TOP > 国内特許検索 > 心拍状態解析装置 > 明細書

明細書 :心拍状態解析装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-229030 (P2015-229030A)
公開日 平成27年12月21日(2015.12.21)
発明の名称または考案の名称 心拍状態解析装置
国際特許分類 A61B   5/0245      (2006.01)
FI A61B 5/02 320Q
A61B 5/02 321E
A61B 5/02 321P
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2014-117111 (P2014-117111)
出願日 平成26年6月5日(2014.6.5)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名 日本情動学会 刊行物名 日本情動学会 第3回大会 一般口演抄録集 発行年月日 平成25年12月7日 集会名 日本情動学会 第3回大会 一般口演 開催日 平成25年12月7日
発明者または考案者 【氏名】荒木 睦大
【氏名】森 幹男
【氏名】谷口 秀次
【氏名】小越 康宏
【氏名】西島 浩二
【氏名】白井 冶彦
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100111855、【弁理士】、【氏名又は名称】川崎 好昭
審査請求 未請求
テーマコード 4C017
Fターム 4C017AA02
4C017AB05
4C017AC35
4C017AC38
4C017BC03
4C017BC16
4C017BC21
要約 【課題】本発明は、音声信号波形をリアルタイムで処理する技術を用いて胎児の心音信号に基づいて心拍状態をリアルタイムで解析することができる心拍状態解析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】人体に取り付けられた接触検知センサ13及び14において体内に向かって送信された超音波信号を反射させて検知された心拍状態に関する検知信号を取得する検知処理部100と、取得された検知信号の振幅データに基づいて処理して検知信号の周期をリアルタイムで求める心音処理部101と、求められた検知信号の周期を高速フーリエ変換により処理してリアルタイムで周波数解析する心音解析部102とを備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
人体に取り付けられた接触検知センサにおいて体内に向かって送信された超音波信号を反射させて検知された心拍状態に関する検知信号を取得する検知処理部と、取得された前記検知信号の振幅データに基づいて前記検知信号の周期をリアルタイムで求める心音処理部と、求められた前記検知信号の周期を高速フーリエ変換により処理してリアルタイムで周波数解析する心音解析部とを備えている心拍状態解析装置。
【請求項2】
前記心音処理部は、前記検知信号の周期として、心臓の収縮期の初めに房室弁が閉じる際に発生するI音波形に関する周期を求める請求項1に記載の心拍状態解析装置。
【請求項3】
心音処理部は、前記振幅データの平均値に基づいて設定された信号ブロックを4ブロックずつ区分した区間において前記I音波形の開始位置を抽出する請求項2に記載の心拍状態解析装置。
【請求項4】
前記心音解析部は、周波数解析により求められたピーク値の変動解析処理を行う請求項1から3のいずれかに記載の心拍状態解析装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の心拍状態解析装置を備えた分娩監視装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、胎児等の人体の心音信号に基づいて心拍状態を分析する心拍状態解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
胎児の健康状態の診断では、胎児の心拍状態が検査項目の1つとされており、特に胎児の心拍細変動についてその重要性が指摘されている。胎児の心拍状態については、分娩監視装置等において超音波ドプラ法を用いて胎児の心拍信号が計測されている。超音波ドプラ法では、妊婦の腹壁に接触子を取り付けておき、接触子から低い音圧で弱い超音波パルスを体内の胎児の心臓部に向かって放射し、心臓部で反射された反射波を接触子で受信して、受信信号に基づいて胎児の心拍信号を計測することができる。
【0003】
超音波ドプラ法により得られた信号波形の処理に関しては、例えば、特許文献1では、瞬時心拍周期を算出するために、心拍のほぼ1拍分に相当する短時間窓を設定して自己相関手法により算出する点が記載されている。また、特許文献2では、得られた胎児心拍信号の自己相関関数を求め、複数の相関値の中から有効な相関値ピークを検出し、検出された相関値ピークに対応する時間差により胎児の心拍数を計数する点が記載されている。また、特許文献3では、超音波信号を胎児の心臓に照射し、エコー信号を検出して心臓弁膜信号を検出し、検出された信号から半月弁開放信号と房室弁閉鎖信号とを抽出して記憶し、記憶された半月弁開放信号と房室弁閉鎖信号とを表示装置において同一時間軸上に表示して、両信号の時間軸の位置と収容性収縮期とを測定する装置が記載されている。また、特許文献4では、体内音センサから得られた音声信号に基づいて母親及び胎児の心拍数及び心音レベルを算出し、算出されたデータについて予め記憶された分類を参照して胎児の状態を示すデータを取得する胎児観察支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平10-28686号公報
【特許文献2】特開昭63-277034号公報
【特許文献3】特開2000-197633号公報
【特許文献4】特開2001-276079号公報
【特許文献5】特許第5278952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
胎児の心拍細変動を測定する場合には、心拍状態をリアルタイムに測定することが重要となる。これに対して、上述した特許文献では、胎児の心音信号に基づいて胎児の心拍数等の心拍状態を測定するようにしているが、リアルタイムでの測定は技術的に困難である。例えば、特許文献1及び2では、自己相関関数を用いて心拍波形を解析しているが、自己相関関数を用いた場合、信号波形を一旦記憶して処理する必要があるため、リアルタイムで解析を行うことが困難となっている。また、特許文献3及び4においても、同様に信号波形を記憶して処理する必要があり、リアルタイムで処理することは技術的に困難である。
【0006】
大人の心拍状態をリアルタイムで測定する手法としては、心電図法や心磁図法といった手法が用いられているが、こうした手法では正確な測定を行うために身体に直接センサを取り付ける必要がある。胎児の場合には、身体に直接センサを取り付けることが困難であるため、心電図法等の手法は胎児の心拍状態の測定には不向きである。特に、胎児は胎内で動き回るため、正確な測定を行うことが困難とならざるを得ない。
【0007】
本発明者は、特許文献5に記載されているように、乳幼児の感情診断装置を提案している。この感情診断装置では、乳幼児の音声について瞬時ピッチ周期をリアルタイムで測定するシステムが用いられている。
【0008】
そこで、本発明は、こうした音声信号波形をリアルタイムで処理する技術を用いて胎児の心音信号に基づいて心拍状態をリアルタイムで解析することができる心拍状態解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る心拍状態解析装置は、人体に取り付けられた接触検知センサにおいて体内に向かって送信された超音波信号を反射させて検知された心拍状態に関する検知信号を取得する検知処理部と、取得された前記検知信号の振幅データに基づいて前記検知信号の周期をリアルタイムで求める心音処理部と、求められた前記検知信号の周期を高速フーリエ変換により処理してリアルタイムで周波数解析する心音解析部とを備えている。さらに、前記心音処理部は、前記検知信号の周期として、心臓の収縮期の初めに房室弁が閉じる際に発生するI音波形に関する周期を求める。さらに、心音処理部は、前記振幅データの平均値に基づいて設定された信号ブロックを4ブロックずつ区分した区間において前記I音波形の開始位置を抽出する。さらに、前記心音解析部は、周波数解析により求められたピーク値の変動解析処理を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、胎児の心音信号に基づいて心拍状態をリアルタイムで解析することができるので、胎児の心拍細変動を正確に診断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る心拍状態解析装置の実施形態に関する概略ブロック構成図である。
【図2】心音信号及び心雑音の波形を模式的に示す説明図である。
【図3】実際に検知された母親及び胎児の検知信号に関する波形図である。
【図4】平均振幅差関数法の原理に関する説明図である。
【図5】検知波形に対して平均値及び再設定された信号ブロックを示すグラフである。
【図6】母親から得られた心音波形及び心電図波形に基づいて算出されたRR時間の推移を示すグラフである。
【図7】母親及び胎児の心音波形から求められたRR時間の時系列データを1分間の心拍数に換算して示したグラフである。
【図8】解析区間Aの解析結果を示すグラフである。
【図9】解析区間Bの解析結果を示すグラフである。
【図10】解析区間Cの解析結果を示すグラフである。
【図11】胎児のスペクトル波形のピーク値の変動を示すグラフである。
【図12】母親のスペクトル波形のピーク値の変動を示すグラフである。
【図13】母親及び胎児に対して音楽を聞かせた場合の心拍数の推移を示すグラフである。
【図14】表示画面に関する一例を示す画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。図1は、本発明に係る心拍状態解析装置の実施形態に関する概略ブロック構成図である。心拍状態解析装置は、処理部10、記憶部11及び表示部12を備えており、処理部10には、妊婦である母親に取り付けられた接触検知センサ13及び胎児の近傍の腹壁に取り付けられた接触検知センサ14が接続されている。

【0013】
処理部10は、接触検知センサ13及び14において体内に向かって送信された超音波信号を反射させて検知された検知信号を取得する検知処理部100、検知処理部100において得られた検知信号を処理して心音信号を抽出する心音処理部101、心音処理部101において抽出された心音信号を解析する心音解析部102、及び、心音処理部101の処理結果及び心音解析部102の解析結果を表示部12に表示処理する表示処理部103を備えている。

【0014】
また、記憶部11は、得られた検知信号を記憶する検知DB110及び検知信号を処理して得られたデータを記憶する処理DB111を備えている。

【0015】
なお、処理部10、記憶部11及び表示部12については、公知のパーソナルコンピュータを用いて機能を実現するために必要なプログラム及びデータをインストールすることで、パーソナルコンピュータに心拍状態解析装置の機能を実現させることができる。

【0016】
検知処理部100は、母親に取り付けられた接触検知センサ13及び14を超音波振動させて体内に向かって超音波信号を送信し、送信された超音波信号が体内で反射して受信した反射信号のドプラ効果により生じる唸り音(ビート)を検知信号として取得する。そして、取得された検知信号を記憶部11の検知DB110に記憶する。

【0017】
検知信号には、心拍に対応する心音信号の外に心拍に伴って生じる心雑音(ノイズ)が含まれる。図2は、心音信号及び心雑音の波形を模式的に示す説明図である。心音信号では、心臓の収縮期の初めに房室弁が閉じる際に発生するI音波形、収縮期の終わりに動脈弁が閉じる際に発生するII音波形、心臓の拡張期に発生するIII音波形及びIV音波形の4種類のパターンが生じることが知られている。また、心電図では、心臓の収縮期の初めにR波が生じるようになり、収縮期の終わりにT波が生じることが知られている。心音信号の波形を心電図の波形と比較した場合、I音波形がR波に対応するとともにII音波形がT波に対応するようになる。したがって、心電図の波形解析において瞬間的な心拍細変動の評価基準となっているR波と次のR波との間の時間(以下「RR時間」という。)をI音波形と次のI音波形との間の時間として測定することができる。

【0018】
図3は、実際に検知された母親及び胎児の検知信号に関する波形図である。上側の波形Bが胎児の検知波形を示しており、下側の波形Mが母親の検知波形を示している。図2において説明したように、両者の心音及び心雑音を含む検知信号が波形に現れている。

【0019】
心音処理部101は、検知処理部100において取得された検知信号について所定の時間毎にサンプリングし、サンプリングして得られた検知信号の振幅データに基づいて平均振幅差関数(AMDF)法を用いて信号相関により検知信号の周期を求める。この例では、信号相関に基づいてI音波形の時間軸上の位置を決定し、I音波形と次のI音波形との間の時間を算出することで検知信号の基本周期であるRR時間を求める。

【0020】
図4は、平均振幅差関数法の原理に関する説明図である。図4では、縦軸に振幅をとり、横軸に時間をとって、音の検知波形が模式的に描かれている。検知波形においてサンプリングした任意の時間軸上の位置iからN個分のサンプリングした位置までの区間の波形Aと、波形Aと同じN個分の区間を時間遅れmだけずらした波形Bの区間とを設定し、2つの区間の波形の平均振幅差に基づいて波形の相関をみることで基本周期を抽出することができる。2つの波形の相関値D(m)は、以下の数式により算出し、相関値D(m)が極小値となる時間遅れmをRR時間と推定することができる。
【数1】
JP2015229030A_000003t.gif

【0021】
図2において説明したように、検知波形にはノイズが含まれているが、I音波形において振幅が最大となることから、波形の相関値D(m)を算出する際に、振幅データに適宜閾値を設定すれば、I音波形の相関値の精度を高めることができる。そして、検知波形のサンプリングデータの取得タイミングに合わせて区間をずらしながら信号相関処理を行ってRR時間を求めることで、RR時間の時系列データが得られる。したがって、リアルタイムでRR時間の変動を検査することが可能となり、心拍細変動等の心拍状態を正確に把握することができる。得られた時系列データは、記憶部11の処理DB111に保存される。

【0022】
以上説明した平均振幅差関数法は、高速で計算処理を行うことができるため、リアルタイムでRR時間の算出処理を行うことが可能となる。また、振幅差を算出する時間軸上の位置をサンプリングした位置の複数個おきに設定すれば、安定した高速処理が可能となり、リアルタイムでの心音処理を行って検査結果の表示処理を安定して行うことができる。

【0023】
RR時間の抽出手法としては、図2において説明したように、心音波形が4つのパターンからなることに着目して求めることもできる。具体的には、まず、検知波形をサンプリングして所定のサンプリング数毎に振幅データの平均値を算出し、その平均値を閾値に設定する。どの程度のサンプリング数に設定するかは、心拍状態に応じて適宜設定すればよい。

【0024】
次に、平均値を閾値として信号ブロック設定処理を行う。閾値以上の振幅データの波形区間を「信号有りの区間」として、平均値の振幅値を有する矩形波状の信号ブロックとし、閾値より小さい振幅データの波形区間を「信号無しの区間」として、振幅を0とする。

【0025】
次に、信号ブロックの再設定処理を行う。信号ブロックの時間軸上の立上り位置及び立下り位置を検出し、信号ブロックの立下り位置と次の信号ブロックの立上り位置との間の間隔が所定の間隔よりも小さい場合には、信号ブロックが継続しているものと判定して、信号ブロックを再設定する。再設定された信号ブロックの立上り位置と立下り位置との間の長さが所定の長さよりも小さいと判定された場合には、ノイズとして、再設定された信号ブロックを「信号無しの区間」に設定する。図5は、検知波形に対して平均値及び再設定された信号ブロックを示すグラフである。

【0026】
次に、RR区間を設定してRR時間の開始位置の決定処理を行う。最終的に設定された信号ブロックについて4ブロックずつRR区間に区分し、RR区間内において立上り位置と立下り位置との間の長さが最も長い信号ブロックを抽出し、その立上り位置をRR時間の時間軸上の開始位置として保存する。

【0027】
そして、RR時間の算出処理を行う。保存されたRR時間の開始位置と次の開始位置との間の長さをRR時間として求め、RR時間の時系列データを得ることができる。

【0028】
以上説明したRR時間の抽出手法では、心音波形の特徴に基づいて4つのブロック毎に処理するようにしているので、精度の高いデータを高速処理により得ることができ、心拍細変動を含む心拍状態を正確にリアルタイムで捉えることが可能となる。

【0029】
図6は、母親から得られた心音波形及び心電図波形に基づいて算出されたRR時間の推移を示すグラフである。図6では、縦軸にRR時間(ミリ秒)をとり、横軸に波形区間をとっている。そして、母親から同時に得られた心音波形及び心電図波形を上述した平均振幅差関数法により処理してRR時間を算出し、心音波形による算出値を◆印の折れ線グラフで示し、心電図波形による算出値を■印の折れ線グラフで示している。

【0030】
2つの折れ線グラフは、心音波形による算出値がノイズの影響で大きくずれている区間があるものの全体としてほぼ一致しており、心音波形から求められたRR時間を心電図波形から求められるRR時間の代わりに用いることができることを示している。

【0031】
したがって、胎児から正確な心電図波形を得ることは技術的に困難とされているが、胎児から得られた心音波形を用いることで、RR時間を正確に算出することができるようになり、胎児の心拍細変動等の心拍状態をリアルタイムで診断することが可能となる。

【0032】
心音解析部102は、心音処理部101で求められたRR時間に基づいて所定の解析区間毎に高速フーリエ変換(FFT)により周波数解析処理を行うことで、RR時間の変動の様子を周波数特性の観点からリアルタイムで解析する。以下の説明では、具体例に基づいて心音解析処理について詳述する。

【0033】
図7は、母親及び胎児の心音波形から求められたRR時間の時系列データを1分間の心拍数に換算して示したグラフである。縦軸に1分間の心拍数(bpm)をとり、横軸に時間(分)をとっている。グラフでは、母親の心拍数は70前後で安定しているが、胎児の心拍数は100~140の間で変動しており、瞬間的な心拍細変動が明確に現れていることがわかる。図7に示すグラフについて、所定の時間幅の解析区間を設定し、解析区間に対して10秒ずつずらした同じ幅の解析区間を設定する。図7では、所定の時間幅の解析区間Aを設定し、10秒ずつずらした解析区間B及びCを設定しており、以後10秒ずつずらして解析区間を順次設定する。そして、設定された各解析区間についてFFTにより周波数解析処理を行う。図8から図10は、それぞれ解析区間AからCの解析結果を示すグラフである。各グラフは、縦軸にスペクトル強度をとり、横軸に周波数をとっている。

【0034】
こうして得られた各解析区間のスペクトル波形のピーク値の変動を分析することで、母親及び胎児の健康状態の診断に活用することができる。また、両者の解析結果の間の相関関係をみることで、両者の健康状態を関連付けて総合的に診断することが可能となる。図11は、胎児のスペクトル波形のピーク値の変動を示すグラフである。図11では、縦軸にスペクトル強度をとり、横軸に時間(分)をとっており、VLF(0-0.04Hz;超低周波成分)、LF(0.04-0.15Hz;低周波成分)及びHF(0.15-0.4Hz;高周波成分)の3つの周波数範囲において、各周波数範囲のピーク値の推移を示している。

【0035】
これらの周波数範囲のピーク値は、自律神経系の活動に密接に関連していることが知られており、VLF及びLFの周波数範囲のピーク値が大きくなっている場合には、交感神経系の活動が活発なストレス状態とされ、HFの周波数範囲のピーク値が大きくなっている場合には副交感神経系の活動が活発なリラックス状態とされている。したがって、図11に示すようなピークにおけるスペクトル強度に関するグラフを分析することで、胎児の現在の健康状態を診断する重要なデータの1つとして活用することができる。

【0036】
図12は、母親のスペクトル波形のピーク値の変動を示すグラフである。図12では、図11と同様に3つの周波数範囲についてピーク値の推移を示しており、胎児の場合と同様に、母親の現在の健康状態を診断する際に重要なデータとして活用することができる。

【0037】
そして、母親及び胎児の心拍状態の解析結果について相関関係を分析することで、両者の健康状態を関連付けて総合的に診断する際の有用なデータを得ることが可能となる。具体的な例として、母親の好みの音楽及び胎教音楽を所定の時間ずつ交互に聞かせ、両者の心拍状態の変動について相関関係が見出せるか実験を行った。図13は、母親及び胎児に対して音楽を聞かせた場合の心拍数の推移を示すグラフである。図13では、太枠で囲まれた時間帯に母親の好みの音楽及び胎教音楽を聞かせている。そして、上述したFFTによる周波数解析及びピーク値の変動解析を行ったところ、胎児及び母親の自律神経系の活動が活発になるピーク値の変動がみられ、そうした変動の様子は音楽の種類により異なることがわかった。このように、母親及び胎児に与える様々な外的要因による影響の程度を定量的にリアルタイムで分析することが可能となる。

【0038】
表示処理部103は、上述した検知信号及び処理結果を一覧で表示部12に表示して母親及び胎児の心拍状態を正確に確認できるように表示処理する。図14は、表示画面に関する一例を示す画面例である。操作表示部120は、処理開始又は終了ボタン、ファイル選択等の選択ボタン、閾値等の設定ボタンが表示されている。検知表示部121は、検知信号を信号波形として設定されたスケールでリアルタイムで表示する。処理表示部122は、心音処理部101において求められたRR時間の時系列データを設定されたスケールで表示する。この例では、所定区間毎の平均RR時間のグラフ及びRR時間の連続したグラフをリアルタイムで表示する。解析表示部123は、図8に示すスペクトル波形をリアルタイムで動的に表示する。

【0039】
上述した心拍状態解析装置は、超音波ドプラ法により心音信号を取得するようになっているので、超音波ドプラ法を用いた公知の分娩監視装置に心拍状態解析装置の機能を持たせることができる。そのため、母親及び胎児の心拍状態を表示画面でリアルタイムで確認しながら両者の健康状態を監視することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
10・・・処理部、11・・・記憶部、12・・・表示部、100・・・検知処理部、101・・・心音処理部、102・・・心音解析部、103・・・表示処理部
図面
【図2】
0
【図4】
1
【図6】
2
【図1】
3
【図3】
4
【図5】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13