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明細書 :打楽器の自動演奏装置及び自動演奏方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-114717 (P2016-114717A)
公開日 平成28年6月23日(2016.6.23)
発明の名称または考案の名称 打楽器の自動演奏装置及び自動演奏方法
国際特許分類 G10F   1/08        (2006.01)
G10H   1/00        (2006.01)
FI G10F 1/08
G10H 1/00 101B
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2014-252281 (P2014-252281)
出願日 平成26年12月12日(2014.12.12)
発明者または考案者 【氏名】庄司 英一
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100110814、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 敏郎
審査請求 未請求
テーマコード 5D378
5D478
Fターム 5D378MM83
5D378UU11
5D478EB00
5D478LL00
要約 【課題】 演奏家が実際に演奏するような音質を既存のMIDI規格等の制御手段で簡単に再現することができる自動演奏装置を提供する。
【解決手段】 楽曲データに基づいて打楽器の自動演奏を行なう打楽器の自動演奏装置において、打楽器の発音部を打撃して発音させる打撃手段と、この打撃手段を駆動させて前記発音部を打撃させる駆動手段と、前記楽曲データに基づいて前記駆動手段へ駆動指令信号を出力する制御手段と、前記制御手段から出力される前記駆動指令信号にON/OFFの時間間隔を付与するゲートタイムの付与手段とを有する。前記打撃手段による前記発音部への打撃力を一定に維持してもよい。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
楽曲データに基づいて打楽器の自動演奏を行なう打楽器の自動演奏装置において、
打楽器の発音部を打撃して発音させる打撃手段と、
この打撃手段を駆動させて前記発音部を打撃させる駆動手段と、
前記楽曲データに基づいて前記駆動手段へ駆動指令信号を出力する制御手段と、
前記制御手段から出力される前記駆動指令信号にON/OFFの時間間隔を付与するゲートタイムの付与手段と、
を有することを特徴とする打楽器の自動演奏装置。
【請求項2】
前記打撃手段による前記発音部への打撃力が一定に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の打楽器の自動演奏装置。
【請求項3】
前記打撃力に関する出力値の変化に対応させて前記ゲートタイムを変化させるゲートタイム調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載の打楽器の自動演奏装置。
【請求項4】
前記駆動手段を前記打撃手段の複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の打楽器の自動演奏装置。
【請求項5】
複数の前記駆動手段のうち少なくとも一つの前記駆動手段の駆動開始時間が相対的に他の前記駆動手段の駆動開始時間よりも早くなるように、各前記駆動手段の駆動タイミングを調整する駆動タイミング調整手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の打楽器の自動演奏装置。
【請求項6】
前記駆動手段の位置を調整自在に設けたことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の打楽器の自動演奏装置。
【請求項7】
前記楽曲データに基づく前記打楽器の楽曲の早さと前記制御手段の音符の分解精度との比に、前記打楽器ごとの種類に応じて設定された設定値を積算することで、前記ゲートタイムを求めるゲートタイム演算手段を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の打楽器の自動演奏装置。
【請求項8】
楽曲データに基づいて打楽器の自動演奏を行なう打楽器の演奏方法において、
打楽器の発音部を打撃して発音させる打撃手段と、この打撃手段を駆動させて前記発音部を打撃させる駆動手段と、前記前記楽曲データに基づいて前記駆動手段へ駆動指令信号を出力する制御手段とを準備し、
前記制御手段から出力される前記駆動指令信号にON/OFFの時間間隔を付与することで、前記発音部からの発音を調整すること、
を特徴とする打楽器の自動演奏方法。
【請求項9】
前記打撃手段による前記発音部への打撃力を一定に維持したままでON/OFFの時間間隔を付与することを特徴とする請求項8に記載の打楽器の自動演奏方法。
【請求項10】
前記打撃力に関する出力値の変化に対応させて前記ON/OFFの時間間隔を変化させることを特徴とする請求項8に記載の打楽器の自動演奏方法。
【請求項11】
前記駆動手段を前記打撃手段の複数カ所に設け、複数の前記駆動手段のうち少なくとも一つの前記駆動手段の駆動開始時間が相対的に他の前記駆動手段の駆動開始時間よりも早くなるように、各前記駆動手段の駆動タイミングを調整することを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の打楽器の自動演奏方法。
【請求項12】
前記駆動手段の配置位置を変化させることで、打撃力又は打撃タイミング等を調整することを特徴とする請求項8~11のいずれかに記載の打楽器の自動演奏方法。
【請求項13】
前記楽曲データに基づく前記打楽器の楽曲の早さと前記制御手段の音符の分解精度との比に、前記打楽器ごとの種類に応じて設定された設定値を積算することで、前記ON/OFFの時間間隔を求めることを特徴とする請求項7~12のいずれかに記載の打楽器の自動演奏装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太鼓、ドラムセット(スネアドラム、バスドラム、タム、フロアタム、シンバル等)、タンバリン、トライアングル、ウッドブロック、カウベル、拍子木、クラベス、木魚、ボンゴ、ティンパニ等の打楽器のほか、木琴、鉄琴、マリンバ、シロホン、グロッケン、ビブラホーン、ピアノ等の鍵盤打楽器(これらを総称して「打楽器」と記載する)を、楽曲データに基づいて自動演奏するための自動演奏装置及び自動演奏方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MIDI規格は楽曲データを機器間でデジタル転送するための世界共通規格で、このような規格を利用して作成した楽曲データに基づいて楽器を自動演奏させようとする試みがなされている(例えば特許文献1~4参照)。
これら文献に記載の自動演奏装置及び方法では、いずれもソレノイド等の駆動手段を使ってスティック等の打撃手段を動作させ、ドラム等の打楽器の発音部を打撃して発音させるものである。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、複数の打楽器を演奏する場合の人力による演奏の労力を軽減することを目的とするもので(段落0003の記載参照)、タイマーによってイベントの発生時間を設定し、当該設定時間になったときに前記駆動手段を駆動させてスティックを動作させ発音させることを特徴としている。
特許文献2に記載の技術は、ドラム等の打楽器の連打を可能にすることを目的としたもので、スティックを握る奏者の打撃力とグリップ力を二つのセンサを用いて再現することを特徴としている。
【0004】
特許文献3に記載の技術は、ソレノイドを使ってチャイムやベル等に向けて打撃手段であるハンマを付勢させる場合に、ソレノイドの数が多くなるとその分電源装置の数が多くなって装置が大型化するという目的を解決するためになされたもので(段落0003の記載参照)、MIDI楽器やMIDIシーケンサー等から入力される演奏情報(楽曲データ)のオンイベントに従ってソレノイドを駆動させるソレノイド駆動制御手段を設けたことを特徴としている。
【0005】
特許文献4に記載の技術は、ドラムの数より少ないアームで前記ドラムの演奏を行うことを目的とするもので(段落0006の記載参照)、MIDI規格の楽曲データの音程によりドラムの種類と打点位置を特定し(段落0008の記載参照)、音符データの音符長さからソレノイド等の駆動手段の動作時間を決定する動作時間決定部を設けることを特徴としている(段落0010の記載参照)。ここで、この文献に記載の「動作時間」は、アーム及びドラムの位置及び音符長とアームの移動距離及び移動速度とから算出されるようになっている(段落0010の後段の記載参照)。また、ドラムの音量はアームがドラムを打撃する速度で決まることから、音量の大小によってアームの振り上げ幅を変動させる駆動データ作成部を有することを特徴としている(段落0011の記載参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平6-51755号公報
【特許文献2】特開平7-319457号公報
【特許文献3】特開2001-5449号公報
【特許文献4】特開2008-26724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでドラム等の打楽器の発音はワンショットの単音であることから、MIDIにおける設定は一つのノートナンバーに一つの打楽器が配置されていて、前記ノートナンバーの指定によって所定の打楽器が発音されるようになっている。なお、打楽器においてもベロシティ値の設定によって音の強弱を調整することができる。
【0008】
しかし、ノートナンバーによってMIDI規格の制御手段から駆動手段に駆動信号を送信しても、演奏家が実際に打楽器を演奏するような音質を再現することは困難である。また、ドラムにおけるオープンリムショットのような高度な演奏を再現することも困難である。
【0009】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、演奏家が実際に演奏するような音質を既存のMIDI規格等の制御手段で簡単に再現することができ、オープンリムショットのような高度な演奏も可能にする打楽器の自動演奏装置及び方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、ベロシティ値でソレノイド等の駆動体の駆動制御を行った場合の問題点について検討した。その結果を図8(a)に示す。
図8(a)において縦軸はベロシティ値(V)、横軸は時間(T)である。時間軸上に並ぶ三つの棒線は、右から順に第1音の打撃、第2音の打撃、第3音の打撃である。
各打撃のベロシティ値(V)が一定以上に大きくなると、各打撃の発音時間が長くなり、隣接する次の音が出なくなることがある。例えば、図8(a)の例では、第2音のベロシティ値(V)が大きいため発音時間(T)が長くなり、第2音が第3音と符号Iで示す領域で重なり、第3音が正常に発音されなくなる。
【0011】
そこで、本発明の発明者が鋭意研究したところ、打楽器の演奏にゲートタイムの概念を導入することで上記の重なり問題を解決できることを見いだした。
図8(b)に打楽器の演奏にゲートタイムを導入した場合の発音状態を示す。図8(b)の例ではベロシティ値(V)を一定にしている。図8(b)からわかるように、打楽器の演奏にゲートタイムを導入することで、隣接する次の音が出なくなるという問題を回避することができる。
【0012】
具体的に請求項1に記載の自動演奏装置は、楽曲データに基づいて打楽器の自動演奏を行なう打楽器の自動演奏装置において、打楽器の発音部を打撃して発音させる打撃手段と、この打撃手段を駆動させて前記発音部を打撃させる駆動手段と、前記楽曲データに基づいて前記駆動手段へ駆動指令信号を出力する制御手段と、前記制御手段から出力される前記駆動指令信号にON/OFFの時間間隔を付与するゲートタイムの付与手段とを有する構成としてある。
このように、打楽器の演奏にもゲートタイムの概念を導入することで、生の演奏に近い自動演奏を行えるようになる。
この場合、請求項2に記載するように、前記打撃手段による前記発音部への打撃力を一定に維持する打撃力維持手段を設けてもよい。打撃力維持手段としては、MIDI規格においてはベロシティ値を用いることができ、このベロシティ値を一定にしてゲートタイムを付与するようにするとよい。
【0013】
また、請求項3に記載するように、前記打撃力に関する出力値の変化に対応させて前記ゲートタイムを変化させるゲートタイム調整手段を設けてもよい。この場合、例えば打撃力を指定するベロシティ値(V)の最大値(例えば127)を100%とし、ベロシティ値を50%に変化させたらこの変化の割合に応じてゲートタイムも変化させるようにしてもよい。
このようにすることで、より生に近い打楽器の演奏を実現することが可能になる。
【0014】
請求項4に記載するように、前記駆動手段は前記打撃手段の複数カ所に設けてもよい。そして、請求項5に記載するように、複数の前記駆動手段のうち少なくとも一つの前記駆動手段の駆動開始時間が相対的に他の前記駆動手段の駆動開始時間よりも早くなるように、各前記駆動手段の駆動タイミングを調整する駆動タイミング調整手段を設けることで、打撃手段の動きを多様化させることができる。また、請求項6に記載するように前記駆動手段の位置を調整自在に設けることで、打撃力や打撃タイミングを調整することができ、上記の手段と組み合わせることで、さらに多様な演奏を行うことが可能になる。
【0015】
本発明において、指定された打楽器のゲートタイムは、請求項7に記載するように、前記楽曲データに基づく前記打楽器の楽曲の早さと前記制御手段の音符の分解精度との比に、前記打楽器ごとの種類に応じて設定された設定値を積算することで求めるようにしてもよい。例えば、ある打楽器の楽曲の早さが四分音符(120回/分=500ms/回))である場合において制御手段の音符の分解精度が480である場合、500/480に打楽器ごとに設定された設定値(例えば20)を積算することで、約20msと求めることができる。このようなゲートタイムの演算は、制御手段と一体又は別体のゲートタイム演算手段によって行うことができる。
【0016】
本発明の自動演奏方法は、請求項8に記載するように、楽曲データに基づいて打楽器の自動演奏を行なう打楽器の演奏方法において、打楽器の発音部を打撃して発音させる打撃手段と、この打撃手段を駆動させて前記発音部を打撃させる駆動手段と、前記前記楽曲データに基づいて前記駆動手段へ駆動指令信号を出力する制御手段とを準備し、前記制御手段から出力される前記駆動指令信号にON/OFFの時間間隔(ゲートタイム)を付与することで、前記発音部からの発音を調整する方法としてある
前記打撃手段による前記発音部への打撃力は、請求項9に記載するように一定に維持したままとしてもよい。請求項10に記載するように前記打撃力に関する出力値の変化に対応させて前記ON/OFFの時間間隔を変化させるようにしてもよい。
【0017】
また、請求項11に記載するように、前記駆動手段を前記打撃手段の複数カ所に設け、複数の前記駆動手段のうち少なくとも一つの前記駆動手段の駆動開始時間が相対的に他の前記駆動手段の駆動開始時間よりも早くなるように、各前記駆動手段の駆動タイミングを調整するようにしてもよい。このようにすることで、より多様で複雑な演奏が可能になる。
また、請求項12に記載するように、前記駆動手段の配置位置を変化させるようにすれば、打撃力や打撃タイミング等を調整することが可能になり、上記の手段と組み合わせることで、さらに多様な演奏を行うことが可能になる。
本発明において、指定された打楽器のON/OFFの時間間隔は、例えば請求項13に記載するように、前記楽曲データに基づく前記打楽器の楽曲の早さと前記制御手段の音符の分解精度との比に、前記打楽器ごとの種類に応じて設定された設定値を積算することで求めるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる打楽器の自動演奏装置にかかり、その構成を説明するブロック図、図2は、楽曲データの一例を示す図、図3及ぶ図4は、打楽器を発音させる打撃手段とそのための駆動手段の一例を説明する概略図である。
【0019】
図1に示すように、この実施形態の打楽器の自動演奏装置1は、楽曲データを記憶する楽曲データ記憶部11と、楽曲データを作成したりゲートタイムやベロシティ値、イベントタイム等の楽曲データに含まれる各種条件の設定や変更を行たりするため入力部12と、前記楽曲データや入力部12からの入力結果や出力結果を表示するためのディスプレイ等の表示部13と、MIDIシーケンサーや打撃コントローラー等を含み、楽曲データ記憶部11から読み込まれた楽曲データに従って指定された楽器に演奏指令信号を出力する制御部14aと、この制御部14aから出力された演奏指令信号が予め指定された打楽器であるときに、当該打楽器の演奏指令信号に予め設定されたゲートタイムを付与するゲートタイム付与部14bと、ゲートタイムを付与する打楽器及び付与するゲートタイムを記憶するゲートタイム記憶部14cと、ゲートタイムが付与された演奏指令信号に従って打楽器A~Dのための駆動体であるソレノイド等を駆動させるためのドライバS1~S4とを備えている。
【0020】
楽曲データ記憶部11はパーソナルコンピュータ(PC)を利用することができ、入力部12はキーボードやタッチパッドを用いることができる。制御部14aは公知のMIDIシーケンサを用いることができ、ゲートタイム記憶部14cは前記MIDIシーケンサや前記PCに内蔵された記憶部を利用することができる。
ゲートタイム付与部14bは、楽曲データに含まれるコードに従って当該コードに応じたゲートタイム(前記駆動体のON/OFFの時間間隔)を与えるものであってよく、制御部14aに含まれていてもよい。また、図示の例ではMIDI制御器14に制御部14aとゲートタイム付与部14bとゲートタイム記憶部14cとが含まれるとしているが、例えばMIDI制御器14に楽曲データ記憶部11を含ませてもよいし、ゲートタイム記憶部14cやゲートタイム付与部14bをMIDI制御器14とは別に設けてもよい。
【0021】
MIDI規格による楽曲データは公知で、一般に目次部とデータ部とを有していて、目次部には曲のスタートアドレス,曲のデータ長,曲の時間,曲のタイトルなど、曲を参照するのに必要なデータが記憶されており、データ部には実際の曲データが記憶されている。
【0022】
図2は、ゲートタイムを付与する二つのドラムの楽曲データの一例である。
上段は、縦軸に音の種類を表し、横軸にイベントタイム(時間)を表した表で、二つのドラムの発音タイミング(イベント)を白塗りと黒塗りのドットで示してある。
下段は、縦軸にベロシティ値、横軸にゲートタイムをとったグラフで、上段の表のイベント(ドット)に一対一で対応している。
この実施形態では、二つのドラムのベロシティ値はそれぞれ一定にしてあり、一方のドラムのベロシティ値は120、他方のドラムのベロシティ値は30に設定してある。
【0023】
各イベントにはゲートタイムを付与するためのコードが付してあり、このコードに応じたゲートタイムがゲートタイム記憶部14cから読み出され、ゲートタイム付与部14bで該当するイベントにゲートタイムが付与される。ゲートタイムは音の種類に応じて適切に選択されるが、適切なゲートタイムは音の種類ごとに実験などによって求めることができる。また、楽曲データに基づく打楽器の楽曲の早さと制御部14aの音符の分解精度(一般的なMIDIの場合は480)との比に、前記打楽器ごとの種類に応じて設定された設定値を積算することでゲートタイムを求めるようにしてもよい。このような実験や計算によって、例えば、ドラムセットを構成するスネアドラム(設定値25)では約25ms、バスドラム(設定値45)では約45msと設定することができる。
【0024】
演奏が開始されると、楽曲データ記憶部11から楽曲データが制御部14aに読み出され、時間の経過とともに楽曲データに含まれるイベントが開始される。制御部14aは、開始されたイベントが打楽器であるか否かを判断し、打楽器である場合には当該イベントにゲートタイムに関する情報が含まれているか否かを判断する。そして、ゲートタイムに関する情報(コード)が含まれている場合には、当該コードに応じたゲートタイムをゲートタイム記憶部14cから読み出し、ゲートタイム付与部14bで該当するイベントにゲートタイムを付与する。そして、ゲートタイム付与部14bから演奏指令信号が所定の打楽器の駆動手段に配信される。
【0025】
図3及び図4は、ドラムやトライアングル用のスティックを駆動させて発音部を打撃させる駆動手段の一例を示す概略図である。
図3(a)の例では、スティック21の基部が支軸23によって回動自在に支持されているとともに、スティック21の途中部位がガイド24で昇降方向にガイドされている。ガイド24にはストッパ24aが設けられていて、スティック21が復帰したときの初期位置を決定している。また、駆動体であるソレノイド22の進退移動自在なロッド22aが支軸23の前方(図の左方)でスティック21に当接している。スティック21の前記初期位置への復帰は、復帰用のバネ25の付勢力によって行われる。
ロッド22aの先端又はスティック21のロッド22aが当接する部分には、ロッド22aがスティック21に当接する際に発生する衝撃音を吸収するためのスポンジ等の吸音材を取り付けるとよい。
【0026】
図3(b)の例において図3(a)の例と異なるところは、ソレノイド22がスティック21の後方に横向きで配置され、スティック21の基部からスティック21に対してほぼ直交する方向に延びるアーム21aにソレノイド22のロッド22aが当接している点である。この例では、幅広に形成されたスティック21の基部を図示しない鉛直面(ガイド面)に沿わせることで、スティック21の昇降を案内している。
ロッド22aの先端又はアーム21aには、ロッド22aがアーム21aに当接する際に発生する衝撃音を吸収するためのスポンジ等の吸音材を取り付けるとよい。
図4(a)の例では、図3(a)の例のスティック21に複数(図示の例では二つ)のソレノイド22,22を設けている。このようにソレノイド22を一つ又は複数増設することによって、スティック21による打撃力の強さを高めることができる。
【0027】
ソレノイド22,22の位置を調整できるようにすれば、スティック21の押し下げ深さ(ストローク)やスティック21の打撃力、打撃のタイミング等を調整することができ、より多様な打撃音の発音と多様な演奏が可能になる。
そこで図4(b)の例では、水平方向に設けられたスライドガイド26に二つのソレノイド22,22を位置調整自在に取り付けている。すなわち、スライドガイド26の長手方向に形成された長孔26aを挿通するようにソレノイド22,22の取付ボルト22b,22bを設け、スライドガイド26上でソレノイド22,22の位置決めを行った後に取付ボルト22b,22bを締め付けるようにしている。
なお、複数のソレノイド22,22の高さ位置を調整できるようにすることによっても、スティック21の押し下げ深さや打撃力、打撃のタイミングを調整することが可能になる。この場合は、例えば図4(b)に示すように、ソレノイド22,22に取付ボルト22b,22bを挿通させる長孔22cを形成すればよい。
【0028】
図3(a)(b)、図4(a)(b)のいずれの例においても、ソレノイド22が駆動するとロッド22aが伸長して支軸23を支点にスティック21を反時計回り方向に回動させる。これによりスティック21の前端が下向きに移動してドラム等の打楽器の発音部31を打撃し、発音を生じさせる。ソレノイド22の駆動はゲートタイムで指定された時間維持されるが、ゲートタイムのタイムアップと同時にノートオフによりソレノイド22の駆動が停止し、スティック21はバネ25の付勢力によって初期位置に復帰する。

図3(a)(b)及び図4(a)(b)に示す例では、ドラムのリム32と発音部31とを同時に打撃する「オープンリムショット」も可能である。また、特に図示はしないが、スティック21を逆向きにして支軸23の位置を変えることで、発音部31にその先端を当接させた状態でリムを叩く「クローズドリムショット」も可能になる。
【0029】
さらに、図4(a)(b)に示すように複数のソレノイド22,22を設ける場合には、それぞれのソレノイド22,22の駆動タイミングをずらすことで、多様な演奏や打撃音の発音が可能になる。このような制御を行う制御手段の一例を図5に示す。
図5の制御手段において図1に示した制御手段と異なる点は、複数のソレノイド22,22のドライバS1A,S1B(又はS2A,S2B)に対して、ゲートタイムのほかにドライバS1A,S1B(又はS2A,S2B)に遅延時間(タイミングのずれ)を付与する駆動タイミング付与部14dを設けている点及び図1に示した制御手段におけるゲートタイム記憶部14cの代わりにゲートタイムとタイミングとを記憶するゲートタイム及び駆動タイミング記憶部14eとを設けている点である。この実施形態では、駆動タイミング付与部14dとゲートタイム及び駆動タイミング記憶部14eとで駆動タイミング調整手段が構成される。ゲートタイム及びタイミング記憶部14eは楽曲データ記憶部11に含まれていてもよいし制御部14aの記憶部の一部であってもよい。
【0030】
このように構成すれば、制御部14aから出力された所定の打楽器に対する演奏指令信号に、ゲートタイムと二つのソレノイド22,22の相対的な遅延時間(タイミングのずれ)とを付与することができる。
【0031】
図6及び図7は、本発明のさらに他の実施形態にかかるブロック図である。
図6の実施形態では、ベロシティ値の変動に合わせてゲートタイムを調整するゲートタイム調整部14gが設けられている。このゲートタイム調整部14gは、例えば指定された打楽器のベロシティ値を100%から50%に変更したときに、この変更の割合に応じて当該打楽器のゲートタイムを例えば50%に変更する演算を行う。ベロシティ値に連動させてゲートタイムを変更することで、より多種多様な演奏を再現することが可能になる。
ゲートタイム調整部14gは制御部14aと一体であってもよいし別体であってもよい。ゲートタイム調整部14gによって得られたゲートタイムは、制御部14aによってゲートタイム記憶部14c(図5の例の場合はゲートタイム及び駆動タイミング記憶部14e)に書き込まれる。
【0032】
図7の実施形態では、楽曲データに基づく打楽器の楽曲の早さと制御部14aの音符の分解精度との比に、前記打楽器ごとの種類に応じて設定された設定値を積算してゲートタイムを求めるゲートタイム演算部14hを設けている。このゲートタイム演算部14hは、例えば、ある打楽器の楽曲の早さが四分音符(120回/分=500ms/回))である場合において制御部14aの音符の分解精度が480である場合、500/480に打楽器ごとに設定された設定値(例えば40又は50)を積算してゲートタイムを40ms(又は50ms)と求める。
ゲートタイム演算部14hは制御部14aと一体であってもよいし別体であってもよい。ゲートタイム演算部14hによって得られたゲートタイムは、制御部14aによってゲートタイム記憶部14c(図5の例の場合はゲートタイム及び駆動タイミング記憶部14e)に書き込まれる。
【0033】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明に限定されるものではない。本発明によって自動演奏のバリーションを大きく拡げることができ、オープンリムショットやクローズドリムショットを可能にするほか、ゲートタイムを少し長めにすることで、打撃した後に発音部を少し押さえた状態の音を再現することも可能である。また、スティックの先端にブラシを取り付けることでジャズのスティックブラシ演奏を再現することが可能になる。
また、図4の例ではソレノイド22を二つ設けた場合を示しているが、ソレノイド22の数は三つ以上であってもよい。また、複数のソレノイド22,22・・・を設けた場合は、演奏に応じて一部のソレノイド22のみを駆動させ、他のソレノイド22を駆動させないように制御することも可能である。
【0034】
このように、本発明によれば、今まで再現の難しかった打楽器の演奏を再現することが可能になるほか、ゲートタイムを適宜に調整したり、複数のソレノイド(駆動手段)の駆動タイミングを調整することで、新しい音を創り出すことも可能である。
また、例えば公知の骨格認識技術等を用いて、カメラで撮影した人体の動きをデータ化して入力部12に入力することで、打楽器を叩かずに演奏を真似た動作を行ういわゆる「エアー打楽器演奏」において、打楽器を発音させて実際の演奏を行わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の自動演奏装置及び自動演奏方法は、太鼓、ドラムセット(スネアドラム、バスドラム、タム、フロアタム、シンバル等)、タンバリン、トライアングル、ウッドブロック、カウベル、拍子木、クラベス、木魚、ボンゴ、ティンパニ等の打楽器のほか、木琴、鉄琴、マリンバ、シロホン、グロッケン、ビブラホーン、ピアノ等の鍵盤打楽器の自動演奏に広範に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる打楽器の自動演奏装置にかかり、その構成を説明するブロック図である。
【図2】楽曲データの一例を示す図である。
【図3】打楽器を発音させるスティックのための駆動手段の一例を説明する概略図である。
【図4】打楽器を発音させるスティックのための駆動手段の他の例を説明する概略図である。
【図5】本発明の第二の実施形態にかかる打楽器の自動演奏装置にかかり、その構成を説明するブロック図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態にかかるブロック図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態にかかるブロック図である。
【図8】本発明の原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0037】
11 楽曲データ記憶部
12 入力部
13 表示部
14 MIDI制御器
14a 制御部
14b ゲートタイム付与部
14c ゲートタイム記憶部
14d 駆動タイミング付与部
14e ゲートタイム及び駆動タイミング記憶部
14g ゲートタイム調整部
14h ゲートタイム演算部
21 スティック(打撃手段)
22 ソレノイド(駆動手段)
22a ロッド
22b 取付ボルト
22c 長孔
23 支軸
23a アーム
24 ガイド
24a ストッパ
25 バネ
26 スライドガイド
26a 長孔
31 発音部
32 リム
S ドライバ
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
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【図8】
6
【図2】
7