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明細書 :レアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-155285 (P2017-155285A)
公開日 平成29年9月7日(2017.9.7)
発明の名称または考案の名称 レアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法
国際特許分類 C22B   5/12        (2006.01)
C22B  30/06        (2006.01)
C22B  34/14        (2006.01)
C22B  26/10        (2006.01)
C22B  11/02        (2006.01)
C22B  11/00        (2006.01)
C22B  61/00        (2006.01)
C22B   3/04        (2006.01)
FI C22B 5/12
C22B 30/06
C22B 34/14
C22B 26/10
C22B 11/02
C22B 11/00 101
C22B 61/00
C22B 3/04
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2016-039520 (P2016-039520)
出願日 平成28年3月2日(2016.3.2)
発明者または考案者 【氏名】岡田 敬志
【氏名】許 章煉
【氏名】米沢 晋
【氏名】金 在虎
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100141472、【弁理士】、【氏名又は名称】赤松 善弘
審査請求 未請求
テーマコード 4K001
Fターム 4K001AA05
4K001AA22
4K001AA31
4K001AA34
4K001AA41
4K001BA22
4K001DA05
4K001DA10
4K001DB07
4K001FA10
4K001GA13
4K001GA16
4K001GA17
4K001HA09
4K001KA13
要約 【課題】酸溶液、アルカリ溶液、塩化物などを使用しないでレアメタルを含有するガラス固化体などのレアメタル含有ガラスからレアメタルを効率よく容易に回収することができるレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法を提供する。
【解決手段】閉鎖系内でレアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~500質量部であるガラス溶融剤およびレアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~200質量部である重金属酸化物の存在下でレアメタル含有ガラスを900~1100℃の温度に加熱することによって溶融させ、得られたレアメタル含有ガラスの溶融物に一酸化炭素ガスを接触させながら当該溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持することによってレアメタル含有析出物を析出させ、当該レアメタル含有析出物を回収することを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
レアメタル含有ガラスからレアメタルを回収する方法であって、閉鎖系内でレアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~500質量部であるガラス溶融剤およびレアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~200質量部である重金属酸化物の存在下でレアメタル含有ガラスを900~1100℃の温度に加熱することによって溶融させ、得られたレアメタル含有ガラスの溶融物に一酸化炭素ガスを接触させながら当該溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持することによってレアメタル含有析出物を析出させ、当該レアメタル含有析出物を回収することを特徴とするレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法。
【請求項2】
回収されたレアメタル含有析出物を水と接触させ、レアメタル含有析出物に含まれているレアメタルを水中に抽出させる請求項1に記載のレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、セシウム、パラジウム、セレンなどのレアメタルを含有するガラス固化体などのレアメタル含有ガラスからレアメタルを効率よく容易に回収することができるレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所からの使用済み燃料は、高レベル放射性廃棄物であることから、当該使用済み燃料をガラス固化体とした後、当該ガラス固化体を地中深くに埋めることによって処分されている。
【0003】
しかし、前記ガラス固化体には有用なレアメタルが含まれていることから、当該ガラス固化体は、重要なレアメタル資源である。したがって、前記ガラス固化体を地中に埋めるのではなく、当該ガラス固化体に中性子を放射するなどによって放射性レアメタルを安定同位体に変換した後、当該ガラス固化体から安定同位体に変換したレアメタルを分離して回収するか、または当該ガラス固化体からレアメタルを分離し、分離されたレアメタルに中性子を放射するなどによって放射性レアメタルを安定同位体に変換した後、当該安定同位体に変換したレアメタルを回収することによってレアメタルを有効活用するとともに、ガラス固化体の処分量を低減することができるシステムの構築が急務となっている。
【0004】
現在、レアメタル含有ガラスから金属を抽出させる方法として、化学抽出法、ガラスのアルカリ溶融法、塩化揮発法などが提案されている。
【0005】
前記化学抽出法は、酸溶液またはアルカリ溶液を用いてガラスに含まれている金属を当該ガラスから抽出させる方法であり、例えば、ガラスに亀裂を発生させ、当該ガラスを酸溶液に浸漬することによって金属を浸出させる金属の浸出方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、化学抽出方法には、ガラスを溶解させるために高濃度の酸溶液またはアルカリ溶液を大量に必要とすることから、実用的であるとはいえない。
【0006】
前記ガラスのアルカリ溶融法は、ガラスとアルカリ金属水酸化物などのアルカリ金属化合物とを混合し、得られた混合物を高温で加熱することにより、ガラスを可溶化させる方法であり、例えば、ケイ酸アルカリが生じるようにガラス状物質と水酸化物とを融解させる融解工程と、ケイ酸アルカリ水溶液が生じるようにケイ酸アルカリを水に溶解させる溶解工程と、前記溶解工程で水に溶解しなかった不溶物を除去するために前記ケイ酸アルカリ水溶液と不溶物を分離する分離工程と、分離後のケイ酸アルカリ水溶液に酸を添加してケイ酸を析出させる析出工程を有するケイ酸の抽出方法が提案されている(例えば、特許文献2の請求項8参照)。しかし、前記ケイ酸の抽出方法などのガラスのアルカリ溶融法には、アルカリ金属水酸化物を大量に必要とすることから(例えば、特許文献2の請求項10参照)、前記化学抽出法と同様に実用的であるとはいえない。
【0007】
前記塩化揮発法は、金属を含有するガラスと塩化カルシウムなどの塩化剤とを混合し、得られた混合物を加熱し、金属を塩化物蒸気として回収する方法であり、例えば、放射性セシウムで汚染された廃棄物と分離促進剤との混合物である処理対象物を得る混合工程と、前記処理対象物を800℃以上1200℃未満に加熱することによって前記処理対象物に含まれている放射性セシウムを揮発させる加熱工程と、前記加熱工程における処理によって揮発した放射性セシウムを集塵機で回収する回収工程と、前記加熱工程後、前記処理対象物を水洗することによって前記処理対象物に残存する放射性セシウムを溶出させる水洗工程を有し、前記分離促進剤が2種類以上の塩化物を用いて調製され、融点が700℃以下である混合物または複塩を含んでいる放射性セシウムの除去方法などが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、前記塩化揮発法には、金属を塩化物蒸気とするために、大量の塩化剤を添加する必要があることから、使用した塩化剤による反応炉およびその周辺設備に腐食が生じるおそれがあるという欠点がある。
【0008】
したがって、近年、酸溶液、アルカリ溶液、塩化物などを使用しないでレアメタルを含有するガラス固化体などのレアメタル含有ガラスからレアメタルを効率よく容易に回収することができるレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2009-242877号公報
【特許文献2】特開2003-012319号公報
【特許文献3】特開2016-008963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、酸溶液、アルカリ溶液、塩化物などを使用しないでレアメタルを含有するガラス固化体などのレアメタル含有ガラスからレアメタルを効率よく容易に回収することができるレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(1)レアメタル含有ガラスからレアメタルを回収する方法であって、閉鎖系内で、レアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~500質量部であるガラス溶融剤およびレアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~200質量部である重金属酸化物の存在下でレアメタル含有ガラスを900~1100℃の温度に加熱することによって溶融させ、得られたレアメタル含有ガラスの溶融物に一酸化炭素ガスを接触させながら当該溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持することによってレアメタル含有析出物を析出させ、当該レアメタル含有析出物を回収することを特徴とするレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法、および
(2)回収されたレアメタル含有析出物を水と接触させ、レアメタル含有析出物に含まれているレアメタルを水中に抽出させる前記(1)に記載のレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法によれば、酸溶液、アルカリ溶液、塩化物などを使用しないでレアメタルを含有するガラス固化体などのレアメタル含有ガラスからレアメタルを効率よく容易に回収することができるという優れた効果が奏される。
【0013】
本発明のレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法において、回収されたレアメタル含有析出物を水と接触させ、レアメタル含有析出物に含まれているレアメタルを水中に抽出させた場合には、当該レアメタル含有析出物からレアメタルを効率よく水中に抽出させることができるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)~(c)は、それぞれ順に、実験例1で用いられた実施例2、6および8で得られたレアメタル含有析出物のエネルギー散型X線分光器による測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のレアメタル含有ガラスからのレアメタルの回収方法は、前記したように、閉鎖系内で、レアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~500質量部であるガラス溶融剤およびレアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの量が30~200質量部である重金属酸化物の存在下でレアメタル含有ガラスを900~1100℃の温度に加熱することによって溶融させ、得られたレアメタル含有ガラスの溶融物に一酸化炭素ガスを接触させながら当該溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持することによってレアメタル含有析出物を析出させ、当該レアメタル含有析出物を回収することを特徴とする。

【0016】
レアメタル含有ガラスに用いられるガラスとしては、例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、ビスマスガラス、アルミノシリケートガラス、アルカリバリウムガラス、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのガラスは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのガラスのなかでは、レアメタル含有ガラスからレアメタルを効率よく容易に回収するとともに、回収後のガラス質残渣の耐酸性および耐水性の低下を抑制する観点から、ホウ珪酸ガラスが好ましい。

【0017】
レアメタル含有ガラスに含まれるレアメタルとしては、例えば、セシウム、パラジウム、セレン、リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、インジウム、アンチモン、テルル、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、タリウム、ビスマスなどをはじめ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどのランタノイド系希土類金属(元素)が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのレアメタルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。

【0018】
レアメタル含有ガラスに含まれるレアメタルの原料としては、例えば、レアメタル単体をはじめ、レアメタル酸化物、レアメタル水酸化物などのレアメタル化合物であってもよく、さらに原子力発電所などから排出される使用済みの燃料を処理した際に生じるレアメタルを含有する廃棄物であってもよい。

【0019】
レアメタル含有ガラスは、例えば、ガラスとレアメタルの原料とを混合し、得られた混合物を加熱溶融させた後、冷却することによって容易に調製することができる。前記ガラスは、当該ガラスとレアメタルの原料とを均一に分散させるとともに、前記混合物を迅速に加熱溶融させる観点から、必要により破砕されていてもよい。

【0020】
レアメタル含有ガラスとして、例えば、原子力発電所から排出される使用済み燃料を再処理した際に生じる放射性廃棄物(ガラス固化体)を用いる場合、あらかじめ当該放射性廃棄物に中性子を放射するなどによって当該放射性廃棄物に含まれている放射性レアメタルを安定同位体に変換しておくことが好ましい。

【0021】
本発明においては、まず、レアメタル含有ガラスを特定量のガラス溶融剤および特定量の重金属酸化物の存在下で900~1100℃の温度に加熱することにより、レアメタル含有ガラスを溶融させる。

【0022】
本発明においては、レアメタル含有ガラスに特定量のガラス溶融剤および特定量の重金属酸化物を存在させる点、なかでも特に特定量の重金属酸化物を存在させる点に1つの大きな特徴がある。このように、本発明では、レアメタル含有ガラスに特定量のガラス溶融剤および特定量の重金属酸化物を存在させるという操作が採られているので、レアメタル含有析出物を効率よく析出させて回収することができる。なお、レアメタル含有ガラスに特定量のガラス溶融剤のみを存在させるが、重金属酸化物を存在させない場合には、レアメタル含有析出物を効率よく析出させることができない。

【0023】
ガラス溶融剤としては、例えば、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのガラス溶融剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのガラス溶融剤のなかでは、レアメタル含有ガラスからレアメタルを回収した後のガラス質残渣から当該ガラス溶融剤を容易に回収することができることから、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属炭酸水素塩が好ましく、さらに回収した後に効率よく再利用することができることから、アルカリ金属炭酸塩がより好ましい。

【0024】
ガラス溶融剤は、レアメタル含有ガラスを溶融させる際にレアメタル含有ガラスと共存していればよい。したがって、ガラス溶融剤は、レアメタル含有ガラスと混合して用いてもよく、レアメタル含有ガラスの原料であるガラスと混合し、加熱溶融させることにより、あらかじめレアメタル含有ガラスに含有させておいてもよい。

【0025】
レアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりのガラス溶融剤の量は、レアメタル含有ガラスの溶融性を向上させる観点から、30質量部以上、好ましくは50質量部以上であり、レアメタル含有ガラスからレアメタルを回収した後のガラス質残渣の耐酸性および耐水性の低下を抑制する観点から、500質量部以下、好ましくは400質量部以下、より好ましくは300質量部以下である。なお、原料のレアメタル含有ガラスにガラス溶融剤が含まれている場合には、前記ガラス溶融剤の量には、当該レアメタル含有ガラスに含まれているガラス溶融剤の量が含まれる。

【0026】
重金属酸化物としては、例えば、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化銅などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重金属酸化物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの重金属酸化物のなかでは、レアメタル含有析出物を効率よく析出させる観点から、酸化鉛および酸化ビスマスが好ましく、環境負荷を低減させる観点から、有害性が低い酸化ビスマスがより好ましい。

【0027】
重金属酸化物は、レアメタル含有ガラスを溶融させる際にレアメタル含有ガラスと共存していればよい。したがって、重金属酸化物は、レアメタル含有ガラスと混合して用いてもよく、レアメタル含有ガラスの原料であるガラスと混合し、加熱溶融させることにより、あらかじめレアメタル含有ガラスに含有させておいてもよい。

【0028】
レアメタル含有ガラスに含まれている二酸化ケイ素100質量部あたりの重金属酸化物の量は、レアメタル含有析出物を析出させて効率よく回収する観点から、30質量部以上、好ましくは50質量部以上であり、レアメタル含有ガラスからレアメタルを回収した後のガラス質残渣の耐酸性および耐水性の低下を抑制する観点から、500質量部以下、好ましくは400質量部以下、より好ましくは300質量部以下である。なお、原料のレアメタル含有ガラスに重金属酸化物が含まれている場合には、前記ガラス溶融剤の量には、当該レアメタル含有ガラスに含まれている重金属酸化物の量が含まれる。

【0029】
レアメタル含有ガラスの溶融物に一酸化炭素ガスを接触させる方法としては、例えば、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させる際に、当該加熱溶融の際の熱によって一酸化炭素ガスを発生する物質とともにレアメタル含有ガラスを加熱し、当該一酸化炭素ガスを発生する物質の加熱によって生成した一酸化炭素をレアメタル含有ガラスの溶融物に接触させる方法、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させる雰囲気中に一酸化炭素ガスを導入し、加熱溶融したレアメタル含有ガラスに一酸化炭素ガスを接触させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。

【0030】
前記方法のなかでは、レアメタル含有ガラスを溶融させるときの熱によって一酸化炭素を発生させ、発生した一酸化炭素をレアメタル含有ガラスに接触させることによってレアメタル含有析出物を効率よく生じさせることができることから、前者の方法、すなわち、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させる際に、当該加熱溶融の際の熱によって一酸化炭素ガスを発生する物質とともにレアメタル含有ガラスを加熱し、当該一酸化炭素ガスを発生する物質の加熱によって生成した一酸化炭素をレアメタル含有ガラスの溶融物に接触させる方法が好ましい。このようにレアメタル含有ガラスをガラス溶融剤および重金属酸化物の存在下で加熱する際に、レアメタル含有ガラスとともに当該一酸化炭素を発生する物質を加熱する場合には、発生する一酸化炭素ガスは、人体に対して有毒であることから、レアメタル含有ガラスとともに当該一酸化炭素を発生する物質を加熱する際の雰囲気を外部と完全に遮断し、閉鎖系にすることにより、一酸化炭素ガスが外部に漏洩するのを防止することが好ましい。

【0031】
一酸化炭素を発生する物質としては、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させるときの熱で一酸化炭素を発生する物質が挙げられる。当該レアメタル含有ガラスを加熱溶融させるときの熱で一酸化炭素を発生する物質としては、例えば、活性炭、黒鉛、コークス、木炭などの炭素質物質などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの物質は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。レアメタル含有ガラス100質量部あたりの一酸化炭素を発生する物質の量は、レアメタル含有析出物を効率よく析出させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、加熱しているときに重金属を含有するダストが発生することを抑制する観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。

【0032】
レアメタル含有ガラスは、例えば、閉鎖系を形成する耐熱性容器内に当該レアメタル含有ガラス、ガラス溶融剤および重金属酸化物を入れ、当該耐熱性容器の開口部を封止した後、900~1100℃の温度に加熱することによって溶融させることができる。

【0033】
レアメタル含有ガラスの加熱溶融を開始するときの雰囲気は、空気であってもよく、一酸化炭素ガス雰囲気であってもよい。閉鎖系を形成する耐熱性容器としては、例えば、アルミナ製坩堝などの閉鎖系を形成する耐熱性容器などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0034】
レアメタル含有ガラスを加熱溶融させる際の温度は、当該レアメタル含有ガラスを効率よく溶融させる観点から、900℃以上であり、エネルギー効率を高める観点から、1100℃以下、好ましくは1050℃以下である。レアメタル含有ガラスを前記温度で加熱する時間は、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させる際の温度によって異なることから一概には決定することができないが、通常、好ましくは0.3~3時間、より好ましくは0.5~2時間である。

【0035】
次に、レアメタル含有ガラスをガラス溶融剤および重金属酸化物の存在下で加熱することによって得られたレアメタル含有ガラスの溶融物は、閉鎖系内で一酸化炭素ガスと接触させる。なお、レアメタル含有ガラスは、当該レアメタル含有ガラスの加熱を開始する前から一酸化炭素と接触させてもよく、当該レアメタル含有ガラスの加熱の開始後に一酸化炭素と接触させてもよく、当該レアメタル含有ガラスを加熱溶融させた後に一酸化炭素と接触させてもよい。

【0036】
前者の方法、すなわちレアメタル含有ガラスを加熱溶融させる際に、当該加熱溶融の際の熱によって一酸化炭素ガスを発生する物質とともにレアメタル含有ガラスを加熱し、当該一酸化炭素ガスを発生する物質の加熱によって生成した一酸化炭素をレアメタル含有ガラスの溶融物に接触させる方法を採用する場合には、例えば、一酸化炭素を発生する物質をあらかじめ耐熱性容器A内に入れ、耐熱性容器A内に収容することができる耐熱性容器Bを用意し、当該耐熱性容器B内にレアメタル含有ガラス、ガラス溶融剤および重金属酸化物を入れた後、当該耐熱性容器Bを耐熱性容器A内に入れ、発生する一酸化炭素が外部に漏洩しないようにするために耐熱性容器Aの開口部を密閉した状態で、当該耐熱性容器Aを加熱することが好ましい。このようにして耐熱性容器A内に一酸化炭素を発生する物質を入れておいた場合には、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させる際に当該一酸化炭素を発生する物質が加熱され、いわゆる蒸し焼き状態になり、当該一酸化炭素を発生する物質から直接的に一酸化炭素ガスを効率よく発生させ、発生した一酸化炭素ガスを耐熱性容器Aおよび耐熱性容器B内に充満させることによって一酸化炭素ガスをレアメタル含有ガラスに接触させることができるとともに、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させることができるので、エネルギー効率に優れ、さらに一酸化炭素を発生する物質は、レアメタル含有ガラスとは非接触の状態で用いられるので、繰り返して使用することができるという利点がある。

【0037】
耐熱性容器Aおよび耐熱性容器Bとしては、例えば、アルミナ製坩堝などの閉鎖系を形成する耐熱性容器などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。耐熱性容器Bの大きさは、使用されるレアメタル含有ガラスの量などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該レアメタル含有ガラスの量などに応じて適宜決定することが好ましい。また、耐熱性容器Aの大きさは、耐熱性容器Bおよび一酸化炭素を発生する物質を収容することができる大きさであればよく、特に限定されるものではない。

【0038】
レアメタル含有ガラスを加熱する際に使用される加熱装置として、例えば、電気炉、誘導加熱炉、アーク炉などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前者の方法を採用する場合には、耐熱性容器Aを当該加熱装置内に入れ、所定温度に加熱することにより、一酸化炭素ガスを発生させるとともにレアメタル含有ガラスを溶融させ、発生した一酸化炭素ガスを溶融したレアメタル含有ガラスに接触させることができる。

【0039】
以上のようにしてレアメタル含有ガラスを加熱溶融させた後、レアメタル含有ガラスの溶融物を所定温度に冷却する。当該レアメタル含有ガラスの溶融物を冷却させる際には、一酸化炭素ガスの存在下でレアメタル含有ガラスの溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持することによってレアメタル含有析出物を十分に析出させることができる。

【0040】
本発明においては、前記操作を採用する点にも1つの大きな特徴がある。本発明においてガラス溶融剤および重金属酸化物を用い、レアメタル含有ガラスの溶融物を冷却する際に一酸化炭素が存在しており、レアメタル含有ガラスの溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持するという操作が採られているので、溶融物の上面でレアメタル含有析出物を効率よく析出させることができる。

【0041】
本発明においては、レアメタル含有ガラスの溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持するという操作が採られているが、前記温度は、レアメタル含有析出物の析出量を増加させる観点から、600℃以上であり、また前記と同様にレアメタル含有析出物の析出量を増加させる観点から、800℃以下、好ましくは750℃以下、より好ましくは700℃以下である。前記温度を維持する時間は、前記温度によって異なることから一概には決定することができない。前記温度を維持する時間は、レアメタル含有析出物が十分に析出するのに要する時間であればよく、通常、0.5~5時間程度である。

【0042】
以上のようにして一酸化炭素ガスの存在下でレアメタル含有ガラスの溶融物を600~800℃の温度に冷却し、当該温度を維持することにより、一酸化炭素によって還元されがたい溶融物に含まれている卑なレアメタルは、溶融物の上面で形成されるレアメタル含有析出物に含まれ、一酸化炭素によって還元されやすい貴なレアメタルは、前記重金属酸化物の還元反応によって生成する重金属相中に効率よく濃縮され、当該溶融物の底部で沈殿する。したがって、レアメタル含有析出物および貴なレアメタルは、いずれも容易に回収することができる。

【0043】
溶融物の底部で析出したレアメタルは、溶融物から連続的に取り出してもよく、あるいは断続的に取り出してもよく、さらに溶融物を冷却した後に一括して取り出してもよい。析出したレアメタルは、回収した後、必要により精製してもよい。回収されたレアメタルは、種々の用途に利用することができることは、いうまでもない。

【0044】
以上のようにしてレアメタル含有ガラスからレアメタル含有析出物を析出させることができる。レアメタル含有析出物および溶融物の底部で析出したレアメタル以外の部分のことをスラグ(酸化物残渣)と称することができる。

【0045】
回収されたレアメタル含有析出物には資源として有用なレアメタルがレアメタル酸化物などとして含まれているので、当該レアメタル含有析出物からレアメタルを回収することが好ましい。前記レアメタル含有析出物からレアメタルを回収する方法としては、例えば、レアメタル含有析出物を水と混合するなどによってレアメタル含有析出物を水と接触させることにより、当該レアメタル含有析出物に含まれているレアメタルを水中に抽出させ、得られたレアメタルの水溶液を回収する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。レアメタル含有析出物を水と混合する際には、当該レアメタル含有析出物をあらかじめ粉砕させておいてもよい。

【0046】
なお、前記で回収されたレアメタルの水溶液に二酸化炭素ガス(炭酸ガス)を吹き込むことにより、当該水溶液中にレアメタル炭酸塩を析出させることができる。ガラス溶融剤としてアルカリ金属炭酸塩を用いた場合、レアメタル含有ガラスを加熱溶融させたとき、二酸化炭素が発生するが、当該二酸化炭素を前記レアメタルの水溶液に吹き込まれる二酸化炭素ガスとして有効利用することができる。このように発生した二酸化炭素を有効利用することにより、大気中に放出される二酸化炭素量を低減させることができる。
【実施例】
【0047】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
製造例1~6
表1に示す各化合物の粉末を用意し、表1に示す組成となるように各化合物を混合し、得られた混合物を容量が30mLのアルミナ坩堝に入れ、当該アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。30分間かけて電気炉内の温度を1000℃まで昇温し、当該温度で坩堝を2時間加熱した。その後、坩堝内の溶融物を急冷し、ガラス化させることにより、レアメタル含有ガラスを得た。
【実施例】
【0049】
【表1】
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【実施例】
【0050】
実施例1~11
100mL容のアルミナ坩堝に活性炭3gを入れ、当該アルミナ坩堝内に、表2に示すレアメタル含有ガラスを表2に示す量で入れた30mL容のアルミナ坩堝を入れた。100mL容のアルミナ坩堝に蓋をし、当該アルミナ坩堝を電気炉内に入れ、1000℃でレアメタル含有ガラスを1時間溶融させることにより、レアメタル含有ガラスの溶融物を得た。このとき、レアメタル含有ガラスに含まれている貴なレアメタル酸化物は、炭素の不完全燃焼によって発生した一酸化炭素によって還元されて貴なレアメタルとなり、当該貴なレアメタルは、一酸化炭素による還元によって当該レアメタル含有ガラスの溶融物中で生成した重金属相中に濃縮され、ガラスよりも比重が高いことから、当該レアメタル含有ガラスの溶融物の底部に沈降した。
【実施例】
【0051】
次に電気炉内の温度を表2の「冷却条件」の欄に示す処理温度に冷却した後、当該温度で電気炉を表2の「冷却条件」の欄に示す処理時間でレアメタル含有ガラスの溶融物を保持したところ、当該レアメタル含有ガラスの上面に卑なレアメタル含有析出物が形成された。
【実施例】
【0052】
【表2】
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【実施例】
【0053】
比較例1
製造例1で得られたレアメタル含有ガラスA21gを加熱せずにそのままの状態で用いた。
【実施例】
【0054】
比較例2
製造例5で得られたレアメタル含有ガラスE2.5gを入れた30mL容のアルミナ坩堝を電気炉内に入れ、当該電気炉に蓋をし、空気中で1000℃の温度でレアメタル含有ガラスEを1時間溶融させた。
【実施例】
【0055】
引き続いて電気炉内の温度を700℃に冷却し、当該温度で電気炉を2時間保持したところ、レアメタル含有ガラスEの上面にレアメタル含有析出物が形成された。
【実施例】
【0056】
実験例1
実施例2、6および8で得られたレアメタル含有析出物に含まれる各元素に基づくエネルギー強度をエネルギー分散型X線分光器(EDS)で調べた。当該レアメタル含有析出物のエネルギー分散型X線分光器による測定結果をそれぞれ順に図1(a)~(c)に示す。
【実施例】
【0057】
図1(a)に示されるように、実施例2で得られたレアメタル含有析出物には、Na、K、Cs、Pb、SiおよびAlに帰属する各ピークが観察された。また、実施例2で得られたレアメタル含有析出物の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、マッピング分析を行なったところ、NaおよびCsが共存し、濃縮している箇所が存在していることが確認された。
【実施例】
【0058】
図1(b)に示されるように、実施例6で得られたレアメタル含有析出物には、Na、K、Cs、Pb、SiおよびAlに帰属する各ピークが観察された。また、実施例6で得られたレアメタル含有析出物の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、マッピング分析を行なったところ、Csが濃縮している箇所が存在していることが確認された。
【実施例】
【0059】
図1(c)に示されるように、実施例8で得られたレアメタル含有析出物には、Na、Se、K、Cs、SiおよびAlに帰属する各ピークが観察された。また、実施例8で得られたレアメタル含有析出物の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、マッピング分析を行なったところ、CsおよびSeが濃縮している箇所が存在していることが確認された。
【実施例】
【0060】
実験例2
レアメタル含有析出物に含まれているCsを水で効率よく抽出させることができるかどうかについて調べた。
【実施例】
【0061】
実施例1~9および11で得られたレアメタル含有析出物とスラグと重金属相との各混合物2.4~24g、比較例1で用いたレアメタル含有ガラスA21g、比較例2で得られた処理産物2.5gをそれぞれ200mL容のビーカーに入れ、各ビーカー内に室温(約25℃)のイオン交換水150mLを添加した。ビーカーの内溶液を撹拌棒で均一な組成となるように撹拌速度300rpmで2時間撹拌した後、ビーカーの内溶液を濾紙(平均孔径:1μm)で吸引濾過し、得られた濾液に含まれているCsの濃度をフレーム原子吸光分析装置(パーキン・エルマー社製、商品名:AAnalyst 200)で調べる操作を2回行ない、その平均値をCsの溶出量とした。その結果を表3に示す。
【実施例】
【0062】
なお、実施例10で得られたレアメタル含有析出物とスラグと重金属相との混合物は、以下の実験例4で使用したため、当該混合物からのCsの溶出量の測定を行なわなかった。
【実施例】
【0063】
【表3】
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【実施例】
【0064】
表3に示された結果から、各実施例で得られたレアメタル含有析出物からのCsの溶出量は、未処理のレアメタル含有ガラスが用いられた比較例1と対比して、レアメタルを格段に効率よく水中に抽出させることができることがわかる。
【実施例】
【0065】
また、表2の「冷却条件」の欄に示す処理温度が700℃である実施例では、レアメタル含有析出物からのCs溶出量は、一酸化炭素ではなく空気中でレアメタル含有ガラスが処理された比較例2と対比して、レアメタルを格段に効率よく水中に抽出させることができることがわかる。
【実施例】
【0066】
以上の結果から、各実施例で得られたレアメタル含有析出物は、Csの溶出性に格別顕著に優れていることがわかる。
【実施例】
【0067】
実験例3
実施例6~9では、PdOおよびSeO2を含有するレアメタル含有ガラスを用いた。また、実施例10および11では、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)がPdおよびSeを含有しているものと予想されることから、PdおよびSeを含有するレアメタル含有ガラスを用いた。
【実施例】
【0068】
次に、実施例7、実施例9、実施例11および比較例2で得られたレアメタル含有析出物からのSeおよびCsの抽出率を以下の方法に基づいて調べた。
【実施例】
【0069】
その結果、Seの抽出率は、実施例7では43%であり、実施例9では68%であり、実施例11では96%であり、比較例2では26%であった。このことから、実施例7、実施例9および実施例11では、比較例2のように空気中で加熱するのではなく、一酸化炭素雰囲気中で加熱をする手段が採られているので、当該操作によって効率よく析出したレアメタル含有析出物から効率よくSeを抽出させることができることがわかる。
【実施例】
【0070】
また、レアメタル含有析出物からのCsの抽出率は、実施例9では83%であり、実施例11では100%であった。このことから、これらの実施例によれば、レアメタル含有析出物からCsを効率よく抽出させることができることがわかる。
【実施例】
【0071】
以上の結果から、本発明によれば、レアメタル含有ガラスに含まれているCs、Seなどのレアメタルを当該レアメタル含有ガラスから分離し、当該レアメタルを水で抽出させることによって容易に回収することができることがわかる。
【実施例】
【0072】
〔SeおよびCsの抽出率〕
レアメタル含有析出物とスラグと重金属相との混合物2.4gまたは24gをそれぞれ200mL容のビーカーに入れ、各ビーカー内に室温(約25℃)のイオン交換水150mLを添加した。ビーカーの内溶液を撹拌棒で均一な組成となるように撹拌速度300rpmで2時間撹拌した後、ビーカーの内溶液を濾紙(平均孔径:1μm)で吸引濾過し、濾液を得た。
【実施例】
【0073】
濾液に含まれているSeの濃度をICP発光分析装置(パーキン・エルマー社製、商品名:Optima 5300DV)で測定し、Csの濃度をフレーム原子吸光分析装置パーキン・エルマー社製、商品名:AAnalyst 200)で調べる操作をそれぞれ2回行ない、その平均値を各元素の溶出量Aとした。
【実施例】
【0074】
表1の「原料組成」の欄に示されるSeおよびCsの含有率と表2のレアメタル含有ガラスの量から、実験例2で用いた原料のレアメタル含有ガラスに含まれているSeおよびCsの量を求めた。
【実施例】
【0075】
前記溶出量Aに含まれている各元素の量を前記レアメタル含有ガラス原料に含まれている各元素の量で除し、100倍することにより、各元素の抽出率を求めた。
【実施例】
【0076】
実験例4
実施例10で一酸化炭素との接触を終えたレアメタル含有ガラスの底部に沈降したレアメタル(重金属)1.39gを回収し、当該レアメタル(重金属)に王水40mLを添加することにより、混合物を得た。前記で得られた混合物をビーカーに入れ、ビーカーの開口部に時計皿を載せた状態で100℃の温度で24時間加熱することにより、懸濁物を得た。前記で得られた懸濁物を濾紙(孔径:1μm)で吸引濾過することにより、濾液を得た。
【実施例】
【0077】
前記で得られた濾液におけるPdの濃度をICP発光分析装置(パーキン・エルマー社製、商品名:Optima 5300DV)で調べ、当該Pdの量を原料のレアメタル含有ガラスに含まれているPdの量で除し、100倍することによってPdの移行率を求めたところ、当該移行率は98%であった。このことから、一酸化炭素との接触を終えたレアメタル含有ガラスの底部に貴なレアメタルを重金属とともに沈降させて効率よく回収することができることがわかる。
【実施例】
【0078】
したがって、本発明によれば、レアメタル含有ガラスに複数種類のレアメタルが含まれているとき、当該レアメタル含有ガラスに含まれている重金属を当該レアメタル含有ガラスの底部で回収し、それ以外の卑なレアメタルは、レアメタル含有析出物として回収することができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
レアメタル資源が少ないわが国においては、将来、レアメタルが不足することが予想され、また海外でもレアメタルの需要が増大することが考えられているところ、本発明のレアメタルの回収方法によれば、例えば、セシウム、パラジウム、セレンなどのレアメタルを含有するガラス固化体などのレアメタル含有ガラスからレアメタルを効率よく容易に回収することができる。
【0080】
さらに、本発明のレアメタルの回収方法によれば、地中に廃棄物として埋められている原子力発電所からの使用済み燃料のガラス固化体を地中から取り出し、当該ガラス固化体からレアメタルを効率よく回収することができる。
【0081】
したがって、本発明のレアメタルの回収方法は、貴重な地下資源であるレアメタルを廃棄物から効果的に取り出することかできることから、産業上の利用的価値が極めて高い発明である。
図面
【図1】
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