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明細書 :顕微鏡の上下微動機構

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4125498号 (P4125498)
公開番号 特開2003-043372 (P2003-043372A)
登録日 平成20年5月16日(2008.5.16)
発行日 平成20年7月30日(2008.7.30)
公開日 平成15年2月13日(2003.2.13)
発明の名称または考案の名称 顕微鏡の上下微動機構
国際特許分類 G02B  21/24        (2006.01)
G02B   7/04        (2006.01)
G02B   7/16        (2006.01)
FI G02B 21/24
G02B 7/04 F
G02B 7/16
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2001-225307 (P2001-225307)
出願日 平成13年7月26日(2001.7.26)
審査請求日 平成16年12月7日(2004.12.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】木下 一彦
【氏名】塩 育
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】森内 正明
参考文献・文献 実開平04-112212(JP,U)
特開2001-008083(JP,A)
特開2002-328309(JP,A)
実開昭51-092137(JP,U)
実開昭61-173912(JP,U)
特開平06-109963(JP,A)
特開2001-305432(JP,A)
調査した分野 G02B21/00-21/36
特許請求の範囲 【請求項1】
外筒、中筒、対物レンズを取付け可能にした内筒7の三重筒を構成し、中筒3、内筒7には円周等分方向に上下動直進案内機構を設け、さらに内筒には上下微動手段を設けたことを特徴とする顕微鏡の上下微動機構。
【請求項2】
前記上下微動手段は、中筒7に設けた連動ピン10と、連動ピンに当接し連動ピンを上下する逆L字金物と、逆L字金物を作動するアクチュエータとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡の上下微動機構。
【請求項3】
前記連動ピンを対称に2個設け双方に均等な力がかかるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡の上下微動機構。
【請求項4】
前記アクチュエータはマイクロメータであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の顕微鏡の上下微動機構。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学測定機などを含む光学顕微鏡等の上下微動機構(焦準機構)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光学測定機、光学顕微鏡の焦準機構には対物レンズをZ軸方向に上下動する機構が多く用いられている。
従来型の顕微鏡の構成を図面を参照して簡単に説明すると、図4は顕微鏡の要部側面図、図5は同平面図である。図において、101は鏡台、102は鏡台101に上下動自在に取付けた支持台、103は支持台の取付けた対物レンズ回転交換器(レボルバ)、104はレボルバに取付けた対物レンズである。支持台102は図5に示すようにその両側に上下動直進案内機構用のV溝105が形成され、さらにこの溝に対向して鏡台101にも上下動直進案内機構用のV溝106が形成されこれらV溝間にコロまたは球107が挟持されている。また支持台102にはラック108が取付けられ、このラック108に噛み合うピニオン109を有する軸110が鏡台より突出し、この突出部に不図示の操作部材が取付けられている。操作部材を回すと軸110を介してピニオン109が回転し、支持台102に設けたラック108が上下に移動し、これと共に支持台102も上下することでレボルバ103に取り付けた対物レンズ104の焦点を合わせることができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来型の顕微鏡では光軸中心から非対称な片持式支持台102の一端をラックピニオン機構によって上下微動する機構になっているため、上下微動機構として著しくバランスを欠いており動作が不安定である。特に環境温度変化によって、光軸中心が変動する不安定な構造となっている。このようにこの上下微動機構では温度によるドリフト現象があることから、分子位置計測や分子運動量の計測に応えられないのが現状である。
そこで、本発明は、観測中に試料が焦点ボケを生じたり、物点(対象物)の移動(ドリフト)を起こさない安定性の高い光学顕微鏡を実現することにより、上記問題点を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した課題解決手段は、
外筒、中筒、対物レンズを取付け可能にした内筒7の三重筒を構成し、中筒3、内筒7には円周等分方向に上下動直進案内機構を設け、さらに内筒には上下微動手段を設けたことを特徴とする顕微鏡の上下微動機構である。
また、前記上下微動手段は、中筒7に設けた連動ピン10と、連動ピンに当接し連動ピンを上下する逆L字金物と、逆L字金物を作動するアクチュエータとを備えていることを特徴とする顕微鏡の上下微動機構である。
また、前記連動ピンを対称に2個設け双方に均等な力がかかるようにしたことを特徴とする顕微鏡の上下微動機構である。
また、、前記アクチュエータはマイクロメータであることを特徴とする顕微鏡の上下微動機構である。
【0005】
【実施の形態】
本発明に係る顕微鏡の上下微動機構の構成を図面を参照して説明すると、図1は同顕微鏡の側断面図、図2は同顕微鏡の平断面図、図3は同顕微鏡の側面図である。
図において、基盤1には内、外径とも中心軸に同心な外筒2が垂直に取付けられている。外筒2の下部には固定用のフランジ2Aが形成されており、この外筒2の内径側には殆ど隙間をもたない中筒3が組み込まれている。この中筒3の中心軸と平行にして中心軸と等距離の平行な切欠面4Aを120度毎に設け、この切欠部にV字溝直進案内金物4を固定ネジ5で締めつけ可能に取り付ける。中筒3の内周正三等分にはコロ又は球8が転がる長方形状の角窓が開いている。
【0006】
顕微鏡の対物レンズ6をねじ込みによって取付け可能にした内筒7の外周正三等分にはコロまたは球8が転がるV溝を切り込んでおく。
これらの部品を組み立てることによって中空軸(光軸)を有する上下動直進案内機構(三方向直進案内機構)が構成される。なお、内筒7の外周正三等分に形成するV溝のうち、2箇所をコ字型溝(溝面が平面となる)とし、これに対応する中筒3を中心軸と平行な平面とし、両者の間にローラを組み込む構成とすることもできる。この構成の場合、若干の対称性がくずれるが、安定性い影響を及ぼさず、製作コストを低減することができる。
また、中筒3がガタつかぬよう、V字溝直進案内金物4は外筒2の外周120度毎に設けた締めつけねじ9によって固定し、ころまたは球8に与圧を与えることができる構成となっている。
【0007】
与圧を与える機構としては、上記のようなねじ9に限定することなく、以下のような構成を採用することも可能である。即ち、使用環境が数度を越える温度変化がある場合は、例えば中筒3と内筒7の温度膨張係数が同一の材質を使用しても多少のバラツキが生じ、与圧変形量をこえるはめあいガタおよび過剰与圧が想定される。この場合には外筒2の締めつけねじ9の代わりにコイルばねとばね室を設けるか、または板ばねを中筒3とV字溝直進案内金物4にはさみこみ、使用環境の温度変化によるはめあいガタを対称性を保ったまま嵌め合いガタを吸収する構造を採用する事もできる。なお、ばねとしてはコイルばね、板ばねの代わりに同様の機能を達成できる他の形態のばねを使用することも可能である。
【0008】
一方、微動手段を構成する上下微動機構は連動ピン10とマイクロメータヘッド11および逆L字金物を使用したテコから構成される。連動ピン10は対物レンズ6を固定した内筒7に固定されており、この連動ピンには逆L字金物12の一辺が当接している。逆L字金物12は外筒2の外周に固定された固定軸13によってワッシャ14を介して回動自在に支持されており、逆L字金物の他辺はマイクロメータヘッド11に当接している。マイクロメータヘッド11は逆L字金物12に合わせた高さとなるようにマイクロ固定金物15によって固定されており、マイクロメータヘッド11を操作すると、逆L字金物の一辺が押され、それによって逆L字金物の他辺が上方に移動し、連動ピン10を押し上げて内筒7を上方に微小移動させることができるようになっている。なお逆L字金物の回転部には適宜リターンスプリングなどを備え、初期状態に復帰できるようにしておくことができる。また、マイクロメータヘッド11はギヤモータを使用した他のアクチュエータを使用することも可能である。さらに逆L字金物の、各辺の長さを変えることにより、微動調整量を自由に設定することもできる。
【0009】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、上下動直進案内機構は三方向に限定することなく、それ以外の複数個とすることも可能である。さらに上下微動機構も溝、ローラ形状を変えるなど同様の作用を実現できる他の機構を使用することも可能である。
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0010】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、直進案内機構が重量、形状的に対称な構造となっており、極めてバランスが良く安定性の高い顕微鏡焦準機構が可能となる。極めて安定性の高い光学顕微鏡が実現し、分子生物学、生物物理学等における分子位置の計測や分子運動量の計測がナノメートルオーダで容易に可能となる。 直進案内機構が真直度の高く上下微動に必要なトルクも低く、マイクロメータヘッド10に1パルス0.1μのアクチュエータを使用すれば、テコ作用により、分解能0.02μm以下の極めて精密にして、低コストの上下微動機構が実現できる。等々の優れた効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の係る顕微鏡の要部断面図である。
【図2】同顕微鏡の平面断面図である。
【図3】同顕微鏡の側面図である。
【図4】従来の顕微鏡の要部側面図である。
【図5】従来の顕微鏡の要部平面図である。
【符号の説明】
1 基盤
2 外筒
3 中筒
4 V字溝直進案内金物
5 固定ネジ
6 対物レンズ
7 内筒
8 コロ又は球
9 締めつけネジ
10 連動ピン
11 マイクロメターヘッド
12 逆L字金物
13 固定軸
14 ワッシャ
15 マイクロ固定金物
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
3
【図5】
4