後、車椅子1が前進することにより前輪31,32が隙間G2に到達する。このとき、前輪31,32の直径が隙間G2の間隔g3よりも十分に大きいことにより、図7(b)に示すように、前輪31,32はほとんど隙間G2に嵌らない。そのため、前輪31,32は、図7(c)に示すように、上段面HSから隙間G2を通過して容易かつ円滑に下段面LS上に移動する。このとき、後輪40は上段面HS上にあり、中間補助輪50および後方補助輪60は上段面HSの上方にある。

【0050】
前輪31,32がさらに前進すると、図7(d)に示すように、中間補助輪50および後輪40が順に隙間G2に移動する。その後、図8(a)に示すように、後方補助輪60が上段面HS上に支持され、後輪40が隙間G2に位置する。この状態で、車椅子1は、前輪31,32および後方補助輪60により下段面LS上および上段面HS上に支持される。それにより、後輪40が隙間G2に嵌ることが防止される。

【0051】
特に、本例では前輪31と後方補助輪60との共通接線L3(図4参照)および前輪32と後方補助輪60との共通接線L4(図4参照)が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るため、後輪40の回転中心軸RA2は下段面LSよりも高い位置にある。それにより、前輪31,32がさらに前進することにより、図8(b)に示すように、後輪40が下段面LSに接地し、隙間G2から下段面LSにより円滑に移動することができる。

【0052】
また、本例では、後輪40が隙間G2に進入するときに後方補助輪60が上段面HSに支持されることにより、後輪40が隙間G2内で大きく落下することが防止される。したがって、後輪40が隙間G2に進入するときに車椅子1に大きな衝撃が生じることが防止される。

【0053】
さらに、本例では、車椅子1が前輪31,32および後方補助輪60により下段面LSおよび上段面HS上に支持された状態で、後輪40の大部分が下段面LSよりも上方に位置する。それにより、隙間G2から下段面LSへの後輪40の移動がさらに円滑になっている。

【0054】
前輪31,32がさらに前進することにより、車椅子1の全体が下段面LSの上方に位置する。それにより、図8(c)に示すように、車椅子1の上段面HSから下段面LSへの移動が完了する。

【0055】
(5)第1の実施の形態の効果
第1の実施の形態に係る車椅子1においては、上りでかつ上段面HSと下段面LSとの間に隙間G1を有する段差を通過する際に、大きな前輪31,32が下段面LSから隙間G1を通過して上段面HS上に乗り上げる。その後、中間補助輪50が上段面HS上に支持され、後輪40が隙間G1に位置する。このとき、前輪31,32および中間補助輪50により車椅子1が上段面HS上に支持される。それにより、後輪40が隙間G1に嵌ることが防止される。したがって、前輪31,32がさらに前進することにより後輪40が隙間G1から上段面HSに容易かつ円滑に乗り上げることができる。特に、前輪31と中間補助輪50との共通接線L1および前輪32と中間補助輪50との共通接線L2が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通る場合には、後輪40が隙間G1に位置する状態で後輪40の回転中心軸RA2は上段面HSよりも高い位置にある。そのため、前輪31,32がさらに前進することにより、後輪40が隙間G1から上段面HSにより容易かつより円滑に乗り上げることができる。このように、車椅子1の使用者は、前方に向かって車椅子1を移動させながら、隙間G1を有する上りの段差を多大な労力を要することなく容易かつ円滑に通過することができる。

【0056】
また、上記の構成によれば、隙間G1を有する上りの段差を通過するために、後輪40を隙間G1の間隔g1よりも大きくする必要がない。したがって、車椅子1の大型化が抑制されるとともに車椅子1の軽量化を図ることができる。

【0057】
さらに、第1の実施の形態に係る車椅子1においては、下りでかつ下段面LSと上段面HSとの間に隙間G2を有する段差を通過する際に、大きな前輪31,32が上段面HSから隙間G2を通過して下段面LS上に移動する。その後、後方補助輪60が上段面HS上に支持され、後輪40が隙間G2に位置する。このとき、車椅子1は、前輪31,32および後方補助輪60により下段面LS上および上段面HS上に支持される。それにより、後輪40が隙間G2に嵌ることが防止される。したがって、前輪31,32がさらに前進することにより後輪40が隙間G2から下段面LSに容易かつ円滑に移動することができる。特に、前輪31と後方補助輪60との共通接線L3および前輪32と後方補助輪60との共通接線L4が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通る場合には、後輪40が隙間G2に位置する状態で後輪40の回転中心軸RA2は下段面LSよりも高い位置にある。したがって、前輪31,32がさらに前進することにより、後輪40が隙間G2から下段面LSにより容易かつより円滑に移動することができる。このように、車椅子1の使用者は、前方に向かって車椅子1を移動させながら、隙間G2を有する下りの段差をより円滑に通過することができる。

【0058】
上記のように、本実施の形態では、中間補助輪50および後方補助輪60の直径が前輪31,32および後輪40のいずれの直径よりも小さい。したがって、中間補助輪50および後方補助輪60による車椅子1の大型化が抑制されるとともに車椅子1の軽量化を図ることができる。

【0059】
本実施の形態に係る車椅子1においては、中間補助輪50の位置は、上記の例に限らず、上りでかつ上段面HSと下段面LSとの間に隙間G1を有する段差の隙間G1の間隔g1および高さの差分g2に応じて、後輪40がその隙間G1を通過可能となるように設定される。後方補助輪60の位置は、上記の例に限らず、下りでかつ下段面LSと上段面HSとの間に隙間G2を有する段差の隙間G2の間隔g3および高さの差分g4に応じて、後輪40がその隙間G2を通過可能となるように設定される。

【0060】
[2]第2の実施の形態
(1)車椅子の基本構成
第2の実施の形態に係る車椅子について、第1の実施の形態に係る車椅子1と異なる点を説明する。図9は第2の実施の形態に係る車椅子の外観斜視図であり、図10は図9の車椅子1の一方側面図であり、図11は図9の車椅子1の平面図である。図9~図11においては、第1の実施の形態の図1~図4と同様に、車椅子1の左右方向X、前後方向Yおよび上下方向Zが矢印で示される。本実施の形態においても、左右方向Xにおいて矢印が向かう方向を左方と呼び、その逆の方向を右方と呼ぶ。また、前後方向Yにおいて矢印が向かう方向を前方と呼び、その逆の方向を後方と呼ぶ。さらに、上下方向Zにおいて矢印が向かう方向を上方と呼び、その逆の方向を下方と呼ぶ。

【0061】
図9の車椅子1においては、後輪40を支持する揺動フォーク43に図1の補助輪支持フレーム44が設けられない。そのため、図9の車椅子1には、図1の中間補助輪50および後方補助輪60は設けられない。

【0062】
一方、図9の車椅子1では、左側部フレーム部21の後端部近傍の下端部に支持軸71bおよび固定フォーク71aが取り付けられる。固定フォーク71aの下端部に中間補助輪71が回転可能に支持される。また、右側部フレーム部22の後端部近傍の下端部に支持軸72bおよび固定フォーク72aが取り付けられる。固定フォーク72aの下端部に中間補助輪72が回転可能に支持される。この状態で、中間補助輪71,72は、左右方向Xにおいて互いに対向するようにかつ前輪31,32と同じ方向を向くように、固定フォーク71a,72aにより左側部フレーム部21および右側部フレーム部22にそれぞれ固定される。

【0063】
上記の支持軸71b,72bとしては、例えば金属製または樹脂製の棒状部材または筒状部材を用いることができる。中間補助輪71,72の直径は互いに等しく前輪31,32および後輪40の直径に比べて小さい。

【0064】
図10に示すように、車椅子1が平坦面FS上にある状態で、前輪31,32および後輪40が平坦面FSに接地する。このとき、中間補助輪71,72は前後方向Yにおける前輪31,32と後輪40との間の位置で平坦面FSから離間する。また、中間補助輪71,72の各々の回転中心軸RA5は左右方向Xに平行な共通の直線上にある。

【0065】
ここで、中間補助輪71は、前輪31の外周円の下側と中間補助輪71の外周円の下側とに接する共通接線L5が後輪40の外周円に交差するように配置される。また、中間補助輪72は、前輪32の外周円の下側と中間補助輪72の外周円の下側とに接する共通接線L6が後輪40の外周円に交差するように配置される。

【0066】
中間補助輪71は、上記の共通接線L5が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るように配置されることが好ましい。また、中間補助輪72は、上記の共通接線L6が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るように配置されることが好ましい。

【0067】
本例の車椅子1においては、前輪31,32の直径は約610mmに設定され、後輪40の直径は約251mmに設定され、中間補助輪71,72の直径は約65mmに設定される。なお、車椅子1の前輪31,32、後輪40および中間補助輪71,72の直径の大きさは、本例の値に限定されない。

【0068】
また、前輪31,32の回転中心軸RA1から後輪40の回転中心軸RA2までの前後方向Yの寸法d11は、約620mmに設定される。中間補助輪71,72の回転中心軸RA5から後輪40の回転中心軸RA2までの前後方向Yの寸法d12は約160mmに設定される。さらに、平坦面FSから中間補助輪71,72の下端部までの上下方向Zの寸法d13は約70mm~約80mmに設定される。なお、車椅子1の上記の寸法d11,d12,d13の大きさは、本例の値に限定されない。

【0069】
本例の車椅子1においても、前輪31,32にそれぞれ図示しないハンドリムが設けられている。座席10に着座する使用者は、前輪31,32のハンドリムをそれぞれ操作する。それにより、使用者は、車椅子1を前進または後進させることができる。また、図11に太い一点鎖線の矢印で示すように、後輪40の向きを変更させて車椅子1を旋回または回転させることができる。

【0070】
(2)上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差の通過
図12および図13は、図9の車椅子1が上りでかつ上段面と下段面との間に隙間を有する段差を通過するときの状態を説明するための側面図である。図12(a)~(d)および図13(a)~(c)では、上りの段差を通過するときの車椅子1の側面図が時系列で示される。本例の段差は図5および図6の上りの段差と同じである。

【0071】
図12(a)に示すように、初期状態では、車椅子1が下段面LS上にあり、前輪31,32および後輪40が下段面LSに接地し、中間補助輪71,72は下段面LSから浮いている。

【0072】
その後、車椅子1が前進することにより前輪31,32が隙間G1に到達する。この場合、図12(b),(c)に示すように、大きな前輪31,32は、下段面LSから隙間G1を通過して比較的容易に上段面HS上に乗り上げる。このとき、後輪40は下段面LS上にあり、中間補助輪71,72は下段面LSの上方にある。

【0073】
前輪31,32がさらに前進すると、図12(d)に示すように、中間補助輪71,72が隙間G1を通過して上段面HS上に移動する。それにより、中間補助輪71,72が上段面HS上に支持され、後輪40が隙間G1に位置する。この状態で、車椅子1は、前輪31,32および中間補助輪71,72により上段面HS上に支持される。それにより、後輪40が隙間G1に嵌ることが防止される。また、本例では前輪31と中間補助輪71との共通接線L5(図10参照)および前輪32と中間補助輪72との共通接線L6(図10参照)が後輪40の回転中心軸RA2よりも下方を通るため、後輪40の回転中心軸RA2は上段面HSよりも高い位置にある。そのため、前輪31,32がさらに前進することにより、図13(a)に示すように、後輪40が上段面HSに接地し、隙間G1から上段面HSにより容易かつより円滑に乗り上げることができる。

【0074】
後輪40が上段面HSに乗り上げることにより、車椅子1が、前輪31,32および後輪40により上段面HS上に支持される。それにより、図13(b)に示すように、中間補助輪71,72が上段面HSから離間する。

【0075】
前輪31,32がさらに前進することにより、車椅子1の全体が上段面HSの上方に位置する。それにより、図13(c)に示すように、車椅子1の下段面LSから上段面HSへの移動が完了する。

【0076】
(3)第2の実施の形態の効果
上記のように、第2の実施の形態に係る車椅子1によれば、第1の実施の形態と同様に、上りでかつ上段面HSと下段面LSとの間に隙間G1を有する段差を容易かつ円滑に通過することが可能になる。

【0077】
また、本実施の形態では、車椅子1が隙間G1を有する上りの段差を通過する際に、後輪40が隙間G1に位置する状態で前輪31,32および中間補助輪71,72が上段面HSに接地する。このように、車椅子1が4点で上段面HS上に支持されることにより、段差を通過する際の車椅子1の安定性が向上する。

【0078】
本実施の形態に係る車椅子1においては、中間補助輪71,72の位置は、上記の例に限らず、上りでかつ上段面HSと下段面LSとの間に隙間G1を有する段差の隙間G1の間隔g1および高さの差分g2に応じて、後輪40がその隙間G1を通過可能となるように設定される。

【0079】
[3]他の実施の形態
(1)第1および第2の実施の形態に係る車椅子1は1つの後輪40を有するが、本発明の車椅子1の後輪40の数は1つに限定されない。図14は、他の実施の形態に係る車椅子の第1の例を示す模式図である。図14および後述する図15および図16では、図1~図4および図9~図11と同様に、車椅子1の左右方向X、前後方向Yおよび上下方向Zが矢印で示される。

【0080】
図14に示すように、本体フレーム20の後部に2つの揺動フォーク43が取り付けられてもよい。また、各揺動フォーク43の下端部に後輪40が回転可能に支持されてもよい。この場合、車椅子1は、前輪31,32および2つの後輪40により平坦面FS上に支持される。したがって、車椅子1の安定性が向上する。

【0081】
また、本例では、各後輪40に対応するように中間補助輪50および後方補助輪60が設けられている。それにより、車椅子1による段差の移動時には車椅子1が常に4点で支持される。したがって、段差を通過する際の車椅子1の安定性が向上する。

【0082】
このように、本発明の車椅子には、2以上の後輪40が設けられてもよく、2以上の中間補助輪50が設けられてもよく、2以上の後方補助輪60が設けられてもよい。

【0083】
(2)第1の実施の形態に係る車椅子1においては、中間補助輪50および後方補助輪60は、固定フォーク50a,60aを介して補助輪支持フレーム44の前端部および後端部に取り付けられる。そのため、後輪40が左右方向Xに揺動する場合、中間補助輪50および後方補助輪60は揺動フォーク43の回転中心の軸ccの周りで回転する。本発明の構成は上記の例に限定されない。

【0084】
図15は、他の実施の形態に係る車椅子の第2の例を示す模式図である。図15に示すように、中間補助輪50および後方補助輪60は、補助輪支持フレーム44に代えて本体フレーム20に取り付けられてもよい。この場合、後輪40が左右方向Xに揺動する際に、中間補助輪50および後方補助輪60が左右方向Xに揺動しない。したがって、車椅子1が左右方向Xに大型化することが抑制される。

【0085】
(3)第1および第2の実施の形態に係る車椅子1は、大きい直径を有する2つの車輪が前輪31,32として用いられ、小さい直径を有する1つの車輪が後輪40として用いられるが、本発明はこれに限定されない。

【0086】
図16は、他の実施の形態に係る車椅子の第3の例を示す模式図である。図16の車椅子1においては、座席10の向きが上記実施の形態の車椅子1とは逆になっている。そのため、本例では、揺動フォーク43が本体フレーム20の前部に設けられる。この場合、揺動フォーク43により回転可能に支持される1つの小さい車輪(上記実施の形態の後輪40に対応する車輪)が前輪80として機能する。また、大きい直径を有する2つの車輪(上記実施の形態の前輪31,32に対応する車輪)が本体フレーム20の後部に回転可能に支持されることにより後輪91,92として機能する。

【0087】
この場合、車椅子1の使用者は、後進しながら上りでかつ上段面HSと下段面LSとの間に隙間G1を有する段差を容易かつ円滑に通過することができる。また、車椅子1の使用者は、後進しながら下りでかつ下段面LSと上段面HSとの間に隙間G2を有する段差をより円滑に通過することができる。

【0088】
(4)第1の実施の形態に係る車椅子1においては、補助輪支持フレーム44の前端部および後端部に固定フォーク50a,60aがそれぞれ取り付けられ、固定フォーク50a,60aの下端部に中間補助輪50および後方補助輪60がそれぞれ支持されるが、本発明はこれに限定されない。補助輪支持フレーム44の前端部と固定フォーク50aとの間および補助輪支持フレーム44の後端部と固定フォーク60aとの間にそれぞれ衝撃緩衝機構が設けられてもよい。この場合、中間補助輪50が上段面HSに接触する際に発生する衝撃および後方補助輪60が上段面HSに接触する際に発生する衝撃が、衝撃緩衝機構により緩衝される。したがって、座席10に大きな衝撃が伝達されることが防止される。

【0089】
なお、衝撃緩衝機構としては、ばねまたはゴム等の弾性体を含む機構を用いることができる。また、衝撃緩衝機構として、空気圧または油圧を利用したスプリングダンパー等を用いることもできる。

【0090】
(5)第2の実施の形態に係る車椅子1においては、左側部フレーム部21に支持軸71bを介して固定フォーク71aが取り付けられ、右側部フレーム部22に支持軸72bを介して固定フォーク72aが取り付けられるが、本発明はこれに限定されない。その車椅子1においては、左側部フレーム部21と固定フォーク71aとの間に、支持軸71bに代えて衝撃緩衝機構が設けられてもよい。また、右側部フレーム部22と固定フォーク72aとの間に、支持軸72bに代えて衝撃緩衝機構が設けられてもよい。この場合、中間補助輪71,72が上段面HSに接触する際に発生する衝撃が、2つの衝撃緩衝機構により緩衝される。したがって、座席10に大きな衝撃が伝達されることが防止される。

【0091】
本例においても、衝撃緩衝機構としては、ばねまたはゴム等の弾性体を含む機構を用いることができる。また、衝撃緩衝機構として、空気圧または油圧を利用したスプリングダンパー等を用いてもよい。

【0092】
(6)第1および第2の実施の形態に係る車椅子1においては、後輪40、中間補助輪50,71,72および後方補助輪60として一定の厚みを有する円板形状の車輪が用いられるが、本発明はこれに限定されない。後輪40、中間補助輪50,71,72および後方補助輪60として球状の車輪が用いられてもよい。この場合、後輪40および揺動フォーク43として球状の車輪を含むキャスターを用いてもよい。また、中間補助輪50および固定フォーク50aとして球状の車輪を含むキャスターを用いてもよい。さらに、後方補助輪60および固定フォーク60aとして球状の車輪を含むキャスターを用いてもよい。また、中間補助輪71,72および固定フォーク71a,72aとして球状の車輪を含むキャスターを用いてもよい。

【0093】
(7)第1および第2の実施の形態に係る車椅子1は、使用者が前輪31,32のハンドリムを操作することにより前輪31,32が駆動される手動式の車椅子であるが、本発明はこれに限定されない。上記の車椅子1は、電動式の車椅子であってもよい。車椅子1として電動式の車椅子が用いられる場合には、車椅子1が隙間を有する上りの段差および隙間を有する下りの段差を円滑に通過することにより、消費電力を低減することも可能になる。

【0094】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。

【0095】
上記実施の形態においては、前輪31が第1の車輪の例であり、前輪32が第2の車輪の例であり、揺動フォーク43が揺動部材の例であり、後輪40が第3の車輪の例であり、中間補助輪50,71,72が第4の車輪の例であり、平坦面FS、上段面HSおよび下段面LSが平坦面の例である。

【0096】
また、共通接線L1,L5が第1の車輪の外周円の下側と第4の車輪の外周円の下側とに接する共通接線の例であり、共通接線L2,L6が第2の車輪の外周円の下側と第4の車輪の外周円の下側とに接する共通接線の例である。

【0097】
また、後方補助輪60が第5の車輪の例であり、共通接線L3が第1の車輪の外周円の下側と第5の車輪の外周円の下側とに接する共通接線の例であり、共通接線L4が第2の車輪の外周円の下側と第5の車輪の外周円の下側とに接する共通接線の例である。

【0098】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、段差を移動する車両に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 車椅子
10 座席
20 本体フレーム
21 左側部フレーム部
22 右側部フレーム部
23 連結フレーム
24 支持柱
31,32,80 前輪
40,91,92 後輪
41 支持プレート
42 回転板
43 揺動フォーク
44 補助輪支持フレーム
50,71,72 中間補助輪
50a,60a,71a,72a 固定フォーク
60 後方補助輪
71b,72b 支持軸
d1~d5,d11,d12,d13 寸法
FS 平坦面
G1,G2 隙間
g1,g3 間隔
g2,g4 差分
HS 上段面
L1~L6 共通接線
LS 下段面
RA1~RA5 回転中心軸
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15